JP4057750B2 - 脱硝制御方法およびその制御装置 - Google Patents

脱硝制御方法およびその制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一軸型・多軸型の複合プラント、一台以上のガスタービン発電設備をもつシンプルサイクルプラントその他NOxを発生する各種の発電プラントに設置される脱硝プロセスに利用される脱硝制御方法およびその制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の複合プラント、シンプルサイクルプラントその他の発電プラントは、燃料の種類に応じて、燃焼排ガス中に様々な有害物質が含まれており、大気に放出する前にその物質を除去する必要がある。その中でも、特にNOxの除去は非常に重要な技術的課題となっている。
【0003】
NOxを取り除く最も一般的な方法は、触媒に気化したアンモニアを吹きかけてアンモニアを活性化し、NOxと反応させて無害な窒素ガスと水蒸気とに分解させる方法である。このNOxを分解させる反応を脱硝反応と言い、この脱硝反応を実現するプロセスを脱硝プロセスと呼んでいる。
【0004】
この脱硝プロセスには次のような特徴をもっている。
【0005】
(1) アンモニアの注入量を増加させると、残存するNOx量は減少する。
【0006】
(2) アンモニアを多量に注入しても、NOxを100%取り除くことはできないこと。
【0007】
(3) アンモニアと触媒・NOxとの脱硝反応は化学反応であり、排気ガスの温度・流量・圧力やアンモニア・NOxの濃度等の変動により反応の特性が変化する。つまり、非線形性が非常に強い反応系であること。
【0008】
(4) 脱硝触媒部の入・出口側NOx濃度は、常時測定されているか、或いは推定値が計算されている。測定の場合には、検出部のハードウエア上の制約から、非常に大きな無駄時間が発生する(数十秒程度)。
【0009】
一方、以上のような特徴とは別に、発電所から排出されるNOxについて厳しい制約が存在する。
【0010】
すなわち、発電所から排出されるNOxは、地方自治体などにより様々な種類の制約値が課せられているが、大別すると、複数のNOx発生源ないしは複数の脱硝プロセスに対して課される制約と、個別NOx発生源ないしは脱硝プロセスに対して課される規制とに分けられる。
【0011】
以下、複数のNOx発生源ないしは複数の脱硝プロセスをグループと総称し、単独のNOx発生源ないしは脱硝プロセスを個別プロセスと総称する。
【0012】
グループから排出されるNOxの制約は、グループ全体の総流量あるいは総合的な濃度の制約値となるが、それは瞬間的な流量(瞬時値)であったり、ある一定時間の流量平均値(移動時間平均値)であったりする。
【0013】
また、個別NOx発生源に対する規制は、各NOx発生源ごとの流量、濃度、実測値、計算値の何れかであったり、あるいは瞬時値であったり、さらに移動時間平均値である場合もある。
【0014】
従って、脱硝プロセスは、以上のような特徴をもつ反面、要求される種々の規制に対処しなければならない。
【0015】
そこで、従来、以上のような状況を踏まえつつ次のような脱硝制御方法ないし脱硝制御装置が提案されている。
【0016】
発電所から排出されるNOxの制約には、グループ全体に対して課せられる制約と個別プロセスに対して課せられる規制とがあり、それぞれに対処するための制御がなされている。
【0017】
グループ全体に対する制御は、系列脱硝制御、グループ脱硝制御、ユニット脱硝制御、統括脱硝制御などと呼ばれている。なお、発電所全体を1つのグループと見なす場合もあり、発電所内に複数のグループが存在する場合もある。また、個別NOx発生源に対処するための制御が別に行われるのが一般的であり、この場合にはNOx制御、軸NOx制御、個別脱硝プロセス制御などと呼ばれている。
【0018】
ここで、取り上げる複数の脱硝プロセスに関する制御は、グループ全体に対する制御を説明するが、これは系列脱硝制御、統括脱硝制御およびユニット脱硝制御を含む概念である。
【0019】
従来、各ユニットごとの脱硝制御方法およびその制御装置に関しては、多数の提案がなされている。例えば特開平10−116105号公報、特開平10−15354号公報、特開平9−870号公報、特開平8−334214号公報、特開平8−281061号公報、特開平8−257371号公報などである。しかし、これらの方法及び装置は、系外へ排出されるNOx量を計測し、この計測値と予め定められる制約値に相当する設定値との偏差を算出し、その偏差を解消するために例えばPID制御器等のごとき補償器を用いて調節演算を行って操作信号を取出すフィードバック制御系と、発生したNOx量に応じて予測先行的にアンモニア注入量を変化させるフィードフォワード制御系とを組合せることにより、系外へ排出するNOx量を予め課せられている規制値を越えないように制御するものである。つまり、この種の先行技術は、一般的な制御手法を採用し、排ガス中に含まれるNOx量に応じてアンモニア注入流量を調整し、系外へ排出するNOx量の低減化を図るものである。
【0020】
なお、このフィードバック制御系とフィードフォワード制御系との組合せ方法にも種々の種類があり、またフィードバック制御部分、フィードフォワード制御部分は、一般的な予測制御、ファジィ制御であったり、シミュレータを用いたものなど、様々な制御の提案が出されている。
【0021】
次に、従来のグループ脱硝制御装置としては、第1の先行技術(特公昭63−62251号公報)、第2の先行技術(特開平6−257425号公報)および第3の先行技術(特開平7−163835号公報)等があり、これらは主としてガスタービンを用いた発電プラントを対象とする。
【0022】
(1) 第1の先行技術によるグループ全体のNOx排出量制御について。
【0023】
このグループ脱硝制御装置は、一台のガスタービン発電機と一台ないし複数台の排熱回収ボイラ・蒸気タービンとで構成されている複合発電システム、または一台以上のガスタービン発電機からなるシンプルサイクルなどを備えた発電プラントに適用され、これら各システムを1ユニットと呼ぶことにする。
【0024】
複合発電プラントやガスタービンシンプルサイクルプラントは、数ユニットずつのグループ毎に取り扱われる場合が多い。例えば発電出力要求値や有害ガスの排出量規制値などは1グループ当りの数値が問題となる。このグループを系列と呼ぶ。
【0025】
ところで、ガスタービン起動中および停止中は、排気ガス温度が脱硝反応プロセスに必要な温度よりも低いので、脱硝制御が不可能な状態にある。そこで、グループ内に起動・停止運転中のユニットが存在する場合、予めそれ以外のユニットのNOx排出量を減らしておけば、グループ全体のNOx排出量を規制値以下に抑えることが可能である。
【0026】
第1の先行技術は、起動・停止を考慮したグループ全体の脱硝制御を行うグループ脱硝制御装置であり、その構成は図8に示す通りである。
【0027】
この制御装置100は、ガスタービン起動時および停止時の制御不能なNOx排出量パターンをそれぞれ記憶するパターン保持器101,102が設けられ、さらにグループ全体のNOx排出量設定値(規制値)が入力され、設定値演算器103は、NOx排出量検出値であるプロセス量(瞬時値,移動時間平均排出量)とグループ全体に対して課せられるNOx排出量規制値である設定値とを比較し、その偏差に基づいてプロセス量が規制値を越えないような操作信号を求めた後、運転軸数信号nのもとに当該操作信号を除算し、各ユニットのNOx排出量設定値を取得する構成である。
【0028】
