JP4045764B2 - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンにおいて、その排気通路に排気ガス中のパティキュレートを捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を設けることは知られている。また、このDPFの再生のために、DPFよりも上流側の排気通路に酸化触媒を設け、この酸化触媒によって排気ガス中のNOを酸化させて排気ガス中のNO量を増やし、DPFに捕集されているパティキュレートをNOによって燃焼させるという提案もある。
【0003】
また、特開平11−336530号公報には、酸化触媒によるNO→NOの酸化は150℃付近から始まること、パティキュレートとNOとの反応は250℃から300℃以上の温度にならないと連続的に進まないこと、そこで、圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射後に燃料を噴射する後噴射によって排気ガス温度を高め、それによってDPFの温度を上昇させること、DPFの温度が600℃以上になると、その後噴射を停止すること、上記酸化触媒として、ゼオライトにCuやPtを担持させたNOx触媒を用いることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
DPFのパティキュレート捕集量が多くなると、それだけエンジンの背圧が高まり、エンジンの動力性能が低下する。従って、DPFにパティキュレートがある程度溜まったら、DPFの温度を高めてパティキュレートを燃焼除去し、当該DPFの再生を図る必要がある。
【0005】
上述の如くNOでパティキュレートを燃焼除去するのであれば、DPF温度を250℃から300℃程度まで上昇させればよいが、パティキュレートを着火燃焼させるにはDPFを500℃以上に昇温させる必要がある。しかし、自動車のディーゼルエンジンの場合、40km/h前後の市街地走行では排気ガス温度が低いので、パティキュレートを着火燃焼させるには別に電気ヒータ等の加熱手段を設ける必要があり、多量のエネルギーが必要になる。また、上述の後噴射によって排気ガス温度を500℃程度まで上昇させることは難しく、また、後噴射量を多くする必要があって燃費の面で不利になる。
【0006】
そこで、本発明は、上述の如きDPFやNOx吸収触媒のような排気ガス浄化手段の再生を効率良く行なうことができるようにすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題の解決のために、上記加熱再生を必要とする排気ガス浄化手段よりも上流側の排気通路にHC(炭化水素)を吸着するHC吸着材を配置し、このHC吸着材にHCを蓄積し、これを一気に放出させて触媒金属で酸化浄化し、その際の反応熱を利用して上記排気ガス浄化手段の再生を図るようにした。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、エンジンの排気通路に設けられ、第1温度以上になると再生する排気ガス浄化手段と、
上記排気ガス浄化手段よりも上流側の上記排気通路に設けられ、上記第1温度よりも低い第2温度以下の温度で排気ガス中のHCを吸着し第2温度を越えると吸着したHCを放出するHC吸着材と、このHC吸着材から放出されるHCを酸化浄化するための触媒金属とを備えたHC吸着触媒と、
上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上か否かを判定するHC量判定手段と、
上記触媒金属が不活性状態にあること、又は活性の度合が低い所定の低活性状態にあること、並びに上記HC量判定手段によってHC量が所定値以上であると判定されていることを必要条件として、上記触媒金属の活性が高くなるように上記HC吸着触媒の温度を上昇させる昇温手段とを備え
上記昇温手段が、上記HC吸着触媒の温度を上昇させることによって、上記HC吸着材に吸着されていたHCを上記触媒金属によって酸化浄化させ、その反応燃により上記排気ガス浄化手段に流入する排気ガス温度上昇させて該排気ガス浄化手段の温度を上記第1温度以上に高めることを特徴とするエンジンの排気浄化装置である。
【0009】
この発明の場合、排気ガス温度が低いときにHC吸着材によって排気ガス中のHCが吸着されていく。触媒金属が不活性状態ないしは低活性状態にあり且つHC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上であるという2つの条件が揃うと、昇温手段の作動が可能になる。この昇温手段が働くと、HC吸着触媒の温度が上昇して触媒金属の活性が高くなり、HC吸着材から多量のHCが放出されて酸化浄化されるため、そのときの反応熱で排気ガス温度が高くなる。よって、HC吸着触媒の下流側に存する排気ガス浄化手段の温度が高まり、その再生を図ることができる。
【0010】
上記昇温手段は、上記2つの条件が揃ったことを契機として働かせてもよいが、排気ガス浄化手段の再生の要否を判定する手段を設け、再生要が判定されるという条件も揃ったときに昇温手段を働かせるようにしてもよい。
【0011】
