JP4055885B2 - 圧電薄膜振動素子、及びこれを用いたフィルタ - Google Patents

圧電薄膜振動素子、及びこれを用いたフィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電薄膜振動素子、及びこれを用いたフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、世界共通の携帯電話を実現するため、IMT2000システム等の導入が検討されている。このシステムにおいては、利便性を向上させるために、従来以上の小型化が要求され、このシステムに用いられる発振素子やフィルタにも、小型化が強く要求される。
【0003】
現在、発振素子としては、SAWデバイス、水晶や圧電セラミックからなる振動子の逓倍素子等が利用され、フィルタとしては、発振素子を複数組合せたものが利用されている。
【0004】
この発振素子やフィルタを小型化するための手段として、圧電薄膜振動素子が注目されている。例えば、Electronics Letters 17巻(1981) 507-508ページには、Si基板上にSiO2からなる厚み21.5μmのダイアフラムを形成し、その上に下部励振電極及び厚み4.5μmのZnO圧電薄膜を形成し、さらに上部励振電極を配置して構成された圧電薄膜振動素子が開示されている。この従来の圧電薄膜振動素子は、厚み方向の基本モードの縦波を共振させることが可能であり、共振波長はダイアフラムの厚みの2倍となる。このため、ダイアフラムの厚みを薄くすれば、共振周波数が増大し、例えば、厚み約1μmで約2GHzとなる。
【0005】
この圧電薄膜振動素子は、▲1▼機械振動を利用しているため、インピーダンス特性が急峻であり、▲2▼共振周波数を決めるダイアフラムの厚みが、0.5〜5μm程度であるため、高周波化が容易であり、▲3▼電極の1辺長が、厚みの10倍から200倍程度であるため、小型化が図れ、▲4▼入力電力に対する電力耐性が大きいため、回路設計が容易になる等の特徴がある。また、電気機械結合係数が大きな圧電薄膜からなる超広帯域な圧電薄膜振動素子を利用することにより、小型で、周波数可変幅が広く、位相雑音の低いVCO回路の実現も期待されている。
【0006】
ところが、上述した従来の圧電薄膜振動素子は、上述したElectronics Letters 17巻(1981) 507-508ページ 第2図bに開示されているように、インピーダンス特性に数個のスプリアスが現われる。
【0007】
このスプリアスは、その強度が大きいほど、圧電薄膜振動素子の振幅特性及び位相特性が悪くなる。このため、従来の圧電薄膜振動素子は、発振特性において、いわゆる周波数とびが生じる等の問題があった。また、従来の圧電薄膜振動素子を組み合わせて得られるフィルタは、圧電薄膜振動素子の振幅特性及び位相特性が悪いので、位相特性や群遅延特性に大きなリップルが生じたり、大きな挿入損失が生じるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの振幅特性を向上できる圧電薄膜振動素子を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの課題は、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの位相特性を向上できる圧電薄膜振動素子を提供することである。
【0010】
本発明の更にもう1つの課題は、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子を用いることにより、挿入損失を低減できるフィルタを提供することである。
【0011】
本発明の更にもう1つの課題は、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子を用いることにより、位相特性のリップルを低減できるフィルタを提供することである。
【0012】
本発明の更にもう1つの課題は、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子を用いることにより、群遅延特性のリップルを低減できるフィルタを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は3つの態様に係る圧電薄膜振動素子を開示する。本発明の第1の態様に係る圧電薄膜振動素子は、圧電薄膜と、上部励振電極と、下部励振電極とを含む。
【0014】
下部励振電極は、圧電薄膜の厚み方向の一方の主面に設けられている。上部励振電極は、下部励振電極に対向して、圧電薄膜の厚み方向の他方の主面に設けられており、長軸径の長さaと、短軸径の長さbとの比、a/bが、1.9<a/b<5.0となる楕円形である。
【0015】
上述したように、本発明に係る圧電薄膜振動素子において、下部励振電極は、圧電薄膜の厚み方向の一方の主面に設けられ、上部励振電極は、下部励振電極に対向して、圧電薄膜の厚み方向の他方の主面に設けられている。このため、本発明に係る圧電薄膜振動素子は、上部励振電極と下部励振電極との間に与えられた電圧により、厚み縦振動の基本波を主振動とする振動をすることができる。
【0016】
また、本発明に係る圧電薄膜振動素子において、上部励振電極は、長軸径の長さaと、短軸径の長さbとの比、a/bが、1.9<a/b<5.0となる楕円形である。このため、主振動に起因したインハーモニックモードのスプリアスが現われた場合であっても、このスプリアスの強度を効果的に低減できる。
【0017】
