JP4054462B2 - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機或いはプリンタ等とされる電子写真方式或いは静電記録方式の画像形成装置、及び、該画像形成装置に具備され、像担持体上に形成された静電潜像を現像剤担持体上に薄層形成した現像剤により顕在化する現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法を用いた現像装置は、用いる現像剤(以下、「トナー」という)の種類によって構成が若干異なっている。しかし、非磁性1成分トナーを用いる場合に比べ、磁性1成分トナーを用いる場合では、磁性1成分トナーを現像剤担持体(以下、「現像ローラ」という)に磁力によって引きつけるマグネットが現像ローラ内に必要になるだけで、ほぼ同様な構成をとる。図4に非磁性1成分トナーを用いた場合の現像装置の従来例を示す。
【0003】
図4に示すように、従来、この種の現像装置101は、図中X方向に回転する像担持体である感光体100に接触し、図中Y方向に回転しながら現像を行う現像ローラ102、現像ローラ102に非磁性1成分トナーTを図中Z方向に回転することによって供給する現像剤供給手段であるトナー供給ローラ104、現像ローラ102上のトナーTの塗布量及びその帯電量を規制する現像剤規制部材である現像ブレード103、トナーTをトナー供給ローラ104に供給すると共に非磁性1成分トナーを攪拌する攪拌部材105等からなる。
【0004】
剛体の感光体100を用い、現像ローラ102が接触して現像を行う場合には、現像ローラ102は弾性体であることが望ましい。そして、弾性体の現像ローラ102を用いた現像装置においては非磁性1成分トナーへの帯電付与のために金属製の現像ブレード103が好適に用いられる。
【0005】
一方、現像装置101は、現像領域に不図示の電源により現像ローラ102に現像バイアスを印加することによって、感光体100の表面に不図示の手段にて形成された静電潜像を現像ローラ102の表面に鏡映力にて担持されているトナーTで現像し可視化する。現像に寄与せずに現像ローラ102表面に残留したトナーは、トナー供給ローラ104を介して現像装置101内に回収される。
【0006】
この現像装置101は、基本的には、絶縁性の非磁性1成分トナーを用いるものであり、又、トナー供給ローラ102から現像ローラ102へのトナーTの供給は、トナー供給ローラ104と現像ローラとの摺擦領域においてトナーTが摩擦帯電することにより生じる鏡映力によって行われる。又、トナーTの現像ローラ102への供給量の調整は、現像ローラ102とトナー供給ローラ104との周速差によって行われる。尚、磁性1成分トナーの場合は、周知のごとく、トナーの供給搬送に磁気力が加わる。
【0007】
上記形式の現像装置101は、トナーTの搬送に磁気力を必要としないので、1成分トナーが非磁性化されており、特に、カラー画像の形成には有利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、弾性体からなる現像ローラ102を感光体100に接触当接させて現像工程を行うため、以下に示す現象が生じ、その結果、トナー劣化が発生し、現像特性が低下してしまい画像不良が生じてしまうという問題点があった。
【0009】
以下、上記現象について詳しく説明する。
【0010】
現像ローラ102と感光体100との当接ニップ領域において、両者間の摺擦により、当接ニップ領域中のトナーTはダメージを受ける。通常、従来例で示したような現像装置101は、現像ローラ102表面に担持されるトナー層が薄層であるため、静電潜像への現像量を所定量に確保するためには、現像ローラ102を感光体100より早く回転させる必要が生じる。つまり、現像ローラ102と感光体100との当接ニップ領域においては、両者間に、周速差が生じる。このため、上記の当接ニップ領域中における摺擦によるトナー劣化が生じる。
【0011】
更に、従来の現像ローラ102は、ローラ硬度が、JIS−A硬度計で40〜50度程度と高いため、現像ローラ102の感光体100への確実な当接を得るべく現像ローラ102の感光体100への進入量Sを確保しようとすると、現像ローラ102の感光体100への当接圧が増加してしまう。上記当接圧は、トナー供給ローラ104の現像ローラ102への当接圧よりも著しく高くなる。例えば、硬度40〜50度(JIS−A)程度の現像ローラ102を用いると、現像ローラ102の感光体100への当接圧が増加し、特に、感光体100が剛体である場合に、上記進入量Sを100μm程度確保しようとすると、上記当接圧は、100g/cm程度にまで達してしまう。
【0012】
これに対して、トナー供給ローラ104は、一般的に低硬度のスポンジローラで構成されており、例えば、硬度20〜40度(AskerC)のトナー供給ローラを用いた場合、トナー供給ローラ104の現像ローラ102への進入量を上記例と同じ100μmに設定すると、トナー供給ローラ104の現像ローラ102への当接圧は、約40g/cm程度となる。即ち、感光体100に剛体を用いると、現像ローラ102の感光体100への当接圧は、トナー供給ローラ104の現像ローラ102への当接圧よりも著しく高くなる。
【0013】
ここで、上記当接圧の測定方法について説明する。
【0014】
上記当接圧はいわゆる線圧ともいわれるもので、以下のようにして測定する。即ち、引き抜き板として、長さ100mm×幅15mm×厚さ30μmのステンレス薄板と、挟み板として長さ180mm×幅30mm×厚さ30μmのステンレス薄板を長さを半分にするように折ったものを用意し、挟み板の間に引き抜き板を挿入し、上記挟み板を現像ローラ102と感光体100もしくは、現像ローラ102とトナー供給ローラ104の間に挿入する。その状態で、バネばかり等で引き抜き板を一定の速度で引き抜き、その時のバネばかりの値(単位:g)を読む。バネばかりの値を1.5で除算して、単位をg/cmにし、上記当接圧としての線圧が求められる。
【0015】
更に、従来の現像ローラは、その表面の動摩擦係数が約1.0程度あり、上記当接圧の増加とあいまって、上記トナー劣化を促進してしまう。
【0016】
ここで、動摩擦係数について説明する。
【0017】
