JPH061137A - 車両用暖房装置 - Google Patents

車両用暖房装置

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JPH061137A
JPH061137A JP16296592A JP16296592A JPH061137A JP H061137 A JPH061137 A JP H061137A JP 16296592 A JP16296592 A JP 16296592A JP 16296592 A JP16296592 A JP 16296592A JP H061137 A JPH061137 A JP H061137A
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JP
Japan
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gear
viscous fluid
sleeve
front cover
driven
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JP16296592A
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English (en)
Inventor
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
Kunifumi Gotou
邦文 後藤
Hidefumi Mori
英文 森
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】エンジンの始動により比較的迅速に車室内の暖
房を実現可能とし、かつ優れた搭載性と、製造コストの
低廉化とを同時に実現するとともに、優れた耐久性を発
揮できるようにする。 【構成・作用】歯車ポンプ機構Gとウォータジャケット
Wとを具備し、密閉空間10を形成するスリーブ13は
フロントカバー2の接合端面より凹設されている。これ
により、従動歯車9の歯車端面との干渉が回避される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用暖房装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な車両用暖房装置は、エン
ジンの冷却に供された高温の循環水をラジエータへ供給
して冷却するとともに、その一部をヒータにも供給し、
ヒータにおいて高温の循環水から空気への熱交換を図
り、車室内に温風を供給する構成のものである。ヒータ
を経た循環水は、ラジエータからの帰還循環水とともに
再びエンジンの冷却に供される。
【0003】しかし、この一般的な車両用暖房装置で
は、エンジンを冷却する循環水が高温にならなければ車
室内に温風を供給することができず、特に寒冷地等の比
較的低温環境下では、エンジンの始動から車室内の暖房
の実現までに長時間を要してしまう。そこで、エンジン
の始動により比較的迅速に車室内の暖房を実現可能とす
べく、粘性流体継手をエンジンの冷却回路に接続した車
両用暖房装置も開発されている(特開平2−24682
3号公報、特開平2−254010号公報、特開平3−
57877号公報)。この車両用暖房装置における粘性
流体継手は、ハウジングと、このハウジング内に支承さ
れエンジンの駆動力が電磁クラッチを介して伝達される
入力軸と、ハウジング内で入力軸に固定され多数かつ大
面積の壁からなるラビリンス溝が形成されたロータと、
ハウジングに固着されロータのラビリンス溝と所定間隙
を有して嵌合するラビリンス溝が形成されたカバーとを
有し、ロータとカバーとの間にはシリコンオイル等の粘
性流体が封入されたものである。カバーとハウジングと
の間にはエンジンの冷却水が循環されている。この粘性
流体継手では、入力軸の回転によりロータが回転すれ
ば、ハウジングに固定されたカバーとの間に封入された
