JP4048613B2 - テープカセット排出検出方法、ならびに、記録または再生装置 - Google Patents

テープカセット排出検出方法、ならびに、記録または再生装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カセットテープを記録媒体として用いた記録再生装置において、カセットテープが強制的に排出されたことを検出するテープカセット排出検出方法、ならびに、記録または再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルデータを磁気テープに記録/再生する磁気テープ装置であるテープストリーマドライブは、記録容量が膨大であるため、ハードディスク等のストレージデバイスに保存されたデータをバックアップするのに広く用いられている。また、テープストリーマドライブは、バックアップ用としてばかりでなく、動画データのような大きなファイルのデータを記録する場合にも好適である。
【0003】
このようなテープストリーマドライブとして、例えば、8ミリVTRのテープカセットと同様のテープカセットを利用し、回転ヘッドを用いて、ヘリカルスキャン方式で、ディジタルデータを磁気テープに記録/再生するようなものが実用化されている。
【0004】
磁気テープは、ロック機構を所定の方法で解除することで開閉が可能になる蓋が設けられたテープカセット内に収納される。このテープカセットをテープストリーマドライブに挿入すると、自動的にローディング動作が開始される。すなわち、テープカセットがドライブ内の所定位置まで運ばれ、蓋のロック機構が所定方法で解除される。そして、テープカセット内に収納された磁気テープは、アーム機構などで外部に引き出され、回転ヘッドに巻き付け可能なように、所定のテープパスに通される。
【0005】
また、このようなテープストリーマドライブでは、入出力インターフェイスとして、例えば、SCSI(Small Computer System Interface )インターフェイスが用いられ、記録時には、SCSIインターフェイスを介して、ホストコンピュータからデータが入力される。入力されたデータは、所定の信号処理をされ、例えば回転ヘッドによってヘリカルスキャン方式で以て磁気テープに記録される。再生時には、磁気テープのデータが回転ヘッドにより再生され、所定の信号処理を介した後、SCSIインターフェイスを介して、ホストコンピュータに送られる。
【0006】
テープストリーマドライブの構成の一例として、2つのCPUを有するものがある。2つのCPUのうち、1つはコントロールCPUであり、ホストコンピュータとの通信や信号処理、ドライブの全体的な制御を司る。もう1つは、サーボCPUであり、主にテープのロード/アンロードやイジェクト、テープの走行などのメカ系の制御を司る。これらコントロールCPUとサーボCPUとは、互いに定期的に通信を行い、コントロールCPUからサーボCPUに対しては、動作の指示を行い、サーボCPUからコントロールCPUに対しては、メカのステータスを返していた。
【0007】
一方で、従来から、このようなテープカセットを使用したカセットチェンジャあるいはオートローダが存在している。これは、複数台のテープストリーマドライブおよび多数のテープカセットを収納可能なラックを有し、例えばホストコンピュータからの要求により、これら多数のテープカセットの中から選択されたテープを自動的にドライブに装着しデータの再生や記録を行うものである。数100Gバイト乃至は数Tバイト、あるいはそれ以上の量のデータを扱うような場合に、極めて有用である。
【0008】
図9は、上述のテープストリーマドライブにおける、テープカセットのローディング動作の処理の一例を示す。サーボCPUでは、当初テープカセットが挿入されておらず、コントロールCPUには、イジェクト状態を示すステータスコマンドが渡される(ステップS110)。テープカセットがカセット挿入口から挿入されると、サーボCPUの制御により所定位置にテープカセットが着座され(以下、テープカセットの所定位置への着座を「カセットイン」と称する)、カセットインがコントロールCPUに認識されると、ローディングが開始される(ステップS111)そして、コントロールCPUに対して、カセットインフラグがカセットイン状態を示す「ON」とされて渡される(ステップS112)。
【0009】
一方、コントロールCPUでは、カセットインが待機され(ステップS100)、サーボCPUから、ONであるカセットインフラグが渡されるのが待たれる(ステップS101)。そして、サーボCPUからONであるカセットインフラグが渡されると、次のステップS102で、ローディングに移る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば異常のあるテープカセットが挿入されたような場合、上述のカセットインフラグがONにセットされずにテープカセットが排出されたり、コントロールCPUがローディング動作を行っている途中でテープカセットが排出されるといった事態が生じることがある。
