JP4052211B2 - プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置、プレスシミュレーション装置、プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法、およびシミュレーション方法 - Google Patents

プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置、プレスシミュレーション装置、プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法、およびシミュレーション方法 Download PDF

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本発明は、プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置、プレスシミュレーション装置、プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法、プレスシミュレーション方法に関する。
プレス型の設計やプレス形成品の形状の予測に有限要素法を用いたシミュレーションが利用されている。
このようなプレスシミュレーションの元になる実際のプレス工程は、一例を示せば図8のとおりである。
実際のプレス工程では、まず、下型(ダイ)101上にブランク材100を配置する(図8A)。このときブランク材100は自重によってたわみ、変形する。その後、ブランクホルダ102を降ろしてブランクホールドを成形する(図8B)。続いて、上型(ポンチ)103を降ろしてプレスしてポンチ成形が行われ、上型103が下死点に到達した時点でプレス完了となる(図8C)。
従来、このようなプレス工程のシミュレーションにおいては、ブランク材モデルの初期形状としては、真っ平な板材を設定している(たとえば非特許文献1参照)。
国際会議 Numisheet’93 予稿集 第383頁
このようなプレスシミュレーションにおいては、実際のプレス工程でブランク材がプレス機に投入され下型の上に載置されて安定した形状になる状態をシミュレーションすることから開始される。
しかし、従来のシミュレーションでは、ブランク材を下型上に載置したとき、ブランク材が下型面上で安定せず、ブランク材が下型のダイフェース面となじむ方向とは逆に反るような挙動がきっかけとなって、ブランクホールド時にしわが生成されてしまうといった問題があった。以下このようなしわの発生を短絡現象と称する。
このような短絡現象が生じる原因としては、(a)ブランクをセットする際の落下現象の動的効果、および(b)ブランクである板材内部の予ひずみ(切り出した板材がコイル状態のときに発生した巻き癖)をコンピュータシミュレーションでうまく再現できないためと考えられる。
(a)動的効果については、一般的に精度のよいとされる静的解法のソルバーでは、そもそも動的効果を扱うことができない。そのためこのような動的効果を考慮するために、動的解法を用いたソルバーによってシミュレーションすることが考えられるが、本来、プレス形成品の完成形状をシミュレーションするための前段ともいうべきブランク投入過程のシミュレーションで動的解法のために多くの計算機資源(CPUの占有率や計算時間など)を投入することは現実的ではない。
(b)コイルの巻き癖については、実際のブランク材においてどのような巻き癖がついているかを定性的に把握すること自体が困難であり、また、コイルの巻き癖がブランク材にどのように加わっているかを把握できたとしても、個々のブランク材ごとに、コイルからの切り出し方向や大きさなどで異なるため、それらを確認して、シミュレーション条件として入力、設定する必要があることから、シミュレーションの条件設定により多くの時間を費やし、またその効果も確認できていない。
このようなことから、現状では、シミュレーションを行う技術者の経験と勘に頼って、ブランクが投入された段階でダイフェースになじみやすいような境界条件や重力条件などを設定している。このため、技術者の経験や熟練度よってシミュレーション結果にばらつきが生じたり、解析のやり直しが必要となるなどの問題となっている。
そこで、本発明の目的は、プレスシミュレーションを実行する際に短絡現象を防止することのできるブランク材の有限要素モデルの初期形状を作成するプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置を提供することであり、また、この短絡現象を防止することのできる有限要素モデルの初期形状を利用して、より正確なプレスシミュレーションを実行することのできるプレスシミュレーション装置を提供することである。
