JP4049642B2 - 車道用弾性舗装路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車道用弾性舗装路に関し、さらに詳しくは騒音低減と水濡れによる滑り防止と共に、排水性がよく耐久性に優れた構造体からなる車道用弾性舗装路に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性舗装材は、一般的な構造として軟質骨材を含む骨材を樹脂バインダーで結合して構成され、内部に空隙を有する多孔質な構造体をいう。この空隙は、使用する骨材やバインダーに依存し、かつ施工の仕方や温度条件によっても異なってくる。弾性舗装材の物性面の特徴は、使用する材料とくに軟質骨材に起因して弾力性が発現することにあり、このために歩行感の良さや高い安全性が得られる。更に、多孔質であることから屋外舗装に使用しても、透水性があり、水が溜まりにくいという特長も有する。
【0003】
こうした特長が好まれて、弾性舗装材は、各種運動施設や歩道、弾力性を必要とする各種舗装に広く用いられてきたが、近年の注目すべき研究成果として、弾力性を有し多孔質であることから車両の走行時に騒音が低減されるという報告がなされており、車道用舗装材としての検討が始まり実用化に向けて一歩踏み出している段階である。
ところが、この種の弾性舗装路は、多くの空隙を有する構造であるため、雨水は弾性舗装体内に透水していくが、その後の排水についてはこれまであまり注意が向けられていない。現実には、弾性舗装路では降雨がある程度続けば、車の走行により透水した水が再び浮き出てくることになる。従来、濡れたときの滑り防止の面から、路面に水が浮く現象が問題視されてきたが、これはさらに空隙率を上げれば透水性が向上するものの、舗装の強度の問題等からは限界があると考えられている。
【0004】
近年、この排水性をよくすることを目的にいくつかの提案がなされている。例えば、弾性舗装の表面から路盤の接触面にかけて貫通した排水孔を複数個設けることにより、表面に水が溜まっても、排水孔に吸収ざれるので、空隙率を上げることなく排水機能を向上させることができる、とされている(例えば、特許文献1参照)。また、弾性舗装材の路盤との接触面に排水溝を設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、路盤上に弾性ブロックを敷きつめた透水性弾性ブロック舗装路において、不織布からなる透水層を前記弾性ブロックに接着することにより、水が不織布層を通して路盤内に浸入する舗装路が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、不織布層が透水効果を有するためにはかなりの厚さを要することになり、厚みのある不織布層はその軟らかい性状に起因する変形やずれにより表層に凹凸を生じひいては剥がれの原因となりやすいと考えられる。
【0006】
弾性舗装路を対象とするものではないが、透水性舗装部の端部が敷設可能な受容段部を透水性舗装部の厚さに略相当して凹設し、該受容部の上面には透水性舗装部内に滲み込む雨水等の集水孔を設けるとともに透水性舗装部の端面に沿って集水可能なスリットを設ける舗装路が提案されている(特許文献4参照)。しかし、この透水性舗装は、天然石やスラッジ、砕石等の骨材にアスファルトを混合、混練し、層内部に排水性を良好にするための透水孔や空隙を設けたものであり、軟質骨材を用いた弾性舗装路に比べれば、透水性の程度は小さいことから、表面からの水抜き(集水孔)を必須としている。この構造では、表面排水口はゴミが混入し、路面の美観と耐久性を損なう恐れがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−28007号公報(請求項2、図4)
【特許文献2】
特開2001−11807号公報(請求項6、図1)
【特許文献3】
