JP4052951B2 - 薄膜分析法および薄膜分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜分析法および薄膜分析装置に関し、特に基板上に薄膜を形成した試料にX線を入射してその薄膜の結晶構造や基板/薄膜界面構造を分析する薄膜分析法および薄膜分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造はプレーナプロセスを基礎とし、各種の薄膜が利用される。特にSi基板などの半導体基板上にグルーレイヤー(接着層)やCu配線などの薄膜を形成する場合には、形成した薄膜の結晶構造や基板/薄膜界面の構造が、その薄膜の電気的・磁気的特性に大きく影響することがある。そのため、半導体デバイス製造においてはそのような薄膜の構造に関する適正な評価が求められる。
【0003】
半導体基板上に薄膜が形成されている場合、通常は半導体基板/薄膜界面が表面に現れることはなく、その分析は難しいものとなっている。従来は、分析試料に対して透過能力の高いX線や中性子線を入射し、その入射線の試料内での散乱を利用した回折法や反射率法などによって薄膜の結晶構造や界面構造を分析する手法が一般的である(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、X線などを用いた従来の分析法には、その分析する試料の形態に依っては、より精度の良い分析結果を得るためにいくつかの課題が残されている。例えば、X線を用い、Si基板とCu配線などの金属膜との間に接着層として形成される薄い界面層の結晶構造や界面構造を分析する場合が挙げられる。この場合、X線を試料表面側(金属膜側)から入射する通常の表面入射分析では、界面層からの散乱X線に対する金属膜からの散乱X線の寄与が大きくなり、特に金属膜の膜厚が比較的厚い試料の場合には、界面層の構造を精度良く分析することが難しい場合があった。
【0005】
一方、同様の試料について、X線を試料背面側(半導体基板側)から入射して界面層の構造を分析する背面入射分析も提案されている。図10は従来の背面入射分析の説明図である。半導体基板101上に薄い界面層102を介して金属膜103が形成された試料100の分析にあたり、X線を試料100背面に入射すると、界面層102からの散乱X線に対する金属膜103からの散乱X線の寄与は小さくなる。そのため、金属膜103の影響を低減することが可能になる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−051882号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、半導体基板上に薄い界面層を介して金属膜が形成された試料の背面、すなわち半導体基板にX線を入射してその界面層の結晶構造や界面構造について分析する場合には、X線が厚い半導体基板を通過する間に減衰してしまい、分析に必要となる十分な強度の界面層からの散乱X線が得られない場合があるという問題点があった。さらに、半導体基板内を通過するX線の散乱・回折現象により、半導体基板からの散乱X線によるバックグラウンドノイズが生じるという問題点もあった。
【0008】
このように界面層や金属膜といった薄膜が半導体基板上に形成されている場合、その薄膜の結晶構造や半導体基板/薄膜界面構造については精度の良い情報が得られにくく、そのため、分析結果を半導体デバイス製造に十分に反映させることができない場合があった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、基板上に形成された薄膜の結晶構造や基板/薄膜界面構造を分析する際の入射X線の減衰を抑制し、バックグラウンドノイズを抑えて、薄膜を精度良く分析するための薄膜分析法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、基板上に形成された薄膜の結晶構造や基板/薄膜界面構造を精度良く分析するための薄膜分析装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示す方法で実現可能な薄膜分析法が提供される。本発明の薄膜分析法は、基板表面に薄膜が形成された試料の前記薄膜を分析する薄膜分析法において、前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して一定の入射角でX線を入射し、前記薄膜からの散乱X線を検出することを特徴とする。
