JP3748325B2 - 扉体の施解錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車においてサイドドアやトランクドア等の扉体を閉めるときその状態を検知して扉体をフルラッチ状態に強制的に締め切る例えばドアクローザ装置などの扉体の施解錠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のドアを閉じる場合、全閉時直前にウェザーストリップ反力やロック抵抗等が作用するため、ドアの閉め込みには多大な力を要する。そこで、ドアの閉め込み状態を検知すると、ドアを強制的にフルラッチ状態まで閉め込むドアクローザ装置が知られている。通常、ドアクローザ装置には、ドアのロックを解除するためのロック解除機能と、ラッチをクロージング開始位置からフルラッチ位置まで強制的に引き込む機能の2つの機能を備えている。そして、ドアクローザ装置は、これら機能を2個のアクチュエータを用いて個々に制御するようにしていた。従って、ドアクローザ装置は大型化する上、その製造コストが高くついていた。
【0003】
そこで、2つの機能を1つのアクチュエータで制御し、小型化及びコスト低減を図るようにしたドアクローザ装置が例えば特公平5−27748号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この2つの機能を1つのアクチュエータで制御するようにしたドアクローザ装置では、アクチュエータにて駆動されるロッドによって回動板を回動させ、その回動板の回動に基づいてロック解除動作及び引き込み動作を行っている。
【0005】
しかしながら、ラッチに対して前記回動板を直交させるように配置する必要があるため、両部材をコンパクトに配置できないレイアウトを採用せざるをえなかった。そのため、ドアクローザ装置の小型化は十分なものではなかった。
【0006】
又、このようなドアクローザ装置は、ドアのパネル内部に取り付けられる。そのため、装置は取り付けにおけるレイアウト上の制約を受けるため、その取付スペースの省スペース化を図ることが要求されている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、クロージング位置からフルラッチ位置への引き込み動作と、扉体のロック解除動作とを1個のアクチュエータを共用して行う施解錠装置において、装置の小型化及び取付スペースの省スペース化を図ることができる扉体の施解錠装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、扉体を閉状態に係止するための係止部を導入可能な原位置から該係止部を導入し、該係止部の導入に伴い係合しその係合を解除する方向の付勢力に抗して回動可能に支持されたラッチと、前記ラッチとクロージング開始位置で係合し該ラッチをそのクロージング開始位置からフルラッチ位置まで回動させるための引き込み手段と、前記ラッチがフルラッチ位置に回動したとき、そのラッチ方向に付勢された付勢力にて係合し該ラッチをフルラッチ位置で位置規制するための係止手段と、前記ラッチを前記付勢力により前記導入可能な原位置に復帰させるべく、そのラッチをフルラッチ位置に位置規制している前記係止手段による係止を解除させるための係止解除手段と、前記ラッチの回動軸と平行な回動軸を有するように配置され、前記引き込み手段及び係止解除手段を作動させる駆動カムと、駆動モータを駆動源としたアクチュエータの出力軸に対して一体回転可能に固定された回転体と、前記回転体と前記駆動カムとの間に設けられ、前記回転体の回転に基づいて前記駆動カムを回転駆動させて前記引き込み手段及び係止解除手段を作動させるためのリンク機構とからなる扉体の施解錠装置において、前記出力軸の回転軸線を前記ラッチ及び駆動カムの回転軸線に対して傾斜させ、この両回転軸線における傾斜状態を保持した状態で前記回転体及び駆動カムとリンク機構との間をボールジョイントによって連結したことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の扉体の施解錠装置において、前記駆動カムにはボールピンが備えられるものであって、前記リンク機構は、前記回転体の外周側に備えられるボールピンと、各ボールピンに対して旋回可能かつ揺動可能に嵌合する球面凹部をその両端にそれぞれ有したリンクとからなることを要旨とする。
【0010】
請求項1,2に記載の発明によれば、駆動モータが駆動して回転体が回転されることにより、駆動カムはラッチの回動軸と平行な回動軸を中心に回転駆動される。駆動カムが回転駆動されることにより引き込み手段が作動して、ラッチをクロージング位置からフルラッチ位置まで強制回動させる。又、駆動カムが回転駆動されることにより係止解除手段が作動して、ラッチをフルラッチ位置から係止部を開放する原位置まで回動復帰させる。又、回転体及び駆動カムとリンク機構との間のジョイントはボールジョイントにより構成される。従って、駆動カムがラッチの回動軸と平行な回動軸を有するように配置されることから、駆動カムとラッチが平行となる状態にコンパクトに配置することができる。その結果、装置の小型化を図ることができる。しかも、回転体及び駆動カムとリンク機構との間のジョイントがボールジョイントであることから、駆動カムの回動軸線に対して回転体の回転軸線を傾斜させても、回転体の駆動がリンク機構を介して駆動カムに確実に伝達される。即ち、駆動カムの回動軸線に対して回転体の回転軸線を傾斜させた状態で回転体を配置することが可能である。従って、回転体及び回転体を回転させる駆動モータの配置の自由度が向上、即ち装置の取り付け部分の形状に応じて回転体及び駆動モータの配置(傾斜度合)を変更できるため、装置の取付スペースの省スペース化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は、車両1の後方斜視図を示す。車両1の後部には、荷を収容するトランク部1aが設けられている。トランク部1aの上部には扉体としてのトランクドア2が設けられ、該ドア2にて荷を乗せるための収容空間を形成している。トランクドア2は、その基端部が回動可能に支持され、先端側(車両1の後端側)がL字状に下方に折り曲げられた形状をなしている。
【0012】
トランクドア2の先端部には、車幅方向の中央位置にドアクローザ装置3が取着されている。一方、ドアクローザ装置3に対向する車両1の本体の部位には、係止部としてのストライカ4が設けられている。
【0013】