特開平11−241302号公報(請求項1、図1、図2)
【特許文献4】
特開平8−209791号公報(請求項1、図1)、
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
弾性舗装は細かな空隙を有するために透水性はあるものの、毛細管現象により空隙内に水が保持されるという現象が起こる。従って、図5に示すように、通常のアスファルト舗装道路のごとく、路床5上に非透水性基盤4’を構成し、その上に単に弾性舗装材2を敷設すると、車が走行するときその圧力で弾性舗装材層に保持されている水が表面に浸出することになり、ハイドロプレーニング現象等によって滑りを起こす原因になる。
【0009】
また、太陽光の下に弾性舗装の内に常時、水分が存在すると、結合剤である湿気硬化型のエポキシあるいはウレタン樹脂は水と反応して酸素ガスを発生し、弾性舗装の表層まで劣化させるという問題がある。弾性舗装の排水性をよくするために、前述のような提案がなされているが、路面に排水孔を設けることは反面、欠陥部を作ることにもなり、また路盤との接触面に排水溝を設けることは路床との接着不良を起こす原因になりかねない、と考えられる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、低騒音性という弾性舗装材の本来の特長を活かしつつ、排水性がよく、耐久性の低下を起こさない構造を有する車道用弾性舗装路を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑みて種々検討を重ねて、弾性舗装材層内に滞留するかまたはその表面から下面に流下してきた水を効率的に排出する構造を有する車道用弾性舗装路を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、以下の車道用弾性舗装路に関するものである。
[1]基盤上に、軟質骨材と硬質骨材とを含む骨材を結合樹脂で結合してなる弾性舗装材層が敷設された車道用弾性舗装路であって、
(1)前記弾性舗装材層の敷設端部に下方側段部を設け、これに接して排水構造を有するか、または前記弾性舗装材層の底面に接する基盤の一部または全部を排水構造とし、(2)前記弾性舗装材層が透水性であって空隙率が25〜55%であり、かつ(3)前記弾性舗装材層の底面に水を端部方向に流すための勾配が設けられており、
前記弾性舗装材層が軟質骨材100重量部と硬質骨材2〜50重量部とを、樹脂結合剤を骨材全重量の1/3〜1/10量を用いて結合してなり、当該弾性舗装材が(1)前記軟質骨材に前記樹脂結合剤を前記量の略半量を加えて混合する工程と、(2)前記硬質骨材の半量以下と、前記(1)工程後の残量結合樹脂剤の半量以下とを追加する工程と、(3)残量の硬質骨材と前記(2)工程後の残量樹脂結合剤を1回または複数回に分けて追加する工程、により配合した混合物として基盤上に、転圧後、硬化して敷設されていることを特徴とする車道用弾性舗装路。
【0012】
[2]前記弾性舗装層の敷設端部に下方側段部を設け、これに接する排水構造が、前記弾性舗装材層の底面部よりも下方に流水を導く構造であることを特徴とする上記[1]項記載の車道用弾性舗装路。
[3]前記弾性舗装材層の底面に接する排水構造としての基盤が透水性アスファルト舗装であることを特徴とする上記[1]項記載の車道用弾性舗装路。
【0013】
[4]前記弾性舗装材層に接する基盤の5〜20%が排水構造であり、それ以外の基盤が空隙率10%以内である半たわみ性舗装または密粒アスファルト舗装であることを特徴とする上記[1]項記載の車道用弾性舗装路。
[5]前記樹脂結合剤が一液湿気硬化型ポリウレタンであることを特徴とする上記[1]項記載の車道用弾性舗装路。