【0012】
このような薄膜分析法によれば、半導体基板2などの基板表面に薄膜として薄い界面層3が形成されている試料1について、その界面層3に対して入射角θでX線を入射する際に、半導体基板2の背面側から試料1の側端面に選択的にX線を入射するので、入射したX線は半導体基板2の通過に要する距離が短くなり、半導体基板2内での減衰が低減され、さらに、半導体基板2からの散乱X線が低減されるようになる。また、図1に示したように例えばこの試料1の界面層3上に金属膜4などの更に別の薄膜が形成されている場合であっても、分析すべき薄膜である界面層3からの散乱X線に対する金属膜4からの散乱X線の寄与も低減でき、半導体基板/薄膜界面を精度良く分析することが可能になる。
【0013】
さらに、本発明では上記課題を解決するために、基板表面に薄膜が形成された試料の前記薄膜を分析する薄膜分析法において、前記基板の背面側を薄化し、薄化された前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して一定の入射角でX線を入射し、前記薄膜からの散乱X線を検出することを特徴とする薄膜分析法が提供される。
【0014】
このような薄膜分析法によれば、基板を薄化した後に試料の側端面に選択的にX線を入射し、試料の薄膜からの散乱X線を検出して薄膜分析を行なうので、基板内でのX線の減衰が低減され、基板からの散乱X線が低減されるようになる。
【0015】
また、本発明では、基板表面に薄膜が形成された試料の前記薄膜を分析する薄膜分析装置において、側端面にX線が入射されるように配置された前記試料のX線が入射される側の端部を回転中心として決定し、前記試料を前記基板の背面側に回転してX線が一定の入射角で前記薄膜に入射するように傾け、前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して前記一定の入射角でX線を入射し、前記薄膜からの散乱X線を検出する機能を有することを特徴とする薄膜分析装置が提供される。
【0016】
このような薄膜分析装置は、X線が入射される側の試料端部を回転中心として試料をX線の入射角に傾け、この傾けた試料の側端面に選択的にX線を入射し、試料の薄膜からの散乱X線を検出する。そのため、基板内でのX線の減衰が低減され、かつ、基板からの散乱X線が低減された薄膜分析が可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は第1の実施の形態の薄膜分析法の概略説明図である。この第1の実施の形態では、分析すべき試料1として、半導体基板2上に接着層などの薄い界面層3を介して金属膜4が形成されているものを用いる。ここで、半導体基板2としては例えばSiあるいはその他の半導体(化合物半導体を含む。)からなる基板を用いることができる。界面層3としては例えば膜厚数十nm程度のTa薄膜を、金属膜4としては例えば膜厚10nm〜1μm程度のCu膜を用いることができる。また、半導体基板2と界面層3との間には膜厚数nm程度のSiO2などの絶縁膜が形成されていてもよい。
【0019】
第1の実施の形態の薄膜分析法では、上記構成の試料1を、まず、その金属膜4側の面(以下「試料表面」という。)を下向きにして、試料1の側端面にX線が入射するように配置する。そして、その配置状態から、試料1のX線入射側の端部を回転中心Oとして試料1を半導体基板2側(図中上方)へ回転して角度θに傾け、X線を試料1の側端面から界面層3に入射角θで入射する。その際、界面層3からの散乱X線(回折X線を含む。)を含む試料1からの散乱X線を半導体基板2側に配置した図示しないX線検出器で検出する。
【0020】
このように試料1の側端面から界面層3にX線を入射させると、X線が界面層3に達するまでの距離が短くなって半導体基板2の通過に要する距離が短くなる。そのため、試料1の半導体基板2側の面(以下「試料背面」という。)にX線を入射する場合に比べて、入射したX線の半導体基板2内での減衰が低減され、さらに、半導体基板2からの散乱X線も低減されるようになる。また、従来の背面入射分析と同様、界面層3からの散乱X線に対する金属膜4からの散乱X線の寄与も小さくしておくことができる。以上のことから、試料1の界面層3の結晶構造、半導体基板2との間の界面構造について、より精度の良い分析を行なうことができる。
