JP4046448B2 - 導電性ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の電子写真装置に用いられる、現像ロール,帯電ロール,転写ロール等の導電性ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真装置に用いられる導電性ロールとしては、軸体の外周面に沿ってベースゴム層が形成され、上記ベースゴム層の外周面に中間層が形成され、さらに上記中間層の外周面に表層が形成されて構成されたものが用いられている。そして、上記表層の形成材料としては、例えば、ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂等のベース樹脂に、カーボンブラック等の電子導電剤を分散させ、さらに平均分子量1000〜10000のシリコーンオイルを配合したものが用いられている(特開平9−311527号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平9−311527号公報に記載の導電性ロールは、表層形成材料として、カーボンブラック等の電子導電剤を用いているため、電気抵抗の電圧依存性および膜厚依存性が大きく、画質が劣るという難点がある。また、上記表層形成材料のベース樹脂として、ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂等を使用するため、トナー帯電性に劣るという難点がある。さらには、上記シリコーンオイルは分子量が小さいため、ベース樹脂との相溶性が悪く、長期的にシリコーンオイルがしみ出し、感光体汚染が生じる等の難点もある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、感光体汚染を防止でき、優れたトナー帯電性を備え、電気抵抗の電圧依存性および膜厚依存性が小さく、高画質を長期にわたって維持できる導電性ロールの提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の導電性ロールは、軸体の外周面に接した状態でベースゴム層が形成され、その外周に直接もしくは他の層を介して表層が形成された導電性ロールであって、上記ベースゴム層が非発泡体層であり、上記表層が下記の(A)および(B)成分を含有する樹脂組成物を用いて形成されていることを特徴とする導電性ロール。
(A)エピクロロヒドリンゴム。
(B)アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)がシロキサンから誘導される構造部分(α)にグラフト化してなるアクリルグラフトシリコーンポリマー。
【0006】
本発明者らは、所望の導電性ロールを得るため、表層形成材料を中心に鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、従来の表層形成材料のベース樹脂(ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂等)に代えてエピクロロヒドリンゴムを用いると、エピクロロヒドリンゴムはイオン導電性を備えるため、電気抵抗の電圧依存性および膜厚依存性を抑制できることを突き止めた。しかし、上記エピクロロヒドリンゴムは粘着性があり、これを単独で用いた場合は、トナー帯電性に劣る。そこで、さらに鋭意研究を続けた結果、上記エピクロロヒドリンゴムとともに、アクリルグラフトシリコーンポリマーを用いると、アクリルグラフトシリコーンポリマーは非粘着性であるため、上記エピクロロヒドリンゴムのべたつきを解消でき、トナー帯電性が向上し、しかも、上記エピクロロヒドリンゴムとアクリルグラフトシリコーンポリマーは相溶性がよく、長期保存時の液安定性に優れていることを見出し、本発明に到達した。すなわち、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)およびアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)を含有する樹脂組成物を用いて表層が形成されてなる導電性ロールは、感光体汚染を防止でき、優れたトナー帯電性を備え、電気抵抗の電圧依存性および膜厚依存性が小さく、高画質を長期にわたって維持できる。
【0007】
そして、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)とともに、電子導電剤(C成分)を併用することにより、電気抵抗の環境依存性が抑制され、電気抵抗を自由に調整することができる。
【0008】
また、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)およびアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)の少なくとも一方を、架橋剤を用いて架橋することにより、トナー帯電性や離型性を長期的に保持することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の導電性ロールの一例を図1に示す。この導電性ロールは、軸体1の外周面に沿ってベースゴム層2が形成され、上記ベースゴム層2の外周面に中間層3が形成され、さらに上記中間層3の外周面に表層4が形成されて構成されている。そして、本発明の導電性ロールは、上記表層4が特殊な樹脂組成物によって形成されていることが最大の特徴である。
【0011】
上記軸体1は特に制限するものではなく、例えば、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。なお、必要に応じて、上記軸体1上に接着剤、プライマー等を塗布してもよく、また上記接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
