JP4053055B2 - 金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液、その溶液を用いた電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に黒色酸化層を形成させる方法、及び、その方法により形成された黒色酸化層を備えた電磁波遮蔽フィルター - Google Patents
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Description
e);以下、単位は省略する)、及び黒色度(L*;以下、単位は省略する)は、それぞれ25.0以上、0.1以下及び30以下であることが要求される。電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層に要求されるこれらの条件は、一般的に知られているものである。
(化1)
ClO2 - + 2Cu + 2H2O → 2Cu(OH)2 + Cl-
(化2)
2Cu(OH)2 → 2CuO or Cu2O+H2O
そして、水酸化ナトリウムは高分子錯塩を形成するが、Cu錯塩は(化3)のように黒色酸化層の組織を針状や羽状の構造で成長させる。
(化3)
Cu(OH)2 + 2NaOH → Na(Cu(OH)4)
しかしながら、前記のようなメイヤの方法により形成された黒色酸化層は、表面から内部に行くほど、亜酸化銅の含量比が高くなる。即ち、黒色酸化層の表面は不導体の酸化銅の含量比が高いが、金属薄膜と接触する内部は導体の亜酸化銅の含量比が高い。従って、ディスプレイの電磁波遮蔽フィルターとして要求される0.1以下の面抵抗値は得にくいという問題点がある。この問題点を解決するために、前記のようなメイヤの方法による黒色酸化層の形成の際、黒色酸化層の表面における導体の亜酸化銅の含量比を増加させることにより、黒色酸化層の面抵抗値を0.1以下に得られる。しかし、この場合、ディスプレイから要求される30以下の黒色度は得にくくなる。面抵抗値が小であれば通電性がよ
く、通電性がよいと電磁波遮蔽フィルターの電磁波の遮蔽機能が優れる。なお、黒色度が0であれば真黒色、黒色度が100であれば白色を意味する。
る。特許文献1に開示された溶液は、水1L(リットル)に対し、アルカリメタルクロライト(Alkali Metal Chlorite)60g、アルカリメタルヒドロキシド(Alkali Metal Hydroxide)27g、トリアルカリメタルホスフェート(Trialkali Metal Phosphate)3g及びビノルポリビニールアルコール(Vinol Polyvinyl Alcohol)4mgを添加したものである。
0g、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)0.1〜0.4g、塩酸(Hydrochloric Acid)0.01〜10g及びアミノ酸類(Amino Acids)0.2〜10gを混合したものとする。
(Alkali Metal Chlorite)30〜100g、水酸化ナトリウム(S
odium Hydroxide)10〜30g、燐酸ソーダ類(Trialkali M
etal Phosphate)0.1〜10g、エチレングリコール類(Ethyle
ne Glycol)0.1〜0.4g、塩酸(Hydrochloric Acid)0
.01〜10g、アミノ酸類(Amino Acids)0.2〜10g及びピロ燐酸塩
(Copper Pyrophosphate)0.1〜10gを混合したものとする。
示すように、透明基材51、金属薄膜53及び透明樹脂57を有している。透明基材51は金属薄膜53を支持し、金属薄膜53は透明基材51の上面に形成されて電磁波を遮蔽する。金属薄膜53はCuなどのような導電性金属からなり、金属薄膜53にはメッシュ53aが形成されている。メッシュ53aが形成された金属薄膜53上に透明樹脂57をコーティングするが、透明樹脂57は、金属薄膜53のメッシュ53aの部位に平坦にコーティングされて光透過度を向上させる。そして、メッシュ53aが形成された金属薄膜53には反射防止のための黒色酸化層54が形成される。このとき、黒色酸化層54は、金属薄膜53の表面、即ち、金属薄膜53の上下面及びメッシュ53aの内周面に形成される。黒色酸化層54は、メッシュ53aが形成された金属薄膜53を透明基材51の上面に形成する前に形成される。なお、符号59は接着層である。
are)(以下、単位は省略する)以下に減少させることができる。
phate)0.1〜10gがさらに添加されることができる。ピロ燐酸塩は、溶液を活
性化させて、黒色酸化層の黒色度(L*;以下、単位は省略する)を30以下に減少させ
る。
実施の形態1は、本発明の金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分として、水1Lに対し、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、燐酸ソーダ類(Trialkali Metal Phosphate)、エチレングリコール類(Ethylene
Glycol)、塩酸(Hydrochloric Acid)及びアミノ酸類(Amino Acids)をそれぞれ所定量で混合して製造された本発明の溶液を用いて、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた例を示す。
層を形成させた試料を製作し、製作した各試料に対する黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度を各々測定した結果を、表1に示す。
れる基準値の範囲外であって、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターで使用する場合、所望の電磁波遮蔽効果が得られない場合を示している(以下、表2、3、4でも同様である)。
