JP4048827B2 - 車体前部組付け方法および組付け治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体前部をフロントエンドモジュールにより構成する車体前部組付け方法および組付け治具に関し、特に、フード、フェンダー、および、ヘッドランプ間の隙寸法を適正とするに好適な車体前部組付け方法および組付け治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からこの種のフロントエンドモジュールにより車体前部を構成することは、例えば、特開平7−285460号公報、特開2001−10534号公報等に記載されたものがある。
【0003】
かかる従来の公報に記載されたフロントエンドモジュールは、樹脂より成形されたラジエータコアサポートに、バンパーを固定したバンパビーム、一対のヘッドランプ等を取付けて構成している。このフロントエンドモジュールは塗装工程後の艤装工程において、フロントサイドメンバから起立して懸架装置の支持部等を構成するフードリッジの先端同士を連結してエンジンコンパートメントを構成する。フードリッジの外方にはフロントフェンダを固定してホイールハウスを形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンコンパートメントを構成するフードリッジは下端をフロントサイドメンバに支持され後端を車室を形成するピラーやダッシュパネルに支持されるため、車両左右方向の剛性が車体前端に向かうに連れて低下している。
【0005】
このため、車体組立工程においては、サイドメンバーが治具ポストに支持され、フードリッジは車体外方に開く方向に変形し、フロントエンドで最大の変形量となる。他方、艤装部品が装着され且つ懸架装置で支持される完成車状態では、フードリッジは車体内方に閉じる方向に変形し、フロントエンドで最大の変形量となる。
【0006】
しかしながら、上記従来例では、これらの変形状態を見込んで、車体組立のフェンダー組付け工程でフードリッジにフェンダーを組付け固定し、車両組立のフロントエンドモジュール組付け工程で車体にフロントエンドモジュールを組付け固定するものである。これは、フロントエンド部での変形量の特に大きい部位に対して変形状態を見込むものであり、その変形量は一定でなく予測し難く、結果として、フードとフロントフェンダ並びにヘッドランプとの隙を一様にし難いものであった。
【0007】
また、特開2001−10534号公報においては、フードリッジの取付け位置に合致させてフロントエンドモジュールを変形させることが開示されているが、車体組立時の車体形状と実車での車体形状との形状変化を考慮していないので、ヘッドランプとフェンダーとの隙を適正に合わせたとしてもヘッドランプとフードとの隙を適正とすることが難しいものであった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、車体前部をフロントエンドモジュールにより構成する場合においても、フード、フェンダー、および、ヘッドランプ間の隙寸法を適正とするに好適な車体前部組付け方法および組付け治具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、車体フードリッジにフードおよびフェンダーを組付けた後に少なくともヘッドランプを組込んだフロントエンドモジュールをフードリッジに組付ける車体前部組付け方法において、フェンダーの組付け時に、フードリッジ間のスパーンを完成車両状態の間隔に近似させて変形した状態で、フードリッジにフェンダーをフードとの間隔を調整しつつ組付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記フロントエンドモジュールは、変形させることにより取付け点の間隔をヘッドランプ同士の間隔も併せて変更可能に構成され、フロントエンドモジュールの組付け時には、フロントエンドモジュールの取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュールを変形させて組付けるようにしたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、組付け治具に係わり、車体フードリッジにフードおよびフェンダーを組付け後に少なくともヘッドランプを組込んだフロントエンドモジュールをフードリッジに組付ける車体前部の組付けにおいて、車体フードリッジにフェンダーを組付ける組付け時に、フードリッジの両先端近傍に係合して両者の間隔を完成車両状態の間隔に近似させるようフードリッジを変形させ、上記変形状態において、フードとの間隔を調整しつつフェンダーをフードリッジに組付けることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