【0012】
上記ベースゴム層2形成材料としては、特に限定はなく、例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリウレタン系エラストマー等があげられる。なかでも、低硬度でへたりが少ないという点で、シリコーンゴムが好適に用いられる。なお、上記ベースゴム層2形成材料としてシリコーンゴムを用いる場合は、シリコーンゴム表面をコロナ放電、プラズマ放電等により活性化してもよく、さらにその後、プライマー等を塗布してもよい。
【0013】
なお、上記ベースゴム層2形成材料には、必要に応じて、導電剤を配合することも可能である。上記導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、c−TiO2 、c−ZnO、c−SnO2 、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等があげられる。なお、上記「c−」は、導電性を有するという意味である。
【0014】
上記中間層3形成材料としては、特に限定はなく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)(以下「NBR」と略す)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(水素化ニトリルゴム)(以下「H−NBR」と略す)、ポリウレタン系エラストマー、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ヒドリンゴム(ECO,CO)、ナイロン等があげられる。なかでも、接着性およびコーティング液の安定性の点から、H−NBRが好ましく用いられる。
【0015】
なお、上記中間層3形成材料には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、ステアリン酸、ZnO(亜鉛華)、軟化剤、上記と同様の導電剤等を配合することも可能である。
【0016】
上記表層4は、エピクロロヒドリンゴム(A成分)およびアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)を含有する特殊な樹脂組成物によって形成されている。
【0017】
上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)としては、特に限定するものではなく、例えば、エピクロロヒドリンの単独重合体(CO)、エピクロロヒドリンとエチレンオキシドの共重合体(ECO)、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルの共重合体、エピクロロヒドリンとエチレンオキシドとアリルグリシジルエーテルの共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0018】
上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)のムーニー粘度(ML1+4 100℃)は、30〜110の範囲が好ましく、特に好ましくは40〜80である。
【0019】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)は、アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)が、シロキサンから誘導される構造部分(α)にグラフト化してなるものであり、上記シロキサンから誘導される構造部分(α)はアクリルグラフトシリコーンポリマーの主鎖を構成し、上記アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)は側鎖を構成する。
【0020】
上記シロキサンから誘導される構造部分(α)としては、特に限定はなく、下記の一般式(1)〜(3)で表されるものが好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
上記一般式(1)〜(3)において、Rで表される炭素数1〜20のアルキル基としては、特に限定はなく、メチル基,エチル基等の低級アルキル基や、ポリオキシエチレン基,ポリオキシイソプロピレン基等のポリオキシアルキレン基が好ましい。
【0025】
上記一般式(2),(3)において、Xで表されるハロゲン化炭化水素基としては、特に限定はなく、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、ハロゲン化アルケニル基等が好ましい。また、上記Xで表されるシアン化炭化水素基としては、特に限定はなく、シアノ基、シアン化アラルキル基、シアン化アリール基、シアン化アラルキル基、シアン化アルケニル基等が好ましい。
【0026】
上記シロキサンから誘導される構造部分(α)の数平均分子量は、1,500〜20,000の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは3,000〜10,000である。すなわち、1,500未満であると、適度な帯電性、低摩擦係数化、離型性等のシリコーンの効果が得にくくなるとともにブリードアウトしやすくなり、逆に20,000を超えると、A成分への相溶性が低下し、効果が減少したり、またシリコーン特有のべたつきが生じるからである。
【0027】
