JP4051445B2 - 液晶記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶記録媒体の製造方法に関するものである。
高分子液晶を用いる書換え可能な感熱記録媒体が知られている。これは、高分子液晶の可逆的な固体相から液晶相へのガラス転移、液晶相から等方相への相転移を利用するものである。熱エネルギーを与えて昇温させて液晶状態とし、ガラス転移温度以下に急冷することにより固定化が可能となり、所望の記録像を形成する。この場合に、書換えを繰り返す場合には固体と液体の状態を繰り返すために、安定性を保ちにくいこと、下地層と記録層とのずれ生じ、耐久性がないことが問題点として指摘されている。
本発明者らは、書き換え可能フルカラー感熱記録材料として、分子量2000以下でガラス転移温度が35℃以上のコレステリック液晶化合物を用いる方法を発明した(特許文献1、非特許文献1)。 コレステリック液晶化合物としては、10,12-ドコサインジカルボン酸ジコレステリルなどを用いるものである。この方法では、コレステリック反射色が液晶温度からの急冷却操作によりガラス状固体中に保存される。書き換え機能とフルカラーの表示を両立させることができたものである。
一般に、アゾベンゼン基は、紫外線を吸収することにより、トランス対からシス対に光異性化することがしられており、これを含む物質は、フォトクロミック化合物として知られている。コレステリック液晶相を示す液晶組成物及びフォトクロミック化合物を含有する。
液晶学素子も知られている(特許文献7 特開2000−328064)。これは、波長の相違する光照射により光スイッチングを行うものである。また、アゾベンゼン構造を有する単官能重合性モノマーと多官能重合性モノマーの共重合体からなる液晶物質も知られている(特許文献8 特開2002−256031)。これは、光照射によってアゾベンゼンの構造が変化するので、外形や形態に変化を生じさせるものである。
本発明者等は、分子量2000以下でガラス転移温度が35℃以上のコレステリック液晶化合物に対して、フォトクロミック化合物を組み合わせることにより、光モードでの書き換え可能なフルカラー記録材料及び画像形成方法について発明した。この発明は、分子量2000以下でガラス転移温度が35℃以上のコレステリック液晶化合物にアゾベンゼン誘導体等のフォトクロミック化合物を添加した組成物を用いるものであり、これに光照射することにより書き換え実現している(特許文献2、非特許文献2、3)。
このフォトクロミック化合物を添加した組成物は、コレステリック液晶温度での光照射により光照射部の反射色がフォトクロミック化合物の反応量に依存して連続的に変化するので、目的の反射色を示したところで光照射をやめ試料をガラス転移温度以下への急冷操作することで、特定の反射色をガラス状固体中で保持できるという特性を有するものである。
アゾベンゼン誘導体からなる添加剤に要求される性質としては、光応答性がよく赤外領域から青色領域まで反射色を変化させることができ、かつ色固定化後も高い安定性を保持していることが必要である。光応答性に関しては、アゾベンゼン色素に導入されるアルキル置換基の長さに最適なモノが存在しており、短すぎても長すぎてもよい性能がでないことが明らかになっている(非特許文献3)。また、発明者等は、加熱操作によって画像の記録及び消去を行う場合には、圧力ストレスにより記録層の厚さにムラが生じたり、液晶化合物の漏れ出しが懸念されることから、マクロカプセル化することを発明した(特許文献6)。
また光反応によって変化する反射色の波長範囲は添加剤の濃度を増加することによって大きくすることができるが、添加剤を添加するとガラス転移温度は35℃より低い温度になりやすく、色固定後の結晶化が促進されるため、室温における固定色の安定保存が問題になる。
光によりコレステリックの反射色を変化させ、これを固定化する方法としては、重合性の液晶を用いる方法が知られている(特許文献3)。この発明は、「コレステリック膜およびその製造方法ならびにコレステリック膜を備えた反射素子」に関するものであり、光環化反応により、光学活性部位が生成し、コレステリック液晶に対するツイストパワーが変化することを利用して、反射色を変化させるものであり、その後、重合性液晶の重合反応により反射色の安定化を行うものである。
「コレステリック液晶組成物及びコレステリック液晶カラーフィルタ」(特許文献4)では、光反応性カイラル化合物の光感応ピーク波長と重合開始剤の光感応ピーク波長とを変えて照射することで、それぞれの露光行程を別の光で行うことができるようになっている。
しかしながら、これらの液晶組成物では、いずれも第一の光により画像様に露光した後、第二の光により重合硬化する工程になっており、可逆的な書込が不可能であると考えられる。
