JP4056691B2 - 軸受冷却方法及び軸受冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融樹脂等の高粘度流体を搬送するギヤポンプ等に用いられる軸受冷却方法および軸受冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、溶融樹脂搬送用のギヤポンプは、一対のギヤロータを有し、該ギヤロータは、ポンプボディに軸受を介して回転自在に支持されている。そして、この軸受は、滑り軸受とされ、搬送する溶融樹脂の一部が軸受潤滑剤として供される自己潤滑タイプとされている。
この種ギヤポンプにおいては、生産量(搬送量)を増大させることが重要であり、その方法として、回転数を上げる方法と、歯幅を広げる方法とがある。しかし、いずれの方法も、軸受への負担が大きくなり、焼き付きに至る可能性が高くなり、生産量を増大させることは、容易でなかった。
【0003】
即ち、回転数をアップすると、剪断速度が大きくなることにより、樹脂の発熱が大きくなり、樹脂の粘性が低下し、軸受支承能力が低下する。また、歯幅をアップすると、荷重が増大し、軸受支承能力が低下する。
そこで、この種のギヤポンプにおいては、潤滑剤としての溶融樹脂の温度を下げて、樹脂の粘度を上げることが軸受能力の向上に最も有効である。
この潤滑剤(溶融樹脂)の冷却方法として、ロータ軸を冷却するもの(例えば、特公平6−45135号公報参照)と、軸受を冷却するもの(例えば、特開平9−217685号公報参照)、又は両者を併用したもの(例えば、特開平10−141247号公報参照)がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の如く軸受の冷却は重要であるが、しかし、軸受の過冷却は、軸受自身の収縮を招き、その結果、軸受隙間が減少して焼き付き事故を発生させるという問題が生じる。
そこで、本発明は、軸受冷却の際、軸受隙間の確保と、充分な冷却性能の両立により、安定的な運転を図り、装置の高速化(高生産量化)並びに軸受焼き付き事故防止を図った、軸受の冷却方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本発明の方法の特徴とするところは、ギアポンプのロータの軸部を該軸部との間の隙間における高粘度流体の潤滑により支持する滑り軸受の内部、及び、前記軸部の内部の各々に冷却媒体を流通させて前記軸部及び滑り軸受を冷却すると共に前記高粘度流体を冷却する軸受冷却方法において、過冷却による前記滑り軸受の内径の収縮を防止すべく、前記滑り軸受の内部に流通させる冷却媒体の温度を前記軸部の内部に流通させる冷却媒体の温度よりも高く設定する点にある。
【0006】
このような構成を採用することにより、軸受の過冷却を防止することができる。
この場合、前記軸部の内部を流通させた後の冷却媒体を前記滑り軸受の内部に流通させるのが好ましい。
本発明の装置の特徴とするところは、ギアポンプのロータの軸部を該軸部との間の隙間における高粘度流体の潤滑により支持する滑り軸受の内部、及び、前記軸部の内部の各々に冷却媒体を流通させて前記軸部及び滑り軸受を冷却すると共に前記高粘度流体を冷却する軸受冷却装置において、過冷却による前記滑り軸受の内径の収縮を防止すべく、前記滑り軸受の内部に流通させる冷却媒体の温度を前記軸部の内部に流通させる冷却媒体の温度よりも高く設定する冷却媒体供給装置を備えた点にある。
【0007】
前記冷却媒体供給装置は、前記軸部の内部を流通させた後の冷却媒体を前記滑り軸受の内部に流通させるように当該軸部及び滑り軸受を接続する配管構造とされていることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜3において示すものは、混練造粒システムにおける溶融樹脂の定量搬送用ギヤポンプである。このギヤポンプは、ブロック状のボディ1を有し、該ボディ1には、メガネ状のロータ収納孔2が貫通して形成されていると共に、該ロータ収納孔2を介したその両側に、樹脂入口3と出口4とが形成されている。
