JP4057901B2 - 遮音パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速道路の路肩や側壁に配設して、走行する自動車等の騒音を遮断するための遮音パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高速道路を走行する自動車からの騒音が道路周辺の住宅等に伝わるのを防止したり、或いは、道路側からの投物が路肩から落下するのを防止するために、道路の路肩に道路に沿って遮音パネルを張りめぐらすことが行われている。このような遮音パネルとしては、上下横枠材と両側縦枠材とによって矩形状枠を形成し、この矩形状枠に遮音板を嵌め込んで、該遮音板の上端部を上側横枠材に複数個のボルトにより固着していると共に該遮音板の両側端部と下端部とを押し縁材によってこれらの両側縦枠材と下側横枠材とにおける受け部に押しつけて押し縁材と受け部とにより遮音板の両側端部と下端部とを挟持した状態にして該押し縁部をボルトにより両側縦枠材と下側横枠材とに固定した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、矩形状枠の上下横枠材と両側縦枠材とに遮音板の上下端部と両側端部、即ち、遮音板の四方縁辺部をボルトにより固着した構造の遮音パネルもある。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−151418号公報(第3頁、第3図)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の遮音パネルによれば、遮音板はその上端部のみを上側横枠材に複数個のボルトで固着する一方、両側端部と下端部とをボルトで固着することなく、両側縦枠材と押し縁材、及び、下側横枠材と押し縁材によって単に挟持した構造としているため、遮音板に自動車が衝突した場合、該遮音板はV字状に屈曲、変形しながらその両側端部と下端部とが両側縦枠材と押し縁材間、及び、下側横枠材と押し縁材間から抜け出て衝撃力を充分に受止することができなく安全面において問題点がある。
【0005】
一方、後者の遮音パネルによれば、上下横枠材と両側縦枠材とからなる矩形状枠に遮音板の四方縁辺部をボルトによって強固に固着しているので、遮音板に自動車が衝突しても遮音板が矩形状枠から抜け出る虞れはないが、遮音板がポリカーボネート樹脂のように、熱による伸長、収縮率の大きい樹脂板からなる場合には、その伸縮によって遮音板が波打ち状に撓み変形し、外観が見苦しくなるという問題点がある。
【0006】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、冬期と夏期の温度差等により発生する透光性樹脂製の遮音板の伸長、収縮を吸収して波打ち状に撓み変形するのをなくすると共に、自動車が衝突した際には遮音板の屈曲による緩衝作用を効果的に発揮させて遮音板の割れを防止しながら衝撃力を吸収することができる遮音パネルを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の遮音パネルは、請求項1に記載したように、上下横枠材と両側縦枠材とによって形成された矩形状枠に透光性樹脂よりなる遮音板を張設してなる遮音パネルであって、遮音板はその上端部に該上端部を上記上側横枠材にボルトによって固着させたボルト取付孔を幅方向に所定間隔毎に設けていると共に両側端部に横長孔を上下方向に一定間隔毎に設けている一方、両側縦枠材は、前後方向に一定幅を有する外側板部の内側面前後部に内側方に向かって一定の突出幅を有する前側中空支持枠部とこの前側中空支持枠部よりも突出幅が小さい後側中空支持枠部とをそれぞれ突設し、且つ、これらの前後中空支持枠部の対向面間に遮音板の側端部を受け入れる挿入溝を設けていると共に上記後側中空支持枠部の突出端面に中空の押し縁材を重ね合わせてなり、この押し縁材の前面部に上記遮音板に設けている横長孔と同一間隔毎に複数個のボルト挿通孔を設けていると共にこれらの各ボルト挿通孔に連通するナット体を押部材内に固着している一方、上記両側縦枠材における前部中空支持枠部の突出端部の前後面に長さ方向に上記ボルト挿通孔と同一間隔毎にこれらのボルト挿通孔と対向するボルト挿通孔を設けていて、前部中空支持枠部の前面側から各ボルト挿通孔に上記遮音板に設けている横長孔の短径寸法よりも小径のボルトを挿入し、該ボルトを上記挿入溝内に挿入された遮音板の横長孔に挿通させて上記押し部材内のナット体に螺合させ且つこのボルトの先端を押し縁材の内面に当接させて遮音板の両側端部を両側縦枠材に板面方向に移動可能に取り付けた構造としている。