本発明者等は、可逆的な書込が出来、かつ固定色の安定性を改善する方法として、液晶媒体と類似の構造をもつ置換基(具体的にはコレステリル基)を導入したアゾベンゼン誘導体を分子量2000以下でガラス転移温度が35℃以上のコレステリック液晶化合物に添加剤として加える方法を発明した(特許文献5)。
具体例の一例を挙げれば、10,12-ドコサインジカルボン酸ジコレステリルに、ジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解させた溶媒中で、ヒドロキシアゾベンゼン、コレステロールを反応させて得られる。この場合には、アゾベンゼンを用いることにより良好な光応答性を有し、色固定化後においても室温レベルで保持しても、結晶化が促進されないので、安定性などの点で優れている。
しかしながら、このような光反応性添加剤を添加すると、液晶相温度での書込中に添加剤が拡散して像がぼやけることが懸念される。特に大面積化した際には光書込時間も長くなるのでこの問題が顕著になる。
また、原料化合物が高価であり、そのうえ目的生成物の反応収率が低く、目的の液晶化合物の単価が高くなり、環境負荷も大きくなるという問題点が指摘されている。
特開平11−24027 特開2000−89398 特開2003−84131 特開2001−303057 特開2001−233893 特開2003−96454 特開2000−328064 特開2002−256031 AdvancedMaterials, 9 (14), 1102 (1997) Advanced Materials, 12, 94-97(2000) J. Mater. Chem., 11, 1003-1010 (2001)
以上のような背景をふまえ、書き換え可能の光書込ができ、かつ、反射色が青色〜赤外領域にまでわたって光照射で制御でき、さらに安定にこれを保持出来るようなフルカラー記録媒体を作ることを目的とする。そのためには、熱モードで繰り返しの書き換えができ、かつ安定に反射色を固定化出来ることが分かっている分子量2000以下でガラス転移温度が35℃以上のコレステリック液晶化合物記録媒体に、その特性を乱さずに光書込特性を与えればよく、良好な光反応性添加剤を添加することが有効であることが理解できる。
しかしながら、従来の公知例に見られる光反応性添加剤を添加すると、ガラス転移温度は35℃より低い温度になりやすい。光反応性添加剤を添加する際には、ガラス転移温度を引き下げることを避ける化合物を選択することが必要である。このような要求を満たすものとして、比較的分子量の大きな高分子化された光反応性の化合物としては、アゾベンゼン誘導体化合物を含む高分子化合物を用いることが有効と考えられる。また高分子化することにより液晶相温度での光書込の際、光反応性部位の拡散を押さえることができるので高い解像度を期待できる。ただし、高分子化しても液晶に分散することが必要であり、高分子混入によっても可逆性を失わないという要件を満たす必要がある。
このようなことを考慮して高分子液晶化合物からなる液晶記録媒体に関し、本発明の課題は、ガラス転移温度が35℃以上で、かつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる、コレステリック液晶記録媒体に良好な書き換え可能の光書込特性とすぐれた固定色の保存安定性を与える液晶記録媒体及び液晶記録媒体の製造方法及びこの液晶媒体を製造するための高分子化合物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、分子量3000以下で、ガラス転移温度が35℃以上で、かつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物からなる記録媒体に、これと相溶する、特定の新規な高分子重合体、高分子共重合体を単量体原料の状態で液晶中に添加して液晶中で重合体を形成して、調製した液晶記録媒体は、良好な光応答性を与え、さらに、色固定後に50℃で保持しても固定色を安定に保存できるという効果があることを見出して、本発明を完成させた。当然、系外で重合体を形成して添加しても差し支えない。
今回、本発明者等が見出した前記高分子化合物は、(1)単量体が一般式1で表されるアゾベンゼン誘導体化合物からなる高分子化合物、(2)単量体が一般式1で表され、構造が相違する2種類以上のアゾベンゼン誘導体化合物からなる高分子重合体及び(3)単量体が一般式1で表されアゾベンゼン誘導体と、アゾベンゼン誘導体化合物ではない特有な重合性の化合物からなる高分子共重合体に関するものが有効であることを見出した。