本発明の車道用弾性舗装路は、路床の上に基盤層を設け、その上に上記の弾性舗装材層を敷設し、当該弾性舗装の下側に前記のとおり排水構造を有することにより構成される。基盤層と弾性舗装材層との間には、敷設の仕方等によっては、プライマー層あるいは接着層を設けてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の車道用舗装路についてその実施の形態を説明する。
[弾性舗装材]
本発明の車道用舗装路に用いる弾性舗装材は、軟質骨材と硬質骨材を含む骨材を樹脂結合剤で結合してなり、透水性であって空隙率が25〜55%である舗装材をいう。透水性は、表層として敷設した弾性舗装材層が雨水を、水浮きしない程度に吸い込むことをいう。空隙率が上記の範囲に達しないときは、車両走行時の低騒音性の効果が少なく、一方55%を超えると車道用としての耐久性が弱くなる。上記の範囲の中でも低騒音性と耐久性のバランスからみて、空隙率は35〜50%であればより好ましく、40〜50%であればさらに好ましい。空隙率は、例えば弾性舗装材層を敷設するときの転圧の程度によって、調整することができる。
【0015】
・材料
前記弾性舗装材は、軟質骨材を含むことを必須とし、これによって舗装面に弾性が付与され、低騒音性の効果が出てくる。軟質骨材としては、各種エラストマーが挙げられ、特にゴム、ウレタンフォームが一般的に用いられる。
ゴム材料は、天然ゴム、合成ゴムのいずれであってもよく、また単体ゴムであっても混合ゴムであってもよい。合成ゴムとしては、SBR、NBR、EPDM、BRあるいはCRなどが挙げられる。また、上記のゴムを含む材料、例えば上記ゴムでコートした材料または上記ゴムをコートした材料、などのゴム混合物も使用できる。軟質材料は、新規に製造したものであってもよいが、廃ゴムや屑ゴムなどのリサイクルされたゴムを用いることにより、資源の有効利用とコスト低減を図ることができる。
【0016】
軟質骨材の形状は、粒状、不定形塊状、ひじき状など特に限定はされないが、これらのなかでもひじき状ゴムは空隙率を所定の値に調整しやすいという点で特に有利に用いられる。また、粉砕物の場合は切断面に毛羽立ちがあるものが好ましい。
前記硬質材料としては、自然石、木片、クルミ、竹屑、貝殻、けい砂、人口石、スラグ、セラミックス粒子、あるいは硬質プラスチックなどが挙げられる。とりわけ、(1)非常に微小硬度が高い材料、すなわちモース硬度が8以上、好ましくは10以上の材料や、(2)規則正しい結晶格子をもつ材料、例えばセラミック系の材料なかでも人工的に製造されたセラミックスが有利に用いられる。
【0017】
前記(1)の材料は、硬度が高いことにより、被接触物への抵抗を大きくすることができる。また、前記(2)の材料は、磨耗時に結晶格子に沿って破壊する傾向があり弾性舗装材を形成したときの「ウエット時の滑り」の低減効果が保たれること、さらに結晶格子に伴うエッジ効果により水膜が破壊されて同様の低減効果が期待できること、などの点で有利である。
さらに、前記(1)および(2)の材料を併用すると、その相乗効果により、使用当初からウエット時の滑りが低減できるだけでなく、耐磨耗性に優れ結晶格子面に沿って破壊が生じ、ウエット時の滑り防止が長期にわたって維持できる。
【0018】
セラミックス系の材料としては、研磨材、研削材に属する材料が用いられ、均一性、価格の面からみて人造品が好ましい。この素材の特徴は、結晶格子の規則性にある。
前記(1)および(2)の硬質骨材を含む弾性舗装材は、舗装施工において、均し作業、転圧作業、攪拌作業が容易になり、特に粒径が300μm以下のものを使用するとこれらの作業が極めて容易になる。
【0019】
硬質骨材の硬さは、引っ掻き硬さの代表値である(新)モース硬度で表わすとき、一般に8以上の硬度であることが望まれ(例えば、べリリア、チタニア、ジルコニア、ムライト、スピネル、一部チタンカーバイト)、10以上の硬度であればより好ましい(例えば、アルミナ、酸化クロム、炭化ケイ素、一部チタンカーバイト、窒化ケイ素)。特に、人造研削材として工業上使用されている材料は、コスト、性能面で有利に使用できるが、その例として褐色アルミナ、白色アルミナ、淡紅色アルミナ、解砕型アルミナ、人造エメリー、アルミナジルコニア、黒色炭化ケイ素、緑色炭化ケイ素などが挙げられる。硬質骨材は、いずれか1種でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