【0008】
【作用】
遮音板はその上端部に複数個のボルト取付孔を設けていると共に、両側端部に横方向に長い長円形状又は楕円形状の横長孔を上下方向に一定間隔毎に設けてあり、その上端部を上記ボルト取付孔を通じてボルト・ナットにより矩形状枠における上側横枠材に固着すると共に両側端部を上記横長孔を通じて該横長孔の短径よりも小径のボルトにより両側縦枠材に緊締することなく板面方向に伸縮移動可能に取り付けているので、この遮音板は熱による伸長、収縮の大きい透光性樹脂よりなるにもかかわらず、上下左右方向への伸縮を許容して波打ち状に撓み変形することはない。
【0009】
また、遮音板は上記のように、その下端部を除く上端部と両側端部とを上側横枠材と両側縦枠材とに複数個のボルト・ナットによってそれぞれ取付けられているから、自動車がこの遮音パネルの遮音板に衝突しても、遮音板がボルト・ナットによって保持されて枠材から抜け出るのを阻止することができる。
【0010】
さらに、自動車が遮音板に衝突した際には、その衝撃力によって遮音板が衝撃を受けた個所に向かって屈曲変形しようとするが、その際、遮音板の両側端部はボルト・ナットによって緊締されることなく緩く締めつけられており、且つ、該ボルトの径よりもこのボルトを挿通させている横長孔の径を大径に形成していると共に、下端部はボルト・ナットにより固定されていないので、遮音板は衝撃力によって上記横長孔の孔壁がボルトに当接するまで容易に屈曲変形して衝撃力を緩衝することができる。
【0011】
また、このボルトを挿通させている孔が円形孔の場合には、遮音板の両側端部が衝撃を受けた個所に向かって引き寄せられて該円形孔がボルトに当接した時に、このボルト当接点における孔壁に対する接線方向が上記遮音板の引き寄せ方向、即ち、衝撃点とボルトの中心とを結ぶ線に対して常に直角となり、従って、遮音板がそれ以上、屈曲変形するのを強固に阻止された状態となってその時の孔壁とボルトとの衝撃力が強大となってその衝撃力で遮音板が割れ易くなるが、本発明においては、上記のように、ボルトを挿通させている孔は、その長径方向を遮音板の幅方向に向けている長円形状孔又は楕円形状孔からなる横長孔であるから、遮音板が衝撃力を受けた際にその衝撃力を受けた個所に向かって遮音板の両側端部が引き寄せられる方向に対して、即ち、衝撃点とボルトの中心とを結ぶ線に対してボルトが当接する孔壁部分は傾斜しており、従って、ボルトと孔壁とが当接した後においてもボルトが孔壁に圧接しながら横長孔の端部に向かって摺動し、その間に衝撃力を吸収、減衰させて遮音板が割れることなく優れた緩衝作用を発揮するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1において、遮音パネルAは、一定長さと厚みを有する上下横枠材1、2と両側縦枠材3、4とを矩形状に組み合わせて固定してなる矩形状枠に矩形状の遮音板5を張設してなるものであり、上下横枠材1、2及び両側縦枠材3、4はアルミニウム、又はアルミ合金製の中空フレーム材からなる一方、遮音板5は透光性と遮音性とを有する一定厚みのポリカーボネート樹脂板や耐衝撃アクリル樹脂板などから形成されている。
【0013】
この遮音板5の上端部には図2に示すように、幅方向に所定間隔毎に円形のボルト取付孔6、6・・・が設けられていると共に、両側端部には上下方向に所定間隔毎に長径方向を遮音板5の左右方向に向けている長円形状孔又は楕円形状孔からなる横長孔7、7・・・が設けられている。これらの横長孔7の短径寸法は、該横長孔7を通じて遮音板5を両側縦枠材3、4に取付けるための後述するボルト8A、8Bの径よりも大径に形成している。そして、横長孔7の長径寸法を短径寸法の1.2 〜2.0 倍となしている。例えば、このボルト8A、8Bの径が6mmであれば、該横長孔7の短径寸法を8mm、長径寸法を12mmに形成している。
【0014】
