JP4049382B2 - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は流延製膜法により高分子のフィルムを一軸延伸してポリカーボネートからなる位相差フィルムを製造する方法およびその装置に関する。更に詳細には、ポリカーボネートからなるフィルムを走行方向に一軸延伸してレターデーション(複屈折率と厚みの積)の斑(位相差補償フィルムとしたときの色斑、視野角特性の斑)などを発生しないポリカーボネートからなるフィルムの製造方法およびその装置に関するものである。
光透過性でかつ複屈折性を有する熱可塑性高分子フィルムによる位相差板は防眩材料として、また、F−STN方式の液晶表示装置における位相差補償板としてその用途が広がっている。高分子フィルムの位相差板は、延伸による分子配向によって生じる複屈折性を利用するものである。この位相差板の製造方法として各種の高分子フィルムを一軸延伸によって製造する方法は既に知られている。一般には固有複屈折性の大きいポリカーボネート系樹脂を一軸延伸したものが用いられている。従来の技術として、縦一軸延伸法による位相差フィルム及びその製造方法に関し、いくつかの技術が提案されている。これらを主要技術課題と対比して見るならば、次のように要約される。
特許文献1には、主にポリカーボネート系樹脂フィルム又はシートについて、ロール間距離がフィルム幅の5倍以上となる条件で、延伸軸と直交する方向の長さと延伸前の長さの比が1/延伸倍率の平方根〜1/延伸倍率の3乗根、すなわちネックイン率を(1−1/延伸倍率の平方根)×100%〜(1−1/延伸倍率の3乗根)×100%となるように幅方向に一定の収縮を行い得る二軸延伸機を用いて延伸する方法、又は縦一軸に自由幅で延伸する方法が提案されている。しかし、この製造方法においてはロール間距離を5倍以上に設定する必要があるため巨大な延伸装置を要し、また、延伸ロール間にガイドのためのフリーロールを要する等の設備上の制約が大きいという問題点がある。
また、特許文献2には、ポリカーボネート重合体フィルムを縦一軸延伸して作る位相差フィルムの製造方法において、延伸域の中に前記フィルムのガラス転移温度からガラス転移温度より10℃低い温度までの温度である熱緩和域を有する、視野角特性の向上した平面性の良好な位相差フィルムの製造方法が記載されている。また延伸を行う2対のロール間の距離とフィルム幅の比が5以上である方法も記載されている。この方法もやはり、巨大な延伸装置を要するという設備上の制約が大きいという問題点がある。またこの製造方法においては、延伸域の中に前記フィルムのガラス転移温度から、ガラス転移温度より10℃低い温度までの温度である熱緩和域を有するようにするが、この熱緩和方法はその温度条件がガラス転移温度よりも低い温度であるため、緩和のために要する時間が極めて長く必要であるという問題があり、視野角特性の優れた位相差フィルムを製造するにはまだ問題が残されている。
この点に着目して、特許文献3には巨大な設備を要する等の設備上の制約が少なく、より視野角の広いポリカーボネート系位相差板を容易に製造できる方法が提案されている。これは延伸時のニップロール間のフィルムの長さを公知文献より小さく、フィルム幅の1〜3倍にとり、特定の温度、倍率条件下で一軸延伸するものである。この製造方法においては、一軸延伸を行う時にフィルムがニップロール部分で滑りを起こし、フィルム面にスクラッチが入ることがある。この防止のためにはニップの位置を微妙に調整するか又は延伸前の加熱ロールの温度を調整するかして延伸点(又は延伸線)を微妙に制御し延伸点がロール上に乗らないように制御しないとスクラッチが出やすいという問題がある。また、延伸開始点では延伸張力がかかり、幅の収縮が起こるためにフィルム幅方向で縦しわが(巾方向の端部では内向き斜め方向に、センター部付近では縦方向にほぼ並行に)入り、ロール表面へのフィルム接触が悪くなる部分を生じる。その結果、幅方向で温度差のある不均一延伸となる結果レターデーション値の斑や遅相軸の角度の斑を生じ易いという問題がある。更に、フィルムの幅方向で延伸線が曲がる(幅方向の中央部の延伸が遅れ、両端部が早まる)いわゆるバウイング現象が起こり、遅相軸の角度がフィルムの幅方向で(フィルムの両端部に向かって角度が大きくなるような)斑が発生する問題やレターデーション値の範囲や微小な範囲のレターデーション値のバラツキが大きくなるという問題がある。
また、特許文献4にはフィルムを縦一軸延伸する位相差板の製造方法において、熱可塑性樹脂フィルムの幅方向に温度勾配を設けて縦一軸延伸する方法も開示されている。この方法は確かに効果があると思われるが延伸前のフィルムの特性に応じて温度勾配を微妙に付ける必要が生じ、実際は製造上の制約条件を大幅に増やすなどの問題がある。即ち、フィルムの幅方向の温度を微妙に制御できたとしても、レターデーション値の斑を決める要因はフィルムの厚みの幅方向の斑にもあり、フィルムが変わる都度そのフィルムの厚み斑に合わせて、その温度をフィルム幅方向で微妙に制御する等煩雑な操作も必要になるという問題がある。