【0011】
テープカセットの異常としては、テープのカセット内部での切断やカセットの蓋が開かないといったハードウェア的な要因、また、テープカセットの形状は同一だがデータフォーマットが異なるといったソフトウェア的な要因など、さまざまなものが考えられる。
【0012】
従来では、このようにテープカセットに異常が検出された場合でも、サーボCPUが独自にテープカセットの排出を行っていて、コントロールCPUは、これを検出するようにはされていなかったという問題点があった。
【0013】
図10は、カセットインフラグがONにセットされずにテープカセットが排出される場合の例を示す。サーボCPUにおいて、当初のイジェクト状態(ステップS120)に対してテープカセットが挿入され、ステップS121でローディングが開始される。このとき、メカセンサなどによりテープカセットに異常が検出された場合、そのテープカセットはローディングできないものとして、サーボCPUの制御により自動的に排出される。そして、ステータスは、イジェクト状態とされる(ステップS122)。
【0014】
この図10に示される例では、カセットインフラグがONにセットされずにテープカセットが排出される。そのため、コントロールCPU側では、ステップS101でのカセットインフラグの待機状態とされ、ステップS102のローディングは、行われない。
【0015】
図11は、コントロールCPUのローディング動作中にテープカセットが排出されてしまう場合の例を示す。サーボCPUにおいて、当初のイジェクト状態(ステップS130)に対してテープカセットが挿入され、正常にカセットインされる。カセットインがサーボCPUに認識され、ステップS131でローディングが開始される。そして、ステップS132で、「ON」とされたカセットインフラグがコントロールCPUに送られる。
【0016】
ところが、この例では、サーボCPU側において、ONであるカセットインフラグをコントロールCPUに渡したにもかかわらず、テープカセットの異常が検出されている。すると、サーボCPUにより、そのテープカセットは使用できないものとされ、排出され、イジェクト状態とされる(ステップS133)。
【0017】
一方で、コントロールCPUでは、ステップS132でサーボCPUからONであるカセットインフラグを渡されている。ところが、上述したように、サーボCPUからコントロールCPUに対して、カセットが排出されたことが通知されないため、サーボCPUによるテープカセットの排出が行われているのにも係わらず、コントロールCPUにおいて、ステップS102からのローディング動作が開始されてしまう。
【0018】
このように、テープカセットが強制排出されるような場合でも、テープストリーマカセットが単体で、人手によって使用されるのであれば、さほど問題とはならない。
【0019】
しかしながら、上述したようなカセットチェンジャあるいはオートローダに対してこのテープストリーマドライブを搭載して、自動的にドライブにテープカセットを挿入する場合には、問題が生じる。すなわち、サーボCPUからコントロールCPUに対してカセットを排出したことが通知されないため、コントロールCPUからホストコンピュータに、エラー情報を通知することができない。したがって、ホストコンピュータなどの外部装置はテープカセットをドライブに挿入したつもりでも、実際には目的のテープカセットが強制排出されていたという事態が生じてしまうといった問題点があった。
【0020】
したがって、この発明の目的は、テープカセットが強制的に排出された場合に、ホストコンピュータに対してエラー情報を通知できるようなテープカセット排出検出方法、ならびに、記録または再生装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した課題を解決するために、挿入されたテープカセットに異常があった場合にテープカセットを強制的に排出したことを検出するテープカセット排出検出方法において、ホストとの通信を行う第1の制御手段と、テープカセットのローディング動作を制御する第2の制御手段との間で定期的に通信を行い、第2の制御手段から第1の制御手段に対してローディング動作中のステータスを通知する通信のステップと、上記第2の制御手段によるローディング動作が開始されてから所定時間内に、通信のステップによって、第2の制御手段から第1の制御手段に対してテープカセットが排出された旨のステータスが通知されたか否かを判断する判断のステップと、判断のステップによりテープカセットが排出された旨のステータスが通知されたと判断されたら、第1の制御手段によってホストに対してエラーを通知するステップとを有することを特徴とするテープカセット排出検出方法である。
【0022】
