JP4047493B2 - 農用作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬剤散布機や肥料散布機等のように走行機体に作業部を備えた農用作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタ等走行機体の後部に薬剤散布機を装着した散布作業機は、走行機体側に搭載したエンジンからトランスミッションを介して走行輪を駆動するとともに、このトランスミッションに設けてあるPTO軸(出力軸)によって作業部としての薬剤散布機を回転駆動して、散布作業を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の散布作業機は、薬剤を定量で円滑に吐出散布する上で所定の基準回転数が設定されているので、もし、散布作業を行なう際にエンジン回転数が低い場合は薬剤散布機の基準回転数に対する回転が不足して薬剤の散布不足や管路に詰り等を生ずる。逆に、薬剤散布機の回転が過剰な場合には薬剤が過大に散布される等の欠点がある。
【0004】
そして、この散布作業にあたって走行機体の走行速度を主体にエンジン回転を設定すると、上記散布作業機に対する回転数の過不足が生じ易く、また両者を一致させるためのスロットルや変速操作具等の調節操作が煩雑で作業能率を低下させる等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記したような従来の問題点を解決するためになされたものであって、エンジンEを搭載し、かつ、表示部2を備えた運転パネル1とハンドル1cとを備えた操縦部1aを有する走行機体に、前記エンジンEで駆動される作業部を備えてなる農用作業機において、前記表示部2を、エンジンEの実回転数と作業時におけるエンジンの基準回転数との回転差異が適正であることを表示する適正表示部30と、該適正表示部30の一方の側に設けられ且つ前記回転差異が低速回転側に不足することを示す低速差異表示部31と、前記適正表示部30の他の一方の側に設けられ且つ前記回転差異が高速回転側に過剰であることを示す高速差異表示部32により構成し、更に、作業時におけるエンジン基準回転数を設定するエンジン回転設定器5を備えると共に、該エンジン回転設定器5で設定した作業時におけるエンジン基準回転数と実回転数との回転差異に応じて前記各表示部30〜32を点灯させることを特徴とするものである。
【0006】
また、エンジン回転設定器5とエンジン操作用のスロットル操作具3とをハンドル1cの一方の側に集中配置することを特徴とするものである。
【0007】
また、低速差異表示部31と適正表示部30と高速差異表示部32を配置した表示部2に対して、エンジンEのスロットル操作具3を運転パネル1の前後方向に回動可能に設けたことを特徴とするものである。
【0008】
そして、低速差異表示部31と適正表示部30と高速差異表示部32を配置した表示部2に対し、作業走行速度の変速を行う変速操作具8をスロットル操作具3の操作方向と同方向に操作可能に設けたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の農用作業機につき説明する。
【0010】
図1において、1は本発明に係る表示部2を備えた運転パネルを示し、この運転パネル1は公知の装置のように、例えば前部にエンジンEを搭載するとともに、操縦部1aを備えた走行機体(図示せず)の後部に薬剤散布機等の作業部を装着した散布作業車(農用作業機)のボンネット1bに設置されたものを示している。
【0011】
図1で示すボンネット1bは、その後部の中央の凹部にハンドル1cを設置しており、その前側に運転パネル1と、この運転パネル1の側方に、前後に揺動させるエンジンEのスロットル操作具3を並設し、ハンドル1cの右方に後述する作業スイッチ4と作業時におけるエンジン基準回転数を設定する設定手段としてのエンジン回転設定器5とを配設して運転操作を行ない易く構成している。また、ハンドル1cの左側に走行変速レバー3Aを配置している。
【0012】
そして上記のような操縦部1aを備えた散布作業車は、図2に示す操作表示回路Aを備えており、この操作表示回路Aのマイコンユニット6によって図3に示すフローチャートで操作される表示部2の表示を行なうことができるようにして、適正なエンジンEの回転数で作業部を駆動して薬剤等の散布作業を良好に行なうようにしている。
【0013】
即ち、操作表示回路Aは電源(バッテリ)6aと連結したマイコンユニット6に前記作業スイッチ4とエンジンEの回転数を検知するエンジン回転センサ7及びエンジン回転設定器5を備えると共に表示部2を設けている。
【0014】
