JP4057080B2 - 金属フタロシアニン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属フタロシアニン化合物の製造方法に関し、特に、高純度の金属フタロシアニン化合物の簡便な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属フタロシアニン化合物は、青色から緑色までの鮮明な色相、大きな着色力、優れた堅牢性及び耐久性を有し、塗料、プラスチックの着色、印刷インキ等の分野において広範に使用されている。また、近年に至っては光記録材料や光導電性材料、或いは、触媒のような機能性材料としても盛んに研究され利用されている。
【0003】
金属フタロシアニンは、一般に、尿素法(ワイラー法、無水フタル酸液相法)及びフタロニトリル法等によって製造される。フタロニトリル法は原料としてフタロニトリル類を用いる方法であり、反応時間が比較的短く、収率が良いという利点を有する。しかし、原料として用いるフタロニトリル類は高価であり、製造コストが高くなる。また、フタロニトリル類は毒性が指摘されており、安全衛生上その取扱に注意を必要とする。
【0004】
一方、尿素法、特に無水フタル酸液相法は、フタル酸類、尿素、金属化剤および触媒を溶媒中で加熱する方法である。これらの原料は安価であり、毒性も低いので、尿素法は低コストかつ安全である。しかし、通常溶媒としてニトロベンゼンやトリクロロベンゼンのような疎水性有機溶媒が使用されるため、反応終了後に反応混合物から溶媒を蒸留して分離回収する必要がある。
【0005】
溶媒を反応混合物から留去する際には、減圧下、反応混合物を突沸させないように高温を維持する。この操作は、特に大規模で反応を行う場合、非常に煩雑で、また長時間を要する。従って、尿素法では、特に大量生産の際に製造工程が煩雑となる欠点がある。また、疎水性有機溶媒は通常人体及び環境に有害であり、取扱いが困難である。
【0006】
尚、無水フタル酸固相法は反応溶媒として有機溶媒を使用しないので、有機溶媒の分離回収による煩雑さはない。しかしながら、この方法は収率が低いため大量生産には適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、反応終了後に反応混合物から溶媒を留去する必要が無く、高収率、低コスト、安全かつ簡便な金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、尿素法によるフタロシアニン化合物の製造方法において、反応溶媒としてポリエチレングリコールジアルキルエーテルを用いることを特徴とする金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
尿素法(無水フタル酸液相法)は、一般に、無水フタル酸及びフタル酸イミドのようなフタル酸誘導体、尿素及び金属塩化物を、縮合触媒の存在下、不活性有機溶媒中で加熱することにより、金属フタロシアニン化合物を製造する方法である。この方法は周知であり、例えば、「染料と薬品」、第23巻、第10号、第213〜215頁、1978年、−最近のフタロシアニン顔料製造技術[I]−等に具体的に記載されている。
【0010】
原料に用いるフタル酸誘導体としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、4−スルホフタル酸、アルキル基置換フタル酸、アルコキシ基置換フタル酸、4−ニトロフタル酸イミド、4−クロル−5−ニトロフタルイミド、フタル酸のアンモニウム塩、フタル酸金属塩(Na、K)、フタル酸エステル、フタル酸アミド、ハロゲン化フタリル、フタル酸イミド、オルトシアノ安息香酸、及びオルトシアノ安息香酸エステル等が挙げられる。
【0011】
金属塩化物としては、例えば、塩化銅(I)、塩化コバルト(6・水和物)、塩化鉄(II、III)、塩化ニッケル、塩化アルミニウム等が挙げられる。金属塩化物の代わりに多価金属の硫酸塩(例えば硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸クロム)、硝酸塩(例えば、硝酸銅(II))、多価金属のリン酸塩、又は多価金属の硼酸塩等を用いてもよい。
【0012】
縮合触媒としては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、モリブデン酸ナトリウム、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、アンモニウムホスホモリブデート、ホスホタングストモリブデン酸、及びモリブデンカルボニル等が挙げられる。特にモリブデン酸アンモニウムが一般的であり、且つ好ましい。