【0021】
ここで、本発明の薄膜分析法に使用可能な薄膜分析装置について説明する。図2は薄膜分析装置の一例である。図2に示す薄膜分析装置10は、試料にX線を入射して、試料内で散乱された散乱X線を検出するゴニオメータ式X線分析装置である。薄膜分析装置10は、X線源11、X線単色化用分光結晶12、X線スリット13、レーザ光源14、受光素子15、試料台16、X線受光スリット17、X線検出器18、およびz方向調整用X線検出器19を有している。
【0022】
X線源11としては、Cr,Fe,Co,Cu,Mo,Ag,WなどのKα線,Kβ線が用いられ、分析試料に応じて選択される。X線単色化用分光結晶12としては、例えばGe(220)やSi(111)が用いられる。X線源11から出射されたX線は、このようなX線単色化用分光結晶12を経て、X線スリット13に入射され、ここで試料に入射するX線のビームの開き角が調整されるようになっている。
【0023】
レーザ光源14および受光素子15は、分析試料が載置される試料台16の前段に配置され、レーザ光源14から出射されて受光素子15に受光されるレーザ光の高さは、分析試料に入射するX線の高さと一致するように位置合わせされている。これにより、X線スリット13通過後に試料に入射するX線の入射角θを調整するために試料を回転させる際の回転軸の中心合わせが行なえるようになっている。
【0024】
試料台16には、その上に固定配置された図示しない試料ホルダを介して試料が載置されるようになっている。試料台16は、少なくともx方向(図中左右方向)およびz方向(図中上下方向)に移動させることができるようになっている。試料台16をx方向に移動させることにより、試料の回転軸中心のx方向の位置が合わせられ、また、z方向に移動させることにより、試料の回転軸中心のz方向の位置および試料へのX線入射位置が合わせられる。さらに、この試料台16は、回動自在に構成されていて、試料に入射するX線の入射角θを調整するゴニオメータとして機能する。
【0025】
X線受光スリット17は、試料からの散乱X線の収束位置に配置され、その後段にX線検出器18が配置される。このX線検出器18は、入射角θと倍角(2θ)の位置に配置されており(θ/2θ配置)、入射角θの変化に連動して移動し、その間常に入射角θとの倍角関係が保たれるように構成されている。
【0026】
z方向調整用X線検出器19は、試料台16の後段に配置され、試料をz方向に調整する際、X線源11から出射されるX線によって試料へのX線入射位置を調整する場合に使用される。
【0027】
このような薄膜分析装置10を用いて図1に示した試料1を測定する場合の試料測定手順を、図3および図4を参照して詳細に説明する。図3は試料配置の説明図、図4は試料測定の説明図である。ただし、図3および図4では、図1に示した要素と同一の要素については同一の符号を付している。
【0028】
試料1の測定では、まず、試料1を、試料台16の試料ホルダ16aにセットする。この試料ホルダ16aは、X線スリット13からこれに対向配置されたz方向調整用X線検出器19の方向に溝16bが形成された断面凹形状に構成されている。これにより、後述するようなX線源11から出射されたX線が溝16bを通ってz方向調整用X線検出器19に到達可能になっている。試料1を試料ホルダ16aにセットするときには、図3に示すように、試料表面が試料ホルダ16aと対向するように配置する。このようにセットされることで、試料1に対するX線の入射角θが0°に設定される。
【0029】
次いで、試料台16をx方向に移動しながら、レーザ光源14から出射されるレーザ光が試料1の側端面で遮られるようになる位置を受光素子15の信号をモニタして決定し、その位置でx方向への試料台16の移動を停止する。これにより、X線の入射角θを設定するゴニオメータの回転中心Oが試料1端部にくるようにセットされるようになる。
【0030】