第3の発明において、前記フロントエンドモジュールを変形させることにより取付け点の間隔をヘッドランプ同士の間隔も併せて変更可能に構成し、前記組付け治具を用いることで組付けられたフェンダーを備える車体へのフロントエンドモジュールの組付け時に、フロントエンドモジュールを車体フードリッジへ組付ける組付け時に、フロントエンドモジュールの両端の取付け点に係合して取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュールを変形させ、上記変形状態において、フロントエンドモジュールをフードリッジに組付けることを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
したがって、第1の発明では、フードリッジ間のスパーンを完成車両状態の間隔に近似させて変形させた状態で、フードリッジにフェンダーをフードとの間隔を調整しつつ組付けるため、フェンダー組付け時のフードとフェンダーおよびヘッドランプとの隙間が車輪および懸架装置で支持された完成車両における隙間に反映され、この時点で一定隙となるようにして車両の外観品質を向上できる。また、フェンダー組付け時にフードとの間の間隔を狭く一様に設定すればよく、完成車両状態の変形状態を見込んで組付ける場合に比較してフェンダーの組付け作業時間を大幅に短縮できる。
【0014】
第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、車両組立工程のフロントエンドモジュール組付け時には、フロントエンドモジュールの取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュールを変形させて組付けるため、ヘッドランプとフロントフェンダとの縁同士の隙や面差等の建付けが良好となり外観品質を向上できる。また、その建付け作業の作業時間を大幅に短縮できる。
【0015】
さらに、上記前者の組付け方法を採用してフロントフェンダを組付けた後に上記後者の組付け方法を採用してフロントエンドモジュールを組み付けた場合には、完成車両状態において、フード、フェンダー、および、ヘッドランプ間の相対位置が精度よく確保でき、建付け調整が不要、もしくは大幅に低減できる。
【0016】
第3の発明では、車体フードリッジにフェンダーを組付ける組付け時に、フードリッジの両先端近傍に係合して両者の間隔を完成車両状態の間隔に近似させるよう強制治具によりフードリッジを変形させ、上記変形状態において、フードとの間隔を調整しつつフェンダーをフードリッジに組付けるため、車体フードリッジを精度よく完成車両状態の形状に保持でき、フロントフェンダの組付け精度を高めることができる。
【0017】
第4の発明では、第3の発明の効果に加えて、フロントエンドモジュールを車体フードリッジへ組付けるの組付け時に、フロントエンドモジュールの両端の取付け点に係合して取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュールを治具により変形させ、上記変形状態において、フロントエンドモジュールをフードリッジに組付けるため、フロントエンドモジュールを精度よくフードリッジに追従させて組付けることができ、ヘッドランプの位置精度も向上できる。
【0018】
また、フェンダーの組付け治具を用いることで組付けられたフェンダーを備える車体へのフロントエンドモジュールの組付け時に、前記フロントエンドモジュールの組付け治具を用いるため、前者の工程で精度を高めた車体に後者の工程でフロントエンドモジュールを追従させて組付けるため、全体として、フロントフェンダ、フード、および、ヘッドランプ間の相対位置精度をより一層向上できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
本発明の車体前部組付け方法は、図1に示すように、車体組立ラインL1におけるボデーメイン工程L4におけるフェンダー組付け工程L5と、塗装ラインL6による塗装がなされた後の車両組立ラインL7におけるフロントエンドモジュール組付け工程L8との両者において夫々採用するものである。
【0021】
なお、通常、車体組立ラインL1とは塗装ラインL6に至るまでの車体製造ラインを意味し、車両組立ラインL7とは塗装ラインL6からの組立ライン(艤装ライン)を意味する。また、図1中の各ラインの下の記載は、車体がどのような支持手段によって支持されているのかを示す。
【0022】
車体組立ラインL1では、サスペンションが取付くストラット受けを両サイドに持つエンジンコンパートメント(以下、エンコンとも称する)、フロントフロア、および、リヤフロアとからなるフロアメイン工程L2よりのフロアメインボディに、ボディサイド工程L3よりのドア枠およびリヤフェンダを備えたサイドボディと、ルーフパネルとを、ボデーメイン工程L4において、溶接等により組付けて骨格構造のボデーメインの車体に、ドア等の蓋物が組付けられ、フェンダー組付け工程L5において、フロントフェンダを組付ける。フロントフェンダの組付け工程L5において、本発明の車体前部組付け方法の第1の工程が採用される。
