JP4051405B2 - 後染用合成樹脂被覆金属線材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属線材に合成樹脂を被覆した後、該被覆合成樹脂を染料で染色するのに適した後染用合成樹脂被覆金属線材に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性用のブラジャーその他のランジェリー等を着用する際に係合する係合用部材は、U字状部材とそのU字部に係合する鉤状部材を一対とする所謂「ホックアンドアイ」と称される微小な係合用部材が用いられている。このホックアンドアイは細い鉄線にナイロン等の合成樹脂を被覆した線材を折り曲げて、布帛に縫着する縫着部と鉤状またはU字状の係合部を形成してなる。そしてホックアンドアイは直接ランジェリーの生地に縫着せず、一旦ボリエステル繊維等の布帛製のテープに縫着して、これをランジェリーの生地に縫着することが広く行われている。
【0003】
ランジェリーに縫着したホックアンドアイをなるべく目立たなくするために、通常ホックアンドアイ及びこれを予め縫着するテープは、ランジェリーの色と同一の色に着色したものが用いられる。このためホックアンドアイはランジェリーの色に合わせて種々の色に着色したものが必要となる。
【0004】
従来、ホックアンドアイの着色は、ホックアンドアイの製造原料の鉄線等の線材上に、予め染料又は顔料で着色したナイロン等の合成樹脂を被覆する方法、線材を合成樹脂で被覆する際に顔料や染料を樹脂に混ぜながら線材上に被覆するマスターバッチ法が用いられている。しかしこれらの方法では、種々の色調のランジェリー等を製造するために、そさぞれの色調に合わせた色彩に着色した線材を用いて、多種の色彩のホックアンドアイを予め製造して用意しておく必要がある。
【0005】
また、白色顔料を含む合成樹脂を線材に被覆して、その線材を用いてホックアンドアイを成形後染色する方法も知られているが、被覆する合成樹脂中の白色顔料の濃度が大きいと、白色顔料が染色の障害となり必要な色調に染色するのが困難であり、白色顔料の濃度が小さいと下地の線材の隠蔽力が弱く、色むらが生じやすい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の如く種々の色調に着色した線材により、ホックアンドアイ等の係合用部材を製造する代わりに、白色又はこれに近い色調の未着色の線材によりホックアンドアイ等を成形後、これを必要な色調に染色する方法、白色又はこれに近い色調のホックアンドアイ等を白色の布帛テープに縫着した係合用テープを用意しておき、製造するランジェリー等の色調に応じて、該係合用テープ全体を後染によりランジェリー等の色調と同色に染色する方法により、容易に着色しうる後染用合成樹脂被覆金属線材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、鉄線等の金属線材の表面に先ず白色その他の下地隠蔽力の大なる色彩に着色したナイロン等の合成樹脂よりなる下層樹脂を被覆し、その上にナイロン等の無色透明に近い合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な、白色顔料濃度の小さい淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂を被覆して、後染用線材を製造し、これを用いてホックアンドアイを構成すれば、必要に応じて所定の色調に全体を染色可能なホックアンドアイを縫着した係合用テープを得ることができることを見出し本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち、本発明は金属線材上に白色その他の下地隠蔽力の大なる色彩に着色したナイロン等の合成樹脂よりなる下層樹脂層と該下層樹脂層の外側にナイロン等の無色透明に近い合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂層を被覆してなる後染用合成樹脂被覆金属線材を要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の内容を詳細に説明する。本発明で用いられる金属線材の材質は特に制限はなく、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム等、通常線材として用いられる金属の線材を全て用いることができる。鉄線を用いる時は、線材の切断面の防錆のために、線材表面を電気亜鉛メッキ等により、予め亜鉛メッキをしておくのが好ましい。そうすれば、この線材に後染用合成樹脂被覆した後染用合成樹脂被覆金属線材を切断してホックアンドアイ等の係合部材を製造したとき、その切断面に鉄線の断面が露出しても、鉄と亜鉛の局部電池による防蝕作用により、線材の切断面から錆が発生することがない。
【0010】
