JP4047926B2 - ポリシロキサンを含む結合系を有する研磨製品 - Google Patents

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Description

技術分野
発明の分野
本発明はポリシロキサンを含む結合系を有する研磨製品、特に研磨フィラメントなどの研磨製品、研磨フィラメント被覆研磨製品、不織研磨製品、および結合研磨製品を含む製品に関する。
背景技術
発明の背景
熱可塑性組成物と研磨組成物の両者に滑剤を組み込む方法は周知である。熱可塑性組成物用滑剤は一般に内部滑剤または外部滑剤として分類される[Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, 14:411-421, John Wiley & Sons, New York. 1988を参照されたい]。内部滑剤は一般に、最終製品の物性を改質する場合もあるが、粘性流れ特性の改質により、たとえば、押出工程における熱可塑性材料の生産性および処理量を高めるために使用される加工助剤であると考えられる。一方、外部滑剤は、工程での利益に関係なく、最終製品に望ましい特性を与えるのに使用される。
様々な滑剤が研磨製品の製造および用途に用いられてきた。たとえば、米国特許第1,325,503号には、ワックス、グリース、油および脂肪を研削砥石に組込むことが記載されている。米国特許第3,502,453号には、カプセル入り滑剤を含む研磨製品が記載されている。加えて、様々な研磨組成物に諸金属ステアリン酸塩、ステアラミド類、二硫化モリブデン、グラファイト、シラン類およびポリテトラフルオロエチレンが使用されてきた。たとえば、米国特許第4,609,380号には、諸金属ステアリン酸塩が開示されており、米国特許第5,306,319号には諸金属ステアリン酸塩および二硫化モリブデンが開示されている。
さらに、WO 93/24272号には、摩擦誘導方式で、且つポリシロキサン類、好ましくは中間分子量ポリ(ジメチル)シロキサンを含んでいてもよい抗潤滑剤の存在下で、道具を使用して金属を造形する方法が開示されている。WO 93/24272号には、ポリキサンは、触媒と一緒に且つ焼いて、多孔性材料として道具/加工中の製品界面に塗付したり研削砥石または研磨石に含浸できることが開示されている。WO 93/24272号の方法には、研磨剤添加ナイロンフィラメント、不織研磨材、被覆研磨ベルト、フラップ車、研磨液または棒状化合物を含む布バフなどの、工業に使用される従来の研磨道具、ばり取り道具および仕上工具に応用できると開示されている。
米国特許第5,213,589号には、研磨製品の研磨表面の少なくとも一部を被覆する被膜を有し、且つ架橋シロキサンを含む研磨製品が開示されている。
さらに、シリコーン材料は、強化剤や加工助剤を含め、様々な目的にかなうことが知られている。たとえば、米国特許第4,849,564号には、エラストマーや樹脂を含むポリマー材料の強化剤として、シリコーンゴムを使用することが開示されている。シリコーンゴムは、各分子内に少なくとも1個の不飽和炭化水素基を有するエポキシ化合物を含有し、分子当たり少なくとも2個のシリコーン結合ヒドロキシル基を有するジオルガノポリシロキサン、分子当たり少なくとも2個のシリコーン結合水素原子を有するオルガノ水素ポリシロキサン、および硬化剤を含む硬化性液体シリコーンゴム組成物から形成されると開示されている。
さらに、特定のポリシロキサン化合物が知られている。「Polymer Melt Additives for Textile Applications」1992と題するDow Corning Corporation Publication 25-339-92には、化学構造を変えず、機械的特性に対しては最小限の変化で、貴重なシリコーン特性を加えることができる、熱可塑性ポリマーと配合するのに適した高粘度シリコーン流体または高分子量シリコーンゴムが開示されている。開示された利益としては、内部潤滑と離型、低温且つ低圧におけるよりすぐれた金型充填および押出しならびにより速い処理量、より高い表面滑性、不粘着性、およびより高い表面摩耗抵抗性および耐摩耗性などがある。この出版物は、ポリマー改質に使用することができる他の有機反応性流体が存在すること、さらにその有機反応性流体は、予知できる有機反応領域を含むように改質されたシロキサンであることが開示されており、これらの流体は、耐久性シリコーン接着および原樹脂特性の保持というメリットを有すると開示されている。
Dow Corning Corporationにより出版された「New Silicone Modifiers for Improved Physical Properties and Processing of Thermoplastics and Thermoset Resins」と題するJ. W. White et alの論文には、シリコーン流体およびシリコーンエマルジョンは、外離型剤としてプラスチック工業で広く使用されているが、熱可塑性母材中に分散されたシリコーン流体は、内離型剤、滑剤、および加工助剤としても機能できることが開示されている。この論文は、シリコーンゴムを熱可塑性樹脂と配合すると、様々な加工利点およびポリマー特性が改良される。内臓離型、内部潤滑、サイクル時間の縮小、耐摩耗性の向上、そりおよび不合格品の減少、および荷重速度範囲の増大を含め、様々な加工利点およびポリマー特性改良を来すことが開示されている。
シリコンゴムは、熱硬化シリコンゴム組成物を作製にする際に出発材料として広く使用される。Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, 15:204-308, John Wiley & Sons, New York. 1989を参照されたい。フィラー、強化剤、および他の添加物と混合され、さらに熱開始架橋反応を受けるとき、有用なエラストマー製品を製造することができる。
発明の開示
発明の概要
上述の通り、ある種の滑剤は研磨製品に有用であることは周知であるが、広く様々なシリコーン材料が、たとえば、有用な内部滑剤であることおよび/または配合時の摩耗減少に有用であることが知られており、ある種のポリシロキサン類は研磨製品および特に研磨フィラメントの性能向上に特に有効であることが、本発明で発見された。本発明は、結合系にポリシロキサンを含有し、その結果、切断性能は維持されるかあるいは増大するが、摩耗は劇的に減少し、結果として研磨効果が改良される研磨製品に関する。事実、一般に、あまり摩耗を示さない研磨製品は切断もあまりうまくできず、言い換えれば、より優れた切断を行うとき、摩耗も大きい。しかし、本発明では、切断は維持されるか増強されるが、摩耗は減少する。
研磨製品の具体的例としては、研磨フィラメント、研磨フィラメントを含む研磨製品、被覆研磨剤、不織研磨剤、研削砥石やガラス化砥石などを含む結合研磨剤、成形研磨ブラシを含む成形研磨製品などがある。「被覆研磨剤」という熟語は一般に裏材に接着された複数の研磨粒子を含む研磨製品を指す。「不織研磨剤」という熟語は一般に繊維のウェブまたは繊維のウェブ内に接着された複数の研磨粒子を有する研磨製品を指す。「結合研磨剤」という熟語は一般に結合系により造形塊の状態で接着される複数の研磨粒子を指す。「成形研磨製品」という熟語は、成形可能なポリマーおよび研磨粒子を射出成形することによって作製された研磨製品を指す。
特に、本発明は(a)複数の研磨粒子と(b)複数の研磨粒子を接着する結合系であって、結合剤およびシロキサンを含む結合系を含む研磨製品に関する。
1つの実施態様で、本発明は(a)主要表面を有する裏材、(b)複数の研磨粒子、および(c)複数の研磨粒子を裏材の主要表面に接着する結合系であって、結合剤およびポリシロキサンを含む結合系を含む被覆研磨剤に関する。
別の実施態様で、本発明は(a)複数の研磨粒子と(b)複数の研磨粒子を造形塊に接着する結合系であって、結合剤およびシロキサンを含む結合系を含む結合研磨製品に関する。
また別の実施態様で、本発明は、少なくとも1種の主要表面および内部領域を有する不織研磨製品であって、(a)有機繊維の目の粗いロフティーウェブ、(b)複数の研磨粒子、および(c)複数の研磨粒子を目の粗いロフティウェブに接着する結合系であって、結合剤およびポリシロキサンを含む結合系を含む不織研磨粒子に関する。
本発明は、(a)全長にわたって連続表面を有し、且つ第1硬化有機ポリマー材料を含む、第1伸長フィラメント成分と、b)第1伸長フィラメント成分と隣接する第2伸長フィラメント成分であって、連続表面に沿って第1伸長フィラメント成分とメルト溶融粘着接触している第2硬化有機ポリマー材料を含み、第2硬化有機ポリマー材料は第1硬化有機ポリマー材料と同じであるかまたは異なり、第1硬化有機ポリマー材料と第2硬化有機ポリマー材料のうち少なくとも1つは、分散されて接着された研磨粒子を中に含み、第1硬化有機ポリマー材料と第2硬化有機ポリマー材料のうち少なくとも1つはポリシロキサンを含む、第2伸長フィラメント成分とを含む研磨フィラメントに関する。
さらに、本発明は、(a)研磨粒子であって、硬化有機ポリマー材料中に分散されて接着された研磨粒子と、b)ポリシロキサンとを含む硬化有機ポリマー材料で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1種の予備成形コアを含む複合研磨フィラメントに関する。
また別の実施態様で、本発明は、主要表面を有する裏材と、裏材の主要表面に接着された複数の研磨複合材を含む構築研磨製品に関し、各研磨複合材は複数の研磨粒子、および結合剤およびポリシロキサンを含む結合系を含む。
本発明は硬化有機ポリマー材料、複数の研磨粒子、およびポリシロキサンを含むモノフィラメントにも関する。
発明を実施するための最良の形態
発明の詳細な説明
上述の通り、本発明の研磨製品はシリコーン材料を含む結合系を含む。本発明の成分を以下に説明する。
ポリシロキサン材料
本発明のポリシロキサンは式(A):
Figure 0004047926
(式中、R,R',R1,R2,R3,R4,R5,およびR6は同じであっても異なってもよく、アルキル、ビニル、クロロアルキル、アミノアルキル、エポキシ、フルオロラルキル、クロロ、フルオロ、またはヒドロキシであってもよく、nは500以上である。)のポリシロキサンを含む。好ましくはnは1000以上であり、さらに好ましくは、nは1000から20,000の範囲であり、最も好ましくは、nは1,000から15,000の範囲である。好ましくは、R,R',R1,R2,R3,R4,R5,およびR6は個々ににアルキルであり、さらに好ましくはメチルである。
したがって、本発明のポリシロキサンの分子量は一般に少なくとも約35,000であり、好ましくは少なくとも約70,000、さらに好ましくは70,000〜約1,400,000であり、最も好ましくは約70,000〜1,000,000である。分子量が実質的に約35,000未満のポリシロキサンは有利に貢献するが、このような低粘度ポリシロキサンは研磨組成物の表面により迅速に移動し、その結果、研磨組成物の使用寿命の後半で性能があまり改善されない可能性がある。
本発明のポリシロキサンは、未架橋ポリシロキサンである。本発明のポリシロキサンに関して本願明細書で使用される用語「未架橋」は、ポリシロキサンは架橋されていないが、線状ポリシロキサンと分枝ポリシロキサンの両者を含んでもよいことを示す。
一般に、本発明のポリシロキサンは変形可能な固体に似ているが、他の一貫性を有する可能性もある。
好ましいポリシロキサンは、式(B):
Figure 0004047926
(式中、RおよびR'は同じであっても異なってもよく、アルキル、ビニル、クロロアルキル、アミノアルキル、エポキシ、フルオロラルキル、クロロ、フルオロまたはヒドロキシであってもよく、好ましくはアルキルであり、さらに好ましくはメチルであって、nは500以上であり、好ましくはnは1000以上であり、さらに好ましくは、nは1000から20,000の範囲であり、最も好ましくは、nは1,000から15,000の範囲である。)のポリジメチルシロキサンである。
特に好ましいポリジメチルシロキサンの1例は式(B)によるポリジメチルシロキサンであり、式中、RおよびR'はメチルであり、このポリシロキサンの重量平均分子量は5.83 x 105であり、このポリシロキサンの数平均分子量は2.84 x 105であり、nはおおよそ7773である。
本発明のポリシロキサンは、結合系(たとえば、有機ポリマー材料の総重量)の重量%を基準にして、少なくとも約1%、一般に1〜20%、好ましくは2〜10%、さらに好ましくは2〜6%、最も好ましくは4〜6%の範囲の重量%で研磨製品の結合系に組込むことが可能である。
ポリシロキサンは多くの異なる形、たとえば、化合物そのものとして、あるいは濃縮物、たとえば、プラスチックとして、すなわち、ポリマー、ペレットとして入手できる。ポリシロキサンを濃縮することができる、すなわち配合することができるポリマーの例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド類、ポリアセタール、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、およびポリエステルエラストマーなどがあり、それらはすべて、たとえば「Zytel 101」の商品名でE.I. Du Pont de Nemours Company, Wilmington, Delawareから入手できるポリアミド、「Hytrel 6356」の商品名でE.I. Du Pont de Nemours Company, Wilmington, Delawareから入手できるポリエステルエラストマー、および「Escorene 3445」の商品名でExxon Chemical Company, Houston, Texasから入手できるポプロピレンとして市販されている。一般に、市販の濃縮物は40〜50%の範囲の重量%でポリシロキサンを含むことが可能であるが、本発明の目的では、最終製品中で所望の重量%を達成できる限り、任意の重量%が許容される。濃縮物以外の形でポリシロキサンを利用する場合、たとえば、ポリシロキサンを使用すべき環境に適合するポリマーにポリシロキサンを配合することが必要である。たとえば、熱可塑性エラストマーフィラメントにポリシロキサンを使用する場合、上述の重量%でポリシロキサンを熱可塑性エラストマーと配合することができる。あるいは、被覆研磨製品、構築研磨製品、結合研磨製品または不織研磨製品にポリシロキサンを使用する場合、ポリシロキサンを濃縮物に配合せずに、結合系に組込むことができる。たとえば、ポリシロキサンを溶剤に溶解し、たとえば、所望の研磨製品に使用される樹脂と結合させることもできる。
本発明のポリシロキサンは、シリコーンポリマー合成の技術にたけた者に周知の方法で調製することが可能である。たとえば、ジメチルジクロロシランなどの二官能価モノマーを適当な条件下で重合させて線状ポリシロキサンポリマーを形成することが可能である。水やトリメチルシリルクロリドなどの一官能価反応物を含めて重合反応を終結させ、重合の程度、したがって結果として得られるポリマー鎖の分子量を制御することができる。このような一官能価反応物は、「連鎖停止剤」としても知られ、ポリシロキサンの末端基の性質および官能価を決定することができる。連鎖停止剤として水を使用するとき、生じる末端基はシラノ基(Si-OH)である。さらに、式(C)
