JP4058966B2 - 強誘電体素子の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電体素子およびその形成方法、強誘電体素子を用いたアクチュエータ、インクジェットヘッドならびにインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置のインクジェットヘッドは、インク液を収容する圧力室を持つ圧力室部品と、この圧力室からインク滴を吐出させるためのアクチュエータ部である強誘電体素子とを備えている。強誘電体素子には、強誘電体膜と、この強誘電体膜に電圧を印加して収縮及び伸張させる個別電極及び共通電極とを備えており、強誘電体膜の圧電効果により変位する振動板により、インク滴を圧力室のノズル孔から吐出させるように構成されている。
【0003】
ここで、強誘電体素子においては、電極や強誘電体膜はスパッタリングにより基板上にエピタキシャル成長させて形成される。
【0004】
このとき、図13に示すように、基板上に異物が付着していたり形成された電極3等の薄膜に異物が付着していると、その異物Dを核に異常成長部(非エピタキシャル成長部)が形成される。すると、この異常成長部(非エピタキシャル成長部)とエピタキシャル成長部との境界に欠陥部(亀裂)16が生じる。そして、ウェットエッチング工程で基板が除去されるときに欠陥部16からエッチャントが浸入し、強誘電体膜10や下部位置する共通電極11を浸食して絶縁性の低下を引き起こす。具体的には、浸食された共通電極11が欠陥部16に残留してリークパスを形成したり、高湿下で水パスを形成したりする。また、水分が浸入すればイオンマイグレーションを引き起こす。
【0005】
このような問題を解消するために、たとえば特開平6−112545号公報、あるいは特開平2−240976号公報に記載の技術が提案されている。
【0006】
ここで、特開平6−112545号公報には、圧電セラミック層と内部電極とを交互に積層した機能層の上面全体および下面全体を圧電セラミック製もしくは絶縁体層の保護層で覆う技術が開示されている。
【0007】
また、特開平2−240976号公報には、積層型圧電アクチュエータの少なくとも両側に形成された石油ワックスを備えることにより、水分の浸入や透過、および高湿度環境下での長時間使用時の内部電極間の絶縁抵抗の低下を防止する技術が開示されている。
【0008】
また、図14に示すように、基板上に大きい異物Dが付着した場合、その上から電極3を成膜し、強誘電体膜10を成膜し、共通電極11を成膜すると、局所的に電極間距離Lが短くなり、電界集中あるいはショートが起こり絶縁性が低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−112545号公報に記載の技術や特開平2−240976号公報に記載の技術では、強誘電体素子を形成した後に保護膜を形成するとエッチャント浸入を防ぐことができない。
【0010】
また、特開平6−112545号公報に記載の技術は、横歪みを利用して縦方向変位を出力する圧電アクチュエータにおいて、機能層で発生する電極に対して平行な方向の横歪みを発生しないように形成しているが、バルクの圧電セラミックで構成されているために変位量が大きいので、圧電セラミック層の変位を拘束するように作用する保護膜による影響が比較的小さい。しかしながら、機能層である強誘電体膜の膜厚が薄くなって変位量が小さくなると、強誘電体膜上に保護膜を形成することで変位が拘束されて所期の素子特性が得られなくなる場合がある。そして、このような保護膜による強誘電体膜の変位拘束の問題は、特開平2−240976号公報に記載の技術においても、同じように発生する。
【0011】
そこで、本発明は、素子形成時に生じた欠陥部からのエッチャントや水分の浸入を防止することのできる強誘電体素子に関する技術を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の強誘電体素子の形成方法は、電極を略平板状に成膜する工程を複数回繰り返して複数の略平板な層で成る上部多層電極を基板上に形成し、さらに、前記上部多層電極上に強誘電体膜を成膜し、前記強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、前記基板をエッチングにより全部除去するようにしたものである。
【0013】
また、この課題を解決するために、本発明の強誘電体素子の形成方法は、基板上に第1の上部電極を略平板状に成膜し、さらに、前記第1の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、前記強誘電体膜上に下部電極を成膜した後前記基板をエッチングにより全部除去し、その後、第2の上部電極を前記第1の上部電極の基板除去された側上に略平板状に成膜するようにしたものであってもよい
【0014】
