JP4056932B2 - 歯科用スケーラー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動子の振動をスケーラーチップに伝播させ、その振動作用により歯垢の除去や歯面清掃を行う歯科用スケーラーの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科診療においては、上記のようなスケーラーが広く用いられている。このようなスケーラーとしては、圧縮空気をその駆動媒体とする空気振動式のものや、電気駆動の超音波振動式のものが挙げられる。空気振動式のものは、超音波振動式のもののように電源を必要とせず、歯科診療システムで常設される圧縮空気の供給システムをそのまま用いることができることから、最も汎用化されているスケーラーである。特許文献1には、このような歯科用エアスケーラーの一例が開示されており、その概略構成は以下の通りである。
【0003】
即ち、上記歯科用エアスケーラーにおける振動子は、円筒状の振動子本体と、該振動子本体の外周に遊嵌された回転リングとより構成される。そして、上記振動子本体は、手持操作されるハンドピース本体内にOリング等の緩衝材を介して支持され、該振動子本体の先端部にスケーラーチップを螺装固定すると共に、その基端開放部より圧縮空気を導入し、振動子本体の筒壁に穿設された空気噴出用小孔より圧縮空気を噴出させることにより、この小孔穿設位置を含んで振動子本体の周体に遊嵌された回転リングを振動させ、この回転リングの振動の反力により振動子本体をも振動させんとするものである。この振動子の振動はスケーラーチップに伝播され、その振動作用により、歯垢の除去や歯面清掃がなされるのである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−65699号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1において、振動子本体のハンドピース本体内におけるラジアル方向及びスラスト方向の位置規制は、振動子本体の外周に設けたピン(突起)に嵌装されたリング(Oリング)によりなされることが開示されている。而して、振動子本体の先端にスケーラーチップを取付けたり、取外したりする際には、スケーラーチップ基部のねじを締め込み或いは緩めたりする作業を伴う為、振動子本体にその軸心廻りの強い捻回力が作用し、上記リングはピンとハンドピース本体側の規制部との間で過圧縮されることになる。
【0006】
歯科治療においては、その治療内容に応じてスケーラーチップの着脱交換が頻繁になされるので、上記リングの過圧縮が繰り返されることになり、この繰り返しにより、リングが破損或いは変形する。その結果、振動による騒音が大きくなり或いは機構部の磨耗が促進され、スケーラーとしての耐久性が低下することにもなる。このような問題点は、超音波振動子を用いたスケーラーでも指摘されており、その改善が望まれるところであった。
【0007】
本発明は上記のような実情に鑑みなされたものであり、振動子にその軸芯廻りの捻回力が繰り返し付加されても、振動子のラジアル方向の位置を規制するための緩衝材の破損や変形を生じさせない新規な歯科用スケーラーを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る歯科用スケーラーは、手持操作されるハンドピース本体と、該本体内に緩衝材を介して振動可能に支持された細長筒状振動子と、この振動子に同軸的に螺装連結されて振動が伝播されるスケーラーチップとよりなる歯科用スケーラーであって、上記緩衝材は、振動子のラジアル方向で上記ハンドピース本体の芯体との間に介在して振動子のラジアル方向の位置を規制する弾性部材からなるラジアル方向位置規制用緩衝材を含み、該ラジアル方向位置規制用緩衝材による位置規制状態では互いに非接触であるが、振動子に対してその軸心廻りの捻回力が付加された時には互いに当接し、振動子の軸回転を阻止すると共に上記ラジアル方向位置規制用緩衝材の過圧縮を防止する制限手段が振動子の外周と上記芯体の内周間に設けられており、上記ラジアル方向位置規制用緩衝材は、振動子の外周に突設された支持用突起に嵌められる弾性体であり、該弾性体は該支持用突起と上記芯体の内周に突設された規制用突起間に介在し、これにより振動子のラジアル方向の位置を規制するものであり、また、上記制限手段は、振動子の外周に突設された振動子側制限用突起と、上記芯体の内周に突設され該振動子側制限用突起にラジアル方向で小間隙を以って近接する芯体側制限用突起とよりなり、上記小間隙が上記ラジアル方向位置規制用緩衝材によりラジアル方向の位置が規制された振動子と芯体との間の規制幅より小さいことを特徴とする。
