JP4053245B2 - 不正利用を防止できる半導体記憶装置 - Google Patents

不正利用を防止できる半導体記憶装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体記憶装置に関し、特にたとえばゲーム機用メモリカートリッジや音楽ストレージメモリ,メモリカード,ICカード等に利用可能であり、不正アクセスを防止するセキュリティ機能を有する半導体記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体記憶装置の記憶内容には、個人のプライバシーに係わる情報や著作権で保護されるべき情報など、第三者による読出しが望ましくないデータが含まれることがある。半導体記憶装置からの記憶内容を不正に読み出させないために、半導体記憶装置やその半導体記憶装置を制御する周辺装置には、セキュリティ回路が組み込まれたものがある。
【0003】
図7は従来のセキュリティ回路付き半導体記憶装置の一例を概略的に示すブロック図である。この従来技術においては、インタフェース回路UIと半導体記憶装置MEMとの間にセキュリティ回路SCRが挿入される。半導体記憶装置MEMの読出しにおいて、読出し命令と読出しアドレスとを含む入力信号がインタフェース回路UIに与えられると、インタフェース回路UIは、その入力信号を解析して、アドレスをセキュリティ回路SCRに送信する。セキュリティ回路SCRは、その送られてきたアドレスがデータの読出しが許可されているメモリ空間内にあるか否かを判定する。もし、アドレスが、許可されていないメモリ空間内のものであるときには、セキュリティ回路SCRは、読出しアドレスを半導体記憶装置MEMに与えないので、正常な読出し動作は行われない。もし、アドレスが許可されているメモリ空間内に存在すれば、正しいアドレスを半導体記憶装置MEMに送る。応じて、半導体記憶装置MEMからデータが読み出され、そのデータはインタフェース回路UIを通して外部に出力される。
【0004】
図7の従来技術は、たとえば特開昭59‐152599号公報に記載されているように、入力アドレスが許可されたメモリ空間内のアドレスでないとき、セキュリティ回路SCRが半導体記憶装置MEMに読出しアドレスを与えないようにして、半導体記憶装置MEMの記憶内容を保護しようとするものである。この他に、たとえば特開昭63‐225839号に開示されるように、セキュリティ回路SCRにおいて読出しアドレスを攪乱する方法や、特開平6‐250929号公報に開示されるように、半導体記憶装置MEMから読出したデータを攪乱する方法等がある。
【0005】
図7の従来技術においてセキュリティ機能を解除する方法を図8に示す。図8では、比較回路CMPを用いる。外部からパスワードが入力されると、そのパスワードは比較回路CMPに入力される。一方、インタフェース回路UIは予め設定されたパスワードを固定的に記憶している。このパスワードもまた比較回路CMPに入力される。比較回路CMPでは、2つのパスワードを比較し、両者が一致すればセキュリティ解除信号をセキュリティ回路SCRに入力する。したがって、この場合、半導体記憶装置MEMは、正常にアクセスされ、正常な読出し動作が行われ得る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示す従来技術では、セキュリティ機能を発揮させるか否かを制御するためにパスワードを入力しなければならないので、入力信号の解析によってセキュリティ解除方法を見破られ易い。また、セキュリティ回路付き半導体記憶装置を汎用のROMチップとセキュリティチップとで構成した場合、ROMチップを基板から取り外すことによって、容易に、データを読出しあるいは複製することができる。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、記憶内容が複製されるのを有効に保護し得る、新規な半導体記憶装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、ROMの記憶データが複製されても、その複製データを本来の使用目的には利用できないようにする、半導体記憶装置を提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、ゲームプログラムが複製されるのを有効に保護し得る、新規なメモリカートリッジあるいはゲーム機用メモリカートリッジを提供することである。
【0010】
