JP4045488B2 - 表面テクスチュアを有する防汚染性防水パン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室用の防水パン及びその製造法、更に詳しくは、表面テクスチュア(表面凹凸模様)を有する防水パンで、使用後はその表面が乾きやすく(速乾燥性)、かつ防汚染性(易清掃性)の高い浴室防水パン及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂を主体とする浴室ユニット用の防水パンは、意匠性を重視して、その表面は300mm角程度の大きさの目地割りによる田の字状又は格子状のパターンが施され、そのパターンを形成する溝は目地と呼ばれて、通常、幅は3〜10mm程度、深さは0.3〜1.0mm程度に成形されている。また、上記溝で囲まれる最小区画(一箇のタイルに相当する部分)の表面は、自然感を持たせるために、天然石や見本板を真似て岩肌調に加工され、あるいはシボ加工されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような防水パンは、表面の意匠性が重視され過ぎていて、排水性(速乾燥性)や防汚染性(易清掃性)等については必ずしも顧客を十分に満足させるものではない。浴室ユニット用防水パンの素材の多くは、比較的撥水性の高いFRP(繊維強化プラスチック)等のプラスチック類であり、入浴後の防水パン上の湯水は防水パン上で大きめ(又は、厚め)の水滴となって残水しやすく、蒸発・乾燥しにくい。また、この残水性の問題に絡んで、脂汚れや金属石鹸等の汚れが防水パン表面に付きやすく落ちにくい(汚染性・清掃性)問題もある。
本発明は、入浴後の防水パン表面の湯水をスムーズに排水して短時間のうちに「乾燥状態」に達するばかりではなく、同時に防汚染性(易清掃性)も高い防水パンを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した速乾燥性(排水性)及び防汚染性(易清掃性)の二つの課題を同時に達成する防水パンを種々検討した。その結果、速乾燥性(排水性)を満足させるには防水パン表面の溝で囲まれた小区画の大きさが最も重要であること、更に、小区画を取り囲む溝の溝幅及び溝深さも重要な要素の一つであること、また、防汚染性(易清掃性)を満足させるには、防水パンの表面が親水性であること(すなわち、防水パン表面に親水性膜を形成させること)が重要であること、そして、これらを組み合わせると上記二つの課題は同時に解決されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の防水パンは、基体(防水パン基体)が樹脂又は樹脂を含む複合材料で構成され、略方形の洗い場の表面には溝3aとその溝で囲まれる小区画(最小区画)3bとから成る表面テクスチュア(表面凹凸模様)を有するとともに排水勾配のある防水パンであって、溝3aが洗い場の長辺又は短辺とは斜交する方向に設けられ、溝3aで囲まれる小区画3bの形状が略菱形状とされ、小区画3bの面積は0.1cm2以上8.0cm2以下であり、溝は、幅が0.3mm以上1.5mm以下、深さが0.3mm以上1.6mm以下であり、前記基体の表面には、親水性膜形成材料からつくられた親水性膜が形成されていることを特徴とする防水パン1である。ここで、小区画3bの表面は平坦又は略平坦であっても、微小の凹凸があってもよい。また、その小区画3bの面積は好ましくは0.2cm2以上5.0cm2以下であり、更に好ましくは0.2cm2以上3.0cm2以下であり、特に好ましくは0.5cm2以上2.0cm2以下である。また、小区画(最小区画)3bは、各々、同じ大きさであっても異なってもよい。異なっている場合は、上記小区画3bの面積は平均値で定義される値である。この小区画3bの面積が0.1cm2未満では、意匠性が乏しくなり、成形加工も難かしくなる。8.0cm2を越えると、溝に入り込めなかった水滴の大きさが広がり、乾燥に時間がかかる。
【0006】
上記防水パンにおいて、親水性膜は好ましくはシリカを含む膜である。
また、上記防水パンにおいて、表面の親水性は、「水との接触角」で50°以下が好ましく、より好ましくは40°以下であり、更に好ましくは30°以下である。この「水との接触角」は小さいほど親水性が高く好ましい。
【0007】
なお、ここで防水パン表面側の排水勾配は、防水パン上に残った排水を重力の働きで排水口に向けて流れ落とすための傾斜である。通常は、排水口2に向けて下り勾配を付ければよい。洗い場周りに流し溝やグレーチングを載せた排水溝があるような浴室では、その流し溝や排水溝へ向かう下り勾配でもよい。
【0008】
