JP4052030B2 - 多翼羽根車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低融点金属のアルミニウムやマグネシウム合金によって構成される遠心ファンや横断流ファンに用いられる多翼羽根車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心ファンや横断流ファンの主体となる多翼羽根車について、大風量形のものでは強度上、全体が金属材料で構成されている。この種の羽根径の大きな多翼羽根車は、多数の翼を両側において補強リングにカシメ付けて製造されているが、製造に手間がかかりコストも高くついている。これに対して、例えば、特開2001―193689号公報には、図12に示すような内周に多数の翼20を軸方向に備えたアルミニウムやマグネシウム合金のような低融点金属を押出し成形した円筒体21から、多翼羽根車を製造する技術が示されている。これは、押出し成形で得られた円筒体21を、所定の長さに切断した後、両端の補強リング部22を残して翼部分の外周肉部23を、切削加工して各翼を呈出させ、モーターの回転軸に連結する主板を結合するものである。こうして作られた多翼羽根車は、一体構造のため回転バランスも良く、騒音も低い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の多翼羽根車の製造方法において、羽根径の大きな多翼羽根車については、円筒体21を押出し成形する成形機が非常に大型になるうえ、金型の製作も困難である。また、強度上、肉厚にした円筒体21の大半を切削除去することになり、多量の廃材ができ、コストが高騰するといった問題点がある。一方で、従前から行われている翼の補強リングへのカシメ付けによる仕方では、製造に手間がかかり、騒音等の特性にばらつきが出来易いといった問題点がある。
【0004】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、コストがかからず、特性のばらつきの少ない多翼羽根車を開発することである
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために請求項1の発明は、両端に金属製のリング状の補強リングを有し、補強リング間に多数の金属製の翼が周方向に並んで設けられ、それらの各翼の内周部にわたって円形板状の主板を装着した多翼羽根車について、その補強リングを内周側リングと外周側リングの二個で構成し、それぞれに嵌め構造を周方向に設け、この嵌め構造に金属材を押出し成形して構成した嵌込み構造をに有する多数の翼を、嵌め構造への嵌込み構造の嵌め合わせにより装着する手段を採用する。
【0012】
前記課題を達成するために請求項の発明は、請求項1に係る前記手段における補強リングの嵌め構造と、各翼の嵌込み構造とを圧入により固定する手段を採用する。
【0016】
前記課題を達成するために請求項の発明は、請求項1に係る前記手段における補強リングの嵌め構造と、各翼の嵌込み構造とを嵌め合わせ、溶接して固定する手段を採用する。
【0017】
前記課題を達成するために請求項の発明は、請求項1に係る前記手段における補強リングの嵌め構造と、各翼の嵌込み構造とを嵌め合わせ、接着して固定する手段を採用する。
【0019】
【発明の実施の形態】
参考例としての形態1.
本形態は、遠心ファンや横断流ファンのような送風機に用いられる図1や図2に示す多翼羽根車に関するものである。この多翼羽根車は、低融点金属のアルミニウムやマグネシウム合金によって構成した両端のリング状の補強リング1と、補強リング1間に周方向に装架した多数の湾曲板形状の翼2とで構成されている。各翼2の内周部には、各翼2の内周端縁にわたる円形板状の主板3がカシメ付けにより装着され、主板3の中心に設けられたボス部4においてモーターの回転軸に装着される。
【0020】
補強リング1は、図3に示すようにアルミニウムやマグネシウム合金を円筒形に押出し成形したものを所定の長さに切断して構成される。補強リング1の内端縁には、嵌め構造としてのアリ溝5が周方向に等間隔に設けてあり、このアリ溝5に、図4に示すようにアルミニウムやマグネシウム合金を押出し成形して作られた一端に嵌込み構造としての鳩尾状突部6を設けた湾曲板形状の翼2が、アリ溝5への鳩尾状突部6への圧入により装架されている。各翼2は、図4に示すように長尺の押出し成形物6Aを所定長に裁断し、補強リング1のアリ溝5に鳩尾状突部6を図5及び図6に示すように嵌め合わせて補強リング1間に周方向に並べて装架させ、補強リング1から外れる無効部分の鳩尾状突部6を切削除去して翼2として成形される。
【0021】
この多翼羽根車の作り方は、翼一体の円筒体を、削出しによって翼部分を呈出させる仕方を採らず、補強リング1と、押出し成形による翼2を嵌め合いにより組付け、翼2の送風性能に影響する余分な翼2の嵌込み構造のみを切削除去するものであるため、廃材が極めて少なく、大きな羽根径の多翼羽根車も、小さな羽根径の多翼羽根車でも効率良く低コストで製造することができ、特性のばらつきも少ない多翼羽根車が得られる。
【0022】
補強リング1については、その嵌め構造のアリ溝5を図7に示すように外側端に設け、翼2の内縁に嵌込み構造としての鳩尾状突部6を設けてもよい。また、補強リング1の嵌め構造を図8に示すように角穴7として、押出し成形による翼2の両端部に切削加工により角穴7に嵌まる嵌込み構造を設けて、補強リング1と翼2とを圧入固定してもよい。補強リング1と翼2との連結については、圧入の他にもカシメ付けや、焼き嵌め、冷やし嵌め、溶接、接着による手段で固定することもできる。
【0023】
参考例としての形態2.