【0009】
上記構成において、上記制限手段は、ラジアル方向位置規制用緩衝材による位置規制状態、即ち通常の使用状態では互いに非接触であるから、振動子の振動の障害にならず、スケーラーチップにその振動が伝播され、歯垢の除去や歯面の清掃に供せられる。そして、スケーラーチップを振動子に取付けたり取外したりする際に、スケーラーチップ基部を締め込み或いは緩めたりする作業を伴う為、振動子にその軸心廻りの強い捻回力が作用するが、上記制限手段により振動子の軸回転が阻止されると共にラジアル方向位置規制用緩衝材の過圧縮が防止されるので、スケーラーチップの取付け・取外しが円滑になされながら、ラジアル方向位置規制用緩衝材の破損や変形を来たさないのである。また、上記のように、振動子にその軸心廻りの捻回力が付加された時、振動子側制限用突起と芯体側制限用突起とが逸早く当接し、そこで振動子の軸回転が阻止されるから、ラジアル方向位置規制用緩衝材の過圧縮が防止される。更に、上記小間隙が上記規制幅より小さいことにより、スケーラーチップ装着時の振動子の回転方向の遊びが少なくなり、チップが確実に締付け固定され、安定した振動が得られると共に、チップ抜け等による不意の事故も起こる懸念がない。
【0010】
本発明においては、上記ラジアル方向位置規制用緩衝材をスラスト方向の位置規制に兼用させること(請求項2)も望ましく採用される。
【0013】
上記のように構成された振動子を備える歯科用スケーラーは、請求項3或いは4の発明のように空気振動式のスケーラーに望ましく具現化される。即ち、更に具体的には、上記振動子が圧縮空気により駆動する振動子であり(請求項3)、該振動子が、ハンドピース本体内に形設された給気管路からの圧縮空気が基端開放部より導入される中空円筒状の振動子本体と、該振動子本体の筒壁に穿設された空気噴出用小孔を覆うように該振動子本体に遊嵌された回転リングとよりなり、スケーラーチップは上記振動子本体の先端部に着脱自在に螺装連結されるものであることを特徴とする(請求項4)。
【0014】
この構成においては、基端開放部より導入された圧縮空気は、空気噴出用小孔から振動子本体の外に噴出し、この噴出作用により回転リングが振動し、この回転リングの振動の反作用を受けて振動子本体も振動する。振動子本体の振動は、スケーラーチップに伝播され、歯垢の除去や歯面の清掃に供せられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。図1(a)は本発明を適用した歯科用エアスケーラーAの例を示す外観正面図、図1(b)は図1(a)における右側面図、図2(a)は図1(b)におけるZ−Z線断面図、図2(b)は図1(b)におけるY−Y線断面、図3は図2(a)におけるX部の拡大図である。図において、1はハンドピース本体であり、手指で把持操作し易いように略円筒形のグリップ状に形成されている。該ハンドピース本体1内の芯体1aには、弾性体である複数の緩衝材2a、2fを介して駆動部としての振動子2が振動可能に支持されている。この弾性体としては、ゴムや硬度の低い樹脂等を使用することができ、その形状も断面が円、四角、楕円等のリング又はひも状のものや、支持用突起を覆うようなものを適宜使用することができる。
【0016】
上記空気振動子2は、基端2eが開放された円筒状の振動子本体2bと、該振動子本体2bの外周に遊嵌された回転リング2cとよりなり、該回転リング2cは振動子本体2bの筒壁に穿孔された空気噴出用小孔2dを覆うように配設されている。この振動子本体2bの先端部にはスケーラーチップ3が着脱可能に螺装されている。上記ハンドピース本体1の芯体1aには圧縮空気の給気管路4と排気管路5とが形設されており、該給気管路4は上記振動子本体2bの開放された基端部2eに通じ、また排気管路5の起点部は振動子本体2bの外周部分とされている。尚、この振動子2の詳細については後記する。
【0017】