図1は本発明の後染用合成樹脂被覆線材の被覆の一部を切り欠いた斜視図であり、金属線材よりなるコアーワイヤー1の表面に酸化チタン等の白色顔料を含むナイロン樹脂等の合成樹脂よりなる下層樹脂層2が被覆され、その外側に無色透明に近いナイロン樹脂等の合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂層3が被覆されている。下層樹脂層2は白色顔料等の隠蔽力の大なる顔料を含み、コアーワイヤー1の下地を隠蔽する。下層樹脂層2の合成樹脂は特に制限はないが、金属線材1との密着性が良好であり、合成樹脂被覆線材4を折り曲げて成形する際に剥離しないものである必要がある。熱可塑性合成樹脂が好ましく、例えば6ナイロン、66ナイロン等のナイロン樹脂が好ましく用いられる。
【0011】
上層樹脂層3は下層樹脂層2との密着性がよく、染料による後染により容易に必要な色調に染色可能な合成樹脂が用いられ、下層樹脂層2と同種の合成樹脂が好ましく用いられる。例えば6ナイロン、66ナイロン等のナイロン樹脂が好ましく用いられる。
【0012】
下層樹脂層2及び上層樹脂層3の厚みは特に制限はないが、下層樹脂層2はその隠蔽力を発揮するに充分な厚みが必要でけあり、例えば20〜50μの厚みが好ましく、25〜35μが更に好ましい。上層樹脂層3の厚みも特に制限はないが、後染による着色で必要な色調に染色しうる厚みが必要であり、ナイロン樹脂の場合例えば15〜25μの厚みが好ましい。
【0013】
下層樹脂層2及び上層樹脂層3の被覆方法は、通常金属線材に合成樹脂を被覆するのに用いられる公知のあらゆる方法が使用可能であり、例えば溶融熱可塑性合成樹脂中に線材を通す方法、合成樹脂溶液中に線材を通した後溶媒を蒸発除去する方法、線材と共に溶融合成樹脂を押出し成形する方法、静電塗装法等いずれの方法も用いることができる。
【0014】
本発明の後染用合成樹脂被覆線材を折り曲げて、U字状部材と鉤状部材を一対とする被服用等の係合用部材を構成することができる。通常このような係合用部材を布帛テープに縫着して、一対の係合用テープを作成し、その係合用テープをブラジャー等の被服の所定個所に縫合し、被服の着脱の便宜を図っている。本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材を用いて係合用部材を構成を構成すれば、上記係合用テープを製作したのち、その係合用テープ全体を同時に染色することにより、テープ基材とそれに縫着された、線材よりなる係合用部材を、同じ色彩に同時に染色することが可能となる。
【0015】
【実施例1】
次に本発明の後染用合成樹脂被覆線材の製造法について実施例により説明する。図2はその製造工程のフローチャートである。
【0016】
直径5・5mmの鉄線よりなる線材を伸線して、直径2mmの線材とし、これを焼鈍したのち、これに電気亜鉛メッキを施す。その線材を更に伸線して直径0.710mmとする。これを酸化チタンの白色顔料を含む溶融6ナイロン樹脂中に通し、0.035mmの厚みに下層樹脂層2を被覆して線径0.78mmとする。更にこれを溶融透明ナイロン樹脂中に通して、0.02mmの厚みの上層樹脂層3を被覆して、線径0.82mmの後染用合成樹脂被覆線材を得た。
【0017】
次にこの後染用合成樹脂被覆金属線材の染色試験を行った。先ず後染用合成樹脂被覆金属線材を中性洗剤で洗浄して、表面の汚れ及び油分を除去、水洗した後、pH3〜5の酢酸水溶液に浸漬、次いで紫色の酸性染料(日本化薬株式会社製、カヤノールシリングViolet FBW)の1・8%水溶液をpH3〜5に調製した染色浴に浸漬し、染色浴を徐々に加熱して20分の間に90〜100℃に昇温し、その温度に30分間保った。最後に水洗、乾燥した。
【0018】
上記染色後の後染用合成樹脂被覆金属線材表面を目視観察し、更に該染色線材の切断研磨して横断面を顕微鏡で拡大して目視観察した。線材表面は均一に染色され、下地の影響は認められない。また横断面は上層樹脂層3が内部まで均一に染色され、下層樹脂層2の白色顔料の影響を全く受けていない。
【0019】
【実施例2】
上記実施例1の後染用合成樹脂被覆金属線材の染色試験において、最後の90〜100℃の染色浴中の浸漬時間を15分に短縮して同様に試験をおこなった。染色後の線材試料の表面及び断面を同様に目視検査した結果、表面の色調は30分浸漬の場合より若干淡くなるが、全体の色彩は均一であり、断面の染色状態も均一であった。
【0020】
【比較例】
次に比較例として、コアーワイヤー1に白色顔料を含む下層樹脂層2のみを被覆した従来の被覆線材について、実施例1と同様な染色試験を行った。染色後の被覆線材について、同様に表面の目視検査及び横断面の拡大目視検査を行った。表面の目視検査では、表面の着色が均一でなく、色むらが観察された。また横断面の観察では、被覆樹脂中の白色顔料により染色が阻害され、被覆樹脂層中の色彩の分布が均一でなく、これが表面の色むらの原因となっていることがわかる。
【0021】