また、本発明に係る圧電薄膜振動素子は、スプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの振幅特性を向上できる。また、スプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの位相特性を向上できる。
【0018】
また、本発明に係る圧電薄膜振動素子は、圧電素子が圧電薄膜からなるので、薄型化及び小型化が図れる。
【0019】
また、本発明の第2の態様に係る圧電薄膜振動素子において、上部励振電極は、下部励振電極に対向して、圧電薄膜の厚み方向の他方の主面に設けられ、第1の辺と、第2の辺と、第1の弧状縁部と、第2の弧状縁部とを含む。
【0020】
第1の辺及び第2の辺は、互いに平行である。第1の弧状縁部及び第2の弧状縁部は、第1の辺及び第2の辺の対向する端部に連なっている。第1の辺又は第2の辺の長さcと、第1の辺と第2の辺との間の距離dとの比、c/dは、0.3 < c/d < 5.0である。
【0021】
このため、厚み縦振動の基本波を主振動に起因したインハーモニックモードのスプリアスが現われた場合であっても、このスプリアスの強度を効果的に低減できる。
【0022】
また、本発明の第3の態様に係る圧電薄膜振動素子において、上部励振電極の面積は、その面積を変えずに形状を正方形とし、共振周波数をfrとし、反共振周波数をfaとしたとき、圧電薄膜振動素子の電気的共振特性におけるfr〜(2fa−fr)の周波数範囲に、スプリアスが5個以上発生するように選定されている。このため、上部励振電極の面積が大きくなるので、スプリアスの数が増加し、スプリアスの強度が効果的に低減する。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る圧電薄膜振動素子の一実施例を示す正面断面図、図2は図1に示した圧電薄膜振動素子の平面断面図、図3は図2の部分拡大図である。図において、圧電薄膜振動素子は、上部励振電極11と、下部励振電極21と、圧電薄膜41と、ダイアフラム50と、バッファ層61と、パッケージ66とを含む。
【0024】
圧電薄膜41は、窒化アルミニウムAlNからなり、主面が4角形であり、厚みが1.96μmである。圧電薄膜41の厚み方向はz軸に沿っている。圧電薄膜41の主面の辺は、x軸、y軸に沿っており、圧電薄膜41のa軸方向は、x軸に沿っている。
【0025】
この圧電薄膜41は、厚み方向に配向又はエピタキシャル成長させることにより形成され、厚み方向にc軸を持ち、対称性は六方晶系に属し、点群は6mmである。更に具体的には、この圧電薄膜41は、(002)面に関するX線2結晶法から得られたロッキングカーブの半値全幅が、1.2°程度である。
【0026】
また、圧電薄膜としては、酸化亜鉛ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛PZT、チタン酸鉛PbTiO3、ニオブ酸カリウムKNbO3、ビスマス系酸化物(例えば、ビスマスBi4Ti1312やSrBi2Ta29)、Ba系酸化物(例えば、(Ba,Sr)TiO3)等を用いてもよい。チタン酸ジルコン酸鉛PZT、チタン酸鉛PbTiO3、ニオブ酸カリウムKNbO3、ビスマス系酸化物(例えば、ビスマスBi4Ti1312やSrBi2Ta29)、Ba系酸化物(例えば、(Ba,Sr)TiO3)等の強誘電体を用いる場合には、圧電薄膜41の厚み方向に分極させることが好ましい。
【0027】
下部励振電極21は、白金Ptからなる4角形の電極であり、各辺がx軸、y軸に沿っており、圧電薄膜41の厚み方向の一方の主面に設けられており、上部励振電極11よりも面積が大きい。
【0028】
上部励振電極11は、アルミニウムAlからなる厚み300nmの電極であり、下部励振電極21に対向して、圧電薄膜41の厚み方向の他方の主面に設けられている。この上部励振電極11は、長軸径の長さaと、短軸径の長さbとの比、a/bが、1.9<a/b<5.0となる楕円形である。更に具体的には、長軸径の長さaが260μm、短軸径の長さbが120μmである。
【0029】
この長軸は、x軸から10°〜80°の角度で傾斜するように配置されている。更に具体的には、長軸は、x軸から60°の角度で傾斜するように配置されている。
【0030】
ダイアフラム50は、Si半導体基板51からなる。Si半導体基板51の(100)方向は、x軸方向に沿っている。このSi半導体基板51は、主面に直交する端面がx軸、y軸に沿っている。Si半導体基板51の一方の主面には、バッファ層61を介して下部励振電極21が設けられている。このバッファ層61は、好ましくは、酸化ジルコニウム又はチタン酸バリウムを含む。
【0031】
Si半導体基板51の他方の主面には、下部励振電極21に対向して、凹部52が設けられている。凹部52の最底面53は、4角形であり、4角形の各辺がx軸、y軸に沿っている。この最底面53の面積は、上部励振電極11の面積よりも大きく、下部励振電極21の面積よりも小さい。この凹部52により、Si半導体基板51の一方の主面と最底面53との間に約0.2μmの薄膜が形成され、この薄膜がダイアフラムの振動面となる。
【0032】
また、凹部52を設ける代わりに、圧電薄膜41とSi半導体基板51との間に音響多層膜を設けてもよい。また、凹部52を設ける代わりに、圧電薄膜41とSi半導体基板51との間に空隙を設けてもよい。
【0033】
パッケージ66は、ケース63と、上蓋64と、下蓋65と、接着剤62とを含む。Si半導体基板51は、接着剤62で下蓋65に固着される。この接着剤62は、いわゆるダイボンド剤、例えば、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。上部励振電極11、下部励振電極21、圧電薄膜41、ダイアフラム50及びバッファ層61は、パッケージ66に収納される。