ハンドピース本体1の基端部はカップリング部6とされ、該カップリング部6には、図外のコンプレッサーに連接された給気管路h1及び排気管路h2を内装する駆動媒体供給ホースhが着脱可能に接続されるようになされている(図3参照)。このホースhがカップリング部6を介し接続された時には、該ホースh内の給気管路h1及び排気管路h2が、ハンドピース本体1内の上記給気管路4及び排気管路5に夫々接続されることになる。
【0018】
7は給水管路であり、その先は芯体1a及び上記振動子本体2b内を経てスケーラーチップ3の先端部付近に及んでいる。該給水管路7は、カップリング部6を介して上記ホースhと接続した時には、ホースhに内装された給水管路h3に連結され、これによりスケーラーチップ3の先端部から歯牙等に向け注水が可能とされている。6aは、カップリング部6を介したホースhとの接続状態において、ハンドピースAがホースhに対してその軸心の廻りに回動可能とする転動ボールであり、その周方向に複数配列されている。これによりハンドピース本体1を把持操作して治療作業等を行う場合の操作性が向上する。
【0019】
給気管路4により供給される圧縮空気は、上記振動子本体2bの基端開放部2eから該本体2bの筒内に導入される。導入された圧縮空気は、上記空気噴出用小孔2dより筒外に噴出されるが、この噴出側には回転リング2cが遊嵌状態で存在するから、この噴出作用により回転リング2cが振動する。この時、振動子本体2bは、ハンドピース本体1の芯体1aに対してOリング等の緩衝材2a、2fにのみ支持されているから、回転リング2cの振動の反作用を受けて同時に振動する。この振動はスケーラーチップ3に伝播され、歯面清掃、歯垢の除去等に供せられる。また、この振動は、緩衝材2a、2fを介しているから、ハンドピース本体1には伝播されず、術者に不快感を与えることがない。スケーラーチップ3の先端部での振動の周波数は5.5〜6KHzが、振幅は100〜200μmが、上記歯面清掃や歯垢等の除去には好適とされ、後記する排気調整機構8によってこのような出力制御がなされる。
【0020】
上記のように振動子2の振動に供せられた圧縮空気は、排気管路5を経て排出される。この排気管路5の途中には排気調整機構8が配設されており、この排気調整機構8により排出空気の排気調整をし、上記振動子2の出力調整がなされる。この排気調整機構8は、ハンドピース本体1の基端部に設けられており、術者によるハンドピース本体1の把持操作の際に不意に触れることがないようになされている。
【0021】
9は、排気調整機構8を構成する操作リングであり、ハンドピース本体1の軸芯の廻りに回動可能とされ、その外面には回動操作し易いようにカット面9aが削成されている。また、ハンドピース本体1の外面には、出力目安を示す目印9bが刻印等で付されており、操作リング9側にはポイントマーク9cが付され、両者の合致位置がその時の出力程度を表す。図1(a)の例は、3段階の出力調整が可能で、その中間の出力状態に設定されていることを示す。
【0022】
次に、排気調整機構8の概略について説明する。図3に示すように、ハンドピース本体1の芯体1aには周体に幅狭扇形の切欠部1bが形成され、一方ハンドピース本体1の内周にはリング状弁座部材1cが上記切欠部1bを含む芯体1aの周体に外嵌するよう螺装固定されている。この弁座部材1cの内周と芯体1aとにより囲まれた切欠部1bが、排気管路5の途中に位置する弁口10aとされ、その周辺部分が弁座部10とされる。また、図3に示すように、操作リング9の内周部にはリング状弁体11が連成一体に形成され、該弁体11の内周には上記弁口10aと略同曲率且つ弧長がやや大きい幅狭扇形の切欠11aが形成されている。
【0023】
上記弁体11は、弁座部10に対してハンドピース本体1の基端部側からスラスト方向に当接合体するよう配置され、更に圧縮ばね(弾性部材)12により、後記する位置決めリング13及び締付リング15を介して同方向に弾性付勢されている。この弾性付勢により当接合体面の気密性が良好に維持され、排出空気の漏れがなく、精度の高い出力制御が可能となる。
【0024】
そして、操作リング9の回動操作により、弁座部10の弁口10aに対して、切欠11aを含む弁体11が弾性摺接して回動し、その結果弁口10aの開度が切欠11aにより変化する。即ち、操作リング9の回動操作により、弁口10aを通過する排出空気の排気調整がされ、前記空気振動子2の出力制御がなされる。弁口10aを通過して排気調整された排出空気は、芯体1aに径方向に開設された複数の透孔1d…より、カップリング部6に接続されるホースh内の排気管路h2を経て排出される。