Figure 0004047926
(式中、nは3以上の範囲であり、好ましくは3〜7であり、さらに好ましくは3〜5であり、最も好ましくは3である。)のトリメチルシロキシ化合物などの連鎖停止剤を使用することができる。このような連鎖停止剤は一般にトリメチルシロキシ−末端鎖となる。
具体的な調製方法には次のバッチ法と連続法がある。
バッチ法
ジメチルテトラマーなどのシロキサン環状モノマーを重合容器に入れ、蒸留または分子ふるいカラムを通してシロキサン蒸気を還流することにより乾燥させることができる。乾燥モノマーの温度を約155℃に調節し、水酸化カリウム重合触媒をメチルテトラマー中粉砕スラリーの形で加えると約20ppmの水酸化カリウム濃度を得ることができる。高粘度ポリマーが得られるまで、一般に30±10分以内、攪拌しながら重合反応を進行させることができる。その後。水を連鎖停止剤としてポリマーに加えると、さらなる粘度上昇を制限することができ、約155℃で攪拌を続けることができる。水を約25分間隔でさらに3回加えることができ、最後に水を加えた後、攪拌を約30分間続けることができる。
次に、ポリマーの試料を採取し、重合反応の完了を試験してポリマーの粘度を測定することが可能である。水酸化カリウム触媒を等モルのリン酸を加え、中和反応を完了するために1〜1.5時間攪拌することによって中和することができる。ポリマーの試料を再度採取して、酸/塩基濃度を試験することが可能である。より高温度に対するポリマーの安定性を試験することもできる。最終的に、圧力5〜10mmHg、温度約160℃で蒸留することによって、ポリマーから未反応モノマーを除去することができる。上述の反応で作製され、シラノール停止シロキサンポリマーの粘度は25℃で約3500csであってもよく、約2%未満の未反応モノマーを含んでもよい。
連続法
Petersenに与えられた米国特許第4,250,290号に記載されている通り、連続法を使用してポリシロキサンを調製することができる。たとえば、ジメチル環状シロキサンモノマーは、モノマーを少なくとも140℃まで、しかしモノマーの沸点より高くない温度まで加熱することによって部分的にガス抜きすることができ、気液分離チャンバ内、大気圧で、気体をモノマーから分離することができる。ガス抜きされたモノマーの温度を、重合反応器内での滞留時間と適合する温度まで上昇させるために、ガス抜きされたモノマーを、熱交換機により所望の一定速度でポンピングすることができる。適当な温度は約160℃〜約200℃であってもよい。機械的に駆動される直列形ミキサー内で、熱モノマーを塩基性触媒と混合することができる。
適当な塩基性触媒としては、水酸化セシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトウム、水酸化リチウムおよびそれらの類縁体セシウムシラノレート、カリウムシラノレート、ナトリウムシラノレートおよびリチウムシラノレートなどがある。上記の様々な触媒は、本重合工程に関して異なる比反応性を有する。たとえば、水酸化ナトリウムは弱塩基であり、他の塩基性触媒よりも比較的緩徐に重合を触媒し、その結果、反応は所与のあらゆる温度でより長時間を要すると考えられる。一方、水酸化セシウムは非常に急速に反応するが、本発明を実践することにより生成物の粘度や方法の効率を調節する機会がないうちに、重合反応が完了するまで進むことがある。それ故、水酸化セシウムは強塩基を必要とするとき、たとえば、重合反応帯域の温度が低いときに有効である。好ましい塩基触媒は、水酸化カリウムの活性型であり、且つオクタメチルテトラシロキサンなどのモノマー溶液に非常によく溶解する、カリウムシアノレートである。出発物質中で、この触媒の溶解度が比較的高いことは、この連続重合工程の効率を大幅に高める非常に有利な特徴である。水酸化カリウムなど、さほど溶解しない触媒を使用する場合、シロキサンモノマーと反応することにより水酸化カリウムを溶解して、カリウムシアノレートを形成するのに十分な滞留時間を有する攪拌チャンバを提供することが必要と思われる。この方法では、カリウムシアノレートを重合工程に連続的に加えることが可能なように、十分な量のカリウムシアノレートを事前に調製することが好ましい。
次に、カリウムシアノレートを定速ポンプで直列形ミキサーにポンピングすることができる。直列形ミキサーが好ましいが不可欠ではなく、時間の経過とともに触媒モノマー溶液がより一様に一貫した組成を有するように、工程の開始時にバックミキシングを提供するという一次目的の役に立つ。直列形ミキサーの二次利益は、モノマー中カリウシラノレート触媒の急速且つ一様な溶液を確保できることである。
熱触媒モノマーを、約160℃から約200℃、好ましくは約180℃から約190℃の本質的に一定な温度に保たれる静的ミキサーに移すことが可能である。静的ミキサー内を、重合温度で水の蒸気圧より僅かに高い圧力に維持することが可能である。一般に、重合温度190℃では、170psi(1172キロパスカル)ゲージ圧が適当である。
所望の重合度を得るために十分な滞留時間を提供することができるように、また重合反応が所定の速度で連続的に進行するように、静的ミキサーの体積を選択することが可能である。一般に、16%未満の未反応モノマーを含有するポリマーが得られる。しかし、モノマーがジメチル環状シロキサンのとき、平衡モノマー含有率は約12%であることがわかっている。
静的ミキサーの混合効率は、重合体の粘度上昇を調節することによって維持することができる。粘度は、連鎖停止剤を初期に導入することによって調節することことができる。シラノール停止ポリマーの場合、所望の平均分子量および粘度のポリマーが生成される速度で水連鎖停止剤を重合器内にポンピングすることが可能である。重合器の前区画で少なくとも水約100ppmから水約500ppmまでの範囲の量の水を加えて十分な連鎖停止活性を提供し、この点で形成されるポリマーの粘度を限定すること、さらに具体的には、重合工程の初期に形成されるポリマーの粘度を限定することができる。
約100〜500ppmを超える水を要するポリマーを製造する場合、重合器区画の端から十分に上流の箇所で制御された流量で第2の水流を導入し、水とポリマーとの反応に約2分の滞留時間を使用して、水とポリマーの完全混合を提供することが可能である。シラノール末端停止ポリマーの粘度は、水とポリマーとの割合によって調節することができ、水の割合は2つの流れの合計である。適当な中和剤が導入される直径が小さい静的ミキサーの短い距離に、ポリマーを入れることができる。
中和剤は、塩基触媒を中和するのに有効な任意の穏やかな酸であってもよい。このような中和剤としては、リン酸、亜リン酸トリスクロロエチル、あるいはさらに好ましくはリン酸シリルなどがあり、リン酸シリルはシロキサンポリマーに非常によく溶解し、急速に中和することができるために特に有効である。
リン酸シリルを静的ミキサーにポンピングしてカリウムシラネート触媒を中和することが可能である。この点で直径が小さい静的ミキサーを使用して、リン酸シリルとポリマーを完全に混合することが可能である。代替法では、機械的に駆動される直列形ミキサーをこの点で使用して、小さい静的ミキサーの圧降下を排除することができる。ポリマー中の各モル当量の水酸化カリウムにほぼ1モル当量のリン酸が加えられるように、リン酸シリルの流量を調節することができる。カリウムシラノレート触媒とリン酸シリル中和剤との間の反応を完了させるために、リン酸シリル中和剤を含有するポリマーを、プラグ流れ条件でさらなる滞留が提供される直径が大きい静的ミキサーに入れることが可能である。系統圧力を調節する背圧調節弁を通して、中和されたポリマーを充填することができる。
加熱および蒸発が行われるプレヒーターを通過させることによって、中性ポリマーを脱蔵することができる。混合気液を、5〜10mmHgの絶対圧に維持される気液エントレインメントセパレーターに移すことが可能である。モノマー蒸気をセパレーターの最上部から除去し、水冷コンデンサーで濃縮し、蒸発装置からポンプで汲み出す間に、脱蔵されたポリマーを気液セパレータの底部からポンプで除去することが可能である。もちろん、モノマーを適当な貯蔵タンクに採集するか、あるいはざらに好ましくは、重合器区画に進入するモノマー給送ラインにリサイクルすることが可能である。
結合系
「結合系」という熟語は、複数の研磨粒子を研磨製品内または研磨製品に接着する材料について記述するのに使用される。結合系は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、あるいは有機系結合剤前駆体から形成される他のエラストマー材料を含むことが可能な有機系結合剤を含むことが可能である。
本願明細書で使用される用語「熱硬化性樹脂」は、加熱したときに非可逆的に凝固または架橋して硬化する樹脂を指す。本願明細書で使用される用語「熱可塑性樹脂」は、圧力および熱を加えたとき、軟化して流れる材料を指す。本願明細書で使用される用語「熱可塑性エラストマー」は、重合して硬質セグメントを形成することができる低当量多官能価モノマーと、重合して軟質の可撓性の鎖を製造することができる高当量多官能価モノマーとの反応生成物を指す。本願明細書で使用される用語「エラストマー」は、緊張状態で伸張し、引張強さが高く、迅速に収縮し、実質的にその元の寸法に回復する物質を指す。
有機系結合剤前駆体の例としては、フェノール樹脂や他のタール酸、尿素樹脂、ポリエステル(不飽和の、エポキシ樹脂、およびメラミン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン類、ポリアミド類やポリエステル類などの縮合ポリマー、ポリウレタン類などの付加ポリマー、アクリル樹脂などの遊離基重合ポリマー、マルチアクリレートやアクリルアミド類などの放射線重合ポリマー、およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーなどのゴムなどがある。
たとえば、被覆研磨剤を形成する場合、結合系は研磨スラリーの形であっても、あるいは少なくとも2層の接着層の形であってもよく、以降、最初のものを「メークコート(make coat)」と呼び、二番目のものを「サイズコート(size coat)」と呼ぶ。被覆研磨剤の結合系を形成する有機系結合剤前駆体、たとえば、樹脂は、フェノール樹脂、ペンダントα、β、不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン的不飽和樹脂、アクリレーテッドイソシアヌレート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、イソシアヌレート樹脂、アクリレーテッドウレタン樹脂、アクリレーテッドエポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、フッ素改質エポキシ樹脂、およびそれらの混合物を含んでもよい。適当なエネルギー源など、適当な条件に曝されると、樹脂は重合して架橋熱硬化性ポリマー、すなわち結合剤を形成する。
さらに、研磨フィラメントを形成する場合、研磨粒子を結合する結合系は上述の有機系結合剤であり、たとえば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、および他の諸エラストマーを含んでもよい。
本発明の結合系は、任意の添加物、たとえば、フィラー(研削助剤を含む)、繊維、帯電防止剤、滑剤、湿潤剤、界面活性剤、色素、染料、カップリング剤、可塑化剤、および懸濁剤などをさらに含んでもよい。上記材料の量は、所望の特性を提供するように選択することができる。
本発明に有用な添加物の例としては、炭酸カルシウム、ガラスバブル、ガラスビーズ、ガラス糸、カーボン糸、カリウムテトラフルオロボレート、氷晶石、カーボン粉末、およびグラファイトなどがある。
研磨粒子
本発明の研磨製品に使用される研磨粒子として、砥粒、結合剤により一緒に接着されて不連続な塊を形成する複数の砥粒を含む研磨凝集塊、および砥粒と研磨凝集塊の組合せなどがある。有用な研磨粒子の平均粒子ザイズは一般に、約0.1ミクロンから1500ミクロンの範囲、好ましくは1〜500ミクロン、さらに好ましくは5〜150ミクロンの範囲である。
本発明の研磨粒子は表面被膜を含んでもよい。表面被膜は、研磨粒子と凝集塊中の結合剤との間の接着、および凝集塊と結合系との間の接着を改良し、その結果、研磨粒子/凝集塊の摩擦特性を改良することが知られている。適当な表面被膜としては、参照により本願明細書に組込まれる米国特許第1,910,444号、第3,041,156号、第5,009,675号、第4,997,461号、第5,001,508号、第5,213,591号および第5,042,991号に記載のものなどがある。たとえば、ダイヤモンドおよび/またはCBNは、表面処理、たとえば、凝集塊中の無機結合剤への接着を改良するための金属や金属酸化物を含んでもよい。さらに、研磨粒子上にニッケル薄層などの被膜が存在してもよい。
研磨粒子は、好ましくは結合系全体に分散して結合系内に接着する。上述の通り、本発明の研磨フィラメントに有用な研磨粒子は、個々の研磨粒子であっても、個別の研磨粒子の凝集塊であってもよい。適当な凝集研磨粒子は、参照により本願明細書に組込まれる米国特許第4,652,275号および第4,799,939号に記載されている。研磨粒子は研磨剤技術によく使用される既知の研磨材料のいずれであってもよい。好ましくは、研磨粒子の硬度は約7モース(Mohs)より高く、最も好ましくは約9モースより高い。適当な研磨粒子の例としては、個別の炭化ケイ素研磨粒子(米国特許第4,505,720号に開示されている耐火性被覆炭化ケイ素研磨粒子を含む)、溶融酸化アルミニウム、熱処理溶融酸化アルミニウム、アルミナジルコニア(Norton Company of Worcester, Mass.から「NorZon」の商品名で市販されている、米国特許第3,781,172号、第3,891,408号、および3,893,826号に記載の溶融アルミナジルコニアを含む)、立方格子窒化ホウ素、ガーネット、軽石、砂、金剛砂、雲母、コランダム、石英、ダイヤモンド、炭化ホウ素、溶融アルミナ、焼結アルミナ、αアルミナ系セラミック材料(Minnesota Mining and Manufacturing Company(3M), St. Paul, MNから「Cubitron」の商品名で市販されている)、米国特許第4,314,827号、第4,518,397号、第4,574,003号、第4,744,802号、第4,770,671号および第4,881,915号に記載されているもの、およびそれらの組合せなどがある。
研磨粒子はプラスチック材料、たとえば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニから誘導することもできる。
研磨粒子は、所望の摩擦特性を提供するのに十分な重量%で研磨製品中に存在する。例示のため、研磨フィラメントに言及する。たとえば、研磨粒子は、研磨粒子を含有するフィラメントの重量%を基準にして、約0.1〜約60の範囲、好ましくは約25〜約50の範囲の重量%で存在してもよい。
より高い研磨粒子添加量を実現するためには、使用する結合系によって、ポリマー溶融体に導入する前に、カップリング剤で研磨粒子を被覆することが必要であろう。カップリング剤は、好ましくは、結合系の重量を基準にして、5重量%未満の量で使用される。