上記矩形状枠における両側縦枠材3、4は図3に示すように、横断面形状が対称な形状に形成されてあり、前後方向に一定幅を有する縦長帯板形状の外側板部3a、4aと、この外側板部3a、4aの対向側面、即ち、内側面の前後部に内側方に向かって突設している前側中空支持枠部3b、4b及び該前側中空支持枠部3b、4bよりも内側方への突出幅の短い後側中空支持枠部3c、4cと、これらの前後中空支持枠部3b、3cの前後対向面間及び前後中空支持枠部4b、4cの前後対向面間でそれぞれ形成されている遮音板5の側端部挿入溝3d、4dと、上記前側中空支持枠部3b、4bからこれらの前側中空支持枠部3b、4bの前面と面一となるように外側方に向かって突設している一定幅を有するボルト固定用板部3e、4eと、内側方への突出幅の短い上記後側中空支持枠部3c、4cの突出端面、即ち、内側端面に全長に亘って重ね合わされ、固定されている中空の押し縁材3f、4fとから形成されている。
【0015】
そして、このように後側中空支持枠部3c、4cの突出端面に押し縁材3f、4fをそれぞれ重ね合わせて固定した際の突出幅(突出高さ)は上記前側中空支持枠部3b、4bの突出幅(突出高さ)に略等しく形成されてあり、さらに、押し縁材3f、4fの前面部、即ち、前側中空支持枠部3b、4bの後面部と対向する面に、上記遮音板5の両側端部に設けている横長孔7、7・・・と同一間隔毎に複数個のボルト挿通孔31、41をそれぞれ設けていると共に、各ボルト挿通孔31、 41に連通させて押し縁材3f、4f内にナット体32、42を固着している。
【0016】
一方、上記前側中空支持枠部3b、4bの突出端部の前後面に長さ方向に上記ボルト挿通孔31、41と同一間隔毎にこれらのボルト挿通孔31、41と対向するボルト挿通孔33、43をそれぞれ設けてあり、前側中空支持枠部3b、4bの前面側から各ボルト挿通孔33、43にボルト8A、8Bを挿入し、該ボルト8A、8Bを上記挿入溝3d、4d内に挿入された遮音板5の側端部に設けている横長孔7を挿通させて上記押し縁材3f、4fのナット体32、42に螺合させることにより、遮音板5の両側端部を前側中空支持枠部3b、4bと押し縁材3f、4fとの対向面で該遮音板5が板面方向に伸縮移動できるように緩く挟持した状態で取付けている。
【0017】
このとき、ボルト8A、8Bの先端が押し縁材3f、4fの内面内側に当接し、それ以上ボルト8A、8Bが螺入しないようにすることで、遮音板側端部挿入溝3d、4dの隙間を保っている。そして、遮音板5が熱によって膨脹、収縮した時に、ボルト8A、8Bよりも大径の横長孔7の孔壁と該ボルト8A、8Bの外周面との間の隙間によってその膨脹、収縮代を吸収させるように形成している。
【0018】
また、両側縦枠材3、4における前側中空支持枠部3b、4bから外側方に向かって突設している上記一定幅を有するボルト固定用板部3e、4eには、その幅方向の中央部に、長さ方向に所定間隔毎にボルト取付孔9A、9Bを設けていると共に、これらのボルト固定用板部3e、4eの外側端に係止溝10A 、10B をそれぞれ設けてあり、さらに、両側縦枠材3、4の外側板部3a、4aの後端に、外側方に向かって小幅の突片部11A 、11B をそれぞれ突設している。そして、横断面L字状のカバー部材12A 、12B の前端縁に形成している係止片13A 、13B を上記係止溝10A 、10B にそれぞれ係止させると共にこのカバー部材12A 、12B の後面板部の内端を上記突片部11A 、11B の後面上に重ね合わせてビス14A 、14B により固定することにより、カバー部材12A 、12B によってボルト固定用板部3e、4eの後面をそれぞれ全面的に被覆し、上記ボルト取付孔9A、9Bを通じて支柱B、Bに両側縦枠材3、4のボルト固定用板部3e、4eを固着するボルト15A 、15B を隠蔽するように構成している。
【0019】