【0025】
14は、上記弁口10aの開度調整を段階的に行う位置決め手段であり、操作リング9の内周部には上記弁体11に隣接して位置決めリング(雄ねじリング)13が螺装固定されている。該位置決めリング13の内周部には開度幅を規制する切欠溝13aが形成され、更にこの切欠溝13aの底部に遠心方向に凹む凹部(不図示)が3箇所に形成されている。一方、芯体1aには遠心方向に弾力付勢された湾曲板ばね(ばね材)13cが取付けられており、この板ばね13cの湾曲頂部に上記凹部に嵌り込み得る突子13dが設けられている。これら切欠溝13a、凹部、板ばね13c及び突子13dにより位置決め手段14が構成される。この位置決め手段14を構成する各部材の位置関係は、芯体1a及び位置決めリング13間で逆であっても良い。
【0026】
15は操作リング9に対する位置決めリング13の相対位置を設定する為の締付リング(雄ねじリング)であり、この締付リング15と位置決めリング13とによりダブルナット手段16が構成される。従って、使用目的によって弁口10aの最大開度が出力として過大であるような場合には、このダブルナット手段16により操作リング9に対する位置決めリング13の相対位置を、事前に適宜初期設定しておくことができる。
【0027】
上記のように、排気調整機構8によって排気調整されることによって、振動子2の出力が調整されるが、この振動子2について更に詳細に説明する。図4は振動子2を含む要部の分解斜視図、図5(a)は同縦断面図、図5(b)は図5(a)におけるW−W線断面図、図6は図5(a)における要部の平面図、図7(a)は図5(b)の機構説明図、図7(b)は同変形例の説明図である。
【0028】
振動子2は、前記のように細長円筒状の振動子本体2bと、この振動子本体2bの外周に遊嵌される回転リング2cとよりなり、この振動子本体2bはハンドピース本体1の芯体1a及びこの先側に連接される筒状の補助部材1fに対し、Oリング等の緩衝材2a、2fにより支持されている。これら緩衝材2a、2fによって、振動子2のハンドピース本体1に対する同心的位置決めと、ラジアル方向及びスラスト方向の位置決めがなされている。スケーラーチップ3の基部には雄ねじ部3aが形成されており、この雄ねじ部3aをして上記振動子本体2bの先端部に着脱自在に螺装される。
【0029】
次に、緩衝材2fの過圧縮を防止する制限手段17について述べる。即ち、緩衝材2fは、振動子2のラジアル方向の位置を規制する(スラスト方向の位置規制も兼ねる)緩衝材であり、弾性Oリングからなる(以下、緩衝材2fをOリング2fと言う)。振動子本体2bの外周には、その軸心に対して対称に2個の支持用突起2g、2gが遠心方向に突設されており、上記Oリング2f、2fがこの支持用突起2g、2gに嵌められている。
【0030】
一方、上記芯体1aの内周には、該支持用突起2g、2gに嵌められた各Oリング2f、2fに対し、ラジアル方向から接するように、4個の規制用突起1g…が突設されており、これにより振動子本体2bがOリング2f、2fを介してそのラジアル方向の位置規制がなされる。また、芯体1aには、図4及び図6に示すように、上記規制用突起1g…と共に切欠1hが形成され、この切欠1hの切欠間口L1を狭くしてOリング2fの長径L2より小さくし、支持用突起2gに嵌められたOリング2fを包持するようにしている。これにより、振動子本体2bをOリング2fを介してスラスト方向Sに移動しないよう位置規制している。筒状の補助部材1fの芯体1aとの連接基部は、図6に示すように芯体1aに外嵌され、これによりOリング2fの外れ等が防止される。
【0031】
上記のような位置規制状態にあっては、振動子2は緩衝材2a、2fによって支持されているから、振動子2の振動はスケーラーチップ3のみに伝播され、芯体1aや補助部材1fに伝播されることはない。而して、スケーラーチップ3を取付け或いは取外す際には、上記ねじ部3aの螺入或いは螺緩操作がなされるが、これに伴い振動子本体2bには、その軸心廻りに強い捻回力が付加される。この捻回力は、支持用突起2gをしてOリング2fに作用することになるが、これによるOリング2fの過圧縮を防止する為に、振動子本体2bの外周には、上記支持用突起2g、2gとラジアル方向に90°の角度をなす位置に、2個の振動子側制限用突起17a、17aが遠心方向に突設されている。