ここでいう動摩擦係数とは、以下に示す方法により測定した現像ローラ102表面のステンレス薄板に対する摩擦係数である。摩擦係数μは、図5に示すようにして求めた。即ち、一方の端部に重りW1を付加し、他方の端部にデジタルフォースゲージ(重りW1もステンレス薄板も付加しない無付加時に0値に調整しておく)120にセットした、厚さ0.03mmのステンレス薄板110を現像ローラ102表面にセッテングし、図4に示すθ、つまり現像ローラ102の回転軸芯Oを中心としてステンレス薄板110が現像ローラ102の周面に当接する角度を45度に設定した。
【0018】
そしてデジタルフォースゲージ120の値が安定した後、現像ローラ102を矢印R方向に回転させ、この時の現像ローラ102とステンレス薄板110間の摺擦力をデジタルフォースゲージ120で測定する。
【0019】
測定値は、デジタルフォースゲージ120からアナログ出力された値をレコーダで周波数10Hzでサンプリングし、サンプリングデータをコンピュータPCで以下に示す式(1)により計算し、更に、現像ローラ102の1回転分の計算値を平均して求めた。
【0020】
μ=(1/θ)ln(F/W) ・・・ (1)
ここで、μ:動摩擦係数、θ:図5中に示す角度、W:W1とW2との合計値、W1:重りの重量、W2:ステンレス薄板の重量、F:デジタルフォースゲージの測定値、である。
【0021】
上記のようにして、ステンレス薄板110に対して現像ローラ102表面の動摩擦係数を測定した理由は、現像ブレード103が一般にステンレス薄板(厚さは0.1mm程度)のものを使用しており、又、感光体100もアルミニウム等の基板上に厚さ数十μm程度の感光層を有するものを用いているため、現像ローラ102表面の動摩擦係数としては、ステンレス薄板に対するものを用いて、比較することが現状に近く、より適切と判断したためである。
【0022】
このようにして、測定した動摩擦係数が大きいと、上記の現像ローラ102と感光体100間の摺擦力が大きくなり、トナーダメージが促進される。
【0023】
この現象は、上記のように現像ローラ102の硬度が高い方がより顕著であり、現像ローラ102と感光体100間の摺擦力が著しく増し、トナー劣化が促進する。
【0024】
本発明者らの検討によると、上記動摩擦係数が0.2を超え、現像ローラ102の硬度が凡そ30度(JIS−A)以上になると、本現象の傾向が見られ始め、動摩擦係数が1.0程度になり、ローラ硬度も40度(JIS−A)を超えると著しくなる。このようにしてダメージを受けたトナーは、現像ローラ102の表面に強固に付着してしまい、トナー供給ローラ104による摺擦では、劣化トナーを現像ローラ102表面から除去できない。
【0025】
この理由を次に説明する。上記のように、現像ローラ102と感光体100間の当接は、弾性体と剛体の当接なので、現像ローラ102とトナー供給ローラ104の当接、即ち、弾性体間の当接より、当接圧が強くなる。一方、感光体100の表面の動摩擦係数は、一般にトナー供給ローラ104表面の動摩擦係数より低いが、現像ローラ102表面の動摩擦係数が1.0を超えてくると、現像ローラ102の動摩擦係数は、上記両者の動摩擦係数と比較して同じか或いはそれ以上となり、現像ローラ102と感光体100間、及び現像ローラ102とトナー供給ローラ104間の摺擦力は、感光体100表面の動摩擦係数及びトナー供給ローラ104表面の動摩擦係数に依存しなくなり、現像ローラ102表面の動摩擦係数に支配されるようになる。つまり、上記摺擦力は現像ローラ102と感光体100間の方が、現像ローラ102とトナー供給ローラ104の方より強くなる。
【0026】
このため、現像ローラ102と感光体100間で強い摺擦力でストレスを受けたトナーは強固に現像ローラ102に融着し、この現像ローラ102表面に融着した劣化トナーは、現像ローラ102と感光体100の摺擦力より低い現像ローラ102とトナー供給ローラ104間の摺擦力では現像ローラ102から除去するのが困難になる。
【0027】
以上のようにしてトナー劣化が生じると、現像ローラ102表面に融着した劣化トナーは更にストレスを受け、又、新たな劣化トナーの現像ローラ102への融着も生じ、現像ローラ102表面への劣化したトナーによる汚染が進行する。その結果、やがて、現像ブレード103まで汚染してしまい、トナーの帯電性能が低下してしまう。
【0028】
そのため、現像ローラ102表面のトナーの帯電量低下及びコート量低下が生じ、現像特性が著しく悪化する。出力画像としては、画像濃度低下や反転カブリの増加、さらには現像ブレード103や現像ローラ102に融着したトナーに起因する画像スジが生じ、出力画像の画像品位が著しく低下する。これによって、現像装置の寿命が短くなる結果が生じる。特に、低温定着に有利な低温トナーを用いると上記現象は著しいものとなる。
【0029】
以上説明したように、従来装置においては、現像ローラ102と感光体100間の摺擦力が、現像ローラ102とトナー供給ローラ104間の摺擦力より高いため、現像ローラ102表面へのトナー融着を促進させていた。その結果、低融点トナーを使いこなすことが困難となっていた。
【0030】
そこで、本発明の目的は、非磁性1成分現像剤を用いた接触現像系において、現像剤担持体と像担持体との間で生じる現像剤劣化を低減すると共に、現像剤担持体表面への現像剤融着を防止し、同時に、現像剤劣化の促進を防止し、低融点現像剤に対しても安定して現像可能な現像装置及び該現像装置を具備した画像形成装置を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る現像装置及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体に対して当接配置された弾性を有する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を供給する弾性を有する現像剤供給手段と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を規制して現像剤層を薄層形成する現像剤規制部材とを有する現像装置において、
