JP4055038B2 - 油圧緩衝器のピストン又はバルブケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の懸架装置など車体の振動を抑制する油圧緩衝器に関し、詳しくは内周ポートの加工を容易にするとともにバリの発生を無くすることのできる油圧緩衝器のピストン又はバルブケースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の油圧緩衝器としては、例えば図3に示すようなものが知られている。まず構造の概要を図面に基づいて説明する。車体と車輪との間に結合部材を介して取付けられる油圧緩衝器は、ピストンロッド1にピストン5と伸側減衰力を制御するピストンバルブを組み付け、それを摺動自在に収容するとともに下端部に圧側減衰力を制御するベースバルブを装着したシリンダ21を外筒22に収容し、外気を遮断するシール24とロッドガイド23とを収容したパッキンケース25を外筒22の上部から嵌挿した後、外筒22の上端部を全周溶接等により密封して形成されている。そして、シリンダ21と外筒22の間にはタンク室Dが形成される。
【0003】
作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が上昇する際には、密閉された上部室Aの作動油は、ピストンバルブを介して、下部室Bに流出し、この際の通路抵抗が伸長側減衰力となる。ピストンロッド1の上昇によって不足するピストンロッド退出体積分の作動油は、前記シリンダ21の下端部に配設されたベースバルブを介してタンク室Dに連なる底部室Cより補充される。
【0004】
次に、伸側減衰力を制御するピストンバルブについて説明する。ピストンロッド1の下端部には上部よりも小径のインロー部1Aが設けられ、ここにリーフバルブ3と切欠きリーフバルブ4の最大撓みを規制するバルブストッパ2,外径がリーフバルブ3及び切欠きリーフバルブ4の撓みの支持径となる環座7,リーフバルブ3,当該リーフバルブ3の下側に重畳され外周に切欠き4Bを設けた切欠きリーフバルブ4,上面が切欠きリーフバルブ4に対向するとともに外周にガイド5Fを巻着したピストン5を順次嵌挿する。シリンダ21内を上部室Aと下部室Bに区画するピストン5には、下部室Bに連通する外周ポート5Aが焼結素材の段階で形成されるとともに、上部室Aに連通する内周ポート(第一の内周ポート)5Bが穿孔されている。
【0005】
内周ポート5Bの下部には円環状の開口窓5Eが形成され、当該開口窓5Eには、外径が順に小さくなるリーフバルブ6A,6B,6Cからなる伸側減衰弁PVが対向する。続いて、外径が当該リーフバルブの撓みの支持径となる環座7,リーフバルブの最大撓みを規制するバルブストッパ8を順次組み付け、最後にピストンナット9をインロー部1Aのねじ部に螺着し、締付け工具により締結することによりピストンバルブが構成される。
【0006】
作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が上昇する所謂伸長工程において、ピストン速度が小さくピストン下部の開口窓5Eと下部室B間の圧力差が小さい所謂微低速〜低速域においては、リーフバルブ6A,6B,6Cは、前記開口窓5Eを覆窓している。このため上部室Aの圧油は、切欠きリーフバルブ4の切欠き4Bを通ってピストン上部の開口窓5Cに流入し、ピストンの外周ポート5Aを介して下部室Bに開放され、この際の通路抵抗によりピストン速度のほぼ2乗に比例する微低速〜低速域の伸側減衰力を発生する。
【0007】
ピストン速度が増大するに伴い切欠き4Bを通過する流量も増え、切欠き4B前後の圧力差も増大する。ピストン速度が中速域に近づくにつれ、バルブストッパの通孔2A,リーフバルブの通孔3A,切欠きリーフバルブの通孔4A,ピストンの内周ポート5Bを介して上部室Aに連通するピストン下部の開口窓5Eと下部室Bの圧力差が大きくなるので、開口窓5Eに対向して配設されているリーフバルブ6Aの外周側が、下側のリーフバルブ6B,6Cとの合成された撓み剛性に打ち勝って、開口窓5Eの外側シート面から押し開かれ、作動油が下部室Bに流出し、この際の通路抵抗により中速域以降の伸側減衰力を発生する。
【0008】
リーフバルブ6A,6B,6Cからなる伸側減衰弁PVは内径が同一で外径が順に小さくなっているので、ピストン速度の増大によるリーフバルブ6Aの撓みの増加に伴いリーフバルブ6B,6Cが順に押し倒され、リーフバルブ6A,6B,6C全体の撓み剛性が順次大きくなるため、ピストンの内周ポート5Bの通路面積を適当に選択することにより、所要の減衰力特性を得ることができる。
【0009】