また、この際に、分子量が3000以下で、ガラス転移温度が35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物からなる記録媒体中において、前記高分子化合物の単量体を添加混合し、重合反応を行うと液晶混合物中で前記単量体が重合反応により高分子化し液晶混合物と高分子化合物からなる液晶記録媒体が得られ、この物質は、ガラス転移温度は35℃より高い温度であり、ガラス転移温度が35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物からなる記録媒体に、これと相溶する、特定の高分子重合体、高分子共重合体からなる液晶記録媒体は、良好な光応答性を与え、さらに、色固定後に50℃で保持しても固定色を安定に保存できるという効果があることを見出した。この重合反応では、混合物全体が液晶相を示す温度で液晶記録媒体に相溶した状態を保持したまま少量添加した重合開始剤により単量体を高分子化することができる。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
(1)分子量が3000以下で、ガラス転移温度が35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物と下記一般式Iで表される単量体の混合物又は該液晶化合物と下記一般式Iで表される単量体と下記一般式IIで表される単量体の混合物を調製し、該混合物全体が液晶相を示す温度で液晶記録媒体に相溶した状態を保持したまま、重合開始剤によりこれらの単量体を高分子化することを特徴とする液晶記録媒体の製造方法。
Figure 0004051445
Figure 0004051445
本発明で用いる高分子重合体は、光反応性高分子化合物であり、液晶記録媒体に添加される。この高分子化合物を含む液晶記録媒体は、良好な光応答性を与え、さらに、色固定後に50℃に保持しても、固定された色を安定に保存できるという特性が付与される結果、ガラス転移温度を引き下げることを避けることができ、かつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとるコレステリック液晶記録媒体に良好な書き換え可能の光書込特性とすぐれた固定色の保存安定性を与える液晶記録媒体である。
本発明に係る液晶記録媒体は、分子量が3000以下でガラス転移温度が35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物と、上記一般式Iで表される単量体の単独重合体又は上記一般式Iで表される単量体と上記一般式IIで表される単量体との共重合体を含有することを特徴としている。
本発明の液晶記録媒体に含有される液晶化合物は、分子量が3000以下でガラス転移温度が35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物である。
本発明の液晶記録媒体に含有される重合体の一つは、前記一般式Iで表されるアゾベンゼン誘導体からなる単量体の単独重合体である。
式中、nは1〜20、好ましくは9の数を示し、mは2〜20、好ましくは10の数を示す。
この一般式Iで表されるアゾベンゼン誘導体化合物は、たとえば、相当するヒドロキシアゾベンゼン化合物と、相当するブロモアルキルアルコールとを炭酸カリウム存在下、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルアセトアミド中で60〜80℃に加熱撹拌し反応させ、生成物をカラムクロマトグラフィーもしくは再結晶法により精製し、得られた化合物とアクリル酸クロライドもしくはメタクリル酸クロライドとをトリエチルアミン存在下、塩化メチレンの中で、室温下で撹拌し反応させ、得られた反応生成物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製することにより製造される。
本発明の液晶記録媒体に含有される重合体の他の一つは、前記一般式Iで表されるアゾベンゼン誘導体からなる単量体と前記一般式IIで表される単量体との共重合体である。
式中、nは1〜20、好ましくは6〜12の数を示し、Rは水素又はメチル基を、Rはコレステリルエステル基を表す。
上記一般式IIで表される単量体は、例えば、二重結合の基を有する化合物のハロゲン化物、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基のハロゲン化物と、これらの基に結合する末端基のハロゲン化物、具体的には、飽和もしくは不飽和炭化水素、液晶骨格構造の置換基のハロゲン化物を反応させることにより得られる。