図2は、ドアクローザ装置3の全体構造を説明するための平面図、図3は、ドアクローザ装置3の各部材を分解した分解斜視図、図4は、各部材を分解して個々に示す平面図である。又、図5は、図2におけるドアクローザ装置3をX方向から見た側面図、図6は、図2におけるドアクローザ装置3をY方向から見た側面図である。尚、図3及び図4おいて、各部材が互いに組み付けられる部位については組立作用線(一点鎖線)を引き出して図示している。
【0014】
図2〜図6に示すように、ドアクローザ装置3のベースプレート5には、ストライカ4が挿入される挿通通路6が形成されている。挿通通路6の近傍には、図5に示すように、回動軸としての支軸7がベースプレート5に対して垂直方向に設けられている。支軸7には、略円板状のラッチ8が回動可能に支持されている。
【0015】
ラッチ8は、その断面が階段状となって中心寄りが肉厚となった2段構造に形成されており、上段側及び下段側において2つの外周面を有している。ラッチ8の下段側の外周面には、ストライカ4を拘束するための凹部8aと、フルラッチ位置で係止状態となる係止面8bが形成されている。ラッチ8の上段側の外周面には、クロージング開始位置で係止状態となる係止面8cが形成されている。各係止面8b,8cは、支軸7により支持されるラッチ8の回動中心に対して前記挿通通路6側寄り(図2では支軸7のほぼ右側寄り)に位置している。尚、本実施の形態では、図2に示すように、ラッチ8がベースプレート5の側壁5aに当接して位置規制された状態を、ストライカ4がラッチ8による拘束から解放されるラッチ8の原位置としている。
【0016】
前記支軸7の前記挿通通路6を挟んだ反対側には、図5に示すように、支軸9がベースプレート5に対して垂直方向に設けられている。支軸9には、係止手段としての第1ラチェット10の基端側が回動可能に支持されている。
【0017】
前記ラッチ8及び第1ラチェット10にはコイルスプリング11を掛け止める掛止部8d,10aがそれぞれ形成され、そのコイルスプリング11が各掛止部8d,10a間に張設されている。ラッチ8及び第1ラチェット10は、そのコイルスプリング11にて互いに引き合っている。ここで、ラッチ8の掛止部8dは、そのラッチ8の原位置において、ラッチ8を支持する支軸7の中心と第1ラチェット10の掛止部10aとを結んだ直線から、図2において反時計回り方向にオフセットした位置に配置されている。そのため、1つのコイルスプリング11によって、ラッチ8は図2において時計回り方向に付勢されるとともに、第1ラチェット10は該ラッチ8の外周面に当接する方向(図2において反時計回り方向)に付勢されることになる。
【0018】
第1ラチェット10の先端側には、ラッチ8の係止面8bと係合するラッチ面10bを有している。このラッチ面10bがラッチ8の係止面8bと係合するとき、ラッチ8はフルラッチ位置に規制される。又、第1ラチェット10の先端側には係止手段を構成する係止ピン10cが立設されている。
【0019】
又、本実施の形態では、前記ラッチ8及び第1ラチェット10を金属材で形成するとともに、図3及び図4に示すように、ラッチ8においては各係止面8b,8cが露出するようにほぼ全体を樹脂部材12にて被覆し、第1ラチェット10においては支軸9部分を含めた基端部を樹脂部材13にて被覆している。そのため、ラッチ8が回動されるとき、その樹脂部材12によってベースプレート5や後述する駆動カム14との摺動音が小さく抑えられる。又、第1ラチェット10が回動されるとき、その樹脂部材13によってベースプレート5や後述する作動レバー22との摺動音が小さく抑えられる。
【0020】
因みに、ラッチ8の各係止面8b,8cを露出させることで、本実施の形態では、ラッチ面10b及び後述する第2ラチェット20の係止片20aとの係合時に、樹脂による互いの部材の溶着を防止している。
【0021】
又、ラッチ8を覆う樹脂部材12には、凹部8aにおけるストライカ4の衝突する部分に対して肉厚部12aが形成されるとともに、該肉厚部12aにはストライカ4の衝突を緩衝するスリット12bが形成されている。又、この樹脂部材12には、前記ベースプレート5の側壁5aに衝突する部分に対して肉厚部12cが形成されている。
【0022】
即ち、本実施の形態では、ラッチ8及び第1ラチェット10にそれぞれ樹脂部材12,13を被覆することで、その摺動時における他の構成部材との摺動音を軽減させている。又、本実施の形態では、ラッチ8を被覆する樹脂部材12に対してストライカ4の衝突する部分に肉厚部12aを形成し、更にスリット12bを形成することで、ストライカ4の衝突時における衝突音を抑制させるとともに、ベースプレート5の側壁5aに衝突する部分に肉厚部12cを形成し、ラッチ8が側壁5aに衝突する時の衝突音を抑制させている。
【0023】
前記ラッチ8の上面側(図2の紙面手前側)には、前記樹脂部材12を介して略コ字状の駆動カム14が配置される。この駆動カム14は、その一端が前記支軸7に回動可能に支持されている。駆動カム14の他端には、ベースプレート5に対して直交する方向にボールピン15が固定されている。
【0024】
リンク機構を構成するリンク16は前記駆動カム14の上面側に配置され、その両端にはそれぞれ球面凹部16a,16bが形成されている。リンク16の一端は、その球面凹部16aが前記ボールピン15に対して旋回可能かつ揺動可能に嵌合されている。リンク16の他端は、その球面凹部16bが回転体としての連結アーム17の一端に固定された同じくリンク機構を構成するボールピン17aに対して旋回可能かつ揺動可能に嵌合されている。即ち、本実施の形態では、連結アーム17及び駆動カム14とリンク16とがボールジョイントによって連結されている。
【0025】
前記連結アーム17は、駆動モータMをその駆動源としたアクチュエータ18の出力軸19に対して一体回転可能に固定されている。この駆動モータMは、ドアクローザ装置3の動力源であり、出力軸19に固定された連結アーム17を一方向(本実施の形態では、図2において反時計回り方向)にのみ回転させる。
【0026】
尚、アクチュエータ18は、図6に示すように、そのケース18aがベースプレート5の一部を折り曲げ形成した取付部5bにネジ18bにて固定される。ここで、本実施の形態では、出力軸19の回転軸線L1をラッチ8及び駆動カム14の回動軸線(支軸7の軸線)L2に対して傾斜させ、アクチュエータ18をトランクドア2の取付面2aに近接させて配置している。この場合、出力軸19と同様に連結アーム17も傾斜するが、連結アーム17及び駆動カム14とリンク16とのジョイントがボールジョイントであるため、連結アーム17の駆動がリンク16を介して駆動カム14に確実に伝達される。このようにすれば、アクチュエータ18とトランクドア2の取付面2aとの間の無用な空間を小さくできる(取付の自由度が増す)。
