JP3633331B2 - 現像ロール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンター等の電子写真装置に用いられる現像ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真複写機による複写はつぎのようにして行われる。すなわち、軸中心に回転する感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成する。ついで、このトナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。この場合、感光ドラム上の静電潜像を現像し、可視像を形成する現像方法としては、現像ロールを用いた方式(接触現像方式)が採られている。この方式は、現像ロール表面にトナーを付着させた後、現像ロールと感光ドラムとの摺接により、トナーを感光ドラム上の静電潜像に移行させて、静電潜像をトナー像として顕在化させるものである。
【0003】
上記現像ロールとしては、例えば、軸体の外周面に最内層が形成され、この最内層の外周面に中間層が形成され、さらにこの中間層の外周面に、最外層が形成されたものが用いられている。現像ロールは、その特性として良好な耐トナーフィルミング性とトナー帯電性が要求されるため、最外層の形成材料として、いかなる材料を用いるかは重要である。例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴムのみを用いた場合、それ自体に粘着性があるため、トナーフィルミング(トナーの固着)を生じやすいという欠点がある。そこで、本出願人は、種々検討を重ねた結果、最外層の形成材料として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびポリ塩化ビニルを用いた現像ロールを開発し、すでに提案している(特願平10−84794号:平成10年3月30日出願)。このものは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いているにもかかわらず、耐トナーフィルミング性が良好になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案した現像ロールは、帯電列がマイナス側であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルを用いているため、マイナス帯電のトナーを用いる電子写真複写機に適用すると、トナー帯電性がやや不充分になるという問題を有しており、さらなる改良が求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、マイナス帯電のトナーを用いる電子写真装置に適用する場合であっても、良好なトナー帯電性と耐トナーフィルミング性を発揮することができる現像ロールの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の現像ロールは、軸体の外周面に、少なくとも二層が形成された現像ロールであって、上記層のうちの最外層が、下記の(A)〜(C)成分を含有する高分子組成物によって形成されているという構成をとる。
(A)アクリロニトリル−ブタジエンゴム。
(B)ポリ塩化ビニル。
(C)下記の(C)成分および(C)成分のうち少なくとも一方のポリマー。
(C)下記の一般式(1)で表わされる繰り返し単位を構成成分とするシリコーングラフトアクリルポリマー。
【化3】
Figure 0003633331
(C)アクリル系単量体から誘導される構造部分と、シロキサンから誘導される直鎖状の構造部分とを構成成分とするアクリルグラフトシリコーンポリマー。
【0007】
すなわち、本発明者らは、マイナス帯電のトナーを用いる電子写真装置に適用する場合であっても、良好なトナー帯電性と耐トナーフィルミング性とを発揮することができる現像ロールを得るべく、鋭意研究を重ねた。その過程で、帯電列が、A成分であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)やB成分であるポリ塩化ビニル(PVC)と比較して、よりプラス側である、シリコーン系材料およびアクリル系材料に着目した。すなわち、帯電列がプラス側であるものを添加すれば、トナー帯電性を高めることができると想起した。そこで、種々検討を重ねた結果、NBR(A成分)とPVC(B成分)のブレンド物に、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)および特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)のうち少なくとも一方のポリマー(C成分)を添加すれば、先に提案した現像ロールに比べ、トナー帯電性が良好になることを突き止め、本発明に到達した。そして、上記C成分であるポリマーは、それ自体、トナー離型性がよいものであるため、上記現像ロールは、先に提案した現像ロールに比べ、耐トナーフィルミング性がさらに良好になることを突き止めた。
【0008】
特に、上記特定のポリマー(C成分)の配合量をNBR(A成分)およびPVC(B成分)の合計量に対し特定の範囲に設定した場合には、さらに良好な結果が得られることを突き止めた。
【0009】
また、最外層の表面が、上記A〜C成分からなる海−島構造をとり、NBR(A成分)とPVC(B成分)とからなる海中に特定のポリマー(C成分)からなる島が分布した状態になっている場合には、島を構成する特定のポリマー(C成分)が耐トナーフィルミング性を発揮するため、持続力のある現像ロールになることを突き止めた。なかでも、島の平均直径が特定の範囲に設定されている場合には、その効果が高いことを突き止めた。
【0010】
さらに、軸体の外周面に形成される、最内層、中間層、最外層の各層が、特定の材料で形成されている場合には、マイナス帯電のトナーを用いる電子写真複写機の現像ロールとして最適であることを突き止めた。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明の現像ロールは、軸体の外周に少なくとも二層が形成され、しかも上記層のうちの最外層が、特殊な高分子組成物によって形成されたものである。
【0013】
本発明の現像ロールの一例を図1に基づいて説明する。この現像ロールは、軸体10と、この軸体10の外周面に沿って形成された最内層11と、この最内層11の外周に形成された中間層12と、この中間層12の外周に形成された最外層13とを備えたものである。