本発明の重合反応は、上記ガラス転移温度35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相となる、分子量が3000以下の液晶化合物の存在下に、(1)前記一般式Iで表されるアゾベンゼン誘導体からなる単量体を単独で重合させる方法、(2)該一般式Iで表される単量体と前記一般式IIで表される単量体を共重合させる方法により行われる。
重合反応に用いる前記一般式Iで表されるアゾベンゼン単量体は、1〜10wt%、好ましくは2〜3wt%となるように混合する。
更に、一般式Iで表される単量体と一般式IIで表される単量体と共重合する場合は、単量体の合計の濃度で1〜30wt%、好ましくは2〜20wt%となるように混合する。
この反応に用いられる重合開始剤には、光もしくは熱重合開始剤が用いられる。このような重合開始剤には、(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)、(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)、(2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン)などが用いられる。
重合開始剤は、全体の、0.01〜2wt%となるように混合する。
反応に際しての混合方法は、それぞれの試薬を秤取り加熱溶融した状態でよく撹拌するか、混合物を塩化メチレン等の溶媒に溶かし均一溶液とした後に、溶媒を減圧留去することによって行うことが出来る。熱重合開始剤を用いる場合は、混合中の重合をさけるため後者の混合方法のみを用いることが出来る。この混合物を、少なくとも一方が透明である2つの基板の間に挟む。この場合、基板としては、通常、薄いガラス板等が用いられるが、高分子薄膜や金属板などでもよい。二枚のうち一枚は少なくとも一部の光が透過するような透明性が必要である。混合物を二枚の基板間にはさむ方法としては、まず混合物を液体状態の温度に加熱し、一方の基板上に載せた後もう一方の基板をのせるか、平行に保たれた二枚の基板間に減圧やキャピラリー現象を利用して注入する方法がある。基板間の間隔は特に限定されるものではないが、1ミクロンから100ミクロン程度が望ましい。作成した2枚の基板で混合部を挟んだ試料を、加熱台に置くか、もしくは恒温槽に入れ、液晶相を示す温度に保つ。熱重合開始剤を添加した試料の場合はこのまま数時間放置し、光重合開始剤を添加した試料に対しては、この温度下で光重合開始剤が感光する波長の光を照射し、重合反応を行う。照射光源は、太陽光、水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、レーザーなど何でもよい。
重合反応により得られる重合体の分子量は、重量平均分子量で1000から1000000である。この分子量の測定法は、ポリスチレン標準物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される。
この高分子重合体は、光反応性高分子化合物である。
本発明による光反応性の高分子化合物を含む液晶記録媒体は、短時間の光照射により記録することができる書き換え可能なカラー画像記録媒体である。これを用いて画像を形成するには、基板間にはさんだ液晶混合物に対して、その透明基板側から、本発明の液晶化合物を含む材料に対して、その液晶相を示す温度下で、アゾベンゼン色素を感光する波長の光を照射し、その後、ガラス転移温度以下まで急冷することにより画像情報を書き込むことにより、画像情報を保存することが可能となる。特に、本発明の光反応性高分子化合物を添加する光記録材料においては、光反応性高分子化合物からなる添加剤の添加効果により、分子の配向状態の緩和が押さえられる結果、ガラス状態における熱的不安定化が抑制され、保存された画像情報の室温での長期保存も可能となる。
本発明で得られる画像情報は、一度記録した後、全体もしくは一部分を混合物の融点以上に加熱すれば何度でも消去が可能であり、さらに新しい画像情報を前記の方法で再度光記録できる。本発明による光反応性高分子添加を含む液晶化合物を用いれば、その化合物が光異性化反応を起こす程度の弱い光を液晶状態で部分的に照射するだけで局所的な光学的性質を変化させることができるので画像情報を書きこめる。
また、その後の急冷操作でその光学的性質を固定化することにより、画像情報を保存できる。例えば、可視域の光を反射する光学的性質を有するコレステリック液晶状態で光照射を行えば、未照射部の反射色はそのままで、光照射部は光照射量に依存して未照射部より短波長の光を反射するようになるため、少なくとも2色のカラー画像情報を記録できる。また、赤外域に反射を有するコレステリック液晶状態に光照射を行えば、未照射部は可視域の光は反射しないため透明で、光照射部は光照射量に依存して未照射部より短波長の光、つまり可視域の光を反射するようになるため、背景が透明のカラー画像情報を記録できる。さらに液晶状態はコレステリック液晶相に限定されず、ネマティック、スメクティック相でも光照射部のみの光学的性質が変化するため、光照射部と未照射部でコントラストが発生することによる画像情報を記録することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
