JP4046850B2 - 木質床下地の施工法 - Google Patents

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    • E04FFINISHING WORK ON BUILDINGS, e.g. STAIRS, FLOORS
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等建築物の木質系床下地において発生するきしみ音等の床下地板の音鳴りを防止する施工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より木質系床下地の施工法は、大引と根太とを釘止め又はビス止めし、その上から合板・パーティクルボード等の床下地板を釘止めして床組される。しかし、釘止めだけでは、経時により釘の緩みが生じてきしみ音等の音鳴りの問題が発生することがあった。
【0003】
そこで、音鳴り防止のため根太と床下地板との間に接着剤を挿入した上で釘止めする施工法が従来から行われる場合があるが、接着剤の耐久性がない場合は音鳴り防止の効果は充分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
何故なら、きしみ音の発生は、根太と床下地板とに隙間が生じる場合だけでなく、根太と大引とに隙間が生じる場合もあるからである。これら根太と床下地板及び根太と大引に生じた隙間に対して、人などが歩いて荷重がかかった際に、きしみ音が発生する。
【0005】
本発明は、経時により発生する釘の緩みに起因する床下地板及び根太の音鳴りを防止する木質床下地の施工法を得ることを目的とする。また、音鳴りを防止する施工が容易な木質床下地の施工法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本請求項1に記載された発明に係る木質床下地の施工法は、横架された大引の上面に根太を差し渡し、差し渡された根太の上面に床下地板を貼り付ける木質床下地の施工法において、
前記大引と根太との間に硬質ゴムからなるクッション材を介して両者を釘打ち又はビス止めし、
根太上面に接着剤を塗布して床下地板を張り合わせた後、これらを釘止めする方法である。
【0007】
本請求項2に記載された発明に係る木質床下地の施工法は、請求項1に記載された木質床下地の施工法において、
前記クッション材として、大引の上面に差し渡された根太の対向する立上り側壁を挟持する一組以上の突片が形成されたものを用いる方法である。
【0008】
本請求項3に記載された発明に係る木質床下地の施工法は、請求項に記載された木質床下地の施工法において、
前記クッション材として、大引の上面に差し渡された根太の対向する立上り側壁を挟持する一組の突条片が根太の長手方向に沿って形成され、尚且つ、前記一組の突条片の対向する面に根太と係止する突条細片が形成されているものを用いる方法である。
【0009】
本請求項4に記載された発明に係る木質床下地の施工法は、請求項1〜3の何れかに記載された木質床下地の施工法において、
前記クッション材が、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロブレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、IR(イソプレンゴム)、シリコンゴムから選ばれた材質からなる方法である。
【0010】
本請求項5に記載された発明に係る木質床下地の施工法は、請求項1に記載された木質床下地の施工法において、
前記接着剤が、酢酸ビニル樹脂系接着剤、酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系接着剤、アクリル−スチレン共重合体樹脂系接着剤の1つ以上から選ばれたものからなる方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、大引と根太との間に硬質ゴムからなるクッション材を介して両者を釘打ち又はビス止めし、根太上面に接着剤を塗布して床下地板を張り合わせた後、これらを釘止めする方法であるため、経時により発生する釘の緩みに起因する床下地板及び根太の音鳴りを防止することができる。
【0012】
即ち、本発明では、大引と根太との間に弾性を有する硬質ゴム製のクッション材を介して両者を釘打ち又はビス止めすることによって、クッション材が両者の隙間の発生を阻害し、大引と根太の間で発生するきしみ音を防止することができる。また、根太と床下地板とを接着剤を介して張り合わせ、更にこれらを釘止めするが、クッション材により根太と床下地板との間の接着剤にかかる応力が緩和され、接着剤が破断し難く、接着剤の破断による釘の緩みを抑えることができる。このため、根太と床下地板との間で発生するきしみ音をも防止することができる。