さらに、この課題を解決するために、本発明の強誘電体素子の形成方法は、基板上に第1の上部電極を略平板状に成膜し、さらに、前記第1の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、前記強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、前記基板をエッチングにより全部除去し、その後、前記第1の上部電極を除去してから第2の上部電極を前記強誘電体膜の前記第1の上部電極が除去された側上に略平板状に成膜するようにしたものであってもよい
【0015】
これにより、エッチャントや水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することができ、また、基板に付着した異物によって電極間距離が短くなるということが無くなり、絶縁性の低下を防止することが可能になる。さらに、電極や強誘電体の欠陥部を電極でカバーリングすることにより電界のかかる面積を上げることが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第1の形態は、基板上に第1の上部電極を略平板状に成膜し、第1の上部電極の表面を洗浄し、表面上の異物と第1電極で被覆された異物を除去し、第1の上部電極上に第2の上部電極を略平板状に成膜し、第2の上部電極の表面を洗浄して、表面上の異物と第2の上部電極で被覆された異物を除去し、さらに第2の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、基板をエッチングにより全部除去する強誘電体素子の形成方法であり、第1の上部電極成膜時に生じた欠陥部は第2の上部電極でカバーリングされるとともに第2の上部電極成膜時に生じた欠陥部は第1の上部電極の欠陥部とは連通しなくなるので、さらにウェットエッチング前に欠陥部が被覆されるので、エッチャントや水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという作用を有する。また、第1の上部電極あるいは第2の上部電極成膜後に異物と電極が被覆された異物を除去することにより電界集中、ショートといった絶縁性の低下を防止することが可能になる。また、これは電極を二段に限定するものではなく多層にすることにも何等限定されるものではない。
【0017】
本発明の実施の第2の形態は、実施の第1の形態において、多層上部電極を成す複数の層は、何れもエピタキシャル成長により成膜する強誘電体素子の形成方法であり、強誘電体膜をエピタキシャル成長させ、c軸配向させながら成長させることが可能になるという作用を有する。
【0018】
本発明の実施の第3の形態は、基板上に第1の上部電極を略平板状に成膜し、さらに、第1の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、基板をエッチングにより全部除去し、その後、第2の上部電極を第1の上部電極の基板除去された側上に略平板状に成膜する強誘電体素子の形成方法であり、第1の上部電極に生じた欠陥部が第2の上部電極でカバーリングされるので、水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという作用を有する。
【0019】
本発明の実施の第4の形態は、実施の第3の形態において、第1の上部電極はエピタキシャル成長により成膜し、第2の上部電極は非エピタキシャル成長により成膜する強誘電体素子の形成方法であり、これにより、強誘電体膜をエピタキシャル成長させ、c軸配向させながら成長させることが可能になるという作用を有する。また、第2の上部電極による欠陥部の被覆性を上げる事が可能であり、水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという作用を有する。
【0020】
本発明の実施の第5の形態は、基板上に第1の上部電極を略平板状に成膜し、さらに、第1の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、基板をエッチングにより全部除去し、その後、第1の上部電極を除去してから第2の上部電極を前記強誘電体膜の第1の上部電極が除去された側上に略平板状に成膜する事を特徴とする強誘電体素子の形成方法であり、これにより、強誘電体膜に生じた欠陥部が第2の上部電極でカバーリングされるので、水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという作用を有する。また、第1の電極を除去することで電極を薄くでき、アクチュエータとしての変位量を落とさず欠陥部をカバーリングすることが可能である。
【0021】
本発明の実施の第6の形態は、実施の第5の形態において、第1の上部電極はエピタキシャル成長により成膜し、第2の上部電極は非エピタキシャル成長により成膜する強誘電体素子の形成方法であり、これにより、強誘電体膜をエピタキシャル成長させ、c軸配向させながら成長させることが可能になるという作用を有する。また第2の上部電極による欠陥部の被覆性を上げる事が可能になるという作用を有する。
