JP4048732B2 - 船外機の吸気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機の吸気構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機は、一般に比較的清浄な環境下で使用されるため、エンジンへの吸気はエアクリーナを介することなく外気を直接採り入れて行なわれている。従って、吸気時に発生する騒音を低減させるためのサイレンサ(吸気消音装置)が必要となる。
【0003】
また、燃料噴射方式を採用する船外機の場合、エンジンの周囲にはサイレンサの他に吸気装置を構成するスロットルボディや、吸気チャンバおよびこの吸気チャンバから各気筒に延びる吸気管等が配置される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、船外機のエンジンはその周囲がエンジンカバーによって覆われているため、吸気装置のレイアウトに十分な考慮を払わないと吸気装置がエンジンから外方向に張り出し、エンジンのコンパクト化を疎外したり、デッドスペースを増やしたりする結果となる。
【0005】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、コンパクト化を図った船外機の吸気構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る船外機の吸気構造は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、シリンダヘッド、シリンダブロックおよびクランクケースを有し、一対の上記シリンダブロックをV型に配置することにより上記シリンダブロック間にVバンクを形成すると共に、その内部にクランクシャフトを略垂直に配置し、クランクシャフトの一端側にカムシャフト駆動機構が設けられたバーティカル型の4サイクルV型エンジンを備え、このエンジンの周囲をエンジンカバーで覆った船外機において、上記クランクケースの前方に吸気チャンバとスロットルボディとサイレンサとを側面視で上下方向に順に並べて配置するとともに、上記サイレンサを動弁用のカムシャフト駆動機構と同じ側で側面視略同じ高さに配置し、且つ、上記サイレンサを上記吸気チャンバよりも後方に膨出させて形成し、上記両シリンダブロックの側部に上記吸気チャンバから上記シリンダヘッドに向かって前後方向に延びる吸気管を配置したものである。
【0009】
さらにまた、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、上記サイレンサを平面視で上記エンジンカバーの内側形状に沿った形状に形成したものである。
【0010】
そして、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、上記クランクケースと、上記シリンダブロックと、上記吸気チャンバから上記シリンダヘッドに向かって前後方向に延びる吸気管とによって形成される空間内にエンジン補機を配置したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、この発明を適用した船外機の実施形態を示す右側面図である。図1に示すように、この船外機1はエンジンホルダ2を備え、このエンジンホルダ2の上方に4サイクルエンジン3が設置される。なお、このエンジン3はその内部にクランクシャフト4を略垂直に配置したバーティカル(縦)型のエンジンである。
【0013】
エンジンホルダ2の下方には潤滑オイル(図示せず)を貯留するオイルパン5が配置されると共に、例えば船外機1にはブラケット装置6が取り付けられ、このブラケット装置6を介して船外機1が船舶7のトランサム7aに装着される。
【0014】
エンジン3、エンジンホルダ2およびオイルパン5の周囲はエンジンカバー8によって覆われる。エンジンカバー8は、エンジン3下部、エンジンホルダ2およびオイルパン5の周囲を覆うロアーカバー8aと、エンジン3上部を覆うアッパーカバー8bとに大きく二分割されて構成される。
【0015】
オイルパン5の下部にはドライブシャフトハウジング9が設置される。エンジンホルダ2、オイルパン5およびドライブシャフトハウジング9内にはエンジン3の出力軸であるドライブシャフト10が略垂直に配置され、その上端部がクランクシャフト4の下端部に連結手段11を介して連結される。ドライブシャフト10はドライブシャフトハウジング9内を下方に向かって延び、ドライブシャフトハウジング9の下部に設けられたギヤケース12内のベベルギヤ13およびプロペラシャフト14を介して推進装置であるプロペラ15を駆動するように構成される。