このとき、設定値演算器103は、起動・停止スケジュール信号から起動・停止と判断されたとき、パターン保持器101,102のパターンに基づき、グループ全体NOx排出量設定値から起動・停止中のNO制御不可能なユニットから排出されるNOx量を減算し、その減算結果のNOx量を、残りの制御可能なユニットに対して均等にNOx排出量設定値として送出する。
【0029】
なお、ガスタービンの起動・停止のスケジュールは事前に計算され決定されていることが多い。そのため予めユニット毎のスケジュールを把握しておき、現在運転中のユニットのNOx排出量を減らすのに必要な時間Tだけ遡って、制御不能となるNOx量に基づいて計算しNOx排出量設定値を得るようにすれば、スケジュール通りの運転が可能となる。
【0030】
(2) 第2の先行技術によるグループ全体のNOx排出量制御について。
【0031】
第1の先行技術では時間Tの算出方法が決められていないが、第2の先行技術では、脱硝プロセスの動特性モデルを用いることにより、将来の状態を予測計算し、その計算結果に従って時間Tを決定する技術である。
【0032】
(3) 第3の先行技術によるグループ全体のNOx排出量制御について。
【0033】
このグループ脱硝制御装置は、図9に示すようにNOx移動時間平均排出量制御部111、NOx瞬間排出量制御部112、アンモニア瞬間排出量制御部113およびアンモニア移動時間平均排出量制御部114を設け、そのうちNOx移動時間平均排出量制御部111には第1軸および第2軸NOx瞬間排出量測定値115,116の加算出力117と系列NOx移動時間平均排出量規制値118とが導入され、NOx瞬間排出量制御部112には同じく加算出力117と系列NOx瞬間排出量規制値119とが導入され、さらにアンモニア瞬間排出量制御部113には第1軸および第2軸アンモニア瞬間排出量測定値120,121の加算出力122と系列アンモニア瞬間排出量規制値123とが導入され、またアンモニア移動時間平均排出量制御部114には前記加算出力122と系列アンモニア移動時間平均排出量規制値124とが導入され、これら各制御部111〜114から移動時間平均および瞬間値によるNOx設定値125〜128を取出す。なお、各制御部111〜114には濃度,流量が導入される場合もある。
【0034】
そして、これら設定値125〜128はそれぞれ低位優先器130および高位優先器131,132で比較することにより、各設定値のうち一番厳しい値を選択し、運転軸数信号nのもとに、各軸,ひいては各ユニットのNOx排出量設定値を取出す構成である。
【0035】
従って、このグループ脱硝制御装置は、昨今の環境に対する関心の高まりとともにNOx関係の規制が多様化されてきているが、これに対処すべく複数の制約条件として、NOxの瞬時値、移動時間平均値、濃度、流量などが用いられ、また未反応のまま系外へ放出されるアンモニア分についても同様に瞬時値、移動時間平均値、濃度、流量などをそれぞれ管理・規制する制御技術である。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような先行技術のうち、例えば第1,第3の先行技術は、グループ内の各脱硝プロセスおよびNOx発生源の特性が等しいことを前提としているが、実際上,各脱硝プロセスやNOx発生源の特性はそれぞれ異なるのが一般的である。
【0037】
また、発電プラントにおける運用面の多様化に伴い、個別ユニットを別な運転条件で運転する必要性が増えているが、その場合には同じグループ内の各脱硝プロセスを同じ条件で運転する必然性もない。
【0038】
さらに、第2の先行技術は、時間的な応答変化について考察されているものの、時間的な応答変化が落ち着いている状態や定常状態等については検討されていない。
【0039】
従って、これら脱硝制御装置は、個別脱硝プロセスの特性が異なる場合や個別脱硝プロセスに入ってくるNOx流量ないし濃度が異なる場合、系外へ排出されるNOxが最小になり、かつ、アンモニア消費量が最小になる点は、従来技術により決定される等配分点でなくなる。このことは、グループ全体から考えたとき、過剰なアンモニアが消費されていることを意味し、経済的に大きな損失となる。
【0040】
しかも、アンモニアの注入に際し、余分となったアンモニア分がNOxに反応せずに大気中に放出されるので、環境の面からも好ましくない。
【0041】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、脱硝プロセスの特性を有効に活用しつつ、グループ全体でアンモニア消費量を最小化し、かつ、グループ全体に課される制約を満たす制御を実現する脱硝制御方法およびその制御装置を提供することにある。
【0042】
また、本発明の他の目的は、脱硝プロセス・ユニットを含むプラントの運転データを用いて、オフラインまたはオンラインで脱硝プロセスの特性を求める脱硝制御装置を提供することにある。
【0043】
さらに、本発明の他の目的は、脱硝プロセスの特性を容易に確認可能とする脱硝制御装置を提供することにある。
【0045】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明に係る脱硝制御方法は、複数の脱硝プロセスと各脱硝プロセスを制御する各制御装置とを有するグループ脱硝プロセスと、各脱硝プロセスの制御装置に制御用設定値を設定するグループ脱硝制御装置とを用いた脱硝制御方法において、
前記グループ脱硝制御装置は、少なくとも各脱硝プロセスの特性データ、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを設定するパラメータ・条件設定ステップと、この設定ステップによって設定される前記特性データから得られる各脱硝プロセスのアンモニア使用量の2乗の和を評価関数、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを制約条件として用い、この制約条件を満たしつつ前記評価関数を最小化する最適化演算処理を実行し、前記各脱硝プロセスのNOx配分率を決定する各脱硝プロセスNOx配分処理ステップと、このNOx配分処理ステップによって得られるNOx配分率に基づいて前記各脱硝プロセスの制御用設定値を演算し、各脱硝プロセスの制御装置に設定する設定値計算処理ステップとを有し、
各脱硝プロセスの制御装置がそれぞれ設定された制御用設定値に基づいて対応する脱硝プロセスを、評価関数を最小化する各アンモニア使用量となるようにアンモニア注入量を調節する運転制御を行う脱硝制御方法である。
【0046】
この発明は、以上のような手段を講じたことにより、グループ脱硝プロセスから排出されるNOx量を適切に保持しつつアンモニア消費量を最小化することが可能である。
【0047】
(2) 前記各脱硝プロセスNOx配分処理ステップとしては、NOx発生量に関する計算開始条件値を設定した後、各脱硝プロセスごとにアンモニア使用量を増加させたときのNOx減少変化分を求め、このNOx減少変化分の大きさに応じてNOx配分率を修正し、この各脱硝プロセスの修正NOx発生量の総和が前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データより小さいとき、それらの修正NOx発生量に対応するNOx配分率を出力するようにすれば、各脱硝プロセスの能力を考慮しつつアンモニア消費量を最小化しつつNOxを抑制した状態で運転することが可能となる。
【0048】
(3) さらに、本発明に係る脱硝制御装置は、前記(1)項および(2)項の脱硝制御方法を実施する手段を備えた構成とすることもできる。
【0049】