【0034】
そして、上部励振電極11は、引出し電極31、ボンデイングパッド32、リード33を介して、パッケージ66の外部に引き出され、下部励振電極21は、引出し電極35、ボンデイングパッド36、リード37を介して、パッケージ66の外部に引き出される。引出し電極31、ボンデイングパッド32の寸法は、40μm×50μm、150μm×150μmである。
【0035】
本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、例えば、以下の工程により製造できる。まず、(100)面を持つSi半導体基板51上にバッファ層61を形成する。バッファ層61の上面には、白金Ptの薄膜を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術を用いて、この薄膜を処理し、下部励振電極21、引き出し電極35、ボンデイングパッド36を形成する。
【0036】
次に、RFマグネトロンスパッタ法を用いて、下部励振電極21、引き出し電極35上に、圧電薄膜41を形成する。圧電薄膜41上には、アルミニウムAlの薄膜を蒸着し、フォトリソグラフィー技術を用いて、この薄膜を処理し、上部励振電極11、引出し電極31、ボンデイングパッド32を形成する。
【0037】
次に、Si半導体基板51の圧電薄膜41を形成していない面からアルカリエッチャントを用いて、凹部52を形成する。そして、Si半導体基板51をダイシング装置で所定の大きさに切断し、接着剤62を用いて下蓋65に接着する。最後に、下蓋65をケース63に接着し、引出し電極31、35、ボンデイングパッド32、36、リード33、37を介して、上部励振電極11、下部励振電極21をパッケージ66の外部に引き出し、ケース63に上蓋64を接着して封止する。
【0038】
上述した本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、上部励振電極を簡素化することにより、理論解析を行うことができる。図4乃至図6は、図1に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極11を簡素化した圧電薄膜振動素子の部分拡大平面図であり、上部励振電極の形状のみが図1に示した圧電薄膜振動素子と異なる。
【0039】
図4に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極121は、一辺が250μmの正方形であり、図5に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極122は、一辺が200μmの正方形であり、図6に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極123は、一辺が170μmの正方形である。
【0040】
図7は、図4に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の測定値を示す図であり、図8は図7の部分拡大図である。図4乃至図6に示した圧電薄膜振動素子は、同様のインピーダンス特性を有するので、図5、図6に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の図示は省略する。
【0041】
図7、図8に示すように、図4に示した圧電薄膜振動素子のインピーダンス特性には、共振周波数をfrとし、反共振周波数をfaとしたとき、周波数frから周波数2fa−frの周波数範囲に、18個程度のスプリアスが現われる。そして、反共振周波数fa近傍においては、大きな強度のスプリアスが現われる。ここで、スプリアスの強度とは、スプリアスピークの中点を結ぶ仮想線からのずれ量x1(図8参照)とする。図5、図6に示した圧電薄膜振動素子のインピーダンス特性は、図4に示した圧電薄膜振動素子のインピーダンス特性と比較して、スプリアスの個数が若干減り、その強度は若干強くなるが、類似の共振特性となる。
【0042】
そして、図4乃至図6に示した圧電薄膜振動素子のインピーダンス特性から、弾性定数C44 Eは、計算上のパラメータとして、測定したスプリアス周波数位置に計算値が合うように決めることができる。また、圧電薄膜41の材料定数について、誘電率ε33は低周波域でのインピーダンスから求め、弾性定数C33 Eは共振周波数frから求め、圧電定数e33は共振周波数frと反共振周波数faとの差fr−faから浮遊容量を考慮してを求めることができる。
【0043】
上記定数を用いて、厚み縦振動の基本波を主振動とするインハーモニックモード周波数の電極寸法依存性を計算すると、分散曲線の傾き及びポアソン比は、それぞれ0.49及び0.35であった。
【0044】
この結果、測定値と計算値の周波数位置が良く一致することから、圧電薄膜振動素子の振動は厚み縦振動の基本波を主振動とするものであり、スプリアスは、この主振動に起因したインハーモニックモードであると同定できる。
【0045】
このインハーモニックモードの周波数ωnは、下記式によって近似される。
(ωnh)2=[C55 D(k1h)2+C44 D(k2h)2+C33 D(k3h)2]/ρ (1)
ここで、ρは、圧電薄膜41の密度であり、hは電極の厚みである。k1、k2は、x軸、y軸に沿った波数であり、電極端の境界条件と電極の面内寸法と分散曲線の傾きから決められる整数nで指定される離散的な値となる。k3は、z軸に沿った波数であり、k3hが電極領域における規格化遮断周波数となる。
【0046】