【0023】
また、車両組立ラインL7においては、塗装ラインL6で塗装された車体に対して、内装部品、艤装部品、および、駆動装置、制動装置、操舵装置等の機能部品を順次取付ける。そして、フロントエンドモジュールの組付けの際、本発明の車体前部組付け方法の第2の工程が採用される。そして、最終的に懸架装置を組付けて完成車を得る。
【0024】
図2、3はスラットコンベア等の治具ポストで支持した前部車体の変形状態を示すものである。エンジンコンパートメントECを構成するサイドメンバーSMを治具ポストP(図中に△印で表示)で支持しており、車体のフードリッジFRおよびフードリッジFRに固定されるフェンダーFには上下方向の矢印で示した重力が作用して、これらは破線図示のように変形される。この変形はフードリッジFRを、矢印に示すように、互に反対方向に離反させるよう作用する。この状態は、図3の平面図示では、フードリッジFRの前端(フロントエンド)がその中途部より大きく車体外方に変形する。即ち、フードリッジFRはフロントエンドにおいて最も大きく外側へ拡がる。なお、実車状態においては、後述するように、サスペンション取付け点から上方への入力があり且つエンジン等の重力が車両中心側に作用するため、図3中においてフードリッジFRを上記場合とは逆に互に近接させるよう作用する。
【0025】
以上の変形状態における車体に対して、本発明は、図4に示す方法によりフロントフェンダFを組付ける。以下、図4により詳細に説明する。
【0026】
図4では、サイドメンバーSM、フードリッジFRを含む車体前部が示され、フードリッジFRにはフロントフェンダFを取付ける3個(車体形式により増減する)の取付け用のネジ穴5とフードリッジFRの先端側に設けたロケート穴6を左右に夫々備える。フロントフェンダF側にも、同様に取付け用穴7(取付けネジの径より大きい内径をもつ)とロケート穴8とを備える。
【0027】
強制治具10は、両端にロケートピン11を備え、図5に示すように、両ロケートピン11の間隔を伸縮可能とし、クランプレバー12を固定位置(レバー12を起こした位置)とするとき伸縮を阻止し、開放位置(図示のレバー12を倒した位置)とするとき伸縮可能としている。そして、その伸縮量は、ピッチ調整ダイアル13を回転させて目的とする数値に合わせることにより、その回転方向に応じて伸長若しくは収縮して目的とする数値にロケートピン11の間隔を調整するよう構成している。
【0028】
本発明の第1の工程においては、先ず、フロントフェンダFのロケート穴8をフードリッジFRのロケート穴6に合わせてフロントフェンダFをフードリッジFRにセットする。
【0029】
次いで、強制治具10のロケートピン11を前記左右のフードリッジFRおよびフロントフェンダFのロケート穴6、8に係合させる。この係合時には、強制治具10はクランプレバー12が開放状態となっており、ピッチ調整ダイアル13を回転させてロケートピン11の間隔を調整して係合させる。
【0030】
次いで、車種や仕様による固有の見込み数値に合わせてピッチ調整ダイアル13を回転してクランプレバー12を固定位置にしてロケートピン11間の間隔を固定する。この見込み数値は、当該車体が塗装や艤装を施され且つ懸架装置を介して車輪に支持される状態におけるロケート穴6、8間の間隔と略同一に設定される。
【0031】
治具ポストPに支持された車体は、図2、3において説明したように、フードリッジFRが車体側方に拡がる変形状態となっているため、強制治具10によりロケート穴6、8をロケートピン11により規制した場合には、図6(A)に示すように、車体のフードリッジFRは破線状態から実線図示状態に矢印方向に引き寄せる。図中の符号Hはフードである。この拘束状態は、サイドメンバーSMで支持されて、図2、3に示すように外開き状態に変形しているフードリッジFRを、車輪で支持する場合における設定形状に拘束するものである。
【0032】
次に、この拘束状態において、フードHとの隙が、図7(A)に示すように、一定で、エッジ同士が平行となるようにフロントフェンダFをロケート穴8回りに回動させて位置調整する。次いで、フロントフェンダFの取付け用の穴7とフードリッジFRの各3個の取付け用のネジ穴5を通して、図示しない取付けネジをねじ込みフロントフェンダFをフードリッジFRに固定する。
【0033】