この発明の他の目的は、ROMの記憶データが複製されても、その複製データを本来の使用目的には利用できないようにする、メモリカートリッジまたはゲーム機用メモリカートリッジを提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に従ったゲーム機用メモリカートリッジは、ゲームプログラムを記憶しかつそのゲームプログラムの不正利用を防止するためのセキュリティ機能を有するゲーム機用メモリカートリッジであって第1のゲームプログラムを固定的に記憶する第1のプログラム記憶領域と、ダミーデータを固定的に記憶するダミーデータ記憶領域とを含む第1の記憶手段、および少なくとも第1の記憶手段のダミーデータ記憶領域の記憶容量に相当する記憶容量を有し、ダミーデータ記憶領域に本来的に記憶させるべき第2のゲームプログラムを固定的に記憶する第2のゲームプログラム記憶領域を含む第2の記憶手段を備え、第1の記憶手段はマスクROMを含み、第2の記憶手段は書込み読出し可能でありかつ書込データを不揮発的に記憶する不揮発性半導体メモリを含み、さらに入力アドレスとダミーデータ記憶領域のアドレス空間のダミーアドレスを比較して、入力アドレスとダミーアドレスとが一致しないとき、第1の記憶手段からの第1のゲームプログラムの読出しを能動化し、一致するとき、第1の記憶手段からの第1のゲームプログラムの読出しを不能動化するとともに第2の記憶手段からの第2のゲームプログラムの読出しを能動化する読出し制御手段を備え、不揮発性半導体メモリは、第2のゲームプログラム記憶領域よりも大きな記憶容量を有し、第2のゲームプログラム記憶領域以外にダミーアドレスを記憶するダミーアドレス記憶領域を含み、ダミーアドレスはダミーアドレス記憶領域から読み出されて読出し制御手段に与えられ、不揮発性半導体メモリは、第2のゲームプログラム記憶領域およびダミーアドレス記憶領域には第1の書込み電圧でデータを書込み、それ以外の記憶領域には第1の書き込み電圧より低い第2の書込み電圧でデータを書込むように構成され、第2の書込み電圧でデータを書込む記憶領域には、ゲーム機の処理手段が第1のゲームプログラムおよび/または第2のゲームプログラムを実行して得たゲームの経過を表すバックアップデータが書込まれる、ゲーム機用メモリカートリッジである。
【0021】
この発明に従ったゲーム機用メモリカートリッジの場合、第2の記憶手段の第2のゲームプログラム記憶領域にゲームのメインプログラムや重要なサブルーチンプログラムを記憶させておけば、この第2のゲームプログラムが読み出されない限り、ゲームを実行することはできず、したがって、ゲームプログラムのコピープロテクトを実現できる。
【0022】
また、第1の記憶手段のダミーデータ記憶領域に本来記憶させるべき第2のプログラムを第2の記憶手段に記憶させ、その第2の記憶手段の記憶容量をダミーデータ記憶領域よりも大きく設定し、第1の記憶手段のどのメモリ空間がダミーデータ記憶領域かを特定するデータ(ダミーアドレス)を記憶させることで、ダミーデータ記憶領域を第1の記憶手段の任意のメモリ空間に設定できる。したがって、ゲームプログラムを解析するのがほとんど不可能になる。
【0023】
さらに、第2の記憶手段がさらに空き領域を含む場合、その空き領域にゲームの進行状態に応じて変化するデータであって、ゲームを中断した後、続きのゲームを再開する場合に必要なデータ(得点,ライフ,取得アイテム,プレイヤ名前等のバックアップデータ)を書込むようにすれば、従来のゲーム機用カートリッジに設けられているバックアップメモリを省略することができる。つまり、第2の記憶手段とバックアップメモリとを兼用でき、コストダウンが図れる。
【0024】
さらに、不揮発性半導体メモリを用いることで、バックアップ電池等が不要になり、部品点数が削減できるので、実装が容易になる。
【0025】
【作用】
第1の記憶手段に第1の正規データ記憶領域とダミーデータ記憶領域とを設け、第1の正規データ記憶領域がアクセスされたときにはその第1の正規データ記憶領域から第1の正規データが読み出され、ダミーデータ記憶領域がアクセスされたときには、第2の記憶手段から第2の正規データが読み出されるので、正規のデータを正しく利用できる。
【0026】
また、もし、第1の記憶手段の記憶内容すなわち第1の正規データおよびダミーデータがすべて不正に複製されたとしても、その複製データにはダミーデータが含まれるので、その複製データをそのまま本来の使用目的には利用することはできない。
【0027】
【発明の効果】
この発明によれば、第1の記憶手段のすべてのデータを読み出したとしても第2の記憶手段に別に正規データが記憶されかつ第1の記憶手段のデータがダミーデータを含むため、正規データがそっくりそのまま複製されることを防止することができる。
