JP2005240557A - 自動車エンジン冷却用ウォーターポンプのインペラ製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 この発明は、流量特性を実現する羽根の形状に制限を加えることなく、安価でしかも羽根数の多いウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラ製造方法は、平板からプレス絞り、成形，切断、曲げ加工を経て一体構造により２枚の羽根部材を製造し、該２枚の羽根部材を溶接により接合して一体にする。さらに、前記２枚の羽根部材のいずれかの基部に上記２枚の羽根部材を溶接するための突出部を有し、該突出部において上記２枚の羽根部材を溶接により接合して一体にする。
【選択図】図１

Description

この発明は、自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法に関する。

従来、自動車の発動機器（エンジン）冷却用のウォーターポンプのインペラは、材質を鉄製から樹脂製へと使用材料の変更により要求される流量特性の改良が図られてきた。
ウォーターポンプは、図５に示す如く位置し、その拡大図の例を図６に、さらにその拡大図の他の例を図７に示す。インペラとは上記ウォーターポンプ内に取り付けられた回転羽根（図６の６１，または図７の７１）をいう。なお、インペラは、メーカーによってロータ、あるいはベーン（ＶＡＮＥ）と称されることもある。

従来鉄製のインペラの製造方法は、図８に示される如く回転駆動連結部と曲線形状の羽根部を平板からプレス絞り、成形（同図（ａ），（ｂ））、切断（同図（ｂ），（ｃ））、曲げ加工（同図（ｄ））を経て一体構造により製造される。

しかし、該鉄製インペラを一枚の鉄板から製造する従来の方法は要求される羽根の形状に制限が発生し、またウォーターポンプのインペラが回転することにより発生するキャビテーションによる羽根の変形・破損の問題がある。なお、上記形状の制限とは図８（ｄ）の折り曲げ部の形状によっては打ち抜きの時の基部と羽部が重複してしまい、図８（ｂ）の打ち抜きで図８（ｃ）の形状ができないことをいう。このプレス時の羽根の干渉の問題のため、仕様によっては鉄製のインペラでは製造できない場合があった。

上記樹脂製はほぼ任意の形状が形成できるが、樹脂性のインペラのコストは鉄製インペラに比較し４〜５割高い欠点がある。また、従来鉄製のインペラは上記羽根の形状による制限から６枚羽根が多いが、インペラの羽根数は多い方が押し出す力が強いので好ましい。しかし、鉄製インペラを一枚の鉄板から製造する従来の製法では８枚羽根とか１０枚羽根のインペラを鉄製で作ることは不可能であった。
特開２００３−３９９１号公報

この発明は、上記従来の鉄製のインペラの製造方法の欠点を改良し，従来のように要求される流量特性を実現する羽根の形状に制限を加えることなく、安価でしかも羽根数の多いウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法を提供することを目的とする。

これを解決するため、本発明の自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラ製造方法は、平板からプレス絞り、成形，切断、曲げ加工を経て一体構造により２枚の羽根部材を製造し、該２枚の羽根部材を溶接により接合して一体にしたことを特徴とする。

さらに、前記２枚の羽根部材のいずれかの基部に上記２枚の羽根部材を溶接するための突出部を有し、該突出部において上記２枚の羽根部材を溶接により接合して一体にしたことを特徴とする。

さらにまた、前記２枚の羽根部材を補強板に溶接し、２枚の羽根部材及び補強板を一体化したことを特徴とする。

このように本発明の自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラ製造方法は、樹脂製に比べれば製造コストが安く，しかも羽根数が８または１０枚羽根と多く、従ってポンプの押し出し力も大きい鉄製のインペラが製造できる。

以下、この発明の自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラ製造方法について図を用いて説明する。
図１〜図４は、この発明の上記インペラの構造を示す。図１は分解斜視図、図２は組み立て後の全体斜視図、図３は図２の上面図、図４は各部材の側面図を示す。