【0022】
本発明の実施の第7の形態は、複数の略平板な層で成る上多層電極と、強誘電体膜と、下部電極とをそれらの順に積層させて有した強誘電体素子であって強誘電体膜は、少なくとも一の層が基板上に成膜された状態における上部多層電極上に形成されたものであり、そして、その基板は下部電極が形成された後にエッチングにて全部除去された強誘電体素子であり、エッチャントや水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという作用を有する。
【0023】
本発明の実施の第8の形態は、略平板な上部電極と、強誘電体膜と、下部電極とをそれらの順に所要域全面に渡って積層させて有した強誘電体素子であって上部電極は、強誘電体膜における欠陥部内にも充填された強誘電体素子であり、水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという作用を有する。また、強誘電体膜の欠陥部を充填することにより電界のかかる面積を広げることが可能でより大きな変位量を得ることが可能となる。
【0024】
本発明の実施の第9の形態は、実施の第1〜8の形態における強誘電体素子の形成方法、または強誘電体素子の一が用いられアクチュエータであり、安定した変位動作を行うことが可能になるという作用を有する。
【0025】
本発明の実施の第10の形態は、実施の第9の形態におけるアクチュエータと、インク液が収容され、アクチュエータの変位が作用する複数の圧力室とを備えたインクジェットヘッドであり、安定したインク吐出を行うことが可能になるという作用を有する。
【0026】
本発明の実施の第11の形態は、実施の第10の形態におけるインクジェットヘッドとインクジェットヘッド及び記録媒体を相対移動させる移動手段とを備えたインクジェット記録装置であり、安定したインク吐出による高品質な印字を行うことが可能になるという作用を有する。
【0027】
以下、本発明の実施の形態の実施例について、図1から図12を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0028】
図1は本発明の一実施の形態である強誘電体素子が用いられたインクジェット式記録装置の全体概略構成を示す斜視図、図2は図1のインクジェット式記録装置におけるインクジェットヘッドの全体構成を示す断面図、図3は図2の要部を示す斜視図、図4は図2のインクジェットヘッドのアクチュエータ部の構成の一例を示す断面図、図5は本発明の一実施の形態である強誘電体素子の第1の製造方法を連続的に示す断面図、図6は図5の製造方法で製造された強誘電体素子を示す断面図、図7は本発明の一実施の形態である強誘電体素子の第2の製造方法を連続的に示す断面図、図8は図7の製造方法で製造された強誘電体素子を示す断面図、図9は個別電極を2層構成としたアクチュエータと個別電極を1層構成としたアクチュエータとについて高温高湿試験を行った結果を示す説明図、図10は電極破壊における外観不良の一例を示す写真を示す図、図11は本発明の他の実施の形態における強誘電体素子の製造方法を連続的に示す断面図、図12は図11の製造方法で製造された強誘電体素子を示す断面図である。
【0029】
図1に示すインクジェット式記録装置40は、強誘電体素子の圧電効果を利用して記録を行う本発明のインクジェットヘッド41を備え、このインクジェットヘッド41から吐出したインク滴を紙等の記録媒体42に着弾させて、記録媒体42に記録を行うものである。インクジェットヘッド41は、主走査方向Xに配置したキャリッジ軸43に設けられたキャリッジ44に搭載されていて、キャリッジ44がキャリッジ軸43に沿って往復動するのに応じて、主走査方向Xに往復動する。さらに、インクジェット式記録装置40は、記録媒体42をインクジェットヘッド41の幅方向(すなわち、主走査方向X)と略垂直方向の副走査方向Yに移動させる複数個のローラ(移動手段)45を備える。
【0030】
図2は本発明の実施の形態のインクジェットヘッド41の全体構成を示し、図3はその要部の構成を示す。図2および図3において、Aは圧力室部品であって、圧力室用開口部1が形成される。Bは圧力室用開口部1の上端開口面を覆うように配置されるアクチュエータ部、Cは圧力室用開口部1の下端開口面を覆うように配置されるインク液流路部品である。圧力室部品Aの圧力室用開口部1は、その上下に位置するアクチュエータ部Bおよびインク液流路部品Cにより区画されて圧力室2となる。アクチュエータ部Bには、圧力室2の上方に位置する個別電極3が配置されている。これ等圧力室2および個別電極3は、図2から判るように、千鳥状に多数配列されている。インク液流路部品Cには、インク液供給方向に並ぶ圧力室2間で共用する共通液室5と、この共通液室5を圧力室2に連通する供給口6と、圧力室2内のインク液が流出するインク流路7とが形成される。Dはノズル板であって、インク流路7に連通するノズル孔8が形成されている。また、図2において、EはICチップであって、ボンディングワイヤーBWを介して多数の個別電極3に対して電圧を供給する。