【0013】
不活性有機溶媒としては、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルを使用する。ポリエチレングリコールジアルキルエーテルとは、次式(1)で表される化合物をいう。
【0014】
1O(CH2CH2O)n2 (1)
【0015】
式中、R1及びR2は、独立して、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2以上、好ましくは2〜10、さらに好ましくは3〜5の整数を示す。
【0016】
具体例としては、
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、
トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、
テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、
ポリエチレングリコールジメチルエーテル(nが2又は3以上のポリグライムの混合物)、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、
トリエチレングリコールジエチルエーテル、
テトラエチレングリコールジエチルエーテル、
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、
ジエチレングリコールジプロピルエーテル、及び
ジエチレングリコールジブチルエーテル等
が挙げられる。これらは単独または混合して使用できる。
【0017】
式(1)においてR1及びR2が共にメチル基であるポリエチレングリコールジメチルエーテル(一般に、ポリグライムと呼ばれる。)が好ましい。特に好ましいものとしては、沸点が180℃以上のポリグライム、例えばトリグライム、テトラグライム等が挙げられる。
【0018】
ポリグライムは、フタル酸誘導体及び生成物との混和性に優れ、フタロシアニン誘導体等の上記反応成分に対して不活性であり、水混和性であり、また、毒性がない。その結果、ポリグライムを不活性有機溶媒として用いることにより、反応物が塊状にならず微細な状態で反応が進行する、すなわち、均一なスラリー反応が可能であり、高温(約180〜約200℃)での縮合反応が可能であり、水により除去が可能であり、そして取扱いが安全である、等の利点が得られる。
【0019】
本発明の金属フタロシアニンの製造方法では、上記反応成分を不活性有機溶媒中で加熱して縮合反応させる。それぞれの反応成分の使用量は、フタル酸誘導体1モルに対して、尿素3モル以上、好ましくは3〜6モル、縮合触媒0.1〜5%モル、好ましくは0.1〜1%モル、金属塩化物1/4モル以上、好ましくは1/4〜1/2モルである。不活性有機溶媒の使用量は、特に限定的でないが、ポリグライムの場合は、フタル酸誘導体の重量に対して2倍量以上、好ましくは4〜6倍量である。
【0020】
縮合反応は、180〜200℃で2〜10時間行う。好ましい態様は、約130〜160℃で2〜4時間、さらに180〜200℃で4時間以上、好ましくは4〜10時間反応する。
【0021】
縮合反応完了後、約100℃まで放冷して、反応混合物に熱湯(約80℃)を加え、還流下2〜3時間撹拌する。その後、反応混合物の熱時濾過及び湯洗を数回繰り返して、不活性有機溶媒及び副生した無機性不純物等を除去する。本発明の方法で用いる有機溶媒は水溶性なので、水で洗浄することにより容易に反応生成物と分離できる。必要によりアセトンやDMFで更に洗浄し、乾燥することにより金属フタロシアニンを得る。
【0022】
ここで得られる金属フタロシアニンは、一般に非水溶性である。しかしながら、金属フタロシアニンカルボン酸アミド等は、加水分解することにより水溶性とすることができる。加水分解は、生成した非水溶性金属フタロシアニンを、特にカルボキシル基を有する水溶性金属フタロシアニン(例えば、テトラカルボン酸金属フタロシアニン)へ変換するための操作である。
【0023】
金属フタロシアニンカルボン酸アミドを加水分解する方法は当業者に周知である。例えば、上述の方法において有機溶媒を除去した後、得られた非水溶性金属フタロシアニンのウエットケーキを5〜30%のアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)水溶液に分散し、2〜12時間還流下撹拌を加える。冷却して、鉱酸(例えば、濃塩酸、硫酸)を加えてスラリーを得る。このスラリーを濾過し、湯洗もしくは水中に再分散して塩分、無機及び有機不純物を除去し、必要によりアセトンやDMFで洗浄し乾燥することにより、水溶性金属フタロシアニンが得られる。