更に、延伸時に生じる光学斑を解消する方法として延伸時のフィルム中の溶媒量を規定する方法が開示されている。これらの公知文献として特許文献5、特許文献6、並びに特許文献7等をあげることができる。これらの方法は溶媒量を比較的多くして一軸延伸を行うものである。これらの方法によれば含有溶媒量に応じて見かけ上のガラス転移温度は下がるから、確かに比較的低温で延伸を実施できる利点がある。
特許文献5には残留溶媒と温度によって決定される膜の降伏値以下の条件で膜にかけるテンションと乾燥温度とを規制することを特徴とする位相差膜の製造方法が記載されている。この方法は別に熱処理の工程を必要としない適当な位相差を有する流延製膜法による位相差膜の製造方法を提供するものである。この方法は含有溶媒フィルムの降伏値の差を利用して延伸(開始)をする方法である、この方法では延伸開始線を幅方向で一直線にするのが難しいため、幅方向のレターデーション斑を生じやすい問題がある。
特許文献6には延伸直前のフィルムの溶媒含有量を固形分基準で2〜10%にして延伸することを特徴とする斑の発生の少ない品質の良好な位相差フィルムの製造方法が記載されている。これは位相差フィルムの光学的斑が延伸工程時の流延製膜に含まれる溶媒量を規制することによって解消できることを見いだした結果発明されたものである。この方法では、延伸を行う前の残留溶剤の量が多いので延伸後目標の残留溶媒量にするためには乾燥設備の巨大化又は著しい生産速度の低下が避けられないという問題がある。溶媒含有量が多いフィルムを延伸するためレターデーション値を所望の値に合わせることや、微小なレターデーションの斑を制御することが難しい。乾燥の能力が低いと溶媒含有量がフィルム面内において不均一で、部分的に延伸性に差が生じこれにより延伸後の複屈折斑が生じることが原因である。
特許文献7には、溶媒含有量が固形分基準で3〜10%の範囲にあるときに155℃以上、175℃以下の雰囲気内において、延伸する視野角特性に優れた位相差フィルムの製造方法が記載されている。
この方法はしかし、延伸時のフィルム中の溶媒量が多いために延伸工程で加熱による溶媒の急激な蒸発が起こり微小な気泡が発生する問題が起こる他、延伸フィルムの均一性(光学的均一性)を制御するのが容易で無いばかりでなく、延伸処理後にも残量溶媒が残りやすく、この残存溶媒が液晶表示装置用の部品を作成するときに悪影響を及ぼす場合がある。延伸後の残存溶媒量を更に少なくしようとすれば、乾燥のための工程を追加する必要があるなどの課題がある。また、視野角特性も改善されるが、残存溶媒量の多い状態で延伸するため、この溶媒の可塑化効果によりレターデーション値が上がりにくいとか、視野角特性の改良も不十分であるという課題もある。これらの中で特に大きい問題は局部的にフィルムの不均一性(レターデション値の斑、微小レターデーション値の斑、遅相軸の斑)が起こり易いという問題がある。
特許文献8には溶媒含有量を2重量%未満である状態で延伸する技術が提案されている。この方法は、高濃度溶媒含有によって部分的に延伸性に差が生じこれにより延伸後の膜厚及び高分子の配向性、即ち、複屈折性に斑を生じることを改良するためのものである。しかし、含有溶媒量を減らして延伸するにしても延伸前のフィルムのレターデーション値や遅相軸の角度などを厳密に制御して延伸しなければ均一な特性のフィルムを製造することは極めて難しい。また、延伸開始点でフィルムに発生する縦皺を防止しなければ微小な範囲での位相差斑を生じ、品質の優れた位相差フィルムを作るにはまだ問題が残されている。
また特許文献9にはポリカーボネートフィルムをガラス転移温度以下でかつ弾性変形限界内でロール間で一軸延伸する位相差フィルムの製造法が記載されている。また特許文献10にはポリカーボネートフィルムを2対以上の周速度の異なるロール間で一段当たりの延伸倍率が3%以下であるように多段一軸延伸する位相差フィルムの製造法が記載されている。前者のガラス転移温度以下の温度でロール間で一軸延伸する方法では引っ張りの応力が極めて高くなるためフィルムが延伸直前のロール面上で滑り、滑り傷を発生しやすくなるという問題がある。また後者の多段一軸延伸の場合には、高い延伸応力による滑り傷は起こり難くなるが、多段延伸のため各延伸ロールの速度をフィルム厚みの変化等に応じて微妙に変化させることが必要となり、操作が煩雑になる問題がある。
特開平2−191904号公報 特開平3−235902号公報 特開平5−150115号公報 特開平8−101306号公報 特開平4−282212号公報 特開平4−204503号公報 特開平5−113506号公報 特開平8−211224号公報 特開平4−84106号公報 特開平4−84107号公報