例えば前記(1)項の脱硝制御方法を実施する脱硝制御装置としては、少なくとも各脱硝プロセスの特性データ、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを設定するパラメータ・条件設定手段と、この設定手段によって設定される前記特性データから得られる各脱硝プロセスのアンモニア使用量の2乗の和を評価関数、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを制約条件として用い、この制約条件を満たしつつ前記評価関数を最小化する最適化演算処理を実行し、前記各脱硝プロセスのNOx配分率を決定する各脱硝プロセスNOx配分処理手段と、このNOx配分処理手段によって得られるNOx配分率に基づいて前記各脱硝プロセスの制御用設定値を演算し、各脱硝プロセスの制御装置に設定する設定値計算処理手段とを備えた構成とする。
【0050】
(4) さらに、本発明に係る脱硝制御装置は、前記(3)項に記載する構成要素に新たに、各脱硝プロセスを含むプラントの運転データ、運転開始前または運転中の運転データから求められる前記各脱硝プロセスの特性データ等を記憶するデータ記憶手段と、このデータ記憶手段に記憶される特性データの中から同一の脱硝プロセスの過去特性データ及び前記運転データから得られる今回特性データとを読み出して比較表示し、或いは複数の脱硝プロセスの特性データを読み出して比較表示し、或いは種々の異なる運転データであるパラメータを考慮して得られた脱硝プロセスの特性データを読み出して二次元または三次元にて比較表示する表示制御手段とを設けた構成とすることにより、脱硝プロセスの特性状態を一目瞭然に把握でき、監視,制御、さらに経済性の観点から有効なものとなる。
【0051】
さらに、予め運転データの中の少なくともアンモニア注入量とNOx発生量の第1のモル比とNOx排出量と前記NOx発生量との第2のモル比との関係の近似式データを記憶し、入力される第1または第2のモル比に基づき、前記近似式により前記第2または第1のモル比を順次計算しテーブル化し、そのテーブル内容を表示してもよい。
【0052】
なお、前記各脱硝プロセスの特性データは、アンモニア注入量、NOx発生量およびNOx排出量以外に種々のプロセス量を用いて求めることができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱硝制御方法およびその制御装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0054】
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る脱硝制御方法の一実施の形態を説明する図である。
【0055】
この脱硝制御方法は、例えば複数のユニットにそれぞれ設置される各脱硝プロセスからなるグループ脱硝プロセスに適用するグループ脱硝制御であって、ここで言うグループ脱硝制御とは、前述したように系列脱硝制御、ユニット脱硝制御、統括脱硝制御、さらには単独のNOx発生源であるにも拘らず、複数に分岐される煙道にそれぞれ脱硝プロセスが設置されるプラントのユニット脱硝制御などを含む概念である。
【0056】
このグループ脱硝制御方法は、各個別脱硝プロセスに対応する軸制御装置に与える最適な設定値を演算し、得られた設定値を各軸制御装置に設定する方法であり、大きく分けると図1に示すように、個別脱硝プロセスに必要な特性及び条件などを設定するパラメータ・条件データ設定ステップS1と、これらパラメータおよび条件設定データのもとに最適化処理によってグループから排出されるNOx量を適切な状態に抑制し、かつ、アンモニア使用量を最小化するために、各脱硝プロセスに対するNOx配分率を求める各脱硝プロセスNOx配分処理ステップS2と、各脱硝プロセスに対するNOx配分率に基づいて、各個別脱硝プロセスに対する設定値を計算処理する設定値計算処理ステップS3とからなり、以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0057】
A. パラメータ・条件データ設定ステップS1について
このデータ設定ステップS1は個別脱硝プロセスの特性、条件などを設定する処理ステップであって、個別脱硝プロセスの特性は図1に示す如く例えばNOx排出量NOxoutとNOx発生量NOxinとのモル比x=NOxout/NOxinを横軸とし、アンモニア注入量NH3inとNOx発生量NOxinとのモル比y=NH3in/NOxinを縦軸とする,いわゆる各軸脱硝反応特性が設定される。モル比に代えて濃度比または体積流量比であってもよい。
【0058】
また、同図においてf1(x)〜fn(x)は各脱硝プロセスの特性を表し、nは個別脱硝プロセスの数であって、1≦i≦nの関係にある。その他、グループ全体のNOx排出量設定値r、ユニット・脱硝プロセスを含むプラントの運転データであるプロセス量(NOx発生量,排ガス流量その他多くの物理量を含む)および追加制約条件などが入力設定される。なお、グループ全体のNOx排出量設定値rは規制値に相当するものであって、規制の種類は特に限定されるものでなく、例えば流量,濃度,実測値,計算値,或いは瞬時値,移動時間平均値の何れであっても、有効性を損なわない限りにおいて全て包括する概念である。また、追加制約条件としては例えば各ユニットから排出されるNOx量の最小値などが挙げられる。
【0059】
従って、パラメータ・条件データ設定ステップS1は、以上述べたように最適化処理に必要な各種のデータを設定し、各脱硝プロセスNOx配分処理ステップS2に入力する。
【0060】
B. 各脱硝プロセスNOx配分処理ステップS2について
この各脱硝プロセスNOx配分処理ステップS2は、パラメータ・条件データ設定ステップS1から与えられるパラメータ,条件データなどを用いて、n個のユニット、ひいてはn個の脱硝プロセスに対するNOxの配分を決定する処理であって、次のような最適化処理を行う。
【0061】
以下、機能を分かりやすく説明するために、例えば各ユニットから発生するNOx発生量が同一であり、各脱硝プロセスの特性が異なる場合の例について説明する。
【0062】
b10.仮定
説明を簡単にするために、以下の仮定を満たすグループ脱硝プロセスの最適化処理の例を対象とする。
【0063】
b11:グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量に対する瞬時値の流量は制約条件として課せられている。
【0064】
b12:脱硝プロセスの特性は、図1に示すようにNOxのモル比とアンモニアのモル比のみによって決まること。
【0065】
b13:追加制約条件は、各ユニットから排出されるNOxの最小値oのみとする。つまり、各ユニットから排出されるNOx量oiは最小値oよりも大きくなくてはならないこと。このことは、o=0の場合にはどんなに多量のアンモニアを注入しても、NOx排出量は負にならないことを意味する。ここで、oiはi番目の脱硝プロセスから排出されるNOxの体積流量を意味する。
【0066】
b14:各ユニット・各脱硝プロセスを含むプラントのプロセス量は、例えばNOx発生量および排ガス流量であるとする。
【0067】
b15:各脱硝プロセスの配分計算は、非線形計画法を用いる。
【0068】
b16:配分処理結果、最適なアンモニアとNOxとのモル比が得られるものとする。
【0069】
b17:各ユニットの脱硝制御では、排出されるNOx流量設定値が必要であるとする。
【0070】
b18:脱硝プロセスn=3とする。
【0071】
b20.物理的な関係式
今、i番目の脱硝プロセスで使用するアンモニアの体積流量hi、i番目の脱硝プロセスの触媒入口NOx体積流量gi、i番目の脱硝プロセスから排出されるNOxの体積流量oi、i番目の脱硝プロセスの特性xi,yiとすると、これらの間には次のような関係が成立するものとする。
【0072】
yi=oi/gi ……(1)
∴oi=yi*gi ……(1a)
xi=hi/gi ……(2)
∴hi=xi*gi ……(2a)
これとは別に、fi(x)=aioi2+bioi+cと前記(2)式とから、