以上の説明は作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が上昇する伸長側についてであるが、逆にピストンロッド1が下降する際には、密閉された下部室Bの作動油は、まずピストンの素材を成形する際に同時に形成されている外周ポート5Aを通り、リーフバルブ3と切欠きリーフバルブ4からなる逆止弁CVの合成された撓み剛性に打ち勝ってその外周側を押し開き、負圧となる上部室Aに補充される。この分を除いた下部室Bの作動油は、シリンダ21の下端部に装着されたベースバルブを介して下部室Bよりタンク室Dに連なる底部室Cに流出し、この際の通路抵抗が圧側減衰力となる。
【0010】
つぎに、圧側減衰力を制御するベースバルブについて説明する。まず、ガイド11の軸部11Aに、リーフバルブ13と切欠きリーフバルブ14の最大撓みを規制するバルブストッパ12,外径がリーフバルブ13及び切欠きリーフバルブ14の撓みの支持径となる環座17,リーフバルブ13,当該リーフバルブ13の下側に重畳され外周に切欠き14Bを設けた切欠きリーフバルブ14,上面が切欠きリーフバルブ14に対向するバルブケース15を順次嵌挿する。シリンダ21の下端に嵌着され下部室Bと底部室Cを区画するバルブケース15には、底部室Cに連通する外周ポート15A及び下部室Bに連通する内周ポート(第二の内周ポート)15Bが形成されている。
【0011】
続いて、ガイド11の軸部に、上記バルブケース下部の開口窓15Eに対向し外径が順に小さくなるリーフバルブ16A,16B,16Cからなる圧側減衰弁BV,更に外径が当該リーフバルブの撓みの支持径となる環座17,リーフバルブの最大撓みを規制するバルブストッパ18を順次組み付け、最後に、ガイド11の軸部下端を工具により加締めることによりベースバルブが構成される。
【0012】
作動油の充満したシリンダ21内をピストンロッド1が下降する所謂収縮工程において、ピストン速度が小さくバルブケース下部の開口窓15Eと底部室C間の圧力差が小さい所謂微低速〜低速域においては、リーフバルブ16A,16B,16Cは、前記開口窓15Eを覆窓している。このため下部室Bの圧油は、切欠きリーフバルブ14の切欠き14Bを介して底部室Cに開放され、この際の通路抵抗により、ピストン速度のほぼ2乗に比例する微低速〜低速域の圧側減衰力を発生する。
【0013】
ピストン速度が増大するに伴い切欠き14Bを通過する流量も増え、切欠き14B前後の圧力差も増大する。ピストン速度が中速域に近づくにつれ、バルブストッパの通孔12A,リーフバルブの通孔13A,切欠きリーフバルブの通孔14A,バルブケースの内周ポート15Bを介して下部室Bに連通するバルブケース下部の開口窓15Eと底部室Cの圧力差が大きくなるので、開口窓15Eに対向して配設されているリーフバルブ16Aの外周側が、下側のリーフバルブ16B,16Cとの合成された撓み剛性に打ち勝って、開口窓15Eの外側シート面から押し開かれ、作動油が底部室Cに流出しこの際の通路抵抗により中速域以降の圧側減衰力を発生する。
【0014】
リーフバルブ16A,16B,16Cからなる圧側減衰弁BVは内径が同一で外径が順に小さくなっているので、ピストン速度の増大によるリーフバルブ16Aの撓みの増加に伴いリーフバルブ16B,16Cが順に押し倒され、リーフバルブ16A,16B,16C全体の撓み剛性が順次大きくなるため、バルブケースの内周ポート15Bの通路面積を適当に選択することにより、所要の減衰力特性を得ることができる。
【0015】
逆にピストンロッド1が上昇する際には、底部室Cからバルブケースの素材を成形する際に同時に形成されている外周ポート15Aを通り、リーフバルブ13と切欠きリーフバルブ14の合成された撓み剛性に打ち勝ってその外周側を押し開き、ピストンロッド1の退出体積分の作動油が下部室Bに補充される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
減衰力の発生メカニズムは伸長側及び収縮側とも同様であるので、以下、伸長側と収縮側に共通する事項を伸長側(収縮側)の形式で説明する。上記の様に中速域以上のピストン速度においては、上部室A(下部室B)の圧油は、伸側減衰力を制御するピストンバルブについてはピストンの第一の内周ポート5B(圧側減衰力を制御するベースバルブについてはバルブケースの第二の内周ポート15B)を通るのであるが、ピストン速度の高速域では通過流量が増えるので、これら第一及び第二の内周ポートの通路抵抗が減衰力特性に影響する。
【0017】
このため、車輌の要求する減衰力特性に合せてピストンの第一の内周ポート5B(バルブケースの第二の内周ポート15B)の通路面積を決め、ドリル加工により穿孔する。内周ポート5B(15B)を穿孔する開口窓5E(15E)のスペースは狭いうえ、リーフバルブの撓みを一様にするため内周ポート5B(15B)を円周方向に分散(n=2,3,6)する必要もあって、内周ポート5B(15B)の穿孔は細長いドリル加工を余儀なくされる。この結果、加工時間が長くドリルの損耗も大きい一方、通路面積の変動を少なく抑える必要もあって、頻繁にドリルを交換する必要がある。更に、貫通したドリル孔の下端部にはバリが発生するため、バリ除去の工程が必要である。