【0016】
図2は、エンジン3の右側面図であり、その一部を断面で示す。また、図3はエンジン3の平面図である。図2および図3に示すように、この船外機1のエンジン3は、例えばシリンダヘッド16、シリンダブロック17およびクランクケース18等を組み合わせて構成された水冷4サイクルV型6気筒エンジンであり、一対のシリンダブロック17を平面視でV型に配置することによりシリンダブロック17間にVバンクを形成する。
【0017】
エンジン3の最前部、図2および図3においては最も右側に配置されるクランクケース18の後方(左側)には左右一対のシリンダブロック17が船外機1の幅方向に広がるV字型に配置される。また、各シリンダブロック17の後方にはシリンダヘッド16がそれぞれ配置される。そして、図2に示すように、クランクケース18、シリンダブロック17およびシリンダヘッド16の下面は同一の平面上に形成される。
【0018】
クランクケース18とシリンダブロック17との合せ面にはクランクシャフト4が略垂直に軸支される。また、各シリンダブロック17内にはそれぞれ三つずつのシリンダ19が上下方向に略水平に並んで形成され、シリンダ19内にはピストン20がシリンダ19の軸線上を軸方向に摺動自在に挿入される。さらに、クランクシャフト4とピストン20とがコンロッド21によって連結され、ピストン20の往復ストロークがクランクシャフト4の回転運動に変換されるようになっている。
【0019】
シリンダヘッド16にはシリンダ19に整合する燃焼室22が形成され、その外方から図示しない点火プラグが結合される。また、シリンダヘッド16内には燃焼室22に繋がる吸気ポート23や排気ポート24も形成される。排気ポート24は、左右のシリンダブロック17内側に形成されるVバンク内に配置された排気通路25に接続されると共に、吸気ポート23は左右のシリンダブロック17外側に向かって延びる。
【0020】
さらに、シリンダヘッド16内には両ポート23,24を開閉する吸気バルブ26および排気バルブ27が配置され、シリンダヘッド16の後部にはこれらのバルブ26,27を開閉させる二本の動弁用(吸気用および排気用)カムシャフト28がクランクシャフト4と平行に配置される。そして、シリンダヘッド16はシリンダヘッドカバー29によって覆われる。
【0021】
なお、図2に示すように、クランクシャフト4の上端はエンジン3の上方に突出し、この突出部にフライホイール30および詳細には図示しない発電用のマグネト装置が設けられ、これらはマグネトカバー31によって覆われる。
【0022】
また、エンジン3の下部とエンジン3ホルダ2の上面との間の空間には、クランクシャフト4の回転をカムシャフト28に伝達してカムシャフト28を回転駆動させるカムシャフト駆動機構32が設けられる。このカムシャフト駆動機構32は、例えばチェーン駆動方式であり、クランクシャフト4の下端に形成されたタイミングスプロケット33と、二本のカムシャフト28の下端に設けられたカムスプロケット34と、これらのスプロケット33,34の周囲に巻装されたタイミングチェーン35とから構成される。
【0023】
クランクケース18の前方には吸気チャンバ36が配置される。吸気チャンバ36は、その平面視中央部が前後方向に膨大した略卵型の平面形を有し、その底面にスロットルボディ37の下流側が接続される。また、スロットルボディ37の下方にはサイレンサ38が配置され、スロットルボディ37の上流側にサイレンサ38の下流側が接続される。
【0024】
サイレンサ38は図示しない吸気口を有すると共に、図2に示すように、その下部がエンジン3の下部と略同一面になるように配置され、図3に示すように、平面視で吸気チャンバ36より大きく、エンジンカバー8の内側形状に沿った形状に成形される。
【0025】
図2および図3に示すように、吸気チャンバ36の左右からは吸気管39が両シリンダブロック17の側部とエンジンカバー8との間の空間を前後方向に延びて各シリンダヘッド16の吸気ポート23に接続される。図2に示すように、吸気管39は吸気チャンバ36内で上下方向に並列配置され、各吸気ポート23に延びる。
【0026】
さらに、図3に示すように、クランクケース18と、シリンダブロック17と、吸気管39とによって形成される空間内にはベーパーセパレータ40やオイルフィルタ41、スタータモータ42等のエンジン補器が配置される。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