【0014】
上記軸体10としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。上記軸体10の材料としては、アルミニウム、ステンレス等があげられる。
【0015】
上記軸体10の外周面に沿って形成される最内層11の形成材料としては、例えば、導電剤を含むシリコーンゴム組成物があげられる。このシリコーンゴム組成物は、シリコーンゴムに、導電剤等の各種の添加剤を配合することにより得られる。
【0016】
上記シリコーンゴムとしては、特に限定するものではないが、ジメチルシリコーンポリマーに架橋サイトとしてビニル基を付加したものに、ジメチルシリコーンオイルを添加したものを用いることが好ましい。
【0017】
上記シリコーンゴムとともに用いられる導電剤としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック)等が用いられる。上記導電剤のなかでも、特に高い導電性が必要という点から、表面積が大きく、また吸油量が大きく、ストラクチャ(導電パス)を作り易いファーネスブラック(導電性カーボンブラック:ケッチェンブラック)を用いることが好ましい。上記導電剤の配合量は、シリコーンゴム100重量部(以下「部」と略す)に対して3〜15部の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは、4〜8部である。すなわち、導電剤の配合量が、3部未満では、充分な導電性が得られず、逆に15部を超えると、硬度が高くなってしまう傾向がみられるからである。
【0018】
そして、上記導電剤を含むシリコーンゴム組成物は、その成形体の硬度が10〜60Hsの範囲内で、電気抵抗値(Rv)が1×10〜1×10Ω・cmの範囲内となるものが好ましい。なお、硬度は、JIS−Aに準じて測定される値である。また、電気抵抗値(Rv)は、つぎのようにして測定される値である。すなわち、まず導電剤を含むシリコーンゴム組成物からなるゴムシートを作製し、このシート外表面上に銀ペーストで10mm四方の電極を描き(ガード電極付)、シートの反対側の面に対向電極を設け、電極間(印加電極:100V)の電気抵抗値を測定する。
【0019】
上記最内層11の外周に形成される中間層12の形成材料としては、例えば、導電剤を含むゴム組成物、導電剤を含む樹脂組成物があげられる。上記ゴム組成物は、ゴムに、導電剤等の各種の添加剤を配合することにより得られる。また、上記樹脂組成物は、樹脂に、導電剤等の各種の添加剤を配合することにより得られる。
【0020】
上記ゴム組成物の構成成分であるゴムとしては、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイドゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(水素化ニトリルゴム)等があげられる。
【0021】
上記樹脂組成物の構成成分である樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等があげられる。
【0022】
上記ゴムまたは樹脂とともに用いられる導電剤としては、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属酸化物、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤が用いられるが、導電性付与の容易さの面からカーボンブラックが好ましい。上記カーボンブラックの配合量は、ゴムまたは樹脂100部に対して15〜50部の範囲に設定することが好ましい。すなわち、上記配合量に設定することにより、中間層を所望の硬度、および電気抵抗値に設定することが可能となるからである。
【0023】
上記ゴム組成物には、必要に応じて、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、ステアリン酸、亜鉛華(ZnO)、軟化剤等を適宜に添加してもよい。
【0024】
そして、上記導電剤を含むゴム組成物または導電剤を含む樹脂組成物は、その成形体の電気抵抗値(Rv)が、1×10〜1×10Ω・cmの範囲内となるものが好ましい。なお、電気抵抗値(Rv)は、前記の方法に準じて測定される値である。すなわち、前記シリコーンゴム組成物からなるゴムシートに代えて、上記ゴム組成物または樹脂組成物からなるシートを用いて測定される。
【0025】
上記中間層12の外周に形成される最外層13は、NBR(A成分)と、PVC(B成分)と、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)および特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)のうち少なくとも一方のポリマー(C成分)とを含有する高分子組成物によって形成される。
【0026】
上記A成分であるNBRとしては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられ、なかでもB成分であるPVCとの相溶性の観点から、アクリロニトリル量の多いものが好ましい。好適には、アクリロニトリル量が、30〜50重量%の範囲内である。
【0027】
上記NBR(A成分)とともに用いられるPVC(B成分)としては、特に限定するものではなく、従来公知のものが用いられる。
【0028】
上記NBR(A成分)とPVC(B成分)との重量基準配合比は、A/B=95/5〜40/60の範囲に設定されていることが好ましい。より好ましくは、90/10〜60/40の範囲である。すなわち、NBRが95を超えると、NBRの特性が強くなり過ぎて、粘着性が大きくなり、トナーフィルミングが発生しやすくなるおそれがあるからである。逆に、PVCが60を超えると、PVCの特性が強くなり過ぎて、表面に傷がつきやすくなり、トナーフィルミングの起点を発生しやすくなるおそれがあるからである。
【0029】
上記NBR(A成分)およびPVC(B成分)とともに用いられる特定のポリマー(C成分)は、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)および特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)のうち少なくとも一方である。すなわち、C成分として、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)のみを用いる場合、特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)のみを用いる場合、両者とも用いる場合の3つの場合がある。