再生の要否を問わずに上記2つの条件のみで昇温手段を働かせるようにした場合は、排気ガス浄化手段の再生頻度が多くなるため、その浄化性能を比較的高い状態に維持する上で有利になる。一方、この2つの条件に上記再生要の判定を加えた場合は、昇温手段が働く回数を少なくすることができるから、エネルギー効率の面で有利になるとともに、排気ガス浄化手段の加熱回数が少なくなり、その熱劣化防止に有利になる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置において、
上記HC吸着材としてβ型ゼオライトを含むことを特徴とする。
【0013】
β型ゼオライトは、他のゼオライト、例えばMFIに比べて細孔径が大きい。従って、排気ガス中のHCの吸着性能に優れ、HCの酸化浄化時の反応熱で排気ガス浄化手段を再生する上で有利になる。ディーゼルエンジンの排気ガスは大型のHCが多く含まれることから、特にディーゼルエンジンの排気ガス浄化手段の再生に有利になる。
【0014】
請求項3に係る発明、請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置において、
上記HC量判定手段は、上記HC吸着材下流側の排気通路に配設され排気ガスのHC濃度関連値を測定するセンサを備え、このセンサの出力に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
すなわち、HC吸着材のHC量が多くなると、それだけこのHC吸着材の吸着能が低くなってくるため、該HC吸着材下流側の排気通路を流れる排気ガスのHC濃度が高くなってくる。そこで、本発明は、このHC濃度関連値(HC濃度、又はHC濃度を知ることができる排気ガス中の他の成分濃度)を測定し、それに基づいてHC吸着材のHC量が所定値以上になったか否かを判定するようにしたものである。そうして、このHC量関連値はHC吸着材のHC量を直接反映したものであるから、判定の信頼性が高いものになる。
【0016】
また、HC吸着材におけるHCの吸着が飽和した状態になると、このHC吸着材では排気ガス中のHCが殆ど吸着されないから、該HC吸着材下流側のHC濃度はそのときのエンジンから排出される排気ガスのHC濃度に略等しくなる。従って、上記「HC量が所定値以上になった」状態を「HCの吸着が飽和した」状態とするときは、HC吸着材下流側の排気ガスのHC濃度がそのときのエンジン運転状態から推測される排気ガスのHC濃度になったときに、「HC量が所定値以上になった」と判定することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置において、
上記HC量判定手段は、エンジンの運転状態の推移に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定することを特徴とする。
【0018】
すなわち、排気ガスのHC濃度はエンジンの運転状態から推測することができ、また、HC吸着材がHCを吸着している状態か、HCを放出している状態か、現時点までにどの程度の期間HCを吸着し続けているかはエンジン運転状態の推移によってわかる。そこで、本発明は、エンジンの運転状態の推移に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定するようにしたものである。従って、HC濃度関連値を測定するセンサ類は不要になる。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、
燃料をエンジンの気筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、エンジンの運転状態に応じて圧縮行程上死点付近で燃料を噴射するように上記燃料噴射弁の作動を制御する噴射制御手段とを備え、
上記昇温手段は、上記圧縮行程上死点付近での燃料噴射時期をリタードさせることによって排気ガス温度を高め、それによって上記HC吸着触媒の温度を上昇させることを特徴とする。
【0020】
すなわち、圧縮行程上死点付近での燃料噴射時期をリタードさせると、それだけ燃料の燃焼によってエンジンに供給される熱量のうち仕事に使用される熱量の割合が少なくなって放出熱量が多くなり、排気ガスの温度が上昇してHC吸着触媒の温度を上昇させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、
上記排気ガス浄化手段は、ディーゼルエンジンの排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ(以下、DPFという。)であることを特徴とする。
【0022】
すなわち、DPFのパティキュレート捕集量が多くなると、それだけエンジンの背圧が高まり、エンジンの動力性能が低下する。従って、DPFにパティキュレートがある程度溜まったら、DPFの温度を高めてパティキュレートを燃焼除去し、当該DPFの再生を図る必要がある。
【0023】
これに対して、上述の如く、HC吸着材のHC量が所定値以上になったときに昇温手段を働かせて触媒金属の活性を高めるとともに、HC吸着材からのHCの放出を促すと、放出された多量のHCが酸化されることによって、その反応熱で排気ガス温度が上昇し、それに伴ってDPFの温度が高まり、該DPFを再生することができる。この場合、DPFの再生温度が第1温度になる。