【0031】
次に、アクチュエータ部Bの構成を図4に基づいて説明する。
【0032】
図4は図2に示したインクジェットヘッドのアクチュエータ部の一部の断面図である。同図では、直交方向に並ぶ圧力室2を持つ圧力室部品Aが参照的に描かれている。
【0033】
このアクチュエータ部Bは、各圧力室2の上方に位置する個別電極3、この個別電極3の直下に位置する強誘電体膜10、強誘電体膜10の直下に位置する共通電極(下部電極)11、共通電極11の直下に位置し、強誘電体膜10の圧電効果により変位して振動する振動板12とを有する。振動板12は、導電性物質で形成されている。さらに、アクチュエータ部Bは、各圧力室2の相互を区画する区画壁2aの上方に位置する縦壁13を持つ。なお、同図中、14は圧力室部品Aとアクチュエータ部Bとを接着する接着剤である。各縦壁13は、接着剤14を用いた接着時に、一部の接着剤14が区画壁2aの外方にはみ出した場合にも、この接着剤14が振動板12に付着せず、振動板12が所期通りの変位、振動を起こすように、圧力室2の上面と振動板12の下面との距離を拡げる役割を持つ。但し、振動板12を共通電極11と一体化することにより、振動板12を形成しないようにしてもよい。よって、後述する製造方法において、振動板12の形成プロセスは省略することができる。
【0034】
ここで、図4に示すように、個別電極3は、表側に位置する第2の個別電極(第2の上部電極)3aと、強誘電体膜10側に位置する第1の個別電極(第1の上部電極)3bとの2層構造となっている。したがって、第2の個別電極3aは第1の個別電極3bを覆っている。そして、これらの個別電極3a,3bが上部多層電極をなす。
【0035】
なお、本実施の形態において、第1および第2の個別電極3b,3aは例えばPt(白金)、Au(金)、Al(アルミニウム)で、強誘電体膜10は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で、共通電極11は例えばCu(銅)で、振動板12は例えばCr(クロム)で、形成されている。また、第1および第2の個別電極3b,3aは例えばそれぞれ厚さ0.1〜0.5μmに、強誘電体膜10は例えば厚さ3μmに、共通電極11は例えば厚さ5.5μmに、振動板12は例えば厚さ2μmに、各々成膜されている。
【0036】
なお、上記実施の形態においては、振動板に導電性物質のCr(クロム)を例に記載したが、振動板は酸化物薄膜等の非導電性物質を用いてもかまわない。
【0037】
また、上記個別電極3、強誘電体膜10、共通電極11および振動板12の形成方法は、公知の各種の膜形成法、例えばスクリーン印刷の如き厚膜法やディッピング等の塗布法、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、メッキ等の薄膜形成法等が適宜採用され得るが、それらに何等限定されるものではない。
【0038】
ここで、以上説明した構成を有する強誘電体素子の製造方法について説明する。なお、当該強誘電体素子の製造方法として3種類あり、図5を用いて第1の製造方法を、図7を用いて第2の製造方法を、図11を用いて第3の製造方法を説明する。
【0039】
第1の製造方法は、図5において、先ず、例えばMgO基板(基板)15上に第2の個別電極3aをエピタキシャル成長により成膜する(図5(a))。そして、第2の個別電極3aの表面の異物と第2の個別電極3aで被覆された異物とを除去し、次に、第2の個別電極3a上に第1の個別電極3bをエピタキシャル成長により成膜する(図5(b))。そして、第1の個別電極3bの表面の異物と第1の個別電極3bで被覆された異物とを除去する。そして、エピタキシャル成長された第1の個別電極3b上にペロブスカイト構造の強誘電体膜10を成膜し(図5(c))、強誘電体膜10上に共通電極11を成膜し(図5(d))、共通電極11上に振動板12を成膜する(図5(e))。このとき、第1の個別電極3bに欠陥部があると、強誘電体膜10にはこの欠陥部と連通する欠陥部が形成される(図6参照)。
【0040】
その後、このように形成された強誘電体素子の振動板12を区画壁2aに接着し(図5(f))、例えばリン酸を用いたウエットエッチングによりMgO基板15を除去する(図5(g))。最後に、個別電極3および強誘電体膜10を所定の形状にパターニングする(図5(h))。
【0041】