また、この発明は、挿入されたテープカセットに異常があった場合にテープカセットを強制的に排出したことを検出するようにした記録または再生装置において、ホストとの通信を行う第1の制御手段と、テープカセットのローディング動作を制御する第2の制御手段と、第1の制御手段と第2の制御手段との間で定期的に通信を行い、第2の制御手段から第1の制御手段に対してローディング動作中のステータスを通知する通信手段とを有し、第2の制御手段によるローディング動作が開始されてから所定時間内に、通信手段によって、第2の制御手段から第1の制御手段に対してテープカセットが排出された旨のステータスが通知されたら、第1の制御手段によってホストに対してエラーが通知されるようにしたことを特徴とする記録または再生装置である。
【0023】
上述したように、この発明は、ホストとの通信を行う第1の制御手段と、テープカセットのローディング動作を制御する第2の制御手段との間で定期的に通信を行い、この通信手段によって第2の制御手段から第1の制御手段に対してローディング動作のステータスを通知し、第2の制御手段によるローディング動作が開始されてから所定時間内に第2の制御手段から第1の制御手段に対してテープカセットが排出された旨の通知が出されたら、第1の制御手段によって、ホストに対してエラーが通知されるため、ホストに対してテープカセットの強制排出を通知することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明を適用することができるテープストリーマドライブの構成の一例を示す。このテープストリーマドライブは、例えばホストコンピュータに接続されて使用される。
【0025】
メカ部1に対して、記録媒体であるテープカセット6がセットされる。テープカセット6がメカ部1にセットされると、図示されない機構によってカセット6からテープが引き出され、磁気ヘッドが設けられた回転ドラム10に所定の巻き付け角で以てテープが巻き付けられる。テープは、図示されないモータドライブから駆動力を与えられるリール13A,13Bによって駆動され、キャプスタンローラ11などによってガイドされ送られる。センサ/SW15は、メカ部1の各部の状態を検知する。
【0026】
なお、図示しないが、メカ部1には、後述する不揮発性メモリ50と電気的な接触を行い、互いにデータなどの通信を行うための接点が設けられている。また、メカ部1は、所定の制御、例えば後述するメカ用CPU41の指示に基づき、テープカセット6の駆動などに関する動作が行われるようにされている。
【0027】
一例として、テープカセット6のロード時には、挿入されたテープカセット6を所定の位置まで移動させ、テープカセットのハブがリール台に嵌まるようにテープカセット6をダウンさせる。そして、カセット蓋を開いてテープを引き出し、テープパスを形成すると共に、回転ドラム10に、所定の巻き付け角でテープを巻き付ける。アンロード時には、ロード時と逆の動作が行われる。
【0028】
磁気テープには、テープに対して斜めにトラックが形成されるヘリカルトラック方式でデータの記録が行われる(図示しない)。なお、磁気テープに記録されているデータは、所定の方式で以てパリティビットの付加ならびにエラー訂正符号化がなされている。
【0029】
回転ドラム10に設けられた磁気ヘッドで読み出された再生RF信号は、再生部2のリードアンプ16で増幅され、RF部3に供給される。RF部3において、再生信号がイコライザ20およびATF(Automatic Track Finding) 21に供給される。ATF21の出力は、ビタビ復号器23に供給される。イコライザ20に供給された再生信号は、等化処理をされPLL22に供給され、所定のクロックに同期される。PLL22から出力された再生信号がビタビ復号器23に供給され、ビタビ復号されディジタル信号にされる。
【0030】
ビタビ復号器23から出力されたディジタル再生信号は、バッファ部5のバッファコントローラ30に供給される。バッファコントローラ30は、後述するコントロール用CPU40の命令に基づき、共にバッファメモリであるSRAM31およびDRAM32の入出力を制御すると共に、全体的なデータの流れの制御を行う。
【0031】
また、バッファコントローラ30において、再生時には、再生データに付されたエラー訂正符号の復号化などが行われ、記録時には、記録データに対するエラー訂正符号化が行われる。
【0032】
SRAM31は、磁気テープにおける読み出し/書き込みのデータのためのバッファメモリである。SRAM31に対して例えば1トラック分のデータが書き込まれる。また、DRAM32は、バッファメモリと汎用のメモリとを兼ねており、例えば磁気テープに書き込むデータを記録フォーマットに変換する際に、このDRAM32に一旦溜め込む。
【0033】
