JP4057903B2 - コンベヤ上のワークのトラッキング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄工場においてコイルやシートなどのワークの搬送に用いられるコンベヤ上のワークのトラッキング方法に関するものであり、特に常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平4−179617号公報
【0003】
製鉄工場においてコイルやシートなどのワークを次工程に搬送するためには、常に一定ピッチで規則的な動作を行なう一定ピッチコンベヤが用いられるのが普通である。このコンベヤの始端部に置かれたワークはコンベヤの終端部で取り出されるが、特許文献1に示されるように、コンベヤ上のワークに関する情報はバッファに格納され、コンベヤの移動と同期してトラッキングされている。
【0004】
このような一定ピッチコンベヤでは、図5に示されるようにコンベヤ上の絶対位置を移動ピッチ長さのゾーンに分割して各ゾーンに対応したバッファを形成し、コンベヤの移動と同期してワークに関する情報を隣接するバッファに順次シフトさせて行くトラッキング方法が採用されていた。この場合には、途中でワークの出し入れが行なわれても、そのコンベヤ上の絶対位置に対応したバッファに情報の出し入れを行なうことによって、コンベヤの空きスペースとワークの順番を保証することができる。
【0005】
しかし、コンベヤが常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、不特定の位置で停止したりする場合には、図5に示したようなコンベヤ上のゾーンに対応させたバッファを使用することはできなかった。このため、不規則な動きを行なうコンベヤ上のワークに対するトラッキングを正確に行なう方法が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず不規則な動きを行なうことがあるコンベヤであって、途中でワークの出し入れが行なわれるような場合にも、コンベヤ上の空きスペースとワークの順番を保証しつつ、コンベヤ上のワークに関する情報を正確にトラッキングすることができる方法を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法であって、連続したバッファ内に常に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、コンベヤ上におけるワークの並び順とバッファ内情報との整合性を確保しつつ、コンベヤの設備長と、コンベヤの終端に達したワークWの絶対位置情報とを比較して、トラッキングの整合性を判断することを特徴とするものである。また、本発明は、常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法であって、連続したバッファ内に常に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、コンベヤ上におけるワークの並び順とバッファ内情報との整合性を確保しつつ、コンベヤ上で測定したワークWのサイズと、ワーク情報とを比較して、トラッキングの整合性を判断することを特徴とするものである。
【0008】
さらに、本発明は、常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法であって、連続したバッファ内に常に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、コンベヤ上におけるワークの並び順とバッファ内情報との整合性を確保し、コンベヤの途中でワークの出し入れを行なう場合には、出し入れが行なわれる位置とバッファ内に格納されたワークの絶対位置とを対比して、バッファ内情報の挿入と削除とを行なわせ、コンベヤの途中でワークの出し入れを行なうタイミングでの位置情報と、ワークWの絶対位置情報とを比較して、トラッキングの整合性を判断することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は実施形態のシステム構成図であり、1は本発明によるトラッキングの対象となるコンベヤ、2は後段コンベヤである。コイルなどのワークWは前工程からトランスファーカー3によってコンベヤ1の始端部に供給される。そしてコンベヤ1上を終端部まで搬送されたうえで連絡台車4に取り出され、後段コンベヤ2まで移送される。後段コンベヤ2上のワークWは移載装置5によって次工程に搬送される。またこのコンベヤ1の途中位置の上方にはクレーン6が設けられており、コンベヤ1上からワークWを取り出したり、コンベヤ1上にワークWを載せたりすることができる。
【0010】
