JP4050008B2 - 車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置 - Google Patents

車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータにより、中立位置から正逆2方向へ回動させられる回動部材の回動位置を検出しうるようにした、車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ストライカに係脱可能なラッチ、及びラッチに係脱可能なロッキングプレートを備えるロック手段と、モータにより、中立位置から正逆2方向に回動可能な回動部材を有する駆動手段とを備え、回動部材の中立位置からオープン位置への回動により、ラッチとストライカとの係合を解除し、また、同じくクローズ位置への回動により、ラッチをハーフラッチ位置からフルラッチ位置まで移動させるようにした装置は、公知である(例えば、特公平5−27748号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような装置において、回動部材のオープン位置及びクローズ位置、並びに中立位置を検出するのに、これらの検出位置に相当する数だけの検出スイッチを必要としているが、これでは、部品点数が増大し、コストの上昇、装置全体の大型化を招く問題がある。
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、使用する検出スイッチの減少を図るとともに、回動部材の回動位置、特に中立位置を安定して検出することができるようにした、車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)モータにより、中立位置から正逆2方向へ回動させられ、かつ中立位置から一方向への回動により、ロック手段をクローズ作動させ、また同じく他方向への回動により、前記ロック手段をオープン作動させる回動部材にカム面を設け、該カム面と対向する位置に2個の検出スイッチを配設し、各検出スイッチにおけるヒンジ型のアクチュエータが、前記カム面と当接または離間することにより、前記回動部材の所定の回動位置を検出し得るようにした車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置において、前記カム面の一端側に鋭角部を、他端側に鈍角部を設け、前記回動部材が、一方向側の位置から中立位置へ回動することにより、前記カム面の鋭角部が、前記各検出スイッチにおけるアクチュエータに、そのヒンジ部から遊端部へ向かう方向から当接し、また、前記回動部材が、他方向側の位置から中立位置に回動することにより、前記カム面の鈍角部が、前記検出スイッチにおけるアクチュエータに、前記反対方向から当接し、前記回動部材の中立位置において、前記両検出スイッチのアクチュエータが、ともに前記カム面と当接する。
【0006】
(2)上記(1)項において、回動部材の外周縁に、モータ側の出力ギヤと噛合する歯部を、同じく枢支軸の近傍にカム面を、それぞれ設け、前記回動部材における前記歯部とカム面との間に、前記回動部材の回動方向に沿って逃げ部を設けるとともに、各検出スイッチを、前記逃げ部内を相対的に移動し得るように配設する。
【0007】
(3)上記(1)項または(2)項において、各検出スイッチを、それらのアクチュエータが互いに同一方向へ向き、かつ回動部材の枢支軸方向へ互いに所定量オフセットさせて配設する。
【0008】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、回動部材が、ロック手段をクローズ作動させる位置から中立位置へ復帰にするとき、カム面の鋭角部が、各検出スイッチのアクチュエータに当接するようにする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、図1における紙面手前を車両の「前方」、紙面奥を「後方」とする。
【0010】
(1)は、車両におけるボディの後部に、上下方向に開閉しうるように、上端が左右方向を向くヒンジ軸(図示略)をもって枢着されたバックドア(図示略)に取り付けられるオープン及びクローズ装置で、車体側に固着されるストライカ(2)と係合し、バックドアを閉止状態に拘束するロック手段(3)と、ロック手段(3)をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へ作動させるクローズ機能及びロック手段(3)をオープン作動させるオープン機能を備えた駆動手段(4)とから形成されている。