【0027】
ここで、図2(図7)に示す連結アーム17の位置が開時ホームポジション位置であり、トランクドア2が開いた状態では、連結アーム17は常に開時ホームポジション位置に配置されている。又、図9に示す連結アーム17の位置が閉時ホームポジション位置であり、トランクドア2が完全に閉じられた状態(フルラッチ状態)では、連結アーム17は常に閉時ホームポジション位置に配置されている。
【0028】
又、連結アーム17が図2(図7)及び図9に示す2つの位置に配置されているとき、リンク16を介して連結される駆動カム14は中立位置に配置されている。そして、連結アーム17が回転されると、駆動カム14は中立位置から左右に揺動する揺動運動に変換される。
【0029】
図5に示すように、前記駆動カム14の下面側には、引き込み手段を構成する第2ラチェット20が前記ラッチ8の上段側とほぼ同じ高さに配置されている。第2ラチェット20は、その基端部が駆動カム14に支軸21にて回動可能に支持されている。
【0030】
第2ラチェット20の先端側(自由端側)には、前記ラッチ8の上段側に形成された係止面8cと係合するための係止片20aが形成されている。この係止片20aが図7に示すようにラッチ8の係止面8cと係合するとき、ラッチ8はクロージング開始位置に規制される。又、第2ラチェット20の先端部分には、その下面側(図2の紙面奥側)にのびる従動ピン20bが固着される。
【0031】
同じく引き込み手段を構成する作動レバー22は、前記支軸9により第1ラチェット10と樹脂部材13を介して同軸で支持されている。作動レバー22には、コイルスプリング23の一端を掛け止める掛止部22aが切り起こされて形成されている。コイルスプリング23の他端は、前記ベースプレート5に切り起こされて形成された掛止部5cに掛け止められている。この掛止部5cは、作動レバー22の動作に干渉しない高さに形成されている。そして、作動レバー22は、コイルスプリング23によって、図2において反時計回り方向に付勢されている。作動レバー22の支軸9の近傍には、前記駆動カム14の外周面に当接する係止解除手段を構成する係止突起22bが切り起こされて形成されている。
【0032】
前記作動レバー22には、円弧状の案内溝22cが形成されている。案内溝22cは、第2ラチェット20の従動ピン20bを収容し案内する。前記作動レバー22は図2において反時計回り方向に付勢されているため、第2ラチェット20は、従動ピン20bが案内溝22cの内周面に押されて、その係止片20aがラッチ8の係止面8cが形成された上段側の外周面に当接するように付勢されることになる。そして、図7に示すように、ラッチ8がクロージング開始位置に配置されたとき、作動レバー22はコイルスプリング23の付勢力によって図7において反時計回り方向に回動され、第2ラチェット20の係止片20aがラッチ8の係止面8cに係合するようになっている。このとき、第2ラチェット20の係止片20aがラッチ8の外周面に衝突するが、ラッチ8は樹脂部材12にて被覆されているため、その衝突時の衝突音が樹脂部材12にて抑制される。
【0033】
又、前記作動レバー22には、操作アーム22dが形成されている。この操作アーム22dには、図示しないドアハンドルが連結されている。このドアハンドルにて開操作されると、作動レバー22は図2において時計回り方向に回動される。
【0034】
又、ベースプレート5における作動レバー22の近傍位置には、リミットスイッチ24が配設されている。リミットスイッチ24は、ラッチ8がクロージング開始位置に配置され作動レバー22が反時計回り方向に回動すると、作動レバー22に形成された係合突起22eにて該スイッチ24の可動子が傾動し、該スイッチ24が作動するようになっている。
【0035】
図11は、前記アクチュエータ18を示す。アクチュエータ18は、そのケース18a内に、駆動源としての駆動モータMと、該モータMの回転を減速する減速機構30と、出力軸19に一体回転される前記連結アーム17の回動位置を検出する検出センサ31とが一体に組み付けられて構成されている。
【0036】
前記減速機構30は、駆動モータMの回転軸に固着されたウォーム32に順次ギヤ連結される4つの減速ギヤ33〜36を備え、最終段の減速ギヤ36には前記出力軸19が固定されている。出力軸19が固定される前記減速ギヤ36には、回転面としての一方の円形面36aに絶縁部材よりなるプレート37が固着され、該プレート37上には導体よりなる所定形状のパターン38が形成されている。
【0037】
又、ケース18a内部には基板39が固定され、該基板39には前記パターン38に摺接する検知部材としての第1〜第3接触子40〜42が固定されている。これら第1〜第3接触子40〜42は、プレート37の径方向にのびる同一直線上でパターン38に接触するように配置されている。又、第1接触子40はパターン38の外周部に摺接し、第3接触子42はパターン38の内周部に摺接し、第2接触子41はパターン38の中間部に摺接する。尚、第1及び第2接触子40,41が摺接するパターン38の外周部及び中間部は、所定角度の領域において絶縁部材よりなるプレート37が露出している。第3接触子42が摺接するパターン38の内周部は、そのプレート37が露出せず全周にわたり導体にて覆われている。
【0038】
そして、減速ギヤ36とともに回転するプレート37によってパターン38が回転し、そのパターン38によって第1及び第2接触子40,41が第3接触子42と導通又は非導通状態となって、連結アーム17の回動位置を検知するための検出信号(SG1,SG2)を生成する、即ち前記検出センサ31が構成されている。
【0039】
ここで、図2(図7)における減速ギヤ36の配置は、連結アーム17が開時ホームポジション位置に配置されているときのものである。このとき、第1接触子40はパターン38によって第3接触子42と非導通状態となり、第2接触子41はパターン38を介して第3接触子42と導通状態となる。
【0040】
又、連結アーム17(減速ギヤ36)が図2(図7)に示す開時ホームポジション位置の直後の回動位置から図9に示す閉時ホームポジション位置に到達する前までの回動領域においては、第1及び第2接触子40,41はパターン38を介して共に第3接触子42と導通状態となる。