この実施形態ではクレーン6以外の上記した搬送設備は全て油圧装置7により駆動されており、それぞれの動きはコンベヤコントローラ8により制御されている。9はコンベヤコントローラ8と接続されたトラッキング用コンピュータである。このトラッキング用コンピュータ9はコンベヤコントローラ8から位置情報を受け取るとともに、生産管理用コンピュータ10から搬送対象となるワークWの生産情報を受け取る。またコンベヤ1へのワークWの供給元の情報を前工程のライン制御用コンピュータ11から受け取る。
【0011】
12はクレーン6の動作を管理するクレーンガイダンス用コンピュータであり、クレーン6の動作はこのクレーンガイダンス用コンピュータ12からトラッキング用コンピュータ9に送られる。更にコンベヤ1の終端部付近には3つのセンサ13A、13B、13Cが配置されており、ワークWのサイズ(例えばコイルの幅)を検知できるようになっている。以下に本発明のトラッキング方法を詳細に説明する。
【0012】
先ずトランスファーカー3によってコンベヤ1の始端部にワークWが供給されたタイミングで、トラッキング用コンピュータ9はライン制御用コンピュータ11からワークWのキー情報を受け取る。キー情報を受けた後、トラッキング用コンピュータ9は生産管理用コンピュータ10にワーク情報を要求し、そのワークWに関する詳細な情報を受け取る。またトラッキング用コンピュータ9は一定周期でコンベヤコントローラ8からコンベヤ移動量Δxを受け取り、ワークWの絶対位置情報にΔxを加算して行く。コンベヤ1の始端では絶対位置はゼロである。このためコンベヤ1の動きが常に一定ピッチでなくても、絶対位置情報は常に正しく保たれる。
【0013】
図2〜図4に示すように、本発明でもトラッキング用のバッファ20が用いられるが、従来とは異なりコンベヤ1上のワークWに関するワーク情報と絶対位置情報が常に前詰めでバッファ20内に格納される。このため、コンベヤ1の始端部に最初に置かれたワークWの情報は、バッファ20の先頭に格納される。ワークWがコンベヤ1上を移動するにつれてコンベヤ移動量Δxが加算されて絶対位置情報は変化するが、そのワークWが先頭である限りバッファ20内の格納位置は変わらない。2番目のワークWの情報はバッファ20の2番目に格納され、以下同様に後側に格納されて行くから、コンベヤ1の先頭からのワークWの並び順と、バッファ20内の情報格納位置とは常に正しく対応し、保証されることとなる。
【0014】
その後コンベヤ1による搬送が行われ、ワークWがセンサ13Aを通過したことが検知されると、コンベヤ1の終端であるセンサ13Cの位置でワークWが正確に停止するようにコンベヤコントローラ8がコンベヤ1の動きを制御する。そしてこの間にセンサ13BによりワークWのサイズ(コンベヤ長手方向の長さ)を測定し、トラッキングされているバッファ20内のワーク情報と対比して間違いがないことを確認する。もし間違いがあれば警報を発しオペレータを呼ぶ。測定されたワークWのサイズはワーク情報に付加される。このワークWはコンベヤ1の終端に達しているため先頭の位置にあり、その情報はバッファ20の先頭に格納されている。
【0015】
このようにしてコンベヤ1の終端に達したワークWは、連絡台車4により後段コンベヤ2まで移送される。ワークWが正しい場合には、トラッキング用コンピュータ9は移載装置5に払い出し命令を発し、移載装置5は後段コンベヤ2上からワークWを次工程に搬送する。またワークWが間違いである場合にはそのまま後段コンベヤ2上を搬送され、オペレータによる現物確認が行なわれる。
【0016】
上記したのはコンベヤ1の終端までワークWが搬送された場合であるが、図2のようにクレーン6が途中でワークWを取り出すことがある。この場合には、クレーン6のリフタに設置したセンサ14がワークWを掴んだことを検知し、その検知信号をトリガーとしてクレーンガイダンス用コンピュータ12がクレーン6の現在位置を算出する。トラッキング用コンピュータ9はクレーン6の現在位置を受け取り、バッファ20内の情報と比較してどのワークWが掴まれたかを確認し、整合性を取る。それとともにそのワークWに対応するバッファ20内の情報を削除し、後ろ側の情報を前詰めにする。
【0017】
同様に、図3のようにクレーン6がワークWをコンベヤ1の途中に挿入する場合には、クレーン6のリフタに設置したセンサ14がワークWを離したことを検知し、その検知信号をトリガーとしてクレーンガイダンス用コンピュータ12がクレーン6の現在位置を算出する。トラッキング用コンピュータ9はクレーン6の現在位置を受け取り、バッファ20内の情報と比較してどの位置にワークWが挿入されたかを判断する。それとともにバッファ20内の挿入位置よりも後ろ側の情報を後ろにずらし、あいた位置に新しいワークWの情報を挿入する。これによってバッファ20内の情報とコンベヤ1上のワークWの並び順との整合性を確保する。