この製造方法によれば、図6に示すように、第2の個別電極3aの成膜時に生じた欠陥部16は異物除去工程で除去されて第1の個別電極3bでカバーリングされ、あるいは異物除去工程では除去されなくても第1の個別電極3bの成膜時に生じた欠陥部16とは連通しなくなるので、さらにウェットエッチング前に欠陥部16が被覆されるので、エッチャントや水分が内部に浸入することが防止される。これにより、欠陥部16に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になる。
【0042】
また、電極形成後に異物除去工程を入れることにより、電極間距離が局所的に短くなるということがない(図14)。
【0043】
また、個別電極3a,3b自体が保護膜(防湿膜)として働くので、新たな保護膜を備えて変位特性が悪化する懸念がない。
【0044】
さらに、欠陥部16も個別電極3a,3bでカバーされるので、安定して電界がかかるようになる。
【0045】
第2の製造方法は、図7において、先ず、例えばMgO基板(基板)15上に第1の個別電極3bをエピタキシャル成長により成膜する(図7(a))。次に、エピタキシャル成長された第1の個別電極3b上にペロブスカイト構造の強誘電体膜10を成膜し(図7(b))、強誘電体膜10上に共通電極11を成膜し(図7(c))、共通電極11上に振動板12を成膜する(図7(d))。このとき、第1の個別電極3bに欠陥部があると、強誘電体膜10にはこの欠陥部と連通する欠陥部が形成される(図8参照)。
【0046】
そして、振動板12を区画壁2aに接着し(図7(e))、例えばリン酸を用いてMgO基板15を除去する(図7(f))。MgO基板15を除去した後、当該基板15の除去された側の第1の個別電極3b上に、非エピタキシャル成長により第2の個別電極3aを成膜する(図7(g))。最後に、個別電極3および強誘電体膜10を所定の形状にパターニングする(図7(h))。なお、第2の個別電極3aは非エピタキシャル成長により成膜する。
【0047】
この製造方法によれば、図8に示すように、第1の個別電極3bに生じた欠陥部16が結晶性の崩れた第2の個別電極3aでカバーリングされるので、水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部16に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になる。
【0048】
ここで、本実施の形態に示すように個別電極を2層構成としたアクチュエータと図13に示すように個別電極を1層構成としたアクチュエータとについて高温高湿試験(60℃/80%、DC35V印加)を行った。その結果を図9に示す。
【0049】
図9においては、アクチュエータ素子200pinについての電極の破壊率(絶縁破壊率)を示している。ここでの電極破壊は外観不良とリーク電流不良とを指す。外観不良は、図10に示すような黒点発生があれば破壊とし、リーク電流不良は、1E−7A以上の電流が流れた場合に不良とした。なお、良品の電極はリーク電流が1E−9A以下となる。
【0050】
図示するように、個別電極を2層構成とした場合には、1層構成とした場合に比べて、電極の破壊率が激減しているのが分かる。
【0051】
ここで、本発明の他の実施の形態における強誘電体素子の製造方法について図11を用いて説明する。
【0052】
図11において、先ず、例えばMgO基板(基板)15上に第1の個別電極3bをエピタキシャル成長により成膜する(図11(a))。次に、エピタキシャル成長された第1の個別電極3b上にペロブスカイト構造の強誘電体膜10を成膜し(図11(b))、強誘電体膜10上に共通電極11を成膜し(図11(c))、共通電極11上に振動板12を成膜する(図11(d))。
【0053】
そして、振動板12を区画壁2aに接着し(図11(e))、例えばリン酸を用いてMgO基板15を除去する(図11(f))。
【0054】
MgO基板15を除去した後、さらに第1の個別電極3bを除去し(図11(g))、第1の個別電極3bの除去された側の強誘電体膜10上に第2の個別電極3aを成膜する(図11(h))。最後に、第2の個別電極3aおよび強誘電体膜10を所定の形状にパターニングする(図11(i))。
【0055】
この製造方法によれば、図12に示すように、強誘電体膜10の形成時に生じた欠陥部16が第2の個別電極3aで被覆されるとともに、欠陥部16にも第2の個別電極3aが充填されることにより、通常では電界がかからない欠陥部16にも電界がかかるようになる。
【0056】
以上説明した本実施の形態では、本発明の強誘電体素子をインクジェット式記録装置のインク吐出に用いられるアクチュエータに適用した場合について説明したが、圧電ジャイロ等の圧電素子応用センサや、強誘電体材料の焦電性を利用した温度センサ等に用いるなど、他の種々の用途に適用することが可能である。
【0057】