上記構造部分(β)を誘導するアクリル系単量体は、アクリル酸およびその誘導体のみならず、メタクリル酸およびその誘導体も含む趣旨である。このようなアクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル(nBA)、アクリル酸イソブチル(iBA)、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2,2−ジメチルプロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−tert−ブチルフェニル、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸4−メトキシフェニル、アクリル酸2−メトキシカルボニルフェニル、アクリル酸2−エトキシカルボニルフェニル、アクリル酸2−クロロフェニル、アクリル酸4−クロロフェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−シアノベンジル、アクリル酸4−シアノフェニル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸3−オキサブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル(nBMA)、メタクリル酸イソブチル(iBMA)、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2,2−ジメチルプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−tert−ブチルフェニル、メタクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4−メトキシフェニル、メタクリル酸2−メトキシカルボニルフェニル、メタクリル酸2−エトキシカルボニルフェニル、メタクリル酸2−クロロフェニル、メタクリル酸4−クロロフェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−シアノベンジル、メタクリル酸4−シアノフェニル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸3−オキサブチル、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルアミド(AA)、ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、4−カルボキシフェニルメタクリルアミド、4−メトキシカルボキシフェニルメタクリルアミド、メチルクロロアクリレート、エチル−α−クロロアクリレート、プロピル−α−クロロアクリレート、イソプロピル−α−クロロアクリレート、メチル−α−フルオロアクリレート、ブチル−α−ブトキシカルボニルメタクリレート、ブチル−α−シアノアクリレート、メチル−α−フェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0028】
上記アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)としては、特に限定はなく、下記の一般式(4)で表されるものが好ましい。
【0029】
【化4】
【0030】
上記一般式(4)において、R1 ,R2 で表されるアルキル基としては、特に限定はなく、メチル基、エチル基、ブチル基等が好ましい。
【0031】
上記アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)の数平均分子量は、200〜20,000の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは1,000〜10,000である。すなわち、200未満であると、エピクロロヒドリンゴム(A成分)中への分散性が劣り、低摩擦係数化等の効果が得にくくなり、逆に20,000を超えると、エピクロロヒドリンゴム(A成分)中に分散した成分が表面に偏在しにくいため、低摩擦や帯電性向上等の効果が少なくなるからである。
【0032】
上記シロキサンから誘導される構造部分(α)と、上記アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)の割合は、重量比で、(α)/(β)=5/95〜60/40の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは(α)/(β)=10/90〜40/60である。すなわち、構造部分(α)の割合が60を超えると、エピクロロヒドリンゴム(A成分)中でのB成分の分散性が劣り、表面が悪くなったり、感光体汚染が生じる傾向があり、逆に、構造部分(α)の割合が5未満であると、シリコーンのもつ低表面エネルギー性を生かせず表面にB成分が偏在しなくなるため、低摩擦や帯電性等の効果が少なくなるからである。
【0033】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマーは、アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)のガラス転移温度を30〜150℃の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは60〜120℃である。すなわち、30℃未満であると、低摩擦係数化、離型性、べたつき防止の効果が減少し、逆に150℃を超えると、溶剤への溶解性が低下したり、エピクロロヒドリンゴム(A成分)との相溶性が低下するためトナーフィルミングの効果が減少するからである。
【0034】
上記構造部分(β)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、つぎのようにして設定することができる。すなわち、上記構造部分(β)のガラス転移温度が特定の範囲となるように、下記のFox式に従い、各アクリル系単量体の重量比率を設定することにより行われる。
【0035】
1/Tg=(W1 /Tg1 )+(W2 /Tg2 )+…+(Wm /Tgm )
