JP4052849B2 - 小型車両におけるエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体フレームが前端に備えるヘッドパイプに、該ヘッドパイプ内に挿通されるステムパイプが回動可能に支承され、前記ヘッドパイプの上下両端から突出したステムパイプの上下両端部に固着されるトップブリッジおよびボトムブリッジに、前輪を軸支するフロントフォークが連結され、前記ステムパイプの上端を避けた位置で前記トップブリッジに操向ハンドルが取付けられる小型車両に関し、特に、そのような小型車両にエアバッグ装置を搭載するための構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば特開平9−328053号公報で開示されるように、エアバッグ装置が搭載される自動二輪車が既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものでは、エアバッグ装置が、燃料タンクと、該燃料タンクの後方のシートとの間に配置されており、エアバッグ装置を配置するスペースを確保するために、燃料タンクを小さくする必要があった。また燃料タンクがシートの前方には配置されないスクータ等の自動二輪車には、従来のように燃料タンクおよびシート間に配設されるエアバッグ装置をそのまま適用することはできず、汎用性に優れているとは言い難い。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シートの前方に燃料タンクがある場合には燃料タンクの大型化を可能とし、しかも各種の小型車両に容易に適用し得るようにして汎用性を高めた小型車両におけるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、車体フレームが前端に備えるヘッドパイプに、該ヘッドパイプ内に挿通されるステムパイプが回動可能に支承され、前記ヘッドパイプの上下両端から突出したステムパイプの上下両端部に固着されるトップブリッジおよびボトムブリッジに、前輪を軸支するフロントフォークが連結され、前記ステムパイプの上端を避けた位置で前記トップブリッジに操向ハンドルが取付けられる小型車両において、上端を開放するとともに下端を気密に閉じた前記ステムパイプ内に、該ステムパイプの上端開口部から上方に膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータとを備えるエアバッグモジュールが、前記エアバッグを折り畳んだ状態で収納されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、比較的小径であるステムパイプ内にエアバッグモジュールが収納されるので、インフレータの非作動状態では液密性を維持するが、エアバッグの膨張展開に応じて液密性が解除されるようにしてステムパイプの上端を液密に閉じておくことは容易であり、耐候性を容易に高めることができる。しかもシートの前方に燃料タンクがある場合には、エアバッグモジュールの設置スペースが燃料タンクの容量に影響を及ぼすことがないので、燃料タンクの大型化が可能であり、またステムパイプがヘッドパイプに回動可能に支承される構造を有する各種タイプの小型車両に容易に適用することができ、汎用性を高めることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の側面図、図2は図1の2矢視平面図、図3は非作動状態でのエアバッグモジュールの拡大縦断面図、図4はエアバッグが膨張展開した状態での図1に対応した側面図、図5はエアバッグが膨張展開した状態での図3に対応した縦断面図である。
【0009】
先ず図1および図2において、この自動二輪車の車体フレーム5が前端に備えるヘッドパイプ6にはフロントフォーク7が操向可能に支承され、フロントフォーク7の下端に前輪WFが軸支される。また車体フレーム5の後部にはスイングアーム9が上下揺動可能に軸支されており、このスイングアーム9の後端に後輪WRが軸支される。
【0010】
車体フレーム5の前半部には燃料タンク10が搭載され、車体フレーム5がその後部に備えるシートレール11上には、前記燃料タンク10の後方に配置されるタンデム型のシート12が起伏可能に配設される。
【0011】
また車体フレーム5の大部分は、フロントカウル13およびリヤカウル14から成る合成樹脂製の車体カバー15で覆われる。
【0012】
図3において、ヘッドパイプ6に、該ヘッドパイプ6内に挿通されるステムパイプ16が回動可能に支承されており、ヘッドパイプ6の上下両端から突出したステムパイプ16の上下両端部に固着されるトップブリッジ17およびボトムブリッジ18に、フロントフォーク7が連結される。
【0013】
またトップブリッジ17には、ステムパイプ16の上端を避けるようにして左右一対の操向ハンドル8,8が取付けられる。
【0014】
上端を開放するとともに下端が閉塞板19で気密に閉じられるステムパイプ16内には、エアバッグ装置のエアバッグモジュール20が収納されており、このエアバッグモジュール20は、エアバッグハウジング21と、該エアバッグハウジング21内に収納されるエアバッグ22と、該エアバッグ22を膨張展開させるためのガスを発生するインフレータ23とを備える。
【0015】