位相差用フィルムの製造における技術課題、位相差板の備えるべき特性は次のように要約される。
1)透明性が優れることに加えて、フィルムの外観欠点、例えば擦り傷やスクラッチ、フィルムの波打ち等が無く、平坦性が良いこと。
2)レターデーション値の変化の範囲及び遅相軸の角度の変化の範囲が小さいこと。液晶表示画面の大型化にともなって、部材も大型化する必要から各種の問題が顕在化している。即ち、フィルムの小さい範囲でなら比較的容易に制御できた特性値も、大型化にともなって、より広く大きいフィルムにおける特性の均一性が要求されている。例えば、位相差フィルムの面内において相互に10cm離れた2点間のレターデーション値の差が5nmを超えると、液晶表示装置に生じた色斑が肉眼でも識別でき、液晶表示装置として使用できないとされている。これより、ロール状に巻かれたフィルムの巾方向、長さ方向のどの場所でレターデーション値を測定してもその範囲が5nm以下であることが要求される。また遅相軸に関しても同様にフィルムロールのどの場所で部材を切りとっても均一であることが要求されている。
3)微小な範囲のレターデーションの斑が小さいこと。微小な範囲の例えば,フィルム面上で10mm離れた点のレターデーション値の差が1.5nm以下であることが要求されている。この値を超える場合には偏光板間にフィルムを挟んで見た場合に色斑が検知される場合があり得るし、位相差板同士や位相差板を偏光板とを複数枚重ねて液晶表示素子として用いた場合にレターデーション値の斑が加算されることがあり、色斑となって検知されるため問題になる。
4)視野角特性を極力大きくすること。視角を大きくした場合にも液晶表示装置の表示が良好に見えるようにする必要がある。液晶表示装置の画面の大型化にともない、そこで使用される位相差フィルムの大きさも大きくなり必然的により大きな面での特性値の均一性の要求が増大する。
本発明者らは上記課題を解決のため、溶液キャストフィルムの一軸延伸のメカニズムを鋭意検討の結果下記の如き知見を得て、本発明に到達した。
本発明において、(1)ポリカーボネートと塩化メチレンとからなる溶液を支持体上に流延し、(2)形成された液膜を支持体より剥離して、(3)乾燥した後、(4)一軸延伸し、ポリカーボネートからなる位相差フィルムを製造する方法において、該一軸延伸工程(4)を第1段階の延伸および第2段階の延伸で行ない、かつ該第2段階の延伸を該第1段階の延伸の温度よりも1〜20℃高い温度で行ってポリカーボネートからなる位相差フィルムを製造する。
本発明方法の高分子よりなる位相差フィルムは、製品ロール状フィルムの全幅並びに巻き取り方向の全長において厚み、レターデーションの範囲、並びに微小な範囲のレターデーションの斑が小さく、遅相軸の大きさも小さく良好でかつ均一性に優れており、また透明性に優れ、スクラッチや擦り傷が無いため、生産性、作業性が著しく向上して、産業上極めて有用である光学用途に好適な高分子の位相差フィルムを提供することができる。
本発明において用いられる高分子については、希望するフィルムの諸特性が得られるものであれば特に制約はなく、従来公知のもので溶液流延法で製膜できるものが挙げられる。すなわち溶液流延法に必要な濃度、粘度を持った溶液を形成する高分子溶液であれば本発明方法に適用でき、ポリカーボネートが好ましい。
一般に、ポリカーボネートと総称される高分子材料は、重縮合反応が用いられ主鎖が炭素結合で結ばれているものを総称する。これらのうちでもビスフェノール誘導体と、ホスゲン或いはジフェニールカーボネートから重縮合反応により得られるものを意味する。経済性及び物性面からビスフェノールAと呼称されている2、2ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカーボネートが好ましく使用されるが、適宜各種ビスフェノール誘導体を選択することで、ポリカーボネート共重合体を構成することが出来る。
かかる共重合成分として、ビス(4ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4ヒドロキシフェニル)−3,3,5トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4ヒドロキシ−3メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)−2フェニルエタン、2,2ビス(4ヒドロキシフェニル)1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、ビス(4ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4ヒドロキシフェニル)スルフォン等をあげることができる。更に、これらのフェニル基の水素基が一部メチル基やハロゲン基で置換されているものも含む。