【0024】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、
上記触媒金属が不活性状態にあること又は活性の度合が低い所定の低活性状態にあること、並びに上記HC吸着材に吸着されているHC量が上記所定値未満であることを必要条件として、上記HC吸着材にHCを供給するHC供給手段を備えていることを特徴とする。
【0025】
従って、HC供給手段により、HC吸着材のHC量を必要なときに所定値以上にまで高めて、多量のHCを放出させて排気ガス浄化手段の確実な再生を図る上で有利になる。
【0026】
なお、HC供給手段は、排気ガス浄化手段の再生を図る直前に働かせることもできるが、その再生に備えて予めHC供給手段を働かせるようにしてもよい。
【0027】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のエンジンの排気浄化装置において、
燃料をエンジンの気筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、エンジンの運転状態に応じて圧縮行程上死点付近で燃料を噴射するように上記燃料噴射弁の作動を制御する噴射制御手段とを備え、
上記HC供給手段は、上記噴射制御手段に、上記圧縮行程上死点付近での燃料噴射後、膨張行程又は排気行程においてさらに燃料を噴射するように上記燃料噴射弁の作動を制御させることにより、上記HC吸着材に未燃燃料を供給するものであることを特徴とする。
【0028】
このように、膨張行程又は排気行程において気筒内に燃料を噴射すると、その一部は燃焼することなくエンジンから排出され、排気ガスのHC濃度が高まってHC吸着材に多量のHCを供給することができる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、排気ガス浄化手段よりも上流側の排気通路に、HC吸着材と触媒金属とを備えたHC吸着触媒を配置し、触媒金属が不活性状態ないしは低活性状態にあること、並びに上記HC吸着材のHC量が所定値以上であることを必要条件として、昇温手段を作動させて上記HC吸着触媒の温度を上昇させ、HC吸着材に吸着されていたHCを酸化浄化させ、その反応燃により上記排気ガス浄化手段に流入する排気ガス温度上昇させて該排気ガス浄化手段の温度を上記第1温度以上に高めるようにしたから、HC吸着材に吸着されたHCを排気ガス浄化手段の再生に有効に利用することができる。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置において、上記HC吸着材としてβ型ゼオライトを含むから、排気ガス中のHCを効率良く吸着することができ、多量のHCを一気に酸化させて排気ガス浄化手段の再生を図る上で有利になり、特にディーゼルエンジンの排気ガス浄化手段の再生に有利になる。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置において、上記HC吸着材下流側の排気通路に排気ガスのHC濃度関連値を測定するセンサを配設し、このセンサの出力に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定するようにしたから、判定の信頼性が高いものになり、排気ガス浄化手段の再生に有利になる。
【0032】
請求項4に係る発明によれば、請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置において、エンジンの運転状態の推移に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定するようにしたから、センサを用いることなく当該判定を行なうことができ、コスト低減に有利になる。
【0033】
請求項5に係る発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、圧縮行程上死点付近での燃料噴射時期をリタードさせることによって排気ガス温度を高め、それによって上記HC吸着触媒の温度を上昇させるようにしたから、HC吸着触媒の昇温が容易に且つ迅速になるとともに、電気ヒータ等の加熱手段を補助的に利用する場合でも、その小型化、作動時間の短縮が図れ、効率的になる。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、上記排気ガス浄化手段としてDPFを採用したから、エンジンの背圧の上昇及びそれに伴うエンジン動力性能の低下を防止することができる。
【0035】
請求項7に係る発明によれば、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、上記触媒金属が不活性状態ないしは低活性状態にあること、並びに上記HC吸着材に吸着されているHC量が上記所定値未満であることを必要条件として、上記HC吸着材にHCを供給するHC供給手段を備えているから、HC吸着材のHC量を必要なときに所定値以上にまで高めて、多量のHCを放出させて排気ガス浄化手段の迅速確実な再生を図る上で有利になる。
【0036】