バッファコントローラ30に供給されたディジタル再生信号は、1トラック分が一旦SRAM31に溜め込まれる。SRAM31から読み出された1トラック分のデータは、DRAM32に一旦溜め込まれる。そして、データが所定のタイミングでDRAM32から読み出され、データ圧縮回路33に供給される。データ圧縮回路33では、磁気テープに書き込むデータを所定の方式で圧縮すると共に、磁気テープから読み出されてバッファコントローラ30を介して供給されたデータの圧縮を解く。
【0034】
圧縮を解かれたデータは、コントロール部4に供給され、SCSI(Small Computer System Interface) コントローラ43を介してコネクタ44に供給される。コネクタ44は、例えばホストコンピュータと接続され、データがホストコンピュータに対して転送される。なお、ターミネーション部45は、SCSIにおける所定の終端処理を行う。
【0035】
磁気テープに対するデータの書き込みは、次のように行われる。例えばホストである外部のコンピュータからコネクタ44を介して、SCSIコマンドにより書き込み指示が供給されると共に、書き込みを行う記録データが供給される。書き込み指示のコマンドは、後述するコントロール用CPU40に供給される。記録データは、SCSIコントローラ43を介してデータ圧縮回路33に供給される。
【0036】
データ圧縮回路33で所定の方式で以て圧縮されたデータがバッファコントローラ30を介してDRAM32に書き込まれる。DRAM32に書き込まれた記録データは、バッファコントローラ30により記録フォーマットに変換され、所定のタイミングで、1トラック分ずつがSRAM31に書き込まれる。そして、SRAM31から読み出された記録データは、バッファコントローラ30の制御に基づき、ライトアンプ24を介して、回転ドラム10上に配された図示されない磁気ヘッドに供給され、磁気テープに記録される。
【0037】
コントロール部4は、2つのCPU40および41を有する。CPU40は、コントロール用CPUとされ、全体のデータの流れの制御などを行う。それと共に、コントロール用CPU40は、SCSIコントローラ43を制御し、コネクタ44を介して外部装置、例えばホストコンピュータとの通信を行う。
【0038】
さらに、コントロール用CPU40は、バッファコントローラ30の制御を行うと共に、例えばデータ圧縮回路33やSCSI部43の制御を行う。EEPROM46は、コントロール用CPU40のプログラムなどが予め記憶される。また、SRAM47は、コントロール用CPU40のためのバッファメモリである。
【0039】
図示しないが、コントロール用CPU40は、タイマを有し、このタイマのセットアップなどを行うことができる。それと共に、コントロール用CPU40は、タイマによる割込み処理を受けることができる。
【0040】
一方、CPU41は、メカ部1の諸動作の制御を行うサーボ用CPUである。EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)42は、サーボ用CPU41のプログラムなどが予め記憶される。また、メモリ25がサーボ用CPU41に接続される。さらに、メカ部1におけるセンサ/SW15の検知出力がこのサーボ用CPU41に供給される。
【0041】
例えば、挿入されたテープカセット6が規格外のものであったり、テープが切れているような場合には、メカ部1のセンサ/SW15によってこれが検出される。検出結果は、サーボ用CPU41に供給される。サーボ用CPU41では、この検出結果に基づいてメカ部1を制御し、テープカセット6を自動的に排出する。
【0042】
コネクタ48に対して、電源が供給される。コネクタ48から直接的に各部に電源が供給されると共に、電源ユニット49で所定の電圧とされ、さらに各部に供給される。電源ユニット48からは、図示されないメカ部1のモータドライブへも電源が供給される。
【0043】
テープカセット6には、テープカセット6に関する情報が記憶されたメモリである不揮発性(以下、MIC:Memory In Cassetteと称する)メモリ50が内蔵されている。MIC50のデータは、所定の接点を介してコントロール用CPU40と通信を行うことで読み出され、コントロール用CPU40に供給される。また、DRAM32に書き込まれた所定のテープ情報がバッファコントローラ30を介してコントロール用CPU40に供給され、MIC50に対して書き込まれる。
【0044】
コントロール用CPU40とサーボ用CPU41とは、図2に概略的に示されるように、バッファコントローラ30を介して通信される。コントロール用CPU40とバッファコントローラ30とは、アドレスバス60およびデータバス61によって接続される。サーボ用CPU41とバッファコントローラ30とは、シリアルインターフェイスSIOで接続される。
【0045】