【0018】
本発明は以上のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内周ポート5B(15B)を穿孔する加工時間を短縮するとともに、バリ除去の工程が不要となる油圧緩衝器のピストン又はバルブケースを提供することである。
【0019】
【問題を解決するための手段】
本発明は、「外筒に収容されたシリンダ内を上部室と下部室とに区画する一方、シリンダ内に摺動自在に案内され下部室と逆止弁を連通する外周ポートと上部室と伸側減衰弁を連通する第一の内周ポートとを設けたピストンをピストンロッドの下端部に結合して、当該ピストンに配設された前記伸側減衰弁によりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御するとともに、シリンダ内を下部室とタンク室に連通する底部室とに区画する一方、底部室を吸込弁に連通する外周ポートと下部室を圧側減衰弁に連通する第二の内周ポートとを設けたバルブケースをシリンダ下端部に嵌着して、当該バルブケースに配設された前記圧側減衰弁によりピストンロッドが収縮する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器」を前提とする。
【0020】
課題を解決するため本発明の採った第1の手段は、「上記ピストン又はバルブケースは、第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿設する位置に、焼結素材の成形段階で予め上下に連通しない案内穴を上下の位置を合わせて設け、そのうちのいくつかを選択して第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿孔したこと」である。ドリルの芯合わせを容易にしドリル加工に伴うバリの発生を防止するためには、上記案内穴の底部は円錐又は球面であることが望ましいが、上下いずれか一方の案内穴は、円錐状又は球面状の窪みでもあってもこの目的を達成することができる。
【0021】
つぎに第2の手段は、「第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿設する位置に、上側又は下側のいずれか一方より、焼結素材の成形段階で貫通しない案内穴を外周ポートを基準にして設け、そのうちのいくつかを選択して、外周ポートを基準に前記案内穴に位置を合わせ反対側より第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿孔したこと」である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる油圧緩衝器は、図3の従来技術と同じ基本構造を備え、ピストンロッド1がその下端部に装着されたピストンを介して、シリンダ21内に移動自在に挿入されるとともに、上部室Aと下部室Bを区画する。また、シリンダ21の下端部にはバルブケースが嵌着され、同じく下部室Bと底部室Cを区画している。
【0023】
前記従来技術で詳述したように、減衰力の発生メカニズムは伸側減衰力を制御するピストンバルブ,圧側減衰力を制御するベースバルブとも同様であるので、以下、本発明を実施形態順にピストンバルブ側又はベースバルブ側に適用した場合について、従来技術と異なる部分にのみ異なる符号を付して説明する。説明はピストンバルブ又はベースバルブのいずれか一方に適用する形式でなされるが、どちらにも実施することができる。
【0024】
まず、図1に示す本発明の第1実施形態について説明する。従来技術で説明したピストンバルブとの相違部品は、ピストン105だけである。本発明のピストン105は、焼結素材の成形段階で、(第一の)内周ポート105Bを穿設する位置に、上下に連通しない案内穴105U,105Lが予め中心軸を位置合わせして設けられている。実施例では案内穴が円柱状になっているが、底部に向かって縮径する抜き勾配を付ければ、焼結粉を金型で成形する段階での成形性を改善することができる。また、内周ポート105Bは加工能率を上げるため、通常2,3,6個のいずれかに等分されるので、上下の案内穴は円周上に6等分して分散させればよい。
【0025】
例えば図1(C)のピストン上面図で例示するように、内周ポート105Bを3個にする場合は、6個の案内穴105Uのうち3個を正3角形の角となるように選択し、専用の3軸ドリルにより加工する。上下の案内穴105U,105L間の距離は短いので、内周ポート105Bの加工時間が短縮されるとともに、工具寿命に対する穿孔数を増加することができる。また、上下の案内穴105U,105Lの底部は円錐になっているので、ドリルの芯合わせが容易になるとともに、ドリル加工に伴うバリの発生を防止することができる。
【0026】