例えば、図7に示した18個のスプリアスの周波数位置は、(1)式において整数n=1〜18とした周波数ωnとなる。この(1)式に示したインハーモニックモードの周波数ωnは、x軸、y軸に沿った波数k1、k2だけでなく、z軸に沿った波数k3にも大きく依存する。
【0047】
ところで、本発明者らの検討によると、上部励振電極11の面積を大きくした場合には、上述したインハーモニックモードが多く出現し、インハーモニックモードの励振強度が小さくなり、スプリアスの個数が増加し、スプリアス強度が低下することが分かった。
【0048】
スプリアスの強度は、圧電薄膜振動子の共振特性評価に密接に関連する。そこで、スプリアス強度に関係する上部励振電極の面積をいかに選定するかが問題となる。本発明では、上部励振電極の面積は、次のように選定する。
【0049】
まず、上部励振電極の面積を変えずに、上部励振電極の形状を正方形にし、圧電薄膜振動素子の電気的共振特性を測定する。次に、共振周波数をfrとし、反共振周波数をfaとしたとき、電気的共振特性におけるfr〜(2fa−fr)の周波数範囲に発生するスプリアスの個数を測定する。そして、発生するスプリアスの個数が5個以上となるように、上部励振電極の面積を選定する。
【0050】
上部励振電極の面積を、このように選定することにより、上部励振電極の面積が大きくなるので、スプリアスの数が増加し、スプリアスの強度が低減する。
【0051】
更なる本発明者らの検討によると、スプリアス強度は、上部励振電極の面積がある値以内にあるうちは、上部励振電極の形状に依存するが、上部励振電極の面積が、ある値を超えて大きくなると、上部励振電極の形状に殆ど依存しなくなることも明らかになった。
【0052】
例えば、上部励振電極の面積を、上記方法により測定したスプリアスが5個以上、50個以下となるような値に選定した場合には、スプリアス強度が、上部励振電極の形状に依存する。この場合には、上部励振電極の形状を、図3に示した上部励振電極11(楕円形状)や、図13に示した上部励振電極13(以下、スタジアム形状という。)にすることができる。
【0053】
また、上部励振電極の面積を、上記方法により測定したスプリアスが、50個よりも多くなるように選定した場合には、上部励振電極の面積が十分に大きいので、スプリアス強度が、上部励振電極の形状に依存しなくなる。この場合には、任意の形状、例えば、楕円形状、スタジアム形状、正方形等の上部励振電極を用いことができる。
【0054】
図9は、図1に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極11の形状のみを変化させた場合の、インピーダンスの振幅特性におけるスプリアス強度を示す図である。ここで、上部励振電極11は、電極面積を4×10-82に維持し、楕円の長軸径の長さaと短軸径の長さbの比a/bを変化させた。
【0055】
図9から、長軸径の長さaと短軸径の長さbとの比a/bは、スプリアス強度に相関があることが認められ、スプリアス強度を実用上要求される値である0.5dB以下にするためには、比a/bを1.9<a/b<5.0とすることが有効であることがわかる。
【0056】
ところで、本発明者らの更なる検討により、圧電薄膜振動素子においては、インハーモニックモード周波数の規則性と異なるスプリアスも発生することが明らかになった。そして、この規則性が異なるスプリアスは、最底面53を圧電薄膜41の他方の主面に投影した領域の内部であって、上部励振電極11が形成された領域の外部に、吸音材を塗布することにより、その強度が低減することが確認された。したがって、このスプリアスは、上部励振電極11の外側に漏れた波が最底面53の辺で反射されて生じたスプリアスであることがわかった。
【0057】
このため、上部励振電極11の長軸を、x軸又はy軸から傾けて配置することにより、規則性が異なるスプリアスの強度を低減できた。ここで、x軸又はy軸から傾けて配置するとは、上部励振電極11の長軸を、圧電薄膜41の主面の辺、下部励振電極21の辺、Si半導体基板51の主面に直交する端面、又は、最底面53の辺から傾けて配置することをいう。また、この角度は、10°〜80°にすることが好ましい。また、この角度は、30°又は60°にすることが、更に好ましい。
【0058】
また、上述したダイアフラム50に音響多層膜や空隙を利用する場合は、上部励振電極11の長軸を圧電薄膜41の主面の辺、下部励振電極21の辺、Si半導体基板51の主面に直交する端面、又は、空隙の端面から傾けて配置することにより同様の効果が得られる。
【0059】
また、本発明者らの更なる検討により、圧電薄膜の結晶性を劣化させると、スプリアスの個数が減少するという特徴が発見された。結晶性が劣化した圧電薄膜、例えば、圧電薄膜の(002)面に関するX線2結晶法から得られたロッキングカーブの半値全幅が、4°程度である圧電薄膜を用いた場合には、数個のスプリアスしか現われなかった。
【0060】
この劣化した圧電薄膜を用いた場合に、スプリアスの個数が減少した理由は、結晶性が悪い場合には厚み縦振動が伝搬する際の伝搬損失が大きく、圧電薄膜と電極面積から決定されるスプリアスの強度が減衰し、インピーダンス特性にスプリアスが現われにくくなったためであると説明できる。
【0061】
図10は、図1に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の測定値を示す図である。この図1に示した圧電薄膜振動素子は、上部励振電極11の面積を2.45×10-82とし、a/bを2.2とし、長軸とx軸との角度を60°にしたものである。図10において、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度が十分に低減していることが認められる。