【0030】
まず、上記特定のポリマー(C成分)の一方である、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)について説明する。
【0031】
上記C成分であるシリコーングラフトアクリルポリマーは、下記の一般式(1)で表わされる構造を備えたものである。本発明におけるシリコーングラフトアクリルポリマーとは、下記の一般式(1)において、(Z)n部分と(Y)k部分とが共重合することにより、シリコーン部分が幹のアクリルポリマーにグラフト化しているものをいう。
【0032】
【化4】
Figure 0003633331
【0033】
上記一般式(1)において、繰り返し数kは1〜3000の正数であり、好ましくは1〜300の正数である。また、繰り返し数nは1〜3000の正数であり、好ましくは1〜300の正数である。
【0034】
上記一般式(1)において、Yはアクリル系単量体から誘導される直鎖状の構造部分である。上記アクリル系単量体としては、具体的にはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2,2−ジメチルプロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−tert−ブチルフェニル、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸4−メトキシフェニル、アクリル酸2−メトキシカルボニルフェニル、アクリル酸2−エトキシカルボニルフェニル、アクリル酸2−クロロフェニル、アクリル酸4−クロロフェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−シアノベンジル、アクリル酸4−シアノフェニル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸3−オキサブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2,2−ジメチルプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−tert−ブチルフェニル、メタクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4−メトキシフェニル、メタクリル酸2−メトキシカルボニルフェニル、メタクリル酸2−エトキシカルボニルフェニル、メタクリル酸2−クロロフェニル、メタクリル酸4−クロロフェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−シアノベンジル、メタクリル酸4−シアノフェニル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸3−オキサブチル、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルアミド、ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、4−カルボキシフェニルメタクリルアミド、4−メトキシカルボキシフェニルメタクリルアミド、メチルクロロアクリレート、エチル−α−クロロアクリレート、プロピル−α−クロロアクリレート、イソプロピル−α−クロロアクリレート、メチル−α−フルオロアクリレート、ブチル−α−ブトキシカルボニルメタクリレート、ブチル−α−シアノアクリレート、メチル−α−フェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等があげられる。そして、これらアクリル系単量体の1種が重合または2種以上が共重合することにより、Yで表される直鎖状の構造部分が構成される。
【0035】
上記一般式(1)において、Zはアクリル系単量体から誘導される構造部分であって、シロキサンから誘導される構造部分を有するものである。これは、下記の一般式(2)または一般式(3)で表されるものから誘導される。
【0036】
【化5】
Figure 0003633331
【0037】
【化6】
Figure 0003633331
【0038】
そして、上記一般式(2)または一般式(3)の好ましい具体例としては、下記の構造式(a)〜(r)に示すものがあげられる。
【0039】
【化7】
Figure 0003633331
【0040】
【化8】
Figure 0003633331
【0041】
【化9】
Figure 0003633331
【0042】
【化10】
Figure 0003633331
【0043】
上記一般式(1)で表される構造を備えたシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)は、シロキサンから誘導される構造部分を除いたアクリルポリマー部分のガラス転移温度が、−35〜30℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは−30〜0℃の範囲内である。すなわち、上記ガラス転移温度が−35℃未満であると、粘着性が大きくなり摩擦係数も大きくなるためトナーフィルミングが生じ、複写画像が悪くなるおそれがあり、逆に30℃を越えると硬くなりすぎ、スタート時にロールが円滑に回転しなかったり、クリック音が発生する等の問題が生じるおそれがあるからである。
【0044】
上記アクリルポリマー部分のガラス転移温度は、例えばつぎのようにして設定することができる。すなわち、上記アクリルポリマー部分のガラス転移温度が−35〜30℃の範囲内となるように、下記のFox式に従い、各アクリル系重合体の重量比率を設定することにより行われる。
【0045】
【数1】
1/Tg =(W/Tg)+(W/Tg)+…+(W/Tg
+W+…+W=1
〔式中、Tg はアクリルポリマー部分のガラス転移温度であり、Tg,Tg,…,Tgは各アクリル系単量体のガラス転移温度である。また、W,W,…,Wは各アクリル系単量体の重量比率である。〕
【0046】
上記ガラス転移温度(Tg )は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができる。
【0047】