請求項8に係る発明によれば、請求項7に記載のエンジンの排気浄化装置において、圧縮行程上死点付近での燃料噴射後の膨張行程又は排気行程において燃料を噴射することにより、HCの供給を行なうようにしたから、HC供給量及び供給時間の制御が容易であり、必要量だけHCを供給する上で有利になる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
図1に記載されている多気筒ディーゼルエンジンの排気浄化装置において、1はエンジン本体、2は気筒、3はピストン、4は燃焼室、5は気筒内の燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁、6は吸気通路、7は排気通路である。排気通路7にはHC吸着触媒8と排気ガス浄化手段としてのDPF9とが前者を上流側に後者を下流側にして直列的に配置されている。
【0039】
HC吸着触媒8は、HC吸着材としてのβ型ゼオライトにHC酸化浄化用の触媒金属としてPtを担持させてなる触媒粉を多孔質コージェライト製ハニカム担体にバインダによって担持させたものである。DPF9は、ハニカムのチャンネルの入口と出口を交互に目封じしたウォールフロー型の多孔質コージェライト製フィルタである。もちろん、モノリスハニカム型SiCフィルタなど他のフィルタを用いることもできる。DPF9にはパティキュレートが自然着火温度(580℃程度)よりも低い温度(例えば400〜500℃)で着火するように触媒を担持させることが好ましい。
【0040】
上記HC吸着材は、DPF9のパティキュレートの着火温度(再生開始温度である第1温度)よりも低い第2温度(本実施形態の場合は約200℃)よりも低い温度では排気ガス中のHCを吸着し、この第2温度を越えると、HCの放出が盛んになってHC吸着速度よりもHC放出速度の方が大きくなるものである。また、触媒金属(Pt)は、その温度を上昇させていったときに、その触媒の最高HC浄化率の半分程度の浄化率を示すようになる温度(以下、これを活性温度という)が上記第2温度よりも少し低いものである。
【0041】
本発明の特徴とするところは、HC吸着材にHCを吸着して蓄積し、このHCを酸化浄化するときの反応熱を利用してDPF9のような排気ガス浄化手段の加熱再生を行なうようにした点にある。そうして、この実施形態では、HC吸着材にHCを積極的に蓄積していくためのHC供給手段11と、HC吸着材に吸着されたHCの放出と触媒金属の活性を高めるための昇温手段12とが設けられている。
【0042】
また、HC供給手段11及び昇温手段12の作動のために、DPF9の目詰まり状態を判定する手段13、HC吸着材に吸着されたHC量を判定する手段14、触媒金属の活性を判定する手段15、並びにDPF9の温度上昇率を算出するDPF昇温率算出手段16が設けられている。さらに、HC吸着触媒8とDPF9との間の排気通路7には、排気ガスの温度を検出する排気ガス温度センサ17と、排気ガスのHC濃度を検出するHC濃度センサ18とが設けられ、DPF9の下流側の排気通路7には排気圧力を検出する排圧センサ19が設けられ、DPF9にはその温度を検出する温度センサ20が設けられている。
【0043】
HC供給手段11は、上記燃料噴射弁5による主噴射(圧縮行程上死点付近で行なう要求出力確保のための主たる燃料噴射)後に燃料を噴射する後噴射によりHC吸着材にHCを供給するものである。そのために、HC供給手段11は、燃料噴射弁5の作動を制御する噴射制御手段21の後噴射量を補正するようになっている。昇温手段12は、上記主噴射の時期をリタードさせることによって排気ガス温度を高めてHC吸着触媒8の温度を上昇させるものであり、噴射制御手段21の主噴射時期を補正するようになっている。
【0044】
噴射制御手段21は、エンジン運転状態に応じて、すなわち、エンジン回転数とエンジン負荷(アクセル開度)とエンジンの吸入空気量とに基づいて、主噴射量、主噴射時期、後噴射量及び後噴射時期を設定し、燃料噴射弁5を作動させて主噴射を実行し、必要に応じて後噴射を実行する。
【0045】
目詰まり状態判定手段13は、温度センサ17で検出される排気ガス温度、排圧センサ19で検出される排気圧力、エンジン回転数、並びにエンジン負荷に基づき、DPF9が所定程度以上に目詰まりを生じている(第1の程度のパティキュレート堆積量になっている)か否か、並びにDPF9の目詰まりが解消されている(パティキュレート堆積量が上記第1の程度よりも低い第2の程度よりも少なくなっている)か否かを判定する。
【0046】
なお、本実施形態では排圧センサ19をDPF9の下流側のみに設けているが、上流側と下流側の双方に設け、その差圧に基づいて上記判定を行なうようにしてもよい。
【0047】
また、DPF9が加熱再生されることなくエンジンが運転された時間が所定時間に達したか否かでパティキュレート堆積量が第1の程度以上になったか否か、つまりは排気ガス浄化手段(DPF)の再生が必要か否かの判定を行なうようにしてもよい。
【0048】
HC量判定手段14は、HC濃度センサ18の出力に基づいて、HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上か否か、すなわち、本実施形態の場合はHC吸着材におけるHCの吸着が飽和したか否かを判定する。この場合、HC濃度センサ18によって検出されるHC吸着触媒下流側の排気ガスのHC濃度がエンジン運転状態から推定される排気ガスのHC濃度に略等しくなったとき、HCの吸着が飽和したと判定することができる。