また、他の目的は、プレスシミュレーションを実行する際に短絡現象を防止することのできるブランク材の有限要素モデルの初期形状を作成するプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法を提供することであり、また、この短絡現象を防止することのできる有限要素モデルの初期形状を利用して、より正確なプレスシミュレーションを実行することのできるプレスシミュレーション方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明はブランク材の物性データに基づき前記ブランク材の弾性域を超えない範囲で、かつ、ブランク材が載置される型面の凹凸方向と同じ方向にブランク材を湾曲させる初期形状データを算出する初期形状データ算出手段と、前記初期形状データ算出手段によって算出された前記初期形状データにしたがって、プレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを作成する初期形状モデル作成手段と、プレス金型の上型または下型のいずれか一方の金型形状データから、上型が下型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が下型方向に凸であると判断し、下型が上型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が上型方向に凸であると判断する型形状判断手段と、を有し、前記初期形状データ算出手段は、前記型形状判断手段の判断結果に基づいて、前記湾曲させる方向を決めていることを特徴とするプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置である。
また、本発明は、上記プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置と、前記プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置によって作成されたプレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを有限要素法によるシミュレーションによって変形させてプレス成型品の形状をシミュレーションするシミュレーション実行手段と、を有することを特徴とするシミュレーション装置である。
また、本発明は、プレス金型の上型または下型のいずれか一方の金型形状データから、上型が下型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が下型方向に凸であると判断し、下型が上型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が上型方向に凸であると判断する段階と、前記ブランク材の物性データに基づき前記ブランク材の弾性域を超えない範囲で、かつ、前記ブランク材が載置される型面の凹凸方向と同じ方向にブランク材を湾曲させる初期形状データを算出する段階と、前記初期形状データにしたがって、プレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを作成する段階と、を有することを特徴とするプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法である。
また、本発明は、上記プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法によって作成されたプレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを有限要素法によるシミュレーションによって変形させてプレス成型品の形状をシミュレーションすることを特徴とするシミュレーション方法である。
本発明によるプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置およびその方法によれば、ブランク材有限要素モデルの初期形状をブランク材載置面の凸方向と同じ方向が凸面となるように、かつ、ブランク材の弾性域を出ない範囲で湾曲させることとしたので、ブランク材が載置面にセットされたときに安定し、短絡現象を回避することができる。
また、本発明によるシミュレーション装置、およびその方法によれば、ブランク材を載置面にセットされたときに短絡現象を回避できる有限モデルの初期形状を利用するため、より正確なプレス形成品の途中経過や完成品の形状を再現することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明を適用したプレス形成品のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置(以下、初期形状作成装置と称する)の機能ブロック図であり、図2は、一般的な有限要素法によるシミュレーション装置の機能ブロック図である。
まず、図1を参照して、初期形状作成装置を説明する。