【0028】
すなわち、この発明によれば、第1の記憶手段に第1の正規データ記憶領域とダミーデータ記憶領域とを設け、第1の正規データ記憶領域がアクセスされたときにはその第1の正規データ記憶領域から第1の正規データが読み出され、ダミーデータ記憶領域がアクセスされたときには、第2の記憶手段から第2の正規データが読み出されるので、正規のデータを正しく利用できる。
【0029】
これに対して、もし、第1の記憶手段の記憶内容すなわち第1の正規データおよびダミーデータがすべて不正に複製されたとしても、その複製データにはダミーデータが含まれるので、その複製データをそのまま本来の使用目的には利用することはできない。したがって、不正利用が防止できる。
【0030】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴,および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0031】
【実施例】
図1を参照して、この発明の実施例であるゲーム機用メモリカートリッジ(以下、単に、「カートリッジ」ということがある。)10は、カートリッジケース12と、そのカートリッジケース12内に収納される回路基板14とを含み、この回路基板14上にプログラムメモリチップ44およびフラッシュメモリチップ50(図2:後述)を実装する。このカートリッジ10は、携帯ゲーム機16に装着されて使用される。
【0032】
携帯ゲーム機16は、たとえば「GAME BOY」(商品名)などのよく知られているゲーム機であり、略矩形のハウジング18を含み、そのハウジング18の上部側面には、カートリッジ挿入口20が形成される。カートリッジ10は、そのカートリッジ挿入口20に挿入され、カートリッジ10の回路基板14に形成されているエッジコネクタ(図示せず)と挿入口20の奥に配置されているコネクタ(図示せず)とによって、携帯ゲーム機16と電気的に接続される。
【0033】
携帯ゲーム機16のハウジング18の一方主面上には、上部に液晶ディスプレイ(LCD)22が設けられ、このLCD22の下方には、操作キー群24が設けられる。操作キー群24は、十字キーまたは方向指示キー26,スタートキー28,セレクトキー30,Aボタン32およびBボタン34を含む。これらのキーまたはボタンはゲームをプレイするときに操作され、所定の機能を達成するものである。
【0034】
方向指示キー26は、LCD22上に表示されているゲーム画面内のオブジェクトの移動方向を決定したり、カーソルを移動させたりするために使用される。スタートキー28は、主として、カートリッジ10を装着して電源スイッチ(図示せず)を投入した後に、ゲームを開始するときに使用される。セレクトキー30は、主として、ゲームモードを選択するために利用される。Aボタン32は、ゲーム画面内に表示されたオブジェクトに何らかの動作をさせるアクションボタンや決定ボタンとして機能する。Bボタン34は、Aボタン32の操作で決定したオブジェクト動作等をキャンセルするキャンセルボタンとして機能する。
【0035】
ただし、携帯ゲーム機16それ自体はこの発明にとって重要ではなくかつ既によく知られているので、ここでは、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0036】
図2には携帯ゲーム機16にCPU38が含まれることが示されるが、ゲーム機16は、CPU38の他に、このCPU38と協働する多くのコンポーネンツを備えることは言うまでもない。
【0037】
カートリッジ10とゲーム機16のCPU38とは、少なくともアドレスバス40およびデータバス42で接続されていて、これらのバス40および42は前述のコネクタ(図示せず)を通して接続される。アドレスバス40は、CPU38から出力されるROMアドレスをカートリッジ10に送り、CPU38は、データバス42を通して、カートリッジ10から読み出されたデータを受け取る。
なお、CPU38からのチップセレクト信号CSおよびリード信号RDが同様に、カートリッジ10に与えられる。
【0038】
カートリッジ10には、たとえばマスクROM(さらにEPROMやEEPROMのようなROMも含む)がプログラムメモリチップ44として内蔵され、このプログラムメモリチップ44は、プログラムROM46と出力禁止回路48とを含む。プログラムROM46は、図3に示すように、正規のデータが予め書き込まれる正規データ記憶領域46aおよびダミーデータが予め書き込まれるダミーデータ記憶領域46bを含む。正規のデータとは、この実施例の場合、ゲームプログラムやゲームキャラクタのデータであってゲーム実行に不可欠のデータである。また、ダミーデータとは、正規のデータとは異なり、それを読み出してもゲーム実行に何も機能しないデータか、もしくは逆にゲーム実行を妨げるようなデータである。