【0011】
ロック手段(3)は、図14〜図16に示すように、ハウジング(5)と、ハウジング(5)内に上下方向を向く軸(6)により枢着され、ストライカ(2)と係脱可能なラッチ(7)と、同様の軸(8)により枢着され、ラッチ(7)の爪部(7a)(7b)に係脱可能なロッキングプレート(9)とを有している。
【0012】
ラッチ(7)は、ストライカ(2)から離脱した図14に示すオープン位置と、ストライカ(2)と辛うじて係合している。図15に示すハーフラッチ位置と、ストライカ(2)と完全に係合している図16に示すフルラッチ位置とに移動可能である。
【0013】
ロッキングプレート(9)は、ばね(図示略)をもって係合方向(図14〜図16において時計方向)へ付勢され、かつ、ラッチ(7)がハーフラッチ位置にあるとき、ラッチ(7)の爪部(7a)に、また、同じくフルラッチ位置にあるとき、爪部(7b)に、それぞれ係合し、各位置において、ラッチ(7)のオープン方向(図14〜図16において反時計方向)への回動を阻止する。
【0014】
軸(6)の上端部には、ラッチ(7)と一体的に回動可能なカムレバー(10)が固着されている。このカムレバー(10)の遊端部には、上方を向く係合ピン(10a)が固着され、また同じく外周縁には、カム部(10b)が設けられている。
【0015】
(11)は、ハウジング(5)の上部に固着された基板(12)における水平部分に配設された検出スイッチで、カムレバー(10)のカム部(10b)と接触することにより、ラッチ(7)のハーフラッチ位置を検出する。
【0016】
駆動手段(4)は、図1に示すように、基板(12)の上部に取り付けられるモータ(13)と、基板(12)の前面のほぼ中央部に前後方向を向く枢支軸(14)により枢着される回動部材をなすセクタギヤ(15)と、同じくセクタギヤ(15)と同枢支軸(14)上に枢着される駆動レバー(16)と、セクタギア(15)と駆動レバー(16)との間に配設される断続部材(17)と、基板(12)に前後方向を向く軸(18)により枢着されるキャンセルレバー(19)と、図2に示すように、基板(12)の後面に前後方向を向く軸(20)により枢着されるオープンレバー(21)とを有している。
【0017】
モータ(13)は、バックドアのアウターパネルに設けられたハンドルスイッチ(図示略)の操作により正転制御され、また検出スイッチ(11)によるハーフラッチ検出により逆転制御されるようになっている。
【0018】
セクタギヤ(15)は、その外周縁に設けられた歯部(15a)が、モータ(13)の回転力を減速する減速機構の出力ギヤ(22)に噛合し、図1及び図9に示す中立位置から、モータ(13)によって、図5及び図10に示すオープン位置と、図6及び図11に示すクローズ位置とに回動されるようになっている。
【0019】
セクタギヤ(15)の上方には、主に図4に示すように、枢支軸(14)を中心とする左右方向を向く円弧状の空振り部(23a)と、空振り部(23a)のほぼ中央から離心方向へ延出する係合部(23b)とを有するほぼ逆T字状の係脱孔(23)が設けられ、また同じく枢支軸(14)の近傍には、カム部材(24)が固着されている。セクタギヤ(15)における歯部(15a)とカム部材(24)との間には、枢支軸(14)を中心とする円弧状の逃げ部(15b)が設けられている。
【0020】
駆動レバー(16)は、セクタギヤ(15)と同様に、図1及び図9に示す中立位置から、セクタギヤ(15)とともに図5及び図10に示すオープン位置と、図6及び図11に示すクローズ位置とに回動可能であり、かつその上部に、案内手段をなす支持部(16a)及び押さえ部(16b)が設けられている。
【0021】
支持部(16a)は、上方へ延出し、かつその中央に、セクタギヤ(15)の係脱孔(23)と重合する上下方向の長孔(25)が設けられている。
【0022】
支持部(16b)は、支持部(16a)の前面に対して、前方へ所定量オフセットし、かつ支持部(16a)の左方(軸(18)側寄り)側に設けられている。
【0023】
駆動レバー(16)の左部には、係合ピン(16d)が固着されたオープンアーム部(16c)が、また同じく下方には、クローズアーム部(16e)が、それぞれ設けられている。
【0024】
オープンアーム部(16c)の係合ピン(16d)は、図5及び図10に示すように、クローズレバー(16)のオープン位置への回動により、オープンレバー(21)をオープン位置へ回動させるように、オープンレバー(21)の上部と当接する。
【0025】