【0024】
【作用】
フタル酸誘導体は、親水性有機溶媒中では縮合し難く、殆ど(銅)フタロシアニンを形成しないことから、フタロニトリルやイミノイソインドレニン類に比べ微細なフタロシアニン顔料を直接合成する原料としては不適当であると報告されている(「染料と薬品」、第23巻、第11号、第225〜227頁、1978年、−最近のフタロシアニン顔料製造技術[II]−)。従って、これまで、親水性有機溶媒は、尿素法で用いる有機溶媒としては不適切であるとされてきた。
【0025】
例えば、後述の比較例3及び4に示すように、溶媒としてポリエチレングリコール又はエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)のようなアルコール性の水溶性溶媒を使用した場合、目的とする金属フタロシアニンは殆ど得られなかった。
【0026】
しかしながら、本発明者らは、高沸点ポリエチレングリコールジアルキルエーテル(例えばポリグライム)という特定の親水性有機溶媒を用いると、尿素法により高収率で金属フタロシアニンを合成できることを見出した。
【0027】
本発明の方法によれば、一般に、以下の式(2)で示される金属フタロシアニンが好ましく製造できる。
【0028】
【化1】
Figure 0004057080
【0029】
式中、Rはニトロ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ金属塩等を示し、MetはCu、Co、Fe、Ni、Al、及びCrのような多価金属を示す。
【0030】
このようにして得られる本発明の金属フタロシアニンは、消臭材、光記録材料、光導電性材料、着色用染料及び顔料、又は機能性色素等として有用である。
【0031】
例えば、非水溶性のテトラニトロ銅フタロシアニンは、各種用途の機能性フタロシアンの前駆体として有用である。また、このニトロ体を還元して、テトラアミノ銅フタロシアニンを得ることもできる。さらに、アミノ体をジアゾ化することにより種々のジアゾ銅フタロシアニン誘導体を得ることもできる。
【0032】
フタロシアニン核にカルボキシル基を有する、例えば、水溶性のテトラカルボン酸コバルトフタロシアニン、オクタカルボン酸鉄(III)フタロシアニン等は、消臭剤として有用である。
【0033】
また、フタロシアニン核にカルボキシル基、又はスルホン酸基を有する、水溶性フタロシアニンは、水性インキやカラーフィルター用の着色剤としても有用である。
【0034】
また、フタロシアニン核にアルコキシ基やアルキル基を有する例えばテトライソプロポコキシ金属フタロシアニン、テトラブチル金属フタロシアニンは、近赤外吸収色素として光記録材料に使用される。
【0035】
【発明の効果】
本発明の方法は、従来の尿素法に比べ次のような利点を有し、工程の短縮、製造コストの低減が可能であり、金属フタロシアニン化合物を工業的に大量生産する場合に極めて有利である。
i)濾過及び水洗という簡便な工程により溶媒を反応生成物から除去可能であり、反応終了後に溶媒を減圧蒸留する工程が不要である。
ii)その結果、反応から精製まで一段階連続工程で行うことが可能となる。
iii)反応生成物の器壁への付着、及び撹拌不能等の問題が起らない。
iv)溶媒に毒性がなく、取扱い上安全である。
v)従って、高純度で品質が安定した金属フタロシアニンを、高収率、簡便かつ安全な操作により得られる。
【0036】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0037】
実施例1
テトラニトロ銅フタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた5000mlのガラス製四ツ口フラスコに、4-ニトロフタル酸イミド500g、尿素660g、モリブデン酸アンモニウム20g、塩化銅(I)70g及びトリグライム2500gを仕込み、この混合物を130℃で1〜2時間撹拌し、続いて160℃で2時間撹拌した後、さらに180℃で4時間撹拌した。
【0038】
その後約100℃まで放冷後、約80℃の熱水2500gを反応混合物に徐々に加え、さらに還流下2〜3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯10L(リットル)で振りかけ洗浄を行った。乾燥後、目的の化合物460gを収率93.6%で得た。この化合物の元素分析結果と収率を表1に示す。
【0039】
実施例2