【0062】
本実施例に係る圧電薄膜振動素子において、下部励振電極21は、圧電薄膜41の厚み方向の一方の主面に設けられ、上部励振電極11は、下部励振電極21に対向して、圧電薄膜41の厚み方向の他方の主面に設けられている。このため、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、上部励振電極11と下部励振電極21との間に与えられた電圧により、厚み縦振動の基本波を主振動とする振動をすることができる。
【0063】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子において、上部励振電極11は、長軸径の長さaと、短軸径の長さbとの比、a/bが、1.9<a/b<5.0となる楕円形である。このため、主振動に起因したインハーモニックモードのスプリアスが現われた場合であっても、このスプリアスの強度を効果的に低減できる。
【0064】
また、本発明に係る圧電薄膜振動素子は、スプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの振幅特性を向上できる。また、スプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの位相特性を向上できる。
【0065】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子において、上部励振電極11の面積は、その面積を変えずに形状を正方形とし、共振周波数をfrとし、反共振周波数をfaとしたとき、圧電薄膜振動素子の電気的共振特性におけるfr〜(2fa−fr)の周波数範囲に、スプリアスが5個以上発生するように選定されている。このため、上部励振電極11の面積が大きくなるので、スプリアスの数が増加し、スプリアスの強度が効果的に低減する。
【0066】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、圧電素子が圧電薄膜41からなるので、薄型化及び小型化が図れる。
【0067】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子のダイアフラム50は、凹部52の深さを調節することにより、膜厚を決定できる。このため、ダイアフラム50の膜厚を0〜5μm程度にすることにより、高周波、例えば数GHz帯の周波数で励振される圧電薄膜振動素子を構成できる。
【0068】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、ダイアフラム50の膜厚の分だけ、機械的強度が高まる。
【0069】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、厚み方向に配向又はエピタキシャル成長させることにより形成された圧電薄膜41を用いているので、結晶性が高い。このため、厚み縦振動が伝搬する際の伝搬損失が小さくなる。
【0070】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、上部励振電極11の面積が下部励振電極21よりも小さいので、エネルギー閉じ込め振動子が形成される。また、凹部52の面積が上部励振電極11より大きく、下部励振電極21よりも小さいので、エネルギーの閉じ込めが更に顕著になる。
【0071】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、上部励振電極11の長軸を、x軸又はy軸から傾けて配置することにより、インハーモニックモード周波数の規則性と異なるスプリアスの強度を低減できる。
【0072】
また、上述したダイアフラム50に音響多層膜や空隙を利用する場合であっても、上部励振電極を本実施例の上部励振電極11と同様の構成にすることにより、本実施例の圧電薄膜振動素子と同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
図11は、本発明に係る圧電薄膜振動素子の別の実施例を示す正面断面図、図12は図11に示した圧電薄膜振動素子の平面断面図、図13は図12の部分拡大図である。図11に示した圧電薄膜振動素子は、上部励振電極の形状及び材質、ダイアフラム50の膜厚、及びボンデイングパッド32の寸法のみが、図1に示した圧電薄膜振動素子と異なる。
【0074】
図11に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極13は、金Auからなる厚み100nmの電極であり、下部励振電極21に対向して、圧電薄膜41の厚み方向の他方の主面に設けられている。この上部励振電極13は、第1の辺151と、第2の辺152と、第1の弧状縁部153と、第2の弧状縁部154とを含み、下部励振電極21よりも面積が小さい。
【0075】
第1の辺151及び第2の辺152は、互いに平行であり、同一の長さを有する。第1の弧状縁部153及び第2の弧状縁部154は、第1の辺151及び第2の辺152の対向する端部に連なっている。第1の辺151又は第2の辺152の長さcと、第1の辺151と第2の辺152との間の距離dとの比、c/dは、0.3<c/d<5.0である。
【0076】
また、更に具体的には、第1の辺151又は第2の辺152の長さcが260μm、第1の辺151と第2の辺152との間の距離dが240μmである。
【0077】
