JP3739309B2 - 自動二輪車用エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用エアバッグ装置に関し、特に、インフレータの形状に工夫がなされた自動二輪車用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の衝突時に乗員に加わる衝撃を緩和するため四輪車にエアバッグを搭載することは周知であり、広く普及している。近年は四輪車だけでなく自動二輪車にもエアバッグ装置を搭載することが提案されている。例えば、特開平10−35564号公報には、エアバッグが乗員の前方で膨張展開して乗員を的確に保護できるよう工夫されたエアバッグ装置が開示されている。エアバッグ装置はエアバッグとエアバッグにガスを供給してエアバッグを膨張展開させるインフレータとを備える。近年、火薬式のインフレータに代えて高圧ガス式や火薬・高圧ガス併用のハイブリッド式インフレータ等が普及している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記高圧ガス式やハイブリッド式のインフレータでは、ガスを封入したキャニスタつまり筒状容器が長尺で重量も比較的大であるため、特に、車体が小さい自動二輪車ではその搭載スペースの確保が容易ではなかった。エアバッグとインフレータとを別置きにして互いを導管で連結するようにすればインフレータの配置の自由度は増す。しかし、エアバッグ、インフレータおよび導管をそれぞれ個別に車体に保持するための固定部材が必要である等、構造が複雑になるという問題点がある。
【0004】
本発明は、長尺のキャニスタを備えたエアバッグ装置において、小さい搭載スペースに収納可能な自動二輪車用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明は、エアバッグを膨張・展開させるためのガスが封入された長尺のキャニスタを有する自動二輪車用エアバッグ装置において、前記キャニスタが屈曲している点に特徴がある。また、本発明は、前記キャニスタの屈曲部が、搭載される車体の車体フレームに沿った曲率に曲げられている点にも特徴がある。
【0006】
上記特徴によれば、長尺のキャニスタが直線的でなく、車体フレーム等に沿う形状に屈曲しているので、車体フレーム等に沿った、自動二輪車に確保される狭いスペースにもエアバッグ装置を格納することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は本発明のエアバッグ装置を搭載するスクータ型自動二輪車の分解側面図である。同図において、車体フレーム40はメインフレーム42と、メインフレーム42から左右に分かれて後方へ延びるサイドフレーム44を備え、メインフレーム42の前端部にはヘッドパイプ46が設けられる。メインフレーム42はヘッドパイプ46から斜め下方かつ後方へ延び、さらにステップフロア20とアンダーカバー22の内側で車幅方向中央部を車体中心に沿って略水平に後方へ延び、その後端部は上下連結部材を兼ねるクロスメンバ50に結合される。
【0008】
サイドフレーム44はメインフレーム42の後端近傍から左右へ広がりながら斜め上方かつ後方へ延び、後端部はパワーユニット32上方で略水平の後方段部52を形成する。サイドフレーム44の側面にはクロスメンバ50を挟んで前後にサイドブラケット54とピボットブラケット56とが設けられる。ピボットブラケット56には、後端部がパワーユニット32の前端部に連結されたリンクアーム58の前端部が、ピボット59で回動自在に支持される。
【0009】
ヘッドパイプ46には回転自在に繰向軸48が支持され、繰向軸48の下端部はフロントフォーク4に結合される。フロントフォーク4の下部には前輪2が設けられ、上部にはハンドル14が設けられる。フロントフォーク4の上部はフロントカバー6、レッグシールド10および図示しないフロントフェンダで覆われる。フロントカバー6やフロントフェンダの上方にはハンドルカバー16が設けられる。ハンドルカバー16から車体左右に向けてハンドル14のグリップ部分が突き出す。
【0010】
レッグシールド10の下部は、ステップフロア20に結合され、レッグシールド10の前方に位置するフロントフェンダの下部は、アンダーカバー22に結合される。ステップフロア20とアンダーカバー22はそれぞれ前後方向へ略水平に延びる。ステップフロア20の後部はボデイカバー28に結合される。ボデイカバー28の上方にはシート30が支持され、かつボデイカバー28によりパワーユニット(エンジン、変速機等からなる)32上方の車体後部が覆われる。
【0011】
パワーユニット32には後輪34が支持されるとともに、パワーユニット32とサイドフレーム44との間には上部取付ブラケット37を介してリヤクッション36が取り付けられる。パワーユニット32の上方にはエアクリーナ38が設けられる。収納ボックス68はボデイカバー28の内側でサイドフレーム44に支持され、上方に向かって開口し、この開口部はシート30で開閉される。
【0012】
サイドフレーム44の後方段部52には燃料タンク70が支持される。燃料タンク70は側方へ突出して全周に形成されたフランジ72で前部ブラケット74と後部ブラケット76へ固定される。燃料タンク70の外方は左右に対をなして前後方向へ延びるインナステー78で囲まれる。インナステー78の前後両端はシートキャッチャ80と後部ブラケット76に取付けられる。
【0013】
上記自動二輪車には、エアバッグ装置が搭載される。図1は、図2に示した自動二輪車の要部分解側面図であり、特にエアバッグ装置の設置位置を示す図である。同図において、エアバッグ装置100は筒状外形を有するインフレータ101とインフレータ101に結合されるエアバッグモジュール102とからなる。インフレータ101はその下部がメインフレーム42に固定され、上部がサイドフレーム44に固定される。
【0014】