粘性流体がロータとカバーとの相対回転の攪拌及びせん
断により発熱するため、この熱がカバーとハウジングと
の間の循環水に伝達され、加熱された循環水がヒータに
より車室内の暖房に供される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載の車両用暖房装置では、粘性流体継手におけるロ
ータ及びカバーがそれぞれ多数かつ大面積の壁からなる
ラビリンス溝をもつため、肥大化してしまい、限られた
広さのエンジンルーム内での取り付けスペースが広くな
り、搭載性に不具合がある。また、この暖房装置では、
ロータ及びカバーの製造に複雑な加工を要し、製造コス
トも高騰してしまう。
【0005】そこで、本出願人は、エンジンの始動によ
り比較的迅速に車室内の暖房を実現可能であるととも
に、優れた搭載性と、製造コストの低廉化とを同時に実
現することのできる車両用暖房装置を提案した(特願平
3−286359号)。この車両用暖房装置は、エンジ
ンに連結された入力軸と、該入力軸に固着された駆動歯
車と、従動軸に固着され該駆動歯車と噛合する従動歯車
とを有し、密閉空間内において、該駆動歯車と該従動歯
車との回転により粘性流体を強制移送し、かつ吐出側か
ら内部漏れによる該粘性流体の逆流を許容し、該粘性流
体を発熱させる歯車ポンプ機構と、該歯車ポンプ機構を
囲繞する外域に形成され、該粘性流体の発生熱を循環水
の温度上昇に変換するウォータジャケットと、を具備す
るものである。
【0006】ところが、この車両用暖房装置では、図8
及び図9に示すように、粘性流体の内部漏れを許容すべ
く、密閉空間90の形成側壁90a、90bと駆動歯車
91及び従動歯車92の各両端面91a、91b、92
a、92bとの間に積極的に間隙Cを設けていることか
ら、入力軸93の回転の際、車両に搭載されて振動を受
ければ、各歯車91、92が形成側壁90a、90bの
一方に移動しやすい。また、各歯車91、92の噛合部
位80で粘性流体の圧力偏差を生じれば、この圧力偏差
によって各歯車91、92が形成側壁90a、90bの
一方に移動しやすい。
【0007】ここで、図8に示すように、この車両用暖
房装置が一つのスリーブ98をもつことがある。つま
り、フロントカバー95内で入力軸93の前部を受承せ
んとする場合、フロントカバー95に密閉空間90と連
通する主軸孔96の前部を形成し、この主軸孔96の前
部内に入力軸93とともに軸封装置(図示せず)を装備
する必要がある。そして、この主軸孔96の前部内に
は、密閉空間90をシリンダブロック97とともに形成
すべく、軸封装置の装備後、軸受(図示せず)とともに
スリーブ98を嵌入する必要がある。かかるスリーブ9
8は、間隙Cをバラツキなく維持するため、駆動歯車9
1と同径以上の径で駆動歯車91を受承する。こうし
て、密閉空間90をシリンダブロック97、フロントカ
バー95及びスリーブ98で形成する場合、密閉空間9
0の形成側壁90aは、フロントカバー95とスリーブ
98との2部材により形成され、スリーブ98がフロン
トカバー95の接合端面よりも段差tだけ密閉空間90
内へ突出する場合がある。この場合、従動歯車92が形
成側壁90a側に移動すると、段差tには従動歯車92
の歯車端面92aが干渉し、従動歯車92が摩耗されや
すい。
【0008】また、図9に示すように、この車両用暖房
装置が上記スリーブ98以外に他のスリーブ83をもつ
ことがある。つまり、従動歯車92を好適に回転させる
ためにフロントカバー95内で従動軸81の前部を受承
せんとする場合、フロントカバー95に密閉空間90と
連通する副軸孔82の前部を形成する。そして、この副
軸孔82の前部内には、組付けの容易性の観点から、軸
受(図示せず)とともにスリーブ83を嵌入することが
なされる。かかるスリーブ83においても、図8のスリ
ーブ98と同様、間隙Cをバラツキなく維持するため、
従動歯車92と同径以上の径で従動歯車92を受承す