防水パンの素材は、樹脂、あるいはFRPやSMC(シートモールディングコンパウンド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等の樹脂を含む複合材料が用いられる。成形が容易で、量産に向くからである。
【0009】
本発明は、上記防水パンの製造法も開示する。そのうちの一の製造法(第1の製造法)は、溝とその溝で囲まれる面積が0.1cm2以上8.0cm2以下の小区画とから成る表面テクスチュアを有し、樹脂又は樹脂を含む複合材料で構成された防水パン基体の(洗い場)表面上に、(加熱によりシリカへ転化可能な)シリカ前駆体の層を形成させたのち、加熱して膜形成反応させることを特徴とする製造法である。
【0010】
他の製造法(第2の製造法)は、溝とその溝で囲まれる面積が0.1cm2以上8.0cm2以下の小区画とから成る表面テクスチュアを有し、樹脂又は樹脂を含む複合材料で構成された防水パン基体の(洗い場)表面上に、コロイド状シリカと、(紫外線によって重合・硬化しうる)アクリレート系多官能性化合物と、光重合開始剤との混合物(紫外線硬化性組成物)の層を形成させたのち、これにフラッシュ式放電機構の紫外線発光装置で紫外線を閃光的に照射して前記混合物を硬化させることを特徴とする製造法である。
【0011】
【作用】
本発明に係る防水パンの排水性(速乾燥性)は次のように考えられる。防水パン1の上に掛かった湯水は、大部分は短時間のうちに、排水勾配に従がって排水口2へ落ちる。排水口2へ落ちなかった湯水は、小区画3bから溝部3aへと流れ込み、次いで、河川を下るように排水勾配がある溝部3aを下って排水口2へ落ちる。このとき、防水パン1の上では湯水が一旦残るが、その湯水は広がりのある水滴となって5分〜30分程度の短時間のうちに(表面テクスチュアによって残湯水の表面張力が破壊されるように)多くは小さく砕かれて溝部3aへ引き込まれ、排水口2へ落ちていく。この5分〜30分程度の時間のうちに排水口2へ落ちなかった湯水は、小区画3b程度又はそれ以下の比較的小さな(厚みの薄い)水滴となり、小区画3bの上に残る。残った水は、その後は、適当な雰囲気下に蒸発モードで蒸発する。
表面テクスチュアを構成する小区画の大きさ(面積)は0.1cm2以上8.0cm2以下である(すなわち、小さめ)ので、溝が捉えられなかった水が小区画上に残っても、これは小区画の面積よりも小さなサイズの小水滴となる。また、防水パンの基体表面には、親水性膜が密着して形成されており、水との接触角は親水性膜の無い樹脂表面に比べて小さく、親水性が高い。親水性が高いと、防水パン上に残った液滴は広がりやすく、小区画上の水は溝部へ流れ込みやすく、溝部の水は広がって排水口2へ落ちやすい。したがって、蒸発・乾燥時間を短かくすることができ、一晩経てば、靴下のままで洗い場に入っても濡れない感じの「乾燥状態」となる。
【0012】
本発明に係る防水パンの防汚染性(易清掃性)は次のように考えられる。本発明の防水パン基体の表面には、親水性膜が密着して形成されており、水との接触角は親水性膜の無い樹脂表面に比べて小さく、当然に親水性が高い。すなわち、本発明の防水パン表面には脂汚れや石鹸カス(金属石鹸)等は付着しにくく、付着したとしても水で容易に洗い流し、除去できる。すなわち、防汚染性(易清掃性)が高い。
【0013】
また、防水パンの基体表面に膜状に塗布されたシリカ前駆体のポリシラザンは、促進剤及び/又は触媒の存在下に酸化(空気でもよい)雰囲気中で加熱されると、架橋反応が進行するとともにネットワーク中の窒素原子に代わって酸素原子が取り込まれ、重量増加を伴いながらシリカに転化していく(シリカ転化反応)。このシリカ転化反応の際の収縮は、ゾルゲル法等のシリカ転化に比べて少なく、クラック等を発生しにくい。比較的厚い膜を形成させやすい所以である。また、ヘアカラー、ヘアーマニキュアのような色素系の汚れも浸透しにくく、防汚染性にも寄与する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明を更に具体的に説明する。
図1は本発明に係る防水パン基体(親水性膜を形成させる前の防水パン)1の平面図であり、図3はその防水パン基体1の排水勾配(表面勾配)を説明する図である。図示するように、防水パン基体1には洗い場端部(浴室カウンターが配置される箇所の近辺)に排水口2が設けられ、その表面には、目地に相当する溝3aが洗い場の長辺及び短辺に非並行/非直角に、すなわち、斜め方向の縦横に走っており、これらの溝3aと多数の小区画3b(小区画の形状は、図1では菱形で、その菱形の上面は平坦もしくは略平坦)とによって表面テクスチュア(表面凹凸模様)を形成しているほか、防水パン床面には排水勾配がある。また、洗場の長辺および短辺に平行/直角に400mm角程度の目地が設けられていて、表面全体に意匠的なアクセントをつけている。ただし、この400mm角程度の目地は設けなくともよい。