本発明に有用であり、それ故本発明で使用するのに好ましいカップリング剤は、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m-アミノ)フェニルチタネートやネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトチタネートなどのネオペンチル(ジアリル)オキシチタネートである。トリ(m-アミノ)フェニルバージョンおよびトリ(ジオクチル)ホスファトバージョンはペレットの形で、それぞれ「LICA 97/E」および「LICA 12/E」の商品名で、Kenrich Petrochemicals, Inc., Bayonne, New Jerseyから市販されている。
本発明の研磨フィラメントに組込まれる研磨粒子のサイズは、目的とするフィラメントの用途によって異なる。切断や荒仕上げを要する用途では、比較的大きい研磨粒子が好ましいが、仕上げ用途ではサイズが比較的小さい研磨粒子が好ましい。たとえば、本願明細書で定義される複合研磨フィラメントの場合、研磨粒子の平均直径は複合研磨フィラメントの直径の約1/2に過ぎず、さらに好ましくは複合研磨フィラメントの直径の約1/3に過ぎない。さらに、たとえば、本願明細書で定義されるコア−シース研磨フィラメントの場合、研磨粒子がシース内にあるとき、好ましくは研磨粒子の平均直径は研磨フィラメントのシースの直径の約1/2に過ぎず、さらに好ましくは研磨フィラメントのシースの直径の約1/3に過ぎない。あるいは、研磨粒子がコア内にあるとき、研磨粒子の平均直径は好ましくはせいぜいコアの直径である。
研磨粒子は、結合系中に一様に分散される必要はないが、用途によっては、一様な分散によって、より一貫した摩擦特性が得られる可能性がある。
研磨製品
本発明の研磨製品は、上述の結合系を含み、その結合系は上述のポリシロキサン含む。本発明の研磨製品は研磨フィラメント、研磨フィラメントを含む研磨製品、被覆研磨剤、不織研磨剤、成形研削砥石、ガラス化研削砥石などを含む結合研磨剤、成形研磨ブラシを含む研磨製品を含む。本発明を例示するために、ポリシロキサンを含む結合系を含む研磨フィラメントに言及し、続いて本発明のポリシロキサンを含む結合系を含んでもよい他の研磨製品について説明する。
研磨フィラメント
本発明のフィラメントは結合系、すなわち、上述の通り、複数の研磨粒子およびポリシロキサンを含む、硬化有機ポリマー材料を含む。研磨フィラメントは一般に、砥粒(複合研磨フィラメント)またはコアとシースが互いに無関係に硬化有機ポリマー材料を含む結合系を含み、且つコアとシースのうち少なくとも1つが砥粒を含むコア−シース配列を含む硬化有機ポリマー結合系で被覆された、予備成形コアを有する。さらに、本発明の研磨フィラメントはモノフィラメントであってもよい。本願明細書で使用される用語「モノフィラメント」は、実質的に一様な横断面の単一フィラメントを指し、用語「実質的に」は研磨粒子が存在するために、横断面に若干の変化が存在してもよいことを指す。
本願明細書で使用される用語「硬化した」は、流れに対して抵抗性になったことを意味し、American Society of Testing Materials(ASTM)test(アメリカ材料試験協会(ASTM)試験)D2117.などの標準試験で測定したとき、材料の温度が本願明細書で使用される熱可塑性ポリマーの融解温度より低く、且つ硬質領域(セグメント化熱可塑性エラストマー)またはイオンクラスター(イオノマー熱可塑性エラストマー)の融解温度または解離温度より低いときの、熱可塑性材料や熱可塑性エラストマー材料などの有機ポリマー材料物理的状態を指す。本願明細書で使用される熱可塑性エラストマーの場合、この用語を使用して室温(すなわち、約10〜約40℃)硬度(Shore D scale)を記述することもできる。本発明で使用される熱可塑性エラストマーの室温Shore D デュロメーター硬度は、ASTM D 790で測定したとき、少なくとも約30であることが好ましく、さらに好ましくは、約30から約90の範囲である。用語「硬化した」は、熱可塑性エラストマー/研磨粒子混合物の、硬度を高めるための物理的処理および/または化学的処理を含まない。しかし、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー以外の材料を指すとき、用語「硬化した」は、たとえば、熱硬化性樹脂を使用するとき、材料の物理的処理および/または化学的処理、たとえば、熱や紫外線を含んでもよい。
複合研磨フィラメント
本発明の複合研磨フィラメントは、分散されて接着された研磨粒子を中に有する硬化した有機ポリマー材料で少なくとも部分的に被覆された少なくとも1種の予備成形コア、および分散された本発明のポリシロキサンを中に含む。
本願明細書で使用される用語「複合研磨フィラメント」は、少なくとも1種の予備成形コアの少なくとも一部、好ましくは全表面に、上述の硬化した有機ポリマー材料を有する研磨フィラメントを意味し、硬化した材料の横断面の面積と予備コアの横断面の面積との比率は、約0.5:1〜約300:1の範囲であり、好ましくは約1:1〜10:1、さらに好ましくは約1:1〜約3:1の範囲であり、横断面は複合研磨フィラメント主軸に垂直な平面によって画定される。複合研磨フィラメントは、所望の任意の長さのものであってもよく、もちろん、横断面は円形、卵形、正方形、三角形、矩形、多角形、あるいはマルチローブ(三裂、四裂など)であってもよい。
本発明の複合研磨フィラメントの有機ポリマー材料は、予備成形コア全体好ましく被覆するが、これは必要条件ではない。考えられるところでは、有機ポリマー材料は、製造工程にある製品をストライクする予備成形のあちら側のみを被覆することも可能であり、この構築物の複合材は、本発明の範囲内と考えられる。熟練者には明白であろうが、有機ポリマー材料は、コアと同じ外形を有する必要はなく、たとえば、有機ポリマー材料は矩形または三角形の横断面を有してもよいが、予備成形コアの横断面は概円形である。有機ポリマー材料は予備成形コアを完全に被覆し、有機ポリマー材料の断面積と予備成形コアの断面積との比率は、約0.5:1から約300:1まで、広い範囲内で変化することが可能である。さらに好ましくは、断面積の比率は約1:1から約10:1の範囲、特に好ましくは約1:1から約3:1の範囲である。
予備成形コア
本願明細書で使用する「予備成形コア」は、1工程以上の被覆工程であって、その1工程で、予備成形コアを研磨剤充填有機ポリマー材料で被覆する工程とは別で、且つその被覆工程より前の工程で形成される1種以上のコア成分を意味し、言い換えれば、予備成形コアは有機ポリマー材料を含むシースと同時に作製されるのではない。予備成形コアの横断面は、形に関して制限を受けないが、実質的に円形または矩形の横断面を有する予備成形コアが適当であった。複合研磨フィラメントは予備成形コアを有してもよく、複合研磨フィラメントの全直径は広い範囲内でよく、予備成形コアを溶融有機ポリマー材料、たとえば、TPEで被覆するのに使用される装置のサイズおよび複合研磨フィラメントが接着される物品のみによって制限を受ける。明らかに、複合研磨フィラメントの予備成形コアの直径が増加するにつれて、所与のサイズのハブなど、基材に接着することができる複合研磨フィラメントの数は減少する。典型的なハンドヘルドの道具に使用される本発明の複合研磨フィラメント用予備成形コアの直径は、好ましくは少なくとも約0.1mmであり、複合研磨フィラメントそのものの直径は、好ましくは約1.0mmから約2.0mmの範囲である。大型研磨装置の場合、上述の直径は、もちろん、はなはだしく増大させることが可能であり、はるかに大きい予備成形コアおよび全直径を有する複合研磨フィラメントは、追加クレームの範囲内と考えられる。
直径が約0.75mmから約1.5mmの範囲の本発明の複合研磨フィラメントは、少なくとも約2.0kgの最終的破壊力(すなわち、「Instron」Model TMの商品名で知られる標準引張テスターを使用して測定される)、少なくとも約15分の50%疲れ破損抵抗性(すなわち、コア−シース配列について後述する所与の条件で、所与のブラシのフィラメントの50%がブラシから離れるのに要する時間)、およびANSI 1018冷間圧延スチールプレート上で少なくとも約2の研磨効率(すなわち、フィラメント損失重量当たりの製造工程にある製品の除去された重量)を有する。本願明細書に後述する実施例でわかるように、これらの選択の均衡を保つことは、製造工程にある製品次第と考えられる。
予備成形コアは好ましくはフィラメント全長にわたって伸びるが、これは必要ではない。予備成形コアの横断面が硬化した有機ポリマー材料の横断面と同じ形を有する必要もなく、予備成形コアおよび硬化した有機ポリマー材料は同心であっても偏心であってもよく、単一または複数のコア成分は本発明の範囲内である。検討を容易にするために、以下の開示の大部分を、単一の、中央に位置する予備成形コアを有する構築物に集中させる。
研磨剤充填溶融有機ポリマー材料の被膜を予備成形コアの少なくとも一部に塗付することができるように、予備成形コアの融解温度が十分に高く、且つ予備成形コアの完全性を維持できるほど急速に溶融有機ポリマー材料が冷却されるのであれば、予備成形コアは、連続的な個々の金属ワイヤー、多様な連続的な個々の金属ワイヤー、多様な連続非金属フィラメント、あるいは、後の二者の混合物であってもよい。
好ましい予備成形コアとしては、単ストランドおよびマルチの金属コア、たとえば、プレーンカーボンスチール、ステンレススチール、および銅などがある。他の好ましい予備成形コアとしては、多様な非金属フィラメント、たとえば、ガラス、セラミック、およびアラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどの合成有機ポリマー材料などがある。
本発明に有用な予備成形コア材料は、その表面特性、機械的特性、および環境的安定性特性を選択するか、あるいは変更することができる研磨剤被覆基材と考えられる。予備成形コア材料は、コアと有機ポリマー材料との間の接着を遂行する能力を有するように、表面が好ましく選択されるか変更される。重要な機械的特性としては、様々な化学条件、熱条件および大気条件で操作中の引張強さおよび屈曲疲れ抵抗性などがある。
本発明の複合研磨フィラメントで有用な予備成形コアとしては、ステンレステールや銅などの金属ワイヤー、ガラス繊維やセラミック繊維などの無機繊維、アラミドやレーヨンなどの合成繊維、綿などの天然繊維、およびそれらの混合物などがある。連続モノフィラメントを使用してもよいが、好ましいコアは上述の材料の撚線、ケーブルおよび糸である。本願明細書で使用される「撚線」は撚り合わせられたワイヤーを指し、「糸」は撚り合せられた非金属モノフィラメントを指す。典型的な配列としては、1×3配列、1×7配列、1×19配列、および3×7配列などがあり、最初の数はストランドまたは糸の数を指し、2番目の数は各糸またはストランド中の、撚り合わせられた個々のモノフィラメントまたはワイヤーの数を指す。「ケーブル」は、撚り合わせられた2本以上のストランドを指し、「パイル糸」は撚り合わせられた2本以上の糸、好ましくはケーブルと比較して反対方向の捻じれを有する(たとえば、ケーブルが「右側」に撚り合わせられている場合、「パイル糸」は「左側」に撚り合わせられていてもよい)糸を指す。あるいは、予備成形コアは、連続非撚線またはモノフィラメントの形でもよい。好ましい糸としては、ガラス繊維の糸、セラミック繊維の糸、アラミド繊維の糸、ナイロン繊維の糸、ポリエチレンテレフタレート繊維の糸、綿繊維の糸、それらのパイルバージョン、およびそれらの混合物などがある。
予備成形コアの直径は好ましくは少なくとも約0.01mm、さらに好ましくは約0.1mmから約0.7mmの範囲であるが、現在知られている複合研磨フィラメントの製造方法によって課せられる制限以外、事実上、直径に上限はない。
本発明に有効な市販の予備成形コア材料としては、National Standard, Specialty Wire Division, Niles, Michiganから入手可能な外径(OD)0.305mmの1×7ストランドステンレススチール、ともにOwens-Corning Fiberglass Corporation, Toledo, Ohioから入手可能で、注文番号「ECH 18 1/0 0.5Z 603-0」で知られ、本願明細書では「OCF H-18」と呼ばれる約204本のモノフィラメントを有する連続ガラスフィラメント糸、および注文番号「ECG 75 1/2 2.8 S 603-0」で知られ、本願明細書では「OCF-G75」と呼ばれる、エポキシシラン前処理を有する類似したガラスフィラメント糸、E. I. du Pont de Nemours and Company, Inc., Wilmington, Delawareで製造および販売され、商品名「Kevlar」で知られるアラミド繊維の糸(200〜3000デニール、撚り0、タイプ964)、およびEddington Thread Manufacturing Company, Bensalem, PAまたはSynthetic Thread Company, Bethlehem, PA.から入手可能で、織物名称#69、#92および#138(数はパイル糸の重量を指す)を有する、アラミド繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維で作製されるパイル糸などがある。
幾つかの好ましい実施態様では、接着剤やシーラントなどの前処理化学物質で予備成形コアを処理するが、これは、有機ポリマー材料を予備成形コアに接着するのに役立つ。予備成形コアがガラスパイル糸であるとき有用な前処理化学物質の1群はエポキシ−シラン類である。予備成形コアはそれ自体が研磨剤であってもよい。
コア−シース配列
コア−シース配列は、その全長にわたって連続表面を有し、且つ第1硬化有機ポリマー材料を含む、第1伸長フィラメント成分を好ましく含む。この実施態様で、研磨フィラメントはさらに、第1伸長フィラメント成分と隣接し、連続表面に沿って第1伸長フィラメント成分とメルト溶融粘着接触した第2硬化有機ポリマー材料を含む第2伸長フィラメント成分を含むことが好ましい。第2硬化有機ポリマー材料は、第1硬化有機ポリマー材料と同じであっても異なってもよい。
第1硬化有機ポリマー材料と第2硬化有機ポリマー材料のうち少なくとも1つは、そこに接着された複数の研磨粒子を含み、第1硬化有機ポリマー材料と第2硬化有機ポリマー材料のうち少なくとも1つは、本発明のポリシロキサンを含む。明らかに、ポリシロキサンは第1硬化有機ポリマー材料に存在してもよく、研磨粒子は第2硬化有機ポリマー材料に存在してもよく、あるいはその逆でもよく、ポリシロキサンと研磨粒子が同一硬化有機ポリマー材料に一緒に存在してもよい。
好ましくは、ポリシロキサンは第1硬化有機ポリマー材料および第2硬化有機ポリマー材料に存在する。
第1伸長フィラメント成分と第2伸長フィラメント成分を含む実施態様で、研磨粒子を含む硬化有機ポリマー材料の断面積と、フィラメントの残りの断面積の比率は、広い範囲にわたって変化してもよい。本発明の研磨フィラメントがコア−シース構造を有し、コアまたはシースのうち1つだけが研磨粒子を含有する場合、研磨粒子を含有するフィラメントの部分の断面積と、研磨粒子を含有しない部分の断面積との比率は約1:1から約20:1の範囲であり、好ましくは約1:1から約10:1、さらに好ましくは約1:1から約4:1の範囲であり、横断面は研磨フィラメント主軸に垂直な平面で画定される。シースの断面積と研磨フィラメントの断面積との比率は、好ましくは約40%以上である。研磨フィラメントは所望の任意の長さでもよく、もちろん、横断面は円形、卵形、正方形、三角形、矩形、多角形、またはマルチローブ(3裂、4裂など)であってもよい。