【0039】
出力禁止回路48は、プログラムROM46からのデータの読出しを能動化しまたは不能動化するための回路であって、たとえば、アドレス比較回路58(後述)からの第1信号または第2信号によって開閉されるANDゲートで構成される。プログラムROM46から読み出されたデータは、この出力禁止回路48を介して出力され、前述のデータバス42からCPU38に与えられる。
【0040】
また、プログラムメモリチップ44にはチップイネーブル端子が設けられていて、この端子に第1レベルのチップセレクト信号CSが与えられたとき、このプログラムメモリチップ44が能動化され、第2レベルのチップセレクト信号CSが与えられると、不能動化される。同様に、プログラムメモリチップ44には、リード信号端子が設けられていて、この端子にCPU38から出力されるリード信号RDが与えられる。
【0041】
そして、このプログラムメモリチップ44には、ゲーム機16のCPU38のアドレスバス40から、読出しアドレス(入力アドレス)が与えられ、このプログラムメモリチップ44が能動化されているときには、プログラムROM46からは、CPU38が指定する読出しアドレスからプログラムデータやキャラクタデータを出力する。
【0042】
カートリッジ10には、また、フラッシュメモリチップ50が内蔵されていて、このフラッシュメモリチップ50には、フラッシュメモリ52および読出し制御回路54が同一のダイ上またはチップ上に一体的に形成されている。フラッシュメモリ52には、図3に示すように、正規データ記憶領域52aとダミーアドレス記憶領域52bとが形成されている。正規データ記憶領域52aには、プログラムROM46のダミーデータ記憶領域46bに本来的に記憶されるべき正規のプログラムデータやキャラクタデータが記憶されている。つまり、この正規データ記憶領域52aには、プログラムROM46の正規データ記憶領域46aと同様に、ゲーム実行に不可欠なデータが記憶される。ダミーアドレス記憶領域52bには、プログラムROM46のダミーデータ記憶領域46bのメモリ空間を表すアドレス、すなわち、ダミーアドレスが記憶される。
【0043】
なお、図3に示すように、この実施例のフラッシュメモリ52は、動作電圧の異なる2つの部分を含み、一方は、書き込み電圧が第1の電圧、たとえば6ボルトである部分であり、他方は、書き込み電圧が第2の電圧、たとえば3ボルトである部分である。第1の電圧は、ゲーム機16のCPU38では書き込みできない高い電圧である。第2の電圧はゲーム機16のCPU38が書き込みできる電圧である。
【0044】
したがって、この前者の部分には正規データ記憶領域52aおよびダミーアドレス記憶領域52bさらには制御ルーチン記憶領域52cが含まれ、これらの領域52a‐52cには、フラッシュメモリチップ50を製造した後の製品としての工場出荷時またはメモリカートリッジ10の組み立て前に、必要なデータを予め書き込んでおく。したがって、これらの領域52a‐52c内のデータは、カートリッジ10が出荷された後に第三者、すなわち、ユーザ,消費者,ゲームプレイヤ等が書換えることはできない。
【0045】
後者の部分は、図3に示すバックアップデータ記憶領域52dとして利用される。このバックアップデータ記憶領域52dには、ゲームの進行状態に応じて変化するデータであって、ゲームを中断した後、続きのゲームを再開する場合に必要なデータ(得点,ライフ,取得アイテム,プレイヤ名前等のバックアップデータ)が記憶される。したがって、ユーザが望むなら、ゲーム終了後にCPU38がバックアップデータを書き込むことができる。このようにフラッシュメモリ52にバックアップデータ記憶領域52dを形成すれば、バックアップデータを記憶するRAM(具体的にはSRAM)を別途設ける必要がなく、バックアップデータ記憶手段とコピープロテクト手段を有する1つのフラッシュメモリチップ50を利用でき、コストダウンが図れる。
【0046】
なお、フラッシュメモリ52の読出し電圧は、いずれの部分ないし領域についても同じ電圧たとえば3ボルトである。
【0047】