【0041】
又、連結アーム17(減速ギヤ36)の回動位置が、図9に示すように閉時ホームポジション位置になると、第1及び第2接触子40,41はパターン38によって共に第3接触子42と非導通状態となる。
【0042】
又、連結アーム17(減速ギヤ36)が図9に示す閉時ホームポジション位置の直後の回動位置から図2(図7)に示す開時ホームポジション位置に到達する前までの回動領域においては、第1接触子40はパターン38を介して第3接触子42と導通状態となり、第2接触子41はパターン38によって第3接触子42と非導通状態となる。
【0043】
言い換えれば、連結アーム17(減速ギヤ36)が図2(図7)に示す開時ホームポジション位置と、図9に示す閉時ホームポジション位置に配置されるときのみ、第1接触子40はパターン38によって第3接触子42と非導通状態となる。又、連結アーム17(減速ギヤ36)が、図2(図7)に示す開時ホームポジション位置を含めた回動位置から図9に示す閉時ホームポジション位置に到達する前まで回動領域において、第2接触子41はパターン38を介して第3接触子42と導通状態となり、図9に示す閉時ホームポジション位置を含めた回動位置から図2(図7)に示す開時ホームポジション位置に到達する前までの回動領域において、第2接触子41はパターン38によって第3接触子42と非導通状態となる。
【0044】
従って、第1接触子40が第3接触子42と非導通状態になるとこで、連結アーム17(減速ギヤ36)の回動位置が、図2(図7)に示す開時ホームポジション位置と、図9に示す閉時ホームポジション位置に配置されたことを検知する。又、第2接触子41が第3接触子42と導通状態となることで、連結アーム17(減速ギヤ36)が図2(図7)に示す開時ホームポジション位置を含めた回動位置から図9に示す閉時ホームポジション位置の手前位置にあることを検知し、第2接触子41が第3接触子42と非導通状態となることで、連結アーム17(減速ギヤ36)が図9に示す閉時ホームポジション位置を含めた回動位置から図2(図7)に示す開時ホームポジション位置の手前位置にあることを検知するようになっている。
【0045】
図12は、ドアクローザ装置3の電気的構成を示す。ドアクローザ装置3は、車両1に備えられるクローザ制御コントローラ(以下、単にコントローラという)43によって制御される。コントローラ43には、制御回路部44が備えられている。
【0046】
前記検出センサ31を構成する第1及び第2接触子40,41は、それぞれ制御回路部44の入力ポートP1,P2に接続されている。又、第3接触子42は、接地されるとともに、前記リミットスイッチ24を介して入力ポートP3に接続されている。このリミットスイッチ24は、非作動時に入力ポートP3を接地状態に切り換え、作動時に入力ポートP3を非接地状態に切り換える。制御回路部44の入力ポートP4は、トランクドア2を開けるための運転席オープナースイッチ又はリモコンスイッチ等のドア開スイッチ45を介して接地されている。
【0047】
そして、第1及び第2接触子40,41がパターン38を介して第3接触子42と導通状態になると、該接触子40,41が接地状態となり、入力ポートP1,P2には接地レベル(Lレベル)の検出信号SG1,SG2が入力される。一方、第1及び第2接触子40,41がパターン38によって第3接触子42と非導通状態になると、該接触子40,41が非接地状態となり、入力ポートP1,P2には非接地レベル(Hレベル)の検出信号SG1,SG2が入力される。又、前記リミットスイッチ24の作動時には、入力ポートP3が非接地レベル(Hレベル)になり、非作動時には、入力ポートP3が接地レベル(Lレベル)の作動信号SG3が入力される。又、トランクドア2を開けるべくドア開スイッチ45がオン作動されると、入力ポートP4には接地レベル(Lレベル)のドア開信号SG4が入力される。
【0048】
又、前記制御回路部44の出力ポートP5,P6間には、リレー46内の切換スイッチ46aの切換動作を行う励磁コイル46bが接続されている。又、切換スイッチ46aは前記駆動モータMの正極に接続され、駆動モータMの負極は該モータMの保護回路としてのPTC(Positive Temperature Coefficient thermistor )47を介して接地されている。切換スイッチ46aは、励磁コイル46bが励磁されると、駆動モータMの正極をバッテリBに接続して該モータMにバッテリ電源を供給し、励磁コイル46bが非励磁状態になると、駆動モータMの正極を接地して該モータMへのバッテリ電源の供給を遮断する。
【0049】
ここで、前記連結アーム17(減速ギヤ36)が図2(図7)に示す開時ホームポジション位置を含めた回動位置から図9に示す閉時ホームポジション位置の手前位置にあるとき、第2接触子41が第3接触子42と導通状態となることから、制御回路部44の入力ポートP2にはLレベルの検出信号SG2が入力される。制御回路部44は、この入力ポートP2に入力されるLレベルの検出信号SG2に基づいて、連結アーム17(減速ギヤ36)がその回動領域内に配置されていることを検出する。
【0050】
このとき、前記連結アーム17(減速ギヤ36)の回動位置が、図2(図7)に示す開時ホームポジション位置に配置されているとき、第1接触子40が第3接触子42と非導通状態となることから、制御回路部44の入力ポートP1にはHレベルの検出信号SG1が入力される。制御回路部44は、この入力ポートP1に入力されるHレベルの検出信号SG1に基づいて、連結アーム17(減速ギヤ36)がその回動位置に配置されていることを検出する。
【0051】
又、前記連結アーム17(減速ギヤ36)が図9に示す閉時ホームポジション位置を含めた回動位置から図2(図7)に示す開時ホームポジション位置の手前位置にあるとき、第2接触子41が第3接触子42と非導通状態となることから、制御回路部44の入力ポートP2にはHレベルの検出信号SG2が入力される。制御回路部44は、この入力ポートP2に入力されるHレベルの検出信号SG2に基づいて、連結アーム17(減速ギヤ36)がその回動領域内に配置されていることを検出する。
【0052】
このとき、前記連結アーム17(減速ギヤ36)の回動位置が、図9に示す閉時ホームポジション位置に配置されているとき、第1接触子40が第3接触子42と非導通状態となることから、制御回路部44の入力ポートP1にはHレベルの検出信号SG1が入力される。制御回路部44は、この入力ポートP1に入力されるHレベルの検出信号SG1に基づいて、連結アーム17(減速ギヤ36)がその回動位置に配置されていることを検出する。
