JP4053055B2 - 金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及び、その方法により形成された黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルター - Google Patents

金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及び、その方法により形成された黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルター Download PDF

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Description

本発明は、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及び、その方法により形成された黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルターに関する。
ディスプレイ(display)とは、文字や図形の形式でデータを視覚的に表示する装置である。ディスプレイの内部には、人体に有害な電磁波を遮断する遮蔽フィルター、近赤外線を遮断し反射を防止する遮蔽フィルムなどが設けられている。
電磁波遮蔽フィルターは、導電性金属のCuで製造された金属薄膜を有する。前記金属薄膜には、メッシュ(Mesh)が形成され、メッシュが形成された前記金属薄膜の一方の面には光の反射を防止する黒色酸化層が形成される。
前記反射防止効果を達成するために、ディスプレイで使用される電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層は、できるだけ面状構造に近く形成され、黒色酸化層の硬度(Hv:Vickers Hardness;以下、単位は省略する)、面抵抗値(Ω/□(Squar
e);以下、単位は省略する)、及び黒色度(L*;以下、単位は省略する)は、それぞれ25.0以上、0.1以下及び30以下であることが要求される。電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層に要求されるこれらの条件は、一般的に知られているものである。
そして、高濃度の亜塩素酸ナトリウム(Sodium Chlorite)と高濃度の水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)とを混合した溶液に金属薄膜を浸漬させて、金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法が、1947年メイヤ(Meyer)により発表された。
前記亜塩素酸塩類は、(化1)のように、Cuと反応してCu水酸化物が生成され、生成されたCu水酸化物は、脱水反応により(化2)のように分解されて酸化銅、または、亜酸化銅となり、金属薄膜の表面に黒色酸化層として形成される。
(化1)
ClO - + 2Cu + 2HO → 2Cu(OH) + Cl-
(化2)
2Cu(OH) → 2CuO or CuO+H
そして、水酸化ナトリウムは高分子錯塩を形成するが、Cu錯塩は(化3)のように黒色酸化層の組織を針状や羽状の構造で成長させる。
(化3)
Cu(OH)+ 2NaOH → Na(Cu(OH)
しかしながら、前記のようなメイヤの方法により形成された黒色酸化層は、表面から内部に行くほど、亜酸化銅の含量比が高くなる。即ち、黒色酸化層の表面は不導体の酸化銅の含量比が高いが、金属薄膜と接触する内部は導体の亜酸化銅の含量比が高い。従って、ディスプレイの電磁波遮蔽フィルターとして要求される0.1以下の面抵抗値は得にくいという問題点がある。この問題点を解決するために、前記のようなメイヤの方法による黒色酸化層の形成の際、黒色酸化層の表面における導体の亜酸化銅の含量比を増加させることにより、黒色酸化層の面抵抗値を0.1以下に得られる。しかし、この場合、ディスプレイから要求される30以下の黒色度は得にくくなる。面抵抗値が小であれば通電性がよ
く、通電性がよいと電磁波遮蔽フィルターの電磁波の遮蔽機能が優れる。なお、黒色度が0であれば真黒色、黒色度が100であれば白色を意味する。
また、前記のようなメイヤの方法は、黒色酸化層がとがった針状や羽状の組織で形成されるので、強度が弱くて黒色酸化層は外部の衝撃によって脱離しやすい。これにより、後工程において、電磁波遮蔽フィルターと近赤外線遮蔽フィルムとを接着する際に、電磁波遮蔽フィルターと近赤外線遮蔽フィルムとが互いに不均一に接着してしまうという問題点がある。
前記のようなメイヤの方法を応用した黒色酸化層の形成のための溶液が、特許文献1(発明者:シルベスタ バレイ(Silvester Valayil))に開示されてい
る。特許文献1に開示された溶液は、水1L(リットル)に対し、アルカリメタルクロライト(Alkali Metal Chlorite)60g、アルカリメタルヒドロキシド(Alkali Metal Hydroxide)27g、トリアルカリメタルホスフェート(Trialkali Metal Phosphate)3g及びビノルポリビニールアルコール(Vinol Polyvinyl Alcohol)4mgを添加したものである。
米国特許第4,512,818号明細書
特許文献1に開示された溶液を用いて、金属薄膜に黒色酸化層を形成させた後、表面組織を撮影して面抵抗値及び黒色度を測定した。
図1(a)に示すように、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)により5000倍の倍率で表面組織を撮影した結果、黒色酸化層の組織は針状や羽状であった。黒色酸化層の組織が針状や羽状のため、その硬度は、9.34であって、ディスプレイ用の電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度の25.0より劣る。そして、面抵抗値は、2.1であって、ディスプレイ用の電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜の黒色酸化層として要求される面抵抗値の0.1以下より劣り、黒色度は、図1(b)に示すように、14.07であって、ディスプレイ用の電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜の黒色酸化層として要求される黒色度の30以下より優れる。
