本発明の導光板の射出圧縮成形金型について、図1ないし図13を参照して説明する。図1は、本実施形態の導光板の取出装置を可動盤側から固定盤側を見た正面図である。図2は、本実施形態の導光板の取出装置の側面図である。図3は、本実施形態の導光板の取出装置の要部拡大斜視図である。図4は、本実施形態に使用される導光板の射出圧縮成形金型の断面図である。図5ないし図7は、本実施形態の導光板の射出圧縮成形方法を示すチャート図である。図8は、本実施形態の導光板の射出圧縮成形金型のスプルブッシュの拡大断面図である。図9ないし図13は、本実施形態の導光板の射出圧縮成形金型のスプル形状と成形サイクル時間の関係を示す図である。
本実施形態において導光板Pは、射出成形の中の一分野である射出圧縮成形により成形される。射出圧縮成形は、成形開始時から成形終了時までの間に可動金型と固定金型の距離が可変となるものである。従って型閉後の停止位置において溶融樹脂を射出後に可動金型をそのまま前進させ圧縮する射出プレスと呼ばれるタイプも射出圧縮成形に含まれるものとする。これら射出圧縮成形では、成形完了時に比較して、射出開始前または射出開始後にキャビティが僅かに開いた状態であるので高速射出能力を有する射出装置が必要なく、溶融樹脂を比較的低速・低圧で射出することができる。また射出開始後に可動金型を型締方向に移動させて溶融樹脂に圧縮を加えることから、キャビティのゲート部から遠い位置において溶融樹脂の流れを早くしたり、微細な転写を良好に行うことができるという利点がある。更にはゲートを切断した後については、通常の射出成形金型では、射出装置から保圧を及ぼすことはできないが、射出圧縮成形の場合は、キャビティ内の溶融樹脂を圧縮して冷却固化による収縮に対応することができる。このような射出圧縮成形は、特に出光面等の面積と比較して板厚が薄い導光板の成形を行う際に特に有利である。
図1、図2に示されるように、射出圧縮成形機11は、スクリュが内蔵された加熱筒12aとノズル12bが備えられた射出装置13と型締装置14が、ベッド15上に配設されている。型締装置14は、ベッド15に固定され固定金型16が取付けられる固定盤17と、ベッド15に配設された受圧盤18の間に4本のタイバ19が配設され、前記タイバ19には可動金型20が取付けられる可動盤21が移動可能に挿通されている。また受圧盤18には型開閉と型締を行う型開閉・型締機構である型締シリンダ22が配設され、前記型締シリンダ22のラム22aが可動盤21の背面に固定されている。本実施例の型締シリンダ22は、断面積の小さいブースタシリンダに対してサーボバルブの制御により圧油を送って可動盤を高速で型閉可能なタイプである。また型開時にも断面積が小さい型開側油室にサーボバルブの制御により圧油を送って、高速で型開が可能なタイプである。本実施形態では、型閉・型開側ともそれぞれ0.3秒で型開閉することが最高スペックとして可能である。本実施形態では型開閉・型締機構は、サーボバルブにより制御される型締シリンダ22の例を示すが、立ち上がり回転駆動速度および停止速度に優れたサーボモータとボールネジ機構を含むトグル機構でも良く、その場合も前記速度が実現される。
次に射出圧縮成形機11の射出圧縮成形金型51から成形された導光板Pを取り出す取出装置について説明する。図1、図2に示されるように取出装置は、固定盤17の反操作側(操作盤とは反対側)の上面に固定された第1の取出装置23と、反操作側のベッド15に固定されたブラケット25の上に設置された第2の取出装置24からなる。第1の取出装置23は、型開閉方向に回転軸26が設けられ、前記回転軸26には直交する方向にアーム27が固定されている。回転軸26は図示しない第1のサーボモータとボールネジ機構により軸方向(型開閉方向)に進退移動可能に設けられるとともに、図示しない第2のサーボモータによって軸が回転駆動され、高速作動および急停止を高精度で行うことが可能となっている。よって第1の取出装置23は、スイングアーム式取出装置と呼ばれている。可動金型20から導光板P等を直接取り出す第1の取出装置23のアーム27は、所定厚さを有し、回転軸26に近い側から回転軸26に直角方向に設けられた第1部材27aと、前記第1部材27aに対して傾斜方向に連設される第2部材27bと、前記第2部材27bに対して連設され第1部材27aとは略直角方向に設けられる第3部材27cが一体となった略L字状の腕部材からなる。そして前記第3部材27cの部分が可動金型20のキャビティ形成面近傍に向けて内側に屈曲している。なおアーム27の形状は、タイバ19や安全扉等に干渉しない限りにおいて、二辺からなる直角形状、円弧状等の他の形状でもよい。