なお、図1では、洗い場防水パン(基体)表面のほぼ全面に、溝とその溝で囲まれる小区画とから成る表面テクスチュアを形成させているが、このような表面テクスチュアは、防水パン表面のほぼ全面ではなく、部分的に(例えば、人が乗ることの少ない防水パンの壁側端部を避けて)形成させてもよい。
また、図示しなかったが、排水口2の上に蓋を載せ、その蓋の表面側に防水パン表面と同じような凹凸模様(表面テクスチュア)及び親水性膜を付すことができる。
【0015】
湯水が入り込み易く、水路が途絶えにくいためには、溝幅は好ましくは0.3mm以上3.0mm以下、溝深さは好ましくは0.3mm以上1.6mm以下とする。なお、溝深さは、0.3mm未満では湯水を捉えにくく、1.6mmを越えると、溝部にたまった汚れの除去が難しい傾向となる。溝の縦断面形状は略U字型でも略V字型でもよい。
【0016】
また、防水パン表面に形成される溝は、どの部分においても下り勾配を有して排水口(洗い場周りに流し溝やグレーチングを載せた排水溝があるような浴室では、その流し溝や排水溝)へと繋がっていなければならない。また、防水パン表面に形成される溝は、全体として一つに繋がれた流路であっても、一つに繋がれた流路(独立した流路)が複数個形成されていてもよい。
また、防水パン表面に形成される溝のその点における溝方向は、排水勾配(最大勾配)の方向に対して、直交する方向の溝がないように設計する。このようにすることにより、溝のどの部分にも下り勾配をつけることができるので、細い溝から排水口へ向けての湯水のスムーズな流れを妨げることがない。ただし、本発明における防水パンの乾燥性の効果を著しく妨げない程度に、排水勾配の方向に対して直交する溝があってもよい。
洗い場(防水パン)の形状が略方形であって、排水口が洗い場周囲の短辺側に設けた浴室カウンター前(中央部)又は浴槽側に隣接する洗い場長辺側中央部に設けてある場合(排水口をこの位置に設けることが多い)は、溝方向は、(碁盤の目状にタテ・ヨコに設けるのではなく)洗い場長辺又は短辺とは非並行・非直角(斜め)となる斜交する方向に設けることが好ましく、更には溝で囲まれる小区画の形状を略菱形状とすることが好ましい。このようにすれば、排水口の位置が、上記したように、洗い場周囲の短辺側に設けた浴室カウンター前(中央部)にある場合も、あるいは浴槽側に隣接する洗い場長辺側中央部にある場合も、いずれの場合もその溝部における排水勾配(最大勾配)の方向に直交する方向の溝はなく、溝から排水口へ向けて排水はスムーズに流れやすい。
【0017】
図2は、本発明に係る防水パン基体の表面テクスチュアの別の例である。図1に示したものを変形したもので、溝は直線的な溝の代わりに、平面視でウェーブがかかった溝である。意匠性を高めるためである。
【0018】
本発明で用いる(溝を含む表面テクスチュアを有する)防水パン基体は、SMC、BMC等のプラスチック成形材料を用い、ネガ型表面テクスチュアを有する型(多くは、金属製)を用いてプレス成形することにより、一体成形品として得ることができる。また、ジシクロペンタジエンを原料とする反応射出成形等によっても製造できる。
樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール系樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などがある。但し、防水パン基体に後述の親水性膜形成材料の薄層を形成させたあとに、反応促進のための加熱を考慮すると、その加熱に耐えうる樹脂が好ましい。軟化点としては、好ましくは100℃以上(更に好ましくは、130℃以上)である。
【0019】
上記樹脂から得られる成形体は、通常は撥水性であるので、親水化するために親水性膜でコートする。しかし、有機高分子の樹脂と、親水性膜形成材料(多くは、無機材料)との組み合わせは、有機高分子と無機物等の違いから密着性が悪くなることが多い。そこで、本発明で用いる親水性膜形成材料としては、基体表面に直接コートした場も基体への密着性が比較的高く、成膜時にクラックの発生しにくいシリカ前駆体又はシリカ系材料が好ましく用いられる。
【0020】
はじめに、第1の製造法(シリカ前駆体を用いた方法)を説明する。シリカ前駆体を用いた場合、これを促進剤、触媒等の存在下に加熱するとシリカを主成分とするシリカ膜へ転化していく。シリカ前駆体としてはポリシラザン(又はポリシラザン含有液)が特に好ましく用いられる。
【0021】
ポリシラザンは、次の化1の繰返し単位を有するオリゴマないしはポリマである。環状ポリシラザンでも、鎖状ポリシラザン、環状及び鎖状構造の両構造をもつポリシラザンでもよい。
