JP4056445B2 - 金属抵抗器 - Google Patents

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本発明は、例えば大電流を高精度で検出するのに好適な電流検出用抵抗器に係り、特に抵抗用合金からなる抵抗体に高導電率の金属からなる電極を接合した金属抵抗器の構造に関する。
大電流の検出に、ミリΩオーダの極めて微小な抵抗値を有する金属抵抗器を用いることが広く知られている。この金属抵抗器を用いた大電流の検出では、既知の低抵抗値Rを有する抵抗器に、電流Iを流したときの抵抗器の両端における電圧降下Vを測定することで、オームの法則
I=V/R
を用いて電流値Iを検出することができる。
このような用途の金属抵抗器の一例として、図4に示すものが知られている(特許文献1参照)。この金属抵抗器は、抵抗用合金からなる矩形状の抵抗体11の裏面に、高導電率の金属からなる電極12,12をその両端部に配置したものである。ここで、電極12,12はプリント基板上に配置されたパッドに、はんだ処理により接続するためのものであり、プリント基板のパッド(電流配線)から電流を抵抗体に流し、その抵抗体の両端に生じる電圧を電極を介してプリント基板上のパッドに接続した電圧検出配線により取り出すものである。
特開2002−57009号公報
ところで、上述したような金属抵抗器の抵抗値は、電極間の抵抗体の長さおよび断面積と材料の固有抵抗により主として決まってくる。このため、所要の抵抗値を得るためには、両電極間の長さおよび抵抗体の板厚を調整する必要がある。しかしながら、金属抵抗器の抵抗値は、比較的低い領域から高い領域まで、一般に規格により定められている。このため抵抗値が決まると、抵抗体材料の固有抵抗や製品の寸法等の制約により電極のサイズが限定されてくる。
ところが、プリント基板に表面実装する一般のチップ部品には、それぞれのサイズに対応した標準的な電極パッドの寸法およびパッド間の間隔が存在する。このため、上述したような所要の抵抗値を出すための電極サイズおよび間隔と整合が取れず、表面実装時に抵抗器の搭載位置がずれる等の問題があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、プリント基板等に設けられた標準的なチップ部品のランドに、容易に且つ確実に実装することができるとともに、所要の抵抗値を高精度で得ることができる金属抵抗器およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の金属抵抗器は、抵抗用合金からなる矩形状の抵抗体と、該抵抗体の両端部に接合した高導電率の金属板体からなる一対の電極とを備え、前記電極はそれぞれ肉厚部と肉薄部を有しており、且つ、前記肉薄部が、前記一対の電極の内側となるように設けられていることを特徴とするものである。そして、前記電極の肉薄部の表面とその間の抵抗体表面は絶縁材料で覆われていることが好ましく、前記電極の肉厚部と肉薄部との境界は、曲率半径を有する面で接続されていることが好ましく、前記抵抗体には、その両端部に配置された両電極間に肉薄部が形成され、該肉薄部は曲率半径を有する面で前記抵抗体の前記電極の接合部である肉厚部に接続されていることが好ましい。
上記本発明によれば、電極に肉厚部と肉薄部を設けるようにしたものである。これにより、肉厚部のサイズおよび間隔を標準的なチップ部品のパットサイズに適合させることができる。また、肉薄部を含む電極全体のサイズにより、任意の抵抗値の金属抵抗器を製作することができる。従って、電極全体としては抵抗値の調整等のために、そのサイズを任意に設定することが可能であり、任意の高精度の抵抗値の抵抗器を得ることができると共に、その実装用の電極として肉厚部のサイズを、標準チップ部品の電極パッドサイズに適合させることができる。それ故、金属抵抗器の実装に際して、ランドパターンと電極との整合が取れない等の問題がなくなり、搭載位置がずれる等の問題が無くなり、安定した実装が可能となる。
また、抵抗体の肉薄部を曲率半径を有する面で抵抗体の肉厚部に接続することで、その接続部における電流の集中を回避できる。また、曲率半径を有する面で接続することで、抵抗体の厚みが確保できるので熱伝導性も確保できる。また、電極の肉薄部を曲率半径を有する面でその肉厚部に接続することで、熱伝導性が向上し、特性の安定化に寄与する。
本発明によれば、任意の抵抗値を有する高精度の金属抵抗器が標準的なチップ部品のパッドサイズに対応した電極(肉厚部)を備えているので、表面実装を容易に且つ正確に行うこことができるという効果が生じる。総じて本発明によれば、実装性が良好な高精度の金属抵抗器を容易に且つ低コストで製造することができるという効果が生じる。
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の金属抵抗器をプリント基板に実装した状態を示し、図2(a)(b)はその金属抵抗器の断面および底面の構成例を示す。なお、各図中、同一の機能を有する部材または要素には同一の符号を付して、その重複した説明を省略する。