硬質材料の粒径は、その使用目的などを考慮して適宜選択できる。例えば、500μm以下にすることによりマイクロテクスチチャーの形成が容易になり抵抗が増大され、また前記のように300μm以下にすることにより硬質骨材の露出する表面積が増し、滑り防止などの添加効果が顕著になる。
前記樹脂結合剤としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メタアクリル樹脂、アクリルエマルジョン、アスファルトエマルジョンなどが挙げられる。これらの中でも、軟質で、耐候性、耐水性の優れた硬化性樹脂材料または軟質熱可塑性ポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、接着性や作業性などの種々の特性を考慮するとき、一液湿気硬化型ポリウレタンが最も好ましく、例えば比較的高強度である10MPa以上の引っ張り強度のものが、ウエット時の摩擦係数を高めることができて有利に使用できる。
【0021】
本発明における弾性舗装材には、軟質骨材、硬質骨材および樹脂結合剤以外にも、必要に応じて、適宜、他の材料や添加物を加えてもよく、例えば、顔料、耐候安定剤、酸化防止剤、増量剤、オイル、可塑剤、触媒(有機化合物または無機化合物の触媒、金属触媒)などが挙げられる。
・配合割合と調製
本発明に用いる弾性舗装材は、少なくとも軟質骨材と硬質骨材を含む材料を樹脂結合剤で結合し、透水性を有し、空隙率が25〜55%であるように、軟質骨材、硬質骨材および樹脂結合剤の種類と配合割合を決定する。
【0022】
軟質骨材100重量部に対して硬質骨材2〜50重量部の割合とし、樹脂結合剤は骨材全重量の1/3〜1/10量の割合とする範囲の中から、配合割合を選択する。硬質材料は、弾性舗装の表層近傍に存在せしめることにより、その添加効果が現れやすくなるが、軟質材料100重量部に対して2重量部以上のとき効果が現れはじめ、4重量部以上で効果がより顕著になり、10重量部以上にするとき軟質骨材の露出部分をカバーすることで、ウエット時の滑りがより低減されてくる。一方、50重量部を超えると、弾性舗装として低騒音性の機能が低下してくる。
【0023】
軟質骨材、硬質骨材および樹脂結合剤の配合割合は、最終的に前記の割合とされるが、弾性舗装材を調製する工程において、硬質骨材と樹脂結合剤は複数回に分けて混合される。この混合工程が、(1)前記軟質骨材に、樹脂結合剤を前記量の略半量を加えて混合する工程と、(2)前記硬質骨材の半量以下と、前記(1)工程後の残量樹脂結合剤の半量以下とを追加混合する工程と、(3)残量の硬質骨材と前記(2)工程後の残量樹脂結合剤を1回または複数回に分けて追加混合する工程とを含むようにする。
【0024】
・弾性舗装の敷設
弾性舗装材の施工方法としては、(1)基盤の上に、軟質骨材と硬質骨材に樹脂結合剤を配合した混合物を、必要に応じて基盤にプライマー処理した後、敷設し、転圧後、硬化する方法と、(2) 一旦ブロック体に形成した弾性舗装材を基盤の上に敷設する方法、のいずれかを例えば基盤の種類や状況に応じて選択する。例えば、下地が凹凸や傾斜、カーブなどが多いときは、(1)の施工方法が対応し易く有利である。
【0025】
上記(2)におけるブロック体は、一片が30cm以上であること好ましく、生産性を考えると一片が50cm以上であることがより好ましく、一方で施工性を考えると200cm角よりも小さいことが好ましい。ブロック体には溝状のパターンなどを形成しておいてもよい。