る。但し、スリーブ98及びスリーブ83の歯車受承面
には両歯車91、92の噛合部位80確保のため当接域
を生じている。こうして、密閉空間90をシリンダブロ
ック97、フロントカバー95、スリーブ98及びスリ
ーブ83で形成する場合、密閉空間90の形成側壁90
aはスリーブ98とスリーブ83との2部材により形成
され、スリーブ98及びスリーブ83の一方が他方より
も段差tだけ密閉空間90内へ突出する場合がある。こ
の場合、駆動歯車91が形成側壁90a側に移動する
と、段差tには駆動歯車91の歯車端面91aが干渉
し、駆動歯車91が摩耗されやすい。同様に、従動歯車
92が形成側壁90a側に移動すると、段差tには従動
歯車92の歯車端面92aが干渉し、従動歯車92が摩
耗されやすい。
【0009】さらに、この車両用暖房装置では、図8及
び図9に示すように、両歯車91、92における歯形形
成端面、つまり歯底円91d、92dより外側の端面に
は、歯と歯の間に粘性流体が存在して潤滑が良好なこと
から、たとえ各歯車91、92が前後に移動し端面の摺
動があったとしても、これら歯形形成端面と密閉空間9
0の形成側壁90a、90bとに焼付きを生じることは
ないが、これら歯形形成端面より内周域には粘性流体が
存在しにくいことから、それら内周域に焼付きを生じや
すい。
【0010】したがって、この車両用暖房装置では、駆
動歯車又は従動歯車が摩耗し、また歯形形成端面より内
周域で焼付きを生じやすいことから、過酷な条件下での
耐久性が危惧される。本発明は、エンジンの始動により
比較的迅速に車室内の暖房を実現可能とし、かつ優れた
搭載性と、製造コストの低廉化とを同時に実現するとと
もに、優れた耐久性を発揮できるようにすることを解決
すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)第1発明の車両用暖房装置は、上記課題を解決す
るため、エンジンに連結された入力軸と、該入力軸に固
着された駆動歯車と、従動軸に固着され該駆動歯車と噛
合する従動歯車とを有し、密閉空間内において、該駆動
歯車と該従動歯車との回転により粘性流体を強制移送
し、かつ吐出側から内部漏れによる粘性流体の逆流を促
して、該粘性流体を発熱させる歯車ポンプ機構と、該歯
車ポンプ機構を囲繞する外域に形成され、該粘性流体の
発生熱を循環水の温度上昇に変換するウォータジャケッ
トと、を具備し、前記密閉空間は、シリンダブロック
と、該シリンダブロックに接合されたフロントカバー
と、該フロントカバーに保持され前記入力軸を軸受を介
して支持するとともに前記駆動歯車を受承するスリーブ
と、により形成され、該スリーブは前記従動歯車の歯車
端面との干渉を回避すべく該フロントカバーの接合端面
より凹設されてなるという新規な構成を採用している。 (2)第2発明の車両用暖房装置では、上記課題を解決
するため、エンジンに連結された入力軸と、該入力軸に
固着された駆動歯車と、従動軸に固着され該駆動歯車と
噛合する従動歯車とを有し、密閉空間内において、該駆
動歯車と該従動歯車との回転により粘性流体を強制移送
し、かつ吐出側から内部漏れによる粘性流体の逆流を促
して、該粘性流体を発熱させる歯車ポンプ機構と、該歯
車ポンプ機構を囲繞する外域に形成され、該粘性流体の
発生熱を循環水の温度上昇に変換するウォータジャケッ
トと、を具備し、前記密閉空間は、シリンダブロック
と、該シリンダブロックに接合されたフロントカバー
と、該フロントカバーに保持され前記入力軸を軸受を介
して支持するとともに前記駆動歯車を受承する第1スリ
ーブと、該フロントカバーに保持され前記従動軸を軸受
を介して支持するとともに前記従動歯車を受承する第2
スリーブと、により形成され、該第1スリーブと該第2
スリーブとの歯車受承面には相互に噛合する歯車端面と
の干渉を回避する回避凹部が刻設されてなるという新規
な構成を採用している。 (3)第3発明の車両用暖房装置は、上記課題を解決す
るため、エンジンに連結された入力軸と、該入力軸に固