W1 +W2 +…+Wm =1
〔式中、Tg1 ,Tg2 …Tgm は各アクリル系単量体のガラス転移温度を示し、W1 ,W2 …Wm は各アクリル系単量体の重量比率を示す。〕
【0036】
上記ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができる。
【0037】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマーの数平均分子量は、3,000〜300,000の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは10,000〜100,000である。すなわち、3,000未満であると、B成分が接触した感光体や層形成ブレード等に移行して画像不具合となり、逆に300,000を超えると、A成分中に分散したB成分が大きいため表面に偏在しにくく、低摩擦や帯電性等の効果が少なくなるからである。
【0038】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマーは、例えば、上記シロキサンから誘導される構造部分(α)と、アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)を、アゾ系重合開始剤の存在下に、ラジカル共重合させることにより製造することができる。
【0039】
上記重合方法としては、例えば、溶媒を用いる溶液重合法、バルク重合法、エマルジョン重合法等があげられ、なかでも溶液重合法が好適である。
【0040】
上記重合反応における重合温度は、50〜150℃の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。また、重合時間は3〜100時間が好ましく、特に好ましくは5〜10時間である。
【0041】
上記アゾ系重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、アゾビス−1−シクロヘキサカルボニトリル等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、AIBNが好適に用いられる。
【0042】
また、上記アクリルグラフトシリコーンポリマーは、上記シロキサンから誘導される構造部分(α)と、アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)を、アニオン重合触媒の存在下に、アニオン重合反応させることによっても製造することができる。
【0043】
上記アニオン重合触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の脂肪族炭化水素、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ナフタセン、アセナフチレン、トランススチルベン、ビフェニル、スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ベンゾニトリル、ジフェニルエチレン、ジフェニルブタジエン等の芳香族炭化水素等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0044】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)の配合量は、エピクロロヒドリンゴム(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、30〜300部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは50〜230部である。このように、アクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)の配合量を上記特定の範囲に設定することにより、エピクロロヒドリンゴム(A成分)のべたつきを解消でき、トナー帯電性が向上する。
【0045】
なお、上記表層4形成材料である特殊な樹脂組成物には、上記A成分,B成分とともに電子導電剤(C成分)を配合することが好ましい。上記電子導電剤(C成分)としては、例えば、カーボンブラックや、酸化錫,酸化インジウム,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物,酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物、酸化鉄、チタン酸カリウム、グラファイト、酸化チタン−酸化アンチモン複合酸化物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、A成分、B成分に対しての導電性に優れる点で、カーボンブラックが好適に用いられる。
【0046】
上記電子導電剤(C成分)の配合割合は、容積比で、エピクロロヒドリンゴム(A成分)/電子導電剤(C成分)=100/0.5〜100/20の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくはA成分/C成分=100/1〜100/15である。すなわち、上記電子導電剤(C成分)の容積比が0.5未満であると、電子導電剤としての効果が得られず、逆に20を超えると、A成分のイオン導電性を損ねてしまい、電気抵抗の電圧依存性や膜厚依存性に悪影響を及ぼすからである。
【0047】
また、上記樹脂組成物には、架橋剤を配合することが好ましい。前記エピクロロヒドリンゴム(A成分)の架橋剤としては、例えば、硫黄系架橋剤、アミン系架橋剤、パーオキサイド系架橋剤等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。また、前記アクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)の架橋剤としては、イソシアネート基含有物、アミノ樹脂、エポキシ基,アミノ基,カルボキシル基,メルカプト基等を有する硬化剤があげられるが、塗料の安定性が良いブロックイソシアネートが好適に用いられる。