実施の形態2は、金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分として、水1Lに対する、亜塩素酸塩類(Alkali Metal Chlorite)、水酸化ナトリウム(Sodium Hydroxide)、燐酸ソーダ類(Trialkali
Metal Phosphate)、エチレングリコール類(Ethylene Glycol)、塩酸(Hydrochloric Acid)及びアミノ酸類(Amino
Acids)の含有量を、実施の形態1の試料1の含有量である、水1Lに対し、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のH2NaP043g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g及びアミノ酸2.7gに固定した状態とし、溶液の維持温度または金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を変化させながら、金属薄膜に黒色酸化層を形成させて試料26〜33を製作し、各々の試料別の黒色酸化層の硬度、面抵抗値及び黒色度を各々測定した結果を、表2に示す。
30以下の少なくともいずれかを満たさない。
実施の形態3は、実施の形態1の溶液にピロ燐酸塩物質をさらに混合した、メッシュが
形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の製造例であり、実施の形態1
と同様に、溶液の各構成成分の量を変化させながら各々の試料を製作して、黒色酸化層の
硬度、面抵抗値及び黒色度を測定した。その結果を表3に示す。
、亜塩素酸カリウム60g、水酸化ナトリウム27g、燐酸ソーダ類のH2NaP043
g、エチレングリコール0.2g、塩酸1.3g、アミノ酸2.7g及びピロ燐酸塩のC
u2P2O70.5gを混合した溶液を85℃で維持した状態で、この溶液にメッシュが
形成された金属薄膜を180秒間浸漬させて、金属薄膜の表面に黒色酸化層を形成させた
。
g及び10gとし、それ以外の物質は試料34と同量として、混合した溶液を製造し、試
料34と同じ溶液の維持温度及び浸漬時間により、メッシュが形成された金属薄膜に黒色
酸化層を各々形成させた。
.10gとし、それ以外の物質は試料34と同量として、混合した溶液を製造し、試料3
4と同じ溶液の維持温度及び浸漬時間により、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化
層を各々形成させた。
、36、39、40、43、44、47、48、51、52、55、56、59、60の
黒色酸化層は、共にディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される
硬度、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下を各々満たし
ている。しかし、いずれかの物質の含有量が本発明の含有範囲外である、試料37、38
、41、42、45、46、49、50、53、54、57、58、61、62の黒色酸
化層は、共に、ディスプレイ用電磁波遮蔽フィルターの黒色酸化層として要求される硬度
、面抵抗値、黒色度の基準値である25以上、0.1以下及び30以下の少なくともいず
れかを満たさない。
化層を形成させれば、ピロ燐酸塩を含まない本発明の溶液で黒色酸化層を形成させた場合
よりも、黒色度の面においてより優秀な結果が得られる。
実施の形態4は、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の構成成分は、実施の形態3の試料34と同様であるが、メッシュが形成された金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液の維持温度、及び金属薄膜を溶液に浸漬させる時間を、変化させながら金属薄膜に黒色酸化層を形成させた場合の例であり、本実施の形態においても各々の試料を製作して、硬度、面抵抗値及び黒色度を測定した。その結果を表4に示す。
対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソーダ類0.
1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g、アミノ酸
類0.2〜10g及びピロ燐酸塩0.1〜10gが混合されたものが好ましく、また、溶
液の維持温度は、40〜90℃の範囲が好ましく、金属薄膜を溶液に浸漬させる時間は、
30〜600秒の範囲が好ましい。
53 金属薄膜
53a メッシュ
54 黒色酸化層
Claims (5)
- 水1Lに対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソ
ーダ類0.1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g
及びアミノ酸類0.2〜10gを混合したことを特徴とする、Cuからなる金属薄膜に黒
色酸化層を形成させるための溶液。 - 水1Lに対し、亜塩素酸塩類30〜100g、水酸化ナトリウム10〜30g、燐酸ソ
ーダ類0.1〜10g、エチレングリコール類0.1〜0.4g、塩酸0.01〜10g
、アミノ酸類0.2〜10g及びピロ燐酸塩0.1〜10gを混合したことを特徴とする
、Cuからなる金属薄膜に黒色酸化層を形成させるための溶液。 - 請求項1または2に記載の溶液を40〜90℃に維持させた状態で、電磁波遮蔽フィル
ターのCuからなる金属薄膜を前記溶液に30秒〜10分間浸漬させて、前記金属薄膜の
外表面に黒色酸化層を形成させることを特徴とする、電磁波遮蔽フィルターの金属薄膜に
黒色酸化層を形成させる方法。 - 請求項3に記載の方法により形成された黒色酸化層を備えたことを特徴とする、電磁波
遮蔽フィルター。 - 前記ピロ燐酸塩は、Cu 2 P 2 O 7 である、請求項2に記載の溶液。
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