テトラカルボン酸コバルトフタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた10000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸1152g、尿素1800g、モリブデン酸アンモニウム10g、塩化コバルト6水和物360g及びトリグライム3000gを仕込み、この混合物を130℃で1時間撹拌し、続いて200℃で4時間撹拌した。
【0040】
その後約100℃まで放冷後、約80℃の熱水5000gを反応混合物に徐々に加え、さらに還流下2〜3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯30Lで振りかけ洗浄を行った。次いで、得られたウエットケーキを6000部の20〜30%水酸化カリウム水溶液に投入し、12時間還流下撹拌した。反応混合物を水/氷浴を使って冷却し、濃塩酸4130gを30℃を越えないように滴下後、さらに1時間撹拌した。得られたスラリーを濾取し、水80〜100Lで振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、目的の化合物693.4gを収率61.9%で得た。この化合物の元素分析結果と収率及び分子吸光係数εを表2に示す。
【0041】
実施例3
テトラカルボン酸鉄(III)フタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた5000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸384g、尿素600g、モリブデン酸アンモニウム2g、塩化鉄(III)81g及びテトラグライム1500gを仕込み、この混合物を130℃で1時間撹拌し、続いて180℃で6時間撹拌した。
【0042】
その後約100℃まで放冷後、約80℃の熱水2500gを反応混合物に徐々に加え、さらに還流下2〜3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯15Lで振りかけ洗浄を行った。次いで、得られたウエットケーキを3000部の20〜30%水酸化カリウム水溶液に投入し、12時間還流下撹拌した。
【0043】
反応混合物を水/氷浴を使って冷却し、濃塩酸2065gを30℃を越えないように滴下後、さらに1時間撹拌した。得られたスラリーを濾取し、水20〜50Lで振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、目的の化合物265gを収率71.2%で得た。この化合物の元素分析結果と収率を表1に示す。
【0044】
参考例
オクタカルボン酸鉄(III)フタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた5000mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸二無水物300g、尿素600g、モリブデン酸アンモニウム10g、塩化鉄(III)100g及びテトラグライム1500gを仕込み、この混合物を130℃で1時間撹拌し、続いて200℃で8時間撹拌した。
【0045】
その後約100℃まで放冷後、約80℃の熱水2500gを反応混合物に徐々に加え、さらに還流下2〜3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯15Lで振りかけ洗浄を行った。次いで、得られたウエットケーキを3000部の5〜10%水酸化カリウム水溶液に投入し、2時間還流下撹拌した。
【0046】
反応混合物を水/氷浴を使って冷却し、濃塩酸520gを30℃を越えないように滴下後、さらに1時間撹拌した。得られたスラリーを濾取し、水20〜50Lで振りかけ洗浄することにより塩分を除去した後、乾燥して、目的の化合物160gを収率51.0%で得た。この化合物の元素分析結果と収率を表1に示す。
【0047】
実施例5
コバルトフタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた10Lのガラス製四ツ口フラスコに、無水フタル酸741g、尿素1500g、モリブデン酸アンモニウム10g、塩化コバルト6水和物328g及びトリグライム3500gを仕込み、この混合物を130℃で1時間撹拌し、続いて200℃で6時間撹拌した。
【0048】
その後約100℃まで放冷後、約80℃の熱水4000gを反応混合物に徐々に加え、さらに還流下2〜3時間撹拌を行った。熱時濾過後、湯30Lで振りかけ洗浄を行った。乾燥後、目的の化合物636gを収率89.1%で得た。この化合物の元素分析結果と収率を表1に示す。