上記実施例では、本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材の上層樹脂層3を、酸性染料により紫色に染色する方法を例に挙げて説明したが、ナイロン等の被覆樹脂は染色性がよく、これを染色しうる染料であれば、どの様な種類、どの様な色彩の染料も同様に用いることができ、必要に応じて、種々の色彩、色調に染色可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材によれば、線材の合成樹脂被覆層を下地隠蔽力の大なる下層樹脂層2と、染色性の良好な上層樹脂層3の2層構造としたため、下地の隠蔽性を保ちつつ、後染による良好な染色性を発揮することができる。
【0023】
これを用いて成形した係合用部材等の成形品を、必要な色調に必要に応じてその都度染色することができる。下層樹脂層2によるコアーワイヤー1の隠蔽力が大であるため、上層樹脂層3をどの様な色彩にも染色することができ、淡い色調にも自由に染色することができる。
【0024】
本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材を用いてホックアンドアイ等の係合用部材を成形し、これを布帛テープに縫着して係合用テープを製造すれば、必要に応じて係合用テープ全体を丸ごと必要な色調に簡単に染色することができる。
【0025】
本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材は、ホックアンドアイ等の係合用部材の成形材料としてだけでなく、線材を成形加工した後に、着色する必要のあるあらゆる用途に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 コアーワイヤー
2 下層樹脂層
3 上層樹脂層
4 合成樹脂被覆線材
【発明の属する技術分野】
本発明は金属線材に合成樹脂を被覆した後、該被覆合成樹脂を染料で染色するのに適した後染用合成樹脂被覆金属線材に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性用のブラジャーその他のランジェリー等を着用する際に係合する係合用部材は、U字状部材とそのU字部に係合する鉤状部材を一対とする所謂「ホックアンドアイ」と称される微小な係合用部材が用いられている。このホックアンドアイは細い鉄線にナイロン等の合成樹脂を被覆した線材を折り曲げて、布帛に縫着する縫着部と鉤状またはU字状の係合部を形成してなる。そしてホックアンドアイは直接ランジェリーの生地に縫着せず、一旦ボリエステル繊維等の布帛製のテープに縫着して、これをランジェリーの生地に縫着することが広く行われている。
【0003】
ランジェリーに縫着したホックアンドアイをなるべく目立たなくするために、通常ホックアンドアイ及びこれを予め縫着するテープは、ランジェリーの色と同一の色に着色したものが用いられる。このためホックアンドアイはランジェリーの色に合わせて種々の色に着色したものが必要となる。
【0004】
従来、ホックアンドアイの着色は、ホックアンドアイの製造原料の鉄線等の線材上に、予め染料又は顔料で着色したナイロン等の合成樹脂を被覆する方法、線材を合成樹脂で被覆する際に顔料や染料を樹脂に混ぜながら線材上に被覆するマスターバッチ法が用いられている。しかしこれらの方法では、種々の色調のランジェリー等を製造するために、そさぞれの色調に合わせた色彩に着色した線材を用いて、多種の色彩のホックアンドアイを予め製造して用意しておく必要がある。
【0005】
また、白色顔料を含む合成樹脂を線材に被覆して、その線材を用いてホックアンドアイを成形後染色する方法も知られているが、被覆する合成樹脂中の白色顔料の濃度が大きいと、白色顔料が染色の障害となり必要な色調に染色するのが困難であり、白色顔料の濃度が小さいと下地の線材の隠蔽力が弱く、色むらが生じやすい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の如く種々の色調に着色した線材により、ホックアンドアイ等の係合用部材を製造する代わりに、白色又はこれに近い色調の未着色の線材によりホックアンドアイ等を成形後、これを必要な色調に染色する方法、白色又はこれに近い色調のホックアンドアイ等を白色の布帛テープに縫着した係合用テープを用意しておき、製造するランジェリー等の色調に応じて、該係合用テープ全体を後染によりランジェリー等の色調と同色に染色する方法により、容易に着色しうる後染用合成樹脂被覆金属線材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、鉄線等の金属線材の表面に先ず白色その他の下地隠蔽力の大なる色彩に着色したナイロン等の合成樹脂よりなる下層樹脂を被覆し、その上にナイロン等の無色透明に近い合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な、白色顔料濃度の小さい淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂を被覆して、後染用線材を製造し、これを用いてホックアンドアイを構成すれば、必要に応じて所定の色調に全体を染色可能なホックアンドアイを縫着した係合用テープを得ることができることを見出し本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち、本発明は金属線材上に白色その他の下地隠蔽力の大なる色彩に着色したナイロン等の合成樹脂よりなる下層樹脂層と該下層樹脂層の外側にナイロン等の無色透明に近い合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂層を被覆してなる後染用合成樹脂被覆金属線材を要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の内容を詳細に説明する。