即ち、特許文献1に開示されている溶液を用いて、電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させた場合、ディスプレイの電磁波遮蔽フィルターとして要求される組織、硬度及び面抵抗値を、同時には得にくいという問題点がある。
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたもので、本発明の目的は、電磁波遮蔽フィルターに使用される金属薄膜に形成された黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度が、共にディスプレイの電磁波遮蔽フィルターとして要求される特性値を満たし、黒色酸化層を面状構造で形成できる、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及び、その方法により形成された黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルターを提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明に係る金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液は、水1Lに対し、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)30〜100g、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)10〜30g、燐酸ソーダ類(Trialkali Metal Phosphate)0.1〜1
0g、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)0.1〜0.4g、塩酸(Hydrochloric Acid)0.01〜10g及びアミノ酸類(Amino Acids)0.2〜10gを混合したものとする。
また、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液は、水1Lに対し、亜塩素酸塩類
(Alkali Metal Chlorite)30〜100g、水酸化ナトリウム(S
odium Hydroxide)10〜30g、燐酸ソーダ類(Trialkali M
etal Phosphate)0.1〜10g、エチレングリコール類(Ethyle
ne Glycol)0.1〜0.4g、塩酸(Hydrochloric Acid)0
.01〜10g、アミノ酸類(Amino Acids)0.2〜10g及びピロ燐酸
(Copper Pyrophosphate)0.1〜10gを混合したものとする。
上述した目的を達成するために、本発明に係る電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法は、前記溶液を40〜90℃で維持した状態で、金属薄膜を前記溶液に30秒〜10分間浸漬させて、前記金属薄膜の外表面に黒色酸化層を形成させる。
上述した目的を達成するために、本発明に係る電磁波遮蔽フィルターは、前記方法により製造された黒色酸化層を備える。
本発明に係る金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液を用いて、電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させれば、黒色酸化層ができるだけ面状構造に近く形成されるので、黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度は、共にディスプレイ用の電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値及び黒色度のそれぞれの基準値である、25以上、0.1以下及び30以下を各々満たす。従って、電磁波遮蔽フィルターの電磁波遮蔽効率の向上と共に、黒色酸化層における光の吸収効率向上により、電磁波遮蔽フィルターが設けられたディスプレイのコントラスト(Contrast)が向上する。
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及び、その方法により形成された電磁波遮蔽フィルターについて、詳細に説明する。
まず、添付図面に基づき、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽フィルターの使用例を、ディスプレイの一種であるプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、“PDP”という)を例として説明する。
図2は、本発明の一実施の形態に係る電磁波遮蔽フィルターを含むPDPの概略的な構成を示す図である。図2に示すように、PDP10は、互いに微細間隔を維持して放電空間を形成する前面ガラス基板11及び後面ガラス基板13を備えている。前面ガラス基板11及び後面ガラス基板13間の放電空間には、放電ガスが封入されており、その放電空間をプラズマ放電させ、後面ガラス基板13の隔壁13aに塗布された蛍光体を励起・発光させて画像を表示させる。後面ガラス基板13の後面には駆動コントローラ15が設けられ、前面ガラス基板11の前面には光学フィルムフィルター17が設けられている。光学フィルムフィルター17は、反射防止フィルム17a、電磁波遮蔽フィルター50及び色補正/近赤外線遮蔽フィルム17bを有する。また、符号19はフレームである。
電子部品から放射される有害な電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽フィルター50は、図3に