前記一般式(1)で表される構造を備えたシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)の数平均分子量は、10,000〜300,000の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは30,000〜100,000の範囲である。すなわち、上記数平均分子量が10,000未満であると最外層13の強度が劣る傾向が見られ、300,000を超えると最外層13の形成が困難になるおそれがあるからである。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
【0048】
前記一般式(1)で表される構造を備えたシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)における(Z)n 部分の数平均分子量は、260〜40,000の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは1,000〜25,000の範囲である。すなわち、上記数平均分子量が260未満であると、柔軟性、低摩擦係数化、離型性等のシリコーンの効果が少なくなり、40,000を超えると、べたつきが生じるおそれがあるからである。
【0049】
上記(Z)n 部分の含有率は、上記シリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)全重量の5〜60重量%の範囲になるよう設定することが好ましい。すなわち、上記(Z)n 部分の含有率が5重量%を下回ると、柔軟性、低摩擦係数化、離型性等のシリコーンの効果が少なくなるおそれがあり、60重量%を超えるとシリコーン特有のべたつきが生じるおそれがあるからである。
【0050】
上記C成分であるシリコーングラフトアクリルポリマーは、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、上記(Y)k 部分と(Z)n 部分を、アゾ系重合開始剤の存在下に、ラジカル共重合させることにより製造することができる。このような重合は、溶媒を用いる溶液重合法、バルク重合法、エマルジョン重合法等によって行うことが好ましく、特に好ましくは溶液重合法である。
【0051】
上記アゾ系重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、アゾビス−1−シクロヘキサカルボニトリル等があげられ、特にAIBNが好ましい。
【0052】
上記ラジカル共重合の際の重合温度は50〜150℃が好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。また、重合時間は3〜100時間が好ましく、特に好ましくは5〜10時間である。
【0053】
なお、上記C成分であるシリコーングラフトアクリルポリマーは、前記一般式(1)で表される構造を備えたものであるが、この構造にさらに別のアクリル系単量体から誘導される直鎖状の構造部分〔(X)m 部分〕が連結された、下記の一般式(4)で表される構造を備えたものであってもよい。
【0054】
【化11】
Figure 0003633331
【0055】
上記一般式(4)において、Xはアクリル系単量体から誘導される直鎖状の構造部分であり、上記アクリル系単量体としては、前記一般式(1)において例示したものと同様のものがあげられる。ただし、YとXは、互いに異なるものでなければならない。また、繰り返し数mは1〜10,000の正数であり、好ましくは100〜3,000の正数である。
【0056】
つぎに、上記特定のポリマー(C成分)の他方である、特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)について説明する。
【0057】
上記C成分であるアクリルグラフトシリコーンポリマーは、アクリル系単量体から誘導される構造部分と、シロキサンから誘導される直鎖状の構造部分とを有するものである。本発明におけるアクリルグラフトシリコーンポリマーとは、アクリル系単量体から誘導される構造部分と、シロキサンから誘導される直鎖状の構成部分とが共重合することにより、アクリル部分が幹のシリコーンポリマーにグラフト化しているものをいう。
【0058】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)中の主鎖に存在するシロキサンから誘導される直鎖状の構造部分としては、特に下記の一般式(5)〜(7)で表される構造部分が好ましい。
【0059】
【化12】
Figure 0003633331
【0060】
【化13】
Figure 0003633331
【0061】
【化14】
Figure 0003633331
【0062】
上記一般式(5)で表される構造部分の好ましい具体例としては、下記の構造式に示すものがあげられる。
【0063】
【化15】
Figure 0003633331
【0064】
上記一般式(6)および一般式(7)におけるXは、水素またはハロゲン化炭化水素基、シアン化炭化水素基等の炭素官能性基を示す。上記ハロゲン化炭化水素基としては、例えばハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、ハロゲン化アルケニル基等があげられ、上記シアン化炭化水素基としては、例えばシアノ基、シアン化アラルキル基、シアン化アリール基、シアン化アラルキル基、シアン化アルケニル基等があげられる。
【0065】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)は、アクリル系単量体から誘導される構造部分〔側鎖〕のガラス転移温度が、30〜150℃の範囲に設定されていることが好ましく、より好ましくは60〜120℃の範囲である。すなわち、上記アクリル系単量体から誘導される構造部分〔側鎖〕のガラス転移温度が30℃を下回ると、低摩擦係数化、離型性、べたつき防止の効果が減少し、150℃を超えると、溶剤への溶解性が低下したり、トナーフィルミング防止効果が得られにくくなるおそれがあるからである。なお、上記アクリル系単量体から誘導される構造部分〔側鎖〕のガラス転移温度の設定およびガラス転移温度の測定は、前記シリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)の場合に準じて行われる。