【0048】
上記硫黄系架橋剤としては、例えば、硫黄、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−メルカプトイミダゾリン等があげられる。
【0049】
上記アミン系架橋剤としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、H2 N(CH2 )6 NH2 CO2 等があげられる。
【0050】
上記パーオキサイド系架橋剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド等があげられる。
【0051】
上記ブロックイソシアネートとしては、例えば、下記の骨格〔ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体〕を有するものが好適に用いられる。なお、本発明において、ブロックイソシアネートとは、ブロック剤によりイソシアネート基がブロックされているポリイソシアネートの総称である。
【0052】
【化5】
【0053】
そして、上記ブロックイソシアネートは、上記構造式で表されるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体と、ブロック剤とを反応させることにより製造することができる。上記ブロック剤としては、特に限定はなく、例えば、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等があげられる。また、HDIのイソシアヌレート体をグリコール等で連結したものと、ブロック剤とを反応させて、ブロックイソシアネートを製造することも可能である。
【0054】
上記ブロックイソシアネートとしては、具体的には、下記の構造式で表されるものがあげられる。
【0055】
【化6】
【0056】
上記架橋剤(硫黄系架橋剤等)の配合量は、エピクロロヒドリンゴム(A成分)100部に対して、0.01〜10部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.05〜5部である。
【0057】
また、上記架橋剤(ブロックイソシアネート等)の配合量は、アクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)100部に対して、0.1〜100部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは1〜80部である。
【0058】
なお、上記表層4形成材料である特殊な樹脂組成物には、必要に応じて、帯電制御剤、安定剤、紫外線吸収剤、補強剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、難燃剤、オイル等を添加することもできる。上記帯電制御剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、アジン系(ニグロシン系)化合物、アゾ化合物、オキシナフトエ酸金属錯体、界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系)等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0059】
そして、上記表層4形成材料(塗工用のコーティング液)は、例えば、A成分,B成分および必要に応じてその他の成分を有機溶剤に溶解し、サンドミル等で分散することにより作製することができる。あるいは、上記各成分を2軸混練機等で分散し、これらを有機溶剤に溶解することにより、塗工用のコーティング液を作製してもよい。上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0060】
本発明の導電性ロールは、例えば、つぎのようにして作製することができる。まず、前記ベースゴム層2形成材料用の各成分をニーダー等の混練機を用いて混練し、ベースゴム層2形成材料を作製する。また、前記中間層3形成材料用の各成分をロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に前記有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、中間層3形成材料(コーティング液)を作製する。さらに、上記方法に従い、表層4形成材料(コーティング液)を作製する。
【0061】
ついで、図2に示すように、下蓋5を外嵌した円筒状金型6の中空部に軸体1をセットし、上記円筒状金型6と軸体1との空隙部に上記ベースゴム層2形成材料を注型した後、上蓋7を外嵌する。これをオーブンに入れ、所定の条件で加熱加硫した後、脱型して、ベースゴム層付き軸体(ベースロール)を製造する。また、必要に応じて、上記ベースロール表面にコロナ放電処理を行う。そして、上記ベースゴム層2の外周に上記中間層3形成材料(コーティング液)を塗布した後、所定の条件で乾燥、加熱処理を行い、ベースゴム層2の外周に中間層3を形成する。さらに、上記中間層3の外周に上記表層4形成材料(コーティング液)を塗布した後、所定の条件で乾燥、加熱処理を行い、中間層3の外周に表層4を形成する。このようにして、軸体1の外周面に沿ってベースゴム層2が形成され、その外周に中間層3が形成され、さらにその外周に表層4が形成された3層構造の導電性ロールを作製することができる。
【0062】
なお、上記コーティング液の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等があげられる。