コントロール用CPU40とサーボ用CPU41とは、これらの通信経路を介して定期的に、例えば12.5msec間隔で通信される。この通信によって、コントロール用CPU40からサーボ用CPU41に対してメカ遷移コマンドが発行される。サーボ用CPU41は、このメカ遷移コマンドに基づきメカ部1の各部を制御し、メカ部1における諸動作を制御する。また、サーボ用CPU41からコントロール用CPU40に対して、現在のメカの状態を表すメカステータスが返される。メカステータスには、メカの現在の位置を示すメカポジションステータスが含まれる。
【0046】
メカステータスのうちのメカポジションステータスは、図3に一例が示されるようなビットアサインで以て通信が行われる。MSB側である第7ビットは、値が〔0〕に固定される。第6,第5ビットの2ビットでテープポジションが表される。また、LSB側の5ビット、第4ビット〜第0ビットでメカステータスが表される。
【0047】
図4は、テープポジションの内容の一例を示す。値〔00〕は、メカにテープがセットされていないか、あるいは下記に記す値〔01〕,〔10〕および〔11〕以外の状態を表す。メカにテープがセットされているかどうかは、後述するレコグニションホールの状態によって検知することができる。値〔01〕は、テープ位置が物理的な先頭にあることを表す。値〔10〕は、テープ位置が論理的な先頭にあることを表す。値〔11〕は、テープ位置が物理的な終端にあることを表す。
【0048】
図5は、メカステータスの内容の一例を示す。先頭ビットの値が〔0〕でメカ位置を、〔1〕でメカの動作をそれぞれ表す。続く4ビットで、それぞれの内容が識別される。〔00001〕は、Ejected状態、すなわちテープカセットが着座されていない状態を表す。なお、テープカセットが着座されている状態を、カセットイン状態あるいはイン状態と称する。〔00010〕は、UnThread状態、すなわちカセットイン状態であるが、テープが回転ドラム10に巻き付けられていない状態を表す。これに対し、〔00011〕は、回転ドラム10にテープが巻き付けられているThread状態を表す。以下、〔00100〕〜〔01111〕は、再生時などのThread状態以降の状態を表す。
【0049】
一方、先頭ビットの値が〔1〕であるメカ動作では、〔10001〕は、Loading動作中であることを表し、現在、例えばイン状態のテープカセットからテープが引き出され、回転ドラム10に巻き付けられるまでの一連の動作中であることを表す。〔10010〕は、UnThread動作中であることを示し、テープが回転ドラム10に巻き付けられた状態から解除される動作中であることを表す。これに対し、〔10011〕は、回転ドラム10にテープが巻き付けられる動作であるThread動作中であることを表す。以下、〔10100〕〜〔11111〕は、再生時などのThread状態以降の動作を表す。
【0050】
また、サーボ用CPU41では、回転ドラム10の回転を制御するドラムサーボや、テープの走行を制御するキャプスタンサーボの状態を表す情報を通信すると共に、テープカセットに設けられたレコグニションホールの状態を検出し、レコグニションホール情報を通信する。レコグニションホールは、テープカセットの裏面などに穿たれた、例えばそれぞれがテープカセットの設定を表す複数のホールからなる。
【0051】
図6は、テープカセット6を裏面から見た図を概略的に示す。テープカセット6の前面には、前蓋70が設けられ、背面には、MIC50の接点が設けられる。また、ハブホール71a,71bが中央部に設けられる。レコグニションホール72は、この例では3個のホール72a,72bおよび72cからなり、テープカセット6の後端側に設けられている。ホール72bは、このテープカセット6がクリーニングカセットであることを表し、ホール72cは、テープに対する書き込みの保護を行う、ライトプロテクトのON/OFFを表す。これらホール72b,72cがオープンかどうかで、これらの設定が検出される。ホール72aは、常時オープンであり、テープカセット6がイン状態であるかどうかは、ホール72aを検出することで知ることができる。
【0052】
テープカセットのこれらのホール72a,72bおよび72cに検出ピンなどをあてがい、所定位置にホールが穿たれているかどうかで、設定内容を検出する。レコグニションホールの状態は、例えばメカ部1のセンサ/SW15の所定の機構によってなされ、サーボ用CPU41に通知される。
【0053】
図7は、サーボステータスおよびレコグニションホール情報の通信の際のビットアサインの一例を示す。MSB側から3ビット、第7ビット〜第5ビットは、レコグニションホール情報を表す。第7,第6および第5ビットは、ホール72b,72cおよび72aにそれぞれ対応する。すなわち、第5ビットで、カセットイン状態であるかどうかが表される。
【0054】
なお、第4ビット〜第0ビットは、サーボステータスであり、トラッキング状態や回転ドラムのロック状態、テープのテンション状態、テープの物理的始端および終端の検出情報などが表される。