たとえば、研磨フィラメントは硬化有機ポリマー材料、研磨粒子、およびポリシロキサンを含め、コアの形で第1伸長フィラメント成分を有してもよい。伸長フィラメント成分コアの有機ポリマー材料は、酸化アルミニウム研磨粒子や炭化ケイ素研磨粒子など、複数の研磨粒子全体に分散してそこに接着し、またポリシロキサン全体に分散した。あるいは、第1伸長フィラメント成分は第1硬化有機ポリマー材料から形成されたコアの形であり、シースは第2硬化有機ポリマー材料、研磨粒子、およびポリシロキサンから形成される。この実施態様では、シースのみに研磨粒子およびポリシロキサンが含まれる。上述の通り、いずれの実施態様でも、ポリシロキサンは同一有機ポリマー材料にあっても研磨粒子と異なる有機ポリマー材料にあってもよい。
別のコア−シース研磨フィラメント実施態様では、第1有機ポリマー材料および硬化有機ポリマー材料を有し、両者は同じであっても異なってもよく、且つ各々が有機ポリマー材料の配合物を含んでもよく、コアおよびシースを形成し、コアとシースの両者は、それぞれ研磨粒子およびポリシロキサンを含む。研磨粒子はもちろん、タイプ、粒子サイズ、粒子サイズ分布、コア内およびシース内の分布に関して同一であっても異なってもよく、同じポリシロキサンまたは異なるポリシロキサンがコアとシース内に存在してもよい。
研磨フィラメントはコア、および広範囲の研磨フィラメント全直径を有してもよく、この直径は、溶融有機ポリマー材料の製造に使用される装置のサイズ、および研磨フィラメントが接着される物品のみにより制限を受ける。明らかに、研磨フィラメントの直径が増大するにつれて、ハブなど、所定のサイズの基材に接着することができる研磨フィラメントの数は減少する。コア−シース構造である本発明の研磨フィラメントの場合、典型的なハンドヘルド道具で使用される研磨フィラメント用コアの直径は、好ましくは少なくとも約0.1mmであり、研磨フィラメントそのものの直径は好ましくは約1.0mmから約2.0mmの範囲である。大型研磨装置の場合、上述の直径は、もちろん、はなはだしく増大させることが可能であり、
はるかに大きいコアおよび全直径を有する研磨フィラメントは、追加クレームの範囲内と考えられる。
約1.0mmから約2.0mmの範囲の直径を有する本発明の研磨フィラメントは、少なくとも約0.5kg(非伸長)、好ましくは少なくとも約1.0kg(非伸長)の最終的破壊力(速度10cm/分の標準引張テスター、たとえば、「Sintech 2 Tensile Tester」の商品名で知られるテスターを使用して測定される)、少なくとも約15分の50%疲れ破損抵抗性(Tynex and Herox Technical Bulletin No. 6, E-19743, Feb. 1978, E. I. Du Pont de Nemours Plastics and Resins Department, Wilmington, Delawareによる試験を使用する、フィラメント屈曲試験による)、およびANSI 1018冷間圧延スチールプレート上で少なくとも約2の研磨効率(フィラメント損失重量当たりの除去された製造工程にある製品の重量)を有する。
モノフィラメント
本発明のモノフィラメントは、フィラメント中に分散されて接着された研磨粒子を有する有機ポリマー材料および分散された本発明のポリシロキサンを中に含む。
モノフィラメントは、その全長にわたって連続表面を有し、用途によって広範囲にわたって変化することが可能な断面積を有する。モノフィラメントの断面積は好ましくは0.1mmから5mmの範囲でああり、さらに好ましくは0.3〜2mmである。モノフィラメントは、所望の任意の長さであってもよく、もちろん、横断面は円形、卵形、正方形、三角形、矩形、多角形、あるいはマルチローブ(三裂、四裂など)であってもよい。
直径が約1.0mmから約2.0mmの範囲の本発明の研磨モノフィラメントは、少なくとも約0.5kg(非伸長)、好ましくは少なくとも約1.0kg(非伸長)の最終的破壊力(速度10cm/分の標準引張テスター、たとえば、「Sintech 2 Tensile Tester」の商品名で知られるテスターを使用して測定される)、少なくとも約15分の50%疲れ破損抵抗性(Tynex and Herox Technical Bulletin No. 6, E-19743, Feb. 1978, E.I. Du Pont de Nemours Plastics and Resins Department, Wilmington, Delawareによる試験を使用する、フィラメント屈曲試験による)、およびANSI 1018冷間圧延スチールプレート上で少なくとも約2の研磨効率(フィラメント損失重量当たりの除去された製造工程にある製品の重量)を有する。
有機ポリマー材料
ある程度、研磨粒子の結合系の役割をする本発明の研磨フィラメントの形成に使用される有機ポリマーは、本発明のポリシロキサンを含む。適当な有機ポリマー材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、および他のエラストマーなどがある。好ましい有機ポリマー材料は熱可塑性エラストマー(「TPE」)である。例示のため、有機ポリマー材料に関する検討はTPEを参考にする。
熱可塑性エラストマーは、Thermoplastic Elastomers, A Comprehensive Review, edited by N.R. Legge, G. Holden and H.E.Schroeder, Hanser Publishers, New York, 1987(本願明細書では「Legge et al.」と呼び、その一部は参照により組込まれる)に定義され審議されている。熱可塑性エラストマー(Legge et alにより定義され、本願明細書に使用されている)は、一般に低当量多官能価モノマーと高当量多官能価モノマーとの反応生成物であり、低当量多官能価モノマーは重合時に、(他の硬質セグメント、結晶質硬質領域またはドメインとともに)硬質セグメントを形成することができ、高当量多官能価モノマーは重合時に、硬質領域またはドメインを連結する軟質の可撓性鎖を製造することができる。
「熱可塑性エラストマー」という熟語は、官能機能を有する熱可塑性材料の加工性(溶融時)と従来の熱硬化性ゴムの特性(非溶融状態)を併せ持つポリマー基材のクラスを指し、技術上、イオノマー熱可塑性エラストマー,セグメント化熱可塑性エラストマー、またはセグメント化イオノマー熱可塑性エラストマーとして記載されている。セグメント化バージョンは、「軟質」の長い可撓性ポリマー鎖によって連結される結晶質硬質ドメインの形成に関連する「硬質セグメント」を含む。硬質ドメインは、軟質ポリマー鎖の融解温度よりも高い融解温度および解離温度を有する。
熱可塑性エラストマーは、硬質領域の融解温度より上まで加熱した時に、(エラストマーと違って)射出成形、押出、ブロー成形などの熱可塑性技術によって加工することができる均質のメルトを形成する点で、「熱可塑性エラストマー」は、「熱可塑性樹脂」および「エラストマー」(緊張状態で伸張する点で天然ゴムに匹敵する基材の総称で、高い引張強さを有し、速やかに収縮し、実質的にその元の寸法に回復する)と異なる。続いて冷却すると、硬質領域と軟質領域が分離されてエラストマー特性を有する材料が生じるが、熱可塑性樹脂を用いると発生しない。
本願明細書で使用される「熱可塑性ポリマー」、すなわち「TP」の一般定義は、「圧力および熱を加えたときに、軟化して流れる材料」である。TPEも圧力および熱を加えたときに流れるため、もちろん、TPEはTPの一般定義に合うことがわかる。それ故、本発明の場合、「熱可塑性ポリマー」の定義はさらに明確でなければならない。本願明細書で使用される「熱可塑性ポリマー」は、圧力および熱を加えたときに流れるが、その融解温度未満のとき、エラストマーの弾性特性を持たない材料を意味する。しかし、両材料とも、本発明の範囲内である。TPEと熱可塑性(TP)材料の配合物も本発明の範囲内であり、本発明の研磨フィラメントの機械的特性を調整するにあたって、より大きい可撓性も可能である。
市販の熱可塑性エラストマーとしては、セグメント化ポリエステル熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリウレタン熱可塑性エラストマー、他の熱可塑性材料と配合したセグメント化ポリウレタン熱可塑性、セグメント化ポリアミド熱可塑性エラストマー、およびイオノマー熱可塑性エラストマーなどがある。
本願明細書で使用される「セグメント化熱可塑性エラストマー」は、一般に高当量多官能価モノマーと低当量多官能価モノマーとの反応生成物であるポリマーを主成分とする熱可塑性エラストマーの下位分類である。セグメント化熱可塑性エラストマーは、好ましくは、平均官能価が少なくとも2であり、当量が少なくとも約350である高当量多官能価モノマーと、平均官能価数が少なくとも約2であり、当量が約300未満である低当量多官能価モノマーとの縮合反応生成物である。高当量多官能価モノマーは重合時に軟質セグメントを形成することができ、低当量多官能価モノマーは重合時に硬質セグメントを形成することができる。本発明に有用なセグメント化熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルTPE類、ポリウレタンTPE類、およびポリアミドTPE類、およびそれぞれのTPEを製造するために適切に選択された低当量多官能価モノマーおよび高当量多官能価モノマーを含むシリコーンエラストマー/ポリアミドブロックコポリマーTPE類などがある。
セグメント化TPEは好ましくは「連鎖延長剤」、約2〜8の活性酸素官能価数を有し(一般に300未満の当量を有する)、TPE技術で周知の化合物を含む。連鎖延長剤は一般に硬質セグメントサイズおよび硬質ドメインサイズを増大させて1つのメカニズムを提供し、結果として生じるセグメント化TPEの物性を変化させるために、セグメント化熱可塑性エラストマーで使用される。本発明のセグメント化TPEに有用な連鎖延長剤は好ましくは約2〜8の範囲、好ましくは約2〜4、さらに好ましくは約2〜3の活性酸素官能価数を有し、約300未満の当量、さらに好ましくは約200未満の当量を有する。適する連鎖延長剤は、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテルなどの線状グリコール類である。非線状ジオール類から形成されるウレタン類は明確な硬質セグメントを形成せず、その結果、低温特性不良および高温特性不良を示すため、非線状ジオール類は通常はセグメント化TPEの連鎖延長剤として適当ではない。同様に、芳香族アミン類、アルキル−芳香族アミン類、アルキル多官能価アミン類を含む低分子量多官能価アミン類は、通常は卓越した連鎖延長剤であるが、このようにして得られるTPE中の尿素基は、TPEの有用な加工範囲以上によく溶解し、且つ溶解する際に若干の分解を受けるため、通常は本発明のセグメント化TPEに使用することはできない。連鎖延長剤の特に好ましい例としては、エチレンジアミンや1,4-ブタンジオールなどがある。
本発明の複合研磨フィラメントに有用なセグメント化TPEは好ましくはセグメント化ポリエステルTPE類、セグメント化ポリウレタンTPE類、およびセグメント化ポリアミドTPE類を含む。低当量多官能価モノマーおよび高当量多官能価モノマーは、上述のセグメント化TPE類の1つを製造するように様々に選択される。たとえば、TPEが、セグメント化コポリ(エーテルエステル)類などのセグメント化ポリエステルを含む場合、低当量多官能価モノマーおよび高当量多官能価モノマーは、それぞれポリ(テトラメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンオキシド)であることが好ましい。TPEがセグメント化ポリウレタンを含む場合、低当量多官能価モノマーは好ましくは多官能価イソシアネートであり、高当量多官能価モノマーは好ましくは多官能価アミンである。
反応してセグメント化TPEを製造するモノマー総重量中の低当量多官能価モノマーの重量%は、好ましくは約20〜約60%の範囲であり、さらに好ましくは約20〜約40%の範囲である。低当量多官能価モノマーの重量%が上述の範囲より高い場合、ガラス転移温度(Tg)の上昇に伴って、一般により高い硬度、曲げ弾性率、および引張弾性率を示すセグメント化TPE類が生じる。低当量多官能価モノマーの重量%が約70重量%より高いと相転移が起こり、総体的挙動はTPEの挙動からより脆弱なプラスチックに変化する。低分子量多官能価モノマーの重量%が約20重量%未満の場合、TPE挙動はさらにゴムに似ており、高いフィラメント温度、道具操作速度、製造工程にある製品に対して研磨粒子製品が作動する力で、複合研磨フィラメントは「スミア」が起こる傾向がある。(工業技術用語で、「スミア」は、金属細工応用分野の場合は研磨製品の一部が製造工程にある製品の表面に移動することを指し、木工応用分野の場合は、艶付を指す。製造工程にある製品に対する研磨製品の摩擦によって熱が発生するとき、スミアが起こる。)上述のポリシロキサンが存在すると、スメアが減少すると考えられる。
本発明の複合研磨フィラメントに有用なTPE類(セグメント化およびイオノマー)は、好ましくは約30から約90の範囲、さらに好ましくは約50〜約80の範囲のShore Dデュロメーター硬度を有し、セグメント化TPEの硬度は主として比当量、および低当量多官能価モノマーおよび高当量多官能価モノマーの量によって左右されるが、イオノマーTPE類の硬度は主として多官能価モノマーとオレフィン系不飽和モノマーの相対量によって左右される。
セグメント化熱可塑性エラストマーの機械的特性(引張強さや破壊時の伸長など)は、幾つかの因子によって左右される。TPEを形成するポリマー中の硬質セグメントの割合、それらの化学組成物、それらの分子量分布、調製方法、およびTPEの熱的歴史はすべて、硬質ドメイン形成の程度に影響を及ぼす。低当量多官能価モノマーの割合が増加すると結果として生じるTPEの硬度および弾性率は上昇するが、最終的伸長は低減する。
セグメント化TPE類の上方使用温度は、硬質セグメントを含む低当量多官能価モノマー軟化点または融点によって左右される。長期エージングの場合、軟質セグメントを含む高当量多官能価モノマーの安定性も重要である。より高温で、且つ硬質ドメインに貢献することができる硬質セグメントの%が低いと、TPEの曲げ弾性および引張強さは一般に低減する。プラスチック加工技術における熟練者には明白なように、セグメント化TPEの有用な上方温度を広げるためには、より高温で軟化もしくは溶融する硬質ドメインを形成するようにに改変された低当量多官能価モノマーを導入することが必要である。しかし、低当量多官能価モノマーの量または当量が増加するとTPEの硬度がより高くなる可能性があり、それから製造される複合研磨フィラメントは、弾性特性はより低くなり、屈曲疲れ抵抗性はより低くなる可能性がある。
上述の特性を有し、本発明に有用な好ましいTPE類としては、式(I)
Figure 0004047926
(式中、
dおよびeは各々約2から約6の整数であり、dとeは同じであっても異なってもよく、
xおよびyは、結果として得られるセグメント化ポリエステルTPEが約30から約90の範囲のShore Dデュロメーター硬度を有するように選択された整数である。)