次いで、強制治具10のクランプレバー12を開放位置に倒して伸縮可能とし、ピッチ調整ダイアル13を回転させて、両端のロケートピン11をフードリッジFRのロケート穴6、8から離脱させる。強制治具10による強制を解かれたフードリッジFRは、フロントフェンダF等の重量が加わるために、図6(B)および図7(B)に示すように、再びフードリッジFRの先端に進むに連れて拡がるよう変形する。この状態では、フードHとの隙は、車体前方に進むに連れて拡大する。この拡大状態は、車体が車両組立工程を経て完成車となって車輪により支持された場合の変形状態におけるフードHとフロントフェンダFとの隙を一定として、フロントフェンダFがフードリッジFRに取付けられた状態である。
【0034】
ボデーメイン工程L4による車体組立ラインL1での組立が完了すると、車体は塗装工程L6に移送され、塗装工程L6での塗装を終えると車両組立ラインL7に投入され、種々の艤装部品が組付けられる。
【0035】
車両組立ラインL7のフロントエンドモジュール組付け工程L8においては、図8〜11に示す本発明の第2の工程が適用される。
【0036】
図8はフロントエンドモジュール20の骨格部分を示す。フロントエンドモジュール20は、骨格となる枠状のラジエータコアサポート21に、図示しないが、ラジエータコア、ヘッドランプ、更に、必要に応じて、例えば、フロントグリル、バンパー等がモジール化して組付けられている。ラジエータコアサポート21は、例えば、材質PP+GP等の樹脂材で構成される。ラジエータコアサポート21は、ラジエータコアを保持する部分の両側に斜め後方に拡がって延びフードリッジFR先端に固定される取付けアーム22を備える。両取付けアーム22には左右のヘッドランプを収容するヘッドランプ収容部23を備え、ヘッドランプが固定される。前記ラジエータコアサポート21の取付けアーム22は、フードリッジFRへの取付け部のスパーンを強制的に変形させることでラジコアサポート21に対して揺動させることができ、揺動時はヘッドランプも共に車幅方向に移動する。
【0037】
図8において、フロントエンドモジュール20の保持治具25は、図9に詳細に示すように、前記ラジコアサポート21を保持するために一対の前後方向ロケートピン26および一対の上下方向ロケートピン27を備える本体部28と、本体部28から後方へ延び、前記取付けアーム部22を保持するために取付けアーム22先端に係合するロケートピン29をもつアーム部30とを備える。左右のアーム部30は本体部28に対して揺動自在に保持され、背部に設けられた調節機構31により互に対称状態を保持しつつ揺動されて、取付けアーム30の先端のロケートピン29同士の間隔を調整可能としている。前記調節機構31は、本体部28に支持されピッチ調整ダイアル32により左右方向に延びたロッド33の突出量を左右対称に調節可能であり、ロッド33先端に前記アーム部30を連結している。なお、34は目盛り窓である。
【0038】
フロントエンドモジュール20は、ラジコアサポート21を本体部28に支持させ、取付けアーム22をアーム部30に支持させて保持治具25に保持され、組立ラインL7のサイドに設けた納入パレット兼サブ作業台35に保持される。納入パレット兼サブ作業台35のフロントエンドモジュール20は、図示しない位置決めロボット若しくは助力アーム等に保持治具25と共に保持して車両の組付け位置である前方に搬送される。
【0039】
次いで、保持治具25の調節機構31により取付けアーム22先端の取付け穴24同士のスパーンを車両のフードリッジFRの先端のモジュール取付け穴(ロケート穴6、8)同士のスパーンに合致させて伸長させる。保持治具25のアーム部30が回動し、フロントエンドモジュール20の取付けアーム部22が回動して、フードリッジFRのロケート穴6とフロントエンドモジュール20との取付け穴24のスパーンを一致させる。この状態において、フードリッジFRのロケート穴6と取付けアーム部22の取付け穴24とに図示しない固定手段により両者を連結する。なお、取付けアーム部22の回動によりヘッドランプ同士の間隔も変化する。
【0040】
図10は、フードリッジFRにフロントエンドモジュール20を組付けた状態を示す。ヘッドランプHLの車両外側の縁はフロントフェンダFの先端の縁に沿い、ヘッドランプHLの車両内方側の縁はフードHの側方前端の縁に沿い、フードHの側縁はフェンダーFの縁に沿う。前記したヘッドランプHLの車両外側の縁とフロントフェンダFの先端の縁とは、フロントエンドモジュール20をフードリッジFRに組付ける際に、フードリッジFRの形状に合致させて取付けアーム22を回動させヘッドランプHLを車両外側(若しくは車両内方)へ移動させ、両者の相互位置精度を確保している。このため、図11(A)に示すように、両者の縁は適正な間隔をもって互に平行となる。なお、フードHとフロントフェンダFおよびヘッドランプHLとの間隔は、車両前方になるほど隙間が大きくなっている。図13(A)はフロントエンドモジュール20を、その取付けスパーンをフードリッジFRの形状に合致させることなく組付けた比較例のヘッドランプHLの車両外側の縁とフロントフェンダFの先端の縁との関係を示すものである。図2で説明したようにフードリッジFRは車両外方へ変形しており、この変形状態を正規形状として組付けたものといえる。ヘッドランプHLとフロントフェンダFとの間隔は、図11(A)に比較して広くなる。