【0018】
以上のようにしてトラッキングが行われるが、その精度を向上させて誤ったワークWを払い出すことのないように、以下のようなチェックが行われる。第1に、図4に示すようにコンベヤ13の終端位置に到達したワークWに関するバッファ20内の絶対位置情報xと、コンベヤ13の物理的な設備長Lとを比較し、それらの間の誤差が所定範囲内に納まっていない場合には、異材(間違ったワークW)であるおそれがあるので、オペレータに対して警報を発して現物確認を促す。
【0019】
第2に、センサ13Bにより測定したワークWのサイズ(例えばコイル幅)と、生産管理用コンピュータ10から受け取ったワークWのサイズとを比較し、誤差が所定範囲内に納まっていない場合には、異材であるおそれがあるので、オペレータに対して警報を発して現物確認を促す。
【0020】
第3に、コンベヤ1の途中からクレーン6で取り出すワークWについては、クレーンガイダンス用コンピュータ12から受信したクレーン位置情報と、バッファ20内のワークWの絶対位置情報とを比較し、誤差が所定範囲内に納まっていない場合には、異材であるおそれがあるので、オペレータに対して警報を発して現物確認を促す。このようにしてワークWの取り違えを防止しつつ、コンベヤ1からワークWを次工程に払い出すことが可能となる。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のコンベヤ上のワークのトラッキング方法によれば、連続したバッファ内に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークを、コンベヤ上の空きスペースとワークの順番を保証しつつ、正確にトラッキングすることができる。また請求項3、4、5に記載したようにトラッキングの整合性を判断すれば、ワークWの取り違えをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のシステム構成図である。
【図2】クレーンによるワークの抜き取り時のバッファ操作の説明図である。
【図3】クレーンによるワーク挿入時のバッファ操作の説明図である。
【図4】コンベヤ上のワーク配列とバッファ内情報との関係を示す図である。
【図5】従来の一定ピッチ動作を行なうコンベヤのバッファを示す説明図である。
【符号の説明】
W ワーク
1 コンベヤ
2 後段コンベヤ
3 トランスファーカ
4 連絡台車
5 移載装置
6 クレーン
7 油圧装置
8 コンベヤコントローラ
9 トラッキング用コンピュータ
10 生産管理用コンピュータ
11 ライン制御用コンピュータ
12 クレーンガイダンス用コンピュータ
13 センサ
14 センサ
20 バッファ
Claims (3)
- 常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法であって、連続したバッファ内に常に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、コンベヤ上におけるワークの並び順とバッファ内情報との整合性を確保しつつ、コンベヤの設備長と、コンベヤの終端に達したワークWの絶対位置情報とを比較して、トラッキングの整合性を判断することを特徴とするコンベヤ上のワークのトラッキング方法。
- 常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法であって、連続したバッファ内に常に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、コンベヤ上におけるワークの並び順とバッファ内情報との整合性を確保しつつ、コンベヤ上で測定したワークWのサイズと、ワーク情報とを比較して、トラッキングの整合性を判断することを特徴とするコンベヤ上のワークのトラッキング方法。
- 常に一定ピッチで規則的な動作を行なうとは限らず、また途中でワークの出し入れが行なわれることがあるコンベヤ上のワークのトラッキング方法であって、連続したバッファ内に常に前詰めでワーク情報及びその絶対位置情報を格納することにより、コンベヤ上におけるワークの並び順とバッファ内情報との整合性を確保し、コンベヤの途中でワークの出し入れを行なう場合には、出し入れが行なわれる位置とバッファ内に格納されたワークの絶対位置とを対比して、バッファ内情報の挿入と削除とを行なわせ、コンベヤの途中でワークの出し入れを行なうタイミングでの位置情報と、ワークWの絶対位置情報とを比較して、トラッキングの整合性を判断することを特徴とするコンベヤ上のワークのトラッキング方法。
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