【0022】
【化1】
【0023】
なお、化1中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基等を表し、3つのRは同じでも異なってもよい。
【0024】
ポリシラザンの好ましいものの一つは、前記化1におけるRが全て水素原子で、分子内に鎖状部分と環状部分をもち、分子量(数平均分子量)が100〜50,000のペルヒドロポリシラザンである。
更に、上記ポリシラザンをトリアルキルアミンのような第3級アミン類、立体障害性置換基をもつ第2級アミン類、又はフォスフィン等の塩基性溶媒中、あるいは非塩基性の炭化水素類の溶媒中で、脱水素縮合反応を行わせることにより得られる分子量200〜500,000のものも使用できる。
【0025】
あるいは、無機ポリシラザンの改質反応により得られるもので、架橋結合−NH−又は−NH−NH−を有し、N/Si比が0.8以上で分子量200〜50,000のものも使用できる。
組成式が(RSiHNH)X[(RSiH)1.5N]Y(但し、Rは化1中における意味と同じであり、Yは1−Xであり、0.4<X<1である。)で表されるポリオルガノヒドロシラザンも使用できる。
【0026】
更には、酸素を含有させたポリシロキサザンや金属アルコキシド等を反応させたポリメタロシラザン、有機硼素化合物を反応させたポリボロシラザンも使用できる。
【0027】
以上の各種ポリシラザンは、室温では液体か固体である。通常は、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等の単独又は混合溶媒に適当に希釈して用いる。
【0028】
また、本発明で使用するポリシラザンは、基体樹脂との密着性の点から、ケイ素や窒素に結合している活性水素原子数の割合の高いものが好ましい。ケイ素原子と窒素原子との合計原子数100に対し、活性水素原子数は好ましくは90以上、更に好ましくは100〜150(ペルヒドロポリシラザンは150)である。
【0029】
ポリシラザンには、シリカ転化反応を促進するため、通常は、有機アミン、カルボン酸無水物、イソシアネート、チオール、カルボジイミド、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物等の促進剤を添加する。
【0030】
低温でシリカ転化させるため、ニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム、アミン類等の触媒を用いることもできる。
また、必要に応じて、金属粉末、セラミック粉末、消泡剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、顔料、チキソトロピー性付与剤等を添加してもよい。
【0031】
ポリシラザンとともにシランカップリング剤(一般にXSiQ3で表される化合物で、Xは有機基と反応し得る官能基、Qは加水分解可能な官能基。)を用いることができる。シランカップリング剤としては、Xがビニル基、メタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、又はハロゲン等であり、Qがメトキシ基やエトキシ基のようなアルコキシ基、ハロゲン等であるものから、適宜、選択して用いる。
なお、シランカップリング剤は、通常、「プライマ」(基体の有機成分とコート材の無機成分との密着性を改善するもの)として用いる。
【0032】
ポリシラザン(及びシランカップリング剤)を用いて防水パン基体上へ親水性膜を形成するには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒で0.1〜50重量%程度に希釈したシランカップリング剤を先ず基体上に塗布し、70〜130℃程度の温度で、5〜20分間加熱して膜(下地膜)を形成させる。
【0033】
次に、促進剤入りのポリシラザンを溶媒で適当にうすめ、防水パン基体上にコートする。このとき、ポリシラザン層の厚みは、防汚染性、耐摩耗性、耐久性を損なわない範囲で塗る。膜厚(固体膜として)は、好ましくは0.5μm〜5.0μm、更に好ましくは、1.0μm〜2.0μmである。なお、膜厚が薄すぎると摩耗性が低下気味となり、厚すぎるとクラックが発生気味となる。
【0034】
次に、酸化雰囲気(空気でも可)中に所定時間加熱し、シリカ膜を形成させる。このときの加熱温度は、作業性や基体樹脂の溶融点(又は分解点)等を考慮して決める。SMC(ポリエステル樹脂)の場合は、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは120〜160℃である。また、加熱時間は30分〜2時間程度である。この処理により、架橋(固体状)ポリシラザン膜もしくはシリカ膜が形成する。なお、被覆表面の親水性を高めるために、このあと更に、弱アルカリ性水(pH9〜12)で処理したり、温水で処理してもよい(但し、防水パンは使用時に湯水に晒されるので、この処理は不要。)。