前記ロータ収納孔2には、一対のロータ5,5が収納されている。このロータ5は、歯車部6と該歯車部6の両側に形成された軸部7とからなる。前記歯車部6は常時噛合し、前記軸部7は、前記ロータ収納孔2に嵌合された滑り軸受8によって回転自在に支持されている。この軸受8は、前記ボディ1にボルト9によって固定されたベアリングリテーナ10により、前記ロータ収納孔2からの抜け止めがされている。
【0009】
前記ベアリングリテーナ10には、シール部材11が固定され、該シール部材11と軸部7は、ラビリンスシールにより、溶融樹脂の外部流出を防止している。
前記ロータ5の軸部7の一端部は、駆動装置12に連結され、図3の矢印方向にロータ5が回転駆動され、前記歯車部6によって、樹脂入口3から出口4に溶融樹脂が搬送される。
前記ギヤポンプは、前記搬送溶融樹脂の一部を、前記軸受8と軸部7との潤滑剤として供給するようにした自己潤滑タイプのものである。この自己潤滑構造は、公知のもの(例えば、従来の技術に掲げた公報に記載のもの等)が採用可能であるので、その詳細説明は省略する。前記シール部材11は、軸受潤滑に供された溶融樹脂の外部漏洩を防止するものである。
【0010】
前記滑り軸受8は、その内部に冷却媒体通路13が形成された冷却軸受装置として構成されている。
前記冷却媒体通路13は、前記軸受8の内部に形成された環状空間14と、該環状空間14内に設けられた仕切壁15とによって構成されている。
図4に、周方向の展開図として示すように、前記仕切壁15は、螺旋状に設けられている。この仕切壁15により、環状空間14には、2条の螺旋溝からなる冷却媒体通路13が形成され、その一方の溝の端部に冷却媒体入口16が形成され、他方の溝の端部に冷却媒体出口17が形成されている。前記冷却媒体入口16と出口17には、前記ベアリングリテーナ10とシール部材11を貫通する入口管18と出口管19が結合されている。
【0011】
前記軸受8は、内周側部材20と外周側部材21とを一体的に結合して構成され、該内周側部材20と外周側部材21の境界部に前記冷却媒体通路13が形成されている。
この実施の形態では、内周側部材20の外周面に、前記環状空間14を形成する環状凹部が形成され、この環状凹部内に図4に示す螺旋状の仕切壁15が一体成形されている。そして、この内周側部材20に外周側部材21を嵌め入れ、一体化する。この一体化としては、溶接や、焼き嵌め嵌合の後に溶接するなどがある。
【0012】
このように一体化された状態において、前記仕切壁15の外周面は、外周側部材21の内周面に当接している。即ち、前記環状空間14は外周側部材21の内周面と、内周側部材20の環状凹部の外周面とによって囲まれており、前記仕切壁15は、前記内外周面間にわたって形成されている。
このように、仕切壁15が環状空間14の内外周面間にわたって形成されることにより、当該仕切壁15は、補強部材として機能する。従って、環状空間14を大きくしても、軸受強度の低下を補強することができる。
【0013】
前記ロータ5の軸心部には、孔22が、その一端部から軸方向に開設され、該孔22に環状隙間を介してパイプ23が挿通され、前記隙間が冷却媒体通路24とされている。この冷却媒体通路は、ロータ5の軸部7に少なくとも対応するよう設けられている。
前記ロータ5の端部には、回転ジョイント25が設けられ、該ジョイント25には、冷却媒体入口26と出口27が設けられている。この入口26は、前記冷却媒体通路24に連通し、前記出口27は、前記パイプ23の内部と連通している。入口26から供給された冷却媒体は、冷却媒体通路24を通り、パイプ23の端部開口からパイプ23内に入り、出口27から流出する。
【0014】
図1に示す如く、前記軸受冷却用の冷却媒体入口16及び出口17と、ロータ冷却用の入口26及び出口27に、冷却媒体供給装置としての温度調節媒体供給装置28が接続されている。
前記温度調節媒体供給装置28は、冷却媒体供給源29と温熱媒体供給源30とを三方弁31で切換自在としたものである。ギヤポンプの始動時に、前記温熱媒体供給源30軸受8及びロータ5に温熱媒体を供給することにより、それらを予熱し、冷却固化した樹脂を溶融させる。予熱が終わると、三方弁31を切換て、前記冷却媒体源29から冷却媒体を供給し、軸受8とロータ5の少なくとも軸部7とを冷却する。