【0049】
HC量判定手段14としては、エンジンの運転状態の推移に基づいてHC量を判定するものであってもよい。すなわち、エンジンの回転数と負荷とを監視し、HC吸着材に吸着されるHC量を積算して推定するものである。この場合、HCの放出が行なわれた場合は、その放出後に吸着されるHC量を積算していくことになる。これにより、HC吸着材のHC量が所定値以上になったか否かを判定することができる。また、HC量が所定値に達する途中のHC量を推定することができる。
【0050】
触媒活性判定手段15は、排気ガス温度センサ17の出力に基づき、HC吸着触媒下流側の排気ガスの温度がHC吸着触媒8の活性温度に達したときに触媒は活性状態にあると判定する。DPF昇温率算出手段20は、DPF温度センサ20の出力に基づいて、DPF9の昇温率(単位時間当たりの温度上昇量)を算出する。
【0051】
HC供給手段11は、目詰まり状態判定手段13によって第1の程度の目詰まりが判定されていること、DPF温度センサ20によって検出されるDPF9の温度が着火温度Aになっていないこと、触媒活性判定手段15によってHC吸着触媒8が不活性ないしは低活性状態(上記活性温度に達していない)にあると判定されていること、HC量判定手段14によってHC吸着材のHC量が所定値以下であると判定されていることを条件として、HCの供給を実行する。
【0052】
具体的には、HC供給手段11は、噴射制御手段21の後噴射量を所定量だけ増量補正する、若しくはエンジン運転状態に対応する後噴射量が零のときは噴射制御手段21に所定量の後噴射を実行させることによって、HCをHC吸着材に供給する。上述の如くエンジン運転状態の推移に基づいてHC量を推定するようにした場合は、現時点のHC量に基づいて上記所定値に達するに不足するHC量を求め、その不足分を補うことができるように後噴射の補正量を設定する方式を採用してもよい。
【0053】
昇温手段12は、目詰まり状態判定手段13によって第1の程度の目詰まりが判定されていること、DPF温度センサ20によって検出されるDPF9の温度が着火温度Aになっていないこと、触媒活性判定手段15によってHC吸着触媒8が不活性ないしは低活性状態(上記活性温度に達していない)にあると判定されていること、HC量判定手段14によってHC吸着材のHC量が所定値に達したことが判定されたことを条件として、噴射制御手段21の主噴射時期のリタード補正を開始する。
【0054】
但し、HC吸着触媒8が活性状態になった場合でも、また、DPF9の温度が着火温度に達した場合でも、目詰まり状態判定手段13によって第2の程度の目詰まりが生じている判定されるときは、昇温手段12は上記リタード補正を継続する。リタード量は一定でもよいが、リタード補正の開始時は予め設定したリタード量とし、その後は排気ガス温度センサ17によって検出される排気ガス温度に基づいて触媒金属を活性状態にするに必要な昇温量を求め、該昇温量に応じてリタード量を決定するようにしてもよい。また、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて触媒金属が活性状態に昇温するまでの時間を求め、リタード量を補正するようにしてもよい。
【0055】
主噴射時期をリタードするときは、該リタードによるエンジン出力トルクの落ち込みを避けるために、主噴射量の増量補正を行なう。
【0056】
また、昇温手段12は、目詰まり状態判定手段13によってパティキュレート堆積量が第2の程度よりも少なくなったことが判定されたときにリタード補正を終了し、また、DPF昇温率算出手段20によってDPF9の昇温率が所定値以下であることが判定されたときにもリタード補正を終了する。
【0057】
以上において、上記目詰まり状態判定手段13は、排気ガス浄化手段(DPF9)の再生が必要か否かを判定する第1の判定手段を構成し、触媒金属が不活性状態ないしは低活性状態にあるときに当該再生が可能になるから、上記触媒活性判定手段15は、排気ガス浄化手段の再生が可能か否かを判定する第2の判定手段を構成し、上記HC供給手段11は、第1の判定手段で再生が必要と判定され且つ第2の判定手段で再生可能と判定されたときに、HC吸着材にHCを供給するものである、ということができる。
【0058】
以上の各手段11〜16,21はマイクロコンピュータを利用して構成されている。
【0059】
次に以上のような排気浄化装置によるDPF9の再生制御について図2に示すフローに従って説明する。
【0060】
スタート後のステップS1では、クランク角信号、吸入空気量、エンジン回転数、エンジン負荷、排気ガス温度など制御に必要なデータを入力する。続くステップS2及びS3では、噴射制御手段21により、エンジン運転状態に応じて主噴射量、主噴射時期、後噴射量及び後噴射時期を設定する。
【0061】