クローズアーム部(16e)は、図6及び図11に示すように、クローズレバー(16)がクローズ位置に回動することにより、カムレバー(10)の係合ピン(10a)と当接し、カムレバー(10)を介してラッチ(7)をハーフラッチ位置からフルラッチ位置へ回動させる。
【0026】
断続部材(17)は、主に図3に示すように、前後方向を向く鍔付きの軸状をなすとともに、セクタギヤ(15)の係脱孔(23)及び駆動レバー(16)の長孔(25)に摺動可能に係合し、主に図1に示すように、係脱孔(23)の係合部(23b)に係合して、セクタギヤ(15)と駆動レバー(16)とが一体になって回動し得るように両者を連係する接続位置と、主に図7及び図8に示すように、空振り部(23a)に進入し、セクタギヤ(15)と駆動レバー(16)との連係を断つ切断位置とに移動可能である。
【0027】
(26)は、駆動レバー(16)に支持され、断続部材(17)を切断位置から接続位置へ向けて付勢する付勢手段をなすばねである。
【0028】
(27)は、セクタギヤ(15)のオープン位置を検出する第1の検出スイッチで、そのヒンジ型のアクチュエータ(27a)が、カム部材(24)に設けられた第1のカム面(29)と当接することにより、オンからオフに切り替わるようになっている。
【0029】
(28)は、セクタギヤ(15)のクローズ位置を検出する第2の検出スイッチで、そのヒンジ型のアクチュエータ(28a)が、カム部材(24)に設けられた第2のカム面(30)と当接することにより、オンからオフに切り替わるようになっている。
【0030】
第1及び第2の検出スイッチ(27)(28)は、それぞれのアクチュエータ(27a)(28a)を同一方向へ向け、かつセクタギヤ(15)の回動により、セクタギヤ(15)の逃げ部(15b)内を相対的に移動し得るようにして、基板(12)に配設されている。
【0031】
第2の検出スイッチ(28)は、基板(12)に固定された支持台(図示略)に支持され、第1の検出スイッチ(27)に対して前方へオフセットしている。
【0032】
カム部材(24)は、主に図4に示すように、第1の検出スイッチ(27)のアクチュエータ(27a)と当接可能な第1のカム面(29)と、第1のカム面(29)の前方へ設けられ、第2の検出スイッチ(28)のアクチュエータ(28a)と当接可能な第2のカム面(30)とを有している。なお、図4において、下方が車両の前方、上方が後方である。
【0033】
図17に示すように、第1及び第2のカム面(29)(30)の一端側には、第1及び第2の検出スイッチ(27)(28)のアクチュエータ(27a)(28a)に、そのヒンジ部(27b)(28b)側から当接し、検出位置のばらつきを最小限に抑える鋭角部(29a)(30a)が、また同じく他端側には、各アクチュエータ(27a)(28a)に、その遊端部(27c)(28c)側から当接し、カム面(29)(30)とアクチュエータ(27a)(28a)との当接を円滑にする鈍角部(29b)(30b)が、それぞれ設けられている。
【0034】
セクタギヤ(15)のオープン位置においては、図5に示すように、第1のカム面(29)が、第1の検出スイッチ(27)のアクチュエータ(27a)から離れて、第1の検出スイッチ(27)がオフからオンに切り替わることにより、セクタギヤ(15)を中立位置に復帰させるように、モータ(13)が反転制御される。
【0035】
セクタギヤ(15)のクローズ位置においては、図6に示すように、第2のカム面(30)が、第2の検出スイッチ(28)のアクチュエータ(28a)から離れて、第2の検出スイッチ(28)がオフからオンに切り替わることにより、セクタギヤ(15)を中立位置に復帰させるように、モータ(13)が反転制御される。
【0036】
セクタギヤ(15)がクローズ位置から中立位置へ回動する場合は、第2のカム面(30)が、その鋭角部(30a)側から第2の検出スイッチ(28)のアクチュエータ(28a)に当接し、第2の検出スイッチ(28)をオンからオフに切り替え、その状態を保持しつつ、第1のカム面(29)が、その鋭角部(29a)側から第1検出スイッチ(27)のアクチュエータ(27a)に当接して、第1の検出スイッチ(27)をオンからオフに切り替えることにより、セクタギヤ(15)の中立位置が検出されるようになっている。
【0037】
この場合、第1のカム面(29)の鋭角部(29a)が、第1の検出スイッチ(27)のアクチュエータ(27a)に当接した時点で、セクタギヤ(15)の中立位置を検出し得るようになっているので、検出位置のばらつきを最小限に抑えて、セクタギヤ(15)を確実に中立位置に停止させることができる。