本実施形態において第1の取出装置のアームは、カーボンから形成されており軽量化されている。または鉄よりも比重が軽い材料の一種であるアルミ等からアームを構成してもよい。そしてモータ部分を含む本体重量は15〜25kgとなっているから、低イナーシャ構造となっている。そして駆動源であるサーボモータは、立ち上がり回転駆動速度および停止速度に優れたモータを採用している。従って型開信号入力後に、待機位置から搬入位置までアームが移動する時間が0.04秒、吸着取出時間0.07秒、搬出回転開始から回転停止までアームが移動する時間が0.04秒であり型閉信号を出力可能となるまでに、合計0.15秒が第1の取出装置のスペックとして最速である。なおこの時間は7インチの導光板を2個取りするものでも同じである。また第1の取出装置によって取出しに要する時間は、導光板がキャビティから離型し難いものや吸着保持部の跡が付きやすいものでも1.0秒を超えることはない。
図3に示されるように、第1の取出装置23のアーム27における第3部材27cは、固定金型側の面と可動金型側の面を有する板状をしており、その先端側には基部側にむけてV溝28が形成され、V溝28の両側は分岐枝部29a,29bが形成されている。そして前記V溝28の内側空間部には、チャック30が配設されている。チャック30は、前記分岐枝部29a,29bの接合部分よりも基部側の固定金型側の面に配設された電磁石式の作動装置30aにより2本のチャック部材が開閉作動し、スプルP1を把持または解放する。また前記分岐枝部29a,29bの接合部分近傍における可動金型側の面には、反射型の検出センサ31が配設されている。前記検出センサ31は、スプルP1が検出され把持されたかどうか検出し、スプルP1が正常に把持されていない場合に型開閉・型締機構の作動を停止する。
またアーム27の第3部材27cに対して直角方向には、取付板32が配設されている。取付板32における第3部材27cよりも上部および下部の長さは、それぞれ成形される導光板Pの縦方向の長さに略一致する長さである。そして該取付板32の可動金型20側の面には、可動金型20側に向けてそれぞれ取付板32の上部2箇所、下部2箇所に、導光板Pを吸着するための吸着保持部33が固定されている。吸着保持部33は、多孔質の弾性材料(スポンジ)のカップ部34、該カップ部34を取付板32に取付ける弦巻状のバネ部35、および配管36等を備えている。カップ部34は、特には耐熱性に優れたエラストマが望ましく、多孔質シリコンゴムや多孔質フッソゴムが用いられる。そしてカップ部34は、直径8〜16mmの吸着面34aを有し厚み5mm程度の円盤部34bと、その後方のV溝状のくびれ部34cと、更にその後方の基部34dからなっている。そして前記基部34dが弦巻状のバネ部35に固着され前記バネ部35のもう一方は取付板32に固定されている。吸着面34aは、中心に直径1mm程度の吸引孔34eが形成されるとともに周囲は微細な小孔が形成された平面となっている。そして前記吸引孔34eは、前記円盤部34b、くびれ部34c、および基部34dを軸方向に貫通形成され、基部34d側の吸引孔34eの開口部には屈曲性を有する樹脂からなる配管36が連設されている。該配管36は、前記バネ部35の内部を通って、アーム27に固定されて延設され、図示しないバキューム装置に接続されている。
また射出圧縮成形機11の反操作盤側のベッド15側面に固定されたブラケット25の上に設置された第2の取出装置24は、射出圧縮成形機11の型開閉方向と平行に回転駆動可能に配設された第1の回転軸37と、前記第1の回転軸37に対して直角方向に固定された固定軸38に対して回転駆動可能に配設された第2の回転軸39とが設けられた2軸式の移載ロボットである。なお前記第1の回転軸37、第2の回転軸39は、それぞれ共に、図示しない第3のサーボモータおよび第4のサーボモータにより回転駆動され、いずれも高速作動および急停止を高精度で行うことが可能となっている。
そして第2の回転軸39の先端にはアーム40が固定されている。アーム40は所定厚さを有し、前記第2の回転軸39に近い側から順に前記第2の回転軸39と同軸に設けられた第1部材40aと前記第1部材40aに対して所定角度(本実施形態では直立方向に対して射出圧縮成形機側に向けて約60°の角度)傾斜して連設された第2部材40bとからなる。そして第2の取出装置24は、第1の取出装置23の受渡位置(解放位置)A2における吸着保持部33の並び方向と、第2の取出装置24の受渡位置(待機位置)B1における第2部材40bの方向とが一致して停止可能となっている。