示すように、透明基材51、金属薄膜53及び透明樹脂57を有している。透明基材51は金属薄膜53を支持し、金属薄膜53は透明基材51の上面に形成されて電磁波を遮蔽する。金属薄膜53はCuなどのような導電性金属からなり、金属薄膜53にはメッシュ53aが形成されている。メッシュ53aが形成された金属薄膜53上に透明樹脂57をコーティングするが、透明樹脂57は、金属薄膜53のメッシュ53aの部位に平坦にコーティングされて光透過度を向上させる。そして、メッシュ53aが形成された金属薄膜53には反射防止のための黒色酸化層54が形成される。このとき、黒色酸化層54は、金属薄膜53の表面、即ち、金属薄膜53の上下面及びメッシュ53aの内周面に形成される。黒色酸化層54は、メッシュ53aが形成された金属薄膜53を透明基材51の上面に形成する前に形成される。なお、符号59は接着層である。
本実施の形態に係る金属薄膜53に形成された黒色酸化層54の組織は面状構造で形成される。黒色酸化層54を面状構造で形成するための本実施の形態に係る溶液は、水1L(リットル)に対し、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)30〜100g、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)10〜30g、燐酸ソーダ類(Trialkali Metal Phosphate)0.1〜10g、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)0.1〜0.4g、塩酸(Hydrochloric Acid)0.01〜10g及びアミノ酸類(Amino Acids)0.2〜10gが添加されたものである。
亜塩素酸塩類はCuと反応して銅水酸化物(Cu(OH))を生成し、水酸化ナトリウムは銅水酸化物と反応して銅錯塩(Na(Cu(OH)))が生成される。これは前述と同様である。そして、燐酸ソーダ類は亜塩素酸ソーダの自然分解を防止し、黒色酸化層を微細化させ、エチレングリコール類はCu表面の張力を減少させ、組織を微細化させる。また、塩酸は前述した酸化銅と亜酸化銅との生成比率を調節して黒色酸化層の面抵抗値を減少させ、アミノ酸類は、黒色酸化層の組織を面状組織に改質すると共に、面抵抗値を減少させる。即ち、塩酸とアミノ酸類の添加により、面抵抗値を0.1Ω/□(Squ
are)(以下、単位は省略する)以下に減少させることができる。
そして、本実施の形態に係る溶液には、ピロ燐酸(Copper Pyrophos
phate)0.1〜10gがさらに添加されることができる。ピロ燐酸は、溶液を活
性化させて、黒色酸化層の黒色度(L*;以下、単位は省略する)を30以下に減少させ
る。
続いて、本発明の金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分、各構成成分別の含有量、本発明の溶液の維持温度及び金属薄膜を本発明の溶液に浸漬させる時間を変化させながら、金属薄膜に黒色酸化層を形成した場合の具体例について説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明の金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分として、水1Lに対し、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、燐酸ソーダ類(Trialkali Metal Phosphate)、エチレングリコール類(Ethylene
Glycol)、塩酸(Hydrochloric Acid)及びアミノ酸類(Amino Acids)をそれぞれ所定量で混合して製造された本発明の溶液を用いて、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた例を示す。
本実施の形態では、溶液の温度を85℃、メッシュが形成された金属薄膜を本発明の溶液に浸漬させる時間を180秒に固定した状態で、本発明の溶液を構成する各々の構成成分の含有量のみを変更して溶液を製造した。この溶液を用いて金属薄膜の表面に黒色酸化
層を形成させた試料を製作し、製作した各試料に対する黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度を各々測定した結果を、表1に示す。
まず、試料1は、水1Lに対し、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaP03g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gを混合した溶液を85℃で維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
試料2、3は、亜塩素酸カリウムを、各々本発明の亜塩素酸カリウムの含有範囲内である30g及び100gとし、それ以外の物質を、試料1と同量である、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaPO3g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gとして、混合した溶液を製造し、この溶液を用いて試料1と同一の条件下で金属薄膜に黒色酸化層を各々形成させた。
試料4、5は、亜塩素酸カリウムを各々本発明の亜塩素酸カリウムの含有範囲外である29g及び101gとし、それ以外の物質を、試料1と同量である、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaPO3g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gとして、混合した溶液を製造し、この溶液を用いて試料1と同一の条件下で金属薄膜に黒色酸化層を各々形成させた。
試料6、7は、水酸化ナトリウムを各々本発明の水酸化ナトリウムの含有範囲内である10g及び30gとし、それ以外の物質を、亜塩素酸カリウム60g、燐酸ソーダ類のHNaPO3g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gとして、混合した溶液を85℃で維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