【0038】
キャンセルレバー(19)は、図1に示す待機位置と、図7及び図8に示すキャンセル位置とに移動可能であるとともに、ばね(31)により待機位置へ付勢され、かつ駆動レバー(16)の支持部(16a)及び押さえ部(16b)と交差し得るように延出するキャンセルアーム部(19a)と、オープンレバー(21)の下部と当接可能なオープンアーム部(19b)と、操作部(19c)とを有している。
【0039】
キャンセルアーム部(19a)は、断続部材(17)の移動方向に沿って移動し得るように、支持部(16a)と押さえ部(16b)との間に、その板厚方向(前後方向)のがた付きが阻止されるように案内され、かつ断続部材(17)を接続位置から切断位置へ移動させる方向からのみ、断続部材(17)と当接し得るようになっている。
【0040】
また、キャンセルアーム部(19a)は、駆動レバー(16)がいずれの位置にあっても、断続部材(17)を接続位置から切断位置へ移動させることができ、かつそれ自体及び駆動レバー(16)がいずれの位置に移動しても、支持部(16a)と押さえ部(16b)とにより案内される長さを有している。
【0041】
なお、本実施形態においては、案内手段をなす押さえ部(16b)を、駆動レバー(16)に設けたが、それに代えて、基板(12)に設けても良い。
【0042】
キャンセルレバー(19)のオープンアーム部(19b)は、キャンセルレバー(19)が待機位置からキャンセル方向へ回動されることにより、オープンレバー(21)の下部に当接し、オープンレバー(21)をオープン方向へ回動させる。
【0043】
キャンセルレバー(19)の操作部(19c)は、バックドアのインナパネル側のトリムの一部を外すことにより、外部から操作可能な位置に設けられる。
【0044】
オープンレバー(21)は、図2に示すように、基板(12)に設けられた係止部(12a)に当接した待機位置から、オープン方向(図2において反時計方向)へ回動されることにより、下部がロッキングプレート(9)の延長部(9a)に当接し、ロッキングプレート(9)をオープン方向へ回動させるようになっている。
【0045】
(32)は、基板(12)に固着された支持軸(33)に支持された付勢手段をなすねじりコイルばねで、オープンレバー(21)を待機位置に、また駆動レバー(16)を中立位置に、それぞれ付勢している。
【0046】
すなわち、駆動レバー(16)がオープン位置にあるとき、図10に示すように、ねじりコイルばね(32)の一方の脚部(32a)が駆動レバー(16)の係合ピン(16d)に、また他方の脚部(32b)が係止部(12a)に、それぞれ係合し、駆動レバー(16)をオープン位置から中立位置へ付勢する。
【0047】
また、駆動レバー(16)がクローズ位置にあるとき、図11に示すように、ねじりコイルばね(32)の他方の脚部(32b)が駆動レバー(16)の係合ピン(16d)に、また一方の脚部(32a)がオープンレバー(21)に、それぞれ係合し、駆動レバー(16)をクローズ位置から中立位置へ、またオープンレバー(21)を待機位置へ、それぞれ付勢するようになっている。
【0048】
これにより、単一のねじりコイルばね(32)によって、駆動レバー(16)とオープンレバー(21)とを、所定の方向へ付勢することができ、部品数の削減を図り、構成の簡略化を図ることができる。
【0049】
次に、上述の実施形態の各機能について説明する。
(オープン機能)
バックドアが閉止状態にあるとき、駆動手段(4)は、図1及び図9に示すように、セクタギヤ(15)と駆動レバー(16)とが、中立位置において断続部材(17)により接続されている。ロック手段(3)は、図16に示すように、ラッチ(7)がフルラッチ位置にあり、ロッキングプレート(9)がラッチ(7)の爪部(7b)に係合している。
【0050】
この状態において、バックドアのハンドルスイッチを操作すると、モータ(13)が正転する。セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)は、ねじりコイルばね(32)の付勢力に抗して、中立位置から図5及び図10に示すオープン位置へ回動させられ、係合ピン(16d)及びオープンレバー(21)を介して、ロッキングプレート(9)をオープン方向へ回動させ、ラッチ(7)とストライカ(2)との係合を解除させる。これによって、バックドアを開くことができる。
【0051】