【0041】
車両組立ラインL7での組付け作業、および、駆動装置、制動装置、操舵装置等の機能部品を順次取付けて車両が完成される。完成車両においては、車両は車輪を介して懸架装置により支持される。図12は車両の変形状態を示すものであり、実線状態はサイドメンバーSMにより支持する変形状態であり、破線状態は懸架装置により支持する正規形状である。サイドメンバーSMにはエンジン等の重量物が図中下方へ向かう矢印のように入力され、その外側位置において図中上方へ向かう矢印方向の力が懸架装置により入力されている。このため、フードリッジFRおよびフロントフェンダFは車体内方に向かう矢印のごとく、変形状態から正規状態に復帰する。
【0042】
上記変形状態からの正規状態への復帰は、フードリッジFR、フロントフェンダF、および、ヘッドランプHLを車両内方へ偏移させる。この偏移は車両前方に移るほど大きくなる。他方、フードHはその後端が車体に固定されているのみであるため、変形および変形状態からの復帰もない。このため、フードHとフロントフェンダFおよびヘッドランプHLとの間隔が車両前方ほどより小さくなるよう変化する。この変形状態からの復帰は、車体組立ラインL1においてフロントフェンダFを組付ける際に、フードリッジFRの間隔を一時的に治具10により正規状態に復帰させた状態でフロントフェンダFを組みつけているため、車体変形が正規状態に復帰するとフードリッジFRおよびフロントフェンダFは共に正規位置に復帰する。このため、図11(B)に示すように、フードHとフロントフェンダFおよびヘッドランプHLとの縁は、適正な間隔をもって互に平行となる状態に復帰する。なお、フロントエンドモジュール20をその取付けスパーンをフードリッジFRの形状に合致させることなく組付けた比較例の場合においては、車両外方へ変形した状態を正規形状として組付けるものであるため、図13(B)に示すように、フードHとフロントフェンダFおよびヘッドランプHLとの間隔は縮小するものの、ヘッドランプHLとフロントフェンダFとの間隔は依然として広いままの状態となる。勿論、フロントフェンダFの組付け時にフードリッジFRに対して変形を見込んで見当によりフロントフェンダFを組付けた場合には、フードHとフロントフェンダFおよびヘッドランプHLとの間隔は一様に平行状態とならない。
【0043】
本実施の形態においては、下記に記載した効果を奏することができる。即ち、フードリッジFR間のスパーンを完成車両状態の間隔に近似させて変形させた状態で、フードリッジFRにフェンダーFをフードHとの間隔を調整しつつ組付けるため、フェンダーF組付け時のフードHとフェンダーDおよびヘッドランプHLとの隙間が車輪および懸架装置で支持された完成車両における隙間に反映され、この時点で一定隙となるようにして車両の外観品質を向上できる。また、フェンダーF組付け時にフードHとの間の間隔を狭く一様に設定すればよく、完成車両状態の変形状態を見込んで組付ける場合に比較してフェンダーFの組付け作業時間を大幅に短縮できる。
【0044】
また、車両組立工程のフロントエンドモジュール組付け時には、フロントエンドモジュール20の取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジFRの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュール20を変形させて組付けるため、ヘッドランプHLとフロントフェンダFとの縁同士の隙や面差等の建付けが良好となり外観品質を向上できる。また、その建付け作業の作業時間を大幅に短縮できる。
【0045】
さらに、上記前者の組付け方法を採用してフロントフェンダFを組付けた後に上記後者の組付け方法を採用してフロントエンドモジュール20を組み付けた場合には、完成車両状態において、フードH、フェンダーF、および、ヘッドランプHL間の相対位置が精度よく確保でき、建付け調整が不要、もしくは大幅に低減できる。
【0046】
車体フードリッジFRにフェンダーFを組付ける組付け時に、フードリッジFRの両先端近傍に係合して両者の間隔を完成車両状態の間隔に近似させるよう強制治具によりフードリッジFRを変形させ、上記変形状態において、フードHとの間隔を調整しつつフェンダーFをフードリッジFRに組付けるため、車体フードリッジFRを精度よく完成車両状態の形状に保持でき、フロントフェンダFの組付け精度を高めることができる。
【0047】