によって表されるセグメント化ポリエステルおよびそれらの混合物から形成されるものなどがある。
式(I)内のセグメント化ポリエステルの総分子量(数平均)は、約20,000から約30,000の範囲であり、xは約110から約125の範囲であり、yは約30から約115、さらに好ましくは約5から約70の範囲である。
式(I)で表される、市販の好ましいセグメント化ポリエステル類としては、「Hytrel 4056」、「Hytrel 5556」、「Hytrel 6356」、「Hytrel 7246」、および「Hytrel 8238」の商品名でE.I. du Pont de Nemours and Company, Inc., Wilmington, Delawareから入手可能なものなどがあり、dおよびeは4である。特に好ましいものは、Shore Dデュロメーター硬度が63および72のもの(それぞれ、「Hytrel 6356」および「Hytrel 7246」)である。類似した仲間の熱可塑性ポリエステル類は「Riteflex」(Hoechst Celanese Corporation)の商品名で入手できる。さらに有用なポリエステルは「Ecdel」の商品名で知られており、Eastman Chemical Products, Inc., KingsportTennesseeから入手できる。
本発明に有用なセグメント化ポリアミドTPE類の製造に特に好ましいセグメント化ポリアミド類は、式(II):
Figure 0004047926
(式中、
PAは当量が約300未満の二官能価ポリアミドであり、
PEは当量が少なくとも350であり、且つジヒドロキシポリオキシエチレン、ジヒドロキシポリオキシプロピレン、およびジヒドロキシポリオキシテトラメチレンから成る群から選択されるポリマーを含むジヒドロキシポリエーテルブロックであり、
zは約30から約90の範囲のShore Dデュロメーター硬度を有するセグメント化ポリアミドTPEを提供するように選択された整数である。)
で表されるセグメント化ポリアミド類およびそれらの混合物である。
式(II)内のセグメント化ポリアミド類は、「Pebax」の商品名で知られるものなど、Atochem Group of Elf Aquitaineから市販されており、Shore Dデュロメーター硬度が63および70のバージョンが本発明に特に好ましい。
zの値は製造業者独自のものであり、式(II)内のポリマーは硬度によって特性を表すことができるが、代わりに(上述の)溶融流れ速度によって特性を表すことも可能であり、約1gm/10分から約10gm/10分の範囲の値が好ましい(ASTM 1238-86、190/2.16)。
本発明に有用なポリウレタンTPE類の製造に有用な、特に好ましいセグメント化ポリウレタン類は式(III):
Figure 0004047926
(式中、
ポリオールは、平均分子量が約600から約4000の範囲のポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールであり、
tは約30から約90の範囲のShore Dデュロメーター硬度を有するセグメント化ポリウレタンTPEを提供するように選択された整数である。)
で表されるセグメント化ウレタン類およびそれらの混合物である。
「t」の値は、ある範囲の分子量を生じるようにポリオールの分子量を基準にして選択され、一般に且つ好ましくは、式(IV)で表されるセグメント化ポリウレタン類の数平均分子量は約35,000から約45,000の範囲である。
一般に、セグメント化ポリウレタンは、約80℃以上で、第1多官能価モノマーおよび第2多官能価モノマーと連鎖延長剤を一緒に混合することによって製造することが可能である。好ましくは、イソシアネート官能基とイソシアネート反応基の比率は約0.96から約1.1の範囲である。約0.96未満の値では、分子量が不十分なポリマーになり、約1.1を超えると、架橋反応過剰のため、熱可塑性加工が困難になる。
市販の好ましい式(III)内のセグメント化ポリウレタン類は、「Estane」の商品名で知られるB.F. Goodrich, Cleveland, Ohioから入手できるもので、特にグレード58409および58810が好ましい。他のセグメント化された好ましいセグメント化ポリウレタンとしては、商品名「Pellethane」および「Isoplast」で知られ、The Dow Chemical Company, Midland, Michigan(Dow Chemical)から入手できるもの、商品名「Morthane」で知られ、Morton Chemical Division, Morton Thiokol, Incから入手できるもの、商品名「Elastollan」で知られ、BASF Corporation, Wyandotte, Michiganから入手できるものなどがある。
前述の通り、TPE類と他のポリマー類との配合物、たとえば商品名「Prevail」、グレード3050、グレード3100、およびグレード3150(すべてDow Chemical)のポリウレタン/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン配合物もやはり有用である。グレード3050の溶融流れ速度(ASTM-1238-86, 230/2.16)は26mg/10分であり、Shore Dデュロメーター硬度は約62である。
シリコーンとポリアミドのエラストマーコポリマーを含め、プラスチック加工技術における熟練者によりTPEとみなされるブロックコポリマーも本発明の複合研磨フィラメントに有用であろう。市販されている、シリコーンとポリアミドとのエラストマーコポリマーとしては、商品名「Siltem STM-1500」で知られ、GE Siliconesから入手可能なものなどがある。公表された値によれば、これらのポリマーは、引張強さ約25Mpa、伸長率105%、屈曲弾性率約415Mpaである(Design News, May 22, 1989, page 40)。
セグメント化ポリエステル
上述の通り、TPEが、式(I)で表されるセグメント化コポリ(エーテルエステル)などのセグメント化ポリエステルを主成分とする場合、低当量多官能価モノマーおよび高当量多官能価モノマーは、それぞれ重合の際に硬質セグメントを形成するポリ(テトラメチレンテレフタレート)および重合の際に軟質セグメントを形成するポリ(テトラメチレンオキシド)を主成分とすることが好ましい。コポリ(エーテルエステル)のポリ(エーテル)成分は、好ましくは数平均分子量が約1,000から約2,000の範囲のa-ヒドロ-w-ヒドロキシオリゴ(テトラメチレンオキシド)から誘導される。コポリ(エーテルエステル)のポリ(エステル)成分は、好ましくは、重合の際に硬質セグメントを形成し、平均分子量が約600から約3,000のポリ(テトラメチレンテレフタレート)を主成分とする。式(I)内のコポリ(エーテルエステル)の分子量は、好ましくは約20,000から約40,000の範囲である。セグメント化ポリエステルに関するさらに総合的な検討については、参照により本願明細書に組込まれる、Legge et al. pages 164-196を参照されたい。
セグメント化ポリアミド
式(II)内であり、且つ本発明で使用するためのセグメント化ポリアミドTPEの形成に有用なポリアミド類は、一般にポリエーテルブロックアミド類(または「PEBA」)として記載され、後者は、ジヒドロキシエーテルブロックと式(III)で表されるジカルボン酸系ポリアミドブロックの溶融状態重縮合反応によって得ることが可能である(式中、PAは「ポリアミド」を表し、PEは「ポリエーテル」を表す)。ジカルボキシポリアミドブロックは、ポリアミド前駆体とジカルボン酸連鎖制限剤との反応によって製造することが可能である。この反応は、高温(好ましくは230℃より高い)且つ好ましくは圧力下(2.5MPaまで)で実行することが好ましい。ポリアミドブロックの分子量は一般に連鎖制限剤の量によって調節される。
ポリアミド前駆体は、アミノウンデカン酸やアミノドデカン酸などの諸アミノ酸、カプロラクタムやラウリルラクタムなどのラクタム類、ジカルボン酸(アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン酸など)、ジアミン類(ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなど)から選択することができる。
ジヒドロキシポリエーテルブロックは、異なる2種の反応、すなわち、ジヒドロキシポリオキシエチレンとジヒドロキシポリオキシプロピレン前駆体を形成するためのポリエーテルエチレンオキシドとプロピレンオキシドのイオン重合、およびジヒドロキシポリオキシテトラメチレンポリエーテル前駆体を製造するためのテトラヒドロフランの陽イオン重合のいずれかによって、ポリエーテル前駆体から製造することができる。
ポリエーテルブロックアミドは、ポリアミド前駆体とジヒドロキシポリエーテル前駆体とのブロック共重合により製造される。ブロック共重合はポリエステル化、一般に高温(好ましくは230〜280℃)、減圧下(10〜1,400Pa)で、Ti(OR)4(式中、Rは短鎖アルキル)などの適当な触媒を使用して行われる。重合中に、酸化防止剤および/または蛍光増白剤などの添加物を導入することも一般に必要である。
このようにして得られるポリエーテルブロックアミドの構造は、剛性ポリアミドセグメントおよび可撓性ポリエーテルセグメントの規則的な線状鎖を含む。ポリアミドセグメントおよびポリエーテルセグメントは混和できるポリエーテルブロックアミドではないため、式(III)で表されるものなどは「二相」構造を示し、各セグメントはポリマーに独自の特性を提供する。その構造の結果として、ポリエーテルブロックアミドの物性を調節するための四つの基本的な化学的基準、すなわち、ポリアミドブロックの性質、ポリエーテルブロックの性質、ポリアミドブロックの長さおよびポリアミドブロックとポリエーテルブロックとの間の質量関係を変えることが可能である。ポリアミドブロックの性質は、ポリエーテルブロックアミドの融点、比重、および化学的抵抗性に影響を及ぼし、ポリエーテルブロックは、ガラス転移温度、親水性特性、および帯電防止性能に影響を及ぼす。ポリアミドブロックの長さはポリマーの融点に影響を及ぼし、ポリミドブロックとポリエーテルブロックの質量関係は硬度特性を調節する。たとえば、Shore Dデュロメーター硬度が約75Dから約60Aの範囲のポリエーテルブロックアミドの各グレードを合成することが可能である。ポリエーテルの含有率を高めると、一般にポリエーテルブロックアミドの引張強さおよび弾性が低下する(参照により本願明細書に組込まれるLegge et al., pages 217-230を参照されたい)。
セグメント化ポリウレタン
本発明に有用なセグメント化ポリウレタンは、好ましくは上述の高当量多官能価モノマーおよび低当量多官能価モノマーを含む式(III)内のセグメント化ポリウレタンから形成され、やはり上述の低分子量連鎖延長剤も含んでもよい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーでは、硬質セグメント連鎖延長剤、たとえば、1,4-ブタンジオールをジイソシアネート、たとえば、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に加えることによって形成される。軟質セグメントは、複数の硬質セグメントに連結する長い可撓性ポリエーテルポリマー鎖またはポリエステルポリマー鎖から成る。室温で、低融点軟質セグメントは極性高融点硬質セグメントと不相溶性であるため、微小相分離を来す。
セグメント化ポリウレタンTPEの形成に有用なポリウレタンは一般に、平均分子量が約600から4,000の範囲の長鎖ポリオール(高当量多官能価モノマー)、分子量が約60から約400の連鎖延長剤、およびポリイソシアネート(低当量多官能価モノマー)から製造される。好ましい長鎖ポリオールはヒドロキシル末端ポリエステルおよびヒドロキシル末端ポリエーテルである。
好ましいヒドロキシル末端ポリエステルは、アジピン酸と、エチレングルコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、あるいはこれらの諸ジオールの混合物など、過剰のグリコールとから製造される。上述の成分からヒドロキシル末端ポリエステルを製造する反応は、約200℃までの温度で実行することが好ましく、結果として得られるポリエステルは、約2未満の酸数を有し、モノマーグリコールから高分子量種までの範囲の可能なオリゴマーすべてを含む。ヒドロキシル末端ポリエステルの製造に使用することが可能な他の酸としては、単独またはアジピン酸と混合されたテレフタル酸がある。一般に、酸またはジオールの芳香族環または脂環式環が存在すると、ヒドロキシル末端ポリエステルのガラス転移温度が上昇する。ポリカプロラクトン類および脂肪族ポリカーボネート類は、独特の物性を有するため、一部の用途に好ましいと考えられる。ポリカプロラクトン類は好ましくはe-カプロラクトンおよび二官能価開始剤、たとえば、1,6-ヘキサンジオールから製造される。ポリカプロラクトン類は卓越した加水分解安定度を提供し、ジオール、たとえば、1,6-ヘキサンジオールとホスゲンから製造されるか、あるいはジメチルカーボネートやジエチルカーボネートのような低分子量カーボネートとのエステル交換によって製造される。
本発明の複合研磨フィラメントに有用なセグメント化ポリウレタンTPEの製造に有用な式(IV)内のポリウレタンを製造するのに有用な長鎖ポリエーテルポリオールは、好ましくは2つのクラス、すなわちポリ(オキシプロピレン)グリコールおよびポリ(オキシテトラメチレン)グリコールのものである。前者のグリコールは、二官能価開始剤、たとえば、プロピレングリコールや水にプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドの塩基触媒添加を行うことによって製造することが可能であり、後者のグリコールはテトラヒドロフランの陽イオン重合によって製造することが可能である。上述のポリエステルのクラスは両者とも約2の官能価数を有する。テトラヒドロフランとエチレンまたはプロピレンオキシドとの混合ポリエーテルも、ポリウレタンTPEの軟質セグメントとして効果的に使用される。
他のポリウレタン類と違って、熱可塑性エラストマーポリウレタンの製造に適するポリイソシアネートは少数に過ぎない。最も有用な好ましいポリイソシアネートは、上述のMDIである。その他には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアネート-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4-トルエンジイソシアネートおよび2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,4-ベンゼンジイソシアネート、およびtrans-シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネートなどがある。
イオノマーTPE