【0035】
シランカップリング剤やポリシラザン含有液のコート方法は、公知の方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、フローコート等により行うことができる。
【0036】
なお、上記シランカップリング剤塗布後の処理温度やポリシラザン含有液塗布後の処理温度を、各々、室温(0〜30℃)とすることもできる。また、30〜100℃のあいだの適当な温度とすることもできる。処理温度が低いとシリカ転化に時間(日数)を要するが、浴室リフォーム等の場合には有効な方法である。
【0037】
かくして、基体表面が親水性シリカ膜で被覆された防水パンが得られる。得られた防水パンの表面シリカ膜を赤外線吸収スペクトル法で分析すると、その「SiHの吸光度」/「SiOの吸光度」の比(Z)は通常は3.0以下であり、好ましくは2.0以下であり、更に好ましくは1.0以下である。この比(Z)はシリカ転化の指標であり、ゼロに近づくほどシリカ転化は進んでいることを意味する。
【0038】
参考として、基体に5%ポリシラザンNP−100(キシレン溶媒)をコートし、室温に放置(4h及び96h)したときの赤外線吸収スペクトルの変化を示す図4のチャートに示す。室温で放置する時間の経過とともに、SiHの吸光度は減少し、SiOの吸光度は増加し、したがって、「SiHの吸光度」/「SiOの吸光度」の比(Z)は減少しながらシリカ転化が進んでいることが分かる。
【0039】
なお、シリカ前駆体として、ポリシラザン以外に、ゾルゲル法で用いられるテトラエトキシシラン等のようなシリカ前駆体や有機無機複合材料(アクリル樹脂にシリカ系セラミック粒子を担持させたもの等)からなるシリカ前駆体を使用した場合も、基体表面の親水性を改善する効果がある。但し、総合評価ではポリシラザンに及ばない。
【0040】
次に、第2の製造法、すなわち、樹脂又は樹脂を含む複合材料で構成された防水パン基体の洗い場表面上に、コロイド状シリカと、アクリレート系多官能性化合物と、光重合開始剤との混合物(紫外線硬化性組成物)の層を形成させたのち、これにフラッシュ式放電機構の紫外線発光装置で紫外線を閃光的に照射し硬化させる方法、について説明する。
【0041】
上記アクリレート系多官能性化合物は、紫外線によって重合しうる重合性官能基を2個以上有するアクリレート系化合物である。アクリロイル基やメタクリロイル基、その他の官能基や結合を有していてもよい。他の官能基や結合としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合などである。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンジル類などがあり、照射する紫外線の波長に合わせて選択する。光重合開始剤のほかに、光安定剤や紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
【0042】
上記アクリレート系多官能性化合物100重量部に対して、コロイド状シリカを5〜300重量部含むものを用いる。
必要に応じて(塗膜の作業性や塗膜厚みの調整のために)、溶剤で希釈することもできる。溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン(MEK)などがある。通常は、固形分濃度が5〜40重量%の範囲で濃度調整する。なお、溶剤を使用しない場合の上記紫外線硬化性組成物の固形分は通常、40重量%程度である。また、基材への紫外線硬性組成物の密着性向上のため、固形分100重量部に対してシランカップリング剤を0.1〜3.0重量部を添加することができる。
【0043】
固形分濃度を適宜に調整した紫外線硬化性組成物は、刷毛塗り、スプレーコート、スピンコート、流し塗り、ロールコート等の塗布方法によって基材に塗布する。塗布後、溶剤を充分に揮発させ、フラッシュ式放電機構の紫外線発生装置を用いて閃光的に紫外線照射する。硬化後の塗膜厚みは約1〜50μm程度が好ましい。
フラッシュ式放電機構の紫外線発生装置は、光源が閃光式にかつ繰り返し発光できる機能を有する装置とする。使用するランプとしては、キセノンフラッシュランプのような耐久性の優れたものが好ましく、この際の閃光照射時間はμ秒〜m秒オーダーであり、長くても1秒を越えない時間である。
【0044】