ブロック体を用いる場合の路床の形成には、例えば、砕石を所定の厚みで敷き詰めた砕石層の上に、アスファルトあるいはコンクリートで構成された基盤層を設け、その表面を十分に均してレベル性を出しかつ密にし、必要によりプライマー処理を行う。次いで、前記弾性舗装材を、敷設し、転圧後、硬化させて、舗装を行う。
【0026】
[排水構造]
本発明の車両用弾性舗装路における排水構造は、弾性舗装層の下側に位置し、通過してくる水を受け入れ、舗装路から排水し得る構造体であればよい。例えば、樋、管を敷設してそこに集水し、排水する構造や、砕石層あるいは砂利層のように水のよく通過する層を設けて排水する構造などが挙げられる。排水構造については、弾性舗装層と排水構造の位置関係が重要であり、その形体、材料、構成は、周知の構造を含め、種々選択できる。
例えば、本発明の実施態様によっては、図4のように、基盤自体を排水構造にしてもよいが、この代表例として透水性アスファルトが挙げられる。透水性アスファルトは、地盤への雨水浸透を目的したものであって粒子が非常に粗いアスファルト舗装をいい、それ自体は公知の舗装であるが、本発明においては、次の性状を有するものが好ましく用いられる。
【0027】
透水性アスファルトの空隙率は、通常、10%以上であることを要し、透水性からみると15%以上であることが好ましく、耐久性からみると30%以内であることが好ましく、18〜25%がより好ましい。透水性係数(JIS−A 1218に規定の透水性試験方法による)は、通常は1.0×10-2cm/sec以上であることを要し、5.0×10-2cm/sec以上であれば好ましく、1.0×10-1cm/sec以上であればさらに好ましい。透水性係数の上限は特に制限はないが、1.0×100cm/sec以上であることは殆ど必要としない。
さらに排水性舗装用アスファルト混合物の標準的な粒度範囲を、骨材の最大粒径13mmを例に、表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
[基盤]
本発明の車両用弾性舗装路における基盤は、弾性舗装材層を支持するために路床上に設けられるものであり、車両走行のための安定化構造の機能を有する。その種類としては、前記した透水性アスファルトに加えて、非透水性舗装である、半たわみ性舗装あるいは密粒アスファルトなどが適用できる。半たわみ性舗装は、空隙率の大きな開粒度タイプの半たわみ性舗装用アスファルト混合物に、浸漬用セメントを浸透させて、その硬化によりアスファルト舗装の剛性を高めたものである。また、密粒アスファルトは、通常の車道用舗装に用いるものである。
【0030】
【実施例】
以下に、本発明の車両用弾性舗装路の形態例および比較形態例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
はじめに、本発明における弾性舗装材の配合材料(軟質骨材、硬質骨材および樹脂結合剤)とその作製例を示す。
<軟質骨材>
ゴムチップ(1): EPDMとSBRのブレンドゴムチップ(住友ゴム工業製「1KA」平均粒径3〜5mm)
ゴムチップ(2): 住友ゴム工業製「ひじき状ゴムFR24」
<硬質骨材>
(1)シリカ:住友ゴム工業製の「シリカサンド7号」
(2)アルミナ砥粒:理研コランダム社製の「C60」
<樹脂結合剤>
MDI系一液硬化型ウレタン樹脂(住友ゴム工業製「グリップコートGB0007」)
弾性舗装材1
軟質骨材としてゴムチップ(1)100重量部および硬質骨材として「シリカサンド7号」32重量部とを、バインダー「GB0007」32重量部で結合してなる弾性舗装材を、次の工程により製造した。
【0031】
[1] ゴムチップ(2)100重量部(全量)を万能攪拌樹に投入し、そこに前記バインダーの1/2量(16重量部)を投入しながら混合し、均一な混合物とした。
[2] そこに、硬質骨材「シリカサンド」の1/2量(16重量部)を追加し、残量バインダーの1/2量(5重量部)を加えてよく混合し、均一な混合物とした。
【0032】