「イオノマー熱可塑性エラストマー」は、イオンポリマー(イオノマー)を主成分とする熱可塑性エラストマーの下位分類を指す。一般に、プラスチック加工技術における熟練者は、イオノマーTPEをTPEのカテゴリーに含める。イオノマーTPEは、複数の可撓性「イオノマー」(「イオンポリマーを短縮した単語)鎖の間にイオンクラスターを形成する特徴があり、各イオンクラスターは、セグメント化ポリマーを含むTPE中の硬質結晶質ドメインに類似している。上述のイオノマーは、官能化モノマーとオレフィン系不飽和モノマーとの共重合生成物である。イオノマー熱可塑性エラストマーは、イオン会合またはイオンクラスターによって複数の位置で結合した複数の可撓性ポリマー鎖から成る。イオノマーは一般に官能化モノマーとオレフィン系不飽和モノマーとの共重合、または予備成形ポリマーの直接官能化によって調製される。カルボキシル官能化イオノマーはアクリル酸またはメタクリル酸とエチレン、スチレンおよび遊離基共重合による類似したコポリマーの直接共重合によって得られる。結果として得られるコポリマーは一般に遊離酸として入手でき、これを、金属水酸化物、金属酢酸塩、および類似した塩類で所望の程度まで中和することができる。イオノマーの歴史に関する総説およびイオノマーに関する特許は、Legge et al., pp. 231-243に記載されている。
イオノマーTPEの形成に有用なイオノマーは、一般に且つ好ましくは、官能化モノマーとオレフィン系不飽和モノマーとの反応生成物を含むか、あるいは多官能化予備成形ポリマーを含む。用語「イオノマーTPE」および「イオノマー」の中に、アニオノマー、カチオノマー、両性イオノマーが含まれる。
本発明に有用なイオノマーTPEに使用される好ましいイオノマーは、官能化モノマーとオレフィン系不飽和モノマーとの共重合反応生成物を含み、そのイオノマーは式(IV):
Figure 0004047926
(式中、
R1,R2,およびR3は同じであっても異なってもよく、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから成る群から選択され、
mおよびnは同じであっても異なってもよく、官能化モノマーの重量%がイオノマー総重量の約3〜約25重量%の範囲になるように、且つ結果として得られるイオノマーTPEは約30から約90の範囲のShore Dデュロメーター硬度を有するように選択され、
DはCOOおよびSO3から成る群から選択される官能基であり、
MはNa,Zn,K,Li,Mg,Sr,およびPbから成る群から選択される。)
で表されるものとその混合物である。
式(IV)で表され、R1=R2=R3=CH3でありDはCOO.であるイオノマーが特に好ましい。特に好ましいイオノマーは、R1はCH3、DはCOO、MはNaのときであって、このようなイオノマーは、たとえば、E. I. du Pont de Nemours and Company, Inc., Wilmington, Delawareから「Surlyn 8550」の商品名で市販されている。
mおよびnの値は通常は製造業者によって示されないが、得られるイオノマーTPEの室温Shore Dデュロメーター硬度が約30から約90の範囲になるように選択される。あるいは、mおよびnは、約1g/10分から約10g/10分の範囲(ASTM試験D1238-86,条件190/2.16,以前はD1238-79、条件Eによる)の流速(以前は、従来技術で「メルトインデックス」と呼ばれた)を有する溶融イオノマーTPEを提供することを特徴としてもよい。簡単に記述すると、このテストでは、内腔の底部にオリフィスを取付け、加熱した垂直の円筒内腔に試料を入れる。加重位置を円筒内腔内に置き、オリフィスを通って円筒を出る溶融ポリマーの量を、グラムで10分間記録する。
官能価モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニルなどと、それらのコポリマーから選択することが可能であり、アクリル酸およびメタクリル酸が特に好ましい。
オレフィン系モノマーは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレンなどと、それらのコポリマーから選択することが可能であり、エチレンは、有用性が高く比較的低価格であるため、すぐれたオレフィン系モノマーである。
官能化モノマーおよびオレフィン系モノマーは、一般に且つ好ましくは、遊離基を使用して直接共重合されるが、この方法は、従来技術で周知であるため、本願明細書でさらに説明する必要はない。
イオノマーTPEとして作動し、それ故本発明に有用なイオノマー、たとえば、商品名「SURLYN」で知られるイオノマー(式(IV)に分類される)は、上述の通り、好ましくは官能化モノマーとオレフィン系不飽和モノマーとの共重合、または予備成形ポリマーの直接官能化によって調製される。式(IV)内のイオノマーは、本発明の複合研磨フィラメントの硬化材料用イオノマーTPEを形成するのに特に好ましい。たとえば、約5〜約20重量%のメタクリル酸成分を含有する多量の市販品質エチレン/メタクリル酸コポリマーにより、これらのイオノマーは本発明に特に有用になる。
式(IV)のMは、一般に且つ好ましくは、ナトリウム(Na)および亜鉛(Zn)から選択されるが、カリウム(K)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)および鉛(Pb)を使用したイオノマーも式(IV)の範囲内と考えられる。
複合研磨フィラメントのイオノマーTPEによる吸水が重要ではない場合、ナトリウムを式(IV)の陽イオンとして使用することも望ましいが、亜鉛ははるかに低吸水性を示すため、吸水が重要な場合に好ましい。イオノマーはメルト中で好ましく中和されるが、好ましくは酸化物、水酸化物またはメチレートとして加えられる、固体または濃縮液のいずれかの金属試薬で中和される。中和進行するにつれて、メルトの弾性は上昇する。剛度は中和の程度とともに上昇し、約40%中和でプラトーに達する。しかし、引張強さは高レベルの中和で引き続き上昇する。好ましい中和度は約70%から80%の中和であり、これは、イオノマーTPEの引張強さは通常、この点でプラトーであるためである。中和は、金属酢酸塩を使用し、蒸発により酢酸を除去することによって、好ましく行われる。亜鉛、鉛、銅、バリウム、コバルトおよびニッケルの酢酸塩はすべて透き通ったメルトおよびび定量的な「架橋」を生じさせる。参照により本願明細書に組込まれるLegge, et al., pages 231-268には、イオノマーに関してさらに検討が行われている。
もちろん、有機ポリマー材料は、上記成分に限定されない。ガラス繊維強化ポリエステル熱可塑性エラストマー(商品名「Thermocomp YF」)は、ICI Advanced Materials, LNP Engineering Plastics, Exton, PAから入手できる。
熱可塑性エラストマーおよび研磨粒子を含む硬化材料は、上記成分に限定されない。ガラス繊維強化ポリエステル熱可塑性エラストマー(商品名「Thermocomp YF」)は、ICI Advanced Materials, LNP Engineering Plastics, Exton, PAから入手できる。
研磨フィラメントの製造方法
本発明に基づくコア−シース研磨フィラメント、複合研磨フィラメント、およびモノフィラメントの例示的製造方法を説明する。
熱可塑性エラストマーの使用に関連したコア−シース型研磨フィラメントを製造する方法を説明するが、上述の通り、他の有機ポリマー材料を使用することができる。コア−シース型研磨フィラメントを製造する方法では、(a)熱可塑性エラストマーを含む第1有機ポリマー材料を溶融させて、研磨粒子を加える工程と、(b)第2有機ポリマー材料を溶融させる工程であって、第2有機ポリマー材料は熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリマー、およびそれらの混合物から成る群から選択される工程と、(c)第1溶融有機材料と第2溶融有機材料を同時に、同一ダイ内の別個の第1通路と第2通路を通過させる工程であって、別個の通路のため、第1溶融有機ポリマー材料および第2溶融有機ポリマー材料は、第1成分の連続表面に沿ってメルト溶融粘着接着している第1伸長フィラメント成分および第2伸長フィラメント成分の形をとり、その結果研磨フィラメント前駆体を形成する工程と、(d)研磨フィラメント前駆体を、第1溶融有機ポリマー材料および第2溶融有機ポリマー材料が硬化するのに十分な温度に冷却し、その結果、研磨フィラメントを形成する工程とを含むことができる。
上述の濃縮物の形の本発明のポリシロキサン、たとえば、ポリシロキサン含有ペレットは、熱可塑性エラストマーを溶融させる前に、第1有機ポリマー材料、第2有機ポリマー材料、または両者と配合することができる。あるいは、本発明のポリシロキサンは、ヒュームドシリカなどの高表面積無機フィラーに下塗りすることができ、また工程(a)で添加された研磨粒子とともに配合することができる。
好ましくは、ポリシロキサンは第1有機ポリマー材料と第2有機ポリマー材料の両者に加える。
第1成分(TPEを使用する場合、第2成分も)のTPEがセグメント化されており、且つ押出機を使用してTPEを溶融させる方法が好ましい。本願明細書で使用される用語「溶融した」は、少なくともTPEの軟質セグメントの融解温度よりも高い温度、好ましくはTPEの硬質領域またはイオンクラスターの解離温度より高い温度までTPEが加熱されることを意味し、TPを使用するとき、用語「溶融した」は、TPがTPの融解温度より高い温度まで加熱されることを意味する。
本発明によるコア−シース研磨フィラメントは、少なくとも2機の押出機を使用し、各々の出口はダイに接続されている、押出方法で製造することができる。たとえば、TPEまたはTPを含み、フィラメント成分を形成するために改変された第1溶融有機ポリマー材料(またはTPEとTPの配合物)、およびTPEまたはTPを含み、第2伸長フィラメント成分を形成するために改変された第2溶融有機ポリマー材料が、同一ダイ内の別個の第1通路および第2通路を通って同時に押出される。別個の通路により、第1溶融有機ポリマー材料および第2溶融有機ポリマー材料は、ダイからの1種以上の押出物として、第1成分の連続表面に沿ってメルト溶融粘着接触している第1伸長フィラメント成分および第2伸長フィラメント成分の形をとる。
ダイの上流で、第1溶融有機ポリマー材料と第2溶融有機ポリマー材料の少なくとも1つに、研磨粒を任意のカップリング剤、フィラー、色素などと一緒に加える。1種以上の研磨フィラメント前駆体は、第1および第2溶融有機ポリマー材料が硬化するのに十分な温度まで押出物を冷却することによって(好ましくは冷却水中または冷却用水流中で急冷することによって)押出物から形成される。研磨フィラメント前駆体は一般に、技術上周知のワインド機で適当なコアに巻き付けられ、個々のフィラメントに切断されるまでそこに保持される。
静電力や機械力などの力で砥粒を押出物に向かって射出することにより、研磨粒子を研磨フィラメント前駆体押出物に塗付することも可能である。あるいは、研磨粒子の流動層を介して研磨粒子を塗付することが可能であり、その場合、押出物に流動床を通過させる。しかし、好ましい方法では、第1および第2溶融有機ポリマー材料を、研磨粒子が既にその中にあるダイを通過させ、押出物を冷却して研磨フィラメント前駆体を形成する。
本発明による好ましい方法では、少なくとも2機の押出機の出口にダイを取付けることが可能であり、押出機は、有機ポリマー材料を溶融させ、その中に研磨粒子を混合する好ましい技術である。各TPEについて、押出機の帯域温度およびダイ温度は、各TPEの商業的推奨温度(表A参照)に好ましく設定され、主な制限はTPEの硬質ドメインまたはイオンクラスターの融解温度または解離温度である。好ましい押出機帯域温度およびダイ温度を表Aに示す。押出機(または、熱容器など、他のメルト提供手段)は、有機ポリマー材料を、使用したTPEの硬質ドメインまたはイオンクラスターの融解温度または解離温度(TPEの種類およびグレードとともに変化する可能性のある範囲を有すると考えられる)、および使用したTPの融解温度(やはり温度範囲を有すると考えられる)より高い温度に好ましく加熱し、溶融した有機ポリマー材料を熱ダイを通過させる。
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上述の手順により本発明のコア−シース研磨フィラメントの製造に使用することが可能なダイは、スクリューによって取付けられ、次にはボルトによって第2ステージプレートおよび第3ステージプレートに接続されるアダプタープレートを含んでもよい。導管により、溶融有機材料は、第1押出機からコア通路を通ってダイに流れこむことが可能になる。第2の導管により、第2溶融有機材料は通路を通って流れることが可能になり、その結果、押出物中にシースが生じる。シースを具有しない本発明の研磨フィラメントを所望する場合、溶融有機材料が導管を通ってダイに入ってはならない。プラグを設けて、所与の内径または形を有するチューブ挿入物への溶融有機材料の流入を調節することができ、コア−シース実施態様におけるコアの形およびサイズを調節するためにプラグを容易に取り外したり他の挿入物で置き換えることが可能である。同様に、他の挿入物を提供して、出口から出て行く押出物のシースの厚さを調節することができる。濃縮物の形、たとえば、プラスチックペレットでポリシロキサンを加える場合、押出物のいずれかまたは両者にポリシロキサンを加えることが可能である。
例示したようなダイの構造上の詳細の変動は変化することがある。たとえば、1個のダイから3種類以上の押出物を製造することが可能であり、また複数のダイを多種多様の配列で使用することもできる。平明にするため、2種のみの押出物を製造するための構造を有するダイを本願明細書の図に示す。3個以上のボルト、ならびに3個以上のスクリューを準備する。さらに、ボルトは、ボルトシャフトをすっぽり包むらせん形ネジ切り要素を好ましく有し、ステージプレートを損傷せずに、ボルトに高トルクを働かせることが可能である。また、一般に、「電気毛布」形発熱体でダイを巻いて所望のダイ温度に到達させ、且つ維持する。
研磨粒子およびポリシロキサンは、たとえば、フィラーに塗付する場合、導管のいずれかまたは両者あるいは押出機の給送口を通って入る溶融有機材料に、好ましくは、研磨粒子が溶融有機材料全体に十分に分散できる程早いが、押出機またはダイの金属部分の過度の摩耗を引き起こさない時点で加えることが可能である。あるいは、前述の通り、第2工程により(すなわち、押出物の形成後)、静電塗装などによって、研磨粒子を溶融有機ポリマーに付着させることが可能である。
冷水急冷は、ダイの下流(好ましくはすぐ下流)に位置し、その中を押出物を通過させて溶融有機ポリマー材料を急冷し、少なくとも1種のTPEおよび研磨粒子を含む研磨フィラメント前駆体を形成する。
研磨フィラメント前駆体を延伸する場合、この前駆体を約5:1までの延伸比で延伸し、結果として得られる本発明の研磨フィラメントの引張強さを増強することができるが、これによって、研磨フィラメントの研磨効率が著しく低下するため、これは好ましくない。研磨粒子前駆体が硬化した後、美学、貯蔵、あるいは他の目的のために、任意の被膜(たとえば、プラスチック被膜)をその上に塗付することが可能である。
研磨フィラメントおよび研磨粒子は、研磨技術で一般に使用されるレベルのフィラー、滑剤、および研削助剤を含んでもよいことをさらに理解すべきである。