セクタギヤ(15)がオープン位置に回動して、第1カム面(29)の鈍角部(29b)が、図5に示すように、第1の検出スイッチ(27)のアクチュエータ(27a)から離れると、セクターギヤ(15)のオープン位置が検出され、モータ(13)は逆転制御される。
【0052】
セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)は、モータ(13)により、オープン位置から中立位置へ回動させられ、第1及び第2のカム面(29)(30)が、その鈍角部(29b)(30b)側から第1及び第2の検出スイッチ(27)(28)のアクチュエータ(27a)(28a)にそれぞれ当接して、セクタギヤ(15)の中立位置が検出される。これにより、セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)は、中立位置に停止する。
【0053】
(クローズ機能)
開放状態にあるバックドアを閉じると、ラッチ(7)は、ストライカ(2)と係合し、図14に示すオープン位置から、図15に示すハーフラッチ位置へ回動する。
【0054】
検出スイッチ(11)が、カムレバー(10)を介して、ラッチ(7)のハーフラッチ位置を検出すると、モータ(13)が逆転制御され、セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)は、図6及び図11に示すように、クローズ位置へ回動させられる。
【0055】
駆動レバー(16)の回動により、クローズアーム部(16e)及びカムレバー(10)を介して、ラッチ(7)をハーフラッチ位置からフルラッチ位置へ強制的に回動させ、バックドアを、半ドア状態から全閉位置に移動させる。
【0056】
セクタギヤ(15)の回動に伴って、図6に示すように、第2のカム面(30)が、第2の検出スイッチ(28)のアクチュエータ(28a)から離れると、セクタギヤ(15)のクローズ位置が検出され、モータ(13)は正転制御される。
【0057】
セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)は、モータ(13)により、中立位置に向けて回動させられ、第1及び第2のカム面(29)(30)が、その鋭角部(29a)(30a)側から第1及び第2の検出スイッチ(27)(28)のアクチュエータ(27a)(28a)に当接することにより、セクタギヤ(15)の中立位置が検出される。これにより、セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)を、中立位置に確実に停止させることができる。
【0058】
このとき、オープンレバー(21)は、ねじりコイルばね(32)により待機位置に保持されているため、その下部とロッキングプレート(9)の延長部(9a)との干渉を防止することができ、確実な作動を得ることができる。
【0059】
(キャンセル機能)
オープン作動中、例えば、モータ(13)または制御回路等の故障により、セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)が、オープン位置またはその付近に停止すると、図5及び図10に示すように、ロッキングプレート(9)が、オープン位置に移動させられたオープンレバー(21)を介して、その係合方向への回動が阻止されるため、一旦開けたバックドアを閉じることができなくなる。
【0060】
このような場合には、図7に示すように、キャンセルレバー(19)を、ばね(31)の付勢力に抗して、待機位置からキャンセル位置に回動させ、キャンセルアーム部(19a)により、断続部材(17)をばね(26)の付勢力に抗して、接続位置から切断位置へ移動させることにより、セクタギヤ(15)と駆動レバー(16)との連係が断たれる。
【0061】
これにより、図12に示すように、駆動レバー(16)が、ねじりコイルばね(32)の付勢力により中立位置へ回動させられることにより、ロッキングプレート(9)の拘束が解かれ、バックドアを閉じることができる。このとき、断続部材(17)は、空振り部(23a)の一端に向けて移動し、切断位置に保持される。
【0062】
またキャンセルレバー(19)は、ばね(31)の付勢力により、キャンセル位置から待機位置へ復帰し、キャンセルアーム部(19a)が切断位置にある断続部材(17)から離間する。
【0063】
クローズ作動中、上述と同様の原因により、セクタギヤ(15)及び駆動レバー(16)が、クローズ位置またはその付近に停止すると、図6及び図11に示すように、ラッチ(7)のオープン方向への回動が阻止されるため、一旦閉じたバックドアを開けることができなくなる。