エンジン3のクランクケース18前方に吸気チャンバ36と、スロットルボディ37とサイレンサ38を側面視で上下方向に並べて配置するとともに、上記サイレンサ38を動弁用のカムシャフト駆動機構32と同じ側に配置し、且つ上記サイレンサ38を上記吸気チャンバ36よりも後方に膨出させて形成し、両シリンダブロック17の側部に吸気チャンバ36の左右から各シリンダヘッド16の吸気ポート23に向かって前後方向に延びる吸気管39を配置したことにより、エンジン3とエンジンカバー8との間に形成される空間を有効に利用でき、且つ船外機1のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
また、吸気管39を吸気チャンバ36内で上下方向に並列配置させて各吸気ポート23に延びるようにしたことにより、船外機1はその幅方向の突出量が減り、船外機1のコンパクト化が図れる。
【0030】
さらに、吸気チャンバ36をその平面視中央部が前後方向に膨大した略卵型の平面形に形成したことによりエンジンカバー8の形状に制約を受けることなく吸気チャンバ36の容量を十分に確保できる。
【0031】
さらにまた、サイレンサ38を平面視で上記エンジンカバー8の内側形状に沿った形状に形成したことにより、吸気時の消音効果が向上すると共に、船外機1のコンパクト化を図ることができる。
【0032】
ところで、V型エンジン3はそのエンジンレイアウトの特性から一方のシリンダブロック17とクランクケース18とが平面視で略「く」の字状に配置される。そして、これらの側方に吸気管39を配置するとこれらの部材に囲まれた略三角形のデッドスペースが生じる。そこで、クランクケース18と、シリンダブロック17と、吸気チャンバ36からシリンダヘッド16に向かって前後方向に延びる吸気管39とによって形成される空間内にベーパーセパレータ40やオイルフィルタ41、スタータモータ42等のエンジン補器を配置することによりデッドスペースが有効に利用され、結果的に船外機1のコンパクト化につながる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る船外機の吸気構造によれば、船外機のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
また、吸気チャンバの容量を十分に確保でき、サイレンサの消音効果を向上させることもできる。
【0035】
さらに、デッドスペースを有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る船外機の吸気構造の一実施形態を示す右側面図。
【図2】一部を断面で示したエンジンの右側面図。
【図3】エンジンの平面図。
【符号の説明】
1 船外機
4 クランクシャフト
3 4サイクルV型エンジン
8 エンジンカバー
16 シリンダヘッド
17 シリンダブロック
18 クランクケース
36 吸気チャンバ
37 スロットルボディ
38 サイレンサ
39 吸気管
40 ベーパーセパレータ(エンジン補器)
41 オイルフィルタ(エンジン補器)
42 スタータモータ(エンジン補器)
Claims (3)
- シリンダヘッド、シリンダブロックおよびクランクケースを有し、一対の上記シリンダブロックをV型に配置することにより上記シリンダブロック間にVバンクを形成すると共に、その内部にクランクシャフトを略垂直に配置し、クランクシャフトの一端側にカムシャフト駆動機構が設けられたバーティカル型の4サイクルV型エンジンを備え、このエンジンの周囲をエンジンカバーで覆った船外機において、
上記クランクケースの前方に吸気チャンバとスロットルボディとサイレンサとを側面視で上下方向に順に並べて配置するとともに、上記サイレンサを動弁用のカムシャフト駆動機構と同じ側で側面視略同じ高さに配置し、且つ、上記サイレンサを上記吸気チャンバよりも後方に膨出させて形成し、上記両シリンダブロックの側部に上記吸気チャンバから上記シリンダヘッドに向かって前後方向に延びる吸気管を配置したことを特徴とする船外機の吸気構造。 - 上記サイレンサを平面視で上記エンジンカバーの内側形状に沿った形状に形成した請求項1に記載の船外機の吸気構造。
- 上記クランクケースと、上記シリンダブロックと、上記吸気チャンバから上記シリンダヘッドに向かって前後方向に延びる吸気管とによって形成される空間内にエンジン補機を配置した請求項1または2に記載の船外機の吸気構造。
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