初期形状作成装置1は、プレス金型の形状データおよびブランク材の物性データを入力する入力部11と、型形状データから型形状の方向性を判断する型形状判断部12と、ブランク材の物性データから初期形状を算出する初期形状データ算出部13と、算出された初期形状データからシミュレーションに使用するブランク材モデルの初期形状を作成する初期形状作成部14とからなる。
一方、有限要素法によるシミュレーション装置3は、図2に示すように、シミュレーションに際して初期条件の設定し、シミュレーションする有限要素モデルの作成などを行うプリプロセッサ31と、実際にシミュレーションを実行するソルバー32と、シミュレーションの結果を解析し、グラフィック表示、出力などの処理を行うポストプロセッサ33とに分かれている。これらは有限要素法によるシミュレーションを行うための一般的な機能であり、詳細な説明は省略する。
本発明によるシミュレーション装置3は、一般的なシミュレーション装置のプリプロセッサに上記初期形状作成装置1が組み込まれたもので、後述するように、初期形状作成装置1が組み込まれたプリプロセッサ31によりブランク材の初期形状を作成し、その後、この初期形状を元にしてソルバー32によってプレス加工によるブランク材の変形過程がシミュレーションされ、ポストプロセッサ33によってプレス製品の出来上がり形状または任意の途中形状が出力される。
以下、本発明による初期形状作成装置1における各部の機能について説明する。
入力部11は、プレス金型の形状データが入力される。このとき入力される金型データは、上型、または下型のいずれか一方でよい。プリプロセッサ31では、通常、いずれか一方の金型データから、それを反転させて他方の金型の有限要素モデルを作成する。
また、入力部11からは、ブランク材の物性データとして、少なくとも、板材の厚さ、ヤング率、ポアソン比が入力される。
これらのために、入力部11は、たとえばプレス金型を設計するためのCAD装置などに接続され、そこから、金型の形状データを読み込み、また、板材の物性データも板材の物性データがあらかじめ登録されているデータベースなどに接続し、そこから読み取るようにしてもよい。なお、これらは、CAD装置やデータベースに接続することなく、別途、この入力部11から入力されるようにしてもよい。
型形状判断部12は型形状判断手段であり、入力された金型形状データから、金型のブランク材が載置される型面が、全体的に、下型方向に凸か(すなわち下に凸)、上型方向に凸か(すなわち上に凸)を判断する。
図3は、この判断についてよ説明するためのプレス装置の概略断面図である。
型形状判断部12は、プレス金型の上型または下型のいずれか一方の金型形状データから、上型が下型方向に入り込む場合をブランク材が載置される型面が下型方向に凸であると判断し、下型が上型方向に入り込む場合をブランク材が載置される型面が型方向に凸であると判断する。
具体的には、たとえば、図3Aに示すように、上型103が、下型101の最上部111を結ぶ線tpよりも下に入り込む形状の場合を下型方向に凸(下に凸)と判断し、逆に図3Bに示すように、下型101が上型103の最下部131を結ぶ線bmよりも上に入り込む形状の場合を上型方向に凸(上に凸)と判断する。
なお、下型101において最上部が一点しかなく最上部同士を結ぶ線tpが引けない場合は、最上部と次に高い部分とを結んだ線をtpとする。同様に、上型103において最下部が一点しかなく最下部同士を結ぶ線bmが引けない場合は、最下部と次に低い部分とを結んだ線をbmとする。また、これら最上部、最下部の他に、上型、または下型の任意の点を指定して、それらを結ぶ線をtpまたはbmとして判断するようにしてもよい。
図3においては、上型と下型の両方を示したが、上記判断は、上型の形状データ、または下型の形状データのいずれか一方から判断する。これは、金型のブランク材載置面、すなわちダイフェース面の形状は、上型と下型が相互に合わさった面であるため、どちらか一方の形状データがあれば判断できるからである。
初期形状データ算出部13は初期形状データ算出手段であり、ブランク材の物性データから、ブランク材の初期形状として板材の弾性域から出ない範囲(すなわち塑性変形しない範囲)で金型形状の凸方向と同じ方向が凸面となるように湾曲させた形状を算出する。
ここで弾性域から出ない範囲の湾曲形状の算出方法について説明する。
まず、単純な形状として、図4に示すように、円筒形状の一部である湾曲形状の算出方法について説明する。
湾曲面の曲率半径をx、ブランク材の板厚をt、ヤング率をEとすると、板を湾曲させたときに外側面(凸面)にかかる最大ひずみをεとすると、
ε=t/2x …(1) となる。
このとき生じる応力σは、
σ=(E・t)/2x …(2) となる。
ここでこの応力の上限値σMAXを板材の初期降伏応力Yと、係数αを用いて表すと、
σMAX=α・Y …(3) となる。
応力σとして、このσMAXを入れて、先の(1)式から曲率半径xを求めると、