【0032】
上記4個の規制用突起1g…の反Oリング2f側は、上記振動子側制限用突起17a、17aに近接するよう形成され、この部分が芯体側制限用突起17b…とされて、この振動子側制限用突起17a、17aと芯体側制限用突起17b…とにより上記制限手段17が構成される。図7(a)に示すように、振動子側制限用突起17aと芯体側制限用突起17bとの間隙dは、Oリング2fによる規制幅Dより小とされている。従って、振動子本体2bに上記のような捻回力が作用した時、振動子側制限用突起17aが芯体側制限用突起17bに当接し、振動子本体2bのそれ以上の軸回転が阻止される。これに伴い、Oリング2fの過圧縮が防止される。よって、上記のようにスケーラーチップ3の取付け・取外しを繰り返しても、Oリング2fが破壊したり変形したりすることが少なくなる。
【0033】
このように、振動子側制限用突起17aと芯体側制限用突起17bとは、常時は間隙dを以って非接触の状態であるから、芯体側制限用突起17bが振動子2の振動の障害にならず、スケーラーチップ3の取付け・取外し時にはOリング2fの過圧縮を防止すべく機能する。そして、この間隙dにより、スケーラーチップ3の装着時の振動子2の回転方向の遊びが少なくなり、チップ3が確実に締付け固定され、安定した振動が得られる。
【0034】
尚、図例のように振動子側制限用突起17aは、振動のバランス上、対称に2個設けることが望ましいが、全体としてのバランスが保たれるような構造であれば、どちらか1方だけでも良い。また、支持用突起2g、2gと振動子側制限用突起17a、17aとを、振動子本体2bの軸心に直交する同一平面域に形成しているが、これらを相互にスラスト方向にずらせても良いことは言うまでもない。
【0035】
図7(b)は変形例の図7(a)と同様図であり、支持用突起2g、2gの先端に外向鍔状の突起を設けて、これを振動子側制限用突起17a、17aとしている。また、規制用突起1g…が芯体側制限用突起17b…を兼ねており、この規制用突起1g…により振動子本体2bがOリング2f、2fを介してそのラジアル方向の位置規制がなされることは上記と同様である。
【0036】
そして、このOリング2fによる規制幅Dは、振動子側制限用突起17aと芯体側制限用突起17bとの間の間隙dより大きく、従って、上記のように振動子本体2bにその軸心廻りに捻回力が付加された時、振動子側制限用突起17aと芯体側制限用突起17bとが当接し、振動子本体2bのそれ以上の軸回転が阻止され、Oリング2fが過圧縮されないことも上記と同様である。よって、本変形例も望ましく採用される。尚、本変形例では、振動子側制限用突起17aが鍔状に形成されているから、支持用突起2gに嵌められたOリング2fが外れないと言う利点が付加される。その他の構成は上記と同様であるの、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0037】
尚、制限手段17の形態は図例のものに限定されず、Oリング2fによる位置規制状態では互いに非接触であるが、振動子2に対してその軸心廻りの捻回力が付加された時には互いに当接し、振動子2の軸回転を阻止すると共に上記Oリング2fの過圧縮を防止するものであれば、その他の構成も採用可能であることは言うまでもない。また、空気振動式のエアスケーラーについて述べたが、超音波振動式のスケーラーにおける振動子にも適用すれば、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る歯科用スケーラーによれば、制限手段は、ラジアル方向位置規制用緩衝材による位置規制状態、即ち通常の使用状態では互いに非接触であるから、振動子の振動の障害にならず、スケーラーチップにその振動が伝播され、歯垢の除去や歯面の清掃に供せられる。そして、スケーラーチップを振動子に取付けたり取外したりする際に、振動子にその軸心廻りの強い捻回力が作用しても、この制限手段により振動子の軸回転が阻止されると共にラジアル方向位置規制用緩衝材の過圧縮が防止されるので、スケーラーチップの取付け・取外しが円滑になされながら、ラジアル方向位置規制用緩衝材の破損や変形を来たさないのである。その結果、振動による騒音が大きくなったり或いは機構部の磨耗が促進されてスケーラーとしての耐久性が低下するようなことがない。