試料10、11は、燐酸ソーダ類を各々本発明の燐酸ソーダ類の含有範囲内である0.10g及び10gとし、それ以外の物質を、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gとして、混合した溶液を85℃で維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
試料14、15は、エチレングリコール類を各々本発明のエチレングリコール類の含有範囲内である0.10g及び0.40gとし、それ以外の物質を、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaPO3g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gとして、混合した溶液を85℃で維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
試料18、19は、塩酸を各々本発明の塩酸の含有範囲内である0.01g及び10gとし、それ以外の物質を、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaPO3g、エチレングリコール0.2g及びアミノ酸2.7gとして、混合した溶液を85℃で維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
試料22、23は、アミノ酸類を各々本発明のアミノ酸類の含有範囲内である0.20g及び10gとし、それ以外の物質を、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaPO3g、エチレングリコール0.2g及び塩酸1.3gとして、混合した溶液を85℃で維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
また、試料8、9は、水酸化ナトリウムを各々本発明の水酸化ナトリウムの含有範囲外である9g及び31gとした以外は、試料6、7と同様であり、試料12、13は、燐酸ソーダ類を各々本発明の燐酸ソーダ類の含有範囲外である0.09g及び10.10gとした以外は、試料10、11と同様であり、試料16、17は、エチレングリコール類を各々本発明のエチレングリコール類の含有範囲外である0.09g及び0.41gとした以外は、試料14、15と同様であり、試料20、21は、塩酸を各々本発明の塩酸の含有範囲外である0.009g及び10.50gとした以外は、試料18、19と同様であり、試料24、25は、アミノ酸類を各々本発明のアミノ酸類の含有範囲外である0.19g及び10.10gとした以外は、試料22、23と同様である。
また、図4(a)及び図4(b)は、本発明の一実施の形態の試料1の黒色酸化層の表面組織及び黒色度を、各々走査電子顕微鏡にて5000倍の倍率で撮影した状態を示す図である。
本実施の形態の試料1の黒色酸化層54の表面組織は、図4(a)に示すように、面状構造をなしており、また、表1に示すように、黒色酸化層54の硬度(Hv:Vickers Hardness;以下、単位は省略する)は36.02であって、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度である25.0以上で優れ、面抵抗値は0.1であって、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される面抵抗値である0.1以下と同一の特性が得られた。また、図4(b)及び表1に示すように、黒色酸化層54の黒色度は25.43であって、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される黒色度30以下より優れた。
また、表1に示すように、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分である、水1Lに対する、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、燐酸ソーダ類(Trialkali Metal Phosphate)、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)、塩酸(Hydrochloric Acid)及びアミノ酸類(Amino Acids)の含有量を各々本発明の含有範囲内とした場合である、試料2、3、6、7、10、11、14、15、18、19、22及び23は、黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度が、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度のそれぞれの基準値である、25以上、0.1以下及び30以下を各々満たしている。
しかし、金属薄膜に黒色酸化層を形成するための溶液の構成成分である、水1Lに対する、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、燐酸ソーダ類(Trialkali Metal Phosphate)、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)、塩酸(Hydrochloric Acid)及びアミノ酸類(Amino Acids)の含有量を各々本発明の含有範囲外とした場合である、試料4、5、8、9、12、13、16、17、20、21、24及び25は、黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度の少なくともいずれかが、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を満たしていない。
表1において、判定「0」と表記したものは、黒色酸化層の硬度、面抵抗値、黒色度が、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される基準値の範囲内である場合であり、判定「X」と表記したものは、黒色酸化層の硬度、面抵抗値、黒色度の何れか一つ以上が、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求さ