すなわち、アクセル負荷とエンジン回転数とに基づいて予め作成したマップにより目標トルクを設定する。アクセル開度が大きくなるほど、また、エンジン回転数が高くなるほど目標トルクが高くなるように設定する。この目標トルクとエンジン回転数と吸入空気量とに基づいて、予め作成したマップにより主噴射量を設定する。主噴射時期は、予め作成したマップによりエンジン運転状態に応じて設定する。例えば、エンジン水温やエンジン回転数が異なれば燃料噴霧の着火遅れ時間が異なるので、そのことを考慮して主噴射時期を設定する。また、燃焼室で生成した煤の低減等を目的として必要に応じて後噴射量及び後噴射時期を設定する。
【0062】
続くステップS4では、排圧センサ19等の出力に基づいてDPF9に目詰まりを生じているか(パティキュレート堆積量が第1の程度以上で再生が必要か)否かを判定する。目詰まりを生じているときはステップS5に進み、DPF温度センサ20の出力に基づいてDPF9の温度がパティキュレートの着火温度以下であるか否かを判定する。着火温度以下であるときはステップS6に進み、排気ガス温度センサ17の出力に基づいてHC吸着触媒8の触媒金属が活性状態になっているか否かを判定する。
【0063】
上記触媒金属が不活性状態であるときはステップS7に進み、HC吸着材に吸着されているHC量を推定し、続くステップS8においてHC濃度センサ18等の出力に基づいて当該HC量が所定値B未満であるか否かを判定する。HC量が所定値B未満であるときはステップS9に進んで後噴射量の増量補正を行ない、続くステップS10において、先に設定された主噴射量及び主噴射時期、並びに補正された後噴射量及び後噴射時期での燃料噴射を実行する。
【0064】
これにより、排気ガス中のHC量が多くなり、HC吸着材へのHC量の蓄積が促進される。その結果、上記ステップS9においてHC量が所定値B以上になったことが判定されると、後噴射量の増量補正はされずにステップS11に進み、主噴射時期のリタード及び主噴射量の増量補正が行なわれてステップS10の燃料噴射が実行される。このリタードにより、排気ガスの温度が高くなり、HC吸着触媒8の温度上昇が促進され、触媒金属が活性状態になるとともに、HC吸着材からのHC放出量が多くなり、この放出HCの酸化浄化が始まる。そうして、このHCの酸化浄化の際の反応熱によってHC吸着触媒8の下流側の排気ガス温度が上昇し、DPF9の温度が上昇していく。
【0065】
ステップS6において触媒金属が活性状態になったことが判定されたときは、ステップS12に進んでDPF温度センサ20の出力に基づいてDPF9の温度上昇率を算出する。そうして、続くステップS13においてその昇温率が所定値C以上であるか否かを判定する。この所定値Cは、DPF9がパティキュレートの着火温度に達するまで温度上昇するような昇温率である。この昇温率が所定値C未満であれば、主噴射時期のリタードはされずにステップS10に進み、ステップS2及びS3で設定された噴射量及び噴射時期での燃料噴射が実行される(通常の燃料噴射制御)。
【0066】
すなわち、HC吸着材のHC量が所定値Bに達しないときでも、エンジンの一時的な加速運転が行なわれて排気ガス温度が上昇し、触媒金属が活性状態になることがある。その場合は、HC量が少ないから、DPF9は着火温度Aになるまで上昇しないことが多いが、着火温度にまで昇温しないことが予測されるときは主噴射時期の無駄なリタードを避けるものである。従って、リタードによるエンジン出力トルクの落ち込みや、該落ち込み防止のための主噴射量の増量補正による燃費の悪化が避けられる。
【0067】
ステップS13においてDPF9の昇温率が所定値C以上であると判定されたとき(DPF9の温度が着火温度Aまで上昇すると予測されたとき)はステップS14に進み、排圧センサ19の出力に基づいて排圧が低下したか、つまり、DPF9のパティキュレート堆積量が第2の程度よりも少なくなって再生が終了したか否かを判定する。再生が終了していないときはステップS11に進んで主噴射時期のリタード及び主噴射量の増量補正を行なう。再生が終了しているときは、主噴射時期のリタードはされずにステップS10に進み、ステップS2及びS3で設定された噴射量及び噴射時期での燃料噴射が実行される(通常の燃料噴射制御)。
【0068】
また、ステップS4においてDPF9が目詰まり状態でない(パティキュレート堆積量が第1の程度よりも少ない)と判定されたときは、ステップS15に進んでDPF9の温度が着火温度Aよりも高くなっているか否かを判定する。その温度が着火温度A以下であるときは、DPF9の再生中でないため、ステップS10に進む(通常の燃料噴射制御)。ステップS5又はステップS15においてDPF9の温度が着火温度Aよりも高いと判定されたときはDPF9の再生中であり、そのときはステップS14に進み、排圧が低下していない、つまり再生が終了していなければ、ステップS11に進んで主噴射時期のリタード及び主噴射両の増量補正を続行する。
【0069】
図3はHC吸着材としてβ型ゼオライトを用い、図4はHC吸着材としてMFIを用い、それぞれエンジンを同じテストモードで運転したときのDPF9の入口及び出口の排気ガス温度の経時変化を調べた結果である。
【0070】
触媒金属としてはいずれもPtを用いた。テストモードはヨーロッパにおいて自動車のエミッション検査に用いられている「ECE15+EUDC」を採用した。ECE15は、200秒の間に車速を段階的に高めて間欠的に3回走行する低速モードであり、最高速度は50km/hである。EUDCは400秒の間に車速を120km/hまで高める高速モードである。低速モードを4回繰り返した後、高速モード(1回)に移行した。