また、上記表示部2は作業時に作業スイッチ4がONされてエンジン回転センサ7がエンジンEの「実回転数」を検知したとき、この実回転数と装着した作業部に応じてあらかじめエンジン回転設定器5によって設定する作業時におけるエンジンの「基準回転数」(設定値)とがマイコンユニット6によって比較判断され、その値の程度、即ち「回転差異」が適正範囲であるか、エンジンEの「実回転数」が過剰であるか不足であるかを表示するようにしている。
【0015】
そして、表示部2は上記適正表示部30を中央に位置させ、適正表示部の左方において、上記回転差異が低速回転側に不足する程度を順次ランプ点灯で示す複数の低速差異表示部31,31aを配列している。
【0016】
また、適正表示部30の右方において、回転差異が高速回転側に過剰であることをランプ点灯で示す複数の高速差異表示部32,32aを列設している。
【0017】
この構成により、作業時におけるエンジンの基準回転数に対するエンジンEの回転数の不足側と過剰側の回転差異の程度を表示するようにしており、図3のフローチャートに示すように、マイコンユニット6がエンジンEの実回転数と、エンジン回転設定器5によって設定されたエンジンEの基準回転数とを比較し、両者の回転差異が小さく、α以内であると判断すると適正表示部30が点灯する。
【0018】
また、上記回転差異がαを越えβ以内であると判断して、実回転数よりも基準回転数の設定値が大きい場合は、低速ランプ31が点灯し、実回転数よりも基準回転数の設定値が小さい場合には、高速ランプ32が点灯する。
【0019】
そして、上記回転差異が大きく、β以上であると判断して、実回転数よりも基準回転数の設定値が小さい場合は高速ランプ32aが点灯する。
【0020】
オペレーターは、これらのランプの点灯を確認しながら、スロットル操作具3を適正表示ランプ30を点灯させる様に揺動操作して、エンジンEの実回転数と基準回転数の設定値との差異を適正範囲内に維持することで、作業部による薬剤等の散布を円滑に行うことができる。
【0021】
この際、上記表示部2は作業スイッチ4をONした時だけモニタ表示を行なわせるようにしたので、常に点灯させることなく無駄な電力消費を防止している。
次に、図4以下に示す表示部2の別実施形態について説明する。
【0022】
上記図示例では表示部2は横向きに表示したが、図4に示すように適正表示部30を中央に配置し、その上方に高速差異表示部32,32aを上下方向に、また下方に低速差異表示部31,31aを上下方向に配置し、隣接して配置されているスロットル作業部3は、操作方向を上記表示部2の配置方向に合致させて、前後方向に揺動操作することによりエンジンEの回転を増速側及び低速側に回転させるようにしている。
【0023】
図5,図6に示す表示部2は、適正表示部30の左右、又は上下方向に前記と同様な高速差異表示部32と低速差異表示部31を各1ケ設けた表示方式にしたものであり、この構成によりランプ数を少なくして廉価にすることができ、そして前述の実施形態のものと同様に回転差異の程度を複数段に分り易く表示してスロットル操作具3の操作を行ない易くしている。
【0024】
即ち、この配列の場合には図7に示すような操作表示回路Aのフローチャートを構成することにより、エンジンEの実回転数と作業時におけるエンジンEの基準回転数との回転差異がα以内の小さい範囲である場合には、適正表示部30のみを点灯させるようにしている。
【0025】
また、上記回転差異がαを越えてβ以内であり、エンジンEの実回転数が基準回転数の設定値よりも小であるときは、低速ランプ31が「点滅」し、実回転数が基準回転数の設定値よりも大である時は高速ランプ32が「点滅」するように構成している。
【0026】
そして、上記回転差異が大きくβを越え、エンジンEの実回転数が基準回転数の設定値よりも小であるときは、低速ランプ31が「連続点灯」し、実回転数が基準回転数の設定値よりも大であるときは、高速ランプ32が「連続点灯」するようにしている。
【0027】
また、図8に示す表示部2は、低速差異表示部31と高速差異表示部32を左右に配置したシンプルな表示方式にして、図9に示す表示操作回路のフローチャートAによって、エンジンEの実回転数と基準回転数の設定値との回転差異が小さく、α以内である場合には、上記両表示部31,32は共に「消灯」のままになるようにしている。
【0028】
また、上記実回転数と基準回転数の設定値との回転差異がαを越え、β以内の回転差異である場合には、高速差異表示部32及び低速差異表示部31は各別に「点滅」してこれを表示する。
【0029】
更に、上記回転差異がβ以上に大きな場合には、上記高速差異表示部32及び低速差異表示部31は各別に「連続点灯」し、これを表示するので、オペレータは表示部2の表示状態を明瞭に視認することができ、適正作業を簡単に行なうことができる。従って上記構成の前記装置によれば、上記のものよりランプ数を少なくしてさらに廉価な構成にすることができる。