れる基準値の範囲外であって、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターで使用する場合、所望の電磁波遮蔽効果が得られない場合を示している(以下、表2、3、4でも同様である)。
本実施の形態から分かるように、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための本発明の溶液は、水1Lに対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソーダ類0.1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g及びアミノ酸類0.2〜10gの範囲が好ましい。
(実施の形態2)
実施の形態2は、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分として、水1Lに対する、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、燐酸ソーダ類(Trialkali
Metal Phosphate)、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)、塩酸(Hydrochloric Acid)及びアミノ酸類(Amino
Acids)の含有量を、実施の形態1の試料1の含有量である、水1Lに対し、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaP03g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gに固定した状態とし、溶液の維持温度または金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を変化させながら、金属薄膜に黒色酸化層を形成させて試料26〜33を製作し、各々の試料別の黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度を各々測定した結果を、表2に示す。
まず、試料26は、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液をなす各構成成分の混合比率は、実施の形態1の試料1と同様であるが、製造された溶液の維持温度を本発明の溶液の維持温度範囲内である40℃に維持した状態で、メッシュが形成された金属薄膜を180秒間この溶液に浸漬させることにより、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた。
試料27は、溶液の維持温度を、本発明の溶液の維持温度範囲内である90℃に変更した以外は、試料26と同様である。
また、試料28、29は、溶液の維持温度を、各々本発明の維持温度範囲外である39℃及び91℃に変更した以外は、試料26と同様である。
表2に示すように、溶液の維持温度を本発明の溶液の維持温度範囲内とした試料26、27の黒色酸化層は、硬度、面抵抗値及び黒色度が、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を各々満たす。しかし、溶液の維持温度が本発明の溶液の維持温度範囲外である試料28、29は、共に、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び
30以下の少なくともいずれかを満たさない。
また、試料30、31は、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液をなす各構成成分の混合比率は、実施の形態1の試料1と同様であり、溶液の維持温度も試料1と同様な温度である85℃とした状態で、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、各々本発明の浸漬時間範囲内である30秒及び600秒間浸漬して黒色酸化層を形成させたものであり、試料32、33は、試料30、31と同一の条件下で、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、各々本発明の浸漬時間範囲外である29秒及び630秒間浸漬して黒色酸化層を形成させたものである。
表2に示すように、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、各々本発明の浸漬時間範囲内である30秒及び600秒間浸漬して黒色酸化層を形成させた試料30及び31の黒色酸化層は、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を各々満たす。しかし、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、各々本発明の浸漬時間範囲外である29秒及び630秒間浸漬して黒色酸化層を形成させた試料32及び33の黒色酸化層は、共に、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下の少なくともいずれかを満たさない。
本実施の形態から分かるように、本発明の金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の温度は、40〜90℃の範囲内が好ましく、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間は、30〜600秒の範囲内が好ましい。
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1の溶液にピロ燐酸物質をさらに混合した、メッシュが
形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の製造例であり、実施の形態1
と同様に、溶液の各構成成分の量を変化させながら各々の試料を製作して、黒色酸化層の
硬度、面抵抗値及び黒色度を測定した。その結果を表3に示す。