∂fi/∂hi=2(a/gi2)*oi+bi/gi ……(3)
なる式が得られる。
【0073】
b30.最適化問題の定式化
今、最適化の指標である評価関数Jは、
J=h12+h22+h32 ……(4)
なる式で表わす。これは3個の脱硝プロセスに対するアンモニア使用量の2乗の和をもって表わされる。
【0074】
一方、制約条件は、グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量設定値(規制値)がr、各脱硝プロセス1〜3から排出されるNOxの体積流量がo1,o2,o3であるので、
o1+o2+o3≦r ……(5)
の関係になければならない。但し、
o1≧0、o2≧0、o3≧0 ……(5a)
である必要がある。すなわち、グループ脱硝制御の目的は、制約条件を満たしつつ評価関数を最小化する排出NOxの体積流量o1,o2,o3を決定することにある。
【0075】
b40.最適な配分を得るアルゴリズム
b41:このアルゴリズムの実行に際し、前記(5)式を満足させるための最初の値(計算開始条件値)o1(0),o2(0),o3(0)を適当に定めて設定する必要がある。ここでは、制約条件に基づき、o1(0)=o2(0)=o3(0)=(1/3)rを計算開始条件値として設定する。
【0076】
b42:Jの∂J/∂o(変数に対する傾きないし変化分)を計算する。つまり、ここでは、以上のような計算開始条件値のもとに、各脱硝プロセスに対してアンモニアの注入量を少しずつ増加させたときの各軸ないし各脱硝プロセスのNOx発生量がどの程度減少したかを表わす変化分を演算するものであって、下記する(6)式によって計算する。
【0077】
【数1】
Figure 0004057750
【0078】
b43:各脱硝プロセスのNOx流量oiの更新
ここでは、計算開始条件値のもとにアンモニアを少しずつ増加注入させたときの各脱硝プロセスのNOx減少傾きないし減少変化分を求めた後、このNOx減少変化分の大きい脱硝プロセスには大きなNOx配分率、NOx減少変化分の小さい脱硝プロセスには小さいNOx配分率を求めて、下式に従って次回の修正NOx流量∧(ハット)oi(1)(但し、i=1,2,3)を求める。
【0079】
【数2】
Figure 0004057750
【0080】
すなわち、この(7a)式、(7b)式、(7c)式は、制約条件(5)式及び(5a)式を満たすように、最小値との比較を行って∧(ハット)oi(1)を求めている。ここで、αは予め決めた値ないし直線探索アルゴリズムにより決定される係数である。
【0081】
b44:制約条件の確認と条件不可時の処理
以上のような(7a)式〜(7c)式によって修正された∧(ハット)oi(1)が制約条件(5)式を満たしているかどうかを確認する。ここで、制約条件を満たしている場合にはその修正値であるNOx流量oi(1)であるNOx配分率を採用し、満たしていない場合には下式により∧(ハット)oi(1)を修正しNOx流量oi(1)を求める。
【0082】
【数3】
Figure 0004057750
【0083】
この(8a)式〜(8c)式から得られる値は各脱硝プロセスに対して排出してもよいNOx量o1(1)〜o3(1)であって、NOx配分率w1,w2、w3に相当する値となる。
【0084】
b45:収束判定
さらに、計算終了条件を満足したか否かを判定し、満足していない場合には前記b42〜b44の処理を繰り返し行う。計算終了条件としては、予め定めた計算回数を越えた場合、oi(k+1)とoi(k)との大きさの差が予め定めた値よりも小さくなった場合、oi(k+1)とoi(k)とを使ってJの値を計算し、その差が予め定めた値よりも小さくなった場合などが挙げられる。なお、何れの条件にも該当しない場合は、oi(1)を初期値としてd43に戻り、d45まで繰り返し、各脱硝プロセスのNOx配分率を求める。kは処理回数を意味する。なお、図1においてxaiはi番目の脱硝プロセスに課される制約値である。
【0085】
C. 設定値計算処理ステップS3について
以上のようにして各脱硝プロセスのNOx配分率w1〜w3=o1〜o3(o1〜o3:体積流量)を求めた後、各脱硝プロセスの制御装置15の設定値を求めるが、これらの設定値sv1,sv2,sv3は各脱硝プロセスの制御装置15で何の設定値を必要とするかによって異なる。以下、異なる2つの方法について述べる。
【0086】
イ.各脱硝プロセスの制御装置15で使用しているNOx制御設定値が体積流量に関するものであれば、o1〜o3をそのままsv1〜sv3として使用する。
【0087】
ロ.各脱硝プロセスの制御装置15で使用しているNOx制御設定値がモル比=(アンモニア注入量/NOx発生量)→sv1〜sv3である時、各脱硝プロセスの特性関数を用いてo1〜o3→sv1〜sv3を計算する。
【0088】
その他、各脱硝プロセスに対するNOx配分率w1,w2,w3と対応するユニット・脱硝プロセスを含むプラントのプロセス量とから、個別脱硝プロセスを制御する軸制御装置の設定値sv1〜sv3を計算処理し、該当軸制御装置に設定する。
【0089】
従って、以上のような実施の形態によれば、アンモニア注入量を少しずつ増やしながら、制約条件を満たしつつ各脱硝プロセスのNOx減少変化分を計算し、減少変化分が大きい脱硝プロセスほどNOx配分率を大きくし、このNOx配分率に従って脱硝プロセスを制御する制御装置のアンモニア注入設定値を決定するので、図2(a)に示すようにNOx量oから決まる各脱硝プロセスのNOx最小発生量x1,x2,x3としつつ、最小のアンモニア注入量ないし使用量y1,y2,y3を用いて、各脱硝プロセスを制御できる。
【0090】
これに対し、図8に示す脱硝制御装置では、図2(b)に示すような脱硝制御がなされている。すなわち、従来のNOx排出流量設定値の等配分による制御について述べる。従来の制御方法では、個別脱硝プロセスの特性を考慮せずに各軸に同じ設定値o10=o20=o30=(1/3)*o0=(1/3)*rを出力する。このとき、o0=rであり、グループ全体のNOx排出量は課せられた値を満たしている。この時のx10,x20,x30は、g1=g2=g3=gと仮定すると、
x10=o10/g=o0/3g ……(9a)
x20=o20/g=o0/3g ……(9b)
x30=o30/g=o0/3g ……(9c)
から、
∴x10=x20=x30 ……(9d)
が得られる。
【0091】
このときの全体のアンモニア使用量y0は、
y0=g*(y10+y20+y30) ……(10)
である。
【0092】
本発明では、NOx総排出量oは、
o=g*(x1+x2+x3)=r ……(11)
であって、例えば従来と同じであるにも拘らず、全体のアンモニア使用量yは、
y=g*(y1+y2+y3) ……(12)
であり、この例では明らかにy〈y0の関係となる。すなわち、本発明による方法は、より少ないアンモニア消費量を用いてNOxの低減化を達成できることを意味する。
【0093】
次に、この脱硝制御方法の他の実施形態例について説明する。
【0094】
この他の実施の形態は、上記実施の形態とは逆に個別発生源に応じてNOx発生量が異なるが、脱硝プロセスの特性が同一となる場合の例である。なお、ここでは、特に各ユニットNOx配分処理ステップS2のみについて説明する。
【0095】
b10:仮定
説明を簡単に行うためのb11〜b18は前記B項で述べたと同等の仮定を満たす脱硝プロセスについての最適化の例である。
【0096】
b20:物理的な関係式
前記B項で述べた前記(1)式〜(3)式の関係式が成立する。
【0097】
b30:最適化問題の定式化
前記B項で述べた通りであり、評価関数は(4)式、制約条件は前記(5)式及び(5a)式とする。
【0098】
b40:最適な配分率を得るアルゴリズム