次いで、試料台16をz方向に移動させ、レーザ光源14からのレーザ光が試料1の試料表面の側で遮られるようになる位置を受光素子15の信号から決定し、z方向への試料台16の移動を停止する。または、試料台16をz方向に移動させ、X線源11から出射されてz方向調整用X線検出器19に検出される信号をモニタして、X線が試料1の試料表面の側で遮られるようになる位置を決定し、z方向への試料台16の移動を停止する。これにより、試料1がX線源11からのX線の高さに合わせられる。この位置合わせの際には、試料1の側端面に入射するX線が金属膜4に入射するように試料1を配置することが望ましい。これは、後に試料1をX線の入射角θに応じて半導体基板2側へ回転して傾けたときに、X線が界面層3に達するまでの距離を確実に短縮することができるようにするためである。
【0031】
所定の位置合わせを行なって配置した試料1を、図4に示すようにゴニオメータで角度θに傾け、入射したX線が散乱される試料1の上方側、すなわち試料背面の側にX線検出器18を角度2θの位置に配置する。そして、θと2θを連動させて変化させ、試料1にX線を入射して試料1からの散乱X線を検出し、X線回折測定あるいはX線反射率測定を行なう。
【0032】
なお、上記の試料測定に際し、試料1の位置合わせおよびX線回折測定あるいはX線反射率測定は、自動化して行なうことができる。
また、界面層3の法線(あるいは垂線)に対して直角に近い入射角θでX線を入射し、直角に近い出射角で出射されてくる散乱X線を検出する試料断面方向の面内回折測定を行なうことも可能である。
【0033】
また、試料1を垂直に配置してその側端面から界面層3に対して一定の入射角θでX線を入射させ、X線が界面層3との直交面内を散乱するようにして散乱X線を検出するようにしてもよい。
【0034】
以上述べた薄膜分析法により、半導体基板2内でのX線の減衰が低減され、さらに、半導体基板2からの散乱X線が低減されるので、試料1の界面層3の結晶構造、半導体基板2との間の界面構造を精度良く分析することができる。
【0035】
次に、第1の実施の形態の薄膜分析法を適用した例を具体的に説明する。
まず、薄膜分析装置のX線源の陰極ターゲットからのMoKβ(エネルギー;19.6keV)のX線をモノクロメータ(X線単色化用分光結晶)により単色化する。ビームサイズは、0.1mm×5mmに成形する。試料は、例えばSi基板表面にSiO2酸化膜を形成し、その上に膜厚約30nmのTa薄膜を界面層としてスパッタ装置により形成する。そして、このTa薄膜上に膜厚約10nmのシードCu膜をスパッタ装置により形成し、その後、メッキにより膜厚約1μmのCu膜を形成する。このように形成した試料を、横10mm×縦2cmのサイズに切り出す。その際は、切り出し断面がSi基板表面と直角になるように切り出す。
【0036】
切り出し後の試料についてX線回折測定を行なった結果を図5および図6に示す。図5はX線を試料背面に入射したときのX線回折測定結果、図6はX線を試料の側端面に入射したときのX線回折測定結果である。図5および図6において、横軸は回折角2θ(°)を表し、縦軸は検出された回折X線強度(counts)を表している。なお、図6のX線回折測定結果は、上記図3および図4に示した試料測定手順に従って測定した結果である。
【0037】
試料背面にX線を入射させた場合には、図5に示すように、Si基板からの散乱X線によるバックグラウンドが大きくなり、Si(004)の回折ピークが大きい。Si基板上に形成した薄膜については、界面層であるTa薄膜についての回折ピークは見られず、Cu膜のCu(111)の回折ピークが見られるのみである。
【0038】
これに対し、Si基板側から試料の側端面にX線を入射させた場合には、図6に示すように、Si(004)の回折ピークが、図5に示したSi(004)の回折ピークに比べて小さくなる。これは、入射したX線のSi基板内の通過距離が短くなるために、Si基板からの散乱X線が低減されるためである。さらに、Cu膜のCu(111)の回折ピークは図5に示したCu(111)の回折ピークよりも高くかつ鋭くなり、Ta薄膜の回折ピークも見られるようになる。このTa薄膜は、その回折角2θの値からその結晶構造がβ−Ta(200)であることがわかる。
【0039】
このように、Si基板側から試料の側端面にX線を入射した場合には、試料背面にX線を入射した場合に比べて、界面層あるいはCu膜といった薄膜の結晶構造やSi基板/薄膜界面構造についての情報をより精度良く得ることが可能になる。
【0040】
なお、このようなX線回折測定のほか、入射角θを0°〜10°程度の低角付近で変化させてX線反射率測定を行なうこともできる。また、入射角θを固定し、X線エネルギーを変化させながら反射X線強度を測定してエネルギースキャン反射率測定を行なうこともできる。