試料34は、試料1にピロ燐酸0.5gをさらに混合した溶液、即ち、水1Lに対し
、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のHNaP0
g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g、アミノ酸2.7g及びピロ燐酸のC
0.5gを混合した溶液を85℃で維持した状態で、この溶液にメッシュが
形成された金属薄膜を180秒間浸漬させて、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた

また、試料35、36は、試料34において、亜塩素酸塩類を各々本発明の含有範囲内である30g及び100gとし、それ以外の条件を試料34と同様な条件としたものであり、試料39、40は、水酸化ナトリウムを各々本発明の含有範囲内である10g及び30gとし、それ以外の条件を試料34と同様な条件としたものであり、試料43、44は、燐酸ソーダ類を各々本発明の含有範囲内である0.10g及び10gとし、それ以外の条件を試料34と同様な条件としたものであり、試料47、48は、エチレングリコール類を各々本発明の含有範囲内である0.10g及び0.40gとし、それ以外の条件を試料34と同様な条件としたものであり、試料51、52は、塩酸を各々本発明の含有範囲内である0.01g及び10gとし、それ以外の条件を試料34と同様な条件としたものであり、試料55、56は、アミノ酸類を各々本発明の含有範囲内である0.20g及び10gとし、それ以外の条件を共に試料34と同様な条件としてたものであり、黒色酸化層を各々形成させた。
一方、試料37、38は、亜塩素酸塩類を各々本発明の含有範囲外である29g及び101gとし、試料41、42は、水酸化ナトリウムを各々本発明の含有範囲外である9g及び31gとし、試料45、46は、燐酸ソーダ類を各々本発明の含有範囲外である0.09g及び10.10gとし、試料49、50は、エチレングリコール類を各々本発明の含有範囲外である0.09g及び0.41gとし、試料53、54は、塩酸を各々本発明の含有範囲外である0.009g及び10.50gとし、試料57、58は、アミノ酸類を各々本発明の含有範囲外である0.19g及び10.10gとし、これら以外の物質の含有量、溶液の維持温度及び浸漬時間は、試料34と同様な条件として、黒色酸化層を各々形成させた。
また、試料59、60は、ピロ燐酸の含有量を各々本発明の含有範囲内である0.1
g及び10gとし、それ以外の物質は試料34と同量として、混合した溶液を製造し、試
料34と同じ溶液の維持温度及び浸漬時間により、メッシュが形成された金属薄膜に黒色
酸化層を各々形成させた。
また、試料61、62は、ピロ燐酸を本発明の含有範囲外である0.09g及び10
.10gとし、それ以外の物質は試料34と同量として、混合した溶液を製造し、試料3
4と同じ溶液の維持温度及び浸漬時間により、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化
層を各々形成させた。
表3に示すように、ピロ燐酸の含有量が本発明の含有範囲内である、試料34、35
、36、39、40、43、44、47、48、51、52、55、56、59、60の
黒色酸化層は、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される
硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を各々満たし
ている。しかし、いずれかの物質の含有量が本発明の含有範囲外である、試料37、38
、41、42、45、46、49、50、53、54、57、58、61、62の黒色酸
化層は、共に、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度
、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下の少なくともいず
れかを満たさない。
また、試料34に形成された黒色酸化層を走査電子顕微鏡で5000倍の倍率で撮影した結果を、図5(a)及び図5(b)に示す。
試料34の黒色酸化層54の表面組織は、図5(a)に示すように、面状構造で形成され、黒色度は図5(b)に示すように良好であった。
また、表1及び表3を比較して分かるように、ピロ燐酸を含む本発明の溶液で黒色酸
化層を形成させれば、ピロ燐酸を含まない本発明の溶液で黒色酸化層を形成させた場合
よりも、黒色度の面においてより優秀な結果が得られる。
(実施の形態4)
実施の形態4は、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分は、実施の形態3の試料34と同様であるが、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の維持温度、及び金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、変化させながら金属薄膜に黒色酸化層を形成させた場合の例であり、本実施の形態においても各々の試料を製作して、硬度、面抵抗値及び黒色度を測定した。その結果を表4に示す。
試料63、64は、溶液の構成成分、各成分別の含有量及びメッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、試料34と同様とし、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の維持温度を、本発明の範囲内である40℃及び90℃で各々維持して、黒色酸化層を形成させたものであり、試料65、66は、溶液の構成成分、各成分別の含有量及びメッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、試料34と同様とし、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の維持温度を、本発明の範囲外である39℃及び91℃で各々維持して、黒色酸化層を形成させたものである。