紫外線硬化性組成物を硬化させるのに必要な照射エネルギー量となるように、閃光時間を設定し、又は積算値で必要な照射エネルギー量となるよう繰り返し照射する。紫外線は光源から基材までの距離の間に光減衰があるので、照射前に紫外線照度計などにより照射エネルギーを測定しておく。
【0045】
閃光照射時間は、前記のとおりμ秒〜m秒オーダーの極めて短い時間なので、基材の温度はほとんど上がることなく、昇温による変形や変色あるいは変質を引き起こすことがない。仮に起きたとしてもその程度は微々たるもので、実用上の支障とはならない。軟化点の低い熱可塑性樹脂からなる基材の場合、本発明による閃光式の処理方法は特に有効である。
【0046】
本発明の閃光式の処理方法で得られた基材表面には、シリカに起因して基材表面には、ハードコート性、親水性及び防汚染性が付与される。さらに、硬化物(ポリアクリレート)に起因して基材表面に高光沢及び高耐候性が付与される。
【0047】
なお、評価試験方法は次の通り。また、文中、%は特に示さない限り重量%を意味する。
<水との接触角>
協和界面科学(株)製の接触角計「GA−X150型」を使用した。なお、接触角の小さいほど、プラスチック成形品表面の親水性が高いことを示す。
【0048】
<鉛筆硬度>
鉛筆硬度はJIS−K−5400で評価した。
【0049】
<防汚染性>
ラウリン酸ナトリウムを温水に溶かし塩化カルシウムを添加すると、石鹸カスに似た脂肪酸カルシウム(スカム)が生成する。このスカムの浮いたカップに試験片を10回出し入れし、試験片表面にそのスカムを強制的に付着させ、その後、シャワーで洗い流したときの汚れや光沢を目視した。
○:(汚れは)殆ど無し △:少し残っている ×:大部分残っている
【0050】
<乾燥性>
得られた試験片を、1/50の勾配で表面を上にして傾斜させ、これに水道水をかけて、温度20℃、相対湿度80%の雰囲気下に10時間放置し、試験片の乾燥具合(乾燥時間)を観察した。乾燥時間8h以内に乾燥する場合を「良い」と判断した。
【0051】
<密着性>
密着性はテープ試験法(JIS−K−5400)で評価した。
○:剥離なし △:0〜10 ×:10以上
<耐熱水性>
試験片を80℃の蒸留水に全浸漬し、4時間毎に取り出し、取り出したのち濡れたペーパータオルで約20Nの力で20回こすって外観と接触角をみた(接触角が50°未満を合格として試験を継続)。
外観が劣化する時間、又は水との接触角が50°以上となった時間を耐熱水性として評価した。
【0052】
<膜の摩耗性>
市販の浴槽用ネット付きスポンジ(ウレタン)を用い、乾いた状態で49Nの荷重を掛けて摩擦し、その後の膜の剥離の有無をみた。50、100、200、300、400、500、1000(回)、以降500回ごとに目視確認し、10,000回まで行った。
<赤外線吸収スペクトル>
減衰全反射(ATR)赤外線吸収スペクトル法で測定した。
【0053】
【実施例】
実施例1
図1の表面テクスチュアに対応する表面テクスチュアを有し、小区画の面積が1.0cm2、溝幅1.5mm、溝深0.8mmの防水パン(基体)を試作した。この表面を、予め脱脂処理したのち、5%のシランカップリング剤A−1100(イソプロピルアルコール溶液)(日本ユニカー株式会社製)をスプレーコートで塗布し、100℃で10分乾燥させた。次いで、5%のポリシラザンNL−110(キシレン溶媒)をスプレーコートで塗布し、140℃で60分乾燥(架橋)させた。その後、0.02%の水酸化ナトリウム水溶液で処理した。
形成した膜の性状を試験すると、水との接触角は25°で、膜の摩耗性は1万回以上、密着性は良好(○)、鉛筆硬度は3〜4H、防汚染性は良好(○)、乾燥性は良好(3h)であり、耐熱水性は100時間まで膜の剥離は無かった。
【0054】
比較として、表面テクスチュアがない基材(すなわち、平板状の試験片)の表面(親水性膜なし)を評価すると、水との接触角は75°、鉛筆硬度は2H、防汚染性は「大部分残っている」(×)、乾燥性は不良(10h以上)であった。
また、別の比較として、親水性付与前で、表面テクスチュア(小区画の面積が1.0cm2、溝幅1.5mm、溝深0.8mm)を有する試験板の表面を評価すると、水との接触角は75°、鉛筆硬度は2H、防汚染性は「大部分残っている」(×)、乾燥性は良好(6h)であった。
【0055】
実験例
(a)防水パン基体(親水性膜なし)の試験片の調製
図1対応の表面テクスチュアを有する防水パン基体の試験片を次の通り10種類(A〜L)と、表面テクスチュア無し(溝無し)の試験片HとをそれぞれSMC法(樹脂は不飽和ポリエステル樹脂を使用)でプレス成形した。なお、試験片のサイズは200mm角で、厚みは4mmである。
【0056】
試験片A:小区画1cm2、溝幅1.5mm、溝深0.8mm