前記現像剤規制部材の前記現像剤担持体に対する当接圧及び前記現像剤担持体の前記像担持体に対する当接圧は、前記現像剤供給手段の前記現像剤担持体に対する当接圧と同じか或いはそれより小さく、前記像担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、前記現像剤供給手段表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数よりも小さく、前記現像剤担持体のAskerC硬度が40度以下であり、前記現像剤担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、0.2以下であることを特徴とする現像装置である。
【0032】
前記現像剤規制部材は金属からなることが好ましい。前記現像剤担持体は導電物質を分散したポリアミド樹脂、又は導電物質を分散したアクリル変成シリコーン樹脂、又は導電物質を分散したアクリルポリエステルウレタン樹脂を含む帯電付与層を表面に有することが好ましい。前記帯電付与層は離型性粒子が分散されていることが好ましい。前記離型性粒子はフッ素系粒子、又はポリアミド樹脂粒子であることが好ましい。別の態様によれば、前記離型性粒子はフッ素系粒子及びポリアミド樹脂粒子の混合粒子であることが好ましい。前記現像剤供給手段の硬度は前記現像剤担持体の硬度より高いことが好ましい。前記現像剤供給手段の表面はシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDMからなる弾性体で構成されることが好ましい。別の態様によれば、前記現像剤供給手段の表面はリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDMからなる発泡弾性体で構成されることが好ましい。
【0033】
本発明による他の態様によれば、像担持体を具備し、前記像担持体に対して当接配置された弾性を有する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を供給する弾性を有する現像剤供給手段と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を規制して現像剤層を薄層形成する現像剤規制部材とを有する現像装置を、更に具備する画像形成装置において、
前記現像剤規制部材の前記現像剤担持体に対する当接圧及び前記現像剤担持体の前記像担持体に対する当接圧は、前記現像剤供給手段の前記現像剤担持体に対する当接圧と同じか或いはそれより小さく、前記像担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、前記現像剤供給手段表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数よりも小さく、前記現像剤担持体のAskerC硬度が40度以下であり、前記現像剤担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、0.2以下であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0034】
前記像担持体は、弾性を有する基体、又はベルト状基体表面に感光層が形成されていることが好ましい。前記像担持体表面は離型性樹脂が分散されていることが好ましい。前記離型性樹脂はフッ素樹脂であり、分散量は3〜50%であることが好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る現像装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。尚、次に説明する実施例にては、本発明は、例えば図3に示されるような電子写真画像形成装置に具現化されるものとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0036】
図3にて、電子写真画像形成装置は、像担持体である感光体ドラム10を回転自在に設け、該感光体ドラム10を一次帯電器11で一様に帯電し、次に例えばレーザのような発光素子12によって情報信号を露光して静電潜像を形成し、現像装置1で可視像化する。次に該可視像を転写帯電器13により転写紙14に転写し、更に定着装置15にて定着して永久画像を得る。又、感光体ドラム10上の転写残トナーはクリーニング装置16により除去する。
【0037】
実施例1
本発明の第1実施例に係る現像装置について図1により説明する。
【0038】
図1において、感光体ドラム10は負帯電極性であり、外径30mmのOPC感光体を用いている。現像装置1は、球形で低融点の非磁性1成分重合トナー(現像剤)6を収容する現像容器7と、その開口部にて感光体ドラム10に対向設置され、感光体ドラム10にトナー6を担持搬送する現像剤担持体である現像ローラ2、現像ローラ2に当接しトナー6を現像ローラ2に担持搬送する現像剤搬送手段であるトナー供給ローラ4、及び現像ローラ2上に担持されたトナー6の層厚を規制する現像剤規制部材である現像ブレード5を備えている。
【0039】
現像ローラ2は外径16mmのものを用い、現像ローラ2の両端に設けられた進入量規制コロ3により感光体ドラム10への進入量を規制している。進入量規制コロ3はその外径を15.5mmとし、上記進入量を250μm程度に設定した。トナー供給ローラ4は外径16mm、硬度20度(AskerC)の絶縁性ウレタンスポンジローラとし、現像ローラ2に対する進入量を500μm程度に保つように現像ローラ2に対して接触配設している。尚、トナー供給ローラ4表面の動摩擦係数は約0.7である。材料としてウレタンの他には、シリコーンスポンジ、EPDMスポンジ等を用いることも可能である。無論、スポンジに代えてソリッドにしてもよく、更には、両者の複合形状(2層ローラ等)としてもよい。
【0040】
現像ブレード5は、トナー供給ローラ4によって現像ローラ2表面に供給された非磁性1成分トナーの量を所定量に規制すると共に、非磁性1成分トナー6に摩擦帯電により所定量の電荷を付与する。
【0041】
又、図1において、感光体ドラム10は矢印X方向に、回転速度Vxで回転し、現像ローラ2は矢印Y方向に回転速度Vyで回転している。更に、トナー供給ローラ4は矢印Z方向に回転速度Vzで回転している。
【0042】
上記の現像装置1は、図3に示したような、一般的に用いられている反転現像系の画像形成装置(例えば、LBP,LED等のページプリンター)に用いることが可能であり、本実施例では以下に示す画像評価時の画像出力の条件として、感光体ドラム10の帯電電位を−650V、感光体ドラム10上の露光領域の画像域電位を−100V、現像ローラ2に印加する現像電圧を−350VDC電圧とした。