そしてアーム40の第2部材40bの固定金型16側の面には、吸着保持部41が前記第1の取出装置23と同じ間隔に配設されている。第2の取出装置24の吸着保持部41は、ゴム製パッドを備えた一般的な吸着カップであり、吸着保持部41のアーム40への取付方法は、バネを介してアーム40に取り付けられ、図示しない可撓性を有する樹脂配管が前記カップの吸引孔に接続されている。また前記樹脂配管がバネの内部を通じてアーム40に固定され、図示しないバキューム装置に連設されている点は、第1の取出装置23と同じである。
前記第2の取出装置24を挟んで射出圧縮成形機11とは反対側(更に反操作側)の床面には、前記第2の取出装置24の第1の回転軸37よりも低い位置にベルトコンベア42が配設されている。ベルトコンベア42は一般的なものであり、図示しないモータによって所定幅のゴムベルト43が間欠駆動されるようになっている。
また図1、図2に示されるように射出圧縮成形機11の反操作盤側のベッド15側面の第2の取出装置24の射出装置13側には上方が開口された漏斗状のシュータ44が配設されている。シュータ44は、第1の取出装置23がスプルP1を解放した際にそのスプルP1を収集するための受け部材として、第1の取出装置23の受渡位置(解放位置)A2の下方に配設されている。そして図1、図2ではシュータ44の下方の管45は途中から省略記載されているが、図示しない収集箱にスプルP1が落下されるようにしてもよく、管路を射出装置の上部にまで接続し、エア等の手段により前記スプルP1を空気搬送して射出装置の投入口から投入してリサイクル使用するようにしてもよい。なおこれら取出装置23,24の移動領域や可動金型20の移動領域については、安全扉や防護策がなされているが図では省略する。
次に図4により、本実施形態の導光板の射出圧縮成形金型51について説明する。射出圧縮成形金型51は、第1の金型である可動金型20と第2の金型である固定金型16とからなり、型合わせされた両金型20,16の間には、射出圧縮成形または射出プレスに用いられるよう容積および厚さが可変のキャビティC1,C2が形成されるようになっている。可動金型20は、金型本体部52とコア部53と可動枠部54等が設けられている。金型本体部52に対してコア部53は固着され、その周囲の可動枠部54はバネ54aによって金型本体部52に取付けられている。従って可動金型20では、コア部53と可動枠部54が型開閉方向に相対的に位置変更可能となっている。そしてコア部53には2個のキャビティ形成ブロック55,55が固定され、キャビティ形成ブロック55,55にはそれぞれキャビティ形成面55a,55aが形成されている。
そして金型本体部52およびコア部53の中央部の固定金型16のスプルブッシュ64に対向する位置には、図示しない駆動装置により前進され、バネによって後退するエジェクタ装置の突き出しピン56が配設されている。そして前記突き出しピン56の先端面にはスプルP1を可動金型20側に引き抜くための食い込み部56aが設けられている。また前記食い込み部56aから各キャビティ形成面55aに向けてそれぞれランナP2を形成するランナ形成面57が形成されている。また可動金型20には、図示しない駆動装置により前進され、バネによって後退されるゲートカッタ58がキャビティ形成ブロック55に隣接して配設されている。そしてゲートカッタ58が前進された際には、固定金型16の固定ゲートカッタ65と交錯されることにより、ゲートP3が切断可能に設けられている。また可動金型20内には、キャビティ形成面55aを冷却するキャビティ用冷却媒体流路59と、ランナ形成面57や突き出しピン56等を冷却する冷却媒体流路60の2系統の流路が設けられている。
また第2の金型である固定金型16は、金型本体部61、キャビティ形成面62aが形成されたキャビティ形成ブロック62、インサートブロック63、スプルブッシュ64、固定ゲートカッタ65、当接ブロック66等から構成されている。スプルブッシュ64はノズル12bから溶融樹脂を射出する際の通路であり、インサートブロック63の表面はランナ形成面67を形成している。固定ゲートカッタ65は、キャビティ形成ブロック62に隣接してゲートカッタ58と嵌合されるよう配設されている。また固定金型16内には、キャビティ形成面62aを冷却するキャビティ用冷却媒体流路69と、ランナ形成面67やスプルブッシュ64等を冷却するスプル用冷却媒体流路70の2系統の流路が設けられており、コールドランナ(スプルを含む)タイプである。なお本実施形態では、射出圧縮成形金型51に縦方向に2つのキャビティC1,C2が配設されているが、水平方向に2つのキャビティが形成されるものでもよく、更にはキャビティの数は、例として1個〜4個といった複数であってもよい。そして前記キャビティの数、配置に対応して取出装置の吸着保持部の数および配置がなされる。