次に、熱可塑性エラストマーの使用に関連した複合研磨フィラメントの製造方法について例示するが、他の有機材料を使用することができる。複合研磨フィラメントの製造方法は、(a)TPEを溶融させて、溶融TPEと研磨粒子を混合する工程と、(b)予備成形コアの少なくとも一部を、溶融熱可塑性エラストマーおよび研磨粒子を含む被膜で被覆する工程と、(c)溶融熱可塑性エラストマーを硬化することができる温度まで被膜を冷却する工程とを含む。
熱可塑性エラストマーを溶融させる前に、上述の濃縮物の形の本発明のポリシロキサン、たとえばポリシロキサン含有ペレットを、熱可塑性エラストマーと配合することができる。あるいは、本発明のポリシロキサンを、ヒュームドシリカなどの高表面積無機フィラーに下塗したり、工程(a)で加えられた研磨粒子とともに配合したりすることができる。
TPEはセグメントであり、押出機を使用してTPEを溶融させ、予備成形コアは撚線金属材料または撚線非金属材料である方法が好ましい。本願明細書で使用する用語「溶融」は、高剪断混合条件下で、少なくともTPEの硬質領域またはイオンクラスターの解離温度より高い温度までTPEを加熱したときの物理的状態を意味する。
本発明による複合材フィラメントは、1種以上の予備成形コアをダイの中を通過させ、予備成形コアがダイの中を移動するにつれて溶融した研磨剤充填TPEが予備成形コアに下塗され、吹付塗研磨剤充填溶融TPEが予備成形コアに塗付される方法や、予備成形コアを溶融TPE浴中を通過させ、続いて溶融TPE被膜に研磨粒子を塗付する方法(あるいは、研磨粒子は溶融TPE浴中にあってもよい)など、様々な方法のいずれで製造してもよい。静電力などの力で砥粒をTPE被覆予備成形コアに向かって射出することにより、研磨粒子をTPE被覆コアに塗付することも可能である。しかし、好ましい方法は最初に述べた方法であり、1種以上の予備成形コアをダイの中を通過させ、こうすることにより溶融した研磨剤充填TPEで予備成形コアを少なくとも部分的に被覆し、溶融したTPEを冷却して硬化材料を形成する。
本発明による好ましい方法では、ダイは押出機の出口に取り付けられ、押出機は、TPEを溶融させて溶融したTPEに研磨粒子を混合する好ましい方法である。参照により本願明細書に組込まれるNungesser et al, 米国特許第3,522,342号の装置および方法は、好ましい一法である。溶融した、研磨剤充填TPE(または、要望通り、研磨剤充填TPE/熱可塑性ポリマー配合物)を1つの予備成形コアに被覆することができる。ポリシロキサンを濃縮物の形、たとえば、プラスチックペレトで加える場合、ポリシロキサンを押出機に加えてもよい。研磨剤充填ポリシロキサン含有TPE被覆予備成形コアは、ダイを押出機に取付けるためのスクリューアタッチメントを有するダイに存在する。複数の予備成形コアが通過するようにダイに適当な修正を加えることも可能であり、この修正は熟練者の技術の範囲内である。
各TPEの押出機について、押出機の帯域温度およびダイ温度は、各TPEの商業的推奨温度(表A参照)に好ましく設定され、主な制限はTPEの硬質ドメインまたはイオンクラスターの融解温度または解離温度である。好ましい押出機帯域温度およびダイ温度を表Aに示す。押出機(または、熱容器など、他のメルト提供手段)は、TPEを、硬質ドメインまたはイオンクラスターの融解温度または解離温度(TPEの種類およびグレードとともに変化する可能性のある範囲を有すると考えられる)より高い温度に好ましく加熱し、溶融したTPEを熱ダイ中を通過させる。
研磨粒子およびポリシロキサンは、たとえば、フィラーに塗付する場合、押出機の給送口を通って溶融したTPE塊に、好ましくは、研磨粒子が溶融したTPE全体に十分に分散できる程早い時点で加えることが可能である。あるいは、第2工程により(すなわち、予備成形コアに溶融TPEを塗付した後)、静電塗装などによって、研磨粒子を溶融TPEに分布させることが可能である。
冷水急冷は、ダイのすぐ下流に位置し、その中を溶融TPE被覆予備成形コアを通過させて溶融TPEを急冷し、被覆予備成形コアを巻取りロールに巻き取る前に、予備成形コア上にTPEおよび研磨粒子を含む硬化材料を形成する。複数の予備成形コアを同時に被覆する方法は、好ましくは、複合研磨フィラメントを大量生産する見地からであり、多種多様の配列を使用して遂行することが可能である。この場合、複数の巻取りロールが必要なこともある。
従来のダイは、ダイ内の予備成形コアを中心に置くための手段を提供し、且つ同心被膜を提供するために、冷水急冷のすぐ下流に配置された垂直調節装置および水平調節装置を有する滑車機構を必要とする場合がある。最近、市販のダイは、別個の機構を使用せずに、この心合わせ機能を提供する。「LOVOL」の商品名で知られ、Genca Die, Clearwater, Floridaから入手できる、4つのらせん形固定中心配列を有するダイは、溶融TPE中に良好な研磨粒子分散、実質的に同心被膜を与えるため、予備成形コア材料が変わるとき、予備成形コア材料と一緒に通過させなおすことが容易である。
ダイへの機械的挿入物を使用することによって、研磨剤充填TPE被膜の厚さを変えることが可能である。予備成形コアがダイを通過する速度によって被膜の厚さを幾らか調節することも可能であり、高速の場合には幾らか薄いTPE被膜が生じる。約30〜約100m/分の範囲の予備成形コア速度が好ましく、パイロット規模の操作の場合、さらに好ましくは約30〜約45m/分であるが、大規模操作での生成速度は30m/分など、かなり高い。
硬化した、研磨剤充填TPE被覆予備成形コアは、所望の長さを有する個々の複合研磨フィラメントに切断することが可能である。使用する前に、フィラメントを延伸して引張強さを増強する必要はない。
有機ポリマー材料を予備成形コアに塗付して本発明の複合研磨フィラメントを製造する他の方法には、射出形成、吹付塗、浸漬などがあり、各々の場合、予備成形コアは溶融TPEで少なくとも部分的に被覆され、溶融TPEは分散された研磨粒子を中に有するか、研磨粒子は、静電塗装などにより第2工程で塗付される。
溶融後、研磨剤充填TPEは硬化し、複合研磨フィラメントは、自フィラメントに塗付された被膜(たとえば、プラスチック被膜)を有する。
結合系は、研磨技術で一般に使用されるレベルのフィラー、滑剤、および研削助剤を含んでもよいことをさらに理解すべきである。
本発明のモノフィラメントは、コア−シースフィラメントに関して上述の通りに、たとえば、押出方法で製造することができ、それによって複数の研磨粒子および本発明のポリシロキサンが溶融有機ポリマー材料と一緒に配合されてフィラメント成分が形成されるが、唯一の相違点は第2有機ポリマー材料がシースと同時に押出されないことである。
研磨フィラメントを組込む研磨製品ならびに製造方法および使用方法
研磨フィラメントを組込む研磨製品は、上述の本発明の範囲内の研磨フィラメントを少なくとも1種、好ましく含み、好ましくは高速で回転するように改変されたハブなどの基材に好ましく固定される。この物品が複数の研磨フィラメントを含む場合、この研磨フィラメントは、組成および形が同じであっても異なってもよい。本発明の研磨製品に使用される好ましい研磨フィラメントは用途によって異なるが、研磨剤充填ポリエステルTPEを含むコア−シース型フィラメント、および研磨剤充填ポリエステルTPEで被覆された、撚線ステンレスチールワーヤー予備成形コア、ガラス糸予備成形コア、およびアラミド予備成形コアを含む複合研磨フィラメントは、回転ハブに取付けたとき、多種の製造工程にある製品を研削するのに有効であったが、屈曲疲れに対してより大きい抵抗性をし、好ましい。
本発明の研磨フィラメントを、一緒に群にして目の粗いロフティー研磨パッドを形成するか、様々な基材に取付けられる広く様々なブラシに組込むことができる。たとえば、高分子ハブに接着されるか、あるいは取付けられた本発明の複数の研磨フィラメントを有するホイールブラシを形成することができ、そのような取り付け方法は従来技術で周知である。高分子ハブを作製するために、型は一般に、研磨フィラメントを研磨ブラシの形で使用できるように製作される。外径が3.18cmよりわずかに少ない中実の円筒形コアピースを受け入れるように改変された直径3.18cmのセンタースルーホールを有する円形の底板を製作する。薄金属スペーサーを挿入することができるように、底板の片面に放射型になるようにスロットを精密に作る。スロットは放射状に伸び、センタースルホールから約5cmの点から出発して板の外周まで延び放射状に伸びる。底板の穴と円柱が同心になるように、スロットを有する底板の表面に直円柱(内径200mm)を固定する。スペーサーをスロットに差込み、中実の円筒形コアピースをスルーホールに挿入し、スロットの長さに約5cmを加えたものと等しい長さを有する様々な研磨フィラメントを、スペーサーの間に残っている空隙の間に一直線に並べることが可能である。スペーサーは、研磨フィラメントを一様に且つぴったりと、所定の長さの放射状に配置する方法を提供する。クランプリングで研磨フィラメントをしっかり維持し、これを、センタースルーホールに向いているフィラメントの端の上に取付ける。
中実の円筒形センターコアピースとクランプリングとの間に形成されたセンターキャビティ内に、液体エポキシ樹脂または他の樹脂を注ぐことにより、重合キャストハブを形成する。有用な樹脂としては、「DP-420」の商品名で知られ、Minnesota Mining and Manufacturing Company, St. Paul, Minnesotaから入手可能な二液型エポキシ樹脂などがある。樹脂が十分に硬化すると、装置からブラシを取り外して試験することが可能である。
本発明の研磨フィラメントを使用する研磨ブラシの別の製造方法は、Carlson Tool and Machine Company, Geneva Illinoisから入手可能な、「Model Y」の商品名で販売されているものなど、従来の「チャネル」ブラシ製造機を使用する方法である。
本発明の研磨フィラメントは、多種のブラシに組込むことができ、クリーニング、ばり取り、丸みつけ、金属基材、プラスチック基材およびガラス基材上への化粧仕上げ付与など、多種の多用ブラシに組込むことができる。ブラシの種類としては、ホイールブラシ、シリンダーブラシ(プリント回路洗浄ブラシなど)、ミニグラインダーブラシ、床洗濯ブラシ、カップブラシ、エンドブラシ、フレアーカップエンドブラシ、サーキュラーフレアーカップエンドブラシ、被覆カップおよび可変トリムエンドブラシ、カプセル入りエンドブラシ、パイロット接着ブラシ、様々な形のチューブブラシ、つる巻きばねブラシ、送気管洗浄ブラシ、煙突およびダクト用ブラシなどがある。もちろん、いずれか1つのブラシのフィラメントは、構造、配置、長さなどが同じであっても異なってもよい。
本発明のフィラメントを使用するブラシの特に好ましい2つの用途は、印刷回路板洗浄および鋼板洗浄である。
他の研磨製品および製造方法
被覆研磨製品
被覆研磨製品は一般に主要表面を有する裏材、および上述のポリシロキサンを含む結合系を含み、結合系は複数の研磨粒子を裏材の主要表面に接着し、且つ上述のポリシロキサンを含む。結合系は、一般にメークコート(make coat)として知られる、研磨粒子が塗付される層と、研磨粒子に被覆されて研磨製品により大きい機械的強度を加えるサイズコート(size coat)の、少なくとも2層を含むことができる。結合系は、メークコートとサイズコートのほかにも、たとえば、さらなる強度や所望する他の特性を提供するために加えることができるスーパーサイズコートを含むことができる。各層、たとえば、メークコートおよびサイズコートは、硬化した接着前駆体を含む。代わりに、結合系は、硬化した結合剤前駆体および複数の研磨粒子を含むスラリーを含むことができる。結合系および研磨粒子については、上述の通りである。
結合系、たとえば熱硬化性樹脂を構成する有機ポリマー材料中にポリシロキサンを分散させるか溶解させることにより、本発明のポリシロキサンを結合系、たとえば、スラリーまたは最も外層、たとえばサイズコートやスーパーサイズコートに組込むことができる。
次の説明は好ましいが、被覆研磨剤を作製する限定的な方法ではない。この好ましい方法は、メークコート、サイズコートおよび第1主要表面を含む裏材を含む結合系に関連して説明する。低伸縮性裏材を使用する場合、米国出願番号第08/199,835号またはWO93/12911に記載の通りに作製することができる。たとえば、米国出願番号第08/199,835号に記載の通りに、強化繊維または強化糸を、ポリエステル布ベルトの裏側に積層したり、布ベルトの裏側に連続様式で貼付したりすることができる。一般に、強化糸の目的は引張強さを増強し、裏材関連の伸長を最小限に抑えることである。好ましい強化糸の例としては、たとえば、E.I.Du Pontにより製造され、商品名「Kevlar」を有するポリアミド繊維、ポリエステル糸、ガラス糸、ポリアミド糸、およびそれらの組合せなどがある。好ましくは、強化糸が添え継ぎを強化したり添え継ぎ破損を最小限に抑えるのに役立つように、添え継ぎや接合は強化糸と関連しない。さもなければ、従来の被覆裏材を使用してもよい。
第1有機系結合剤前駆体は、吹付塗、ロール塗付、しごき塗、粉体塗付、ホットメルト塗付、ナイフ塗付などの適当な技術で含むメークコートを、裏材の第1主要表面に塗付することができる。研磨粒子は、メークコート前駆体上に射出したりメークコート前駆体内に接着すること、すなわち、メークコート前駆体内に分布させることができる。メークコートを形成するための第1結合剤前駆体が少なくとも部分的に硬化して流れなくなるように、このようにして得られる構築物を熱、紫外線、電子ビームなどの第1エネルギー源に曝す。たとえば、結果として得られた構築物を30分〜3時間の範囲の期間、50〜130℃、好ましくは80〜110℃の温度に曝す。続いて、本発明のポリシロキサンが分散されるか溶解されていおり、第1有機系結合剤前駆体と同じであっても異なってもよい第2有機系結合剤前駆体を含むサイズコートを、従来の技術、たとえば、吹付塗、ロール塗付、流し塗により、研磨粒子に塗付することができる。最終的に、このようにして得られた構築物を、第1エネルギー源と同じであっても異なってもよい熱、紫外線、あるいは電子ビームなどの第2エネルギー源に曝して、完全に硬化させたり、第2結合剤前駆体を含むメークコートおよびサイズコートを熱硬化性ポリマーに重合させることができる。
代替の方法では、研磨スラリーは複数の研磨粒子および結合剤を含み、研磨粒子および結合剤は各々上述の通りである、研磨スラリーを裏材の第1主要表面に塗付し、結合剤前駆体が凝固して研磨剤層を形成する条件にスラリーを曝す。この条件は、メークコートおよびサイズコートの硬化に関して上述した通り、熱を含んでもよい。
構築研磨剤
構築研磨製品は一般に、主要表面および裏材の表面に接着された複数の研磨複合材を含む裏材を含み、各研磨複合材は、複数の研磨粒子および結合剤と上述のポリシロキサンとを含む結合系を含む。研磨複合材は造形され、好ましくは精密に造形される。
本発明の研磨複合材に使用される研磨粒子は上述の通りである。適当な結合剤には、上述の硬化した結合剤前駆体が含まれ、アクリレートモノマー、アクリレーテッドエポキシド、アクリレーテッドイソシアネート、アクリレーテッドイソシアヌレート、アクリレーテッドウレタン、およびそれらの混合物などを含んでもよい。
精密に造形された複合材は、ピラミッド、平頭ピラミッド、円錐、うね、あるいは円錐台の形状を有してもよく、好ましくはピラミッドである。
研磨複合材を含む構築研磨製品を製造する好ましい方法は一般に、譲渡人米国特許第5,152,917号(Pieper et al)およびWO94/157252(Spurgeon et al)に記載されており、両者とも参照により本願明細書に組込まれる。