[3] 上記[2]で得た混合物に、残量の硬質骨材「シリカサンド」の1/2量(8重量部)と残量バインダーの1/2量(2.5重量部)を追加しよく混合した。
[4] 上記[3]で得た混合物に、残量の硬質骨材「シリカサンド」8重量部を2回に分けて追加し、また残量バインダー2.5重量部を加えてよく混合した。
[5] 上記の混合物を転圧して、空隙率40.5%に調整する。
【0033】
弾性舗装材2
軟質骨材としてゴムチップ(2)100重量部および硬質骨材として「アルミナ砥粒」20重量部とを、バインダー「GB0007」27重量部で結合してなる弾性舗装材を、前記弾性舗装材1におけると同様の工程により、各材料を小分け追加する作業手順で、空隙率48%の弾性舗装材を得た。
上記の弾性舗装材1と2を比べると、1は排水性の面で2より優っている。また、2は1よりも排水性は低めであるが騒音低減性が優れており、排水性と低騒音性のバランスがよりとれている。
【0034】
形態例1
図1は、路床5上において、基盤(半たわみ舗装)4の上に透水性の弾性舗装材層2が敷設された車道用弾性舗装路1であって、前記弾性舗装材層の敷設端部に設けた下方側段部に接して排水構造3を有する、本発明の車道用弾性舗装路の一例を示す。この図は、舗装路の片側だけを図示した縦断面模式図であり、もう一方の側も同様の構造を有する(以下の図面においても同様である)。図中、hは車両走行幅hを示す。雨水は、車道用弾性舗装路1の表面を構成する弾性舗装材層2を透水し、端部に設けた排水構造3から排水される。基盤4は、空隙率10%以内である半たわみ性舗装または密粒アスファルト舗装とし、弾性舗装材層2を透水してきた水は基盤4の上面から端部の排水構造3の方向に流れて排水される。
排水構造3は、前記弾性舗装材層2の底面部よりも下方に流水を導く構造になっている。
【0035】
本排水構造3を設けたことにより、弾性舗装材層2の表面は、雨水がほぼ滞留しない状態に保つことが可能であり、車両走行時にも水の浮き上がり現象はみられなくなる。それに加えて、弾性舗装材層2の敷設端部に設けた下方側段部に排水構造を設けていることから、舗装路の表面の美観が損なわれることがない。
形態例2
図2は、前記弾性舗装材層2の底面に勾配kを設けて、排水構造3への水の進行を速やかにした、本発明の車道用弾性舗装路の例を示す。この勾配kは、道路の中央部から、両端部側に設けることにより、排水構造3への集水がより速やかに行われ、弾性舗装材層における水の滞留がよく防止できる。本排水構造3を設けたことにより、弾性舗装材層2の表面は、雨水が滞留しない状態に保たれ、車両走行時にも水の浮き上がり現象はみられなくなる。
【0036】
形態例3
図3は、基盤上に透水性の弾性舗装材層2が敷設された車道用弾性舗装路1であって、前記弾性舗装材層2の底面に接する基盤(4+3)の一部を排水構造3にした、本発明の車道用弾性舗装路の一例を示す。基盤(4+3)は、排水構造3以外は非透水舗装4であって、例えば、空隙率10%以内である半たわみ性舗装または密粒アスファルト舗装とする。ここで、基盤の一部とは、上側面積全体の5〜10%程度を排水構造にすることが目安になる。これよりも少なければ、排水性が十分ではなく、逆にこれよりも大きくすると排水構造によっては、弾性舗装材層を支える基盤としては弱くなる。
【0037】
本排水構造3を設けたことにより、弾性舗装材層2の表面は、雨水がほぼ滞留しない状態に保たれ、車両走行時にも水の浮き上がり現象はみられなくなる。
形態例4
図4は、基盤上に透水性の弾性舗装材層2が敷設された車道用弾性舗装路1であって、前記弾性舗装材層2の底面に接する基盤4(3)の全部を排水構造3にした、本発明の車道用弾性舗装路の一例を示す。この基盤4と排水構造3を兼ねる舗装としては、例えば透水性アスファルト舗装が用いられる。本排水構造3を設けたことにより、弾性舗装材層2の表面は、雨水の滞留しない状態に保たれ、車両走行時にも水の浮き上がり現象はみられなくなる。本形態例においては、前記弾性舗装材2を用いた場合であっても排水性に優れているので、より好ましい形態である。