試験片B:小区画1cm2、溝幅8.0mm、溝深0.5mm
試験片C:小区画1cm2、溝幅0.8mm、溝深0.5mm
試験片D:小区画2cm2、溝幅0.8mm、溝深0.8mm
試験片E:小区画4cm2、溝幅0.8mm、溝深1.2mm
試験片F:小区画6cm2、溝幅0.8mm、溝深1.2mm
試験片G:小区画9cm2、溝幅0.8mm、溝深0.5mm
試験片J:小区画1cm2、溝幅3.0mm、溝深0.8mm
試験片K:小区画1cm2、溝幅4.0mm、溝深0.8mm
試験片L:小区画1cm2、溝幅5.0mm、溝深0.8mm
試験片H(溝無し、平板状)
【0057】
得られた試験片を、1/50の勾配で表面を上にして傾斜させ、これに水道水をかけて、温度20℃、相対湿度80%の雰囲気下に放置し、試験片の乾燥具合(乾燥時間)を観察した。結果を表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
(b)親水性膜を付与した試験片の調製と評価
上記試験片A〜Hの11種類について、次の方法で、試験片の表面に親水性膜を形成させた(試験片A’〜H’)。
試験片への親水性膜の付与方法:予め脱脂処理した試験片に、5%のシランカップリング剤A−1100(イソプロピルアルコール溶液)(日本ユニカー株式会社製)をスプレーコートで塗布し、100℃の乾燥炉内で10分乾燥させた。
次いで、5%のポリシラザンNL−110(キシレン溶媒)をスプレーコートで塗布し、140℃の乾燥炉内で60分乾燥(架橋)させた。その後、0.02%の水酸化ナトリウム水溶液で処理した。
【0060】
得られた試験片を、1/50の勾配で表面を上にして傾斜させ、これに水道水をかけて、温度20℃、相対湿度80%の雰囲気下に放置し、試験片の乾燥具合(乾燥時間)を観察した。結果を表2に示した。
【0061】
【表2】
【0062】
試験片A’では、掛かった水は、大部分は短時間のうちに、排水勾配に従がって試験片下へ落ちた。落ちなかった水は、小区画から溝部へと流れ込み、次いで、下り勾配がある溝部を下って試験片下へ落ちた。このとき、試験片の上では水が一旦残ったが、その水は広がりのある水滴となって5分〜30分程度の短時間のうちに多くは小さく砕かれて溝部へ引き込まれ、試験片下へ落ちた。この5分〜30分程度の時間のうちに試験片下へ落ちなかった水は、小区画程度(面積が1cm2)又はそれ以下の比較的小さな(厚みの薄い)水滴となり、小区画の上に残った。残った水は、その後、温度20℃、相対湿度80%の雰囲気下に放置すると、試験片は3時間で乾いた。
【0063】
試験片B’では、掛かった水は、大部分は短時間のうちに、排水勾配に従がって試験片下へ落ちた。落ちなかった水で小区画上に孤立して残った水滴は乾燥できるほど、小さいものであった。しかし、溝部の水は、溝幅が広すぎるためか、ところどころで途切れて、とぎれた部分では溝部と小区画とにつながった大きな水滴が残った。水滴は約10cm2以上の大きさであった(開始から5〜30分)。そのままの状態で放置すると、試験片は9時間で「乾燥状態」となった。
【0064】
試験片C’では、上記試験片A’とほぼ同様な経過をたどった。試験片は4時間で乾いた。
【0065】
試験片D’では、前記試験片C’とほぼ同様な経過をたどった。但し、小区画に残った水の面積は2cm2以下で、試験片は4時間で乾いた。
【0066】
試験片E’では、前記試験片D’とほぼ同様な経過をたどった。但し、小区画に残った水の面積は4cm2以下で、試験片は5時間で乾いた。
【0067】
試験片F’では、前記試験片E’とほぼ同様な経過をたどった。但し、小区画に残った水の面積は6cm2以下で、試験片は6時間で乾いた。
【0068】
試験片G’では、前記試験片F’とほぼ同様な経過をたどった。但し、小区画に残った水の面積は9cm2以下で、試験片の乾燥には9時間を要した。
【0069】
試験片J’では、掛かった水は、大部分は短時間のうちに、排水勾配に従がって試験片下へ落ちた。落ちなかった水で小区画上に孤立して残った水滴は乾燥できるほど、小さいものであった。しかし、溝部の水は、溝幅が広すぎるためか、ところどころで途切れて、とぎれた部分では溝部と小区画とにつながった水滴が残った(開始から5〜30分)。そのままの状態で放置すると、試験片は7時間で乾いた。
【0070】
試験片K’では、前記試験片J’とほぼ同様な経過をたどった。但し、試験片の乾燥には9時間を要した。
【0071】
試験片L’では、前記試験片K’とほぼ同様な経過をたどった。但し、試験片の乾燥には10時間を要した。
【0072】