一方、上記両側縦枠材3、4と共に遮音パネルAの矩形状枠を形成している上記上下横枠材1、2においては、図4に示すように、遮音板5の上下端部の前面をそれぞれ受止する壁面部1A、2Aを形成していると共に、遮音板5の上下端部の後面に当てがって該遮音板5の上下端部を上記壁面部1A、2Aと共に保持する中空押し縁材16A 、16B をそれぞれ設けてあり、これらの上下押し縁材16A 、16B をボルト17A 、17B によって上下横枠材1、2の後部にそれぞれ取り外し可能に固着している。さらに上側横枠材1においては、その中空押し縁材16A の前面に長さ方向(遮音板5の幅方向)に一定間隔毎に複数個のボルト挿通孔18を設けていると共にこれらの各ボルト挿通孔18に連通させて該押し縁材16A 内にナット体19を固着している。
【0020】
また、遮音板5の上端部に該遮音板5の幅方向に一定間隔毎にボルト挿通孔6を設けて各ボルト挿通孔6を通じてボルト21を挿通し、その先端部を上記ナット体19に螺締することによって遮音板5の上端部をこれらの複数個のボルト21によって押し縁材16A を介し、上側横枠材1に固着している。遮音板5の下端部は、下側横枠材2の壁面部2Aと中空押し縁材16B により挟持されているだけであり、ボルト挿通孔は開設されていない。
【0021】
遮音板5は上下横枠材1、2と両側縦枠材3、4とで形成された矩形状枠に張設される前に、予め、該遮音板5の上端部後面に上記押し縁材16A を複数個のボルト21によって上記のように装着、固定しておき、しかるのち、遮音板5の前面上下端部を上下横枠材1、2の壁面部1A、2Aに当てがうと共に前面両側端部を両側縦枠材3、4の対向面に形成している挿入溝3d、4dにそれぞれ挿入させた状態にし、上下横枠材1、2側においては上下押し縁材16A 、16B をボルト17A 、17B によって上下横枠材1、2の後部下面に固着する。
【0022】
一方、両側縦枠材3、4側においては、押し縁材3f、4fをそれぞれ遮音板5の両側端部の後面に載置し、且つこれらの押し縁材3f、4fの外側端面を両側縦枠材3、4の後側中空支持部3c、4cの内側面に接した状態にして、例えば、押し縁材3f、4fの内側よりボルトを挿通、螺合して後側中空支持部3c、4cに固定する。そして、該押し縁材3f、4fに設けている各ボルト挿通孔31、41を遮音板5の両側端部に設けている各横長孔7と前側中空支持部3b、4bに設けているボルト挿通孔33、43とにそれぞれ同一中心線上で連通させ、しかるのち、前側中空支持部3b、4bの前面側から各ボルト挿通孔33、43を通じてボルト8A、8Bを挿通し、これらのボルト8A、8Bの先端部を押し縁材3f、4f内に固着しているナット体32、42に螺合することによって、遮音板5の両側端部を前側中空支持部3b、4bと押し縁材3f、4fとで挟持させて両側縦枠材3、4に固定させる。この際、前側中空支持部3b、4bと押し縁材3f、4fとによる遮音板5の挟持は、該遮音板5の熱伸縮を妨げないように軽く接した状態ないしは僅かな隙間を存した挟持状態にしている。なお、両側縦枠材3、4の上端開口部は、図1に示すように取り外し可能なキャップ体22によって密閉している。
【0023】
このように構成した遮音パネルAを、高速道路端等に沿って一定間隔毎に立設しているH形鋼からなる支柱B、B・・・における隣接する支柱B、B間に施工するには、遮音パネルAの両側ボルト固定用板部3e、4eを被覆しているカバー部材12A 、12B を取り外した状態にしてその両側ボルト固定用板部3e、4eを支柱B、Bにおけるフランジ部B1、B1間上に架設し、これらのボルト固定用板部3e、4eに設けているボルト取付孔9A、9Bを上記フランジ部B1、B1に予め長さ方向に該ボルト取付孔9A、9Bと同一間隔毎に穿設しているボルト取付孔b、b・・にそれぞれ合致させ、ボルト取付孔9A、9B側からボルト15A 、15B を挿通させて支柱B側のボルト取付孔bから突出する該ボルト15A 、15B にナット23を螺合させることによって行われる。そして、支柱B、B間に該遮音パネルAを張設、施工したのち、両側ボルト固定用板部3e、4e上にカバー部材12A 、12B をそれぞれ取付けてボルト15A 、15B を隠蔽する。
【0024】
このような遮音パネルAの施工作業を、各隣接する支柱B、Bのフランジ部B1、B1間において、長さ方向に複数枚の遮音パネルAが積み重なるように順次行うことにより、遮音壁を構築するものである。
【0025】
こうして施工された遮音パネルAにおいて、遮音板5は熱による伸長、収縮の大きいポリカーボネート樹脂板からなるので、冬期と夏期とにおける温度差等によって伸縮するが、該遮音板5はその上端部のみを上側横枠材1の押し縁材16A