【0038】
比較形態例1
図5は、基盤(半たわみ舗装)4’の上に、弾性舗装材層2を設けているが、排水構造が設けられていない、舗装路を示す(通常のアスファルト舗装において、表層をアスファルトに代えて単に弾性舗装材層にしたもの)。この構造では、雨水が弾性舗装材層に滞留しやすく、表面の乾燥状態が不十分であり、走行圧力により表面に水が浮き出てくる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の車両用弾性舗装路は、低騒音性であると共に、雨水等が弾性舗装材層に留まることなく順次、排水される。従って、車両が走行してもその圧力で水が浮き上がってくる恐れがないことから、ハイドロプレーニング現象等が防止され、安全走行に貢献し得る。また、弾性舗装材層に、常時、水分が存在することは、結合剤である湿気硬化型のエポキシあるいはウレタン樹脂が水と反応して酸素ガスを発生し、弾性舗装劣化の原因となり易いが、本発明によると弾性舗装材層に透水した水は速やかに排除されるのでこの劣化が防止され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用弾性舗装路であって、排水構造が弾性舗装材層の敷設端部に設けた下方側段部に接して位置する例を示す。
【図2】本発明の車両用弾性舗装路であって、弾性舗装材層の底面が勾配になって排水構造に接している例を示す。
【図3】本発明の車両用弾性舗装路であって、排水構造が基盤の一部に位置する例を示す。
【図4】本発明の車両用弾性舗装路であって、基盤自体が排水構造である例を示す。
【図5】弾性舗装路において、弾性舗装材層を単に基盤上に設けた例を示す。
【符号の説明】
1:車両用弾性舗装路
2:弾性舗装材層
3:排水構造
4:基盤
5:路床
6:非透水構造
h:車両通行幅
k:勾配
Claims (5)
- 基盤上に、軟質骨材と硬質骨材とを含む骨材を結合樹脂で結合してなる弾性舗装材層が敷設された車道用弾性舗装路であって、
(1)前記弾性舗装材層の敷設端部に下方側段部を設け、これに接して排水構造を有するか、または前記弾性舗装材層の底面に接する基盤の一部または全部を排水構造とし、(2)前記弾性舗装材層が透水性であって空隙率が25〜55%であり、かつ(3)前記弾性舗装材層の底面に水を端部方向に流すための勾配が設けられており、
前記弾性舗装材層が軟質骨材100重量部と硬質骨材2〜50重量部とを、樹脂結合剤を骨材全重量の1/3〜1/10量を用いて結合してなり、当該弾性舗装材が(1)前記軟質骨材に前記樹脂結合剤を前記量の略半量を加えて混合する工程と、(2)前記硬質骨材の半量以下と、前記(1)工程後の残量結合樹脂剤の半量以下とを追加する工程と、(3)残量の硬質骨材と前記(2)工程後の残量樹脂結合剤を1回または複数回に分けて追加する工程、により配合した混合物として基盤上に、転圧後、硬化して敷設されていることを特徴とする車道用弾性舗装路。 - 前記弾性舗装層の敷設端部に下方側段部を設け、これに接する排水構造が、前記弾性舗装材層の底面部よりも下方に流水を導く構造であることを特徴とする請求項1記載の車道用弾性舗装路。
- 前記弾性舗装材層の底面に接する排水構造としての基盤が透水性アスファルト舗装であることを特徴とする請求項1記載の車道用弾性舗装路。
- 前記弾性舗装材層に接する基盤の5〜20%が排水構造であり、それ以外の基盤が空隙率10%以内である半たわみ性舗装または密粒アスファルト舗装であることを特徴とする請求項1記載の車道用弾性舗装路。
- 前記樹脂結合剤が一液湿気硬化型ポリウレタンであることを特徴とする請求項1記載の車道用弾性舗装路。
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