JP4055453B2 - 半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過型カラー液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関し、特に、多面付けワーク基板を用いてカラーフィルタを作製する半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶表示装置としては、大きく分けてカラー液晶パネルの主として後方からの照明光によってカラー表示を行う透過型カラー液晶表示装置とカラー液晶パネルの主として前面からの照明光でカラー表示を行う反射型カラー液晶表示装置とがある。
【0003】
透過型カラー液晶表示装置は薄型、軽量で、明るく、解像性に優れたカラー表示が可能であり、ノートパソコン等の情報端末のカラー表示装置装置としてかなり普及している。透過型カラー液晶表示装置はカラー液晶パネルの照明用として後方に光源を備えているため、この光源の電力消費により電池で駆動する携帯情報端末では使用時間が限られていた。
【0004】
反射型カラー液晶表示装置は光源を備えていないため、電池の寿命を延ばすことができることから携帯情報端末のカラー表示として期待されているが、屋外等の非常に明るい環境下ではよく見えるが、室内等では明るさ、コントラスト等でカラー表示品質がもう一つという感がある。
【0005】
上記、透過型と反射型を兼ね備えたカラー液晶表示装置として半透過型カラー液晶表示装置が開発されており、屋外及び屋内でも一定以上のカラー表示品質を発揮できるため、モバイル機器等のカラー表示装置として期待されている商品である。
【0006】
図3は、半透過型カラー液晶表示装置の一例を示す模式構成部分断面図である。半透過型カラー液晶表示装置300は、図3に示すように、セルカラーフィルタ60とTFT基板70との間に液晶81を封入してカラー液晶パネルを構成したもので、セルカラーフィルタ60はガラス基板11上にブラックマトリクス21、透明パターン層31、着色画素41及び透明電極51を、TFT基板70はTFT基板上に透明電極71及び反射電極72をそれぞれ形成したものである。
【0007】
半透過型カラー液晶表示装置300は、着色画素及びTFT基板の1画素内に透過領域と反射領域を設けて透過型と反射型を兼ね備えた半透過型カラー液晶表示装置を具現化したもので、着色画素41は、透明パターン層31を設けたことで生じる着色画素の膜の大小により着色画素の色濃度を制御し、膜厚が厚いため高い濃度を有する透過領域の着色画素41tと膜厚が薄いため低い濃度を有する反射領域の着色画素41rより構成されている。
一方、TFT基板70側では、透過領域の着色画素41 t に対応する位置に透明電極71を、反射領域の着色画素41 r に対応する位置には反射電極72を設けている。これによりセルカラーフィルタ60側から入射した光は反射電極72で反射されて反射領域の着色画素41 r を経由して観察者に認識される。すなはち、着色画素41 t 領域では反射型カラー液晶表示装置を構成する。一方、TFT基板70側から入射した光は透明電極71、透過領域の着色画素41 t を経由して観察者に認識されるため、着色画素41 r 領域では透過型カラー液晶表示装置を構成している。
ここで、カラーフィルタの製造にあっては、生産効率を向上させるため、1枚のワーク基板にカラーフィルタを多面付けして作製した後個々のカラーフィルタ、もしくは、表示装置に断裁する方法が主流となっている。
【0008】
以下、ガラス基板からなるワーク基板にセルカラーフィルタを多面付けして作製する従来の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。なお、セルカラーフィルタとは、1台の表示装置に組み込まれる1枚のカラーフィルタをいう。
図4(a)は、ガラス基板11に従来の半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタ60が多面付けされたワーク基板200の模式平面図を、図4(b)は、図4(a)の模式平面図をB−B’線で切断したセルカラーフィルタ60の模式構成部分断面図を、図5(a)〜(f)は、従来の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示すセルカラーフィルタの模式構成部分断面図をそれぞれ示す。
【0009】
まず、ガラス基板11上にスパッタリング等にてクロム薄膜を形成し、クロム薄膜をパターニング処理してブラックマトリクス21及び画素領域の外枠を囲むブラック枠22を形成する(図5(a)参照)。
このブラックマトリクス21は、カラー液晶表示を行う際表示品位のコントラスト向上、不要な部位への光入射を防止するため、各色の着色画素間に設けられる。
【0010】
次に、ブラックマトリクス21及びブラック枠22が形成されたガラス基板11上に感光性透明樹脂溶液をスピンナーにて塗布し、感光性透明樹脂層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ブラックマトリクス21間の所定位置に透明パターン層31を形成する(図5(b)参照)。