【0055】
コントロール用CPU40は、サーボ用CPU41と定期的に通信を行うことによって、これらのステータスを得る。この発明では、コントロール用CPU40によって、メカポジションステータスが監視され、サーボ用CPU41がローディング動作を開始した時点でタイマをスタートさせる。そして、短時間にテープが排出されイジェクト状態となった場合、強制排出されたと認識して、ホスト側にエラーを返すようにしている。
【0056】
図8は、この実施の一形態による、カセット強制排出を検出する処理の一例のフローチャートである。状態は、先ず、テープカセット6が装置に着座されていないイジェクト状態から開始されるものとする(ステップS10)。そして、ステップS11で、コントロール用CPU40が有する図示されないタイマがクリアされる。
【0057】
タイマがクリアされると、ステップS12で、コントロール用CPU40において、サーボ用CPU41からの通信によるメカステータスに基づき、現在テープカセット6のローディング中であるかどうかが判断される。これは、例えばメカステータスの値が〔10000〕であるかどうかで調べられる。そして、例えば値が〔10000〕以外であって、テープカセット6のローディング中ではないと判断されたら、処理はステップS11に戻される。
【0058】
なお、このステップS11およびS12からなるループ処理は、例えばコントロール用CPU40とサーボ用CPU41との間で通信が行われる一定周期に基づきなされる。
【0059】
一方、ステップS12で、現在ローディング中であると判断されたら、処理は次のステップS13に移行する。ステップS13では、タイマがカウントされ、ステップS11でタイマをクリアしたときからステップS13までの時間が、予め設定されたタイムアウト時間を越えているかどうか判断される。タイムアウト時間は、コントロール用CPU40とサーボ用CPU41との間の通信の間隔である12.5msecに対し、例えば1sec乃至2sec程度に設定される。
【0060】
若し、ステップS13で、既にタイムアウトとして設定された時間を経過していると判断されたら、着座されたテープカセットが強制排出されなかったと判断され、処理はステップS16に移行する。そして、ステップS16で、ローディングが正常に完了した後の処理ならびに動作が行われる。
【0061】
一方、ステップS13で、未だタイムアウトになっていないと判断されたら、処理はステップS14に移行する。そして、コントロール用CPU40において、サーボ用CPU41からの通信によるメカステータスに基づき、テープカセット6がイジェクト状態であるかどうかが判断される。これは、例えばメカステータスの値が、テープカセット6のイジェクト状態を表すメカポジションステータスである〔00001〕であるかどうかで判断される。
【0062】
若し、例えばステータスが〔00001〕以外の値であって、テープカセット6がイジェクトされていないと判断されれば、処理はステップS13に戻される。そして、ステップS13およびステップS14を繰り返し、タイムアウトになったら、テープカセット6が正常にカセットイン状態になっていると判断され、ステップS16の処理が行われる。
【0063】
なお、ステップS13およびステップS14のループ処理は、例えばコントロール用CPU40とサーボ用CPU41との間で通信が行われる一定周期に基づきなされる。
【0064】
一方、ステップS14で、例えばステータスの値が〔00001〕であって、テープカセット6がイジェクトされていると判断されれば、処理はステップS15に移行する。この場合には、テープカセット6が強制排出されてしまったと判断され、ステップS15で、ホストコンピュータに対してエラーが通知される。
【0065】
なお、ステータスの値が〔00001〕以外の場合にもイジェクト状態であると判断することができる。例えば、ステータスの値がUnThreadを表す〔00010〕、排出中を表す値〔10001〕、UnThread動作中を表す値〔10010〕なども、イジェクト状態であるとすることができる。
【0066】
このように、この発明においては、ハードウェア的にカセットイン状態を検出した結果であるカセットインフラグを用いなくても、メカステータスによってメカ状態を監視するだけで、テープカセットが強制排出されたことを知ることができる。そのため、コントロール用CPU40の制御外でテープカセット6が強制排出されても、これを検出することができると共に、テープストリーマドライブからホストコンピュータに対して、エラーの通知を行うことができる。
【0067】