に複数個のボルト21によって強固に固定しているだけで、下端部はボルトによる固定などはなされてなく、両側端部は上述したように両側縦枠材3、4の前側中空支持部3b、4bと押し縁材3f、4fとによって挟持状態でボルト8A、8Bにより取付られていてもその挟持状態は、遮音板5の熱伸縮を妨げない程度のルーズな状態であり、且つ、ボルト8A、8Bを挿通させている横長孔7とこれらのボルト8A、8Bとの間には熱収縮を吸収可能な隙間を設けているので、遮音板5は長さ方向、幅方向に自由に伸縮することができる。
【0026】
また、遮音パネルAの遮音板5に自動車が衝突した場合、遮音板5は、まず、その両側端に設けている横長孔7、7・・・がボルト8A、8Bに当接するまで前方側、即ち、道路外に向かって屈曲変形し、この変形によって衝撃力を吸収、緩和すると共にボルト8A、8Bにより遮音板5が両側縦枠材3、4から抜け出るのを防止する。
【0027】
衝撃力により遮音板5が屈曲変形してその横長孔7、7をボルト8A、8Bに当接すると、衝撃力はこの横長孔7、7を介してボルト8A、8Bに作用することになる。この際、図5に示すように、自動車が遮音板5に衝突した点をOとすると、遮音板5の両側端部に設けている横長孔7側はこの衝突点Oに向かって引き寄せられながら遮音板5は屈曲変形することになる。そして、衝突点Oよりも上側に設けられている横長孔7に対してはボルト8A、8Bは該横長孔7の上側長辺における外側部の孔壁に当接し、衝突点Oよりも下側に設けられている横長孔7に対してはボルト8A、8Bは該横長孔7の下側長辺における外側部の孔壁に当接した状態となる。
【0028】
この状態において、遮音板5の屈曲変形によって横長孔7が衝突点Oに向かって引き寄せられる方向は、衝突点Oと該横長孔7に挿通しているボルト8A又は8Bの中心を結ぶ直線R方向であり、この直線Rが交差する上記横長孔7のボルト当接側の長辺部の孔壁における接線Lは、直線Rに対して傾斜している。
【0029】
そして、横長孔7の外側端部側においてはこの接線Lと上記直線Rとのなす角度が鈍角となるため、横長孔7が直線R方向に衝突点Oに向かって引き寄せられると、ボルト8A又は8Bが横長孔7の長辺側の孔壁に接しながら上記接線L上を横長孔7の外側端部に向かって相対的に移動し、従って、遮音板5はさらに屈曲、変形して衝撃力を吸収、緩和し、ボルト8A又は8Bが横長孔7の外側端部の湾曲孔壁面に達した時にそれ以上の移動が阻止され、衝撃力はこのボルト8A、8Bから両側縦枠材3、4を介して支柱B、Bに強固に受止されるものである。
【0030】
上記ように、遮音板5が移動するため、ボルト8A、8Bが横長孔7の孔壁に当接するまでに動く距離が短く、孔壁へ加わる衝撃が大きくならず、その後も滑りながら移動し、右端にて受け止められる際にも、それ程大きな衝撃力が加わらず、横長孔7に亀裂が発生することがないのである。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の遮音パネルによれば、請求項1に記載したように、上下横枠材と両側縦枠材とによって形成された矩形状枠に透光性樹脂よりなる遮音板を張設してなる遮音パネルであって、遮音板はその下端部を除く上端部と両側端部とを上側横枠材と両側縦枠材とに複数個のボルト・ナットによってそれぞれ取付けられた構造を有し、この構造において、上側横枠材に対しては遮音板の上端部を上記ボルト・ナットにより固定している一方、遮音板の両側端部においては、その両側端部に横長孔を上下方向に一定間隔毎に設けられていてこの横長孔に該横長孔の短径寸法よりも小径のボルトを挿通してナットにより該遮音板の両側端部を両側縦枠材に板面方向に移動可能に緩く取り付けているので、遮音板の上下左右方向への伸縮を許容して遮音板が波打ち状に撓み変形したり、亀裂等が発生するのを防止することができる。
【0032】
さらに、上記のように、遮音板の両側端部が複数個のボルト・ナットによって矩形状枠の両側縦枠材に取付けられているから、この遮音パネルの遮音板に自動車等が衝突しても、その衝撃力によって遮音板が両側縦枠材から離脱するのを確実に防止することができる。
【0033】