図１において、本発明の自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラは、上部羽根部材１、下部羽根部材２及び環状補強部３から構成される。材料は自動車用鋼板を用いる。上部羽根部材１には、ボス部２０を含む回転駆動連結部２１と羽根部４〜８が、図８と同様に平板からプレス絞り、成形，切断、曲げ加工を経て一体形状で形成されている。下部羽根部材２も、同様に円環状の回転駆動連結部２２と羽根９〜１３が平板からプレス絞り、成形，切断、曲げ加工（例えば、１４工程）を経て一体形状で形成されている。

本発明のインペラは、図２に示す如く上記上部羽根部材１、下部羽根部材２及び環状補強部３が相互にプロジェクション溶接により接合されて完成される。この時、上部羽根部材１と下部羽根部材２は図２に示す如く，羽根４〜８と羽根９〜１３が相互に間に入るように組み立てられる。上部羽根部材１と下部羽部材２の溶接は、図１に示されるような羽根と羽根の間の回転駆動連結部２２に延在する突出部１４〜１７によって行われる。なお、該突出部は上部羽根部材の羽根と羽根の間の回転駆動連結部２１に延在して設けられてもよい。該溶接部が上記延在部１４〜１７で行われるのは回転駆動連結部２２でプロジェクション溶接を行うのは困難であるからである。また、該突出部１４〜１７には、プロジェクション溶接用の突起がプレス時に形成される。下部羽根部材２と環状補強部の溶接は例えば下部羽根部材の羽根の基部２３の裏側と環状補強部の環状部２６との間で行えばよい。なお、環状補強板３は上記羽根を固定し、羽根が水圧等により変形するのを防止する効果がある。

このように上部羽根部材１と下部羽根部材２の組み合わせにより鉄性インペラを製造する製法によれば、従来一枚の羽根部材で製造された鉄製インペラは６枚羽根が限界であったのに対して、図２の如く１０枚羽根の鉄製インペラが実現できる。

インペラの押し出し力（突出量）は羽根の入り口角、出口角及び羽根面積等によって決まるが、この発明の１０枚羽根のインペラは従来の６枚羽根のインペラに比較し、押し出し力（突出量）が約１．５倍になる。従って、同じ大きさであれば、押し出し力が大きいし、また仕様を満足させるインペラで比較すると同じ押し出し力に対して１０枚羽根のインペラの方がより小型化が可能となる。しかも、コストは同様の樹脂製のインペラに比較し、約３割安く製造することができる。また、鉄製の方が経年変化に強いメリットもある。

本発明によれば、羽根の形状に制限を加えることなく、安価でしかも羽根数の多いウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法を提供することができ、このことによりコストの安い鉄製で多様な車種に対応した任意形状のインペラを製造できる。さらに、このことにより１０枚羽根のインペラも鉄製で実現することができるので、押し出し量の大きいインペラが安く作れ、その適用範囲は大きい。

この発明のウォーターポンプの鉄製インペラの分解斜視図である。 この発明のウォーターポンプの鉄製インペラの組み立て後の全体斜視図である。 図２の上面図である。 この発明のウォーターポンプの鉄製インペラの各部材の側面図である。 ウォーターポンプの説明図である。 ウォーターポンプの拡大図である。 ウォーターポンプのさらに詳細な拡大図である。 鉄製のインペラの羽根部のプレスによる製造工程を示す図である。

符号の説明

１ 上部羽根部材
２ 下部羽根部材
３ 環状補強部
４〜８ 羽根
９〜１３ 羽根
１４〜１７ 突出部

Claims (3)

1. 自動車エンジン冷却用ウォーターポンプの鉄製インペラ製造方法において、
   平板からプレス絞り、成形，切断、曲げ加工を経て一体構造により２枚の羽根部材を製造し、該２枚の羽根部材を溶接により接合して一体にしたことを特徴とするウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法。
2. 前記２枚の羽根部材のいずれかの基部に上記２枚の羽根部材を溶接するための突出部を有し、該突出部において上記２枚の羽根部材を溶接により接合して一体にしたことを特徴とする前記請求項１記載のウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法。
3. 前記２枚の羽根部材を補強板に溶接し、２枚の羽根部材及び補強板を一体化したことを特徴とする前記請求項１または２記載のウォーターポンプの鉄製インペラの製造方法。

Images