なお、以上説明した強誘電体素子を用いたアクチュエータによれば、安定した変位動作を行うことが可能になり、このようなアクチュエータを用いたインクジェットヘッドによれば、安定したインク吐出を行うことが可能になる。そして、このようなインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置によれば、安定したインク吐出により高画質の印字を行うことが可能になる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、エッチャントや水分が内部に浸入することが阻止され、欠陥部に起因する絶縁性の低下を防止することが可能になるという有効な効果が得られる。
【0059】
このような強誘電体素子をアクチュエータに用いることにより、安定した変位動作を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。
【0060】
このようなアクチュエータをインクジェットヘッドに用いることにより、安定したインク吐出を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。
【0061】
そして、このようなインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置によれば、安定したインク吐出による高品質な印字を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である強誘電体素子が用いられたインクジェット式記録装置の全体概略構成を示す斜視図
【図2】図1のインクジェット式記録装置におけるインクジェットヘッドの全体構成を示す断面図
【図3】図2の要部を示す斜視図
【図4】図2のインクジェットヘッドのアクチュエータ部の構成の一例を示す断面図
【図5】本発明の一実施の形態である強誘電体素子の第1の製造方法を連続的に示す断面図
【図6】図5の製造方法で製造された強誘電体素子を示す断面図
【図7】本発明の一実施の形態である強誘電体素子の第2の製造方法を連続的に示す断面図
【図8】図7の製造方法で製造された強誘電体素子を示す断面図
【図9】個別電極を2層構成としたアクチュエータと個別電極を1層構成としたアクチュエータとについて高温高湿試験を行った結果を示す説明図
【図10】電極破壊における外観不良の一例を示す写真を示す図
【図11】本発明の他の実施の形態における強誘電体素子の製造方法を連続的に示す断面図
【図12】図11の製造方法で製造された強誘電体素子を示す断面図
【図13】従来の強誘電体素子の一例を示す断面図
【図14】従来の強誘電体素子の他の一例を示す断面図
【符号の説明】
3 個別電極
3a 第2の個別電極(第2の上部電極)
3b 第1の個別電極(第1の上部電極)
10 強誘電体膜
11 共通電極(下部電極)
15 MgO基板(基板)
16 欠陥部
41 インクジェットヘッド
40 インクジェット式記録装置

Claims (6)

  1. 電極を平板状に成膜する工程を複数回繰り返して複数の平板な層で成る上部多層電極を基板上に形成し、
    さらに、前記上部多層電極上に強誘電体膜を成膜し、
    前記強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、
    前記基板をエッチングにより全部除去することを特徴とした強誘電体素子の形成方法。
  2. 前記上部多層電極を成す複数の層は、何れもエピタキシャル成長により成膜することを特徴とした請求項1記載の強誘電体素子の形成方法。
  3. 基板上に第1の上部電極を平板状に成膜し、
    さらに、前記第1の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、
    前記強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、
    前記基板をエッチングにより全部除去し、
    その後、第2の上部電極を前記第1の上部電極の前記基板が除去された側上に平板状に成膜することを特徴とした強誘電体素子の形成方法。
  4. 前記第1の上部電極はエピタキシャル成長により成膜し、前記第2の上部電極は非エピタキシャル成長により成膜することを特徴とする請求項3記載の強誘電体素子の形成方法。
  5. 基板上に第1の上部電極を平板状に成膜し、
    さらに、前記第1の上部電極上に強誘電体膜を成膜し、
    前記強誘電体膜上に下部電極を成膜した後、
    前記基板をエッチングにより全部除去し、
    その後、前記第1の上部電極を除去してから、
    第2の上部電極を前記強誘電体膜の前記第1の上部電極が除去された側上に平板状に成膜する事を特徴とした強誘電体素子の形成方法。
  6. 前記第1の上部電極はエピタキシャル成長により成膜し、
    前記第2の上部電極は非エピタキシャル成長により成膜することを特徴とする
    請求項5に記載の強誘電体素子の形成方法。
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