【0041】
次に、第2の実施の形態について説明する。
半導体基板上に金属膜が形成されている試料の金属膜の結晶構造や半導体基板/金属膜界面構造の分析にあたり、その分析前に、その半導体基板を薄く加工する基板薄化を行なうことによっても、その半導体基板内でのX線の減衰などを低減することが可能である。図7から図9は第2の実施の形態の薄膜分析法の概略を説明する図であって、図7は試料の側面図、図8は基板薄化の説明図、図9は基板薄化後の試料測定の説明図である。
【0042】
この第2の実施の形態に用いる試料20は、図7に示すように、半導体基板21上に金属膜22が形成された構造を有している。なお、この試料20についても、第1の実施の形態の場合と同様に、試料20の金属膜22側の面を試料表面といい、試料20の半導体基板21側の面を試料背面ということとする。
【0043】
この試料20の分析を行なう場合には、まず、図8に示すように、その試料表面を、半導体製造において一般的に使用されている表面保護テープなどの保護テープ23で保護し、この保護テープ23を介して試料20を研磨治具24に接着固定する。固定された試料20の半導体基板21は、グラインダーなどを用いて、半導体基板21の厚みが例えば100μm程度になるまで薄化する。その後、化学処理により半導体基板21表面を平坦化する。
【0044】
そして、このように半導体基板21を薄化した試料20を研磨治具24から剥がし、図2に示した薄膜分析装置10の試料台16に図3に示した場合と同様に試料表面を試料ホルダ16aに対向させて配置する。そして、所定の位置合わせを行なった後、試料背面にX線を入射し、試料20からの散乱X線を測定する。
【0045】
なお、半導体基板21を薄化したことで測定時の試料20の保持が難しい場合には、この試料20を保持用の有機膜に固定し、測定を行なってもよい。ここで用いる有機膜の材質は特に限定されないが、X線による試料20の位置合わせの精度や効率を考慮し、X線が透過し易いものを用いることが好ましい。
【0046】
このように、分析すべき試料20の半導体基板21を薄化することにより、試料背面にX線を入射した場合であっても、半導体基板21内でのX線の減衰を低減することができ、より精度良く金属膜22の結晶構造や半導体基板21/金属膜22界面構造についての情報を得ることができる。また、第1の実施の形態と同様、半導体基板21と金属膜22との間に接着層などの薄い界面層が形成されている場合であって、その界面層について分析を行なう場合にも、上記のような半導体基板21を薄化する方法を有効に用いることができる。
【0047】
次に、第2の実施の形態の薄膜分析法を適用した例を具体的に説明する。
試料には、Si基板上にCuなどの金属膜を形成したものを用い、まず、これをその試料表面を保護テープで保護して研磨治具に接着する。次いで、Si基板を、グラインダーを用いて厚さ100μm程度になるまで研磨する。研磨後、Si基板を研磨治具から剥がし、試料台の試料ホルダに試料表面を対向させてセットする。ここで、入射角θを設定するゴニオメータの回転中心は試料中心部またはその近傍にくるようにセットする。そして、金属膜にX線が入射するように試料の位置を調整した後、試料を角度θに傾け、検出器を2θに配置する。そして、θと2θを連動させて変化させ、試料に入射角θでX線を入射して試料からの散乱X線を検出し、X線回折測定あるいはX線反射率測定を行なう。
【0048】
以上説明したように、半導体基板上に界面層や金属膜などの薄膜が形成された試料のその薄膜をX線により分析する際には、半導体基板側から試料の側端面に薄膜に対して一定の入射角θでX線を入射し、試料からの散乱X線を検出する。これにより、入射したX線の半導体基板通過に要する距離を短くして半導体基板内での減衰を低減し、半導体基板からの散乱X線を低減することができるので、薄膜について精度の良い分析が可能になる。
【0049】
また、薄膜が形成されている半導体基板を薄化した後に、半導体基板側から薄膜に対して一定の入射角θでX線を入射して試料からの散乱X線を検出するようにしても、半導体基板内でのX線の減衰を低減し、半導体基板からの散乱X線を低減することができる。
【0050】