エラー通知を、例えばこのテープストリーマドライブが搭載されているチェンジャ装置やオートローダのホストコンピュータなどに返すことによって、チェンジャ装置やオートローダにおいて、対応する処理を行うことができるようになる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、サーボ用CPUとコントロール用CPUとの2つのCPUを有するテープストリーマドライブにおいて、テープカセット挿入時に、例えばテープカセットに異常があるとサーボ用CPUが判断し、コントロール用CPUの制御外でテープカセットの強制排出を行うようにされたテープストリーマドライブで、テープカセットを強制排出したことを、ホストコンピュータなどの外部装置にエラーとして返すことができるという効果がある。
【0069】
すなわち、この発明によれば、ハードウェア的にカセットイン状態を検出した結果であるカセットインフラグを用いなくても、サーボ用CPUとコントロール用CPUとの間で行われる通信によって得られるメカステータスによってメカ状態を監視するだけで、テープカセットが強制排出されたことを知ることができるという効果がある。
【0070】
そのため、コントロール用CPUの制御外でテープカセットが強制排出されても、これを検出することができると共に、テープストリーマドライブからホストコンピュータに対して、エラーの通知を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用することができるテープストリーマドライブの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】コントロール用CPUとサーボ用CPUとの間の通信を説明するための図である。
【図3】メカポジションステータスのビットアサインの一例を示す略線図である。
【図4】テープポジションの内容の一例を示す略線図である。
【図5】メカステータスの内容の一例を示す略線図である。
【図6】テープカセットを裏面から見た様子を示す略線図である。
【図7】サーボステータスおよびレコグニションホール情報のビットアサインの一例を示す略線図である。
【図8】実施の一形態による、カセット強制排出を検出する処理の一例のフローチャートである。
【図9】テープストリーマドライブにおけるテープカセットのローディング動作の処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】カセットインフラグがONにセットされずにテープカセットが排出される場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】コントロールCPUのローディング動作中にテープカセットが排出されてしまう場合の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・メカ部、6・・・テープカセット、15・・・センサ/SW、30・・・バッファコントローラ、40・・・コントロール用CPU、41・・・サーボ用CPU、72・・・レコグニションホール

Claims (2)

  1. 挿入されたテープカセットに異常があった場合に該テープカセットを強制的に排出したことを検出するテープカセット排出検出方法において、
    ホストとの通信を行う第1の制御手段と、テープカセットのローディング動作を制御する第2の制御手段との間で定期的に通信を行い、上記第2の制御手段から上記第1の制御手段に対して上記ローディング動作中のステータスを通知する通信のステップと
    記第2の制御手段による上記ローディング動作が開始されてから所定時間内に、上記通信のステップによって、上記第2の制御手段から上記第1の制御手段に対して上記テープカセットが排出された旨の上記ステータスが通知されたか否かを判断する判断のステップと、
    上記判断のステップにより上記テープカセットが排出された旨の上記ステータスが通知されたと判断されたら、上記第1の制御手段によって上記ホストに対してエラーを通知するステップと
    を有する
    ことを特徴とするテープカセット排出検出方法。
  2. 挿入されたテープカセットに異常があった場合に該テープカセットを強制的に排出したことを検出するようにした記録または再生装置において、
    ホストとの通信を行う第1の制御手段と、
    テープカセットのローディング動作を制御する第2の制御手段と、
    上記第1の制御手段と上記第2の制御手段との間で定期的に通信を行い、上記第2の制御手段から上記第1の制御手段に対して上記ローディング動作中のステータスを通知する通信手段と
    を有し、
    上記第2の制御手段による上記ローディング動作が開始されてから所定時間内に、上記通信手段によって、上記第2の制御手段から上記第1の制御手段に対して上記テープカセットが排出された旨の上記ステータスが通知されたら、上記第1の制御手段によって上記ホストに対してエラーが通知されるようにしたことを特徴とする記録または再生装置。
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