合成例1
一般式Iで表される単量体の合成[下記式(A)で表される化合物(10-[4-(4-デシルフェニル)アゾ]フェノキシデシルアクリレート)の合成]
Figure 0004051445
[原料物質(4-(10-ヒドロキシデシロキシ)-4'-デシルアゾベンゼン)の合成]
4-デシル-4'-ヒドロキシアゾベンゼンは文献(L. Haiying and L. Zhongfan, Synth.Commun., 28, 3779-3786 (1998))に記載の方法に従って合成した。得られた化合物1.74gが溶けるまでジメチルホルムアミドを加えたのち、ブロモデカノール1.5gを加えた。
これに炭酸カリウム0.89gを加えて70℃で12時間攪拌した。エーテルと酢酸エチルの混合溶媒で薄め水洗いしたのち溶媒を留去した。四塩化炭素と酢酸エチルの混合溶媒(4:1)を展開溶媒としてシリカゲルクロマトカラム法で分離精製し、融点86℃、84℃にスメクティック相が現れる黄色の結晶1.95gを得た。
[単量体化合物(10-[4-(4-デシルフェニル)アゾ]フェノキシデシルアクリレート)の合成]
4-(10-ヒドロキシデシロキシ)-4'-デシルアゾベンゼン1.0gとトリエチルアミン0.22gを12mlのジクロロメタンに溶かし、撹拌しながら、アクリル酸クロライド0.2gをゆっくりと加えた。室温で30分撹拌を続けた後、そのままシリカゲルに通しジクロロメタンで流し出した。その溶液を濃縮し、四塩化炭素と酢酸エチルの混合溶媒(9:1)を展開溶媒として用いシリカゲルクロマトカラムで分離精製し融点62.5-65.0℃の黄色の結晶0.6gを得た。融点幅が広くなっているが、測定中に流動により配向が起きるためで、明確な液晶相は現れなかったが、中間相を示す化合物と考えられる。
1H NMR (CDCl3, δ):0.87 (3H, t, -CH3),1.20-1.60 (28H, m, -CH2-), 1.65 (2H, tt, -CH2-CH2OAr), 1.82 (2H, tt, -CH2-CH2OCO-), 2.67 (2H, t, ArCH2-), 4.03 (2H, t, ArOCH2-), 4.15 (2H, t, -CH2OCO-), 5.81 (1H, dd, -CH=CH2), 6.12 (1H, dd, -CH=CH2), 6.40 (1H, dd, -CH=CH2), 6.99 (2H, d, Ar-H), 7.29 (2H, d, Ar-H), 7.84 (4H, dd, Ar-H).
これらの測定結果から、合成例で得られた化合物は表記の式(A)であることが確認された。
合成例2
一般式IIで表される単量体合成(下記Bで表される単量体の合成)
Figure 0004051445
上記Bの共重合用反応性化合物は、文献P. J. Shannon, Macromolecules, 16, 1677-1678 (1983).に従って合成した。
参考例1(液晶化合物と一般式Iの単量体モノマーからなる液晶記録媒体)
分子量約1100でガラス転移点を80℃付近に持ちコレステリック液晶を示す下記式Cで表される材料と式Aで表されるアゾベンゼン単量体1,2,3wt%との混合物を、2.2cm角、厚さ0.18mmの二枚のガラス板の間にはさみ、全体を125℃に加熱して溶融した。この際あらかじめごく少量の球状ガラススペーサ(直径10ミクロンメートル)を混入しておき、カラー画像記録媒体の厚さが約10ミクロンとなるようにした。
Figure 0004051445
徐々に温度を下げていくと110℃から90℃の範囲でコレステリック相の出現に伴う反射色がみられ2wt%と3wt%のアゾベンゼンモノマーを添加したカラー画像記録媒体では、青色から赤色までの反射色の変化が観察された。この2つのサンプルを一定温度に保ち、320nmのレーザー光線を走査しながら照射し、像を書き込んだ。書込後、カラー画像記録媒体を冷水中に落とし急冷してカラーの像を固定化した。このカラー画像記録媒体を50℃の恒温槽に入れ12時間放置したところ、2wt%アゾモノマーを含むサンプルでは像が消え、3wt%の試料では部分的に像は残ったものの、色変化が起きており、固定化された像を安定に保つことは出来なかった。