表4に示すように、溶液の維持温度が本発明の溶液の維持温度範囲内の条件で製作された試料63、64の黒色酸化層は、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を各々満たしている。しかし、溶液の維持温度が本発明の維持温度範囲外の条件で製作された試料65、66の黒色酸化層は、共に、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下の少なくともいずれかを満たさない。
また、試料67、68は、溶液の構成成分、各成分別の含有量及び溶液の維持温度を、試料34と同様とし、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるために金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、本発明の範囲内である30秒及び600秒として、各々黒色酸化層を形成させたものであり、試料69、70は、溶液の構成成分、各成分別の含有量及び溶液の維持温度を、試料34と同様とし、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるために金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、本発明の範囲外である29秒及び630秒として、各々黒色酸化層を形成させたものである。
表4に示すように、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間が本発明の浸漬時間範囲内の条件で製作された試料67、68の黒色酸化層は、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を各々満たしている。しかし、メッシュが形成された金属薄膜を溶液に浸漬させる時間が本発明の浸漬時間範囲外の条件で製作された試料69、70の黒色酸化層は、共に、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下の少なくともいずれかを満たさない。
実施の形態3、4から分かるように、ピロ燐酸が含まれた本発明の溶液は、水1Lに
対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソーダ類0.
1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g、アミノ酸
類0.2〜10g及びピロ燐酸0.1〜10gが混合されたものが好ましく、また、溶
液の維持温度は、40〜90℃の範囲が好ましく、金属薄膜を溶液に浸漬させる時間は、
30〜600秒の範囲が好ましい。
本発明に係る金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及びその方法により形成された黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルターは、黒色酸化層ができるだけ面状構造に近く形成され、黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度は、共にディスプレイ用の電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度、面抵抗値及び黒色度のそれぞれの基準値である、25以上、0.1以下及び30以下を各々満たす。
従って、電磁波遮蔽フィルターの電磁波遮蔽効率の向上と共に、黒色酸化層における光の吸収効率向上により、電磁波遮蔽フィルターが設けられたディスプレイのコントラスト(Contrast)が向上するので、黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルター等に有用である。
従来の方法により形成された黒色酸化層の表面組織を示す図 従来の方法により形成された黒色酸化層の黒色度を示す図 本発明の一実施の形態に係るPDPの概略的な構成を示す図 図2に示す電磁波遮蔽フィルターの構成を示す図 本発明の実施の形態1により形成された黒色酸化層の表面組織を示す図 本発明の実施の形態1により形成された黒色酸化層の黒色度を示す図 本発明の実施の形態3により形成された黒色酸化層の表面組織を示す図 本発明の実施の形態3により形成された黒色酸化層の黒色度を示す図
符号の説明
50 電磁波遮蔽フィルター
53 金属薄膜
53a メッシュ
54 黒色酸化層

Claims (5)

  1. 水1Lに対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソ
    ーダ類0.1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g
    及びアミノ酸類0.2〜10gを混合したことを特徴とする、Cuからなる金属薄膜に黒
    色酸化層を形成させるための溶液。
  2. 水1Lに対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソ
    ーダ類0.1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g
    、アミノ酸類0.2〜10g及びピロ燐酸0.1〜10gを混合したことを特徴とする
    Cuからなる金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液。
  3. 請求項1または2に記載の溶液を40〜90℃に維持させた状態で、電磁波遮蔽フィル
    ターのCuからなる金属薄膜を前記溶液に30秒〜10分間浸漬させて、前記金属薄膜の
    外表面に黒色酸化層を形成させることを特徴とする、電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に
    黒色酸化層を形成させる方法。
  4. 請求項3に記載の方法により形成された黒色酸化層を備えたことを特徴とする、電磁波
    遮蔽フィルター。
  5. 前記ピロ燐酸塩は、Cu である、請求項2に記載の溶液。
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