【0066】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)において、シロキサンから誘導される直鎖状の構造部分が存在する主鎖の数平均分子量は、1,500〜20,000の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは3,000〜10,000の範囲である。すなわち、上記主鎖部分の数平均分子量が1,500を下回ると適度な帯電性、低摩擦係数化、離型性等のシリコーンの効果が得られにくくなるおそれがあり、20,000を超えるとシリコーンのべたつきが生じるおそれがあるからである。
【0067】
一方、上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)中の側鎖には、アクリル系単量体から誘導される構造部分が存在する。上記アクリル系単量体としては、前記シリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)において述べたものと同様のものがあげられる。
【0068】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)中の側鎖としては、下記の一般式(8)で表される構造部分からなるものが特に好ましい。
【0069】
【化16】
Figure 0003633331
【0070】
そして、上記一般式(8)で表される構造部分の好ましい具体例としては、下記の構造式に示すものがあげられる。
【0071】
【化17】
Figure 0003633331
【0072】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)において、アクリル系単量体から誘導される構造部分からなる側鎖の数平均分子量は、200〜20,000の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは1,000〜10,000の範囲である。すなわち、上記側鎖部分の数平均分子量が200を下回ると適度な帯電性が得られにくくなるおそれがあり、20,000を超えると分離が生じ効果が充分に得られないおそれがあるからである。
【0073】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)は、例えば、前記シロキサンから誘導される構造部分と、アクリル系単量体から誘導される構造部分とを、前述のアゾ系重合開始剤の存在下に、前述のラジカル共重合させることにより製造することができる。
【0074】
また、上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)は、上記シロキサンから誘導される構造部分と、アクリル系単量体から誘導される構造部分とを、アニオン重合触媒の存在下に、アニオン重合反応させることにより製造することもできる。上記アニオン重合触媒としては、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の脂肪族炭化水素、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ナフタセン、アセナフチレン、トランススチルベン、ビフェニル、スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ベンゾニトリル、ジフェニルエチレン、ジフェニルブタジエン等の芳香族炭化水素等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0075】
このようにして得られるアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)は、数平均分子量が3,000〜300,000の範囲にあるものが好ましく、特に好ましくは10,000〜100,000の範囲である。すなわち、上記C成分の数平均分子量が3,000を下回ると上記の効果が得られにくく、ブリードして感光体を汚染するおそれがあり、300,000を超えると分離が生じて低摩擦等の効果が得られにくくなるおそれがあるからである。
【0076】
上記アクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)において、前記シロキサンから誘導される直鎖状の構造部分〔主鎖〕と、アクリル系単量体から誘導される構造部分〔側鎖〕との比率(重量比)は、主鎖/側鎖=5/95〜60/40の範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは主鎖/側鎖=10/90〜40/60の範囲である。すなわち、主鎖の比率が60を超える(側鎖の比率が40を下回る)と、シリコーン成分が増えすぎ、帯電しすぎる傾向が見られ、主鎖の比率が5を下回る(側鎖の比率が95を超える)と、適度な帯電性、離型性が得られにくく、強度への効果が減少する傾向が見られるからである。
【0077】
そして、上記A〜C成分を含有する高分子組成物において、特定のポリマー(C成分)の配合量は、NBR(A成分)とPVC(B成分)との合計量100部に対して、5〜40部の範囲に設定されていることが好ましい。より好ましくは10〜30部である。すなわち、5部未満であると、特定のポリマー(C成分)が少なすぎて、トナー帯電性の改善が不十分となるおそれがあり、逆に40部を超えると、特定のポリマー(C成分)が分離して、塗布むらが生じやすくなる傾向があるからである。
【0078】
上記最外層13の形成材料である高分子組成物には、上記A〜C成分以外に、カーボンブラック等の導電剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、滑剤、帯電制御剤等が適宜に添加される。
【0079】
なお、上記各層の形成に加えて、最内層11と中間層12との間に、シランカップリング剤層を形成することが、上記最内層11と中間層12との接着性向上という点から好ましい。すなわち、上記最内層11形成材料として、導電性シリコーンゴムを用い、中間層12形成材料として、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを主成分とするものを用いる場合、両者の接着性が悪いため、二層間の接着性向上を図るために、シランカップリング剤層を形成することが好ましい。上記シランカップリング剤としては、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
【0080】