着された駆動歯車と、従動軸に固着され該駆動歯車と噛
合する従動歯車とを有し、密閉空間内において、該駆動
歯車と該従動歯車との回転により粘性流体を強制移送
し、かつ吐出側から内部漏れによる粘性流体の逆流を促
して、該粘性流体を発熱させる歯車ポンプ機構と、該歯
車ポンプ機構を囲繞する外域に形成され、該粘性流体の
発生熱を循環水の温度上昇に変換するウォータジャケッ
トと、を具備し、前記密閉空間の形成端面と前記駆動歯
車又は前記従動歯車の歯形形成端面より内周域との間に
は、粘性流体を案内する放射状の導溝が刻設されてなる
という新規な構成を採用している。
【0012】
【作用】第1〜3発明の車両用暖房装置では、エンジン
により歯車ポンプ機構の入力軸が回転されれば、密閉空
間内において両歯車が回転する。このとき、両歯車は粘
性流体を強制移送し、密閉空間内に粘性流体の吐出側と
吸入側とを生じさせる。また、内部漏れは、吐出側から
吸入側への粘性流体の逆流を生じさせる。このため、粘
性流体は、両歯車間で攪拌かつせん断されて摩擦を生
じ、また生じる圧力差により内部エネルギーが上昇さ
れ、発熱する。そして、この粘性流体の発熱は、歯車ポ
ンプ機構を囲繞する外域に形成されたウォータジャケッ
トによって循環水の温度上昇に変換される。加熱された
循環水はヒータにより車室内の暖房に供される。したが
って、この車両用暖房装置では、エンジンの始動により
比較的迅速に車室内の暖房を実現することができる。
【0013】また、第1〜3発明の車両用暖房装置は、
ラビリンス溝と比較して小型でかつ加工が容易な両歯車
をもつ歯車ポンプ機構を採用しているため、肥大化の抑
制により優れた搭載性を発揮し、かつ製造コストの低廉
化が可能となる。さらに、第1、2発明の車両用暖房装
置では、密閉空間の形成側壁と両歯車の各両端面との間
に積極的に間隙が設けられ、また両歯車の噛合部位で粘
性流体の圧力偏差が生じやすいため、各歯車は形成側壁
の一方に移動しやすい。
【0014】ここで、一つのスリーブをもつ第1発明の
車両用暖房装置では、密閉空間がシリンダブロック、フ
ロントカバー及びスリーブで形成される。そして、密閉
空間の形成側壁はフロントカバーとスリーブとの2部材
により形成される。しかし、スリーブはフロントカバー
の接合端面より凹設されているため、従動歯車が形成側
壁側に移動したとしても、従動歯車の歯車端面はなんら
干渉せず、従動歯車が摩耗されることはない。
【0015】また、二つのスリーブをもつ第2発明の車
両用暖房装置では、密閉空間がシリンダブロック、フロ
ントカバー及び二つのスリーブで形成される。そして、
密閉空間の形成側壁は両スリーブの2部材により形成さ
れ、一方のスリーブが他方のスリーブに対して段差を有
して突出する場合がある。しかし、両スリーブの歯車受
承面には相互に噛合する歯車端面との干渉を回避する回
避凹部が刻設されているため、この回避凹部においては
その段差は消滅されている。このため、駆動歯車が形成
側壁側に移動したとしても、駆動歯車の歯車端面はなん
ら干渉せず、駆動歯車が摩耗されることはない。同様
に、従動歯車が形成側壁側に移動したとしても、従動歯
車の歯車端面はなんら干渉せず、従動歯車が摩耗される
ことはない。
【0016】加えて、第3発明の車両用暖房装置では、
密閉空間の形成端面と各歯車の歯形形成端面より内周域
との間には導溝が刻設されているため、両歯車の歯車形
成端面で歯と歯の間に存在する粘性流体は、導溝を介し
て両歯車の歯形形成端面より内周域に移送される。この
ため、各歯車が前後に移動したとしても、それら内周域
に焼付きを生じることはない。
【0017】なお、内周域まで移送された粘性流体は、
入力軸又は従動軸を支承する軸受の潤滑に供され、その
後内部漏れとして吸入側へと逆流する。このため、これ
らの車両用暖房装置では、粘性流体が各歯車の焼付きの
防止を行なうとともに、軸受の潤滑及び発熱の寄与をも
行なう。
【0018】
【実施例】
(実施例1)以下、第1発明及び第3発明を具体化した