この透明パターン層31は、ブラックマトリクス21間に透過領域及び反射領域の着色画素の膜厚を制御し、濃度の異なる着色画素領域を簡易に形成するために設けれれているものであって、透明パターン層31上に形成される着色画素膜厚と透明パターン層31両側に形成される着色画素膜厚を変えて、1画素の着色画素濃度を変えるために形成される。
透明パターン層31の膜厚はカラーフィルタの種類等により異なるが、2〜3.5μm厚程度が一般的である。
【0011】
次に、ブラックマトリクス21及び透明パターン層31が形成されたガラス基板11上に赤色顔料を感光性樹脂に分散した赤色感光性レジストをスピンナー等により塗布し、赤色感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ガラス基板11上のブラックマトリクス21間の所定位置に赤色着色画素41Rを形成する(図5(c)参照)。
ここで、赤色着色画素41Rは、透明パターン層31の両側に形成された濃度の高い透過領域の着色画素41tと、透明パターン層31上部に形成された濃度の低い反射領域の着色画素41rとで構成されている。
【0012】
次に、ブラックマトリクス21、透明パターン層31及び赤色着色画素41Rが形成されたガラス基板11上に緑色顔料を感光性樹脂に分散した緑色感光性レジストをスピンナー等により塗布し、緑色感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ガラス基板11上のブラックマトリクス21間の所定位置に緑色着色画素41Gを形成する(図5(d)参照)。
【0013】
次に、ブラックマトリクス21、透明パターン層31、赤色着色画素41R及び緑色着色画素41Gが形成されたガラス基板11上に青色顔料を感光性樹脂に分散した青色感光性レジストをスピンナー等により塗布し、青色感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ガラス基板11上の所定位置のブラックマトリクス21間に青色着色画素41Bを形成する(図5(e)参照)。
【0014】
最後に、ガラス基板11上の赤色着色画素41R、緑色着色画素41G及び青色着色画素41B上に、スパッタリング等により酸化インジウム薄膜からなる透明電極51を形成して、ガラス基板11に半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタ60が多面付けされたワーク基板200を得る。
【0015】
図6に、ガラス基板11上に半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタ60が多面付けされたワーク基板200の表面状態を模式的に示す模式平面図を示す。図6に示すように、上記、多面付け法で作製したセルカラーフィルタ60の表面には放射状のスジ状ムラ91が発生する。
このスジ状ムラ91は、上記カラーフィルタ製造工程で赤色、緑色、青色の各着色感光性レジストを塗布する際に発生するもので、今回のような透明パターン層31を形成した後に各着色感光性レジストを塗布する際にセルカラーフィルタのコーナーからスジ状の塗布ムラが発生し易い。
これは、透明パターン層31の膜厚が2〜3.5μmと着色レジスト層の膜厚1〜1.5μmに対して厚いため、スピンコートのような回転塗布で中央に滴下した各着色感光性レジストを基板周辺部に塗り広げる場合透明パターン層31が障壁になり均一なコーティングができず、塗布ムラが発生すると想定される。
また、着色画素が形成された領域を囲むブラック枠が形成されていると、このブラック枠の厚みが障壁となり、塗り広げられたレジストがブラック枠を乗り越える際に不均一に広がりムラが発生することも想定される。
この塗布ムラは、カラー液晶表示パネルの表示品位の低下をもたらし、カラーフィルタの生産収率を押し下げる要因となり、問題である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み考案されたものであり、セルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板を処理して半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを作製する際各セルカラーフィルタ上に発生する放射状のスジ状ムラを低減できる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
本発明において上記課題を解決するために、請求項1においては、ブラックマトリクス及びブラック枠を形成する工程と、
ブラックマトリクス間の所定位置に膜厚2〜3.5μ m の透明パターン層を形成する工程と、
着色レジスト膜を膜厚1〜1.5μ m にて塗布し、赤色、緑色、青色等の着色画素を形成する工程と、を有するセルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板を処理して半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを製造する方法であって、