【0015】
前記温度調節媒体供給装置28の配管は、三方弁31から、まず、ロータ冷却用の入口26に接続され、その出口27からの配管が、軸受冷却用の入口管18に接続され、同出口管19からの配管が温度調節媒体供給装置28に戻されている。
即ち、温度調節媒体供給装置28からの媒体は、まずロータ5を通ってから、軸受8を通るように構成されている。
このような配管構造とすることにより、軸受8内部の冷却媒体温度を、ロータ5内部の冷却媒体温度よりも高く設定することができる。
【0016】
前記構成の冷却によれば、軸受8の冷却温度の方がロータ5よりも高く設定できるので、過冷却による軸受内径の収縮が防止され、従って、軸受隙間の減少が防止され、焼き付き事故が防止される。
なお、本発明は、前記実施の形態に示すものに限定されるものではなく、軸受とロータの冷却媒体供給装置を個別に設け、軸受8とロータ5の温度制御を独立に行うものであってもよい。
また、温度調節媒体供給装置28は、冷却媒体供給装置29と温熱媒体供給装置30とを三方弁31で切換自在としたものに限らず、冷却から温熱までの温度調節範囲をもち、単一の供給源から媒体を供給するようにするものであってもよい。この場合、温度調節媒体はホットオイル(100〜200℃)で加熱(予熱)を行い、冷却はホットオイルユニットの温度コントロールで行うのが好ましい。
【0017】
また、このギヤポンプは、溶融樹脂搬送用のものに限定されない。更に、軸受8やロータ5の冷却媒体通路の形式は、従来のものであってもよい。更に、温熱媒体供給装置28は、冷却媒体のみを供給するものであってもよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、軸受冷却の際、軸受の過冷却を防止して、軸受隙間の確保と、充分な冷却性能の両立により、安定的な運転を図り、装置の高速化(高生産量化)並びに軸受焼き付き事故防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の形態を示すギヤポンプの断面図である。
【図2】 図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】 図3は、図1のB−B線断面図である。
【図4】 図4は、環状空間(冷却ジャケット)の周方向展開図である。
【符号の説明】
7 軸部
8 軸受
28 冷却媒体供給装置(温度調節媒体供給装置)
Claims (4)
- ギアポンプのロータの軸部を該軸部との間の隙間における高粘度流体の潤滑により支持する滑り軸受の内部、及び、前記軸部の内部の各々に冷却媒体を流通させて前記軸部及び滑り軸受を冷却すると共に前記高粘度流体を冷却する軸受冷却方法において、
過冷却による前記滑り軸受の内径の収縮を防止すべく、前記滑り軸受の内部に流通させる冷却媒体の温度を前記軸部の内部に流通させる冷却媒体の温度よりも高く設定することを特徴とする軸受冷却方法。 - 前記軸部の内部を流通させた後の冷却媒体を前記滑り軸受の内部に流通させることを特徴とする請求項1記載の軸受冷却方法。
- ギアポンプのロータの軸部を該軸部との間の隙間における高粘度流体の潤滑により支持する滑り軸受の内部、及び、前記軸部の内部の各々に冷却媒体を流通させて前記軸部及び滑り軸受を冷却すると共に前記高粘度流体を冷却する軸受冷却装置において、
過冷却による前記滑り軸受の内径の収縮を防止すべく、前記滑り軸受の内部に流通させる冷却媒体の温度を前記軸部の内部に流通させる冷却媒体の温度よりも高く設定する冷却媒体供給装置を備えたことを特徴とする軸受冷却装置。 - 前記冷却媒体供給装置は、前記軸部の内部を流通させた後の冷却媒体を前記滑り軸受の内部に流通させるように当該軸部及び滑り軸受を接続する配管構造とされていることを特徴とする請求項3に記載の軸受冷却装置。
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