第1の弧状縁部153及び第2の弧状縁部154は、円弧であることが好ましい。また、更に具体的には、この第1の弧状縁部153及び第2の弧状縁部154は、直径240μmの半円弧である。
【0078】
そして、この上部励振電極13は、第1の辺151又は第2の辺152がx軸から10°〜80°の角度で傾斜するように配置されている。更に具体的には、第1の辺151又は第2の辺152がx軸から30°の角度で傾斜するように配置されている。
【0079】
ダイアフラム50は、凹部52により、Si半導体基板51の一方の主面と最底面53との間に約0.1μmの薄膜が形成されている。ボンデイングパッド32の寸法は、200μm×200μmである。
【0080】
図14は、図11に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極13の形状のみを変化させた場合の、インピーダンスの振幅特性におけるスプリアス強度を示す図である。ここで、上部励振電極13は、第1の辺151又は第2の辺152の長さcと、第1の辺151と第2の辺152との間の距離dとの比、c/dを変化させた。
【0081】
図14から、比c/dは、スプリアス強度に相関があることが認められ、スプリアス強度を実用上要求される値である0.5dB以下にするためには、比c/dを0.3<c/d<5.0とすることが有効であることがわかる。
【0082】
図15は、図11に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の測定値を示す図である。この図11に示した圧電薄膜振動素子は、上部励振電極13の面積を10.8×10-82とし、比c/dを1.1とし、第1の辺151又は第2の辺152とx軸との角度を30°にしたものである。図15において、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度が十分に低減していることが認められる。
【0083】
本実施例に係る圧電薄膜振動素子の上部励振電極13は、下部励振電極21に対向して、圧電薄膜41の厚み方向の他方の主面に設けられ、第1の辺151と、第2の辺152と、第1の弧状縁部153と、第2の弧状縁部154とを含む。このため、厚み縦振動の基本波を主振動に起因したインハーモニックモードのスプリアスが現われた場合であっても、このスプリアスの強度を効果的に低減できる。
【0084】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、上部励振電極13の第1の辺151又は第2の辺152を、x軸又はy軸から傾けて配置することにより、インハーモニックモード周波数の規則性と異なるスプリアスの強度を低減できる。
【0085】
また、本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、図1に示した圧電薄膜振動素子と同様の構成を有するので、同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
図16は、本発明に係る圧電薄膜振動素子の更に別の実施例を示す部分拡大平面図である。図16に示した圧電薄膜振動素子は、上部励振電極の形状のみが、図11に示した圧電薄膜振動素子と異なる。
【0087】
図16に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極14は、第1の辺151と、第2の辺152と、第1の弧状縁部157と、第2の弧状縁部158とを含む。第1の弧状縁部157、第2の弧状縁部158は、第1の辺151及び第2の辺152の対向する端部に連なっている。そして、第1の弧状縁部157、第2の弧状縁部158の曲率中心Qは、第1の辺151と第2の辺152との間の距離dの中点を通り、第1の辺151又は第2の辺152に平行な直線上にある。
【0088】
本実施例に係る圧電薄膜振動素子は、図11に示した圧電薄膜振動素子と同様の構成を有するので、同様の作用効果を奏する
図17は、本発明に係るフィルタの一実施例を示す回路図であり、図18は、図17に示したフィルタの挿入損失の測定値を示す図である。図17において、本実施例に係るフィルタは、入力端子Vin1、Vin2と、出力端子Vout1、Vout2と、複数の圧電薄膜振動素子81、82、83、84、85を含む。
【0089】
圧電薄膜振動素子81、82、83は、図1に示した圧電薄膜振動素子である。圧電薄膜振動素子84、85は、上部励振電極の材質及び厚みのみが図11に示した圧電薄膜振動素子と異なる。圧電薄膜振動素子84、85の上部励振電極は、アルミニウムAlからなり、厚みが360nmである。圧電薄膜振動素子84、85の反共振周波数は、圧電薄膜振動素子81、82、83の共振周波数と概略一致させている。
【0090】
圧電薄膜振動素子81は、一端が入力端子Vin1に接続され、他端が圧電薄膜振動素子82の一端に接続されている。圧電薄膜振動素子82の他端は、圧電薄膜振動素子83の一端に接続され、圧電薄膜振動素子83の他端は、出力端子Vout1に接続されている。
【0091】
圧電薄膜振動素子84は、一端が圧電薄膜振動素子81の他端に接続され、他端が入力端子Vin2及び出力端子Vout2に接続されている。圧電薄膜振動素子85は、一端が圧電薄膜振動素子82の他端に接続され、他端が入力端子Vin2及び出力端子Vout2に接続されている。
【0092】
本実施例に係るフィルタは、本発明に係る圧電薄膜振動素子をラダー(梯子)状に組合せることにより、ラダー型フィルタを構成している。すなわち、圧電薄膜振動素子81、82、83を直列腕に配置し、圧電薄膜振動素子84、85を並列腕に配することにより、2.5区間からなるラダー型フィルタを構成している。