参考例2(液晶化合物と一般式Iの単量体モノマおよび一般式IIの単量体モノマーからなる液晶記録媒体)
式(C)で表される液晶化合物と式Aで表されるアゾベンゼン単量体3.3wt%と式Bで表される反応性単量体13wt%の混合物を用い、参考例1と同様の実験を行った。徐々に温度を下げていく参考例1の結果と同様に110℃から90℃の範囲でコレステリック相の出現に伴う反射色がみられ青色〜赤色〜透明(赤外)までの反射色の変化が観察された。このサンプルについても、3原色を用いた像の書き込みを行った。試料を冷水中に落とし急冷してカラーの像を固定化したが、今回は室温でもすぐに像が消滅してしまった。したがって、先ほどよりさらに固定化された像の安定性が低いことが分かった。
実施例1
式Cで表される液晶材料と式Aで表されるアゾベンゼン単量体3.3wt%と光重合開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.2wt%との混合物を参考例1と同様の方法でガラス基板2枚に挟まれたカラー画像記録媒体を作成した。このカラー画像記録媒体を93℃に保ち、500w超高圧水銀灯からの光を30分間照射した。照射後のカラー画像記録媒体を取り出して、テトラヒドロフランに溶解して、0.2ミクロンメートルの細孔フィルターを通して、ガラススペーサを除去し、ゲル浸透クロマトグラフィー法で、分子量分布の測定を行った。検出器の測定波長を360nmにして、この領域で特徴的吸収体を持つアゾベンゼン成分を含む分子の分子量分布を調べた。
その結果、ピークが2つ現れ、1つは分子量7000前後に対応しており、もう一つはアゾモノマーそのものに対応していた。その比率は1:1.3であり、この結果から見積もられる高分子化合物への反応率は44%となった。同じ手順で重合した試料の反射バンドをしらべたところ、未重合のサンプルと同様に、徐々に温度を下げていくと110℃から90℃の範囲でコレステリック相の出現に伴う反射色が青色域〜赤色域〜透明域(赤外域)にわたってみられた。これについてもレーザー走査で光書込、像の固定化を行い、50℃の恒温槽に入れ12時間放置した。その結果像は安定に保たれていた。
このカラー画像記録媒体を、125℃に加熱して等方相にした後、徐々に温度を下げて90℃でレーザー走査で先ほどとは異なる像の光書込を再度行った。像の固定化を行って、50℃の恒温槽に入れ12時間放置した。その結果、像は安定に保たれていた。
実施例2
式Cで表される液晶化合物と式Aで表されるアゾベンゼン単量体3.3wt%と式Bで表される反応性単量体13wt%と光重合開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1wt%との混合物を参考例1と同様の方法でガラス基板2枚に挟まれたカラー画像記録媒体を作成した。このカラー画像記録媒体を89℃に保ち、500w超高圧水銀灯からの光を30分間照射した。照射後のカラー画像記録媒体に対し実施例1と同様な方法で、分子量分布の測定を行った。
その結果、分子量7000前後に対応したピークと、アゾモノマーに対応したピークが現れた。その比率は、7.5:1であり、この結果から見積もられる高分子化合物への反応率は88%となった。同じ手順で重合した試料の反射バンドを調べたところ、徐々に温度を下げていくと105℃から90℃の範囲でコレステリック相の出現に伴う青色域〜赤色域〜透明域(赤外域)にわたる反射色の変化がみられ、重合物を含む資料においてもコレステリック相が保たれることが分かった。これについてもレーザー走査で光書込、像の固定化を行い、50℃の恒温槽に入れ12時間放置した。その結果像は安定に保たれていた。
本発明の液晶記録媒体は、固定された色を安定に保存できるという特性が付与される結果、ガラス転移温度を引き下げることを避けることができ、かつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとるコレステリック液晶記録媒体に良好な書き換え可能の光書込特性とすぐれた固定色の保存安定性を与える液晶記録媒体であり、各種表示手段として用いることができる。

Claims (1)

  1. 分子量が3000以下で、ガラス転移温度が35℃以上でかつガラス転移温度以上の温度で液晶相をとる液晶化合物と下記一般式Iで表される単量体の混合物又は該液晶化合物と下記一般式Iで表される単量体と下記一般式IIで表される単量体の混合物を調製し、該混合物全体が液晶相を示す温度で液晶記録媒体に相溶した状態を保持したまま、重合開始剤によりこれらの単量体を高分子化することを特徴とする液晶記録媒体の製造方法。
    Figure 0004051445
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