本発明の現像ロールは、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、まず、前記最内層11形成材料を構成する各成分をニーダー等の混練機を用いて混練し、コンパウンド状の最内層11形成材料を調製する。また、上記中間層12形成材料および最外層13形成材料となる各コーティング液を作製する。上記各コーティング液は、前記各成分をロール等の混練機を用いて混練し、これに有機溶剤を加えて混合し、攪拌することにより調製される。そして、このようにして調製されたコーティング液の濃度は、形成する各層の厚みに応じて適宜に設定される。なお、上記最外層13形成材料であるコーティング液は、使用する直前に調製することが好ましい。その理由は、上記特定のポリマー(C成分)はPVC(A成分)およびNBR(B成分)との相溶性があまりよくないため、調製後の放置中に分離・凝集が生じて、最外層13の表面が、適度に分散した海−島構造とならないおそれがあるからである。
【0081】
上記有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0082】
つぎに、金属製の軸体(芯金)を準備し、図2に示すように、上記金属製の軸体10をセットした下蓋15および円筒型16内に、前記コンパウンド状の最内層11形成材料を注型し、上蓋17を上記円筒型16に外嵌する。ついで、上記ロール型全体を加熱して上記コンパウンド状の最内層11形成材料を架橋させて最内層11を形成する。つぎに、この最内層11が形成された軸体10を脱型した後、上記最内層11の外周面に、中間層12形成材料となるコーティング液を塗布し、もしくは上記最内層11形成済みのロールをコーティング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、最内層11の外周面に中間層12を形成する。さらに、上記中間層12の外周面に、最外層13形成材料となるコーティング液を塗布し、もしくは上記中間層12形成済みのロールをコーティング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うことにより、中間層12の外周面に最外層13を形成する。上記コーティング液の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等があげられる。このようにして、軸体10の外周に、最内層11、中間層12および最外層13がこの順で形成された現像ロールが製造される。
【0083】
このようにして得られる現像ロールの最外層13の表面は、図3に示すように、A〜C成分からなる海−島構造になっていることが好ましい。この海−島構造の海21は、NBR(A成分)およびPVC(B成分)から構成され、島22は、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)および特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)のうち少なくとも一方のポリマー(C成分)から構成される。このように、最外層13の表面が、海−島構造をとることにより、長期使用によって摩耗したとしても、島を構成するC成分が常に露呈した状態になるため、耐トナーフィルミング性が劣化するといったことがない。そして、特定のポリマー(C成分)からなる島22は、その平均直径が、1〜20μmの範囲になっていることが好ましい。より好ましくは、1〜10μmの範囲である。すなわち、1μm未満であると、島22が小さすぎて、良好な耐トナーフィルミング性を確保できないおそれがあり、逆に20μmを超えると、複写画像にむらが生じるおそれがあるからである。なお、上記平均直径は、最外層13の表面(もしくは断面)を顕微鏡で観察することにより測定される値であって、その値は任意に抽出した10個の島22の直径の平均とする。
【0084】
また、上記現像ロールにおいて、最内層11の厚みは、1〜10mmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは3〜6mmの範囲である。また、中間層12の厚みは、3〜90μmの範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは15〜25μmの範囲である。そして、最外層13の厚みは、特定のポリマー(C成分)が凝集して大粒径化しにくい程度、すなわち15〜100μmの範囲に設定する程度が好ましく、好適には20〜35μmの範囲である。
【0085】
本発明の現像ロールは、複写機やプリンター等の電子写真装置に組み込んで用いられ、好適には、マイナス帯電のトナーを使用する電子写真装置に組み込んで用いられる。
【0086】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0087】
まず、実施例および比較例に先立ち、軸体となる芯金(直径10mm、SUS304製)と、最内層形成材料としてシリコーンゴムに導電剤(ケッチェンブラックEC600JD)およびジメチルシリコーンオイル(粘度1000cSt)を添加したものと、シランカップリング剤層の形成材料としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、中間層形成材料として水素化ニトリルゴム(ゼットポール2010)にケッチェンブラックを添加したものとを準備した。そして、前述の方法に準じて、軸体の外周に、最内層、シランカップリング剤層、中間層をこの順で形成し、ロール基体を準備した。このロール基体において、各層の厚みは、最内層の厚みが5mmであり、シランカップリング剤層の厚みが0.5μmであり、中間層の厚みが20μmであった。また、最内層形成材料を用いて作製したゴムシートは、その電気抵抗値(Rv)が1×10Ω・cmであり、硬度(Hs:JIS A)は20であった。そして、中間層形成材料を用いて作製したシートは、その電気抵抗値(Rv)が、1×10であった。
【0088】
【実施例1】
つぎに、最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、シリコーングラフトアクリルポリマー(東亜合成化学社製のサイマックus270、数平均分子量6000)30部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を準備した。そして、このコーティング液を、上記ロール基体の中間層の外周面にディッピング法により塗布した後、オーブン中で加熱(150〜160℃×30分)することにより加硫して、厚み25μmの最外層を形成し、現像ロールを作製した。なお、最外層の表面において、島の平均直径は、3μmであった。