【0043】
上記のように、本発明者らは従来装置の問題点を解決するためには、現像ローラ2と感光体ドラム10間の摩擦力を現像ローラ2とトナー供給ローラ4間の摺擦力より低下させればよいことを見出した。そのためには、現像ローラ2表面の動摩擦係数を所定値以下に下げ、且つ、ローラ硬度を低下させることが有効であることが判明した。このために、以下に示す低硬度で表面動摩擦係数の低い現像ローラを用いた。
【0044】
現像ローラ2は、アルミニウムやステンレス等の金属芯金上に弾性層を形成し、更に、ローラ表面には帯電付与層を形成した。弾性層は現像ローラ2の低硬度化を図るために、低硬度のLTVシリコーンゴム、又は、シリコーン樹脂、もしくはウレタン樹脂、又はEPDM等の発泡スポンジ体を用いることができる。
【0045】
ここで、発泡スポンジ体を弾性層として用いた場合は、スポンジ層表面に厚さ数mm以下程度のソリッド層を設けることが好ましい。その理由は、帯電付与層は厚さ数μm程度の薄層であるため、ソリッド層を設けないと、現像ローラ2表面に、スポンジ層表面の形状が現れてしまい、現像ローラ2表面の表面粗さRmaxが大きくなりすぎるからである。尚、表面粗さRmaxは、JIS B0601に示されている定義を用い、測定には小坂研究所製の表面粗さ試験器「SE−30H」を使用した。
【0046】
本発明者らの検討によると、現像ローラ2の表面粗さRmaxは15μm程度以下である必要があり、この数値を超えると、出力画像上にスポンジ層の表面形状が現れ、非常にがさついた画像となってしまう。この問題点を防止するために、スポンジ層を弾性層として用いる場合には、その表層にソリッド層を設けるのがよい。表層にソリッド層を設けても、厚さが数mm以下であること、及び、下層のスポンジ層が低硬度であることなどにより、現像ローラ2のローラ硬度としては、低硬度のものを得ることが可能となる。
【0047】
一方、帯電付与層はトナー6に対しての高帯電付与性と対感光体ドラム摺擦力を下げるために、その表面の動摩擦係数を下げることが必要なので、ポリアミド樹脂、もしくは、アクリル変性シリコーン樹脂、アクリルポリエステルウレタン樹脂等のトナー帯電付与性の高い樹脂中に、フッ素系樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子等の離型性粒子及び導電物質を分散した。具体的には、ローラ硬度として、40度(AskerC硬度計)以下、動摩擦係数0.2以下のものを得ることができ、これらのものを用いれば、後述するように、本発明が優位に達成可能となる。
【0048】
尚、弾性層と帯電付与層とは共に導電化されており、カーボン粉末や金属等の導電物質が分散配合されている。電気抵抗値としては、各々体積抵抗率で約1×103 Ωcm〜約1×109 Ωcmに調整されている。現像ローラ2の弾性層及び帯電付与層の電気抵抗値は実施例及び比較例すべて、1×105 Ωcmに調整している。1×103 Ωcmを下回ると、感光体ドラム10表面にピンホールがあったとき、ピンホールに電流が集中し、現像電圧が降下し、現像不能となる。一方、1×109 Ωcmを上回ると現像ローラ2に担持されたトナー6がチャージアップしやすくなるため、現像ローラ2表面へのトナー6のコート状態が不安定になり、コート量不足も生じる。更に、現像性が低下し、画像濃度低下も生じる。
【0049】
また、従来は、現像ローラ2にコートされるトナー量を所定値に設定するには、現像ローラ2の表面粗さを所定値に設定する必要があるとされていたが、本発明者らの検討によると、現像ローラ2の表面にコートされるトナーのコート量は、一概に、現像ローラ2の表面粗さRzとは相関しておらず、むしろ、現像ローラ2の表面にコーティングされる帯電付与膜の材質によることが判明している。例えば、帯電付与膜として上記のポリアミド樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、アクリルポリエステルウレタン樹脂等を用いると、上記帯電付与膜中に離型粒子等を分散して、現像ローラ2表面の動摩擦係数を小さくしても、現像ローラ2の表面粗さRzによらず、ほぼ安定したトナーコート量を得ることができる。
【0050】
このことは、低動摩擦係数を有する現像ローラ2においては、トナー供給ローラ4による現像ローラ2へのトナー供給時に生じる摩擦帯電による鏡映力によって、現像ローラ2表面へのトナー6の担持力が生じていることからも理解できる。表面粗さRzを大きくすれば、それだけ、トナー6と現像ローラ2表面との接触機会が増加して帯電付与性が増加し、トナーコート量も増加することもあるが、これは、現像ローラ2表面が通常のウレタン樹脂等の上記ポリアミド樹脂等に比べて著しくトナー6への帯電付与性が低下する場合や離型粒子が帯電付与樹脂中に埋め込まれ、粒子表面が膜の外に出ていない場合に見られる現象であって、本発明者らの検討によると、上記ポリアミド樹脂等の高帯電付与性の材料を用いれば、現像ローラ2表面の表面粗さRzによらず、現像ブレード5の設定条件のみでコート量を調整可能になる。
【0051】
第1実施例では、上記内容を基に、下記の表1に示す現像ローラA、B、C、Dを作製し用いた。又、同時に、本発明の効果を評価するため、比較例として、下記の表1に示す現像ローラE、F、G、Hを作製し用いた。尚、各現像ローラの対感光体ドラムへの当接圧は、現像ローラDが約25g/cm、現像ローラA、B、C、F、Hが約30g/cm、現像ローラE、Gが約100g/cmであった。又、各現像ローラに対するトナー供給ローラ4の当接圧は、現像ローラA、B、C、D、F、Hが約30g/cm、現像ローラE、Gが約40g/cm程度であった。
【0052】
【表1】
【0053】
次に、現像ブレード5について説明する。
【0054】
現像ブレード5は、図1に示すように、現像ローラ2に所定の当接圧で接触当接している。現像ブレードとしては、リン青銅の薄板上で現像ローラ2との当接部にウレタンゴムやLTV等のトナー6と逆極性の帯電特性を有する弾性体や更にこの弾性体表面(現像ローラ2と接触する面)にポリアミド樹脂等の、更にトナー6に対して帯電付与性の高くなる樹脂をコーティングした弾性体を設けたものを現像ブレードとして用いてもよく、又、図1にように、先端部をL字状に形成したステンレス薄板を用いて、その先端L字のエッジ部を現像ローラ2表面に当接させるようにしてもしてもよい。