【0063】
本発明の導電性ロールは、現像ロールに好適であるが、必ずしも現像ロールに限定するものではなく、転写ロール、帯電ロール等にも適用することができる。なお、本発明の導電性ロールは、3層構造に限定されるものではなく、適宜の数の層が形成される。ただし、必ず表層(単層の場合にはその層)が上記特殊な導電性組成物によって形成されていなければならない。
【0064】
本発明の導電性ロールにおいて、各層の厚みは、導電性ロールの用途に応じて適宜に決定される。例えば、現像ロールとして用いる場合、ベースゴム層の厚みは、通常、0.5〜10mmの範囲に設定され、好ましくは3〜6mmであり、中間層の厚みは、通常、1〜90μmの範囲に設定され、好ましくは3〜50μmである。そして、表層の厚みは1〜100μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは3〜50μmである。
【0065】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0066】
【実施例1】
〔ベースゴム層形成材料の調製〕
信越化学工業社製のX−34−424A/BとX−34−387A/Bとを混合分散して、ベースゴム層形成材料を調製した。この際、上記ベースゴム層形成材料を用いて作製したゴムシートの体積抵抗率が、5×105 〜1×107 Ω・cmの範囲になるように、上記X−34−424A/BとX−34−387A/Bの混合割合を調整した。なお、上記体積抵抗率は、図5に示す形状の電極51を用いてSRIS2304に準じて、印加電圧100Vで測定した。図において、51aは主電極、51bはガード電極である。
【0067】
〔中間層形成材料(コーティング液)の調製〕
H−NBR(日本ゼオン社製、ゼットポール0020)100部と、導電剤(カーボンブラック)〔東海カーボン社製、トーカブラック#5500〕30部と、ステアリン酸0.5部と、ZnO(亜鉛華)5部と、加硫促進剤BZ1部と、加硫促進剤CZ2部と、硫黄1部をニーダーおよびロールを用いて混練した後、これを有機溶剤に分散させて中間層形成材料(コーティング液)を調製した。
【0068】
〔表層形成材料(コーティング液)の調製〕
まず、下記の式で表されるシロキサンから誘導される構造部分(α)と、下記の式で表されるアクリル系単量体から誘導される構造部分(β)を用いて、前述の方法に従い、アクリルグラフトシリコーンポリマー(数平均分子量30,000)を作製した。なお、上記構造部分(α)と構造部分(β)の割合は、重量比で、(α)/(β)=20/80、上記構造部分(β)のガラス転移温度は40℃であった。
【0069】
【化7】
【0070】
ついで、下記の一般式で表される繰り返し単位を構成成分とするエピクロロヒドリンゴム(ダイソー社製、エピクロマーCG105)〔ML1+4 100℃:65〕100部と、上記アクリルグラフトシリコーンポリマー100部と、カーボンブラック(電気化学工業社製、アセチレンブラック)6部を、有機溶剤に分散させて表層形成材料(コーティング液)を調製した。なお、上記有機溶剤としては、酢酸エチル:メチルエチルケトン:トルエン:メチルイソブチルケトン=1:2:1:6(重量比)の混合物を用い、固形分濃度が23重量%になるように調製した。また、エピクロロヒドリンゴム(比重1.26)とカーボンブラック(比重1.8)の配合割合は、容積比で、エピクロロヒドリンゴム/カーボンブラック=100/4.2である。
【0071】
【化8】
【0072】
〔導電性ロールの作製〕
下蓋を外嵌した円筒状金型の中空部に軸体となる芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記円筒状金型と軸体との空隙部に、上記ベースゴム層形成材料を注型し、上蓋を外嵌した。そして、円筒状金型ごとオーブンに入れ加熱加硫した後、脱型して、ベースゴム層付き軸体(ベースロール)を製造した。ついで、上記ベースゴム層の表面にコロナ放電処理を行い、上記中間層形成材料(コーティング液)を塗布した後、加熱(150℃×30分)して中間層を形成した。さらに、上記表層形成材料(コーティング液)を上記中間層の外周面に塗布した後、150℃×1時間加熱して表層を形成した。このようにして、ベースゴム層、中間層および表層からなる3層構造の導電性ロールを作製した。なお、上記ベースゴム層の硬度は40Hs(JIS A)、厚みは5mmであり、上記中間層の厚みは25μmであり、上記表層の厚みは10μmであった。
【0073】
【実施例2】
実施例1のアクリルグラフトシリコーンポリマーに代えて、上記構造部分(β)のガラス転移温度が60℃であるアクリルグラフトシリコーンポリマーを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0074】
【実施例3】
実施例1のアクリルグラフトシリコーンポリマーに代えて、上記構造部分(β)のガラス転移温度が80℃で、かつ、アクリルグラフトシリコーンポリマーの数平均分子量が45,000であるアクリルグラフトシリコーンポリマーを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0075】
【実施例4】
アクリルグラフトシリコーンポリマーの配合割合を28部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0076】
【実施例5】
カーボンブラック(電気化学工業社製、アセチレンブラック)の配合割合を20部に変更し、かつ、アクリルグラフトシリコーンポリマーの配合割合を305部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。なお、エピクロロヒドリンゴムとカーボンブラックの配合割合は、容積比で、エピクロロヒドリンゴム/カーボンブラック=100/14である。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0077】