【0064】
この場合においても、上述と同様に、図8に示すように、キャンセルレバー(19)をキャンセル位置に回動させて、断続部材(17)を接続位置から切断位置に移動させることにより、セクタギヤ(15)と駆動レバー(16)との連係を断つことができる。
【0065】
これにより、図13に示すように、駆動レバー(16)は、ねじりコイルばね(32)の付勢力により、中立位置に復帰させられて、ラッチ(7)の拘束が解かれるとともに、キャンセルレバー(19)のオープンアーム部(19b)及びオープンレバー(21)を介して、ロッキングプレート(9)をオープン方向へ回動させ、バックドアを開けることができる。
【0066】
上述の故障が修復されると、セクタギヤ(15)は、モータ(13)により、停止位置から中立位置へ回動させられ、中立位置において、断続部材(17)が、ばね(26)の付勢力によって切断位置から接続位置へ移動させられ、セクタギヤ(15)と駆動レバー(16)とを再び連係して、故障前の元の状態に復帰させることができる。
【0067】
セクタギヤ(15)が停止位置から中立位置に回動させられるとき、駆動レバー(16)は、ねじりコイルばね(32)により中立位置に保持されているため、セクタギヤ(15)の回動に引きずられて、中立位置からずれることがないので、断続部材(17)を、切断位置から接続位置へ確実に移動させることができる。
【0068】
上述のキャンセルレバー(19)のキャンセル操作の際、キャンセルアーム部(19a)が、駆動レバー(16)の支持部(16a)と押さえ部(16b)との間に、板厚方向にがた付くことがないように案内されているため、キャンセルアーム部(19a)と断続部材(17)との係合を確実にし、断続部材(17)を円滑に接続位置から切断位置へ移動させることができる。
【0069】
また、断続部材(17)を切断位置へ移動させた後、キャンセルレバー(19)は、ばね(31)により待機位置に復帰し、キャンセルアーム部(19a)と断続部材(17)とが離間するため、駆動レバー(16)は、ねじりコイルばね(32)によって、中立位置に円滑かつ確実に回動することができる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、2個の検出スイッチをもって、回動部材における一方向及び他方向の位置、さらには、回動部材の中立位置を長期に亘って安定して検出することができる。
【0071】
また、カム面に鋭角部及び鈍角部を設けたことにより、カム面を、検出スイッチのアクチュエータに円滑かつ確実に当接させることができる。
【0072】
(b)請求項2記載の発明によると、検出スイッチを、回動部材の枢支軸の近傍で、かつ回動部材の作動範囲内に配設することができるため、回動部材及びカム面の小型化を図ることができるとともに、検出スイッチにおけるアクチュエータとカム面との当接関係が、回動部材の枢支軸方向の振れの影響を受け難くなり、安定した検出を得ることができる。
【0073】
(c)請求項3記載の発明によると、2個の検出スイッチを狭いスペースに効果的に配設することができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0074】
(d)請求項4記載の発明によると、回動部材が、ロック手段をクローズ作動させる位置から中立位置へ復帰するときの、中立位置の検出精度を高めることができ、回動部材とロック手段との連係を確実なものとして、ロック手段の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用ロックのオープン及びクローズ装置の正面図である。
【図2】同じく、車両用ロックのオープン及びクローズ装置の後面図である。
【図3】同じく、図1におけるIII−III線に沿う拡大縦断面図である。
【図4】同じく、回動部材及びカム部材の分解斜視図である。
【図5】同じく、回動部材及び駆動レバーがオープン位置にあるときの、要部の概略正面図でる。
【図6】同じく、回動部材及び駆動レバーがクローズ位置にあるときの、要部の概略正面図でる。
【図7】同じく、オープン作動がキャンセルされた状態の、要部の概略正面図でる。
【図8】同じく、クローズ作動がキャンセルされた状態の、要部の概略正面図でる。
【図9】同じく、回動部材及び駆動レバーが中立位置にあるときの、要部の概略後面図でる。
【図10】同じく、回動部材及び駆動レバーがオープン位置にあるときの、要部の概略後面図でる。
【図11】同じく、回動部材及び駆動レバーがクローズ位置にあるときの、要部の概略後面図でる。