【0049】
上記実施例で用いたフタロシアニン生成材料、金属化剤及び反応溶媒を、それぞれ前記のフタル酸類もしくはそれらの官能誘導体、及び金属剤に代え、各種の金属フタロシアニンを合成した。結果は何れも良好で、顔料化処理を必要としない高純度の金属フタロシアニンを直接(ワンポットで)合成することができた。
【0050】
比較例1
テトラカルボン酸コバルトフタロシアニンの合成
撹拌器、還流管など必要器具を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、無水トリメリット酸3.84g、尿素12.0g、モリブデン酸アンモニウム0.5g、塩化コバルト6水和物1.30g及びニトロベンゼン60gを仕込み、従来知られるワイラー法に従って縮合反応を行った。
【0051】
反応混合物からニトロベンゼン溶媒を減圧下除去した後、100mlの湯を系内に加え、さらに加熱下、撹拌を行った。濾過後、実施例2と同様に60mlの20〜30%水酸化カリウム水溶液で加水分解し、濾取、水洗、乾燥することにより、目的の化合物3.65gを収率97.7%で得た。この化合物の元素分析結果と収率及び分子吸光係数εを表2に示す。
【0052】
比較例2
テトラカルボン酸コバルトフタロシアニンの合成
比較例1で用いた反応溶媒ニトロベンゼンをトリクロロベンゼンに代えた以外は、対照例1と全く同様にして、目的の化合物3.90gを収率104.4%で得た。この化合物の元素分析結果と収率及び分子吸光係数εを表2に示す。
【0053】
比較例3
テトラカルボン酸コバルトフタロシアニンの合成
実施例2で用いた反応溶媒(トリグライム)をジエチレングリコールに代えた以外は、実施例2と全く同様にして反応を行ったが、目的のフタロシアニンは得られなかった。
【0054】
比較例4
テトラカルボン酸鉄(III)フタロシアニンの合成
実施例3で用いた反応溶媒(テトラグライム)をエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)に代えた以外は、実施例3と全く同様にして反応を行ったが、目的のフタロシアニンは得られなかった。
【0055】
【表1】
Figure 0004057080
【0056】
【表2】
Figure 0004057080
【0057】
実施例1〜5に於いては、縮合反応後溶媒を除去した反応生成物は均一なスラリーであった。これに対し、比較例1及び2では、器壁に反応生成物の付着及び固化の現象が起り、また一部撹拌不能を呈した。比較例において高い収率が得られているが、これはこの反応によって副生する不純物を大量に含んでいることによる。このことは、表2に示した実施例2と比較例1、2についての分子吸光係数及び元素分析結果から明らかである。
【0058】
さらに、生成物の純度を検討するために、実施例2と比較例1のテトラカルボン酸コバルトフタロシアニンの赤外吸収スペクトルを図1及び図2に示した。どちらもテトラカルボン酸コバルトフタロシアニンに由来する各特徴の吸収を有するが、スペクトルから明らかに、実施例2ではカルボニル吸収(νC=O)は約1700cm-1にフタロシアニン骨格由来の吸収と同程度に強く現れているが、比較例1ではカルボニル吸収(νC=O)の相対強度は弱く純度が低いことが判る。比較例2についても同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2で得られたテトラカルボン酸コバルトフタロシアニンのIRスペクトルを示す。
【図2】 比較例1で得られたテトラカルボン酸コバルトフタロシアニンのIRスペクトルを示す。

Claims (2)

  1. 無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、4−スルホフタル酸、アルキル基置換フタル酸、アルコキシ基置換フタル酸、4−ニトロフタル酸イミド、4−クロル−5−ニトロフタルイミド、フタル酸のアンモニウム塩、フタル酸ナトリウム塩、フタル酸カリウム塩、フタル酸エステル、フタル酸アミド、ハロゲン化フタリル、フタル酸イミド、オルトシアノ安息香酸、及びオルトシアノ安息香酸エステルからなる群から選択されるフタル酸誘導体尿素及び金属塩化物を、縮合触媒の存在下、不活性反応溶媒中で反応させる尿素法による金属フタロシアニン化合物の製造方法において、反応溶媒としてポリエチレングリコールジアルキルエーテルを用いることを特徴とする方法。
  2. 前記ポリエチレングリコールジアルキルエーテルがポリグライムである請求項1記載の方法。
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