また、一般にテレフタル酸及び/又はイソフタル酸成分を含むポリエステルカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノールAからなるポリカーボネートの構成成分の一部に使用することによりポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができるが、このような共重合体も本発明では用いることができる。
本発明において用いられるポリカーボネート系樹脂は、濃度0.5g/dlの塩化メチレン溶液中20℃での粘度測定から求めた粘度平均分子量で、10,000以上200、000以下、好ましくは20,000以上120,000以下の範囲が好適に用いられる。粘度平均分子量が10、000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合がある。また200,000以上の高分子量になるとドープ粘度が高くなりすぎて溶解やキャスト工程での取り扱い上問題を生じるので好ましくない。
本発明において用いられる溶媒としては塩化メチレンを主体とする溶媒が挙げられる。
ポリカーボネートの溶液を調製する具体的方法としては、塩化メチレン中にポリカーボネートを投入攪拌して溶解する方法が挙げられる。要すれば、予め塩化メチレン中に剥離助剤として所定量のエタノールを混合しておき、そこにポリカーボネートを投入して室温で攪拌溶解する。このようにして得られた溶液を、公知の方法でスチールベルトやドラム又は支持体フィルム(一般的にはポリエステルの2軸配向フィルム)面上などに、キャストし、乾燥して半乾きの状態(この時の含有溶媒量は約20wt%以下である)で支持体より剥離する。
本発明においてポリカーボネートと塩化メチレンとからなる溶液の濃度を10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%に調製することにより溶液流延法により好適にフィルムを製膜することができる。
本発明においては、乾燥工程(3)は、(3−1)ピンテンターにてフィルムを把持しつつ乾燥する工程、および(3−2)ロール懸垂型乾燥装置を用いて乾燥する工程からなることが好ましい。
乾燥工程(3−1)において、支持体より剥離して得られた溶媒含有フィルムはピンテンターにてその両端を把持された(通常はピンで突き刺し固定して搬送する)状態で連続的に加熱乾燥することができる。この工程で大量の溶媒の蒸発が起こるためにフィルムが収縮する。その収縮に対応して収縮応力が発生し、レターデーション値や遅相軸の斑が発生するので収縮応力を緩和するようにピンテンター把持時のフィルム幅と熱風温度とを所望の設定値に調節することが好ましい。
その加熱温度は温度(Tg+10)〜(Tg+90)℃に制御することが好ましい。 (Tg(℃)は溶媒を含有するポリカーボネートからなるフィルムのガラス転移温度であり、この温度は乾燥が進むにつれ残留溶媒含有量の減少とともに上昇する。)具体的にはポリカーボネート溶液の場合は90〜130℃に制御することが好ましい。
ピンテンターの熱風温度が(Tg+10)℃より低い場合には溶媒の乾燥が十分に行われないために次のロール懸垂型乾燥装置における乾燥工程において含有溶媒の影響により延伸直前のフィルムの特性を制御できないことがある。また、熱風温度が(Tg+90)℃を超える場合には特に光学特性(レターデーション値や遅相軸並びにそれらの分布)が所望の値からはずれてしまうことがある。
またピンテンターでポリカーボネートからなるフィルムを、把持した後ピン間距離即ち延伸軸と直交する方向のフィルムの長さが2〜5%収縮するようにピン間距離を制御することが好ましい。ピンテンターのポリカーボネートからなるフィルム把持のピン間距離の縮小量を2%よりも少なくした場合、溶媒蒸発による収縮応力が大のためレターデーション値や遅相軸の大きさや分布が所望の値にならないことがある。また、ピン間距離の縮小量を5%よりも大きくした場合、ピンテンター中の走行中にフィルムが垂れ下がりその結果フラット性が悪くなり次の工程で走行不良が生じることとなり、本発明の目的が達成できなくなることがある。
ピンテンターの出口においてはフィルムを冷風で室温まで冷却し構造を固定することができる。
上記(3−1)のピンテンターにおける乾燥工程後のポリカーボネートからなるフィルムの特性値は、残留溶媒量3.5〜4.5wt.%、レターデーション値10〜15nmおよび、遅相軸の角度−10〜+10度を満足するものであることが好ましい。
続いて、ピンテンターのピンで把持した約50mmの両エッジ部を切除することが好ましい。両エッジ部を切除しない場合にはピンの突き刺し部がでこぼこしており次の工程へ搬送するためのロール面上をフィルムがスムースに走行しなかったり、ピンの突き刺し孔等から生じた白粉(ピンによる削れ粉)がフィルムの製品になる部分に付着し汚染することがある。