x=(E・t)/(2σMAX) …(4)
となる。
ここで、降伏応力Yは、板材がこれ以上の応力を受けると塑性変形してしまう応力の限界値となる値であり、それに安全率として係数α(0<α≦1)をかけることで、算出された曲率半径xの値はブランク材が塑性変形することのない弾性変形範囲内での変形形状となる。
この方法は計算が簡単であるが、ブランク材を湾曲させるときの円筒形の軸方向をあらかじめ設定する必要がある。
次に、上位のような円筒形の一部となるような湾曲形状ではなく、四方に変形した形状、すなわち、図5に示すように、球面の一部となるような湾曲形状の算出方法を説明する。
先と同じように湾曲される曲率半径をx、ブランク材の板厚をt、ヤング率をEとし、さらにポアソン比をνとすると、板を湾曲させたときに凸の外側面にかかる最大ひずみεは、
ε=ε=ε=t/2x …(5) となる。
このとき生じる応力σは、フック(Hooke)の法則から
σ=σ=(((1+ν)・E)/(1−ν))・ε …(6) となる。
バーσ=√(σ −σσ+σ )=σ …(7)
となる。
したがって、上記(5)および(6)式から、
バーσ=((1+ν)/(1−ν)・E・t/2)・1/x …(8)
となる。
この値の上限値σMAXを板材の初期降伏応力Yと、係数αを用いてあらわすと、
σMAX=α・Y …(3) となる。
(8)式の応力バーσにこのσMAXを入れて変形すると、曲率半径xは、
x=1/σMAX・((1+ν)/(1−ν)・E・t/2)=1/(α・Y)・((1+ν)/(1−ν)・E・t/2) …(9)
となる。
実際に使用するブランク材での一例を挙げると、板厚x=1mm、ヤング率E=200GPa、降伏応力150MPa、ポアソン比0.3の板材を用いて、安全率である係数α=0.1とすると、上記(9)式から、このブランク材の初期形状として曲率半径x=9523mmで湾曲させた形状にすることになる。
実際のブランク材は下型上にセットされたときに、重力によって四方に変形して安定した状態となるため、このように球面の一部の形状となるように湾曲形状を作った方がブランク材をセットしたときにより安定させることができる。
初期形状データ算出部13は、このようにしてブランク材の初期形状として湾曲させる曲率半径を算出後、型形状判断部12において判断された型形状の凸方向にしたがって、金型形状の凸方向と同じ方向が凸面となる湾曲させたブランク材の初期形状データを初期形状作成部14へ出力する。
初期形状作成部14は初期形状作成手段であり、初期形状データ算出部13によって算出されたブランク材を湾曲させる形状データ(曲率半径と凸方向)にしたがって、有限要素法によりシミュレーションを行う際のブランク材モデルの初期形状データを作成する。
具体的には、たとえば一つの方法としては、完全な平面形状データにあらかじめ指定された間隔のメッシュデータを貼り付けて(これをメッシュ形状データと称する)、このメッシュ形状データを湾曲させる形状データにしたがって湾曲させる。また、他の方法としては、メッシュ貼り付け前の平面ブランク材のデータ(外形線データのみ)を、湾曲させる形状データにしたがって湾曲させ、その後湾曲させたブランク材データにメッシュを貼り付ける。
以上どちらの方法をとっても、シミュレーションを行うために必要なメッシュ形状データの初期形状としてわずかに湾曲した有限要素モデルが得られる。
このようにして得られた湾曲させた初期形状の有限要素モデル(メッシュ形状データ)、はシミュレーション装置としてはプリプロセッサ31からソルバー32に送られて、プレス形成のシミュレーションが実行される。シミュレーション終了後は、ポストプロセッサ33から、たとえばプレス品の形状データとして出力される。
なお、このようなシミュレーション装置は、具体的にはワークステーションやパソコンなどのコンピュータが、上述した各部の機能を実行するために作成されたプログラムを実行することにより実現されているものである。そして、このプログラムは、通常、コンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されるが、実施形態としては、これに限らず、たとえばサーバコンピュータ内にプログラムを記憶して、そのプログラムを適宜端末として機能しているコンピュータなどに供給し、この端末のコンピュータによってシミュレーションを実行するようにするなど様々な形態により可能である。
次に、このシミュレーション装置による処理手順について説明する。
図6は、処理手順を示すフローチャートである。
まず、入力部11がCAD装置などから入力される金型の形状データを読み込む(S1)。このとき読み込む金型データは、上型または下型のいずれか一方の形状データである。
続いて、入力部11がデータベースなどから入力されるブランク材の物性データを読み込む(S2)。