前記透明パターン層を形成する際、面付けされた各前記セルカラーフィルタの外枠を構成しているブラック枠間に透明層を同時に設けて、着色画素形成以降の処理を行い、カラーフィルタを作製することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法としたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明に係わる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法にて作製された半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板100の模式平面図を、図1(b)は、図1(a)の模式平面図をA−A’線で切断したワーク基板100の模式構成部分断面図である。
本発明に係わる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、図1(a)に示すように、ガラス基板11上に多面付けされたセルカラーフィルタ50内の所定位置に透明パターン層31を形成する際にセルカラーフィルタ50の隣接するブラック枠22間に透明層32を同時に形成している。その後各色の着色画素を形成していくものである。これにより、セルカラーフィルタ50間では透明層32の形成により、障壁段差が少なくなり、スピンコートのような回転塗布で中央に滴下した各着色感光性レジストをガラス基板周辺部に塗り広げる際着色感光性レジストがブラック枠を乗り越えるのが容易となり、レジストが均一に広がるようにしたものである。
透明層32はパターン状の透明パターン層31を隣接するブラック枠22間に配置しても良いし、隣接するブラック枠22間を埋め尽くすようなベタ状のパターンであっても良い。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
図2(a)〜(f)は、本発明に係わる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一実施例を示す模式構成部分断面図である。
まず、基板サイズ360×465mm、板厚0.7mmのガラス基板11上にスパッタリング等により0.17μm厚のクロム薄膜を形成し、クロム薄膜を公知のパターニングプロセスにてパターン化し、ガラス基板11の所定位置に6μm幅のブラックマトリクス21及び2mm幅のブラック枠22を形成した(図2(a)参照)。
ここで、ブラックマトリクス21は、カラー液晶表示を行った際の表示品位のコントラスト向上、不要な部位への光入射を防止するため、各色の着色画素間に設けるのが一般的である。ブラック枠22はセルカラーフィルタ50の外周辺部に設けられており、セルカラーフィルタ50の外周有効部を構成している。
【0021】
次に、ブラックマトリクス21及びブラック枠22が形成されたワーク基板11上に感光性透明樹脂溶液をスピンコーターにより塗布し、予備乾燥して感光性透明樹脂層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ブラックマトリクス21間に3.5μm厚の透明パターン層31を、セルカラーフィルタ50の隣接するブラック枠22間に3.5μm厚の透明層32を形成した。
【0022】
次に、ブラックマトリクス21、ブラック枠22、透明パターン層31及び透明層32が形成されたガラス基板11上に赤色顔料を感光性樹脂に分散した赤色感光性レジストをスピンナーにより塗布し、赤色感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ガラス基板11上のブラックマトリクス21間の所定位置に赤色着色画素41Rを形成した(図2(c)参照)。
ここで、赤色着色画素41Rは、透明パターン層31の両側に形成された濃度の高い透過領域の膜厚1.0μmの赤色画素41t、透明パターン層31上部に形成された画素濃度の低い反射領域の膜厚0.5μmの赤色画素41rより構成されている。
さらに、透明層32上にも赤色感光層は形成されるが、パターン露光されないため、透明層32上の赤色感光層は現像処理で除去され、透明層32上には赤色感光層は残らない。
【0023】
次に、ブラックマトリクス21、ブラック枠22、透明パターン層31、透明層32及び赤色着色画素41Rが形成されたガラス基板11上に緑色顔料を感光性樹脂に分散した緑色感光性レジストをスピンナー等により塗布し、緑色感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ガラス基板11上のブラックマトリクス21間の所定位置に、透明パターン層31の両側に形成された濃度の高い透過領域の膜厚1μmの緑色画素41t、透明パターン層31上部に形成された濃度の低い反射領域の膜厚0.5μmの緑色画素41rよりなる緑色着色画素41Gを形成した(図2(d)参照)。
【0024】
次に、ブラックマトリクス21、ブラック枠22、透明パターン層31、透明層32、赤色着色画素41R及び緑色着色画素41Gが形成されたガラス基板11上に青色顔料を感光性樹脂に分散した青色感光性レジストをスピンナー等により塗布し、青色感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、ガラス基板11上のブラックマトリクス21間の所定位置に、透明パターン層31の両側に形成された濃度の高い透過領域の膜厚 μmの青色画素41t、透明パターン層31上部に形成された濃度の低い反射領域の膜厚 μmの青色画素41rよりなる青色着色画素41Bを形成した(図2(e)参照)。