【0053】
そして、前記ラッチ8が図2に示す原位置から図7に示すクロージング開始位置に配置されると、前記リミットスイッチ24が作動され、制御回路部44の入力ポートP3にはHレベルの作動信号SG3が入力される。制御回路部44は、この入力ポートP3に入力されるHレベルの作動信号SG3に基づいて、励磁コイル46bを励磁させる。励磁コイル46bが励磁されると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極をバッテリBに接続し、該モータMにバッテリ電源を供給する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMを回転させ、減速ギヤ36とともに開時ホームポジション位置に配置されている連結アーム17を反時計回り方向に回転させる。このとき、減速ギヤ36の回転とともにパターン38も反時計回り方向に回転し、第1接触子40と第3接触子42が非導通状態から導通状態となる。即ち、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がHレベルからLレベルになる。
【0054】
やがて、回動する連結アーム17が図9に示す閉時ホームポジション位置に到達すると、第1接触子40が第3接触子42と非導通状態となる。即ち、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がLレベルからHレベルになる。制御回路部44は、この入力ポートP1に入力されるHレベルの検出信号SG1に基づいて、励磁コイル46bを非励磁状態にする。励磁コイル46bが非励磁状態になると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極を接地し、該モータMへのバッテリ電源の供給を遮断する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMの回転を停止させる。
【0055】
又、この状態で、ドア開スイッチ45がオン作動されると、制御回路部44の入力ポートP4にはLレベルのドア開信号SG4が入力される。制御回路部44は、この入力ポートP4に入力されるLレベルのドア開信号SG4に基づいて、上記と同様に励磁コイル46bを励磁させる。励磁コイル46bが励磁されると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極をバッテリBに接続し、該モータMにバッテリ電源を供給する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMを回転させ、減速ギヤ36とともに閉時ホームポジション位置に配置されている連結アーム17を反時計回り方向に回転させる。このとき、減速ギヤ36の回転とともにパターン38も反時計回り方向に回転し、第1接触子40と第3接触子42が非導通状態から導通状態となる。即ち、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がHレベルからLレベルになる。
【0056】
やがて、回動する連結アーム17が図2に示す開時ホームポジション位置に到達すると、第1接触子40が第3接触子42と非導通状態となる。即ち、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がLレベルからHレベルになる。制御回路部44は、この入力ポートP1に入力されるHレベルの検出信号SG1に基づいて、励磁コイル46bを非励磁状態にする。励磁コイル46bが非励磁状態になると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極を接地し、該モータMへのバッテリ電源の供給を遮断する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMの回転を停止させる。
【0057】
次に、上記のように構成されたドアクローザ装置3の動作を図を参照しながら説明する。ドアクローザ装置3の動作は大きく分けて、ロック動作と、ロック解除動作がある。
【0058】
[ロック動作]
ロック動作は、開いたトランクドア2を完全に閉めるまでの動作であって、第2ラチェット20とラッチ8とを係合させるためにラッチ8をクロージング開始位置まで案内するクロージング開始位置案内動作と、ラッチ8と第1ラチェット10とを係合させるラッチ8をいわゆるフルラッチ位置に案内するまでのクロージング動作がある。
【0059】
1.クロージング開始位置案内動作
トランクドア2が開いた状態では、図2に示すようにラッチ8は原位置に配置され、連結アーム17(減速ギヤ36)は開時ホームポジション位置に配置されている。この状態では、第1接触子40がパターン38によって第3接触子42と非導通状態となっていることから、制御回路部44の入力ポートP1にはHレベルの検出信号SG1が入力されている。
【0060】
又、この状態では、リミットスイッチ24が非作動状態のため、制御回路部44の入力ポートP3は該スイッチ24を介して接地されている。即ち、入力ポートP3には、Lレベルの作動信号SG3が入力されている。又、ドア開スイッチ45も非作動状態であり、制御回路部44の入力ポートP4にはHレベルのドア開信号SG4が入力されている。
【0061】
そして、挿通通路6に挿入したストライカ4にてコイルスプリング11の付勢力に抗してラッチ8が押し込まれ、該ラッチ8の係止面8cと第2ラチェット20の係止片20aが係合可能なクロージング開始位置に配置されると、図7に示すようにコイルスプリング23の付勢力により作動レバー22が反時計回り方向の回動に基づいて第2ラチェット20が同方向に回動されて、その係止片20aがラッチ8の係止面8cと係合することになる。すると、ラッチ8は、その係合によってクロージング開始位置から時計回り方向の回動が規制される。
【0062】
又、作動レバー22が反時計回り方向に回動すると、その係合突起22eによってリミットスイッチ24が作動し、制御回路部44の入力ポートP3にはHレベルの作動信号SG3が入力される。
【0063】
尚、このクロージング開始位置案内動作においては、駆動モータMは動作しないため、連結アーム17(減速ギヤ36)は開時ホームポジション位置に配置されたままである。即ち、制御回路部44の入力ポートP1にはHレベルの検出信号SG1が入力されている。