図1および図2(a)に示すように、金属抵抗器10は抵抗用合金からなる矩形状の抵抗体11と、この抵抗体の裏面側両端部にクラッド接合により接合した高導電率の金属からなる電極12,12とを備えている。ここで、抵抗用合金としては、銅・ニッケル合金、ニッケル・クロム合金、鉄・クロム合金、マンガン・銅・ニッケル合金、白金・パラジウム・銀合金、金・銀合金、金・白金・銀合金、等が用いられる。また、電極12を構成する高導電率の金属としては銅が好ましい。
電極12は、抵抗体の外側に配置された肉厚部12aとその内側に配置された肉薄部12bとを備えている。抵抗体11には両電極の肉薄部12b,12b間に凹部13を備え、この部分が抵抗体の肉薄部11bとなり、その他の部分が肉厚部11a,11aとなっている。電極の肉厚部12a,12aの下面には、溶融はんだ層17,17が配置され、はんだ付け性を良好なものとしている。
そして、電極の肉薄部12b,12bと抵抗体の肉薄部11bとの表面は、例えばポリイミド樹脂等の絶縁材料15により被覆(アンダコート)されている。また、抵抗体11の上面(表面)も同様に例えばエポキシ樹脂等の絶縁材料(トップコート)16により被覆されている。これらの絶縁材料は、絶縁保護層としての役割を果たしている。なお、トップコート16は省略される場合もある。
この金属抵抗器10は、プリント基板21に実装されている。即ち、プリント基板21にはランドパターン22,22を備え、この部分に電極12の肉厚部12a,12aが例えばクリームはんだのリフロー処理等により接合される。ここで、ランドパターン22には電流供給配線22aが接続されると共に、電圧検出配線23が接続されている。
従って、電流供給配線22aから金属抵抗器10の一方の電極12に電流が流入し、抵抗体11の内部を電流が流れ、他方の電極12から他方のランドパターンに接続された電流供給配線22aに電流が流出する。そして、この電流が流れることによって形成される抵抗体の電圧は、ランドパターン22に接続された電圧検出配線23,23により取り出される。従って、電流Iの検出にあたっては、この金属抵抗器の既知の抵抗値Rに対して、検出された電圧Vとの関係から、
I=V/R
により、電流値の大きさIを求めることができる。
ここで、この金属抵抗器においては、電極肉厚部12aのサイズを、標準チップ部品のランドパターン22のサイズに合わせると共に、電極肉厚部12a,12aの間の間隔を標準チップ部品のランドパターン22,22間の間隔に合わせている。従って、実装に際して、プリント基板21が標準チップ部品のランドパターンを備えている場合には、金属抵抗器10の電極12,12の位置を正確にランドパターン22,22の位置に合わせることができる。それ故、従来から金属抵抗器の電極が標準的なチップ部品のランドパターンのサイズから外れることに伴う位置ズレ等の弊害を防止することができる。
図2(a)(b)は、電極肉薄部を形成した金属抵抗器の構造例を示す。この金属抵抗器10は、上述したように電極12の肉厚部12a,12aのサイズを標準チップ部品のランドパターンのサイズに合わせると共に、その間隔も標準チップ部品のランドパターンの間隔に合わせるようにしたものである。例えば、「2B」サイズのチップ部品の場合、A=1.6mmであり、B=3.2mmである。この場合、標準チップ部品のランドパターンのサイズおよび間隔は、概略図2(c)に示す程度となる。
この金属抵抗器では、A×Bの標準チップサイズの標準ランドパターンの大きさが、概略A×Dであると、これに合わせて電極肉厚部12aのサイズをA×Dとし、その間隔を標準ランドパターンの間隔に合わせてEとしたものである。
一方で、電極12の全体としてのサイズは、抵抗器の所要抵抗値R、抵抗体材料の固有抵抗ρ、および抵抗器のサイズA×B、等により決められる。ここで、抵抗体11の肉薄部11bの厚さをtとすると、抵抗器の抵抗値Rは、実質的に両電極間の抵抗体の断面積(A×t)と、長さFと、固有抵抗ρとから決まってくる。即ち、
R=ρ・F/(A×t)
となる。
従って、この金属抵抗器10においては、所要の抵抗値Rから抵抗体材料の固有抵抗ρ、および抵抗体肉薄部11bの厚さtおよび幅Aを考慮して、電極12,12の間隔Fを定めることができる。即ち、間隔Fは抵抗値およびそのトリミングのし易さ等を考慮して自由に設定できる。そして、標準チップ部品のランドパターンのサイズおよび位置に合わせて、電極肉厚部12a,12a間の間隔Eを決めることができる。これにより、任意の抵抗値で且つその標準チップ部品のランドパターンのサイズおよび間隔に合わせた電極肉厚部を有する金属抵抗器を設計することができる。なお、厚さtおよび幅Aを正確にトリミングすることで、高精度の抵抗値を有する抵抗器を製造することができる。