図9と図10によって示す本形態は、形態1で示した多翼羽根車に関し、その補強リング1の嵌め構造と翼2の嵌込み構造とに工夫を講じ、後加工による切削工程を不要にしたもので、これに係る構成以外は、形態1のものと同じである。従って、形態1のものと同じ部分については、形態1のものと同じ符号を用い、それらについての説明は省略する。
【0024】
本形態では、補強リング1の嵌め構造を図9に示すような内面に対向状に突起8を設けた溝9とし、翼2の嵌込み構造は翼2の一端部10として、その一端部10に突起8に係合する溝11を設けている。各翼2の一端部10と溝11を各補強リング1の溝9と突起8に嵌合して、主板3を装着することによって多翼羽根車が製造される。この方法によれば翼2に送風性能を阻害する構造が無いので翼2の組立て後に切削加工する必要がなく、廃材もでず低コストで多翼羽根車を得ることができる。
【0025】
実施の形態
図11によって示す本実施の形態は、形態1や形態2で示した多翼羽根車に関し、補強リング1を翼の外周側リングと内周側リングとで構成し、羽根径の大きな多翼羽根車に対応できるようにしたものである。基本的な構成は、形態1や形態2のものと同じである。従って、形態1や形態2のものと同じ部分については、それらのものと同じ符号を用い、その説明は省略する。
【0026】
本実施の形態における翼2の外周側リング12については、形態1や形態2で示した補強リング1の構成がそのまま適用される。内周側リング13については外周に翼2の内端部を嵌合する嵌込み構造としての溝14を周方向に並んで設けている。この溝14に各翼2の内端部を嵌合させて、翼2の内周と外周を内周側リング13と外周側リング12とで支持することによって、強度の高い低コストの多翼羽根車を得ることができる。なお、主板3の装着は、片方の内周側リング13の装着前に行われる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、製造において廃材が少なくコストのかからない、強度の高い多翼羽根車が得られる。
【0034】
請求項の発明によれば、製造において廃材が少なくコストのかからない、特性のばらつきも少ない多翼羽根車が得られる。
【0038】
請求項の発明によれば、製造において廃材が少なくコストのかからない、特性のばらつきも少ない多翼羽根車が得られる。
【0039】
請求項の発明によれば、製造において廃材が少なくコストのかからない、特性のばらつきも少ない多翼羽根車が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】態1の多翼羽根車を示す側面図である。
【図2】態1の多翼羽根車を示す正面図である。
【図3】態1の多翼羽根車の補強リングを示す斜視図である。
【図4】態1の多翼羽根車の翼の製造過程を示す斜視図である。
【図5】態1の多翼羽根車の補強リングと翼の組付け過程を示す拡大部分側面図である。
【図6】態1の多翼羽根車の補強リングと翼の組付け状態を示す拡大部分側面図である。
【図7】態1の他の多翼羽根車示す側面図である。
【図8】態1の他の多翼羽根車の側面図である。
【図9】態2の多翼羽根車の補強リングと翼の組付け過程を示す拡大部分側面図である。
【図10】態2の多翼羽根車の補強リングと翼の組付け状態を示す拡大部分側面図である。
【図11】 実施の形態の多翼羽根車の側面図である。
【図12】 従来の多翼羽根車の製造方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 補強リング、 2 翼、 3 主板、 5 アリ溝、 6 鳩尾状突部、 7 角穴、 8 突起、 9 溝、 10 一端部、 11 溝、 12 外周側リング、 13 内周側リング、 14 溝。

Claims (4)

  1. 両端に金属製のリング状の補強リングを有し、この補強リング間に多数の金属製の翼が周方向に並んで設けられ、それらの各翼の内周部にわたって円形板状の主板を装着した多翼羽根車について、その補強リングを内周側リングと外周側リングの二個で構成し、それぞれに嵌め構造を周方向に設け、この嵌め構造に金属材を押出し成形して構成した嵌込み構造をに有する多数の翼を、前記嵌め構造への嵌込み構造の嵌め合わせにより装着した多翼羽根車。
  2. 請求項1に記載の多翼羽根車であって、補強リングの嵌め構造と、各翼の嵌込み構造とを圧入して固定した多翼羽根車。
  3. 請求項1に記載の多翼羽根車であって、補強リングの嵌め構造と、各翼の嵌込み構造とを嵌め合わせ、溶接して固定した多翼羽根車。
  4. 請求項1に記載の多翼羽根車であって、補強リングの嵌め構造と、各翼の嵌込み構造とを嵌め合わせ、接着して固定した多翼羽根車。
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