【0064】
2.クロージング動作
前記リミットスイッチ24が作動し、制御回路部44の入力ポートP3にHレベルの作動信号SG3が入力されると、制御回路部44は、このHレベルの作動信号SG3に基づいて、励磁コイル46bを励磁させる。励磁コイル46bが励磁されると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極をバッテリBに接続し、該モータMにバッテリ電源を供給する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMを回転させ、減速ギヤ36とともに開時ホームポジション位置に配置されている連結アーム17を反時計回り方向に回転させる。このとき、減速ギヤ36の回転とともにパターン38も反時計回り方向に回転し、第1接触子40と第3接触子42が非導通状態から導通状態となる。即ち、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がHレベルからLレベルになる。
【0065】
連結アーム17の反時計回り方向の回転に伴って、リンク16とボールピン15にて連結された駆動カム14は、支軸7を中心に図7に示す中立位置から同図反時計回り方向に回動される。すると、駆動カム14に支軸21にて連結された第2ラチェット20は、その係止片20aがラッチ8の係止面8cに係合されていることから、ラッチ8はその駆動カム14の回動によって強制的に反時計回り方向に回動される。
【0066】
やがて、第1ラチェット10のラッチ面10bがラッチ8の係止面8bと係合可能となるまで該ラッチ8が回動されると、第1ラチェット10はコイルスプリング11の付勢力によって反時計回り方向に回動される。この連結アーム17が図8に示す上死点位置まで到達すると、第1ラチェット10のラッチ面10bとラッチ8の係止面8bとが離間した状態になる。これは、第1ラチェット10が確実に反時計回り方向に回動するようにマージンを設けている。
【0067】
更に、連結アーム17が反時計回り方向に回動すると、駆動カム14が時計回り方向に回動されるとともに、ラッチ8がコイルスプリング11の付勢力によって時計回り方向に回動される。そして、第1ラチェット10のラッチ面10bとラッチ8の係止面8bとが係合状態になると、ラッチ8は、その係合によってフルラッチ位置から時計回り方向の回動が規制され、トランクドア2が完全に閉まった状態(フルラッチ状態)となる。
【0068】
ラッチ8がフルラッチ位置となっても、コントローラ43は駆動モータMの回転を継続させ、連結アーム17を図9に示す閉時ホームポジション位置まで反時計回り方向に回転させる。連結アーム17(減速ギヤ36)が閉時ホームポジション位置に到達すると、第1接触子40がパターン38によって第3接触子42と非導通状態になることから、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がLレベルからHレベルになる。
【0069】
すると、制御回路部44は、この入力ポートP1に入力されるHレベルの検出信号SG1に基づいて、励磁コイル46bを非励磁状態にする。励磁コイル46bが非励磁状態になると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極を接地し、該モータMへのバッテリ電源の供給を遮断する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMの回転を停止させ、駆動カム14を中立位置に配置するとともに、連結アーム17(減速ギヤ36)を閉時ホームポジション位置に配置しておく。
【0070】
尚、このクロージング動作においては、連結アーム17(減速ギヤ36)が開時ホームポジション位置を含めた回動位置から図9に示す閉時ホームポジション位置に到達する前まで、第2接触子41がパターン38を介して第3接触子42と導通状態となっている。従って、この動作中においては、制御回路部44の入力ポートP2にはLレベルの検出信号SG2が入力されている。
【0071】
[ロック解除動作]
ロック解除動作は、完全に閉まったトランクドア2を開ける動作、即ちラッチ8と第1ラチェット10との係合を解いてラッチ8を原位置まで回動復帰させる動作である。
【0072】
トランクドア2が完全に閉まった状態(フルラッチ状態)では、図9に示すようにラッチ8はフルラッチ位置に配置され、連結アーム17は閉時ホームポジション位置に配置されている。この状態では、第1接触子40がパターン38によって第3接触子42と非導通状態となっていることから、制御回路部44の入力ポートP1にはHレベルの検出信号SG1が入力されている。
そして、運転席オープナースイッチ又はリモコンスイッチ等のドア開スイッチ45がオン作動されると、制御回路部44の入力ポートP4に入力されるドア開信号SG4がHレベルからLレベルになる。制御回路部44は、このLレベルのドア開信号SG4に基づいて、励磁コイル46bを励磁させる。励磁コイル46bが励磁されると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極をバッテリBに接続し、該モータMにバッテリ電源を供給する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMを回転させ、減速ギヤ36とともに閉時ホームポジション位置に配置されている連結アーム17を反時計回り方向に回転させる。このとき、減速ギヤ36の回転とともにパターン38も反時計回り方向に回転し、第1接触子40と第3接触子42が非導通状態から導通状態となる。即ち、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がHレベルからLレベルになる。
【0073】
連結アーム17の反時計回り方向の回転に伴って、リンク16とボールピン15にて連結された駆動カム14は、支軸7を中心に図9に示す中立位置から時計回り方向に回動される。回動する駆動カム14は、やがてその外周面が作動レバー22の係止突起22bに当接し、作動レバー22を支軸9を中心に時計回り方向に回動させる。このとき、作動レバー22の外周面には第1ラチェット10の係止ピン10cが当接していることから、第1ラチェット10を支軸9を中心に時計回り方向に回動させる。
【0074】