図1(B)は(第一の)内周ポートが2個の場合を示すもので、6個の案内穴105Uのうち2個を軸線に対して対称に選択し、専用の2軸ドリルにより加工する。同様に、図1(D)は内周ポートが6個の場合を示すもので、6個の案内穴105Uのうち3個を正3角形の角となるように選択し、専用の3軸ドリルにより2回に分け位置をずらせて加工する。仮に内周ポートを4個にする必要がある場合には、6個の案内穴のうち4個を長方形の角となるように選択し、専用の2軸ドリルにより2回に分け位置をずらせて加工する。いずれの場合も上記内周ポートが3個の場合と同様な効果が得られる。
【0027】
つぎに、本発明の第2実施形態をベースバルブ側に適用した場合について説明する。本発明のバルブケース115は、図1(A)に示すように焼結素材の成形段階で、(第二の)内周ポート115Bを穿設する位置に、上下に連通しない案内穴115U,115Lが予め中心軸を位置合わせして設けられている。上記ピストンとの相違は案内穴115U,115Lの底部が球面になっていることである。底部を球面にすることにより、焼結粉を成形する段階で圧縮力が球面部で分散されるので、密度のむらが生じにくくなる。実施例では案内穴が円柱状になっているが、底部に向かって縮径する抜き勾配を付ければ、焼結粉を金型で成形する段階での成形性を改善することができる。
【0028】
上下の案内穴115U,115L間の距離は短いので、内周ポート115Bの加工時間が短縮されるとともに、工具寿命に対する穿孔数を増加することができる。上下の案内穴115U,115Lの底部は球面になっているので、ドリルの芯合わせが容易になるとともに、ドリル加工に伴うバリの発生を防止することができる。内周ポート115Bは加工能率を上げるため、2,3,6個のいずれかに等分されるので、上記ピストンと同様に案内穴は円周上に6等分して分散させ、所要の内周ポート数に応じて案内穴115U,115Lのいずれかを選択して穿孔すればよい。
【0029】
続いて、本発明の第3実施形態を図2のピストンバルブ側に適用した場合について説明する。本発明のピストン205は、焼結素材の成形段階で、(第一の)内周ポート205Bを穿設する位置に、上下に連通しない案内穴205U,205Lが予め中心軸を位置合わせして設けられている。前記第1実施形態のピストン105との相違は、上側又は下側いずれか一方の案内穴が円錐状の窪みとなっていることである。
【0030】
上下の案内穴205U,205L間の距離は短いので、内周ポート205Bの加工時間が短縮されるとともに、工具寿命に対する穿孔数を増加することができる。実施例では上側の案内穴215Uが円錐状の窪みになっているので、ドリルの芯合わせが容易になるとともに、案内穴205U,205Lの底部はともに円錐状になっているので、ドリル加工に伴うバリの発生を防止することができる。
【0031】
引き続いて、本発明の第4実施形態を図2のベースバルブ側に適用した場合について説明する。本発明のバルブケース215は、焼結素材の成形段階で、(第二の)内周ポート215Bを穿設する位置に、上下に連通しない案内穴215U,215Lが予め中心軸を位置合わせして設けられている。前記第2実施形態のバルブケース115との相違は、上側又は下側いずれか一方の案内穴が球面状の窪みとなっていることである。
【0032】
上下の案内穴215U,215L間の距離は短いので、内周ポート215Bの加工時間が短縮されるとともに、工具寿命に対する穿孔数を増加することができる。実施例では上側の案内穴215Uが球面状の窪みになっているので、ドリルの芯合わせが容易になるとともに、案内穴215U,215Lの底部はともに球面になっているので、ドリル加工に伴うバリの発生を防止することができる。
【0033】
ドリル孔の加工開始側のバリの発生は少ないので、第3,第4実施形態のいずれにおいても、上側からドリル加工する場合には、ピストン又はバルブケースの下側の案内穴205L,215Lをそれぞれ外周ポート205A,215Aを基準にして円周方向に位置決めして設け、内周ポート205B,215Bのドリル加工を外周ポート205A,215Aを基準に位置決めして行うようにすれば、上側の案内穴205U,215Uを無くすることができる。
【0034】
逆に、下側からドリル加工する場合には、ピストン又はバルブケースの上側の案内穴205U,215Uをそれぞれ外周ポート205A,215Aを基準にして円周方向に位置決めして設け、内周ポート205B,215Bのドリル加工を外周ポート205A,215Aを基準に位置決めして行うようにすれば、下側の案内穴205L,215Lを無くすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述した通り請求項1の発明によれば、内周ポートを穿設する位置に、焼結素材の成形段階で、上下に連通しない案内穴を予め中心軸を位置合わせして設け、そのうちのいくつかを選択して穿孔する。上下の案内穴間の距離は短いので、内周ポートの加工時間が短縮されるとともに、工具寿命に対する穿孔数を増加させることができる。