【0055】
本実施例では、現像ブレード5のトナー6への帯電付与性を上げたまま、現像ローラ2と現像ブレード5との間の摺擦力を可能な限り低下させるため、現像ブレード5として、後者のステンレス薄板のL字ブレードを用いた。尚、ステンレス薄板の厚さは100μmとし、先端エッジ部の現像ローラ2への当接圧を、表1に示す各現像ローラに対して前記線圧で、現像ローラDが約12g/cm、現像ローラA、B、C、F、Hは約15g/cm、現像ローラE、Gは約30g/cmに設定した。
【0056】
次に、本実施例のトナーについて説明する。本実施例においては、上述のように、低融点で転写性の優れた重合トナーを用いた。
【0057】
トナーの球形度合いはトナー形状係数SF−1、SF−2を用いて示すことが可能である。SF−1、SF−2とは、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行ない下式より算出し得られた値を定義している。
【0058】
SF−1={(MXLNG)2 /AREA}×(π/4)×100
SF−2={(PERI)2 /AREA}×(π/4)×100
(MXLNG:絶対最大長、AREA:トナー投影面積、PERI:周長)
このトナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、140より大きいと球形から徐々に不定形となる。SF−2は凹凸度合を示し、120より大きいとトナーの表面の凹凸が顕著になる。
【0059】
トナー6は重量平均粒径が3〜10μmで、前述のSF−1が100〜140、SF−2が100〜120の範囲のものを用いることが好ましい。尚、本実施例のトナーの帯電極性は負極性である。
【0060】
トナーの重量平均粒径は、種々の方法によって測定できるが、本実施例においては、コールターカウンターのマルチサイザーを用いて行った。
【0061】
即ち、測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−iパーソナルコンピュータ(キヤノン製)を接続し、電解液は特級又は一級塩化ナトリウムを用いて1%Nacl水溶液を調整する。
【0062】
測定法としては、上記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料2〜20mgを加える。
【0063】
試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、上記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、トナー粒径を測定するときは、100μmアパーチャーを用いて測定する。トナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出した。それから本実施例に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径を体積分布から求める
この球形トナー粒子は重合法により形成され、これにより、より球形に近いトナー粒子を得ることができる。特に、重合法により形成されたトナー粒子については、分散媒体中にプレトナー(モノマー組成物)粒子として存在させ必要な部分を重合反応により生成するため、表面性については、かなり平滑化されたものを得ることができる。
【0064】
本実施例では、同時に球形トナー粒子の製造の容易化、及び省エネルギー化を目的としてトナー粒子を低溶融点化するため、球形トナー粒子にコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合法により形成することが好ましい。コア/シェルの構造の作用は、トナー粒子の優れた定着性を損なうことなく耐ブロッキング性を付与できることはいうまでもなく、コアを有しないようなバルクとしての重合トナー粒子に比較して、シェル部分のみを重合する方が、重合工程の後の後処理工程において、残存モノマーの除去が容易に行われるからである。
【0065】
又、コア部の主たる成分としては低軟化点物質が好ましく、ASTMD3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピーク値が40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり好ましくない。一方、極大ピーク値が90℃を超えると定着温度が高くなり好ましくない。更に直接重合法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
【0066】
上記極大ピーク値の温度測定には、例えばパーキンエレマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/min.で測定を行った。
【0067】
上記低軟化物質としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0068】
又、低軟化点物質はトナー粒子中へ5〜30重量%添加することが好ましい。仮に5重量%未満の添加では先に述べた残存モノマーの除去に負担がかかり、又30重量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、不適当であった。
【0069】
更には、トナー粒子表面を外添剤によって被覆することにより、感光体の帯電部材による影響をある部分外添剤に逃がしてやるような構成をとることが望ましく、その意味で、トナー粒子表面の外添剤被覆率は5〜99%、更には10〜99%であることが好ましい。
【0070】
トナー粒子表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FR−SEM(S−800)を用いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェースを介しニコレ社製画像分析装置(Luzex3)に導入する。画像情報は、トナー粒子表面部分と外添剤部分とが明度が異なるため、2値化して、外添剤部分の面積SG とトナー粒子部分の面積(外添剤部分の面積も含む)ST に分け、下記の式により算出される。