次いで、フィルムをロール懸垂型乾燥装置に通膜し、上記(3−2)のロール懸垂型乾燥装置を用いる乾燥工程によりさらに乾燥させることが好ましい。またこの工程は延伸前のフィルムの予熱処理工程も兼ねている。
ロール懸垂型乾燥装置の乾燥処理条件は、温度(Tg−20)〜(Tg+10)℃、張力1〜2.5Kg/cm程度が好ましい。(Tg(℃)は溶媒を含有するポリカーボネートからなるフィルムのガラス転移温度であり、この温度は乾燥が進むにつれ残留溶媒含有量の減少とともに上昇する。)
上記(3−2)のロール懸垂型乾燥装置で乾燥処理した後の、一軸延伸工程に供せられるフィルムの望ましい特性値は、ポリカーボネート溶液からのものについて含有溶媒量:0.5〜2.0wt.%、より好ましくは0.5〜1.6wt.%。レターデション値:10〜20nm、より好ましくは10〜15nm、及び遅相軸の角度:−7〜+7度を同時に満足するように制御することが望ましい。これらの特性値が上記の範囲を外れる場合、次の延伸の工程で良い条件を見いだすことができず特性の優れた位相差フィルムを製造することが難しい。
一軸延伸工程に供せられるロールに巻き掛けられたポリカーボネートからなるフィルムはニップロールでおさえることが好ましい。また延伸は延伸直前のニップロール又はピンチロール上で実質的に起こることなく、フィルムがニップロールを離れた直後に開始することが好ましい。該フィルムの延伸線(延伸開始線)がフィルムの幅方向に渉って湾曲(いわゆるバウイング)しないように延伸を開始することが好ましい。
上記(4)の一軸延伸工程ではポリカーボネートからなるフィルムを所定倍率一軸延伸するが、本発明において該一軸延伸を第1段階の延伸および第2段階の延伸で行ない、かつ該第2段階の延伸を該第1段階の延伸の温度よりも1〜20℃高い温度で行う。一軸延伸を2段階の温度で行うことによりレターデーション(複屈折率と厚みの積)の斑(位相差補償フィルムとしたときの色斑、視野角特性の斑)などを発生しないフィルムを製造することができる。
本発明における第1段階の延伸の温度は(Tg+10)℃〜(Tg+35)℃が好ましい。さらに第2段階の延伸の温度は第1段階の延伸温度よりも5〜10℃高い温度が好ましい。(ここで言うところのTgとは溶媒を含有する場合のガラス転移温度のことであり、この温度は乾燥が進むにつれ残留溶媒含有量の減少とともに上昇する。)
延伸温度をこのように設定することによって一軸延伸におけるフィルムの幅方向の自由収縮により、延伸方向の主屈折率をn、延伸方向に直交方向の主屈折率をn、厚み方向の屈折率をnとしたときのnの低下とnの上昇がおこり易く、また縦方向の弛緩の寄与も効いて、視野角特性を向上させることができる。延伸の温度が(Tg+10)℃以下の場合には、この縦と横方向の分子鎖の弛緩が起こりにくいからこの様な場合にはこの弛緩の時間を長く採ることが必要となり、ロール間長を長大とするか、又は熱弛緩のための工程が別途必要となる。
第1段階の延伸温度が(Tg+35)℃より高い場合には分子鎖の配向をあげることが難しくなり、得られるフィルムのレターデーション値の斑が増大することがある。延伸温度は延伸後の残留溶媒量を極力少なくするためや幅方向の高分子鎖の配向緩和を十分にして視野角特性を向上させるためにも上記温度範囲の中でも比較的高温度を採ることが好ましい。
第1段階の延伸は延伸倍率1.1〜3.2倍であり、第2段階の延伸は延伸倍率1.01〜1.20倍であることが好ましい。ここでいう延伸倍率とは第1段階、第2段階の延伸ともに延伸前の元の長さに対しての延伸倍率を意味する。
延伸ロールと延伸終了後のロール間でフィルムを空気噴流で加熱して第1段階の延伸を実施する。空気噴流は幅方向で均一に熱風がでるようにしたスリットノズルによって、延伸ロールをフィルムが離れる直後に吹き付け、延伸が開始されるようにすることが好ましい。熱風の噴流の速度はフィルムへの熱伝達率を極力アップするため15〜30m/secの範囲が好ましい。このための装置として、空気浮遊式の熱風装置を好ましく用いることができる。延伸中のフィルム全面にわたって熱風を吹きつける上で、また熱風の風速、熱風の温度を延伸ロール間のフィルム走行方向で変えることもできるのでこの方法は極めて好都合である。
また第2段階の延伸は第1段階と同様な空気噴流式加熱延伸法、ロール間にフィルムを巻き掛けて延伸するなどの装置を用いて実施することができる。とりわけ空気噴流式加熱延伸法が得られるフィルムの光学特性の均一性、表面欠点が無いなどの点から好ましく用いられる。
第1段階の延伸において、延伸温度とロール間長(延伸スパン)を厳密に制御することが好ましい。第1段階の延伸の開始点(又は延伸開始線)から延伸終了までの長さ、とくに第2段階の延伸の間にニップロールを設けた際には延伸の開始点(又は延伸開始線)から延伸ニップロール間の長さを、延伸されるフィルムの幅に対して1.5倍以上4.0倍以下にすることが好ましい。