本発明で用いられる金属線材の材質は特に制限はなく、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム等、通常線材として用いられる金属の線材を全て用いることができる。鉄線を用いる時は、線材の切断面の防錆のために、線材表面を電気亜鉛メッキ等により、予め亜鉛メッキをしておくのが好ましい。そうすれば、この線材に後染用合成樹脂被覆した後染用合成樹脂被覆金属線材を切断してホックアンドアイ等の係合部材を製造したとき、その切断面に鉄線の断面が露出しても、鉄と亜鉛の局部電池による防蝕作用により、線材の切断面から錆が発生することがない。
【0010】
図1は本発明の後染用合成樹脂被覆線材の被覆の一部を切り欠いた斜視図であり、金属線材よりなるコアーワイヤー1の表面に酸化チタン等の白色顔料を含むナイロン樹脂等の合成樹脂よりなる下層樹脂層2が被覆され、その外側に無色透明に近いナイロン樹脂等の合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂層3が被覆されている。下層樹脂層2は白色顔料等の隠蔽力の大なる顔料を含み、コアーワイヤー1の下地を隠蔽する。下層樹脂層2の合成樹脂は特に制限はないが、金属線材1との密着性が良好であり、合成樹脂被覆線材4を折り曲げて成形する際に剥離しないものである必要がある。熱可塑性合成樹脂が好ましく、例えば6ナイロン、66ナイロン等のナイロン樹脂が好ましく用いられる。
【0011】
上層樹脂層3は下層樹脂層2との密着性がよく、染料による後染により容易に必要な色調に染色可能な合成樹脂が用いられ、下層樹脂層2と同種の合成樹脂が好ましく用いられる。例えば6ナイロン、66ナイロン等のナイロン樹脂が好ましく用いられる。
【0012】
下層樹脂層2及び上層樹脂層3の厚みは特に制限はないが、下層樹脂層2はその隠蔽力を発揮するに充分な厚みが必要でけあり、例えば20〜50μの厚みが好ましく、25〜35μが更に好ましい。上層樹脂層3の厚みも特に制限はないが、後染による着色で必要な色調に染色しうる厚みが必要であり、ナイロン樹脂の場合例えば15〜25μの厚みが好ましい。
【0013】
下層樹脂層2及び上層樹脂層3の被覆方法は、通常金属線材に合成樹脂を被覆するのに用いられる公知のあらゆる方法が使用可能であり、例えば溶融熱可塑性合成樹脂中に線材を通す方法、合成樹脂溶液中に線材を通した後溶媒を蒸発除去する方法、線材と共に溶融合成樹脂を押出し成形する方法、静電塗装法等いずれの方法も用いることができる。
【0014】
本発明の後染用合成樹脂被覆線材を折り曲げて、U字状部材と鉤状部材を一対とする被服用等の係合用部材を構成することができる。通常このような係合用部材を布帛テープに縫着して、一対の係合用テープを作成し、その係合用テープをブラジャー等の被服の所定個所に縫合し、被服の着脱の便宜を図っている。本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材を用いて係合用部材を構成を構成すれば、上記係合用テープを製作したのち、その係合用テープ全体を同時に染色することにより、テープ基材とそれに縫着された、線材よりなる係合用部材を、同じ色彩に同時に染色することが可能となる。
【0015】
【実施例1】
次に本発明の後染用合成樹脂被覆線材の製造法について実施例により説明する。図2はその製造工程のフローチャートである。
【0016】
直径5・5mmの鉄線よりなる線材を伸線して、直径2mmの線材とし、これを焼鈍したのち、これに電気亜鉛メッキを施す。その線材を更に伸線して直径0.710mmとする。これを酸化チタンの白色顔料を含む溶融6ナイロン樹脂中に通し、0.035mmの厚みに下層樹脂層2を被覆して線径0.78mmとする。更にこれを溶融透明ナイロン樹脂中に通して、0.02mmの厚みの上層樹脂層3を被覆して、線径0.82mmの後染用合成樹脂被覆線材を得た。
【0017】
次にこの後染用合成樹脂被覆金属線材の染色試験を行った。先ず後染用合成樹脂被覆金属線材を中性洗剤で洗浄して、表面の汚れ及び油分を除去、水洗した後、pH3〜5の酢酸水溶液に浸漬、次いで紫色の酸性染料(日本化薬株式会社製、カヤノールシリングViolet FBW)の1・8%水溶液をpH3〜5に調製した染色浴に浸漬し、染色浴を徐々に加熱して20分の間に90〜100℃に昇温し、その温度に30分間保った。最後に水洗、乾燥した。