続いて、型形状判断部12が、入力された型形状データから、金型のブランク材載置面が、全体的に、下型方向に凸(下に凸)か、上型方向に凸(上に凸)かを判断する(S3)。
続いて、初期形状データ算出部13が、入力されたブランク材の物性データから、ブランク材の初期形状として板材の弾性域から出ない範囲で湾曲させるための曲率半径を算出する(S4)。
続いて、初期形状データ算出部13が、湾曲させる方向が上に凸か否かを型形状判断部12の判断結果から判断する(S5)。
初期形状データ算出部13は、この湾曲させる方向の判断結果が、上に凸である場合には(S5:Yes)、算出された湾曲させるための曲率半径と、湾曲させる方向が上に凸方向となる初期形状データを初期形状作成部14へ送る(S6)。一方、下に凸である場合には(S5:No)、算出された湾曲させるための曲率半径と、湾曲させる方向が下に凸方向となる初期形状データを初期形状作成部14へ送る(S7)。
初期形状作成部14では、送られた初期形状データを元に、ブランク材の湾曲した有限要素モデル(メッシュモデル)を作成する(S8)。
以上により、プレス形成のシミュレーションを行うためのブランク材モデルの初期形状データができあがるので、これを使用してソルバー32が、金型データや境界条件などシミュレーションに必要なデータに基づいてシミュレーションを実行する(S9)。
図7は、ブランク材が下型上にセットされた状態までをシミュレーションした結果を示す図面であり、図7Aは上記のようにして本発明を適用し、初期形状として湾曲させたブランク材を使用した場合の下型上でのブランク材形状を示し、図7Bは従来のように、初期形状として平面のブランク材を使用した場合の下型上でのブランク材形状を示す。なお、金型形状はどちらも同じ形状で、上に凸の場合である。
図7Aに示すように、本発明を適用した場合には、ブランク形状がきれいに安定していることがわかる。したがって、このままプレス形状のシミュレーションを実行すれば、少なくとも初期形状に起因したシミュレーション結果の不具合は発生しない。
一方、従来の場合では、図7Bに示すように、ブランク材に不規則なたわみしわが発生しており、下型面にブランク材をセットした時点で、すでにブランク形状に現実のプレス工程ではあり得ない形状が出てきてしまっている。したがって、このままプレス形状のシミュレーションを実行しても正確なシミュレーション結果が得られなくなる。
以上のように本発明の最良の形態によれば、ブランク材モデルの初期形状をブランク材載置面の凸方向と同じ方向が凸面となるように、かつ、ブランク材の弾性域を出ない範囲で湾曲させることとしたので、ブランク材が載置面にセットされたときに安定し、短絡現象を回避することができる。
また、ブランク材を載置面にセットする際にブランク材の落下状況やコイルの巻き癖などを考慮しなくても、金型の方向性(上に凸か下に凸か)によってのみ初期形状を決めるだけで、短絡現象を防止できるため、初期設定にかかる手間や工数が格段に少なくなる。また、これまでプレスシミュレーションを行う技術者の経験や勘によって設定される初期条件の違いによってシミュレーション結果に違いが出てしまっていたものが、そのような初期設定の違いによるばらつきを無くし、常に精度のよいシミュレーション結果を得ることができる。
また、湾曲させる形状を円筒形の一部とすることで湾曲の曲率半径の計算を簡略化することができる。
また、湾曲させる形状を球面の一部とすることで、湾曲の曲面形状が異方性を持たなくなり、円筒形の一部とした場合のように湾曲させる軸を選定する必要がない。さらに球面の一部とすることで、円筒形の一部とした場合よりも短絡現象防止効果が高く、ブランク材をセットしたときの形状安定性が向上する。
さらに、湾曲させる限度は、実際のブランク材(板材)の物性データから、そのブランク材の弾性域を超えない範囲としたので、プレス形成自体には全く影響を及ぼすことなく、短絡現象を防止することができる。さらには、このブランク材の弾性域を超えない範囲を物性データから来る弾性域の値に安全率をかけることとしたので、より確実にブランク材の変形などの悪影響を防止することができる。
また本発明によれば、ブランク材が載置面にセットされたときに短絡現象を回避できるため、その後のシミュレーションにおいてもより正確なプレス形成品の形状を再現することが可能となる。
以上本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施の形態では、プリプロセッサ31、ソルバー32、ポストプロセッサ33よりなる一般的シミュレーション装置のプリプロセッサ31に、本発明を適用した初期形状作成装置1を組み込むこととしたが、これに代えて、初期形状作成装置1のみをシミュレーション装置とは別に用意して、そこで、上述した手順にしたがってシミュレーションに使用する初期形状モデル作成し、ソルバー32に渡すようにしてもよい。すなわち、プリプロセッサ31(プリプロセッサプログラム)を分離、独立させた形態としても本発明を実施することができる。