試験片H’(溝なしの平板)では、水は先ず、排水勾配を下って試験片下へ落ちるのが観察された。落ちなかった水は、まだら模様となり、約10cm2以上の厚めの水滴もいくつか存在した(開始から5〜30分)。その後、温度20℃、相対湿度80%の雰囲気下に放置したが10時間後でも乾かなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の防水パンによれば、入浴後、防水パン上の湯水はスムーズに排水される。また、防水パン上の湯水が防水パンに一時残ったとしても、その水滴は親水性膜のために広がりやすいので、排水性(速乾燥性)を一層促進する。したがって、防水パン表面は短時間のうちに「乾燥状態」に達し、入浴した日の翌朝には靴下のままで浴室洗い場(防水パン上)に入っても、靴下は濡れる感じがしない。
更に、本発明の防水パンによれば、その表面の親水性膜によって防汚染性(易清掃性)機能が高い。すなわち、金属石鹸や脂汚れ等の汚染物質は付着しにくく、付着しても除去・清掃しやすい。
防水パンに設ける溝の溝幅・溝深さを所定の範囲に調整することによって、防水パン上の残水の排水性(速乾燥性)は更に向上する。また、これらの溝(又は凹凸模様)により難滑り性も高い。
防水パンに設ける溝が、排水のスムーズな流れを妨げないよう、洗い場の長辺又は短辺とは斜交するように形成されておれば、防水パン上の湯水は更にスムーズに排水され、防水パン表面は更に短時間のうちに乾わく。
親水性膜がシリカ膜であれば、親水性膜なしの樹脂表面に比べてハードコート性も高く、耐摩耗性に優れている。
本発明の第1の製造法で、親水性膜形成材料としてポリシラザン含有液を用いれば、上記防汚染性防水パンを短時間に容易に製造できる。また、加熱することなく室温でもシリカ膜を形成させることができるので、浴室(防水パン)のリフォームにも有用である。
本発明の第2の製造法によれば、過熱等による親水性膜の変形・変質・変色を生じさせずに、(成形体の)基材表面に塗布した紫外線硬化性組成物を瞬間的に硬化させ、短時間のうちに基材表面に硬化皮膜を形成させることができる。また、基材表面に形成された硬化皮膜は、ハードコート性、親水性及び防汚染性のほか表面に高光沢性を付与し、また高耐候性も付与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防水パン基体の平面図。この表面に親水性膜を形成させて、本発明の防水パンとする。(a)は防水パン基体全体の平面図、(b)は部分拡大図。
【図2】本発明に係る防水パンの表面テクスチュアの別例の部分平面図及びその拡大図。
【図3】図1(a)のA−A断面を矢視方向から見たもので、防水パンの排水勾配を説明する図。
【図4】基体にポリシラザンをコートし、室温に放置(4h及び96h)したときの赤外線吸収スペクトルのチャートである。
【符号の説明】
1:防水パン(防水パン基体) 2:排水口
3:洗い場 3a:溝 3b:小区画(最小区画)
4:カウンター部 5:水平線
Claims (8)
- 基体は樹脂又は樹脂を含む複合材料で構成され、略方形の洗い場表面には溝とその溝で囲まれる小区画とから成る表面テクスチュアを有するとともに排水勾配のある防水パンにおいて、前記溝が前記洗い場の長辺又は短辺とは斜交する方向に設けられ、前記溝で囲まれる小区画の形状が略菱形状とされ、前記小区画の面積は0.5cm2以上2.0cm2以下であり、溝は、幅が0.3mm以上1.5mm以下、深さが0.3mm以上1.6mm以下であり、前記基体の表面には親水性膜が形成されている防水パン。
- 防水パンの最大の排水勾配の方向に対して、直交する方向の溝を有しない請求項1に記載の防水パン。
- 親水性膜はシリカを含む膜である、請求項1又は2の防水パン。
- 表面における「水との接触角」は50°以下である、請求項1〜3のいずれかの防水パン。
- 表面を赤外線吸収スペクトル法で測定したときの「SiHの吸光度」/「SiOの吸光度」の比は3.0以下である、請求項1〜4のいずれかの防水パン。
- 請求項1〜5のいずれかの防水パンの製造法であって、樹脂又は樹脂を含む複合材料で構成された防水パン基体の洗い場表面上に、シリカ前駆体の層を形成させたのち、加熱して膜形成反応させることを特徴とする防水パンの製造法。
- シリカ前駆体はポリシラザン含有液であり、膜形成反応は酸化雰囲気中に加熱して行う、請求項6の防水パンの製造法。
- 請求項6または7の防水パンの製造法であって、防水パン基体の洗い場表面上に、コロイド状シリカと、アクリレート系多官能性化合物と、光重合開始剤との混合物を塗布し乾燥したのち、これにフラッシュ式放電機構の紫外線発光装置で紫外線を閃光的に照射して前記混合物を硬化させることを特徴とする防水パンの製造法。
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