このような一連の動作によって、図10に示すように第1ラチェット10のラッチ面10bがラッチ8の係止面8bから外れることになる。このとき、第2ラチェット20は、その従動ピン20bが作動レバー22の案内溝22cにて案内されるため、作動レバー22の回動とともにラッチ8の係止面8cに係合しない位置まで離間して配置される。その結果、第1ラチェット10とラッチ8との係合が解除された時点で、該ラッチ8がコイルスプリング11の付勢力により支軸7を中心に時計回り方向に回動復帰し、ベースプレート5の側壁5aに当接する位置、即ち原位置で規制される。
【0075】
ラッチ8が原位置に回動復帰しても、コントローラ43は駆動モータMの回転を継続させ、連結アーム17を図2に示す開時ホームポジション位置まで反時計回り方向に回転させる。連結アーム17(減速ギヤ36)が開時ホームポジション位置まで到達すると、第1接触子40がパターン38によって第3接触子42と非導通状態になることから、制御回路部44の入力ポートP1に入力される検出信号SG1がLレベルからHレベルになる。
【0076】
すると、制御回路部44は、この入力ポートP1に入力されるHレベルの検出信号SG1に基づいて、励磁コイル46bを非励磁状態にする。励磁コイル46bが非励磁状態になると、切換スイッチ46aは駆動モータMの正極を接地し、該モータMへのバッテリ電源の供給を遮断する。つまり、コントローラ43は、駆動モータMの回転を停止させ、駆動カム14を中立位置に配置するとともに、連結アーム17(減速ギヤ36)を開時ホームポジション位置に配置しておく。
【0077】
尚、このロック解除動作においては、連結アーム17(減速ギヤ36)が閉時ホームポジション位置を含めた回動位置から図2に示す閉時ホームポジション位置に到達する前まで、第2接触子41がパターン38によって第3接触子42と非導通状態となっている。従って、この動作中においては、制御回路部44の入力ポートP2にはHレベルの検出信号SG2が入力されている。
【0078】
次に、ドアクローザ装置3がクロージング動作及びロック解除動作を行っている途中に該装置3に供給される駆動電源が切れ、該装置3の動作が一旦停止した後に、再び電源が供給された場合における装置3の動作を説明する。
【0079】
尚、この場合、ドアクローザ装置3は、連結アーム17(減速ギヤ36)が両ホームポジション位置に配置されているとき、即ち第1及び第3接触子40,42が非導通状態であって、制御回路部44の入力ポートP1にHレベルの検出信号SG1が入力されているときには動作しない。言い換えれば、装置3は、第1及び第3接触子40,42が導通状態であって、制御回路部44の入力ポートP1にLレベルの検出信号SG1が入力されているときに動作する。
【0080】
[クロージング動作中に駆動電源が切れた場合]
上記したように、このクロージング動作においては、連結アーム17(減速ギヤ36)が図2(図7)に示す開時ホームポジション位置を含めた回動位置から図9に示す閉時ホームポジション位置に到達する前まで、第2接触子41がパターン38を介して第3接触子42と導通状態となっている。従って、この動作中においては、制御回路部44の入力ポートP2にはLレベルの検出信号SG2が入力されている。
【0081】
そのため、再び電源が供給されたとき、制御回路部44は、入力ポートP2に入力されるLレベルの検出信号SG2と、前記入力ポートP1に入力されるLレベルの検出信号SG1に基づいて、上記と同様に、駆動モータMを回転させ連結アーム17(減速ギヤ36)を図9に示す閉時ホームポジション位置まで回転させて、引き続きクロージング動作を行わせる。
【0082】
[ロック解除動作中に駆動電源が切れた場合]
上記したように、このロック解除動作においては、連結アーム17(減速ギヤ36)が図9に示す閉時ホームポジション位置を含めた回動位置から図2(図7)に示す開時ホームポジション位置に到達する前まで、第2接触子41がパターン38によって第3接触子42と非導通状態となっている。従って、この動作中においては、制御回路部44の入力ポートP2にはHレベルの検出信号SG2が入力されている。
【0083】
そのため、再び電源が供給されたとき、制御回路部44は、入力ポートP2に入力されるHレベルの検出信号SG2と、前記入力ポートP1に入力されるLレベルの検出信号SG1に基づいて、上記と同様に、駆動モータMを回転させ連結アーム17(減速ギヤ36)を図2(図7)に示す開時ホームポジション位置まで回転させて、引き続きロック解除動作を行わせる。
【0084】
従って、本実施の形態では、再び電源供給がなされたとき、制御回路部44にてドアクローザ装置3がフルラッチ位置まで引き込み動作なのか、ロック解除のための動作なのか判断することが可能なため、正確に動作を再開させることができる。
【0085】
上記したように、本実施の形態によれば、以下に示す特徴がある。
(1)本実施の形態では、駆動カム14とラッチ8を共通の支軸7により回動可能に配置したので、駆動カム14とラッチ8が平行となる状態にコンパクトに配置することができる。その結果、装置3の小型化を図ることができる。
【0086】
(2)本実施の形態では、出力軸19の回転軸線L1をラッチ8及び駆動カム14の回動軸線(支軸7の軸線)L2に対して傾斜させてアクチュエータ18をベースプレート5に対して固定し、該アクチュエータ18をトランクドア2の取付面2aに近接させて配置した。この場合、出力軸19と同様に連結アーム17も傾斜するが、連結アーム17及び駆動カム14とリンク16とのジョイントがボールジョイントであるため、連結アーム17の駆動がリンク16を介して駆動カム14に確実に伝達される。従って、アクチュエータ18とトランクドア2の取付面2aとの間の無用な空間を小さくすることができ、ドアクローザ装置3における取付スペースの省スペース化を図ることができる。
【0087】
(3)しかも、ボールジョイントは、支軸7に対する出力軸19の傾斜角を所定角度の範囲内において適宜変更しても柔軟に対応することができ、ベースプレート5に対するアクチュエータ18の取り付けの自由度を向上することができる。
【0088】
(4)各球面凹部16a,16bは、リンク16の両端にそれぞれ一体形成されている。従って、部品点数及び組付け工数が増加しない。
(5)各ボールピン15,17aは、駆動カム14及び連結アーム17に組み付けられる。従って、駆動カム14及び連結アーム17の製作を容易とすることができる。
【0089】