【0071】
外添剤被覆率(%)=(SG /ST )×100
本実施例にて使用される外添剤としては、トナー粒子に添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。又、外添剤としては、例えば、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)、カーボンブラック、シリカ等が用いられる。
【0072】
これら外添剤は、トナー粒子100重量部に対し0.1〜10重量部が用いられ、好ましくは、0.05〜5重量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、又、複数併用してもよい。それぞれ疎水化処理を行ったものがより好ましい。
【0073】
外添剤の外添量が0.01重量部未満の場合には、一成分系トナーの流動性が悪化し、転写及び現像の効率が低下してしまう。その結果、画像の濃度ムラや画像部の周辺にトナーが飛び散ってしまういわゆる飛び散りが発生してしまう。10重量部を超える場合には、過多の外添剤が感光体ドラムや現像ローラに付着してトナーへの帯電性を悪化させたり、画像を乱したりする。
【0074】
以上説明した本実施例における現像装置を、図1に示す感光体10の回転速度Vx、現像ローラの回転速度Vy、トナー供給ローラ4の回転速度Vz、VxとVyの差のΔV1、VyとVzとの差ΔV2を、Vx=100mm/sec、Vy=120mm/sec、Vz=50mm/secに設定し、上記の現像条件を基に、画像出力5千枚の通紙耐久試験を行い、画像特性と共に、トナー劣化状況を評価した。尚、評価は、23℃、60%Rh(常温温度)環境下で、A4サイズ紙縦送りで行った。
【0075】
その結果を下記の表2に示す。
【0076】
評価項目は、
1.通紙耐久試験において、出力画像の画像濃度低下が見られるかどうか、
2.通紙耐久試験において、出力画像の画像カブリの増加が見られるかどうか、
3.通紙耐久試験において、出力画像上縦スジの発生が見られるかどうか、
4.通紙耐久試験において、現像ローラ上のトナー帯電量の低下が見られるかどうか、
5.通紙耐久試験において、現像ローラ上及び現像ブレードにトナー融着が生じているかどうか、
について行った。
【0077】
尚、評価項目4のトナー帯電量の測定は、以下に示す方法で行った。即ち、画像出力後に、現像ローラ表面のトナーをクーロンメータで吸引測定し、トナー帯電測定値Q(μC)を得て、更に、吸引トナー重量m(mg)を測定する。そして、Q、mの値から、以下に示す式(2)より、トナー帯電量(μC/g)を得た。
【0078】
トナー帯電量(μC/g)=Q/(1000×m) ・・・ (2)
又、評価項目1〜4までは、各250枚通紙毎にサンプリングして、評価のための測定値を得た。
【0079】
【表2】
【0080】
表2から、以下に示す条件の場合、良好な現像特性を得ることができた。
【0081】
1.現像ローラ硬度がAskerC硬度で40度より低い場合、即ち、現像ブレードの対現像ローラ当接圧及び現像ローラの対感光体当接圧が、トナー供給ローラの対現像ローラ当接圧以下の場合、
2.現像ローラ表面動摩擦係数が0.2以下の場合、即ち、現像ローラ表面の動摩擦係数が、トナー供給ローラ表面の動摩擦係数より低い場合、
である。
【0082】
上記の結果の理由については以下のように考えられる。
【0083】
1.離型性粒子を分散したポリアミド樹脂等の帯電付与膜を形成した低動摩擦係数を有する低硬度の現像ローラを用いること、
2.現像ブレードの対現像ローラ当接圧及び現像ローラの対感光体当接圧をトナー供給ローラの対現像ローラ当接圧以下にすること、
3.現像ローラ表面の動摩擦係数をトナー供給ローラ表面の動摩擦係数より低くすること、
によって、現像ローラ表面のトナーコート量の耐久安定性が向上しているためと考えられる。下記にその理由を示す。
【0084】
従来、特開平5−72883号公報に示されるように、現像ローラ表面がトナーとの摺擦により摩耗し、現像ローラ表面粗さが時間的に変化するため、現像ローラ表面のトナーコート量が時間的に変動するとされているが、本発明者らの検討によると、球形度合いの大きい重合トナーを用いたところ、本実施例において用いるような低動摩擦係数を有する現像ローラの場合、上記のように、トナーとの摺擦により現像ローラ表面粗さRzが変動し、トナーコート量が変動することはなかった。むしろ、重合トナーを低融点化した場合、現像ローラ2と感光体10との当接領域における両者間の摺擦により、トナー劣化が生じ、劣化したトナーが、現像ローラと現像ブレードを汚染してトナーに対する帯電付与性が低下し、現像ローラ表面のトナーコート量が減少するという傾向が見られた。この傾向は、動摩擦係数の高い現像ローラを用いても見られ、このような現像ローラの場合、現像ローラの硬度にはあまり関係がなかった。
【0085】
しかしながら、本実施例において用いるような低動摩擦係数を有する現像ローラを用いる場合、現像ローラ硬度と上記トナー劣化は相関しており、現像ローラ硬度を低硬度化することで、上記トナー劣化を防止することが可能となる。以下にその理由を記す。
【0086】
従来、一般に用いられているような硬度40〜50(JIS−A、AskerC硬度計で約50〜60度程度)の現像ローラの対感光体当接圧は、上記のように、約100g/cmの線圧となり、一方、本実施例にて用いるような低動摩擦係数で、低硬度(後述するが、約30度:JIS−A、もしくは40度:AskerC、以下)の現像ローラを用いると、上記線圧が約30g/cm程度以下と従来系の約1/3程度に低減されるため、現像ローラ表面の摺擦力低下と相俟って、現像ローラ2と感光体10間の摺擦によるトナーへのストレスが減少することになる。
【0087】
更に、現像ローラと感光体間の摺擦力を、上記において示したように、現像ローラとトナー供給ローラ間の摺擦力より低くすることによって、現像ローラと感光体間の摺擦力により、現像ローラ表面にメカニカルに付着したトナーは、トナー供給ローラにて確実に現像ローラ表面から除去できるようになる。即ち、現像ローラ表面からのトナー供給ローラによる現像残トナーの剥ぎ取り率が向上する。その結果、トナー劣化の促進が防止される。
【0088】
以上説明したように、