上下の案内穴の底部は円錐或いは球面になっているので、ドリルの芯合わせが容易になるとともに、内周ポートのドリル加工に伴うバリが発生しないため、バリ除去の工程を無くすることができる。つぎに、請求項4の発明によれば、上側からドリル加工する場合、下側の案内穴を外周ポートを基準にして円周方向に位置決めして設け、内周ポートのドリル加工を外周ポートを基準に位置決めして行うようにすれば、上側の案内穴を無くすることができる。逆に、下側からドリル加工する場合には、上側の案内穴を外周ポートを基準にして円周方向に位置決めして設け、内周ポートのドリル加工を外周ポートを基準に位置決めして行うようにすれば、下側の案内穴を無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A) 本発明の第1,第2実施形態に係わる油圧緩衝器の要部断面図である。
(B) 内周ポートが2個の場合のピストン上面図である。
(C) 内周ポートが3個の場合のピストン上面図である。
(D) 内周ポートが6個の場合のピストン上面図である。
【図2】本発明の第3,第4実施形態に係わる油圧緩衝器の要部断面図である。
【図3】従来技術に係る油圧緩衝器の縦断面図である。
【符号の説明】
A 上部室
B 下部室
C 底部室
D タンク室
BV 圧側減衰弁
CV 逆止弁
DV 吸込弁
PV 伸側減衰弁
1 ピストンロッド
21 シリンダ
22 外筒
105,205 ピストン
105B,205B (ピストンの)第一の内周ポート
115,215 バルブケース
115B,215B (バルブケースの)第二の内周ポート
105U,205U (ピストン上側の)案内穴
105L,205L (ピストン下側の)案内穴
115U,215U (バルブケース上側の)案内穴
115L,215L (バルブケース下側の)案内穴
Claims (4)
- 外筒に収容されたシリンダ内を上部室と下部室とに区画する一方、シリンダ内に摺動自在に案内され上部室と伸側減衰弁を連通する第一の内周ポートを穿設したピストンをピストンロッドの下端部に結合して、当該ピストンに配設された前記伸側減衰弁によりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御するとともに、シリンダ内を下部室とタンク室に連通する底部室とに区画する一方、下部室を圧側減衰弁に連通する第二の内周ポートを穿設したバルブケースをシリンダ下端部に嵌着して、当該バルブケースに配設された前記圧側減衰弁によりピストンロッドが収縮する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、
第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿設する位置に、焼結素材の成形段階で予め上下に連通しない案内穴を上下の位置を合わせて設け、そのうちのいくつかを選択して第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿孔したことを特徴とする油圧緩衝器のピストン又はバルブケース。 - 上記案内穴の底部は円錐又は球面であること特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器のピストン又はバルブケース。
- 上記上下いずれかの案内穴は、円錐状又は球面状の窪みであること特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器のピストン又はバルブケース。
- 外筒に収容されたシリンダ内を上部室と下部室とに区画する一方、シリンダ内に摺動自在に案内され下部室と逆止弁を連通する外周ポートと上部室と伸側減衰弁を連通する第一の内周ポートとを設けたピストンをピストンロッドの下端部に結合して、当該ピストンに配設された前記伸側減衰弁によりピストンロッドが伸長する際の伸側減衰力を制御するとともに、シリンダ内を下部室とタンク室に連通する底部室とに区画する一方、底部室を吸込弁に連通する外周ポートと下部室を圧側減衰弁に連通する第二の内周ポートとを設けたバルブケースをシリンダ下端部に嵌着して、当該バルブケースに配設された前記圧側減衰弁によりピストンロッドが収縮する際の圧側減衰力を制御する油圧緩衝器において、
第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿設する位置に、上側又は下側のいずれか一方より、焼結素材の成形段階で貫通しない案内穴を外周ポートを基準にして設け、そのうちのいくつかを選択して、外周ポートを基準に前記案内穴に位置を合わせ、反対側より第一の内周ポート及び第二の内周ポートを穿孔したことを特徴とする油圧緩衝器のピストン又はバルブケース。
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