実施例1を図面1〜5を参照しつつ説明する。この車両
用暖房装置では、図1及び図2に示すように、シリンダ
ブロック1、フロントカバー2及びリアカバー3内に外
接歯車ポンプ機構Gが形成されている。すなわち、シリ
ンダブロック1内には繭状の密閉空間10が形成されて
おり、このシリンダブロック1の前端面はガスケット1
1を介してフロントカバー2によって閉塞され、シリン
ダブロック1の後端面もガスケット12を介してリアカ
バー3によって閉塞されている。フロントカバー2、シ
リンダブロック1、リアカバー3及びガスケット11、
12には計4個のボルト穴が貫設され、各ボルト穴に螺
合される計4本のボルト4によりこれらは締結されてい
る。
【0019】シリンダブロック1、ガスケット11及び
フロントカバー2には、図1に示すように、密閉空間1
0と連通する主軸孔10aが前後に貫設されている。前
部主軸孔10aにはまず軸封装置5aが装備され、この
軸封装置5aの後方には軸受5bを保持した筒状のスリ
ーブ13が固着されており、後部主軸孔10aには軸受
5cが装備され、これら軸封装置5a、軸受5b、5c
により入力軸5が回転可能に支承されている。フロント
カバー2から延設された入力軸5は図示しないエンジン
に電磁クラッチを介して連結されている。
【0020】また、同シリンダブロック1、ガスケット
11及びフロントカバー2には密閉空間10と連通する
副軸孔10bが主軸孔10aと平行に刻設されており、
この副軸孔10bには前方に軸受6aが装備され、後方
に軸受6bが装備され、これた軸受6a、6bにより従
動軸6が回転可能に支承されている。密閉空間10内で
は入力軸5に駆動歯車8が一体的に形成され、同密閉空
間10内では従動軸6に駆動歯車8と噛合する従動歯車
9が一体的に形成されている。図3に示すように、密閉
空間10の一方の形成側壁10cはフロントカバー2と
スリーブ13とにより形成されている。駆動歯車8の前
端面はスリーブ13に受承され、従動歯車9の前端面は
フロントカバー2とスリーブ13とにより受承されてい
る。また、図4に示すように、両歯車8、9の後端面は
シリンダブロック1により形成された密閉空間10の他
方の形成側壁10dに受承されている。
【0021】図3に示すように、スリーブ13には、ス
リーブ13が従動歯車9における歯底円9aから歯先円
9bまでの歯車端面と重合する範囲をやや超えるラグビ
ーボール形状の回避凹部7がフロントカバー2の接合端
面より凹設されている。また、スリーブ13の回避凹部
7を除く部位には、放射状に延びる4条の導溝14aが
刻設されており、各導溝14aは駆動歯車8における歯
底円8aより外側と入力軸5の外周面とを連通してい
る。同様に、フロントカバー2にも、放射状に延びる4
条の導溝14bが刻設されており、各導溝14bは従動
歯車9における歯底円9aより外側と従動軸6の外周面
とを連通している。
【0022】図4に示すように、シリンダブロック1の
入力軸5側には、放射状に延びる4条の導溝18aが刻
設されており、各導溝18aは駆動歯車8における歯底
円8aより外側と入力軸5の外周面とを連通している。
同様に、シリンダブロック1の従動軸6側にも、放射状
に延びる4条の導溝18bが刻設されており、各導溝1
8bは従動歯車9における歯底円9aより外側と従動軸
6の外周面とを連通している。
【0023】密閉空間10は、図2にも示すように、両
歯車8、9の噛合部位近傍において、各歯の集合する側
が吐出室Dとされ、各歯の離散する側が吸入室Sとされ
ている。吸入室Sにはボルト15により閉塞される注入
孔15aが貫設されている。図5に示すように、密閉空
間10の形成側壁10c、10dと両歯車8、9の各両
端面との間、密閉空間10の周壁と両歯車8、9の歯先
円8b、9bとの間、両歯車8、9の噛合部位には所定
の間隙Cが維持され、この間隙C、吸入室S及び吐出室
Dには注入孔15aより注入した粘性流体、つまりシリ