1.離型性粒子を分散したポリアミド樹脂等の帯電付与膜を形成した低動摩擦係数を有する低硬度の現像ローラを用いること、
2.現像ブレードの対現像ローラ当接圧及び現像ローラの対感光体当接圧をトナー供給ローラの対現像ローラ当接圧以下にすること、
3.現像ローラ表面の動摩擦係数をトナー供給ローラ表面の動摩擦係数より低くすること、
によって、従来の問題点を解決することが可能となった。
【0089】
即ち、像担持体である感光体と現像ローラが接触及び摺擦して現像を行ういわゆる接触現像法を用いた現像装置において、低表面動摩擦係数を有し、且つ、低硬度を有する現像ローラ、及び、現像ローラより表面動摩擦係数の高いトナー供給ローラを用いることにより、更に、現像ローラの感光体への侵入量、及びトナー供給ローラの現像ローラへの侵入量を最適化することにより、現像ローラの感光体ドラムへの当接圧、及び現像ブレードの現像ローラへの当接圧をトナー供給ローラの現像ローラへの当接圧より低くし、現像ローラと感光体ドラム間の摺擦力及び現像ブレードと現像ローラ間の摺擦力をトナー供給手段と現像ローラ間の摺擦力より小さくすることによって、現像ローラ表面に供給されるトナーの劣化や融着等を防止し、高寿命で高画質の画像出力が可能な現像装置を提供できるようになった。
【0090】
実施例2
以下に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例では、第1実施例における現像装置の現像ローラと感光体ドラム間の摺擦力を更に低下させるため、感光体表面層にフッ素樹脂等の離型性材料を分散した。
【0091】
下記に本実施例の感光体ドラム10について詳しく説明する。
【0092】
感光体ドラム10は負帯電のOPC感光体であり、直径30mmのアルミニウム製のドラム支持体20上に下記の第1〜第5の5層の機能層を下から順に設けたものである。
【0093】
第1層は下引き層21であり、アルミニウムドラムの欠陥等を均すため、又、レーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電層である。
【0094】
第2層は正電荷注入層(UC層)22であり、アルミ支持体20から注入された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂(6−ナイロン)とメトキシメチル化ナイロンによって1×106 Ωcm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0095】
第3層は電荷発生層(CG層)23であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0096】
第4層は電荷輸送層(CT層)24であり、ポリカーボネート樹脂にトリアリールアミン化合物やヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することができず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0097】
第5層はチャージアップ防止層25であり、光硬化性のアクリル樹脂にテフロン(デュポン社の商標でフッ素樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である)等のトナーの帯電極性と同極性で、且つ、現像ローラと逆極性の帯電極性を有するフッ素樹脂8と超微粒子のSnO2 を分散した材料の塗工層である。
【0098】
具体的には、光硬化型のアクリル系モノマー60部(重量部、以下同様)、平均粒径0.18μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子3〜50部、アンチモンをドーピングし低抵抗化した分散前の平均粒径約400Åの酸化スズ超微粒子60部、光開始剤として2−メチルチオキサントン20部、及びメタノール400部をサンドミルにて48時間分散を行った。このようにして調合した塗工液をディッピング塗工法にて、厚さ約2μmに塗工してチャージアップ防止層とした。
【0099】
ここで、フッ素樹脂8でありポリテトラフルオロエチレンは、感光体ドラム10の最表層に位置するため、現像ローラ2に担持されたトナーTと接触することが可能である。
【0100】
フッ素樹脂8の分散量を3〜50部としたのは、3部未満であると、トナーのチャージアップ防止の効果が少なく、50部を超えると発光素子からの光がフッ素樹脂により散乱してしまい、画像ボケが発生するためである。
【0101】
又、酸化スズはフッ素樹脂8の分散助剤としての役割と共に、チャージアップ防止層25の抵抗調整のために用いられる。この層の体積抵抗率は1×109 〜1×1014Ω・cmが好適である。
【0102】
本実施例に用いるフッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体のなかから1種或いは2種以上を適宜選択するのが好ましい。樹脂の分子量は、適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0103】
本実施例における感光ドラム表層中分散させるフッ素樹脂の帯電極性は、トナーに対して正電荷付与性である。
【0104】
尚、本実施例においては、負帯電用感光体について説明したが、電荷発生層と電荷輸送層とを逆に積層して正帯電用感光体とすることも可能である。
【0105】
以上説明した感光体10を第1実施例の現像装置と共に用いたところ、第1実施例にて得た効果は更に高まり、本発明の目的を優位に達成することができた。
【0106】
実施例3
第1及び第2実施例においては、トナー供給ローラとして、硬度20度(AskerC)の絶縁性ウレタンスポンジローラを用いたが、これに代え、第1実施例にて示した現像ローラA、B、C、Dより硬度の高いトナー供給ローラを用いたところ、トナー供給ローラによる現像ローラ2表面の現像残トナーの剥ぎ取り性能がより向上し、本発明の効果がより向上した。具体的には、現像ローラ2より硬度が高い硬度50度(AskerC)の絶縁性のEPDMスポンジローラを用いた。
【0107】
他に、硬度50度(AskerC)の絶縁性シリコーンソリッドローラを用いても同様の効果を得た。
【0108】
トナー供給ローラの硬度は現像ローラ2の硬度よりも高ければよく、特に、上記硬度に限定されたものではない。