【0089】
【実施例2】
最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、アクリルグラフトシリコーンポリマー(東亜合成化学社製のアロンGS30、数平均分子量4000)5部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、最外層の表面において、島の平均直径は、2μmであった。
【0090】
【実施例3】
最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、アクリルグラフトシリコーンポリマー(東亜合成化学社製のアロンGS30、数平均分子量4000)10部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、最外層の表面において、島の平均直径は、3μmであった。
【0091】
【実施例4】
最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、アクリルグラフトシリコーンポリマー(東亜合成化学社製のアロンGS30、数平均分子量4000)30部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、最外層の表面において、島の平均直径は、3μmであった。
【0092】
【実施例5】
最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、アクリルグラフトシリコーンポリマー(東亜合成化学社製のアロンGS30、数平均分子量4000)40部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、最外層の表面において、島の平均直径は、5μmであった。
【0093】
【実施例6】
最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、シリコーングラフトアクリルポリマー(東亜合成化学社製のサイマックus270、数平均分子量6000)5部と、アクリルグラフトシリコーンポリマー(東亜合成化学社製のアロンGS30、数平均分子量4000)20部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、最外層の表面において、島の平均直径は、3μmであった。
【0094】
【比較例1】
最外層形成材料として、NBR(日本ゼオン社製のニポールDN−103)100部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0095】
【比較例2】
最外層形成材料として、NBRとPVCとがブレンドされたラテックスブレンド(日本ゼオン社製のニポールDN−508、NBR/PVC=70/30、アクリロニトリル量38重量%)100部と、アセチレンブラック20部と、硫黄1.5部と、加硫促進剤CZを1.5部と、加硫促進剤TTを1部と、ステアリン酸0.5部と、酸化亜鉛5部とを溶剤(MEK500部とトルエン250部の混合溶剤)中に分散させたコーティング液を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0096】
このようにして得られた各現像ロールについて、耐トナーフィルミング性、トナー搬送量、トナーの層形成状態、帯電量を下記の基準で測定・評価し、その結果を後記の表1および表2に示した。
【0097】
〔耐トナーフィルミング性〕
各現像ロールをプリンター(沖データ社製ML400)に組み込み、現像ロールには−300V、層形成ブレードには−400V、補給ロールには−350Vの電圧を印加し、3時間(20℃×50%RH)駆動させた。その後、各現像ロール上のトナーをPE製テープに転写し、マクベス濃度計にて濃度を測定した。その結果、0.01未満の場合は○、0.01〜0.05の場合は△、0.05を超える場合は×をつけた。
【0098】
〔トナー搬送量〕
各現像ロールをプリンターに組み込んだ後、現像ロールに−300V,感光ドラムに−800Vの電圧を印加した。ついで、現像ロールを、トナーの存在下、150回転させた。そして、現像ロール上のトナーをPE製テープに転写し、トナーの重量を測定した。その結果、現像ロールとして充分にトナーを搬送していると認められるものに○、不十分と認められるものに×をつけた。
【0099】
〔トナー層形成状態〕
高画質の複写画像を得るためには、現像ロール表面にトナー層が均一厚みで形成されていることが望ましい。そこで、上記トナー搬送量の測定を、現像ロール上の任意の数カ所で行い、トナー搬送量のばらつきの有無を調べた。その結果、トナー搬送量のばらつきが、0.1mg/cm未満のものに○、0.1〜0.2mg/cmのものに△、0.2mg/cmを超えるものに×をつけた。
【0100】
〔帯電量〕
初期の現像ロールのトナー帯電量を、20℃×50%RHの条件下においてつぎのようにして測定した。すなわち、図4に示すように、現像ロール30表面上にマイナス帯電のトナーからなるトナー32層を形成し、吸引ポンプ33によりトナー32を吸引しファラデーケージ34により測定した(ファラデーケージ法)。なお、図において、35はフィルター、36は絶縁体パイプ、37は電位計、38、39は導体で互いに分離している。また、この測定値の絶対値が大きいほど、トナー帯電性が良好であるといえる。そして、帯電量の絶対値が、17.0μc/gを超えるものには○、14.0〜17.0μc/gのものには△、14.0未満のものには×をつけた。
【0101】
〔ロール塗布性〕
均一厚みのトナー層を形成するためには、現像ロール表面が平滑面であることが望ましい。そこで、各現像ロール表面を目視することにより、塗布むらの有無を調べた。その結果、塗布むらが全くないものに○、多少塗布むらがみられるものの複写画像に悪影響を与えないものに△、塗布むらが多く見られ複写画像に悪影響を及ぼすものに×をつけた。
【0102】
【表1】
Figure 0003633331
【0103】
【表2】
Figure 0003633331
【0104】