図2に戻って、フラッシユメモリチップ50内に設けられる読出し制御回路54は、アドレスラッチ回路56,アドレス比較回路58およびアドレス変換回路60を含む。フラッシュメモリ52のダミーアドレス記憶領域52bに記憶されているダミーアドレスのデータは、アドレスラッチ回路56に与えられ、ラッチされる。アドレスラッチ回路56にラッチされたダミーアドレスのデータは、アドレス比較回路58に与えられる。アドレス比較回路58には、アドレスバス40を通して、CPU38からプログラムROM46の読出しアドレスが与えられる。したがって、このアドレス比較回路58には、プログラムROM46の読出しアドレスすなわち入力アドレスと、ダミーアドレスとが与えられる。アドレス比較回路58は、このようにして与えられる2つのアドレスを比較し、両アドレスが一致したとき第1信号(たとえば、ローレベル)を出力し、不一致のとき、第2信号(たとえば、ハイレベル)を出力する。この第1信号および第2信号が前述のプログラムメモリチップ44に含まれる出力禁止回路48のANDゲート(図示せず)の開閉制御信号として与えられる。
【0048】
アドレス比較回路58からの第1信号および第2信号はまた、アドレス変換回路60に与えられ、このアドレス変換回路60には、さらに、アドレスバス40からの入力アドレスが与えられる。このアドレス変換回路60は、アドレスバス40から送られてきた入力アドレスをフラッシュメモリ52の内部アドレスに変換する機能を有する。図3の例でいえば、プログラムROM46のアドレス「005000h‐005FFFh」を「F03000h‐F03FFFh」に変換する。ただし、このアドレス変換は、アドレス比較回路58が第1信号を出力したときにのみ実行される。
【0049】
図4を参照してこの実施例の動作を説明する。なお、この図4のフロー図は、ゲーム機16のCPU38がすべて実行するプログラムであるという意味のフロー図ではなく、図1および図2に示す実施例の動作原理を分かり易く説明するためのものであることに留意されたい。
【0050】
図4のステップS1では、アドレスラッチ回路56にフラッシュメモリ52のダミーアドレス記憶領域52bからダミーアドレスのデータをラッチし、そのダミーアドレスがアドレス比較回路58に取り込まれる。そして、ステップS2において、アドレス比較回路58には、CPU38からアドレスバス40を通して出力されるプログラムROM46の読出しアドレスすなわち入力アドレスが取り込まれる。ステップS3で、アドレス比較回路58は、ダミーアドレスの上位アドレス(実施例では、上位3ビット)と入力アドレスの上位アドレス(実施例では、上位3ビット)とを比較し、両上位アドレスが互いに一致するかどうか判断する。
【0051】
ダミーアドレスの上位アドレスがたとえば「005」に設定されている場合において、CPU38からのROMアドレスの上位アドレスとして「005」が与えられたとき、一致を判断し、入力アドレスがそれ以外の上位アドレスたとえば「000」‐「004」あるいは「006」‐「EFF」を有する場合、不一致を判断する。
【0052】
アドレス比較回路58が不一致を判断したとき、つまりステップS3で“NO”を判断したとき、ステップS4で、アドレス比較回路58は、上述のようにハイレベルの比較結果信号すなわち第2信号を出力する。したがって、出力禁止回路48のANDゲート(図示せず)が開かれる。一方、このときプログラムROM46からはCPU38の指定する読出しアドレスからデータが読み出されている。したがって、プログラムROM46から読み出したデータが、出力禁止回路48を通って、データバス42に与えられる。このようにして、両アドレスが不一致のときに、プログラムROM46からのデータの読出しが能動化される。
【0053】
このステップS4で読み出されたデータは、CPU38が指定する読出しアドレスがプログラムROM46のダミーデータ記憶領域46b(図3)を指定するアドレスではないので、プログラムROM46の正規データ記憶領域46aから読み出されたデータである。つまり、このときプログラムROM46から読み出されたデータは、正規のデータであり、その正規のデータは、データバス42からCPU38に入力され、CPU38は、ステップS5において、その正規のデータを利用してゲームを遂行する。
【0054】
アドレス比較回路58が一致を判断したとき、つまりステップS3で“YES”を判断したとき、このアドレス比較回路58からは上述のようにローレベルの比較結果信号すなわち第1信号が出力される。すなわち、出力禁止信号がイネーブルとなる。したがって、プログラムROM46からのデータの読出しが禁止または不能動化される。図3の例でいえば、入力アドレスがダミーアドレスと一致するということは、CPU38がプログラムROM46のダミーデータ記憶領域46bに相当するメモリ空間を指定したことを意味する。したがって、この場合、そのままダミーデータ記憶領域46bからダミーデータを読み出すと、ゲームの進行に支障を生じるので、ステップS6でプログラムROM46からのダミーデータの読出しを不能動化する。