コンオイル等の高粘度オイルが充填されている。
【0024】また、上記外接歯車ポンプ機構Gの外域の
シリンダブロック1及びフロントカバー2内には、図1
にも示すように、周方向で互いに連通する軸方向に4本
のウォータジャケットWが形成されている。なお、注入
孔15aはリブ内に貫設され、ウォータジャケットWと
は連通しない。かかるウォータジャケットWは、軸方向
前方に入水ポート16をもち、軸方向後方で入水ポート
16と軸方向投影面内の同一位相に出水ポート17をも
つ。これら入水ポート16及び出水ポート17は図示し
ないホースによりヒータとウォータポンプを介して接続
され、循環水の循環をなすように構成されている。
【0025】このように構成された車両用暖房装置で
は、電磁クラッチのONによりエンジンの回転が外接歯
車ポンプ機構Gの入力軸5に伝達されれば、密閉空間1
0内において各歯車8、9が一方向に回転する。このと
き、両歯車8、9はシリコンオイルを強制移送し、シリ
コンオイルで密閉空間10内の吐出室Dを高圧とし、吸
入室Sを低圧とする。また、間隙Cは、内部漏れによ
り、吐出室Dから吸入室Sへのシリコンオイルの逆流を
生じさせる。このため、シリコンオイルは、両歯車8、
9の間で攪拌かつせん断されて摩擦を生じるとともに、
間隙Cを逆流する際に生じる圧力差により内部エネルギ
ーが上昇され、発熱する。
【0026】そして、このシリコンオイルの発熱は、シ
リンダブロック1を介してウォータジャケットW内の循
環水の水温上昇に変換される。加熱された循環水はヒー
タにより車室内の暖房に供される。したがって、この車
両用暖房装置では、エンジンの始動により比較的迅速に
車室内の暖房を実現することができる。
【0027】また、この車両用暖房装置は、上記従来公
報記載の車両用暖房装置におけるラビリンス溝と比較し
て、小型でかつ加工が容易な両歯車8、9をもつ外接歯
車ポンプ機構Gを採用しているため、肥大化の抑制によ
り優れた搭載性を発揮し、かつ製造コストの低廉化が可
能となる。さらに、この車両用暖房装置では、図5に示
すように、密閉空間10の形成側壁10c、10dと各
歯車8、9の各両端面との間に積極的に間隙Cが設けら
れ、また両歯車8、9の噛合部位でシリコンオイルの圧
力偏差が生じやすいため、例えば、駆動歯車8が後方に
移動して形成側壁10dと当接し、従動歯車9が前方に
移動して形成側壁10cと当接しやすい。
【0028】ここで、この車両用暖房装置では、密閉空
間10がフロントカバー2とスリーブ13との2部材で
形成されることにより、スリーブ13がフロントカバー
2よりも段差tだけ密閉空間10内へ突出する場合があ
る。しかし、スリーブ13は回避凹部7が従動歯車9の
歯車端面9cを回避しているため、従動歯車9が形成側
壁10c側に移動したとしても、従動歯車9の歯車端面
9cはなんら干渉せず、従動歯車9が摩耗されることは
ない。
【0029】そして、両歯車8、9の歯車形成端面、つ
まり歯底円8a、9aより外側の端面で歯と歯の間に存
在するシリコンオイルは、導溝14a、14b、18
a、18bを介して両歯車8、9の歯形形成端面より内
周域に移送される。このため、各歯車8、9が前後に移
動したとしても、それら内周域に焼付きを生じることは
ない。入力軸5又は従動軸6の外周面まで移送されたシ
リコンオイルは、入力軸5又は従動軸6を支承する軸受
5b、6a、5c、6bの潤滑に供され、その後内部漏
れとして吸入室Sへと逆流する。
【0030】このため、この車両用暖房装置では、シリ
コンオイルが各歯車8、9の焼付きの防止を行なうとと
もに、軸受5b、6a、5c、6bの潤滑及び発熱の寄
与をも行なう。したがって、この車両用暖房装置では、
過酷な条件下でも、好適な熱交換を行いつつ優れた耐久
性を発揮することができる。 (実施例2)次に、第2発明及び第3発明を具体化した
実施例2を図面6及び図7を参照しつつ説明する。
【0031】この車両用暖房装置は、スリーブを二つも
つものである。他の構成は実施例1と同様であるため、