b41:計算開始の条件値は前記B項で述べたのと同様である。
【0099】
b42:変化分の計算,つまりJの∂J/∂o(変数に対する傾き)の計算は前記B項で述べたのと同じ処理である。この実施の形態では、個別脱硝プロセスの特性が等しいと仮定しているので、関数全体では、f1=f2=f3となる。
【0100】
しかし、一般的には、x1(k),x2(k),x3(k)は等しくないので、f1{x1(k)}≠f2{x2(k)}≠f3{x3(k)}であるので、前記B項のb42で述べた計算式をそのまま使用する。
【0101】
b43〜b45についても前記B項で述べたのと同じ処理となる。
【0102】
従って、この実施の形態によれば、前述と同様に最適化処理により、アンモニアを少しずつ増やしたときに制約条件を満たしつつNOx変化分の大きな脱硝プロセスに大きなNOx配分率を設定することにより、図3(a)に示すような制御を行うことが出来るのに対し、従来方法では、各脱硝プロセスに対してNOx排出流量設定値を等配分としたものであって、同図(b)に示すような脱硝制御となる。
【0103】
以下、効果を明らかにするために、具体的に数値をもって説明する。
【0104】
今、g1=100、g2=70、g3=50、r=20とする。本発明方法では、最適化処理により異なるxnの値を決める必要がある。例えば本例では、最適値は等モル比配分となるので、
x1=x2=x3=0.1が得られ、その結果、
o=g1x1+g2x2+g3x3
=(g1+g2+g3)x1
=220x1=20
となり、グループ全体のNOx排出量はr=20となる。このとき、f1=f2=f3により、全体のアンモニア使用量yは、
y=g1y1+g2y2+g3y3
=(g1+g2+g3)y1
=220*1.0=220である。
【0105】
これに対し、従来方法においては、個別脱硝プロセスの特性を考慮に入れずに各軸に同じ設定値としてr/3を出力する。このときのNOx総排出量o0は、g1=100、g2=70、g3=50、r=20とすると、
100x10=70x20=50x3=20/3
∴x10=0.0666
x20=0.0952
x30=0.1333
である。一方、全体のアンモニア使用量yoは、
y1=1.5、y2=1.05、y3=0.7から、
yo=g1y10+g2y20+g3y30
=100*1.5+70*1.05+50*0.7
=150+73.5+35
=258.5
となる。
【0106】
以上の例からも明らかなように、y〈yoの関係となり、本発明方法では、より少ないアンモニア消費量を用いて、NOxの低減化を達成できる。
【0107】
(第2の実施の形態)
図4は本発明に係る脱硝制御装置の一実施の形態を説明する構成図である。
【0108】
この実施の形態は、グループ脱硝プロセス10と、このグループ脱硝プロセス10を制御するための設定値を与えるためのグループ脱硝制御装置20とからなる。ここで、グループ脱硝制御とは、第1の実施の形態で述べたように、系列脱硝制御、ユニット脱硝制御、統括脱硝制御、さらには単独のNOx発生源に対して複数に分岐される煙道にそれぞれ脱硝プロセスが設置されているプラントのユニット脱硝制御などを含む概念である。
【0109】
このグループ脱硝プロセス10は、複合プラント、シンプルサイクルプラントその他NOxを発生する発電プラント等の複数のユニットと複数の個別脱硝プロセスとからなり、各ユニットにそれぞれ個別脱硝プロセスが設置されている。
【0110】
各ユニットの一例は、例えば燃焼器11、ガスタービン12、燃料の燃焼によって発生する排気ガスを導く排気ダクト13および排気ガスを大気に放出する煙突14その他必要な機器(図示せず)等によって構成されている。
【0111】
各個別脱硝プロセスは、グループ脱硝制御装置20から設定される設定値svi(i=1,2,…,n)のもとに所要の調節演算を実行し弁操作信号を取出す軸制御装置15、排気ダクト13内に設置されるアンモニア噴霧器16、この噴霧器16下流側に設置される脱硝触媒17、軸制御装置15からの弁操作信号を受けて弁開度が調整されて所要量のアンモニアを注入するアンモニア注入弁18a、この注入弁18aを介して注入されるアンモニアと空気ブロア18bから送り込まれてくる空気とを混合しアンモニア噴霧器16に供給する混合器19等によって構成され、このアンモニア噴霧器16から排気ダクト13内の脱硝触媒17に吹きかけることにより、排気ガス中のNOx発生量を低減する構成となっている。
【0112】
前記グループ脱硝制御装置20は、本発明の要部となる部分であって、個別脱硝プロセスに必要な特性及び条件などのデータを設定するパラメータ・条件データ設定手段21と、これらパラメータおよび条件設定データのもとに最適化処理によってグループ脱硝プロセス全体から排出されるNOx量を適切な状態に抑制し、かつ、アンモニア使用量を最小化するために、各個別脱硝プロセスに対するNOx配分率を求める各脱硝プロセスNOx配分処理手段22と、このNOx配分率に基づき、各個別脱硝プロセスの軸制御装置16に与える設定値を計算処理する設定値計算処理手段23とによって構成されている。
【0113】
次に、以上のような装置の動作について説明する。
【0114】
先ず、パラメータ・条件データ設定手段21は、第1の実施の形態におけるパラメータ・条件データ設定ステップS1で説明したように、各脱硝プロセスの特性f1(x),f2(x),…,fn(x)、グループ全体のNOx排出量設定値(規制値)rその他の条件データ等を設定し、各脱硝プロセスNOx配分処理手段22に入力する。
【0115】
この各脱硝プロセスNOx配分処理手段22は、CPUで構成され、予め定める図5に示すプログラムに従って所定の処理を実行する。先ず、最適化処理のための仮定や最適化問題の定式化は第1の実施の形態と同様であるとすれば、前記(5)式、(5a)式の制約条件を満たしつつ前記(4)式の評価関数Jを最小化するNOx排出量o1,o2,o3を決定する必要があるが、そのためには計算開始の点,つまり計算開始の条件値設定する(S11)。制約条件は、グループ全体のNOx排出量設定値(規制値)がr、各脱硝プロセス1〜3に対する排出NOxの体積流量がo1,o2,o3とすれば、o1+o2+o3≦rであるので、計算開始条件値は下式の値を設定することになる。
【0116】
o1(0)=o2(0)=o3(0)=(1/3)r
この状態においてアンモニア注入量を少しずつ増やしていき、各脱硝プロセスのNOx量がどの程度減少するかのNOx変化分を計算する(S12)。具体的には前記(6)式に基づいて演算を実行する。なお、ステップS12において変数に付けたkはk回目に得られた値(変数に対する傾き)であることを表わす。
【0117】
以上のようにしてNOx変化分に対し、制約条件である前記(5)式、(5a)式を満たすように最小値と比較を行いつつ、前記(7a)式〜(7c)式に基づき、各脱硝プロセスの修正NOx量∧(ハット)oi(1)(i=1,2,3)を計算する(S13)。この修正NOx量∧(ハット)oi(1)は修正されたNOx配分率に相当するものである。
【0118】
しかる後、各脱硝プロセスの修正NOx量∧(ハット)oi(1)を加算し、その総和がグループ全体のNOx排出量設定値rを越えているか否かを判断し(S14)、越えていない場合にはその修正NOx量をそのまま採用する(S15)。ステップS14において修正NOx量の総和がNOx排出量設定値rを越えている場合には越えないような処理を実行する(S16)(前記(8a)式〜(8c)式参照)。
【0119】
以上のようにして修正NOx量の総和が制約条件を満たすような処理を行った後、計算終了条件を満足したか否かを判断し(S17)。ここで、計算終了条件を満足していない場合、kを+1インクリメントした後(S18)、ステップS12に戻り、同様の処理を繰り返し実行し、各脱硝プロセスに対するアンモニア使用量が少なく、かつ、NOx排出量を低減化できる設定値sv1,sv2,sv3を見つけ出し、設定値計算処理手段23に送出する。