【0055】
続いて、ステップS7で、アドレス変換回路60が、アドレスバス40から入力された入力アドレスすなわちROMアドレスをフラッシュメモリ52の内部アドレスに変換する。図3の例でいえば、入力アドレスがダミーアドレスと一致するということは、CPU38がプログラムROM46のダミーデータ記憶領域46bに相当するメモリ空間を指定したことを意味する。したがって、この場合、ダミーデータ記憶領域46bのダミーデータに代えて、フラッシュメモリ52の正規データ記憶領域52aから正規のプログラムデータを読み出す必要がある。したがって、このステップS7でアドレス変換を実行することによってフラッシュメモリ52からのデータの読出しを能動化して、フラッシュメモリ52の正規データ記憶領域52aから正規のプログラムデータを読み出す。この正規データは、ステップS8で読み出され、データバス42を通してCPU38に入力される。したがって、CPU38は、フラッシュメモリ52から読出したプログラムデータに従ってゲーム処理を実行する。
【0056】
上述の実施例では、入力アドレスとダミーアドレスとが一致したときプログラムROM46からのデータの読出しを不能動化するために、出力禁止回路48を用いた。しかしながら、出力禁止回路48を用いることなく、プログラムメモリチップ44に与えるチップセレクト信号CSまたはリード信号RDによって能動化または不能動化するようにしてもよい。
【0057】
図5はチップイネーブル端子を利用してプログラムROM46からのデータの読出しを能動化/不能動化する実施例を示すブロック図である。この実施例では、図2の実施例で用いた出力禁止回路48を用いない。すなわち、プログラムメモリチップ44はプログラムROM46のみを含み、このプログラムメモリチップ44のチップイネーブル端子47に、CPU38から出力されるチップセレクト信号CSとアドレス比較回路58からの比較結果信号とを入力する。
【0058】
そして、アドレス比較回路58がCPU38からの入力アドレスとフラッシュメモリ52からのダミーアドレスとの一致を判断したとき、前述のようにアドレス比較回路58からはローレベルの比較結果信号(第1信号)が出力され、その第1信号がチップイネーブル端子47に与えられる。応じて、プログラムメモリチップ44がディスエーブルされ、プログラムROM46からのデータの読出しが不能動化される。
【0059】
なお、図5の実施例では、CPU38からのチップセレクト信号CSとアドレス比較回路58からの比較結果信号とをチップイネーブル端子47に入力するようにしているので、比較結果信号がチップセレクト信号CSに優先して機能するようなゲート回路を介して、これらの信号をチップイネーブル端子47に与える必要がある。さもなければ、CPU38がプログラムROM46のダミーデータ記憶領域46bをアクセスするときにもチップセレクト信号CSを出力しているので、プログラムメモリチップ44がそのチップセレクト信号CSでイネーブルされてしまい、アドレス比較回路58からの比較結果信号(第1信号)が有効に機能しないからである。
【0060】
ゲーム機16のCPU38がゲーム処理を実行するときの動作を、図6を参照して説明する。ステップS11で、CPU38が、プログラムROM46またはフラッシュメモリ52から読み出した正規のプログラムデータに従ってゲームを実行する。そして、ステップS12でゲームの終了を判断すると、CPU38は、ステップS13で、バックアップデータを記憶させる必要があるかどうか、ユーザのキー操作に応じて判断する。このステップS13で“NO”が判断されたときには、そのまま終了する。これに対して、ステップS13で“YES”が判断された場合には、CPU38は、フラッシュメモリ52のバックアップデータ記憶領域52d(図3)をアドレスしながら、バックアップデータを、第2の電圧たとえば3ボルトで、この領域52dに書き込む。
【0061】
なお、上述の実施例では、プログラムROM46のダミー情報記憶領域46bのアドレスデータは、フラッシュメモリ52に記憶させた。しかしながら、この方法に限らず、ハード的に固定記憶させる方法、ディップスイッチにより設定する方法、半導体記憶装置をアクセスするCPUからアドレスラッチ回路に書込む方法(ダミー情報記憶領域のアドレスデータをROM側に書き込んでおき、それをCPUがプログラムに基づいてアドレスラッチ回路に書込む方法)でもよい。