次ぎに、抵抗体の肉厚部と肉薄部との境界に設けられた曲面について説明する。即ち、抵抗体11には、その両端部に配置された両電極12,12間に凹部13(肉薄部11b)が形成され、肉薄部は曲率半径rを有する面で抵抗体の電極12の接合部である肉厚部11aに接続されている。この曲率半径rを有する面で肉薄部を肉厚部に接続することで、電流の集中を回避することができ、特性の安定化を図ることができる。即ち、図4に示す従来例の場合には、この部分に角部が形成されるため、この部分で電流が集中し発熱するという問題があり、特性を悪くする一因があった。曲率半径rを有する面で接続することで、電流分布の均一性が向上し、局部的な発熱も防止され、また電流パスが安定化することから抵抗値の変動や浮遊インダクタンスの上昇等を防止することが可能である。
同様に、電極肉厚部12aと肉薄部12bとの境界は、曲率半径r’を有する面で接続されているので、同様に電流分布の均一性を向上し、また熱伝導効率を向上することができる。
次ぎに、この金属抵抗器の製造方法について、図3を参照して説明する。まず、抵抗用合金(例えば銅・ニッケル合金)からなる抵抗体板体31と、高導電率の金属(例えば銅)の板体32とを固着し、抵抗体31の上面に例えばエポキシ材等からなる絶縁材料の被覆層(トップコート)33を形成し、電極となる金属の板体32の下面に溶融はんだ層34を形成した材料を準備する。
次ぎに、図3(a)に示すように、抵抗値調整および電極分離のための第一の切削を行う。即ち、上述したように所要の抵抗値Rを得るために、所要の幅Fおよび抵抗体厚さtが得られるようにグラインダ等により切削して、その部分の溶融はんだ層34、電極となる金属板体32、および抵抗体31の一部を除去する。ここで、グラインダ等はエッジ部に曲率半径rを有するものを用い、これにより抵抗体31の肉厚部と肉薄部との境界部が曲率半径rを有する面で接続することが好ましい。
次ぎに、図3(b)に示すように、電極肉厚部のサイズ(A×D)および間隔Eの調整のための第二の切削を行う。即ち、図2(b)に示す電極肉厚部12a,12a間の間隔(距離)Eを形成するように、グラインダ等を用いて電極となる金属板体32を切削して、その部分の溶融はんだ層34および金属板体32を除去する。これにより、電極肉薄部12b,12bが形成され、肉薄部12bと肉厚部12aとは曲率半径r’を有する面で接続することが好ましい。この曲率半径r’を有する面の形成は、例えばグラインダのエッジ部に曲率半径r’となる部分を設けておくことで形成することができる。なお、除去する厚さは、肉薄部の厚さが電流分布の均一性に影響を与えないように選定する必要がある。また、図3(b)と(c)の工程順は逆にしても勿論よい。
次ぎに、図3(c)に示すように、切削により露出した電極肉薄部12bおよび抵抗体肉薄部11bの表面を例えばポリイミド等からなる絶縁材料の保護膜(アンダコート)15を形成する。これにより、抵抗体31(11)の上面に絶縁材料の被覆(トップコート)33(16)を備え、抵抗体の下面に肉厚部と肉薄部を有する電極32(12)を備え、且つ電極肉厚部がサイズ(A×D)および間隔Eを有し、標準のチップ部品の電極パッドサイズに適合した金属抵抗器を製造することができる。
なお、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
本発明の実施の形態の金属抵抗器をプリント基板に実装した状態を示す斜視図である。 図1に示す金属抵抗器の(a)は断面図であり、(b)は底面図であり、(c)はランドパターン例を示す平面図である。 図1に示す金属抵抗器の製造工程の概要を示す断面図である。 従来の金属抵抗器の構造例を示す断面図である。
符号の説明
10 金属抵抗器
11,31 抵抗体
11a 肉厚部
11b 肉薄部
12,32 電極(金属板体)
12a 肉厚部
12b 肉薄部
15 絶縁材料(アンダコート)
16,33 絶縁材料(トップコート)
17,34 溶融はんだ層

Claims (4)

  1. 抵抗用合金からなる矩形状の抵抗体と、
    該抵抗体の両端部に接合した高導電率の金属板体からなる一対の電極とを備え、
    前記電極はそれぞれ肉厚部と肉薄部を有しており、且つ、前記肉薄部が、前記一対の電極の内側となるように設けられていることを特徴とする金属抵抗器。
  2. 前記電極の肉薄部の表面および電極間の抵抗体表面は絶縁材料で覆われていることを特徴とする請求項記載の金属抵抗器。
  3. 前記電極の肉厚部と肉薄部との境界は、曲率半径を有する面で接続されていることを特徴とする請求項1記載の金属抵抗器。
  4. 前記抵抗体には、その両端部に配置された両電極間に肉薄部が形成され、該肉薄部は曲率半径を有する面で前記抵抗体の前記電極の接合部である肉厚部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の金属抵抗器。
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