【0013】
本発明の施工法で用いるクッション材は、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロブレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、IR(イソプレンゴム)、シリコンゴム等の硬質ゴムから選ばれた材質からなる。また、クッション材の大引と根太との間の厚みは好ましくは2〜10mm程度の厚さがあればよい。また、クッション材の大きさは、少なくとも大引と根太とが重なる幅にすれば良く、例えば、根太の幅に合わせた大きさ(例えば、45mm以上)、長さは大引の巾に合わせた長さ(例えば、90mm以上)とすることができる。
【0014】
本発明の施工法で用いる接着剤としては、酢酸ビニル樹脂系接着剤、酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系接着剤、アクリル−スチレン共重合体樹脂系接着剤の1つ以上から選ばれたものを用いることができる。
【0015】
選ばれた接着剤は、床下地板と根太を釘止めした際に、その圧力により接着剤が根太と床下地板の接触面からできるだけはみ出ないで充分に接着効果を保つため、60,000〜200,000(cps)の粘度を有し、作業に差し支えがないことが必要である。何故なら、粘度が60,000cpsより小さいと流れやすく接着剤が接着面に残らず、200,00より大きいと粘性が大きく作業性が悪いためである。
【0016】
更に、選ばれた接着剤は、接着剤の乾燥に従い接着剤の目減りにより床下地板と根太の間に隙間が生じ、音鳴りが発生することを防ぐために、接着剤の固形分は65〜95%の高濃度のものを用いる必要がある。
【0017】
本発明の施工法で用いるクッション材としては、好ましくは、大引の上面に差し渡された根太の対向する立上り側壁を挟持する一組以上の突片が形成されたものを用いる。即ち、大引への根太の取付の際に、根太に填めて根太と共に大引上を移動できるように、突片が形成されたクッション材を用いる。これにより、大引への根太の取付作業が従来のクッション材がないものと同様に行うことができ、作業性が向上する。
【0018】
一組以上の突片の形成位置は、少なくとも根太の対向する立上り側壁を挟持するために、根太の幅と同一か若干狭めて形成される。この突片は、根太の長手側壁に沿って、間隔を開けて多数設けられても良いが、より好ましくは根太の長手側壁に沿って連なった一組の突条片を設けられる。
【0019】
即ち、本発明の施工法では、好ましくは、クッション材として、大引の上面に差し渡された根太の対向する立上り側壁を挟持する一組の突条片が根太の長手方向に沿って形成された断面が凹字状の部片を用いる。これにより、経時的に床下地材から斜めの加重が係っても長手方向に沿って形成された一組の突条片によって緩衝することができる。
【0020】
更に好ましくは、根太の寸法が乾燥状態によって縮んだ場合でも、根太を挟持した状態で大引へ取付けるため、前記一組の突条片の対向する面に縮んだ根太を良好に保持することのできる小さな突片を形成しても良い。具体的には、前記一組の突条片の対向する面に根太を保持する突条細片が形成されているものを用いる。
【0021】
【実施例】
1.床下地の構成
図1は本発明の施工法により得られる木質床下地の断面構成を示す説明図である。図2は図1に示したクッション材の構成を示す説明図である。図1に示す通り、床下に横架された大引(11)の上に根太(12)を差し渡す際に、大引(11)と根太(12)との間に硬質ゴムからなるクッション材(13)を介して両者を釘打ちする。
【0022】
クッション材(13)は、図2に具体的に示す通り、根太(12)の対向する立上り側壁を挟持する一組の突条片(21)が根太(12)の長手方向に沿って形成されている。更に、一組の突条片(21)の対向する面には、根太(12)を保持する突条細片(22)が形成されている。
【0023】
この突条片(21)により、大引(11)への根太(12)の取付の際に、クッション材(13)を根太(12)に填めて根太(12)と共に大引(11)上を移動できる。これにより、大引(11)への根太(12)の取付作業が容易となる。また、根太(12)の寸法が乾燥状態によって縮んだ場合でも、突条細片(22)が根太(12)を挟持した状態で大引(11)へ取付けることができる。尚、突条細片(22)は突条片(21)と同様に、根太の長手方向に沿った条片としたが、縮んだ根太を保持できるのであれば良く、例えば断面形状が円形等の突片であっても良い。
【0024】
大引(11)への根太(12)の位置決めが終わったら、釘(14)で大引(11)と根太(12)とをクッション材(13)を介して固定する。尚、大引(11)と根太(12)との固定は、ビス止めでも良い。