尚、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施の形態では、駆動カム14及び連結アーム17にそれぞれボールピン15,17aを固定し、リンク16の両端にそれぞれ球面凹部16a,16bを形成して、各ボールピン15,17aと球面凹部16a,16bとを連結するようにしたが、駆動カム14及び連結アーム17にそれぞれ球面凹部を設け、リンク16の両端にそれぞれボールピンを設けて、それぞれ連結するようにしてもよい。
【0090】
○上記実施の形態では、各ボールピン15,17aを駆動カム14及び連結アーム17に組み付けるようにしたが、駆動カム14及び連結アーム17に一体形成してもよい。このようにすれば、部品点数及び組付け工数が増加しない。
【0091】
○上記実施の形態では、各球面凹部16a,16bをリンク16の両端にそれぞれ一体形成したが、球面凹部16a,16bとリンク16とを別体とし、後に組み付けるようにしてもよい。
【0092】
○上記実施の形態では、ドアクローザ装置3をトランクドア2に取り付けたが、その他のドアに取り付けて実施してもよい。この場合、上記したように装置3の取り付け部分の形状に応じてベースプレート5に対するアクチュエータ18の配置(傾斜度合)を変更できるため、装置3の取付スペースの省スペース化に貢献できる。
【0093】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ) 請求項2に記載の扉体の施解錠装置において、前記各球面凹部(16a,16b)は、前記リンク(16)の両端にそれぞれ一体形成されることを特徴とする扉体の施解錠装置。このように構成すれば、部品点数及び組付け工数が増加しない。
【0094】
(ロ) 請求項2又は上記(イ)に記載の扉体の施解錠装置において、前記各ボールピン(15,17a)は、前記駆動カム(14)及び回転体(17)に組み付けられることを特徴とする扉体の施解錠装置。このように構成すれば、駆動カム及び回転体の製作を容易とすることができる。
【0095】
(ハ) 請求項2又は上記(イ)に記載の扉体の施解錠装置において、前記各ボールピン(15,17a)は、前記駆動カム(14)及び回転体(17)に一体形成されることを特徴とする扉体の施解錠装置。このように構成すれば、部品点数及び組付け工数が増加しない。
【0096】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、クロージング位置からフルラッチ位置への引き込み動作と、扉体のロック解除動作とを1個のアクチュエータを共用して行う施解錠装置において、装置の小型化及び取付スペースの省スペース化を図ることができる扉体の施解錠装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態における車両の後方斜視図。
【図2】 ドアクローザ装置を示す平面図。
【図3】 ドアクローザ装置を示す分解斜視図。
【図4】 ドアクローザ装置の構成部材を分解して個々に示す平面図。
【図5】 図2のX視から見た側面図。
【図6】 図2のY視から見た側面図。
【図7】 ドアクローザ装置の動作を説明するための平面図。
【図8】 ドアクローザ装置の動作を説明するための平面図。
【図9】 ドアクローザ装置の動作を説明するための平面図。
【図10】 ドアクローザ装置の動作を説明するための平面図。
【図11】 アクチュエータを示す平面図。
【図12】 ドアクローザ装置の電気的構成を示す回路図。
【符号の説明】
2…扉体としてのトランクドア、4…係止部としてのストライカ、7…回動軸としての支軸、8…ラッチ、10…係止手段としての第1ラチェット、10c…係止解除手段を構成する係止ピン、14…駆動カム、15…ボールピン、16…リンク機構を構成するリンク、16a,16b…ボールジョイントを構成する球面凹部、17…回転体としての連結アーム、17a…リンク機構及びボールジョイントを構成するボールピン、20…引き込み手段を構成する第2ラチェット、22…引き込み手段を構成する作動レバー、22b…係止解除手段を構成する係止突起、M…駆動モータ。
Claims (2)
- 扉体(2)を閉状態に係止するための係止部(4)を導入可能な原位置から該係止部(4)を導入し、該係止部(4)の導入に伴い係合しその係合を解除する方向の付勢力に抗して回動可能に支持されたラッチ(8)と、
前記ラッチ(8)とクロージング開始位置で係合し該ラッチ(8)をそのクロージング開始位置からフルラッチ位置まで回動させるための引き込み手段(20,22)と、
前記ラッチ(8)がフルラッチ位置に回動したとき、そのラッチ(8)方向に付勢された付勢力にて係合し該ラッチ(8)をフルラッチ位置で位置規制するための係止手段(10)と、
前記ラッチ(8)を前記付勢力により前記導入可能な原位置に復帰させるべく、そのラッチ(8)をフルラッチ位置に位置規制している前記係止手段(10)による係止を解除させるための係止解除手段(10c,22b)と、
前記ラッチ(8)の回動軸(7)と平行な回動軸(7)を有するように配置され、前記引き込み手段(20,22)及び係止解除手段(10c,22b)を作動させる駆動カム(14)と、
駆動モータ(M)を駆動源としたアクチュエータ(18)の出力軸(19)に対して一体回転可能に固定された回転体(17)と、
前記回転体(17)と前記駆動カム(14)との間に設けられ、前記回転体(17)の回転に基づいて前記駆動カム(14)を回転駆動させて前記引き込み手段(20,22)及び係止解除手段(10c,22b)を作動させるためのリンク機構(16,17a)と
からなる扉体の施解錠装置において、
前記出力軸(19)の回転軸線(L1)を前記ラッチ(8)及び駆動カム(14)の回転軸線(L2)に対して傾斜させ、この両回転軸線(L1,L2)における傾斜状態を保持した状態で前記回転体(17)及び駆動カム(14)とリンク機構(16,17a)との間をボールジョイント(15,16a,16b,17a)によって連結したことを特徴とする扉体の施解錠装置。 - 請求項1に記載の扉体の施解錠装置において、
前記駆動カム(14)にはボールピン(15)が備えられるものであって、
前記リンク機構(16,17a)は、前記回転体(17)の外周部に備えられるボールピン(17a)と、各ボールピン(15,17a)に対して旋回可能かつ揺動可能に嵌合する球面凹部(16a,16b)をその両端にそれぞれ有したリンク(16)とからなることを特徴とする扉体の施解錠装置。
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