【0120】
なお、設定値計算処理手段23は第1の実施の形態で説明した設定値計算処理ステップS3と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0121】
従って、以上のような実施の形態によれば、アンモニア注入量を少しずつ増やしながら、制約条件を満たしつつ各脱硝プロセスのNOx減少変化分を計算し、減少変化分が大きい脱硝プロセスほどNOx配分率を大きくし、このNOx配分率に従って脱硝プロセスを制御する制御装置のアンモニア注入設定値を決定するので、図2(a)及び図3(a)に示すような脱硝制御を実現できる。すなわち、本発明装置は、個別ユニットのNOx発生量及び各脱硝プロセスの特性を用いて最適化演算を行うことにより、各脱硝プロセスのNOx排出量設定値を算出でき、従来の制御装置に比べて、例えば同じ性能を維持しつつアンモニア消費量を格段に少なくでき、環境的および経済的にも優れた脱硝制御装置を実現できる。
【0122】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、予め各脱硝プロセスの特性f1(x)〜fn(x)を設定することを前提としている。その理由は、例えば発電プラントの排煙脱硝プロセスの特性は、通常その運転開始前に確認することが要求されているので、その値を用いることが現実的とされているためである。
【0123】
しかし、脱硝プロセスの特性は、時間が経過するに伴って変化することが経験的に知られている。その結果、運転開始から時間が経つと、)既に得られている特性と実際の特性との間に差異が生じる。このことは、実際の特性とは異なる過去の特性を用いて最適化処理を行ったことになり、ひいては最適な運転とは言えなくなり、本制御方法及び制御装置のメリットがなくなる。
【0124】
そこで、本実施の形態は、経時的な変化に対応させるために、ユニット・脱硝プロセスを含むプラントの運転データから脱硝プロセスの特性を取得する機能を設けた構成例である。
【0125】
以下、特性の取得手順を説明するが、当該取得手順の説明はi軸の個別脱硝プロセスの適用例であり、グループ全体の場合には、以下の取得手順が第1軸〜第n軸に対して個別に実施することになる。
【0126】
この実施の形態における各脱硝プロセスの特性は、第1の実施の形態と同様に、アンモニア注入量とNOx発生量とのモル比をy、NOx排出量とNOx発生量とのモル比をxとすると、yとxの関係は次式のような多項式で近似できる。
【0127】
y=a0+a1x+a2x2+…+amxm …(21)
先ず、運転データからy,xの組を収集する。今、全部でn組の収集データ(x,y)を得たものとすると、任意のk番目の収集データに関し前記(21)式の関係が成立すると仮定したとき、n組の収集データの誤差を最小にするパラメータ(a0,…,am)は以下の式から計算できる。すなわち、
【0128】
【数4】
Figure 0004057750
【0129】
とおくと、前記(21)式が常に成立するならば、
Y=Фθ ……(23)
となるので、
θ=(ФTФ)-1ФTY ……(24)
となり、この(24)式から得られるθは、二乗誤差を最小にする値となる。よって、(24)式の計算式から第i軸の関数パラメータを取得できる。各軸の関数パラメータの取得に対しても同様の計算を用いて求めることができる。
【0130】
従って、この実施の形態によれば、プラントの運転データであるアンモニア注入量とNOx発生量とを収集し所定の演算を実行することにより、経時的な変化に影響されない各脱硝プロセスの特性を容易に取得でき、当該特性を用いることにより最適運転に必要な設定値を取出すことができる。
【0131】
(第4の実施の形態)
以上述べた第3の実施の形態はオフラインによる計算によって脱硝プロセスの特性を求める例であるが、本実施の形態は、プラント運転中にプランから運転データを取り込んでオンラインによる計算により各脱硝プロセスの特性を求める例である。つまり、プラントの運転中に特性曲線のパラメータを求める制御方法及び制御装置である。
【0132】
本実施の形態は、第1および第2の実施の形態に関わる運転データからオンラインにて脱硝プロセスの特性を取得する機能を設けた構成例である。
【0133】
すなわち、この実施の形態は、第3の実施の形態と同様に、アンモニア注入量とNOx発生量とのモル比をy、NOx排出量とNOx発生量とのモル比をxとすると、yとxとの関係は前述したように(21)式で近似できる。
【0134】
今、パラメータa0,…,anに関し、前回の計算結果a0(t−1),…,an(t−1)が与えられているとする。計算開始時に適宜なa0(0),…,an(0)を与えることにより、常に前回の計算結果が利用できる。
【0135】
【数5】
Figure 0004057750
【0136】
とすると、前回の制御周期の計算結果θ(t−1)+P(t)と今回の制御周期に得られたデータy(t),x(t)とを用いて、下記式のごとく新しいパラメータθ(t)と補助行列P(t)が算出できる。
【0137】
Figure 0004057750
従って、以上のような実施の形態によれば、オンラインにて脱硝プロセスの特性曲線のパラメータを取得でき、運転を停止することなくパラメータを取得しつつ最適化処理に利用できる。
【0138】
(第5の実施の形態)
この実施の形態は、第1ないし第4の実施の形態で得られる過去の脱硝プロセスの特性と第3、第4の実施の形態で取得されるプラントの運転データおよびこれら運転データから求める脱硝プロセスの特性を表示部に表示し、その特性の違いを一目で分かるようにした例である。
【0139】
図6はかかる実施の形態に関する脱硝制御装置の一例を示す構成図ある。
【0140】
このグループ脱硝制御装置20は、前述したパラメータ・条件データ設定手段21、各ユニットNOx配分処理手段22、設定値計算処理手段23の他、各脱硝プロセスの特性関数を求めるために各ユニット・各脱硝プロセスを含むプラントから必要なデータ例えばアンモニア注入量,NOx発生量,NOx排出量その他特性を求めるために必要なプロセス量などの運転データを取り込む入力ポートまたはインターフェース31と、データメモリ32と、インターフェース31を介して取り込んだ運転データやパラメータ・条件データ設定手段21で既に設定されている各脱硝プロセスの特性データ等を取り込んでデータメモリ33に記憶するデータ記憶手段33と、運転データから各脱硝プロセスの特性を演算するCPUで構成された特性演算処理手段34と、表示すべき画像データを記憶する画像メモリ35と、出力制御手段36と、表示部37と、プリンタ38等によって構成されている。
【0141】
前記データメモリ32には、運転データ、パラメータ・条件データ設定手段21で既に設定されている各脱硝プロセスの特性データの他、各脱硝プロセスの特性を求めるための近似式データ、演算処理上必要な固定データ、演算処理途中及び演算処理後の特性データその他必要なデータを記憶するものである。なお、少なくとも運転データは各脱硝プロセスごとに区分して記憶するものとする。
【0142】
前記特性演算処理手段34は、プログラムデータに基づいて所定周期ごとに運転データを取り込んでデータメモリ32に記憶するとともに、このデータメモリ32に記憶される運転データを用いて第3,第4の実施の形態で説明したように各脱硝プロセスごとの特性を演算し、外部からの表示指示に基づいて所要とする形式で表示するためにデータメモリ32から各脱硝プロセスごとの特性等を取出して画像メモリ35に書込み、出力制御手段36を介して表示部37に表示し、必要に応じてプリンタ38に出力する等の一連の処理を実行する。