【0025】
大引(11)と根太(12)との固定の後に、根太(12)の上面に接着剤(15)を塗布する。尚、接着剤の固形分は65〜95%の高濃度のものを用いる。常法により、塗布した接着剤(15)の乾燥を待って、床下地板(16)を根太(12)の上面に貼り付けて床組みする。床下地板(16)と根太(12)とは所々に釘(17)を打って、床下地を完成する。
【0026】
2.音鳴り防止試験
弾性を有したクッション材を大引と根太の間に挿入して釘止めし、さらに接着剤と釘を用いて床下地板を固定する本施工法の音鳴り防止の効果を確認するために以下の試験を行った。
【0027】
長さ1,800mmの大引2本に300mm間隔で7本の根太を600mm巾で釘で固定し、接着剤と釘を用いて厚さ12mmの床下地板を固定した試験体を作成した。大引と根太の間には弾性を有したクツション材(厚み3mm、5mm,10mm)を挿入したものと、釘止めのみのものをそれぞれ作成し、7日間養生した。
【0028】
実際の施工後に床に重量物をおいたり、人が歩行することを想定し、巾550mm、直径250mm、重量100kgの重量ローラーを毎分1mの遠さで10時間試験体の上を往復運動させ、音鳴りの状態、接着剤の破断状態を確認した。
【0029】
弾性を有したクッション材を挿入していない試験体は、接着剤の破断がみられ、床下地板を上から踏みつけたときに音鳴りが生じていることが確認できた。
一方弾性を有したクッション材を挿入した試験体は、その厚みに関係なく試験終了後も接着剤には破断がみられず、床下地板を踏みつけた際も音鳴りは確認できなかった。
【0030】
本発明は以上説明したとおり、住宅等建築物の木質系下地において発生するきしみ音等床下地板の音鳴りを防止できるという効果がある。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上説明したとおり、経時により発生する釘の緩みに起因する床下地板及び根太の音鳴りを防止する木質床下地の施工法を得ることができる。また、音鳴りを防止する施工が容易な木質床下地の施工法を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施工法により得られる木質床下地の断面構成を示す説明図である。
【図2】図1に示したクッション材の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
(11)…大引、
(12)…根太、
(13)…クッション材、
(14)…釘、
(15)…接着剤、
(16)…床下地板、
(17)…釘、
(21)…突条片、
(22)…突条細片、

Claims (5)

  1. 横架された大引の上面に根太を差し渡し、差し渡された根太の上面に床下地板を貼り付ける木質床下地の施工法において、
    前記大引と根太との間に硬質ゴムからなるクッション材を介して両者を釘打ち又はビス止めし、
    根太上面に接着剤を塗布して床下地板を張り合わせた後、これらを釘止めすることを特徴とする木質床下地の施工法。
  2. 請求項1に記載された木質床下地の施工法において、
    前記クッション材として、大引の上面に差し渡された根太の対向する立上り側壁を挟持する一組以上の突片が形成されたものを用いることを特徴とする木質床下地の施工法。
  3. 請求項に記載された木質床下地の施工法において、
    前記クッション材として、大引の上面に差し渡された根太の対向する立上り側壁を挟持する一組の突条片が根太の長手方向に沿って形成され、尚且つ、前記一組の突条片の対向する面に根太と係止する突条細片が形成されているものを用いることを特徴とする木質床下地の施工法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載された木質床下地の施工法において、
    前記クッション材が、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロブレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、IR(イソプレンゴム)、シリコンゴムから選ばれた材質からなることを特徴とする木質床下地の施工法。
  5. 請求項1に記載された木質床下地の施工法において、
    前記接着剤が、酢酸ビニル樹脂系接着剤、酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系接着剤、アクリル−スチレン共重合体樹脂系接着剤の1つ以上から選ばれたものからなることを特徴とする木質床下地の施工法。
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