【0071】
図3及び図4によれば、HC吸着材としてβ型ゼオライトを用いた場合及びMFIを用いた場合のいずれも、低速モードの間はDPF9の入口温度は、テスト開始直後を除いて大体200℃以下、従って、HC吸着触媒8の温度も200℃以下であり、この間にHC吸着材にHCが吸着されていることがわかる。
【0072】
高速モードに移行すると、β型ゼオライトの場合は、DPF9の入口温度が450℃を越える温度まで上昇している。これは、高速走行への移行に伴い排気ガス温度が上昇して触媒金属が活性状態になるとともに、β型ゼオライトからHCが大量に放出され、この放出されたHCが酸化するときに大量の反応熱が発生したためである。
【0073】
従って、上述の再生制御のように、HC吸着材にHCを蓄積し、昇温手段12によってHC吸着触媒8の温度を高めて当該HCを放出させ、これを酸化させるようにすれば、この再生制御単独でも、DPF9の温度を着火温度Aまで上昇させて該DPF9を再生できるようになることがわかる。
【0074】
また、本発明は、当該再生制御と、電気ヒータ、その他の加熱手段による加熱とを併用して再生することを排除するものではないが、そのような併用を行なう場合の加熱手段の小型化、作動時間の短縮が図れ、エネルギー及びコストの面で有利になる。
【0075】
一方、MFIの場合も、β型ゼオライトほどではないが、高速モードに移行したときにDPF9の入口温度が350℃近くまで上昇している。従って、HC吸着材としてMFIを用いた場合、上記再生制御単独でのDPF9の再生は難しいが、上記併用を行なえばよく、その場合、少ないエネルギーでDPF9の再生が図れることがわかる。もちろん、HC吸着材としては、β型ゼオライトやMFI以外のHC吸着材、例えばY型ゼオライトなどを採用することもできる。また、触媒金属としても、Pt以外に、Pd等の酸化触媒として有効な貴金属ないしは遷移金属を採用することができる。
【0076】
また、上記再生制御は、DPF9の目詰まりを判定して該DPF9の加熱再生を行なうものであるから、DPF9が頻繁に加熱されることがなく、つまり、DPF9の加熱回数が必要最小限に抑えられ、該DPF9の熱損傷防止、燃費の上昇防止に有利になる。
【0077】
但し、DPF9の目詰まりを判定することなく、触媒金属が不活性状態ないしは低活性状態であること、HC吸着材のHC量が所定値以上であることを条件として、DPF9の加熱再生を行なうようにしてもよい。
【0078】
また、上記制御フローにおいては、主噴射時期のリタードによるDPF9の加熱再生が開始された後、DPF9の目詰まりが解消される(パティキュレート堆積量が第2の程度以下になる)までは、主噴射時期のリタードを続行することによってDPF9の加熱を促進するようにしたが(ステップS14→S15)、後噴射量の増量補正によってDPF9の加熱を促進するようにしてもよい。すなわち、後噴射によって触媒金属にHCが供給されるため、DPF9の加熱が維持されることになり、また、後噴射時期を膨張行程の比較的早い時期に設定することによって後噴射燃料の一部を筒内で燃焼させて排気ガス温度を高めることができ、DPF9の加熱に有利になる。
【0079】
また、HC量判定手段としては、エンジンが触媒金属不活性の状態で運転された時間に基づいて、該時間が所定時間以上になったときにHC量が所定値以上になったと判定するものであってもよい。
【0080】
また、エンジン排気通路の最上流位置に(例えば排気マニホールドの集合部に直結して)NOx還元機能を有する触媒を配置し、その下流側に(例えばアンダーフロア位置に)上記HC吸着触媒8を配置するようにしてもよい。その場合、上流側触媒としては、β型ゼオライト、MFI、Y型ゼオライト等のゼオライトをサポート材として、これにPt等の貴金属を担持させたものを採用すればよい。
【0081】
上流側触媒のサポート材としてMFIを採用し、上記HC吸着触媒のHC吸着材としてβ型ゼオライトを採用すると、上流側触媒のMFIもHC吸着材として働くが、β型ゼオライトよりも細孔径が小さいから、上流側触媒のMFIでは低分子量のHCが吸着され、HC吸着触媒8のβ型ゼオライトでは上流側触媒で吸着できなかった主として高分子量のHCが吸着されることになる。そうして、上流側触媒ではMFIに吸着されたHCをPt等の貴金属が酸化する際に同時に排気ガス中のNOxを還元する酸化還元反応を生ずることになる。
【0082】
もちろん、下流側のHC吸着触媒8でもそのβ型ゼオライトが吸着するHCを還元剤とする酸化還元反応により、NOxが還元浄化される。
【0083】
DPF9の再生は、上述の実施形態と同様に下流側のHC吸着触媒8の活性状態及び吸着HC量に基づいて行なうことができる。
【0084】
なお、上流側触媒をHC吸着触媒8と温度条件が略同等の位置に配置し、この上流側触媒及びHC吸着触媒8のいずれか一方若しくは両方の活性状態及び吸着HC量に基づいて昇温手段を働かせるようにすれば、この両触媒での反応熱を利用して排気ガス温度を高め、DPFの再生をより効率的に行なうことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエンジンの排気浄化装置の構成を示す図。