上記表1および表2の結果より、実施例1品〜6品はすべて、A成分であるNBRとB成分であるPVCとを含有し、C成分として、特定のシリコーングラフトアクリルポリマーもしくは特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー、あるいは両者を含有する高分子組成物によって現像ロールの最外層が形成されているため、トナー帯電性および耐トナーフィルミング性が良好であることが認められる。これに対して、比較例1品は、NBRによって現像ロールの最外層が形成されているため、耐トナーフィルミング性が悪い。また、比較例2品は、NBRおよびPVCによって現像ロールの最外層が形成されているため、耐トナーフィルミング性については良好であるものの、トナー帯電性が不十分であることが認められる。
【0105】
【実施例7】
中間層形成材料として、ナイロン−6にケッチェンブラックを添加した樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。そして、この現像ロールについて、上記基準に従い、耐トナーフィルミング性、帯電量を評価したところ、実施例1と同様、良好な結果が得られた。
【0106】
【実施例8】
最外層表面の島の平均直径が、1μmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。そして、この現像ロールについて、上記基準に従い、耐トナーフィルミング性、帯電量を評価したところ、実施例1と同様、良好な結果が得られた。
【0107】
【実施例9】
最外層表面の島の平均直径が、20μmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。そして、この現像ロールについて、上記基準に従い、耐トナーフィルミング性、帯電量を評価したところ、実施例1と同様、良好な結果が得られた。
【0108】
【発明の効果】
以上のように、本発明の現像ロールは、軸体の外周面に、少なくとも二層が形成された現像ロールであって、上記層のうちの最外層が、NBR(A成分)と、PVC(B成分)と、特定のシリコーングラフトアクリルポリマー(C成分)および特定のアクリルグラフトシリコーンポリマー(C成分)のうち少なくとも一方のポリマー(C成分)とを含有する高分子組成物によって形成されたものである。そのため、先に提案したNBRとPVCとを最外層形成材料とする現像ロールに比べ、トナー帯電性が特に良好になる。また、特定のポリマー(C成分)は、それ自体、トナー離型性がよいものであるため、本発明の現像ロールは、先に提案した現像ロールに比べ、さらに耐トナーフィルミング性が良好なものになる。
【0109】
特に、上記特定のポリマー(C成分)の配合量をNBR(A成分)およびPVC(B成分)の合計量に対し特定の範囲に設定した場合には、さらに良好な結果が得られる。
【0110】
また、最外層の表面が、上記A〜C成分からなる海−島構造をとり、NBR(A成分)とPVC(B成分)とからなる海中に特定のポリマー(C成分)からなる島が分布した状態になっている場合には、島を構成するC成分が耐トナーフィルミング性を発揮するため、持続力のある現像ロールになる。そして、上記島の平均直径が特定の範囲に設定されている場合には、さらに良好な結果が得られる。
【0111】
さらに、軸体の外周面に形成される、最内層、中間層、最外層の各層が、特定の材料で形成されている場合には、マイナス帯電のトナーを用いる電子写真複写機の現像ロールとして最適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像ロールの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の現像ロールの製法の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の現像ロールの最外層表面の一例を示す模式的な説明図である。
【図4】トナー帯電量の測定方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 軸体
13 最外層

Claims (5)

  1. 軸体の外周面に、少なくとも二層が形成された現像ロールであって、上記層のうちの最外層が、下記の(A)〜(C)成分を含有する高分子組成物によって形成されていることを特徴とする現像ロール。
    (A)アクリロニトリル−ブタジエンゴム。
    (B)ポリ塩化ビニル。
    (C)下記の(C)成分および(C)成分のうち少なくとも一方のポリマー。
    (C)下記の一般式(1)で表わされる繰り返し単位を構成成分とするシリコーングラフトアクリルポリマー。
    Figure 0003633331
    (C)アクリル系単量体から誘導される構造部分と、シロキサンから誘導される直鎖状の構造部分とを構成成分とするアクリルグラフトシリコーンポリマー。
  2. 上記(C)成分であるポリマーの配合量が、(A)成分であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムと(B)成分であるポリ塩化ビニルとの合計量〔(A)+(B)〕100重量部に対して、5〜40重量部の範囲に設定されている請求項1記載の現像ロール。
  3. 上記最外層の表面が、(A)〜(C)成分からなる海−島構造をとり、(A)成分と(B)成分とからなる海中に(C)成分からなる島が分布した状態になっている請求項1または2記載の現像ロール。
  4. 上記(C)成分からなる島の平均直径が、1〜20μmの範囲内に設定されている請求項3記載の現像ロール。
  5. 軸体と、上記軸体の外周面に沿って形成された最内層と、上記最内層の外周に形成された中間層と、上記中間層の外周に形成された最外層とを備えた現像ロールであって、上記最内層が導電剤を含むシリコーンゴム組成物によって形成され、上記中間層が導電剤を含むゴム組成物または導電剤を含む樹脂組成物によって形成され、上記最外層が下記の(A)〜(C)成分を含有する高分子組成物によって形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像ロール。
    (A)アクリロニトリル−ブタジエンゴム。
    (B)ポリ塩化ビニル。
    (C)下記の(C)成分および(C)成分のうち少なくとも一方のポリマー。
    (C)下記の一般式(1)で表わされる繰り返し単位を構成成分とするシリコーングラフトアクリルポリマー。
    Figure 0003633331
    (C)アクリル系単量体から誘導される構造部分と、シロキサンから誘導される直鎖状の構造部分とを構成成分とするアクリルグラフトシリコーンポリマー。
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