エアバッグモジュール102は、エアバッグおよびエアバッグを折り畳んだ状態で収容するバッグハウジングを備える(いずれも図示しない)。エアバッグはバッグハウジング内で後述の保持器107を介してインフレータ101に結合される。バッグハウジングはインフレータ101からエアバッグにガスが給送されてエアバッグが膨張展開したときに、膨張展開されるエアバッグの圧力で開裂する脆弱部を有する。
【0015】
インフレータ101は、後で詳述するように、ガスを封入されたキャニスタ103が本体であり、このキャニスタ103はステップフロア20の下面およびボディーカバー28の前壁内面に沿うように屈曲せられ、ステップフロア20の下面からボディカバー28の内面に沿って配置される。エアバッグモジュール102は屈曲されたキャニスタ103の上部に、前記脆弱部を車体の前方上方に指向させて結合される。図中符号106は膨張展開したエアバッグを示す。
【0016】
図3は、エアバッグ装置の断面図である。図3において、キャニスタ103は長尺の円筒容器であり、図示の如く屈曲している。キャニスタ103は一端にガスの充填口104を備え、他端にはバーストディスク105を備える。充填口104には、キャニスタ103の内圧で充填口104を閉じるように配設される充填ボール104aが設けられる。キャニスタ103のバーストディスク105側にはエアバッグ106を保持する保持器107が設けられる。保持器107には、キャニスタ103の軸方向(長手方向)の延長線上に延びるガスの中央吹き出し通路108と保持器107の放射方向に複数の開口を有するディフューザ(拡散器)通路109とを有する。
【0017】
中央吹き出し通路108とバーストディスク105との間にはサポートバレル110およびイニシエータ111が設けられる。イニシエータ111には、衝突時の加速度変化を検出して発生される電気信号で点火されるスクイブが設けられる。
【0018】
衝突時に、スクイブに点火されるとサポートバレル110内の圧力が上昇する。この圧力がバーストディスク105の耐圧を超えると、バーストディスク105は開裂してキャニスタ102内部のガス(ヘリウム等の不活性ガス)が中央吹き出し通路108およびディフューザ通路109を通って吹き出し、エアバッグ106を膨張展開させる。
【0019】
エアバッグ装置の取り付け位置は種々変形できる。図4は、第1の変形例に係る自動二輪車の後部分解側面図である。この変形例では、エアバッグ装置100はシート30下部のボディーカバー28内に収容される。エアバッグ装置100はシート30の下部に横たえた状態で、エアバッグモジュール102を車体前方に、インフレータ101を車体後方にして設けられる。インフレータ101のキャニスタ103はサイドフレーム44の上部に沿って屈曲せられ、サイドフレーム44に固定される。この例では、エアバッグモジュール102のバッグハウジングの脆弱部はエアバッグがヘッドパイプ46方向に展開されるよう、キャニスタ103の軸方向延長線上に形成される。
【0020】
図5は、第2の変形例に係る自動二輪車の要部分解側面図である。図5において、車体フレーム40はメインフレーム42とメインフレーム42の後部に結合されるリヤフレーム45とを備える。リヤフレーム45はメインフレーム42との結合部から斜め上後方に延びる部分451と、前記結合部から斜め下後方に突出する部分452とを有し、全体として湾曲形状をなす。前記部分451の上部にはシート47が設けられる。メインフレーム42の下端部上面およびリヤフレーム45の上面に沿ってエアバッグ装置100が設けられる。インフレータ101はメインフレーム42とリヤフレーム45とに沿うように屈曲せられ、上部にはエアバッグモジュール102が設けられる。エアバッグ装置100はエアバッグモジュール102がシート47の前方下部に位置するように配置される。インフレータ101の下部は、センタトンネルカバー49で覆われる。
【0021】
以上、本発明を実施形態を参照して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限らず、さらなる変形が可能である。要は、従来直線形状であったキャニスタを車体形状に適合するように屈曲させて自動二輪車に搭載できるようにしてあればよい。こうすることにより、小さいスペースしか確保できない自動二輪車にエアバッグ装置を搭載するときのレイアウトの自由度を増大させることができる。
【0022】
また、上述の実施形態では高圧ガス式のインフレータを有するエアバッグ装置を示したが、火薬と高圧ガスとを併用したインフレータにおいても、同様にキャニスタを屈曲させて自動二輪車への搭載を容易にすることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1,2の発明によれば、自動二輪車の狭いスペースを利用して、キャニスタを有する長尺のエアバッグ装置を車体に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るエアバッグ装置を含む車体フレームの要部側面図である。
【図2】 エアバッグ装置を搭載する自動二輪車の車体フレームの全体側面図である。
【図3】 インフレータの要部断面図である。
【図4】 変形例に係るエアバッグ装置を含む車体フレームの要部側面図である。
【図5】 第2の変形例に係るエアバッグ装置を含む車体フレームの要部側面図である。
【符号の説明】
42…メインフレーム、 44…サイドフレーム、 46…ヘッドパイプ、 50…クロスメンバ(上下連結部材)、 100…エアバッグ装置、 101…インフレータ、 102…エアバッグモジュール、 103…キャニスタ
Claims (2)
- エアバッグを膨張・展開させるためのガスが封入された長尺のキャニスタを有する自動二輪車用エアバッグ装置において、
前記キャニスタが屈曲していることを特徴とする自動二輪車用エアバッグ装置。 - 前記キャニスタの屈曲部が、搭載される車体の車体フレームに沿った曲率に曲げられていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
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