エアバッグハウジング21は、エアバッグ22を折り畳んだ状態で収納し得る収納筒部21aと、該収納筒部21aの上端開口部を閉じる蓋部21bとを有して合成樹脂等の軽量材料により帽状に形成され、ステムパイプ16の上端開口部から上方に蓋部21bが突出するようにして収納筒部21aがステムパイプ16に嵌合される。しかも収納筒部21aの下端開口部は、ステムパイプ16内に気密に嵌合されて該ステムパイプ16に固着される円筒状の取付け部材24に取付けられる。
【0016】
蓋部21bは、該蓋部21bの周囲の1箇所たとえば燃料タンク10とは反対側の1箇所に配置される蝶番部21cと、蓋部21bの周囲のうち前記蝶番部21cを除く部分に配置される脆弱部21dとを介して収納筒部21aに連結されており、脆弱部21dは容易に破裂し得るように形成される。
【0017】
エアバッグ22は、その下面に開口部22aを有して袋状に形成されており、エアバッグハウジング21内に折り畳んだ状態で収納される。またインフレータ23は、前記エアバッグ22の下面の開口部22aに固着される口金25に気密に接続され、該口金25は前記取付け部材24の内面に固着される。
【0018】
而して口金25および閉塞板19間でステムパイプ16内に形成される収納室26は、エアバッグ22内に気密に通じており、この収納室26に収納されるようにしてインフレータ23がステムパイプ16の内面に取付けられる。
【0019】
車体フレーム5には加速度センサー等の衝撃検知センサ(図示せず)が取付けられており、前記インフレータ23は、衝撃検知センサが所定値以上の衝撃を検知するのに応じて作動して、高圧ガスをエアバッグ22内に供給する。
【0020】
次にこの実施例の作用について説明すると、上端を開放するとともに下端を気密に閉じたステムパイプ16内に、該ステムパイプ16の上端開口部から上方に膨張展開可能なエアバッグ22と、該エアバッグ22にガスを供給するインフレータ23とを備えるエアバッグモジュール20が、エアバッグ22を折り畳んだ状態で収納されるので、衝突等により衝撃検知センサが所定値以上の衝撃を検知したときには、インフレータ23が作動して、高圧ガスをエアバッグ22内に供給し、エアバッグ22は、図4および図5で示すように、エアバッグハウジング21の脆弱部21dを破裂させて蓋部21bを開きつつ瞬間的に上方に膨張する。これにより展開膨張したエアバッグ22でシート12上の操縦者が前方から梗塞されることになり、操縦者の衝撃が緩和される。
【0021】
而して比較的小径であるステムパイプ16内にエアバッグモジュール20が収納される構造であるので、インフレータ23の非作動状態では液密性を維持するが、エアバッグ22の膨張展開に応じて液密性が解除されるようにしてステムパイプ16の上端を液密に閉じておくことは容易であり、耐候性を容易に高めることができる。
【0022】
しかもエアバッグモジュール20の設置スペースが燃料タンク10の容量に影響を及ぼすことがないので、燃料タンク10の大型化が可能である。
【0023】
また一般的に小型車両ではステムパイプ16がヘッドパイプ6に回動可能に支承される構造を有するものであり、エアバッグモジュール20の収納構造を各種タイプの小型車両に容易に適用することができ、汎用性を高めることができる。
【0024】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0025】
たとえば本発明は、上記実施例で説明した自動二輪車だけでなく、スクータ型の自動二輪車や自動三輪車等の小型車両に広く適用可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、比較的小径であるステムパイプ内にエアバッグモジュールを収納することにより、耐候性を容易に高めるとともに各種タイプの小型車両に容易に適用し得るようにして汎用性を高めることができ、シートの前方に燃料タンクがある場合でも燃料タンクの大型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】図1の2矢視平面図である。
【図3】非作動状態でのエアバッグモジュールの拡大縦断面図である。
【図4】エアバッグが膨張展開した状態での図1に対応した側面図である。
【図5】エアバッグが膨張展開した状態での図3に対応した縦断面図である。
【符号の説明】
5・・・車体フレーム
6・・・ヘッドパイプ
7・・・フロントフォーク
8・・・操向ハンドル
16・・・ステムパイプ
17・・・トップブリッジ
18・・・ボトムブリッジ
20・・・エアバッグモジュール
22・・・エアバッグ
23・・・インフレータ
WF・・・前輪
Claims (1)
- 車体フレーム(5)が前端に備えるヘッドパイプ(6)に、該ヘッドパイプ(6)内に挿通されるステムパイプ(16)が回動可能に支承され、前記ヘッドパイプ(6)の上下両端から突出したステムパイプ(16)の上下両端部に固着されるトップブリッジ(17)およびボトムブリッジ(18)に、前輪(WF)を軸支するフロントフォーク(7)が連結され、前記ステムパイプ(16)の上端を避けた位置で前記トップブリッジ(17)に操向ハンドル(8)が取付けられる小型車両において、上端を開放するとともに下端を気密に閉じた前記ステムパイプ(16)内に、該ステムパイプ(16)の上端開口部から上方に膨張展開可能なエアバッグ(22)と、該エアバッグ(22)にガスを供給するインフレータ(23)とを備えるエアバッグモジュール(20)が、前記エアバッグ(22)を折り畳んだ状態で収納されることを特徴とする小型車両におけるエアバッグ装置。
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