【0143】
なお、外部からの表示指示は如何なる形式(図7(a)〜(f))で表示するかによって異なる。
【0144】
図7(a)はある同一の脱硝プロセスにおける第1〜第4の実施の形態に係る特性f1(x)と、当該脱硝プロセスに係るプラントから取り込んだ運転データ(イ)とこれら運転データから求めた今回の特性f1(x)newとの表示比較例を示す図である。
【0145】
なお、運転データから今回の特性f1(x)newを求める例は、特性演算手段34においてデータメモリ32に記憶される近似式或いは第3,第4の実施の形態で求めた演算によって計算できる。
【0146】
図7(b)はデータメモリ32から複数の脱硝プロセスの特性f1(x)とf2(x)とを取出して比較表示した例を示す図である。
【0147】
図7(c)はデータメモリ32に記憶される特性演算の近似式を読み出して表示し、入力指示のもとにオペレータから入力されるNOx排出量とNOx発生量とのモル比xまたはアンモニア注入量とNOx発生量とのモル比yに基づき、近似式を用いて自動的にモル比yまたはモル比xを演算し表示する例である。そして、オペレータから入力される複数のNOx排出量とNOx発生量とのモル比xまたはアンモニア注入量とNOx発生量とのモル比yに基づいて求めたモル比yまたはモル比xはデータメモリ32にテーブル化される。
【0148】
図7(d)は同図(c)によって入力された複数のxまたはyに基づいて計算されたyまたはxの一覧表を表示する例である。この表示の場合、表示部37の一画面に図7(c)と同図(d)とを上下または左右に並べて表示してもよい。
【0149】
図7(e)はある脱硝プロセスに対し、種々のパラメータを考慮したときの特性関数の違いを同時表示した表示例を示す図である。
【0150】
図7(f)は同図(e)を発展させた表示例であって、パラメータの他、例えば触媒温度T等を考慮した演算された特性関数を三次元表示した表例を示す図である。
【0151】
(その他の実施の形態)
(1) 以上述べた実施の形態における個別脱硝プロセスの特性及び第5の実施の形態における表示例は、専ら排出されるNOxのモル数と発生したNOxのモル数との比、アンモニアのモル数と発生したNOxのモル数との比によって表現したものに限定したが、プラントから得られるNOx量,アンモニア注入量以外の運転データであるプロセス量を用いて各脱硝プロセスの特性を求めることが出来る。ここで、言うプロセス量とは、例えばガスタービンの回転数・発電出力・燃料弁開度・起動時間・排ガス温度・排ガス流量・排ガス圧力、排ガスを構成する成分としての窒素ガス(N2)・酸素ガス(O2)・窒素酸化物ガス(NOx)・炭素酸化物(COx)・硫黄酸化物(SOx)・水分(H2O)のそれぞれの濃度及び流量、触媒温度、蒸気発生器が設置されている場合には周囲の熱交換器の蒸気温度・蒸気圧力、蒸気タービンの回転数・発電出力・加減弁開度・起動時間・給水流量等を意味し、これらプロセス量のうち少なくとも1つ以上を用いて、各脱硝プロセスの特性を算出でき、また表示をすることも可能である。つまり、各脱硝プロセスの特性を求めるられるNOx量,アンモニア注入量以外の他のプロセス量を用いて、各脱硝プロセスの特性を演算し、最適化処理に利用することが可能である。これは、容易に類推可能であることから、特に上記実施の形態では記述されていない。
【0152】
(2) 上記実施の形態では、最適化のアルゴリズムとして、非線形計画法を使用したが、従来から知られている例えばニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムなどを利用して最適化処理を行ってもよい。
【0153】
(3) また、上記実施の形態では、最適化処理に関し、説明を簡単にするために複数の仮定(b11〜b18)を述べたが、これらの仮定を設けない場合でも最適化処理が可能なアルゴリズムに容易に拡張できることは言うまでもない。また、各種の制約条件が存在する場合でも、最適化処理を行うことが出来るようにアルゴリズムを拡張することは容易である。従って、これらの拡張は容易に類推可能であることから、特に上記実施の形態では記述されていない。さらに、グループ内において特性の大きく異なるNOx発生源ないしは脱硝プロセスが混在する場合であっても、最適化処理に有効であることは言うまでもない。
【0154】
(4) また、第1及び第2の実施の形態では、複数の脱硝プロセスからなるプラントについて有効な制御アルゴリズムであるのに対し、第3〜第5の実施の形態では、グループ及び単独のNOx発生源および単独の脱硝プロセスからなるプラントについて適用可能な技術である。
【0155】
(5) 脱硝プロセスの特性として、第1〜第5の実施の形態では、関数の形で記述できるものとしたが、例えば図7(d)に示すようにテーブル形式で特性が与えられている場合でも、同様に適用可能である。なお、テーブル形式で特性データが与えられた場合には、例えば第1,第2の実施の形態における最適化処理の中の傾き計算を行う部分について、何らかの関数でデータ間を補間して傾きを計算するとか、微分可能な関数で近似して傾き計算を行う手法を使用できる。
【0156】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能であることは言うまでもない。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、各脱硝プロセスの特性を有効に活用しつつ、最適化処理によって決定される各脱硝プロセスのNOx配分から定まる設定値を用いて制御することにより、グループ全体に課される制約を満たしつつ、グループ全体でアンモニアの消費量を大幅に低減化できる脱硝制御方法およびその制御装置を提供できる。
【0158】
また、プラントの運転データを用いて、オフラインまたはオンラインで容易に各脱硝プロセスの特性を求めることができる脱硝制御装置を提供できる。
【0159】
さらに、脱硝プロセスの特性その他の状態を容易に確認でき、脱硝プロセスの健全性や特性変化を把握でき、監視,制御及び経済性等の判断に広く利用でき、非常に有益なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る脱硝制御方法の一実施の形態を説明する処理の流れ図。
【図2】 本発明方法と従来方法と脱硝制御の状態を表わす図。
【図3】 同じく本発明方法と従来方法と脱硝制御の状態を表わす図。
【図4】 本発明に係る脱硝制御装置の一実施の形態を示す構成図。
【図5】 本発明装置の動作を説明するフローチャート。
【図6】 本発明に係る脱硝制御装置の他の実施形態を示す構成図。
【図7】 図6に示す装置を用いて脱硝プロセスの特性を表示する一表示例図。
【図8】 従来の脱硝制御装置を説明する構成図。
【図9】 従来の別の脱硝制御装置を説明する構成図。
【符号の説明】
S1…パラメータ・条件データ設定ステップ
S2…各脱硝プロセスNOx配分処理ステップ
S3…設定値計算処理ステップ
10…グループ脱硝プロセス
15…軸制御装置
16…アンモニア噴霧器
17…脱硝触媒
18a…アンモニア注入弁
21…パラメータ・条件データ設定手段
22…各脱硝プロセスNOx配分処理手段
23…設定値計算処理手段
36…表示部

Claims (9)

  1. 複数の脱硝プロセスと各脱硝プロセスを制御する各制御装置とを有するグループ脱硝プロセスと、各脱硝プロセスの制御装置にそれぞれ制御用設定値を設定するグループ脱硝制御装置とを用いた脱硝制御方法において、
    前記グループ脱硝制御装置は、
    少なくとも各脱硝プロセスの特性データ、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを設定するパラメータ・条件設定ステップと、