ロール間長(延伸スパン)が延伸前フィルム幅の1.5倍以上であれば、フィルムが延伸され延伸の終了点がこの間にある間にフィルム幅及び厚みの自由な変化(幅及び厚みの減少)が起こる。いわば、自由幅一軸延伸、自由厚み一軸延伸となって屈折率nとnとが等しくなるような理想の一軸延伸構造となり視野角特性が向上する。
ロール間長(延伸スパン)がフィルム幅に対して1.5倍以下の場合には、フィルム幅方向の自由な収縮に基ずく高分子鎖の延伸軸に沿う回転が起こりにくいため、いわゆる面配向が大きい(厚み方向の屈折率が小さい)ままでフィルムの光学的構造が固定されることがある。即ち、屈折率nとnとが等しくなる理想の一軸延伸とはならず、視野角特性は向上しないことがある。
また第1段階の延伸終了点でニップロールでフィルムをニップしてもよいし、ニップしないで第2段階の延伸を行なっても良い。第1段階の延伸終了点でニップをする際には、フィルムの温度が高いままニップすると延伸時に発生した小さなピッチの波状斑がロールで押さえられ、しわが固定されてしまうことがある。また第1段階の延伸の温度に比べニップロール系の温度が低すぎた場合は熱膨張していたフィルムが収縮してしまうためフィルムにしわが寄ってしまうことがある。したがってニップロール系の温度を第1段階延伸の温度よりも5℃〜100℃低くなるように調整することが好ましい。
第2段階の延伸終了後のフィルムを次いで室温まで冷却することが好ましい。この際、フィルム温度を延伸温度から室温まで急激に下げるいわゆる急冷を行うと皺の入った位相差フィルムができてしまうことがある。延伸後のフィルムを急冷すると熱膨張分の収縮を起こすから、フィルムを空間で冷却する場合にも、また、フィルムをロールに接触させて冷却させる場合にも、フィルムの縦方向に平行な皺が数多く入ってしまう。この膨張、収縮による皺は急冷するとそのまま固定され縦方向にほぼ並行な波板状のいわゆる波皺となって残る。この波板状の皺は延伸後のフィルムを100〜150℃の温度でロールに接触させるか又はロール間で空気熱処理しひきつづき室温まで冷却すれば解消できる。
また本発明におけるポリカーボネートからなる位相差フィルムの製造装置は第1図および第2図に示すような、キャスト製膜装置(A)、フィルムの剥離装置(B)、ピンテンター乾燥装置(C)、ロール懸垂型乾燥装置(D)、第1段階延伸装置(E)、第1冷却室(F)、第2段階延伸装置(G)、および第2冷却室(H)を備え、かつこれらの装置がこの順序に配置されており、かつ第2段階延伸装置の温度条件が第1段階延伸装置の温度条件に比べ1〜20℃高い装置である。この製造装置にフィルムを連続して通膜し処理することができる。第1段階延伸装置(E)と第2段階延伸装置(G)の中間にニップロールを設けないものを図1、ニップロールを設けたものを図2に示す。
このようにして、溶液製膜法によって液晶表示素子の構成素子としての要求特性を満たす、ポリカーボネートからなるフィルムよりなり、厚みのフレ幅が小さく、レターデーション値の範囲、レターデーション値の微細な斑も小さい、視野角特性の優れた位相差フィルムを製造することができる。
以下に実施例により本発明を詳述する。なお、測定は以下の方法で実施した。
[レターデーション値及び遅相軸角度の測定]
フィルムの幅方向サンプル全幅についてレターデーション連続測定器(新王子製紙(株))製の商品名KOBRA−21SDH)により5mm間隔でレターデーション値を測定した。このデータより測定サンプル全幅におけるレターデーション値の差を求めた。即ち全幅の範囲のレターデーション値の最大値と最小値の差をとり、均一性の尺度(単位nm)とした。またフィルム全幅について5mm間隔で測定した値の、次の隣りの点との間、即ち10mm間のレターデーション値の差を測定し、その最大値をフィルム微小部分のレタデーションの最大値とし、均一性の尺度(単位nm)とした。この値が大きい場合にはフィルムを偏光板間にはさんでみるときにこの部分が筋状の色斑となって見える場合がある。
測定のサンプル長は幅方向全長を、長さ方向の場合には1mを測定長とした。
[フィルム中の含有溶媒量の測定]
溶媒を含有したフィルム約5gを採取し、170℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた後室温まで冷却した。乾燥前後の重量変化率(化学天秤で精秤した)より固形分基準の溶媒含有量を求めた。フィルム幅方向測定の場合幅方向に5等分して測定した。
[視野角特性の測定]
自動複屈折率測定装置(新王子製紙(株)製の商品名KOBRA−21ADH)を用いてフィルムの法線方向のレターデーションRe(0)とフィルムの法線と40度の相対角度で斜入射したときのレターデーションRe(40)を測定し、その差の絶対値からレターデーションの変化率を求めた。