【0109】
上記結果を得られた理由はトナー供給ローラの硬度を上げることによって、現像ローラ〜トナー供給ローラ間の摺擦力が第1及び第2実施例より上昇し、第1と第2実施例で記した効果が顕著になったためと考えられる。
【0110】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の現像装置及び画像形成装置によれば、非磁性1成分現像剤を用いた接触現像系において、現像剤規制部材の現像剤担持体に対する当接圧及び前記現像剤担持体の像担持体に対する当接圧が、現像剤供給手段の前記現像剤担持体に対する当接圧と同じか或いはそれより小さく、前記像担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、前記現像剤供給手段表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数よりも小さく、前記現像剤担持体のAskerC硬度が40度以下であり、前記現像剤担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、0.2以下であることにより、現像剤担持体と像担持体との間で生じる現像剤劣化を低減すると共に、現像剤担持体表面への現像剤融着を防止し、同時に、現像剤劣化の促進を防止し、低融点現像剤に対しても安定して現像可能とすることができ、高品質画像を得ることができると共に、現像装置の長寿命化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る現像装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る感光体を示す部分断面図である。
【図3】本発明が適用される電子写真画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図4】従来の現像装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】動摩擦係数の測定要領を示す説明図である。
【符号の説明】
1 現像装置
2 現像ローラ(現像剤担持体)
4 トナー供給ローラ(現像剤供給手段)
5 現像ブレード(現像剤規制部材)
6 非磁性一成分トナー(現像剤)
10 感光体ドラム(像担持体)
Claims (13)
- 像担持体に対して当接配置された弾性を有する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を供給する弾性を有する現像剤供給手段と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を規制して現像剤層を薄層形成する現像剤規制部材とを有する現像装置において、
前記現像剤規制部材の前記現像剤担持体に対する当接圧及び前記現像剤担持体の前記像担持体に対する当接圧は、前記現像剤供給手段の前記現像剤担持体に対する当接圧と同じか或いはそれより小さく、前記像担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、前記現像剤供給手段表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数よりも小さく、前記現像剤担持体のAskerC硬度が40度以下であり、前記現像剤担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、0.2以下であることを特徴とする現像装置。 - 前記現像剤規制部材は金属からなる請求項1の現像装置。
- 前記現像剤担持体は導電物質を分散したポリアミド樹脂、又は導電物質を分散したアクリル変成シリコーン樹脂、又は導電物質を分散したアクリルポリエステルウレタン樹脂を含む帯電付与層を表面に有する請求項1又は2の現像装置。
- 前記帯電付与層は離型性粒子が分散されている請求項3の現像装置。
- 前記離型性粒子はフッ素系粒子、又はポリアミド樹脂粒子である請求項4の現像装置。
- 前記離型性粒子はフッ素系粒子及びポリアミド樹脂粒子の混合粒子である請求項4の現像装置。
- 前記現像剤供給手段の硬度は前記現像剤担持体の硬度より高い請求項1の現像装置。
- 前記現像剤供給手段の表面はシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDMからなる弾性体で構成された請求項7の現像装置。
- 前記現像剤供給手段の表面はリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDMからなる発泡弾性体で構成された請求項7の現像装置。
- 像担持体を具備し、前記像担持体に対して当接配置された弾性を有する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を供給する弾性を有する現像剤供給手段と、前記現像剤担持体に対して当接配置され現像剤を規制して現像剤層を薄層形成する現像剤規制部材とを有する現像装置を、更に具備する画像形成装置において、
前記現像剤規制部材の前記現像剤担持体に対する当接圧及び前記現像剤担持体の前記像担持体に対する当接圧は、前記現像剤供給手段の前記現像剤担持体に対する当接圧と同じか或いはそれより小さく、前記像担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、前記現像剤供給手段表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数よりも小さく、前記現像剤担持体のAskerC硬度が40度以下であり、前記現像剤担持体表面のステンレス薄板に対する動摩擦係数は、0.2以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記像担持体は、弾性を有する基体、又はベルト状基体の表面に感光層が形成されている請求項10の画像形成装置。
- 前記像担持体の表面は離型性樹脂が分散されている請求項10又は11の画像形成装置。
- 前記離型性樹脂はフッ素樹脂であり、分散量は3〜50%である請求項12の画像形成装置。
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