フロントエンドモジュール20を車体フードリッジFRへ組付けるの組付け時に、フロントエンドモジュール20の両端の取付け点に係合して取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジFRの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュール20を治具により変形させ、上記変形状態において、フロントエンドモジュール20をフードリッジFRに組付けるため、フロントエンドモジュール20を精度よくフードリッジFRに追従させて組付けることができ、ヘッドランプHLの位置精度も向上できる。
【0048】
フェンダーFの組付け治具10を用いることで組付けられたフェンダーFを備える車体へのフロントエンドモジュール20の組付け時に、前記フロントエンドモジュール20の組付け治具25を用いるため、前者の工程で精度を高めた車体に後者の工程でフロントエンドモジュール20を追従させて組付けるため、全体として、フロントフェンダF、フードH、および、ヘッドランプHL間の相対位置精度をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の車体前部組付け方法を適用する車体組立および車両組立のラインを示す概略図。
【図2】前部車体の車体組立ラインでの変形状態を示す概略断面図。
【図3】同じく前部車体の車体組立ラインでの変形状態を示す概略平面図。
【図4】本発明の組付け方法の第1の工程を示す斜視図。
【図5】第1の工程で用いられる強制治具の要部を示す斜視図。
【図6】第1の工程での強制治具により変形される車体前部の断面図(A)、および、平面図(B)。
【図7】第1の工程での強制治具によるフードとフェンダーとの隙状態を示す平面図(A)、および、強制治具を開放した際の平面図(B)。
【図8】本発明の第2の工程を示す斜視図。
【図9】第2の工程に用いられる保持治具の斜視図。
【図10】第2の工程により組付けられたフロントエンドモジュールの状態を示す車体前部の斜視図。
【図11】第2の工程におけるフード、フェンダー、および、ヘッドランプの位置関係を示し、(A)は車両組立ラインでの位置関係図、(B)は完成車両状態の位置関係図。
【図12】完成車両状態の車体前部の変形状態を示す断面図。
【図13】本発明の比較例のフード、フェンダー、および、ヘッドランプの位置関係を示し、(A)は車両組立ラインでの位置関係図、(B)は完成車両状態の位置関係図。
【符号の説明】
F フロントフェンダ
FR フードリッジ
H フード
10 強制治具
20 フロントエンドモジュール
22 取付けアーム
23 ヘッドランプ収容部
25 保持治具
31 調節機構
Claims (4)
- 車体フードリッジにフードおよびフェンダーを組付けた後に少なくともヘッドランプを組込んだフロントエンドモジュールをフードリッジに組付ける車体前部組付け方法において、
フェンダーの組付け時に、フードリッジ間のスパーンを完成車両状態の間隔に近似させて変形した状態で、フードリッジにフェンダーをフードとの間隔を調整しつつ組付けるようにしたことを特徴とする車体前部組付け方法。 - 前記フロントエンドモジュールは、変形させることにより取付け点の間隔をヘッドランプ同士の間隔も併せて変更可能に構成され、
フロントエンドモジュールの組付け時には、フロントエンドモジュールの取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュールを変形させて組付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車体前部組付け方法。 - 車体フードリッジにフードおよびフェンダーを組付け後に少なくともヘッドランプを組込んだフロントエンドモジュールをフードリッジに組付ける車体前部の組付けにおいて、
車体フードリッジにフェンダーを組付ける組付け時に、フードリッジの両先端近傍に係合して両者の間隔を完成車両状態の間隔に近似させるようフードリッジを変形させ、
上記変形状態において、フードとの間隔を調整しつつフェンダーをフードリッジに組付けることを特徴とする組付け治具。 - 前記フロントエンドモジュールを変形させることにより取付け点の間隔をヘッドランプ同士の間隔も併せて変更可能に構成し、
前記組付け治具を用いることで組付けられたフェンダーを備える車体へのフロントエンドモジュールの組付け時に、
フロントエンドモジュールを車体フードリッジへ組付ける組付け時に、フロントエンドモジュールの両端の取付け点に係合して取付け点の間隔を組付けようとするフードリッジの組付け点の間隔に一致させてフロントエンドモジュールを変形させ、
上記変形状態において、フロントエンドモジュールをフードリッジに組付けることを特徴とする請求項3に記載の組付け治具。
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