【0030】
また上記のような散布作業を行なうことができる散布作業車において図1に示すように、エンジン回転設定器5としてはダイヤル操作型のスイッチ構造でスロットル操作具3と並設して表示部2の近傍に設けているので、そのつまみをエンジン回転域が表示されている目盛り50に回動操作すると簡単に位置合せをすることができ、これによりエンジンEの基準回転数は操作位置で設定された所望の回転数に速やかに設定することができる。
【0031】
このとき、エンジン回転センサ7によって検出されるエンジンEの実回転数と作業時におけるエンジンの基準回転数との回転差異がある場合には、表示部2にその回転差異の程度と方向が示されるので、これに基づいてスロットル操作具3を上記と同様に操作して適正回転させるとよい。
【0032】
また、本実施の形態は、変速操作具8を有する変速機構の変速操作を行うことで、適正な速度で作業構造を行うものであるが、本発明は変速操作具8の操作方向を表示部2の表示パターンに対して、前記スロットル操作具と同様に同方向となるように設けることも可能であり、この場合にはエンジンEの回転は、そのままにした状態において、変速操作具8を操作できるものである。
【0033】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように本発明の農用作業機によれば、運転パネル1の表示部2を目視しながらエンジンEの「実回転数」と作業時におけるエンジンの「基準回転数」との「回転差異」を判断操作することができるので、作業部を適正回転で駆動して散布作業等を良好に行なうことができる。
【0034】
また、表示部2は適正表示部30の両側に低速差異表示部31と高速差異表示部32を配置表示させることによって、回転差異の程度を容易に視覚判断することができる。そして作業時におけるエンジンの適正回転への操作を行なうスロットル操作具3或いは作業走行の適正速度への操作を行う変速操作具を上記表示部2の配置表示方向に合わせて設けたので作業部の適正作業を能率よく簡単に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】運転パネルの平面図である。
【図2】表示操作回路図である。
【図3】表示回路のフローチャートである。
【図4】表示部の別の実施形態を示す平面図である。
【図5】表示部の別の実施形態を示す平面図である。
【図6】表示部の別の実施形態を示す平面図である。
【図7】表示操作回路のフローチャートである。
【図8】表示部の別実施形態を示す平面図である。
【図9】表示操作回路のフローチャートである。
【符号の説明】
1 運転パネル
2 表示部
3 スロットル
4 作業スイッチ
5 エンジン回転設定器
6 マイコンユニット
7 エンジン回転センサ
8 変速レバー
30 適正表示部
31,31a 低速差異表示部
32,32a 高速差異表示部
A 操作表示回路
E エンジン
Claims (4)
- エンジンEを搭載し、かつ、表示部2を備えた運転パネル1とハンドル1cとを備えた操縦部1aを有する走行機体に、前記エンジンEで駆動される作業部を備えてなる農用作業機において、前記表示部2を、エンジンEの実回転数と作業時におけるエンジンの基準回転数との回転差異が適正であることを表示する適正表示部30と、該適正表示部30の一方の側に設けられ且つ前記回転差異が低速回転側に不足することを示す低速差異表示部31と、前記適正表示部30の他の一方の側に設けられ且つ前記回転差異が高速回転側に過剰であることを示す高速差異表示部32により構成し、更に、作業時におけるエンジン基準回転数を設定するエンジン回転設定器5を備えると共に、該エンジン回転設定器5で設定した作業時におけるエンジン基準回転数と実回転数との回転差異に応じて前記各表示部30〜32を点灯させることを特徴とする農用作業機。
- エンジン回転設定器5とエンジン操作用のスロットル操作具3とをハンドル1cの一方の側に集中配置することを特徴とする請求項1記載の農用作業機。
- 低速差異表示部31と適正表示部30と高速差異表示部32を配置した表示部2に対して、エンジンEのスロットル操作具3を運転パネル1の前後方向に回動可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の農用作業機。
- 低速差異表示部31と適正表示部30と高速差異表示部32を配置した表示部2に対し、作業走行速度の変速を行う変速操作具8をスロットル操作具3の操作方向と同方向に操作可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の農用作業機。
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