【図2】 同排気浄化装置のDPF再生制御のフロー図。
【図3】 HC吸着材としてβ型ゼオライトを用いて低速モードから高速モードに移行するテストモードで自動車を走行させた時のDPFの入口温度と出口温度の経時変化を示すグラフ図。
【図4】 HC吸着材としてMFIを用いて低速モードから高速モードに移行するテストモードで自動車を走行させた時のDPFの入口温度と出口温度の経時変化を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 気筒
3 ピストン
4 燃焼室
5 燃料噴射弁
6 吸気通路
7 排気通路
8 HC吸着触媒
9 DPF(排気ガス浄化手段)

Claims (8)

  1. エンジンの排気通路に設けられ、第1温度以上になると再生する排気ガス浄化手段と、
    上記排気ガス浄化手段よりも上流側の上記排気通路に設けられ、上記第1温度よりも低い第2温度以下の温度で排気ガス中のHCを吸着し第2温度を越えると吸着したHCを放出するHC吸着材と、このHC吸着材から放出されるHCを酸化浄化するための触媒金属とを備えたHC吸着触媒と、
    上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上か否かを判定するHC量判定手段と、
    上記触媒金属が不活性状態にあること、又は活性の度合が低い所定の低活性状態にあること、並びに上記HC量判定手段によってHC量が所定値以上であると判定されていることを必要条件として、上記触媒金属の活性が高くなるように上記HC吸着触媒の温度を上昇させる昇温手段とを備え
    上記昇温手段が、上記HC吸着触媒の温度を上昇させることによって、上記HC吸着材に吸着されていたHCを上記触媒金属によって酸化浄化させ、その反応燃により上記排気ガス浄化手段に流入する排気ガス温度上昇させて該排気ガス浄化手段の温度を上記第1温度以上に高めることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    上記HC吸着材としてβ型ゼオライトを含むことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    上記HC量判定手段は、上記HC吸着材下流側の排気通路に配設され排気ガスのHC濃度関連値を測定するセンサを備え、このセンサの出力に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定することを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    上記HC量判定手段は、エンジンの運転状態の推移に基づいて上記HC吸着材に吸着されたHC量が所定値以上になったか否かを判定することを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    燃料をエンジンの気筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、エンジンの運転状態に応じて圧縮行程上死点付近で燃料を噴射するように上記燃料噴射弁の作動を制御する噴射制御手段とを備え、
    上記昇温手段は、上記圧縮行程上死点付近での燃料噴射時期をリタードさせることによって排気ガス温度を高め、それによって上記HC吸着触媒の温度を上昇させることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    上記排気ガス浄化手段は、ディーゼルエンジンの排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタであることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    上記触媒金属が不活性状態にあること又は活性の度合が低い所定の低活性状態にあること、並びに上記HC吸着材に吸着されているHC量が上記所定値未満であることを必要条件として、上記HC吸着材にHCを供給するHC供給手段を備えていることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  8. 請求項7に記載のエンジンの排気浄化装置において、
    燃料をエンジンの気筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、エンジンの運転状態に応じて圧縮行程上死点付近で燃料を噴射するように上記燃料噴射弁の作動を制御する噴射制御手段とを備え、
    上記HC供給手段は、上記噴射制御手段に、上記圧縮行程上死点付近での燃料噴射後、膨張行程又は排気行程においてさらに燃料を噴射するように上記燃料噴射弁の作動を制御させることにより、上記HC吸着材に未燃燃料を供給するものであることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
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