【実施例6】
滑剤(花王社製、ルナックS30)1部と、受酸剤であるハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT6A)8部と、チオウレア系架橋剤として下記の構造式で表される2−メルカプトイミダゾリン(三新化学社製、サンセラー22C)2部をさらに配合する以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0078】
【化9】
【0079】
【実施例7】
ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部をさらに配合する以外は、実施例6と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0080】
【実施例8】
カーボンブラック(電気化学工業社製、アセチレンブラック)を配合しない以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0081】
【実施例9】
アクリルグラフトシリコーンポリマーの配合割合を30部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0082】
【実施例10】
アクリルグラフトシリコーンポリマーの配合割合を300部に変更した。それ以外は、実施例5と同様にして、表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0083】
【比較例1】
熱可塑性ウレタン樹脂(武田バーティッシュウレタン社製、ET−880)100部と、c−TiO2 (石原産業社製、タイペークET700)100部と、エポキシ変性シリコーンオイル(東芝シリコーン社製、TSF4730)0.5部を、上記有機溶剤に分散させて表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0084】
【比較例2】
上記エポキシ変性シリコーンオイルに代えて、カルボキシル変性シリコーンオイル(東芝シリコーン社製、TSF4770)を用いる以外は、比較例1と同様にして表層形成材料(コーティング液)を調製した。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0085】
【比較例3】
上記エピクロロヒドリンゴム(ダイソー社製、エピクロマーCG105)100部と、カーボンブラック(電気化学工業社製、アセチレンブラック)5部を、上記有機溶剤に分散させて表層形成材料(コーティング液)を調製した。なお、エピクロロヒドリンゴムとカーボンブラックの配合割合は、容積比で、エピクロロヒドリンゴム/カーボンブラック=100/3.5である。そして、この表層形成材料(コーティング液)を用いて、実施例1と同様にして、導電性ロールを作製した。
【0086】
このようにして得られた実施例品および比較例品の導電性ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性について比較評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表3に併せて示した。
【0087】
〔電気抵抗〕
(電圧依存性)
SRIS2304に準じて、電極にSME−8311(東亜電波社製)を用いて、表層塗膜(厚み15μm)に0.1Vの電圧を印加した時と10Vの電圧を印加した時の電気抵抗の差を、変動桁数で表示した。
【0088】
(環境依存性)
電極SME−8311を用いて、印加電圧1Vで、低温・低湿条件(15℃×10%)での電気抵抗と、高温・高湿条件(35℃×80%)での電気抵抗の差を、変動桁数で表示した。
【0089】
(膜厚依存性)
電極SME−8311を用いて、表層塗膜の厚みが5μmのときの電気抵抗と、表層塗膜の厚みが30μmのときの電気抵抗の差を、変動桁数で表示した。なお、印加電圧は10Vである。
【0090】
〔摩擦係数〕
摩擦係数は、図3に示すような、静動摩擦係数計(協和界面科学社製)を用いて測定した。すなわち、導電性ロール21を固定台22の上にセットし、移動速度0.3cm/秒、荷重100gの条件下で測定した。なお、図において、23は鋼球(直径3mm)、24は零点調整用天秤、25はロードセル、26は荷重(100g)を示す。
【0091】
〔ロール回転トルク〕
固定された感光体に導電性ロールを押圧接触し、導電性ロールをトルクモータで回転させ、その動き始めの電流値を測定した。なお、上記導電性ロールを感光体に押圧接触させる際の圧力は、導電性ロールの接触部が径方向に0.3mm凹む程度の圧力に設定した。評価結果は、以下のように表示した。
○:得られた測定値をトルクに換算し、その算出値が常に3kgf−cm未満を示す
△:3kgf−cm未満を示すが、初期等に3kgf−cm以上を示す
×:常に3kgf−cm以上を示す
【0092】
〔トナー帯電性〕
トナー帯電性は、導電性ロールにおける帯電量を20℃×50%RHの条件下においてつぎのようにして測定した。すなわち、図4に示すように、導電性ロール30表面上に現像剤(トナー)32層を形成し、吸引ポンプ33により上記現像剤32を吸引しファラデーケージ34を用いて測定した(ファラデーケージ法)。なお、図において、35はフィルター、36は絶縁体パイプ、37は電位計、38,39は導体で互いに分離している。
【0093】
〔複写画質〕
導電性ロールを現像ロールとして電子写真複写機に組み込み、20℃×50%RHの条件下において画像出しを行った。評価結果は、以下のように表示した。
○:べた黒画像において、マクベス濃度1.4以上で、画像むらや白斑点ぬけがない