また、金型の凸方向は、オペレータによって、プリプロセッシングの条件設定の一つとして入力されたものであってもよい。その場合、型形状判断部12は不要である。
本発明は、プレス成形のシミュレーションに利用することができる。
本発明を適用した初期形状作成装置の機能ブロック図である。 有限要素法によるシミュレーション装置の機能ブロック図である。 プレス装置の概略断面図である。 円筒形の一部として湾曲させる例を示す図面である。 球面の一部として湾曲させる例を示す図面である。 上記シミュレーション装置による処理手順を示すフローチャートである。 ブランク材をセットした状態でのシミュレーション結果を示す図面である。 プレス工程の一例を説明するための概略図である。
符号の説明
1…初期形状作成装置、
11…入力部、
12…型形状判断部、
13…初期形状データ算出部、
14…初期形状作成部、
31…プリプロセッサ、
32…ソルバー、
33…ポストプロセッサ。

Claims (8)

  1. ブランク材の物性データに基づき前記ブランク材の弾性域を超えない範囲で、かつ、ブランク材が載置される型面の凹凸方向と同じ方向にブランク材を湾曲させる初期形状データを算出する初期形状データ算出手段と、
    前記初期形状データ算出手段によって算出された前記初期形状データにしたがって、プレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを作成する初期形状モデル作成手段と、
    プレス金型の上型または下型のいずれか一方の金型形状データから、上型が下型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が下型方向に凸であると判断し、下型が上型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が上型方向に凸であると判断する型形状判断手段と、
    を有し、
    前記初期形状データ算出手段は、前記型形状判断手段の判断結果に基づいて、前記湾曲させる方向を決めていることを特徴とするプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置。
  2. 前記湾曲は、円筒形の一部の形状であることを特徴とする請求項1記載のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置。
  3. 前記湾曲は、球面の一部の形状であることを特徴とする請求項1記載のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置と、
    前記プレスシミュレーション用モデルの初期形状作成装置によって作成されたプレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを有限要素法によるシミュレーションによって変形させてプレス成型品の形状をシミュレーションするシミュレーション実行手段と、
    を有することを特徴とするプレスシミュレーション装置。
  5. プレス金型の上型または下型のいずれか一方の金型形状データから、上型が下型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が下型方向に凸であると判断し、下型が上型方向に入り込む場合を前記ブランク材が載置される型面が上型方向に凸であると判断する段階と、
    前記ブランク材の物性データに基づき前記ブランク材の弾性域を超えない範囲で、かつ、前記ブランク材が載置される型面の凹凸方向と同じ方向にブランク材を湾曲させる初期形状データを算出する段階と、
    前記初期形状データにしたがって、プレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを作成する段階と、
    を有することを特徴とするプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法
  6. 前記湾曲は、円筒形の一部の形状であることを特徴とする請求項5記載のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法。
  7. 前記湾曲は、球面の一部の形状であることを特徴とする請求項5記載のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一つに記載のプレスシミュレーション用モデルの初期形状作成方法によって作成されたプレスシミュレーションに用いる有限要素モデルを有限要素法によるシミュレーションによって変形させてプレス成型品の形状をシミュレーションすることを特徴とするプレスシミュレーション方法。
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