【0018】
上記染色後の後染用合成樹脂被覆金属線材表面を目視観察し、更に該染色線材の切断研磨して横断面を顕微鏡で拡大して目視観察した。線材表面は均一に染色され、下地の影響は認められない。また横断面は上層樹脂層3が内部まで均一に染色され、下層樹脂層2の白色顔料の影響を全く受けていない。
【0019】
【実施例2】
上記実施例1の後染用合成樹脂被覆金属線材の染色試験において、最後の90〜100℃の染色浴中の浸漬時間を15分に短縮して同様に試験をおこなった。染色後の線材試料の表面及び断面を同様に目視検査した結果、表面の色調は30分浸漬の場合より若干淡くなるが、全体の色彩は均一であり、断面の染色状態も均一であった。
【0020】
【比較例】
次に比較例として、コアーワイヤー1に白色顔料を含む下層樹脂層2のみを被覆した従来の被覆線材について、実施例1と同様な染色試験を行った。染色後の被覆線材について、同様に表面の目視検査及び横断面の拡大目視検査を行った。表面の目視検査では、表面の着色が均一でなく、色むらが観察された。また横断面の観察では、被覆樹脂中の白色顔料により染色が阻害され、被覆樹脂層中の色彩の分布が均一でなく、これが表面の色むらの原因となっていることがわかる。
【0021】
上記実施例では、本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材の上層樹脂層3を、酸性染料により紫色に染色する方法を例に挙げて説明したが、ナイロン等の被覆樹脂は染色性がよく、これを染色しうる染料であれば、どの様な種類、どの様な色彩の染料も同様に用いることができ、必要に応じて、種々の色彩、色調に染色可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材によれば、線材の合成樹脂被覆層を下地隠蔽力の大なる下層樹脂層2と、染色性の良好な上層樹脂層3の2層構造としたため、下地の隠蔽性を保ちつつ、後染による良好な染色性を発揮することができる。
【0023】
これを用いて成形した係合用部材等の成形品を、必要な色調に必要に応じてその都度染色することができる。下層樹脂層2によるコアーワイヤー1の隠蔽力が大であるため、上層樹脂層3をどの様な色彩にも染色することができ、淡い色調にも自由に染色することができる。
【0024】
本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材を用いてホックアンドアイ等の係合用部材を成形し、これを布帛テープに縫着して係合用テープを製造すれば、必要に応じて係合用テープ全体を丸ごと必要な色調に簡単に染色することができる。
【0025】
本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材は、ホックアンドアイ等の係合用部材の成形材料としてだけでなく、線材を成形加工した後に、着色する必要のあるあらゆる用途に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】本発明の後染用合成樹脂被覆金属線材の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 コアーワイヤー
2 下層樹脂層
3 上層樹脂層
4 合成樹脂被覆線材
Claims (1)
- 金属線材上に白色その他の下地隠蔽力の大なる色彩に着色したナイロン等の合成樹脂よりなる下層樹脂層と該下層樹脂層の外側にナイロン等の無色透明に近い合成樹脂又は何れの色彩にも着色可能な淡い白色系の色彩の合成樹脂よりなる上層樹脂層を被覆してなる後染用合成樹脂被覆金属線材。
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JP2002108604A JP4051405B2 (ja) | 2002-03-05 | 2002-03-05 | 後染用合成樹脂被覆金属線材 |
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JP2002108604A JP4051405B2 (ja) | 2002-03-05 | 2002-03-05 | 後染用合成樹脂被覆金属線材 |
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JP2000004510A (ja) * | 1998-06-12 | 2000-01-07 | Hitachi Ltd | 電動車の動力制御装置 |
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2002
- 2002-03-05 JP JP2002108604A patent/JP4051405B2/ja not_active Expired - Fee Related
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