【0093】
このため、図18に示すように、本実施例に係るフィルタは、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子81〜85を用いることにより、挿入損失を低減させ、良好なフィルタ特性を得ることができる。
【0094】
また、本実施例に係るフィルタは、インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子81〜85を用いることにより、位相特性及び群遅延特性のリップルを低減させ、良好なフィルタ特性を得ることができる。
【0095】
また、図示は省略するが、本発明に係る圧電薄膜振動素子を格子状に組合せることにより、格子型フィルタを構成することもできる。そして、この場合も、図17に示したフィルタと同様の作用効果を奏することができる。
【0096】
また、本発明に係る圧電薄膜振動素子を用いて、ラダー型や、格子型以外のフィルタを構成した場合においても、図17に示したフィルタと同様の作用効果を奏することができる。
【0097】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの振幅特性を向上できる圧電薄膜振動素子を提供することができる。
(b)インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減することにより、インピーダンスの位相特性を向上できる圧電薄膜振動素子を提供することができる。
(c)インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子を用いることにより、挿入損失を低減できるフィルタを提供することができる。
(d)インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子を用いることにより、位相特性のリップルを低減できるフィルタを提供することができる。
(e)インピーダンス特性に現われるスプリアスの強度を低減できる圧電薄膜振動素子を用いることにより、群遅延特性のリップルを低減できるフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電薄膜振動素子の一実施例を示す正面断面図である。
【図2】図1に示した圧電薄膜振動素子の平面断面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図1に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極を簡素化した圧電薄膜振動素子の部分拡大平面図である。
【図5】図1に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極を簡素化した圧電薄膜振動素子の別の部分拡大平面図である。
【図6】図1に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極を簡素化した圧電薄膜振動素子の更に別の部分拡大平面図である。
【図7】図4に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の測定値を示す図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】図1に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極を変化させた場合の、スプリアス強度を示す図である。
【図10】図1に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の測定値を示す図である。
【図11】本発明に係る圧電薄膜振動素子の別の実施例を示す正面断面図である。
【図12】図11に示した圧電薄膜振動素子の平面断面図である。
【図13】図12の部分拡大図である。
【図14】図11に示した圧電薄膜振動素子の上部励振電極を変化させた場合の、スプリアス強度を示す図である。
【図15】図11に示した圧電薄膜振動素子の電気的共振特性の測定値を示す図である。
【図16】本発明に係る圧電薄膜振動素子の更に別の実施例を示す部分拡大平面図である。
【図17】本発明に係るフィルタの一実施例を示す回路図である。
【図18】図17に示したフィルタの挿入損失の測定値を示す図である。
【符号の説明】
1 圧電薄膜振動素子
11 上部励振電極
21 下部励振電極
41 圧電薄膜
50 ダイアフラム
61 バッファ層
66 パッケージ

Claims (15)

  1. 圧電薄膜と、上部励振電極と、下部励振電極と、半導体基板とを含む圧電薄膜振動素子であって、
    前記下部励振電極は、前記圧電薄膜の厚み方向の一方の主面に設けられ、
    前記上部励振電極は、前記下部励振電極に対向して、前記圧電薄膜の厚み方向の他方の主面に設けられ、長軸径の長さaと、短軸径の長さbとの比、a/bが、1.9 < a/b < 5.0となる楕円形であり、
    前記半導体基板は、一方の主面に、前記下部励振電極が設けられており、他方の主面には、前記下部励振電極に対向して、凹部が設けられており、前記凹部により、前記一方の主面と前記凹部の最底面との間に薄膜が形成され、前記薄膜がダイヤフラムとなり、
    前記圧電薄膜は、厚み方向にc軸を持つ六方晶系に属し点群が6mmであり、前記c軸の方向に分極軸を有し、前記上部励振電極と前記下部励振電極との間に与えられた電圧により、厚み縦振動の基本波を主振動とする振動をするものであり、
    前記下部励振電極は、前記上部励振電極をその内部に包含する程度に前記上部励振電極より大きい面積を有する4角形の電極である、