本発明の構築研磨製品の製造方法には、結合剤前駆体、研磨粒子、および本発明のポリシロキサン(結合剤中に溶解または分散することができる)を含む研磨スラリーを生産用具に導入することが含まれ、生産道具は特定のパターンを有する。
生産用具の外面から中間製品を取り出す前に、結合剤前駆体を少なくとも部分的にゲル化または硬化させ、構築被覆研磨製品を形成させて、これを生産用具から取り出す。
生産用具が透過性材料、たとえば、ポリプロピレン熱可塑性樹脂やポリエチレン熱可塑性樹脂から作製される場合、可視光線または紫外線を生産用具を透過させたり、研磨スラリー内に伝送して結合剤前駆体を硬化させることができる。この工程について、譲渡人米国出願第08/004,929号(Spurgeon)にさらに記載されている。
あるいは、裏材が可視光線透過性あるいは紫外線透過性の場合、可視光線や紫外線に裏材を透過させて結合剤前駆体を硬化させる。
生産用具で少なくとも部分的に硬化させるか凝固させることにより、研磨複合材は精密な形状および予定のパターンを有する。しかし、生産用具は精密な形状が完成される前に生産用具が外れると、精密な形状を持たない研磨剤複合材になることがある。結合剤前駆体をさらに凝固または硬化させて生産用具から外すことができる。
本願明細書で使用される熟語「生産用具」は、キャビティや開口部を含む物品を意味する。たとえば、生産用具は円筒、可撓性ウェブ、あるいはエンドレステープであってもよい。キャビティに含まれる研磨スラリーが裏材の一主要表面を湿らせて中間製品を形成するようにキャビティを充満した後、生産用具の外面に裏材を導入する。生産用具の外面から中間製品を取り出す前に、結合剤前駆体を少なくとも部分的にゲル化または硬化させる。あるいは、裏材の一主要表面を湿らせて中間製品を形成するように研磨スラリーを裏材に導入することが可能である。この中間製品を、特定にパターンを有する生産用具に導入する。
生産用具は、ベルト、シート、連続シートまたはウェブ、塗りロール、塗りロールに取付けられたスリーブ、あるいはダイであってもよい。生産用具の外面は滑らかであってもよく、ある表面地形またはパターンを具有してもよい。パターンは一般に複数のキャビティまたは地形から成る。結果として得られる研磨粒子は生産用具と逆のパタンーとを有する。キャビティは矩形、半円、円、三角形、正方形、六角形、ピラミッド、八角形などの幾何学的形状を有する。キャビティは、水玉様パターンまたは連続的な列で存在してもよく、あるいはキャビティは互いにぶつかり合ってもよい。
生産用具は金属から製作しても熱可塑性材料で製作してもよい。金属用具は、型彫り、ホッビング、電鋳、ダイアモンド旋削など、従来の任意の技術で製作することができる。
次の説明に、熱可塑性生産用具を作製する一般手順について略述する。種模型を最初に提供する。生産用具にパターンが望ましい場合、種模型は反対のものまたは生産用具用パターンも具有すべきである。種模型は好ましくは金属、たとえばニッケルで好ましく作製される。金属種模型は、型彫り、ホッビング、電鋳、ダイアモンド旋削など、従来の任意の技術で製作することができる。次に、種模型で熱可塑性材料が型押しされるように、熱可塑性材料を、任意に種模型と一緒に加熱する。型押の後、熱可塑性材料を冷却して凝固させる。
結合研磨剤
本発明の結合研磨剤は、複数の研磨粒子および上述のポリシロキサン結合剤を含み且つ複数の研磨粒子を造形塊に接着する結合剤を含む。結合研磨剤は、たとえば、ゴム弾性ポリウレタンを結合剤として使用する従来の可撓性結合研磨剤であってもよい。ポリウレタンは米国特許第4,613,345号、第4,459,779号、第2,972,527号、および第3,850,589号に記載の発泡体であってもよく、米国特許第3,982,359号、第4,049,396号、第4,221,572号、第4,933,373号および第5,250,085号に記載の固形物であってもよい。
次の説明は好ましいが、結合研磨剤を作製する限定的な方法ではない。結合研磨剤は、複数の研磨粒子を分散させ、上述のポリシロキサンを結合剤前駆体に分散または溶解させて均質な混合物を形成することによって作製することができる。この混合物を所望の形および寸法に成形し、たとえば、米国特許第5,250,085号に記載の通りに、結合剤前駆体が硬化または凝固するのに十分な条件に曝すことが可能である。
不織研磨剤
本発明の研磨製品は、不織製品であってもよい。少なくとも1つの主要表面および内部領域を有し、有機繊維の目の粗いロフティーウェブ、複数の研磨粒子、および上述のポリシロキサンを含み且つ複数の研磨粒子を目の粗いロフティーウェブに接着する結合剤を含むことができる。この有機繊維を所々で一緒に接着し、複数の研磨粒子を含む結合剤先駆体は一般に少なくとも有機繊維が一緒に接着する箇所に存在する。非不織研磨剤は一般に米国特許第2,958,593号に例示されており、米国特許第4,991,362号および米国特許第5,025,596号の教示にしたがって作製することができ、これらはすべて参照により本願明細書に組込まれる。
一般に、不織研磨剤は、有機繊維が結合剤前駆体と接触する箇所で一緒に接着された有機繊維の目の粗い、ロフティー三次元ウェブを含む。結合剤前駆体中に分散または溶解された上述のポリシロキサンを有する結合剤前駆体を、ロール塗付や吹付塗によりウェブに塗付した後、結合剤前駆体が硬化または凝固するのに十分な条件に曝すことが可能である。複数の研磨粒子は結合剤前駆体中に存在してもよく、結合剤を塗付した後ではあるが、結合剤前駆体が硬化しないうちに、たとえば、ドロップ塗付や静電塗装などにより塗付することが可能であり。
成形研磨ブラシ
本発明の研磨ブラシは、複数の剛毛単位と裏材を有する研磨ブラシであってもよく、さらに詳細には、成形用ポリマーと研磨粒子との混合物を射出成形することにより製作した研磨ブラシであってもよい。1つの態様では、第1面と第2面を有する可撓性基材を含む完全に成形された研磨ブラシを紹介し、その基材は一般に平面であり、複数の可撓性剛毛は基材の第1面から伸びている。この剛毛の縦横比は少なくとも2であり、基材で完全に成形される。この成形研磨ブラシは、少なくとも剛毛全体に散在する研磨粒子を含み、且つ成形用ポリマー材料内に上述のポリシロキサンを含むことができる、成形用ポリマー材料を含む。別の態様では、剛毛の縦横比は少なくとも5であり、また別の態様では、剛毛の縦横比は少なくとも7である。
成形研磨ブラシを製作する方法の1例は、a)成形用ポリマー、研磨粒子、および濃縮物、たとえばプラスチックペレットの形の上述のポリシロキサンを一緒に混合して混合物を形成する工程と、b)混合物を加熱して流動性の材料を形成する工程と、c)流動性の材料を圧力下で鋳型に射出して研磨ブラシを形成する工程とを含み、このブラシは第2面と第2面を有する可撓性基材であって、一般に平面である可撓性基材と、基材の第1面から伸びる複数の可撓性剛毛であって、縦横比が少なくとも2であり、且つ前述の基材で完全に成形される剛毛とを含む。本法の1つの態様では、工程a)は熱可塑性エラストマーと研磨粒子の混合を含んでもよい。本法の別の態様では、工程a)は本発明のポリシロキサンと混合物との混合をさらに含んでもよい。
本発明の成形用研磨ブラシは、Johnsonらに賦与され、代理人整理番号51510USA2Aを有し、本出願と同日提出され、参照により本願明細書に組込まれる、「Molded Abrasive Brush(成形研磨ブラシ)」と題する同時係属出願 号に記載されている。
製造工程にある製品の研磨方法
製造工程にある製品を本発明の研磨製品で研磨する方法では、研磨製品が製造工程にある製品と接触して研磨するように、製造工程にある製品と研磨製品との間に相対運動を引き起こす。研磨フィラメントが研磨製品である場合、製造工程にある製品を研磨する前に、研磨フィラメントを基材に取付けることが可能である。好ましい基材は金属ハブ、合成フロアパッド、木、木様材料、およびプラスチックである。あるいは、フィラメントを目の粗いロフティーマットに形成し、そのマットおよび/または製造工程にある製品を圧力で互いに動かすことも可能であり、単一の研磨フィラメントを使用して製造工程にある製品を仕上げたり切断したりすることができる。
様々な修正は本発明の範囲内である。たとえば、研磨製品、特に本願明細書に記載の研磨製品は、研磨表面の少なくとも一部、すなわち、製造工程にある製品を研磨することができる製品のいずれかの表面の上に、本発明のポリシロキサンを含んでもよい。本発明のポリシロキサンは、研磨製品の研磨表面の少なくとも一部の上に被覆される前に、相溶性溶剤、たとえばヘキサンやヘプタンに溶解してもよい。
実施例
平板研磨試験
複合研磨フィラメント含有ブラシの重量を測定し、2.24キロワット(Kw)(3馬力(hp))モーターに接続したシャフトに別個に取付け、1800rpmで運転した。100mm平方×厚さ約6mmの1018冷間圧延スチール板の重量を測定し、13.3Paの力で各ブラシと接触させた。15分間隔で被験ブラシおよびスチール板の重量を再度測定し、スチール板の損失重量および被験ブラシの損失重量を測定した。各々15分ずつ8回の試験期間(合計120分)後、試験を終わって削減量(スチール板損失重量)合計を算出した。この値を2で割ると、各ブラシによる時間当たりの平均グラム数が得られる。全平板損失重量を全複合研磨フィラメント損失重量で割ることにより、各ブラシの効率(q)を算出した。
材料
Witco Organics Division, Perth Amboy, New Jerseyから入手可能なポリマーグレード粉末:
ステアリン酸誘導体: ステアリン酸カルシウム(Ca St)
ステアリン酸アルムニウム(Al St)
ステアリン酸リチウム(Li St)
エチル-ビス-ステアラミド(Et St)
二硫化モリブデン(Mos):「MOLYKOTE Z Powder」の商品名でDow Corning, Midland, Michiganから入手可能。
グラファイト:Great Lake Carbon Corporation, Morganton, North Carolinaから市販されている、技術グレードグラファイト。
ポリシロキサン:「BY27-010」の商品名でDow Corning Corporation, Midland, Michiganから入手可能。
ブラシ構築物
複合研磨フィラメントを使用して研磨ブラシを形成することができるように鋳型を製作した。外径が3.18cmよりわずかに少ない中実の円筒形コアピースを受け入れるように改変された直径3.18cmのセンタースルーホールが付いた円形底板を製作した。薄金属スペーサーを挿入することができるように、底板の片面に放射型になるようにスロットを精密に作った。スロットは放射状に伸び、センタースルホールから約5cmの点から出発して板の外周まで延び放射状に伸びていた。底板の穴と円柱が同心になるようにように、スロットを有する底板の表面に直円柱(内径200mm)を固定した。スペーサーをスロットに差込み、中実の円筒形コアピースをスルーホールに挿入し、スロットの長さに約5cmを加えたものと等しい長さを有する様々な複合研磨フィラメントを、スペーサーの間に残っている空隙の間に一直線に並べた。スペーサーは、複合研磨フィラメントを一様に且つぴったりと、所定の長さの放射状に配置する方法を提供し、これを、クランプリングで研磨フィラメントをしっかり維持し、センタースルーホールに向いているフィラメントの端の上に取付けた。
約50℃で、中実の円筒形センターコアピースとクランプリングとの間に形成されたセンターキャビティ内に液体二液型エポキシ樹脂または他の樹脂(「DP-420」の商品名でMinnesota Mining and Manufacturing Company, St. Paul, Minnesotaから入手可能)を注ぐことにより、重合キャストハブを形成した。樹脂が十分に硬化したとき、装置からブラシを取り外して試験した。
産業上の利用可能性
実施例1
実施例1は、様々な成分を様々なレベルで複合研磨フィラメント組成物に含めたときの、比較効力を証明する。
L:D比30:1の30mm同時回転二軸スクリュー押出機(モデルとしてZSK30Werner & Pfleiderer, Ramsey, NJから入手可能)で処理する間に、表1に示す成分を1%、2%および4%のレベルで「Hytrel 6356」ポリエステルエラストマーの押出物に加えた。ポリエステルエラストマーをこの成分と配合し、押出機(260〜265rpmで運転、約282℃の融解温度を提供するようにバレル加熱を設定)で溶融させ、そこに、押出機バレルの給送口からポリエステルエラストマー55部当たりグレード180炭化ケイ素研磨粒子45部を加えた。
パイルガラス予備成形コア材料(「OCF G75 PY」の商品名でOwens-Corning Fiberglass Corporation, Toledo, Ohioから入手可能)を、押出ダイを通過させると、研磨剤含有ポリエステルエラストマーをガラス予備成形コアに塗付することができた。使用して押出しダイは「LOVOL」の商品名でGenca Die, Clearwater, Floridaから市販されていた。押出しダイを出た後、押出しダイの前面から約150mmに配置した水流中で被覆予備成形コアを冷却することにより、溶融ポリエステルエラストマーを硬化させ、その後、研磨剤充填ポリエステルエラストマー被覆予備成形コアを各成分および評価したレベル組合せ毎に別個のロールに巻き付けた。次に、様々なレベルの成分を含有する複合研磨フィラメントを各ロールから切断し、上述の方法で諸ブラシを作製して平板研磨試験(Flat Plate Abrasion Test)で評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004047926
Figure 0004047926
本発明を代表する実施例で摩耗量値は低下したが、削減量値は、維持または上昇し、結果として卓越した効率成績が得られ、場合によっては比較例の効率成績より5〜6倍高かった。
実施例2
実施例2は、さらに多いポリシロキサンを研磨製品に加えた影響を示す。
実施例2のフィラメントおよびブラシは、さらに高レベルのポリシロキサンを加えたこと、およびグレードP120酸化アルミニウム研磨粒子45部を炭化ケイ素研磨粒子の代わりに使用したこと以外は、実施例1と同様に作製した。平板研磨試験結果を表3に示す。ブラシ摩耗量が劇的に減少したばかりでなく、削減量も明らかに改善されたことに注目されたい。6%レベルで、コントロール試料のほぼ30倍の総合的効率が確認された。
Figure 0004047926

Claims (1)

  1. (a)複数個の研磨粒子と、
    (b)該複数個の研磨粒子を接着する結合系であって、結合剤および式(A):
    Figure 0004047926
    (式中、R,R',R1,R2,R3,R4,R5およびR6は同じであっても異なってもよく、アルキル、ビニル、クロロアルキル、アミノアルキル、エポキシ、フルオロアルキル、クロロ、フルオロまたはヒドロキシであってもよく、nは500以上である。)
    で示されるポリシロキサンを含有する結合系とを、
    み、前記ポリシロキサンが結合系の総重量に基づいて2〜10重量%の量で結合系に組込まれる研磨ブラシ
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