【0062】
さらに、この発明は上述の実施例で説明したゲーム機用メモリカートリッジとして利用できるだけでなく、他の任意の用途の記憶装置、たとえば音楽データストレージ装置,あるいは電子機器に着脱自在に装着されるメモリカートリッジまたはメモリカードやICカードさらには電子機器などに有効に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のゲーム機用メモリカートリッジとそれを用いる携帯ゲーム機を示す外観図である。
【図2】図1実施例を示すブロック図である。
【図3】図1実施例のメモリカートリッジに含まれるプログラムROMとフラッシュメモリのメモリマップを示す図解図である。
【図4】図1および図2に示す実施例の動作原理を示すフロー図である。
【図5】この発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図6】ゲーム処理動作を示すフロー図である。
【図7】従来のセキュリティ回路付半導体記憶装置の一例を示す概略ブロック図である。
【図8】図7従来技術においてセキュリティ回路を制御する方法を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
10 …ゲーム機用メモリカートリッジ(カートリッジ)
44 …プログラムメモリチップ
46 …プログラムROM
46a,52a …プログラムデータ記憶領域
46b …ダミーデータ記憶領域
48 …出力禁止回路
50 …フラッシュメモリチップ
52 …フラッシュメモリ
52b …ダミーアドレス記憶領域
52d …バックアップデータ記憶領域
54 …読出し制御回路
56 …アドレスラッチ回路
58 …アドレス比較回路
60 …アドレス変換回路

Claims (2)

  1. ゲームプログラムを記憶しかつそのゲームプログラムの不正利用を防止するためのセキュリティ機能を有するゲーム機用メモリカートリッジであって
    第1のゲームプログラムを固定的に記憶する第1のプログラム記憶領域と、ダミーデータを固定的に記憶するダミーデータ記憶領域とを含む第1の記憶手段、および
    少なくとも前記第1の記憶手段の前記ダミーデータ記憶領域の記憶容量に相当する記憶容量を有し、前記ダミーデータ記憶領域に本来的に記憶させるべき第2のゲームプログラムを固定的に記憶する第2のゲームプログラム記憶領域を含む第2の記憶手段を備え、
    前記第1の記憶手段はマスクROMを含み、前記第2の記憶手段は書込み読出し可能でありかつ書込データを不揮発的に記憶する不揮発性半導体メモリを含み、さらに
    入力アドレスと前記ダミーデータ記憶領域のアドレス空間のダミーアドレスを比較して、前記入力アドレスと前記ダミーアドレスとが一致しないとき、前記第1の記憶手段からの前記第1のゲームプログラムの読出しを能動化し、一致するとき、前記第1の記憶手段からの前記第1のゲームプログラムの読出しを不能動化するとともに前記第2の記憶手段からの前記第2のゲームプログラムの読出しを能動化する読出し制御手段を備え、
    前記不揮発性半導体メモリは、前記第2のゲームプログラム記憶領域よりも大きな記憶容量を有し、前記第2のゲームプログラム記憶領域以外に前記ダミーアドレスを記憶するダミーアドレス記憶領域を含み、前記ダミーアドレスは前記ダミーアドレス記憶領域から読み出されて前記読出し制御手段に与えられ、
    前記不揮発性半導体メモリは、前記第2のゲームプログラム記憶領域および前記ダミーアドレス記憶領域には第1の書込み電圧でデータを書込み、それ以外の記憶領域には前記第1の書き込み電圧より低い第2の書込み電圧でデータを書込むように構成され、
    前記第2の書込み電圧でデータを書込む記憶領域には、ゲーム機の処理手段が前記第1のゲームプログラムおよび/または前記第2のゲームプログラムを実行して得たゲームの経過を表すバックアップデータが書込まれる、ゲーム機用メモリカートリッジ。
  2. 前記読出し制御手段は、前記入力アドレスと前記ダミーアドレスとを比較して第1信号または第2信号を出力する比較手段、前記第1信号に応じて前記第1の記憶手段を能動化しかつ前記第2信号に応じて前記第1の記憶手段を不能動化する能動化/不能動化手段、および前記第2信号に応じて前記第2の記憶手段に記憶されている第2のゲームプログラムの読出アドレスを発生する読出アドレス出力手段を含む、請求項記載のゲーム機用メモリカートリッジ。
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