[|Re(0)−Re(40)|/Re(0)]×100
この変化率の小さな方が視野角特性に優れることを意味する。
[見かけのガラス転移温度Tg1〜3(溶媒を含んだフィルムのTg)の測定]
溶媒を含むフィルムサンプル約10mgを用い、加熱速度10℃/min.でDSC曲線(DSC測定装置はDSC V4 OB DuPont2000を用いた)を求めた。この曲線の立ち下がり(変曲点)部を見かけのガラス転移温度Tg1〜3とした。
[実施例1]
帝人化成(株)製のポリカーボネート(商品名パンライトC−1400QJ、粘度平均分子量3.8万、メチレンクロライドを含まないポリマーのTgは159℃であった。)をメチレンクロライドに溶解し18重量%の溶液を作成した。これをスチールベルト上に流延し、乾燥させてベルト面より剥ぎ取った。この時のフィルムの特性は次の通りであった。
含有溶媒量:19.5±1.0wt.%(フィルム全幅)
ガラス転移温度Tg:45℃
フィルム厚み:70μm、フィルム幅:1500mm,厚み斑:1μm(フィルム全幅)
次いで、このフィルムを、部屋を6ゾーンに分割したピンテンターに通した。この際のピンテンターの入口幅は1500mmとし、入口から進むに従って逐次幅を縮め各ゾーンの縮小幅を直線的になし5番目のゾーンにおいて、1448mmまで(即ち3.5%)縮小させた。ピンテンターのオーブンの乾燥空気の温度は6室全てを110℃とした。次いでフィルムを把持したまま室温まで空冷しピンテンター出口にて両エッジ部を切除した。かくして得られたフィルムの特性値は下記の通りであった。
レターデーション値:10〜15nm(フィルム幅1400mm)
遅相軸の値:−7〜+7度(フィルム幅1400mm)
残留溶媒量並びにその分布:4.0±0.5wt.%(フィルム幅1400mm)
ガラス転移温度Tg:110℃
厚み及び厚み斑:70μm及び1.0μm(フィルム幅1400mm)
この様にして厚み70μmの無延伸フィルムを作成した。
このフィルムを更にロール懸垂型乾燥装置、延伸並びに冷却ゾーンを有する延伸装置に通膜した。
a)ロール懸垂型乾燥装置における乾燥条件
熱風温度:100℃、フィルムに掛けた張力:1.5Kg/cm、処理時間:30分。得られたフィルムの特性値は残留溶媒量:1.6±0.05wt.%、ガラス転移温度Tg:140℃、レターデーション値:12〜15nm(フィルム1400mm全幅)、遅相軸の角度:−5〜+5度(フィルム1400mm全幅)。
b)延伸条件
第1段階 空気噴流式の加熱下に、延伸温度:150℃、延伸倍率:1.26倍、延伸のスパン長:延伸前フィルム幅の1.6倍。
第2段階 空気噴流式の加熱下に、延伸温度:160℃、延伸倍率:1.03倍、延伸のスパン長:延伸前フィルム幅の1.6倍で延伸した。
第2段階の延伸終了後のフィルムを温度100℃に保持したニップロールでニップした。この後60℃の冷却ゾーンで30秒間冷却し、次いで室温まで空冷した。
得られたフィルムの位相差フィルムとしての特性は下記の様な値であった。
フィルム厚み:54μm、フィルムの厚み斑:0.3μm(1200mmフィルム全幅)、レターデーション値の最大値と最小値の差:4nm(1200mmフィルム幅)
微小レターデーション値 最大値:1.1nm(1200mmフィルム幅)
遅相軸角度の範囲:−1.5〜+1.5度(1200mmフィルム幅)
視野角特性:7.5、外観欠点:スクラッチ、擦り傷、波打ち等なし。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0004049382
[実施例2〜4]
延伸条件を表1のように変える以外は実施例1と同様にして延伸フィルムを作成し得られたフィルムの特性値を表1に示した。なおいずれの条件ともフィルムのレターデーションは約500nmを狙った条件とした。
表1に示すように実施例2において延伸温度を実施例1よりも高めて延伸を行なったが、この場合にも得られたフィルムの特性は良好で位相差用フィルムとして優れたものであった。
表1に示すように実施例3においては延伸温度、延伸倍率とも実施例1よりも高めて延伸を行ない、図2のように第1段階の延伸と第2段階の延伸の中間にニップロールでフィルムをニップする方式を用いた。このときフィルムに皺が寄らないようにニップロールの温度を150℃〜160℃に調整した。実施例3においても得られたフィルムの特性は良好で位相差用フィルムとして優れたものであった。
表1に示すように実施例4においては第2段階目の延伸の倍率を実施例1よりも高めて延伸を行なったが、この場合にも得られたフィルムの特性は良好で位相差用フィルムとして優れたものであった。
[比較例]