△:べた黒画像は良好であるが、印字でかすれまたはにじみが発生
×:マクベス濃度1.4未満、画像むら、白斑点ぬけのいずれか一つでも発生
【0094】
〔耐久複写画質〕
導電性ロールを現像ロールとして電子写真複写機に組み込み、20℃×50%RHの条件下において、5000枚複写を行った。評価結果は、以下のように表示した。
○:べた黒画像において、マクベス濃度1.4以上で、画像むらや白斑点ぬけがなく、印字でかすれやにじみがない
△:べた黒画像は良好であるが、印字でかすれまたはにじみが発生
×:マクベス濃度1.4未満、画像むら、白斑点ぬけのいずれか一つでも発生
【0095】
〔感光体汚染〕
導電性ロールを現像ロールとして電子写真複写機に組み込んで繰り返し複写を行った。その後、1ケ月間放置し、再び複写を行った。評価結果は、以下のように表示した。
○:感光体の汚染による画像むらがない
△:画像むらが複写10枚以内で消える
×:画像むらが複写10枚以上でも消えない
【0096】
〔塗料フィラー沈降性〕
上記導電性ロールの表層形成材料(コーティング液)を24時間静置した後、塗料フィラー沈降性を目視評価した。評価結果は、以下のように表示した。
○:塗料フィラー(カーボンブラックまたはc−TiO2 )の沈降が見られなかった
△:塗料フィラー(カーボンブラックまたはc−TiO2 )の沈降が若干見られた
×:塗料フィラー(カーボンブラックまたはc−TiO2 )の沈降が見られた
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
上記表1〜表3の結果から、実施例品の導電性ロールは、いずれも電気抵抗の上昇が抑制され、摩擦係数が小さく、すべての特性について良好な結果が得られた。
【0101】
これに対して、比較例1品および比較例2品の導電性ロールは、トナー帯電性および複写画質が劣り、感光体汚染が生じることがわかる。また、比較例3品の導電性ロールは、摩擦係数が大きく、トナー帯電性および複写画質に劣ることがわかる。
【0102】
【発明の効果】
以上のように、本発明の導電性ロールは、その表層が、エピクロロヒドリンゴム(A成分)およびアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)を含有する樹脂組成物を用いて形成されている。そのため、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)がいわゆるイオン導電剤として作用して、電気抵抗の電圧依存性および膜厚依存性を抑制することができる。また、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)とともに、非粘着性のアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)を用いるため、エピクロロヒドリンゴム(A成分)のべたつきを解消でき、トナー帯電性が向上する。しかも、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)とアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)は相溶性がよく、長期保存時の液安定性に優れている。その結果、本発明の導電性ロールは、感光体汚染を防止でき、優れたトナー帯電性を備え、電気抵抗の電圧依存性および膜厚依存性が小さく、高画質を長期にわたって維持することができる。
【0103】
そして、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)とともに、電子導電剤(C成分)を併用することにより、電気抵抗の環境依存性が抑制され、電気抵抗を自由に調整することができる。
【0104】
また、上記エピクロロヒドリンゴム(A成分)およびアクリルグラフトシリコーンポリマー(B成分)の少なくとも一方を、架橋剤を用いて架橋することにより、トナー帯電性や離型性を長期的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導電性ロールの一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の導電性ロールの製法の一例を示す断面図である。
【図3】 静動摩擦係数計による摩擦係数の測定方法を示す説明図である。
【図4】 トナー帯電性の測定方法を示す説明図である。
【図5】 体積抵抗率を測定する際に用いる電極の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1 軸体
2 ベースゴム層
3 中間層
4 表層
Claims (4)
- 軸体の外周面に接した状態でベースゴム層が形成され、その外周に直接もしくは他の層を介して表層が形成された導電性ロールであって、上記ベースゴム層が非発泡体層であり、上記表層が下記の(A)および(B)成分を含有する樹脂組成物を用いて形成されていることを特徴とする導電性ロール。
(A)エピクロロヒドリンゴム。
(B)アクリル系単量体から誘導される構造部分(β)がシロキサンから誘導される構造部分(α)にグラフト化してなるアクリルグラフトシリコーンポリマー。 - (B)成分であるアクリルグラフトシリコーンポリマーの配合量が、(A)成分であるエピクロロヒドリンゴム100重量部に対して30〜300重量部の範囲に設定されている請求項1記載の導電性ロール。
- 樹脂組成物が下記の(C)成分を含有している請求項1または2記載の導電性ロール。
(C)電子導電剤。 - 樹脂組成物が架橋剤を含有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ロール。
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