    この設定ステップによって設定される前記特性データから得られる各脱硝プロセスのアンモニア使用量の2乗の和を評価関数、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを制約条件として用い、この制約条件を満たしつつ前記評価関数を最小化する最適化演算処理を実行し、前記各脱硝プロセスのNOx配分率を決定する各脱硝プロセスNOx配分処理ステップと、
    このNOx配分処理ステップによって得られるNOx配分率に基づいて前記各脱硝プロセスの制御用設定値を演算し、各脱硝プロセスの制御装置に設定する設定値計算処理ステップとを有し、
    各脱硝プロセスの制御装置は、それぞれ設定された前記制御用設定値に基づいて対応する脱硝プロセスを、評価関数を最小化する各アンモニア使用量となるようにアンモニア注入量を調節する運転制御を行うことを特徴とする脱硝制御方法。
  2. 前記各脱硝プロセスNOx配分処理ステップは、前記特性データから得られる各脱硝プロセスのNOx発生量の総和が前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データと等しくなるようなNOx発生量に関する計算開始条件値を設定する第1のステップと、各脱硝プロセスごとにアンモニア使用量を増加させたときのNOx減少変化分を求める第2のステップと、このNOx減少変化分の大きさに応じてNOx配分率を修正する第3のステップと、この第3のステップによる配分率に基づく各脱硝プロセスの修正NOx発生量の総和が前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データより小さいとき、それらの修正NOx発生量に対応するNOx配分率を出力する第4のステップとを実行することを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御方法。
  3. 複数の脱硝プロセスと各脱硝プロセスを制御する各制御装置とを有するグループ脱硝プロセスと、各脱硝プロセスの制御装置に制御用設定値を設定するグループ脱硝制御装置とからなる脱硝制御装置において、
    前記グループ脱硝制御装置は、
    前記各脱硝プロセスのアンモニア使用量の2乗の和を評価関数とし、また前記各脱硝プロセスの排出NOx量の総和が予め定める前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値を越えないことを制約条件とする手段と、
    この制約条件を満たしつつ前記評価関数を最小化する最適化演算処理を行い、前記各脱硝プロセスのNOx配分率を決定する最適化問題解法手段と、
    この最適化問題解法手段により得られた各脱硝プロセスのNOx配分率に基づいて前記制御用設定値を演算し、各脱硝プロセスの制御装置に設定する手段とを設け、
    各脱硝プロセスの制御装置は、それぞれ設定された制御用設定値に基づいて対応する脱硝プロセスを、評価関数を最小化する各アンモニア使用量となるようにアンモニア注入量を調節する運転制御を行うことを特徴とする脱硝制御装置。
  4. 複数の脱硝プロセスと各脱硝プロセスを制御する各制御装置とを有するグループ脱硝プロセスと、各脱硝プロセスの制御装置に制御用設定値を設定するグループ脱硝制御装置とからなる脱硝制御装置において、
    前記グループ脱硝制御装置は、
    少なくとも各脱硝プロセスの特性データ、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを設定するパラメータ・条件設定手段と、
    この設定手段によって設定される前記特性データから得られる各脱硝プロセスのアンモニア使用量の2乗の和を評価関数、前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データを制約条件として用い、この制約条件を満たしつつ前記評価関数を最小化する最適化演算処理を実行し、前記各脱硝プロセスのNOx配分率を決定する各脱硝プロセスNOx配分処理手段と、
    このNOx配分処理手段によって得られるNOx配分率に基づいて前記各脱硝プロセスの制御用設定値を演算し、各脱硝プロセスの制御装置に設定する設定値計算処理手段とを設け、
    各脱硝プロセスの制御装置は、それぞれ設定された制御用設定値に基づいて対応する脱硝プロセスを、評価関数を最小化する各アンモニア使用量となるようにアンモニア注入量を調節する運転制御を行うことを特徴とする脱硝制御装置。
  5. 前記各脱硝プロセスNOx配分処理手段は、前記特性データから得られる各脱硝プロセスのNOx発生量の総和が前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データと等しくなるようなNOx発生量に関する計算開始条件値を設定する設定手段と、各脱硝プロセスごとにアンモニア使用量を増加させたときのNOx減少変化分を求めるNOx減少変化分演算手段と、このNOx減少変化分の大きさに応じてNOx配分率を修正する配分率修正手段と、この配分率に基づく各脱硝プロセスの修正NOx発生量の総和が前記グループ脱硝プロセス全体のNOx排出量規制値データより小さいか否かを判断し、小さいときそれらの修正NOx発生量に対応するNOx配分率を出力する判断手段とを設けたことを特徴とする請求項4に記載の脱硝制御装置。
  6. 請求項4に記載の脱硝制御装置において、
    前記グループ脱硝制御装置は、
    前記各脱硝プロセスを含むプラントの運転データ、運転開始前または運転中の運転データから求められる前記各脱硝プロセスの特性データ等を記憶するデータ記憶手段と、このデータ記憶手段に記憶される特性データの中から同一の脱硝プロセスの過去特性データ及び前記運転データから得られる今回特性データとを読み出して比較表示し、或いは複数の脱硝プロセスの特性データを読み出して比較表示し、或いは種々の異なる運転データであるパラメータを考慮して得られた脱硝プロセスの特性データを読み出して二次元または三次元にて比較表示する表示制御手段とを設けたことを特徴とする脱硝制御装置。
  7. 請求項4に記載の脱硝制御装置において、
    前記グループ脱硝制御装置は、
    前記各脱硝プロセスを含むプラントの運転データ、運転開始前または運転中の運転データから求められる前記各脱硝プロセスの特性データ、前記運転データの少なくともアンモニア注入量とNOx発生量の第1のモル比とNOx排出量と前記NOx発生量との第2のモル比との関係の近似式データ等を記憶するデータ記憶手段と、入力指示のもとに入力される前記第1または第2のモル比に基づき、前記データ記憶手段に記憶される前記近似式により前記第2または第1のモル比を計算する手段と、この計算結果を順次テーブル化し表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする脱硝制御装置。
  8. 前記各脱硝プロセスの特性データとしては、プラント運転前に予め確認する各脱硝プロセスの特性データまたは前記各脱硝プロセスを含むプラントの運転データであるオフライン時またはオンライン時のアンモニア注入量とNOx発生量のモル比とNOx排出量と前記NOx発生量とのモル比との多項式の関係から求める各脱硝プロセスの特性データを用いることを特徴とする請求項4、請求項6及び請求項7の何れか1つに記載の脱硝制御装置。
  9. 前記各脱硝プロセスの特性データは、プラントから得られる運転データのうち、アンモニア注入量,NOx発生量およびNOx排出量以外のプロセス量から求める各脱硝プロセスの特性データを用いることを特徴とする請求項4、請求項6及び請求項7の何れか1つに記載の脱硝制御装置。
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