なお、以上の説明では、半導体基板上に界面層や金属膜といった薄膜が形成された試料のその薄膜の構造などを分析する場合を例にして述べたが、本発明が対象とする試料の材質は上記の例に限定されるものではない。また、本発明は、以上に述べた固体/固体界面の評価に限らず、例えばメッキ液/電極試料界面などの液体/固体界面の評価にも応用が可能である。
【0051】
また、以上の説明では、試料の薄膜分析にX線を用いたが、X線に代えて中性子線を用い、それに応じた薄膜分析装置を用いることによっても、同様に薄膜分析が可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、基板側から試料の側端面に薄膜に対して一定の入射角でX線を入射し、散乱X線を検出して薄膜を分析するようにした。これにより、入射したX線の基板内での減衰を低減し、基板からの散乱X線を低減することができ、薄膜を精度良く分析することができる。
【0053】
また、薄膜が形成された基板を薄化した後に、基板側から薄膜に対して一定の入射角でX線を入射し、散乱X線を検出して薄膜を分析することにより、X線の基板内での減衰を低減し、基板からの散乱X線を低減して、薄膜を精度良く分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の薄膜分析法の概略説明図である。
【図2】薄膜分析装置の一例である。
【図3】試料配置の説明図である。
【図4】試料測定の説明図である。
【図5】X線を試料背面に入射したときのX線回折測定結果である。
【図6】X線を試料の側端面に入射したときのX線回折測定結果である。
【図7】試料の側面図である。
【図8】基板薄化の説明図である。
【図9】基板薄化後の試料測定の説明図である。
【図10】従来の背面入射分析の説明図である。
【符号の説明】
1,20 試料
2,21 半導体基板
3 界面層
4,22 金属膜
10 薄膜分析装置
11 X線源
12 X線単色化用分光結晶
13 X線スリット
14 レーザ光源
15 受光素子
16 試料台
16a 試料ホルダ
16b 溝
17 X線受光スリット
18 X線検出器
19 z方向調整用X線検出器
23 保護テープ
24 研磨治具
O 回転中心
θ 入射角
2θ 回折角
Claims (5)
- 基板表面に薄膜が形成された試料の前記薄膜を分析する薄膜分析法において、
前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して一定の入射角でX線を入射し、前記薄膜からの散乱X線を検出することを特徴とする薄膜分析法。 - 前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して前記一定の入射角でX線を入射する前に、
前記試料の側端面にX線が入射するように前記試料を配置し、X線が入射する側の前記試料の端部を回転中心として前記試料を前記基板の背面側に回転してX線が前記一定の入射角で前記薄膜に入射するように傾けることを特徴とする請求項1記載の薄膜分析法。 - 前記薄膜上には他の膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の薄膜分析法。
- 基板表面に薄膜が形成された試料の前記薄膜を分析する薄膜分析法において、
前記基板の背面側を薄化し、薄化された前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して一定の入射角でX線を入射し、前記薄膜からの散乱X線を検出することを特徴とする薄膜分析法。 - 基板表面に薄膜が形成された試料の前記薄膜を分析する薄膜分析装置において、
側端面にX線が入射されるように配置された前記試料のX線が入射される側の端部を回転中心として決定し、前記試料を前記基板の背面側に回転してX線が一定の入射角で前記薄膜に入射するように傾け、前記基板の背面側から前記試料の側端面に選択的に、前記薄膜に対して前記一定の入射角でX線を入射し、前記薄膜からの散乱X線を検出する機能を有することを特徴とする薄膜分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003015512A JP4052951B2 (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 薄膜分析法および薄膜分析装置 |
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