【図12】同じく、オープン作動がキャンセルされ、駆動レバーが中立位置に復帰した状態の、要部の概略後面図でる。
【図13】同じく、クローズ作動がキャンセルされ、駆動レバーが中立位置に復帰した状態の、要部の概略後面図でる。
【図14】同じく、オープン状態におけるロック手段の平面図である。
【図15】同じく、ハーフラッチ状態におけるロック手段の平面図である。
【図16】同じく、フルラッチ状態におけるロック手段の平面図である。
【図17】同じく、要部の拡大正面図である。
【符号の説明】
(1)オープン及びクローズ装置
(2)ストライカ
(3)ロック手段
(4)駆動手段
(5)ハウジング
(6)軸
(7)ラッチ
(7a)(7b)爪部
(8)軸
(9)ロッキングプレート
(9a)延長部
(10)カムレバー
(10a)係合ピン
(10b)カム部
(11)検出スイッチ
(12)基板
(12a)係止部
(13)モータ
(14)枢支軸
(15)セクタギヤ(回動部材)
(15a)歯部
(15b)逃げ部
(16)駆動レバー
(16a)支持部(案内手段)
(16b)押さえ部(案内手段)
(16c)オープンアーム部
(16d)係合ピン
(16e)クローズアーム部
(17)断続部材
(18)軸
(19)キャンセルレバー
(19a)キャンセルアーム部
(19b)オープンアーム部
(19c)操作部
(20)軸
(21)オープンレバー
(22)出力ギヤ
(23)係脱孔
(23a)空振り部
(23b)係合部
(24)カム部材
(25)長孔
(26)ばね(付勢手段)
(27)第1の検出スイッチ
(27a)アクチュエータ
(27b)ヒンジ部
(27c)遊端部
(28)第2の検出スイッチ
(28a)アクチュエータ
(28b)ヒンジ部
(28c)遊端部
(29)第1のカム面
(29a)鋭角部
(29b)鈍角部
(30)第2のカム面
(30a)鋭角部
(30b)鈍角部
(31)ばね
(32)ねじりコイルばね(付勢手段)
(32a)(32b)脚部
(33)支持軸

Claims (4)

  1. モータにより、中立位置から正逆2方向へ回動させられ、かつ中立位置から一方向への回動により、ロック手段をクローズ作動させ、また同じく他方向への回動により、前記ロック手段をオープン作動させる回動部材にカム面を設け、該カム面と対向する位置に2個の検出スイッチを配設し、各検出スイッチにおけるヒンジ型のアクチュエータが、前記カム面と当接または離間することにより、前記回動部材の所定の回動位置を検出し得るようにした車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置において、
    前記カム面の一端側に鋭角部を、他端側に鈍角部を設け、前記回動部材が、一方向側の位置から中立位置へ回動することにより、前記カム面の鋭角部が、前記各検出スイッチにおけるアクチュエータに、そのヒンジ部から遊端部へ向かう方向から当接し、また、前記回動部材が、他方向側の位置から中立位置に回動することにより、前記カム面の鈍角部が、前記検出スイッチにおけるアクチュエータに、前記反対方向から当接し、前記回動部材の中立位置において、前記両検出スイッチのアクチュエータが、ともに前記カム面と当接するようにしたことを特徴とする車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置。
  2. 回動部材の外周縁に、モータ側の出力ギヤと噛合する歯部を、同じく枢支軸の近傍にカム面を、それぞれ設け、前記回動部材における前記歯部とカム面との間に、前記回動部材の回動方向に沿って逃げ部を設けるとともに、各検出スイッチを、前記逃げ部内を相対的に移動し得るように配設した請求項1記載の車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置。
  3. 各検出スイッチを、それらのアクチュエータが互いに同一方向へ向き、かつ回動部材の枢支軸方向へ互いに所定量オフセットさせて配設した請求項1または2記載の車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置。
  4. 回動部材が、ロック手段をクローズ作動させる位置から中立位置へ復帰にするとき、カム面の鋭角部が、各検出スイッチのアクチュエータに当接するようにした請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ロックにおける回動部材の位置検出装置。
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