【0039】
そして、上記制限手段が上記のように構成されているから、上記のように、振動子にその軸心廻りの捻回力が付加された時、振動子側制限用突起と芯体側制限用突起とが逸早く当接し、そこで振動子の軸回転が阻止されるから、ラジアル方向位置規制用緩衝材の過圧縮が防止される。また、スケーラーチップ装着時の振動子の回転方向の遊びが少なくなり、チップが確実に締付け固定され、安定した振動が得られると共に、チップ抜け等による事故も起こる懸念がない。このような構造は、極めて簡易であり、従来構造に若干の加工を施すだけで可能であるから、大幅な設計変更を要さずになし得、その実用価値は大である。このような本発明の特性は、特に空気振動式の歯科用スケーラーにおいて著効を奏することは明らかである(請求項3、4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明を適用した歯科用エアスケーラーの例を示す外観正面図、(b)は(a)における右側面図である。
【図2】 (a)は図1(b)におけるZ−Z線断面図、図2(b)は図1(b)におけるY−Y線断面である。
【図3】 図2(a)におけるX部の拡大図である。
【図4】 振動子を含む要部の分解斜視図である。
【図5】 (a)は同縦断面図、(b)は(a)におけるW−W線断面図である。
【図6】 図5(a)における要部の平面図である。
【図7】 (a)は図5(b)の機構説明の為の拡大図、(b)は同変形例の説明図である。
【符号の説明】
A エアスケーラー
1 ハンドピース本体
1a ハンドピース本体の芯体
1g 規制用突起
2 振動子
2a 緩衝材
2b 振動子本体
2c 回転リング
2d 空気噴出用小孔
2e 基端開放部
2f Oリング(ラジアル方向位置規制用緩衝材)
2g 支持用突起
3 スケーラーチップ
4 給気管路
17 制限手段
17a 振動子側制限用突起
17b 芯体側制限用突起
Claims (4)
- 手持操作されるハンドピース本体と、該本体内に緩衝材を介して振動可能に支持された細長筒状振動子と、この振動子に同軸的に螺装連結されて振動が伝播されるスケーラーチップとよりなる歯科用スケーラーであって、
上記緩衝材は、振動子のラジアル方向で上記ハンドピース本体の芯体との間に介在して振動子のラジアル方向の位置を規制するラジアル方向位置規制用緩衝材を含み、該ラジアル方向位置規制用緩衝材による位置規制状態では互いに非接触であるが、振動子に対してその軸廻りの捻回力が付加された時には互いに当接し、振動子の軸回転を阻止すると共に上記ラジアル方向位置規制用緩衝材の過圧縮を防止する制限手段が振動子の外周と上記芯体の内周間に設けられており、
上記ラジアル方向位置規制用緩衝材は、振動子の外周に突設された支持用突起に嵌められる弾性体であり、該弾性体は該支持用突起と上記芯体の内周に突設された規制用突起間に介在し、これにより振動子のラジアル方向の位置を規制するものであり、
上記制限手段は、振動子の外周に突設された振動子側制限用突起と、上記芯体の内周に突設され該振動子側制限用突起にラジアル方向で小間隙を以って近接する芯体側制限用突起とよりなり、
上記小間隙が上記ラジアル方向位置規制用緩衝材によりラジアル方向の位置が規制された振動子と芯体との間の規制幅より小さいことを特徴とする歯科用スケーラー。 - 請求項1に記載の歯科用スケーラーにおいて、
上記ラジアル方向位置規制用緩衝材が、上記振動子のスラスト方向の位置も規制するものであることを特徴とする歯科用スケーラー。 - 請求項1又は2に記載の歯科用スケーラーにおいて、
上記振動子が圧縮空気により駆動する振動子であることを特徴とする歯科用スケーラー。 - 請求項3に記載の歯科用スケーラーにおいて、
上記振動子が、ハンドピース本体内に形設された給気管路からの圧縮空気が基端開放部より導入される中空円筒状の振動子本体と、該振動子本体の筒壁に穿設された空気噴出用小孔を覆うように該振動子本体に遊嵌された回転リングとよりなり、スケーラーチップは上記振動子本体の先端部に着脱自在に螺装連結されることを特徴とする歯科用スケーラー。
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