同様の構成については同一符号を付して説明を省略す
る。すなわち、図7に示すように、フロントカバー2の
主軸孔10aには入力軸5を軸受5bを介して支持する
とともに駆動歯車8を受承するスリーブ(第1スリー
ブ)13が嵌入され、フロントカバー2の副軸孔10b
には従動軸6を軸受6aを介して支持するとともに従動
歯車9を受承する第2スリーブ14が嵌入されている。
【0032】密閉空間10の一方の形成側壁10cは第
1スリーブ13と第2スリーブ14とにより形成されて
いる。駆動歯車8の前端面は第1スリーブ13に受承さ
れ、従動歯車9の前端面は第2スリーブ14とにより受
承されている。また、両歯車8、9の後端面はシリンダ
ブロック1により形成された密閉空間10の他方の形成
側壁10dに受承されている。
【0033】図6に示すように、第1スリーブ13に
は、第1スリーブ13が従動歯車9における歯底円9a
から歯先円9bまでの歯車端面と重合する範囲をやや超
える回避凹部7aが刻設されており、第2スリーブ14
には、第2スリーブ14が駆動歯車8における歯底円8
aから歯先円8bまでの歯車端面と重合する範囲をやや
超える回避凹部7bが刻設されており、回避凹部7a、
7bは両者によりラグビーボール形状とされている。ま
た、第1、2スリーブ13、14の回避凹部7a、7b
を除く部位には、放射状に延びる4条の導溝14a、1
4bが刻設されている。
【0034】この車両用暖房装置では、第1スリーブ1
3及び第2スリーブ14の一方が他方に対して段差tを
有して突出しても、回避凹部7a、7bにおいてはその
段差tは消滅されている。このため、例えば、従動歯車
9が形成側壁10c側に移動したとしても、従動歯車9
の歯車端面9cはなんら干渉せず、従動歯車9が摩耗さ
れることはない。駆動歯車8が形成側壁10c側に移動
した場合も同様である。
【0035】そして、両歯車8、9の歯車形成端面、つ
まり歯底円8a、9aより外側の端面でバックラッシに
より存在するシリコンオイルは、導溝14a、14b、
18a、18bを介して両歯車8、9の歯形形成端面よ
り内周域に移送される。したがって、この車両用暖房装
置においても、実施例1と同様に、過酷な条件下でも、
好適な熱交換を行いつつ優れた耐久性を発揮することが
できる。
【0036】なお、上記実施例1、2では、導溝を両歯
車に刻設したが、スリーブ、フロントカバー又はシリン
ダブロックに刻設することもできる。また、歯車ポンプ
機構としては外接歯車ポンプ機構に限られず、仕切り板
を用いた内接歯車ポンプ機構、トロコイド歯形による内
接歯車ポンプ機構を採用することもできる。さらに、粘
性流体もシリコンオイルに限られず、一般的な作動油を
使用することもできる。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の車両用暖
房装置では、特許請求の範囲記載の構成を採用している
ことから、エンジンの始動により比較的迅速に車室内の
暖房を実現でき、かつ優れた搭載性と、製造コストの低
廉化とを同時に実現することができる。
【0038】また、この車両用暖房装置では、特許請求
の範囲記載の構成を採用しているため、駆動歯車又は従
動歯車が摩耗しにくく、また歯車形成端面より内周域で
焼付きを生じにくいことから、過酷な条件下でも優れた
耐久性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両用暖房装置に係る縦断面図であ
る。
【図2】実施例1の車両用暖房装置を示し、図1のA−
A矢視図である。
【図3】実施例1の車両用暖房装置を示し、図1のB−
B矢視断面図である。
【図4】実施例1の車両用暖房装置を示し、図1のC−
C矢視断面図である。
【図5】実施例1の車両用暖房装置の要部断面図であ
る。
【図6】実施例2の車両用暖房装置を示し、図3と同様
の断面図である。
【図7】実施例2の車両用暖房装置の要部断面図であ
る。