遮音板の両側端部に設けている孔は、その長径方向を遮音板の幅方向に向けている長円形状孔又は楕円形状孔からなる横長孔であるから、遮音板が衝撃力を受けた際に該遮音板の両側端部がその衝撃力を受けた個所に向かって引き寄せられるが、その引き寄せられる方向に対してボルトが当接する孔壁部分は常に傾斜した状態となり、従って、ボルトと孔壁とが当接した後においてもボルトが孔壁に圧接しながら横長孔の端部に向かって摺動し、その間に衝撃力を吸収、減衰させて優れた緩衝作用を発揮することができると共に遮音板の割れを防止することができる。
【0034】
また、遮音パネルの上記両側縦枠材は、前後方向に一定幅を有する外側板部の内側面前後部に内側方に向かって一定の突出幅を有する前側中空支持枠部とこの前側中空支持枠部よりも突出幅が小さい後側中空支持枠部とをそれぞれ突設し、つ、これらの前後中空支持枠部の対向面間に遮音板の側端部を受け入れる挿入溝を設けているので、遮音板の両側端部を両側の挿入溝に挿入することによって、該遮音板を簡単且つ正確な位置に配置することができ、その上、上記後側中空支持枠部の突出端面に中空の押し縁材を重ね合わせてあり、この押し縁材の前面部に上記遮音板に設けている横長孔と同一間隔毎に複数個のボルト挿通孔を設けていると共にこれらの各ボルト挿通孔に連通するナット体を押部材内に固着している一方、上記両側縦枠材における前部中空支持枠部の突出端部の前後面に長さ方向に上記ボルト挿通孔と同一間隔毎にこれらのボルト挿通孔と対向するボルト挿通孔を設けていて、前部中空支持枠部の前面側から各ボルト挿通孔に上記遮音板に設けている横長孔の短径寸法よりも小径のボルトを挿入し、該ボルトを上記挿入溝内に挿入された遮音板の横長孔に挿通させて上記押し部材内のナット体に螺合させ且つこのボルトの先端を押し縁材の内面に当接させているので、挿入溝と遮音板との対向面間の隙間を保持した状態にして両側縦枠材に遮音板の両側端部を伸縮が可能な取付構造となるように容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遮音パネルを正面側から見た状態の簡略斜視図、
【図2】 遮音板の簡略斜視図、
【図3】 支柱間に取付けた状態の一部を省略した横断面図、
【図4】 遮音パネルの中間部を省略した中央縦断側面図、
【図5】 衝撃を受けた時の作用を説明するための遮音板の一部正面図。
【符号の説明】
1、2 上下横枠材
3、4 両側縦枠材
3a、4a 外側板部
3b、4b 前側中空支持枠部
3c、4c 後側中空支持枠部
3d、4d 挿入溝
3f、4f 押し縁材
5 遮音板
6 ボルト取付孔
7 横長孔
8A、8B ボルト

Claims (1)

  1. 上下横枠材と両側縦枠材とによって形成された矩形状枠に透光性樹脂よりなる遮音板を張設してなる遮音パネルであって、遮音板はその上端部に該上端部を上記上側横枠材にボルトによって固着させたボルト取付孔を幅方向に所定間隔毎に設けていると共に両側端部に横長孔を上下方向に一定間隔毎に設けている一方、両側縦枠材は、前後方向に一定幅を有する外側板部の内側面前後部に内側方に向かって一定の突出幅を有する前側中空支持枠部とこの前側中空支持枠部よりも突出幅が小さい後側中空支持枠部とをそれぞれ突設し、且つ、これらの前後中空支持枠部の対向面間に遮音板の側端部を受け入れる挿入溝を設けていると共に上記後側中空支持枠部の突出端面に中空の押し縁材を重ね合わせてなり、この押し縁材の前面部に上記遮音板に設けている横長孔と同一間隔毎に複数個のボルト挿通孔を設けていると共にこれらの各ボルト挿通孔に連通するナット体を押部材内に固着している一方、上記両側縦枠材における前部中空支持枠部の突出端部の前後面に長さ方向に上記ボルト挿通孔と同一間隔毎にこれらのボルト挿通孔と対向するボルト挿通孔を設けていて、前部中空支持枠部の前面側から各ボルト挿通孔に上記遮音板に設けている横長孔の短径寸法よりも小径のボルトを挿入し、該ボルトを上記挿入溝内に挿入された遮音板の横長孔に挿通させて上記押し部材内のナット体に螺合させ且つこのボルトの先端を押し縁材の内面に当接させて遮音板の両側端部を両側縦枠材に板面方向に移動可能に取り付けていることを特徴とする遮音パネル。
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