【0025】
最後に、ガラス基板11上の赤色着色画素41R、緑色着色画素41G及び青色着色画素41B上に、スパッタリング等により酸化インジウム薄膜からなる透明電極51を形成して、ガラス基板11に半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタ50が多面付けされたワーク基板100を得た(図2(f)及び図1(a)参照)。
【0026】
上記製造方法にて得られた半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板100の表面観察を行った結果放射状のスジ状ムラは大幅に低減されており、ブラック枠間に透明層を設けて着色感光性レジスト塗布することにより、各セルカラーフィルタ50に発生する放射状のスジ状ムラを低減できることが確認された。
以上、本発明の実施例につき説明したが、これに限定されるものでなく、本発明の主旨に基づき種々の変形を行っても構わない。例えば、ブラック枠、ブラックマトリクスは黒色樹脂で形成することであっても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係わる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法にてカラーフィルタを作製することにより、カラーフィルタ表面に発生する放射状のスジ状ムラを大幅に低減でき、表示品位に優れたカラー液晶表示パネルが得られる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供できる。
また、半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造収率を向上させることができ、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係わる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法にて作製された半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板の一例を示す模式平面図である。
(b)は、(a)をA−A’線で切断したワーク基板の模式構成部分断面図である。
【図2】(a)〜(f)は、本発明に係わる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一実施例を示す模式構成部分断面図である。
【図3】従来の半透過型カラー液晶表示装置の一例を示す模式構成部分断面図である。
【図4】(a)は、従来の半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板の一例を示す模式平面図である。
(b)は、(a)をB−B’線で切断したワーク基板の模式構成部分断面図である。
【図5】(a)〜(f)は、従来の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示す模式構成部分断面図である。
【図6】従来の半透過型カラー液晶表示装置用セルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板の表面状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
11……ガラス基板
21……ブラックマトリクス
22……ブラック枠
31……透明パターン層
32……透明層
41R……赤色着色画素
41G……緑色着色画素
41B……青色着色画素
41t……透過領域の着色画素
41r……反射領域の着色画素
50、60……セルカラーフィルタ
51……透明電極
70……TFT基板
71……透明電極
72……反射電極
81……液晶
91……スジ状ムラ
100、200……ワーク基板
300……半透過型カラー液晶表示装置
Claims (1)
- ブラックマトリクス及びブラック枠を形成する工程と、
前記ブラックマトリクス間の所定位置に膜厚2〜3.5μ m の透明パターン層を形成する工程と、
着色レジスト膜を膜厚1〜1.5μ m にて塗布し、赤色、緑色、青色等の着色画素を形成する工程と、を有するセルカラーフィルタが多面付けされたワーク基板を処理して半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを製造する方法であって、
前記透明パターン層を形成する際、面付けされた各前記セルカラーフィルタの外枠を構成しているブラック枠間に透明層を同時に設けて、着色画素形成以降の処理を行い、カラーフィルタを作製することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
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