【図8】先の提案の車両用暖房装置の要部断面図であ
る。
【図9】先の提案の車両用暖房装置の要部断面図であ
る。
【符号の説明】
5…入力軸 6…従動軸 8
…駆動歯車 9…従動歯車 10…密閉空間 D
…吐出室 S…吸入室 C…間隙 G
…歯車ポンプ機構 W…ウォータジャケット 1…シリンダブロック 2…フロントカバー 5b、6a…軸受 13…スリーブ(第1スリーブ)14…第2スリーブ 7、7a、7b…回避凹部 14a、14b、18
a、18b…導溝

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンに連結された入力軸と、該入力軸
    に固着された駆動歯車と、従動軸に固着され該駆動歯車
    と噛合する従動歯車とを有し、密閉空間内において、該
    駆動歯車と該従動歯車との回転により粘性流体を強制移
    送し、かつ吐出側から内部漏れによる粘性流体の逆流を
    促して、該粘性流体を発熱させる歯車ポンプ機構と、 該歯車ポンプ機構を囲繞する外域に形成され、該粘性流
    体の発生熱を循環水の温度上昇に変換するウォータジャ
    ケットと、を具備し、 前記密閉空間は、シリンダブロックと、該シリンダブロ
    ックに接合されたフロントカバーと、該フロントカバー
    に保持され前記入力軸を軸受を介して支持するとともに
    前記駆動歯車を受承するスリーブと、により形成され、
    該スリーブは前記従動歯車の歯車端面との干渉を回避す
    べく該フロントカバーの接合端面より凹設されてなるこ
    とを特徴とする車両用暖房装置。
  2. 【請求項2】エンジンに連結された入力軸と、該入力軸
    に固着された駆動歯車と、従動軸に固着され該駆動歯車
    と噛合する従動歯車とを有し、密閉空間内において、該
    駆動歯車と該従動歯車との回転により粘性流体を強制移
    送し、かつ吐出側から内部漏れによる粘性流体の逆流を
    促して、該粘性流体を発熱させる歯車ポンプ機構と、 該歯車ポンプ機構を囲繞する外域に形成され、該粘性流
    体の発生熱を循環水の温度上昇に変換するウォータジャ
    ケットと、を具備し、 前記密閉空間は、シリンダブロックと、該シリンダブロ
    ックに接合されたフロントカバーと、該フロントカバー
    に保持され前記入力軸を軸受を介して支持するとともに
    前記駆動歯車を受承する第1スリーブと、該フロントカ
    バーに保持され前記従動軸を軸受を介して支持するとと
    もに前記従動歯車を受承する第2スリーブと、により形
    成され、該第1スリーブと該第2スリーブとの歯車受承
    面には相互に噛合する歯車端面との干渉を回避する回避
    凹部が刻設されてなることを特徴とする車両用暖房装
    置。
  3. 【請求項3】エンジンに連結された入力軸と、該入力軸
    に固着された駆動歯車と、従動軸に固着され該駆動歯車
    と噛合する従動歯車とを有し、密閉空間内において、該
    駆動歯車と該従動歯車との回転により粘性流体を強制移
    送し、かつ吐出側から内部漏れによる粘性流体の逆流を
    促して、該粘性流体を発熱させる歯車ポンプ機構と、 該歯車ポンプ機構を囲繞する外域に形成され、該粘性流
    体の発生熱を循環水の温度上昇に変換するウォータジャ
    ケットと、を具備し、 前記密閉空間の形成端面と前記駆動歯車又は前記従動歯
    車の歯形形成端面より内周域との間には、粘性流体を案
    内する放射状の導溝が刻設されてなることを特徴とする
    車両用暖房装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109405612A (zh) * 2018-11-23 2019-03-01 重庆岩昱节能科技有限公司 一种液态金属循环系统

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