延伸条件において第一段目の延伸を空気噴流式の加熱下に延伸温度150℃、延伸倍率1.26倍とし、第二段目の延伸は行なわないこと以外は実施例1と全く同様にして延伸フィルムを作成した。得られたフィルムの位相差フィルムとしての特性値を表1に示した。ここで得られたフィルムは、レタデーション値の範囲、微小レタデーション値の最大値、遅相軸角度の範囲等が大きくまた視野角特性も不良であった。外観欠点は特になし。
位相差フィルム製造装置の概略構成説明図(第1段階延伸装置と第2段階延伸装置の中間にニップロールを設けないもの) 位相差フィルム製造装置の概略構成説明図(第1段階延伸装置と第2段階延伸装置の中間にニップロールを設けたもの) キャスト製膜装置(A)、フィルムの剥離装置(B)、ピンテンター乾燥装置(C)、ロール懸垂型乾燥装置(D)、第1段階延伸装置(E)、第1冷却室(F)、第2段階延伸装置(G)、および第2冷却室(H)を備え、かつこれらの装置および室がこの順序に配置され、この製造装置にフィルムを連続して通膜し処理する。
符号の説明
1:キャスト製膜装置
2:フィルムの剥離装置
3:ピンテンター乾燥装置
4:ロール懸垂型乾燥装置
5:第一段階延伸装置
6:第一冷却室
7:第二段階延伸装置
8:第二冷却室
9:フィルム
10:自由回転ロール
11:ニップロール
12:空気噴流装置

Claims (2)

  1. (1)ポリカーボネートと塩化メチレンとからなり10〜30重量%のポリカーボネート溶液を支持体上に流延し、(2)形成された溶媒含有フィルムを支持体より剥離して、(3)乾燥した後、(4)一軸延伸し、ポリカーボネートからなる位相差フィルムを製造する方法において、該一軸延伸工程(4)を第1段階の延伸および第2段階の延伸で行ない、かつ該第2段階の延伸の温度が該第1段階の延伸の温度よりも1〜20℃高いことを特徴とするポリカーボネートからなる位相差フィルムの製造方法であって、
    上記一軸延伸工程(4)を温度(Tg +10)〜(Tg +35)℃、かつ延伸倍率1.1〜3.2倍の条件で行い、第2段階の延伸を第1段階の延伸温度よりも5〜10℃高い温度で、かつ延伸倍率1.01倍〜1.20倍の条件で行い(Tg (℃)は溶媒を含有するポリカーボネートからなるフィルムのガラス転移温度であり、この温度は乾燥が進むにつれ残留溶媒含有量の減少とともに上昇する。)、
    上記乾燥工程(3)が、(3−1)ピンテンターにてフィルムを把持しつつ乾燥する工程、および(3−2)ロール懸垂型乾燥装置を用いて乾燥する工程からなり、
    上記乾燥工程(3−1)において、支持体より剥離したフィルムについて、走行方向と直交する方向のフィルムの収縮率が2〜5%になるようにピンテンターにてフィルムを把持しつつ、温度(Tg +10)〜(Tg +90)℃で、乾燥を行うことを特徴とし(Tg (℃)は溶媒を含有するポリカーボネートからなるフィルムのガラス転移温度であり、この温度は乾燥が進むにつれ残留溶媒含有量の減少とともに上昇する。)、
    上記乾燥工程(3−1)で乾燥した後のフィルムの特性値が、残留溶媒量3.5〜4.5wt.%、レターデーション値10〜15nm、及び遅相軸の角度−10〜+10度を満足するものであって、
    上記乾燥工程(3−1)で乾燥した後のフィルムについて、ロール懸垂型乾燥装置を用いてフィルム走行方向に1〜2.5Kg/cm 2 の張力をかけつつ、さらに温度(Tg 3 −20)〜(Tg 3 +10)℃の条件で乾燥を行い、
    (Tg 3 (℃)は溶媒を含有する高分子フィルムのガラス転移温度であり、この温度は乾燥が進むにつれ残留溶媒含有量の減少とともに上昇する。)
    一軸延伸工程に供せられるフィルムの特性値が、溶媒含有量0.5〜2.0wt.%、レターデーション値10〜20nm、及び遅相軸の角度−7〜+7度を満足するものであって、
    第1段階の延伸を、延伸ロール間長が延伸前のフィルム巾に対して1.5倍〜4.0倍の条件で行い、
    第1段階の延伸におけるフィルムの加熱の方法が空気噴流式の加熱方式よりなることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  2. (1)高分子溶液を支持体上に流延し、(2)形成された溶媒含有フィルムを支持体より剥離して、(3)乾燥した後、(4)一軸延伸し、位相差フィルムを製造する位相差フィルムの製造装置であって、キャスト製膜装置(A)、フィルムの剥離装置(B)、ピンテンター乾燥装置(C)、ロール懸垂型乾燥装置(D)、第1段階延伸装置(E)、第1冷却室(F)、第2段階延伸装置(G)、および第2冷却室(H)を備え、かつこれらの装置および室がこの順序に配置されており、かつ第2段階延伸装置の温度条件が第1段階延伸装置の温度条件に比べ1〜20℃高いことを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルムの製造装置。
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