    圧電薄膜振動素子。
  2. 請求項1に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記上部励振電極の面積は、前記凹部の面積より小さく、前記下部励振電極は、前記凹部の面積より大きい圧電薄膜振動素子。
  3. 請求項1又は2に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記圧電薄膜は、主面に、少なくとも1つの辺を含み、前記長軸は、前記圧電薄膜の前記辺に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  4. 請求項1又は2に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記下部励振電極は、少なくとも1つの辺を含み、前記長軸は、前記下部励振電極の前記辺に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  5. 請求項1乃至4に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記長軸は、前記基板の端面に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  6. 請求項1乃至4に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記凹部の最底面は、少なくとも1つの辺を含み、前記長軸は、前記凹部の最底面の前記辺に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  7. 圧電薄膜と、上部励振電極と、下部励振電極と半導体基板とを含む圧電薄膜振動素子であって、
    前記下部励振電極は、前記圧電薄膜の厚み方向の一方の主面に設けられ、
    前記上部励振電極は、前記下部励振電極に対向して、前記圧電薄膜の厚み方向の他方の主面に設けられ、第1の辺と、第2の辺と、第1の弧状縁部と、第2の弧状縁部とを含み、
    前記第1の辺及び前記第2の辺は、互いに平行であり、
    前記第1の弧状縁部及び前記第2の弧状縁部は、前記第1の辺及び前記第2の辺の対向する端部に連なっており、
    前記第1の辺又は前記第2の辺の長さcと、前記第1の辺と前記第2の辺との間の距離dとの比、c/dが、0.3 < c/d < 5.0であり、
    前記半導体基板は、一方の主面に、前記下部励振電極が設けられており、他方の主面には、前記下部励振電極に対向して、凹部が設けられており、前記凹部により、前記一方の主面と前記凹部の最底面との間に薄膜が形成され、前記薄膜がダイヤフラムとなり、
    前記圧電薄膜は、厚み方向にc軸を持つ六方晶系に属し点群が6mmであり、前記c軸の方向に分極軸を有し、前記上部励振電極と前記下部励振電極との間に与えられた電圧により、厚み縦振動の基本波を主振動とする振動をするものであり、
    前記下部励振電極は、前記上部励振電極をその内部に包含する程度に前記上部励振電極より大きい面積を有する4角形の電極である、
    圧電薄膜振動素子。
  8. 請求項7に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記上部励振電極の面積は、前記凹部の面積より小さく、前記下部励振電極は、前記凹部の面積より大きい圧電薄膜振動素子。
  9. 請求項7又は8に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記圧電薄膜は、主面に、少なくとも1つの辺を含み、前記第1の辺又は前記第2の辺は、前記圧電薄膜の前記辺に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  10. 請求項7又は8に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記下部励振電極は、少なくとも1つの辺を含み、前記第1の辺又は前記第2の辺は、前記下部励振電極の前記辺に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  11. 請求項7乃至10に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記第1の辺又は前記第2の辺は、前記基板の端面に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  12. 請求項7乃至10に記載された圧電薄膜振動素子であって、前記凹部の最底面は、少なくとも1つの辺を含み、前記第1の辺又は前記第2の辺は、前記凹部の最底面の前記辺に対して、10°乃至80°の角度で傾斜する圧電薄膜振動素子。
  13. 請求項1乃至12の何れかに記載された圧電薄膜振動素子であって、更に、バッファ層を含み、前記バッファ層は、前記下部励振電極を介して、前記圧電薄膜の厚み方向の一方の主面側に設けられている圧電薄膜振動素子。
  14. 請求項1乃至13の何れかに記載された圧電薄膜振動素子であって、前記圧電薄膜は、c軸が前記圧電薄膜の厚み方向に配向あるいはエピタキシャル成長した薄膜である圧電薄膜振動素子。
  15. 圧電薄膜振動素子を複数含むフィルタであって、前記圧電薄膜振動素子は、請求項1乃至14の何れかに記載された圧電薄膜振動素子でなり、前記圧電薄膜振動素子のそれぞれが、互いに組合されているフィルタ。
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