次に図5のチャート図により、本実施形態の射出圧縮成形機11による導光板Pの射出圧縮成形方法について説明する。本実施形態では対角寸法3インチ、板厚0.4mmの導光板Pを4.4秒の成形サイクル時間で成形している。その内訳は、型開時間0.5秒、取出時間0.4秒、型閉時間0.5秒であり、型開開始から導光板Pの取出しを経て型閉完了までの時間を1.4秒で行っている。なおこの型開開始から導光板Pの取出しを経て型閉完了までの時間は、2.2秒以内(0.75〜2.2秒)とすることが望ましく、更には1.5秒以内(0.75〜1.5秒)とすることがより望ましい。前記型開開始から導光板Pの取出しを経て型閉完了までの時間のうち最速の0.75秒は前記のようにサーボ機構による型開閉・型締機構およびサーボモータによる揺動タイプの取出装置を用いることによって実現できる最短時間である。また前記型開開始から導光板Pの取出しを経て型閉完了までの時間のうち最長の2.2秒は、後述するように、型開・型閉時間がそれぞれ0.6秒であり、取出時間が1.0秒である。取出時間が1.0秒必要な場合とは、エアによる離型が遅れる場合や極めて低速で成形された導光板に当接させることにより導光板の保持跡をなくす目的である。なおこれ以上、型開閉時間を延ばしても成形サイクル時間が延長されて生産効率が悪い上に、射出装置の加熱筒内での溶融樹脂の滞留時間が長くなりすぎたり、ノズルが冷やされてコールドスラグが発生したりするという問題がある。また型閉完了から射出を経て型開開始までの時間は、3.0秒であり、その内訳は射出遅延時間(増圧時間)0.1秒、射出時間0.05秒、保圧時間0.45秒、冷却時間2.4秒(実質的に冷却は射出開始から始まっている)となっている。しかしながらこの型閉完了から射出を経て型開開始までの時間は、導光板の形状(面積、板厚、転写面形状)によって1.75〜6秒の範囲で異なっており、成形サイクル時間をより短縮するためには4秒以内(1.75〜4.0秒)とすることが望ましい。
なお導光板Pのサイズはこの範囲であれば、さほど成形サイクル時間に影響を与えないが、これ以上成形サイクル時間を短縮しようとすると、特にスプルP1の冷却時間が不足し、スプルの固化不足からスプルが抜けない不良等が発生する。図6、図7は、本実施形態の導光板の射出圧縮成形方法を示すチャート図であり、図6は成形サイクル時間2.5秒の例、図7は成形サイクル時間6秒の例を示している。成形サイクル時間が2.5秒の際の内訳は、図6の導光板の射出圧縮成形方法のチャート図に示されるように、型開閉時間(取出時間、中間時間を含む)0.75秒と、射出遅延時間(増圧時間)0.1秒、射出時間0.05秒、保圧時間0.4秒、冷却時間1.2秒(型閉完了から型開開始まで1.75秒)である。なお導光板Pのサイズはこの範囲であれば、さほど成形サイクル時間に影響を与えないが、これ以上成形サイクル時間を短縮しようとすると、冷却時間が不足し、最も肉厚なスプルP1の固化不足からスプルP1が抜けない不良等が発生する。また図7のように対角寸法3インチ、板厚0.6mm(均等板厚)の転写パターンを有する導光板を成形サイクル時間6.0秒で射出圧縮成形により成形することもでき、この場合の冷却時間は3.9秒である。
上記のように、本発明において成形サイクル時間のうち冷却時間を決める要素として最も影響があるのは、図8に示されるスプルP1の直径およびテーパー角度(抜き勾配の角度)θである。本実施形態では射出装置のノズルのノズル孔(図示せず)の直径は1.5mmとなっている。スプル引き抜き時にノズル先端の樹脂が良好に除去されるためにも、スプルブッシュ64のノズル孔側の注入孔64aの直径はノズル孔の直径よりも大きくする必要があるが、1.6mm以上の注入孔とすることが望ましい。図9ないし図13は、対角寸法2.8インチ、板厚0.4mmの導光板Pを2個取りする導光板の射出圧縮成形金型を使用し、キャビティ形成面55a,62aを冷却する冷却媒体通路59,69の冷却水の温度を各90℃とし、ノズル温度325℃、加熱筒前部温度355℃、加熱筒中部温度370℃、加熱筒後部温度360℃、射出速度300mm/secにてテストを行った結果である。
図9は、注入孔64aの直径が1.6mm、図8に拡大して示されるテーパー角度θが1°、長さ25mmのスプルブッシュ64を用いた際のデータである。この例では、スプルブッシュ64の冷却温度が70℃、80℃の場合に、成形サイクル時間が長くなる(5秒以上となる)とスプルブッシュ64の注入孔64aおよびノズルのノズル孔が冷却されすぎて次回の射出ができなかったり成形品にコールドスラグが混ざるという不良が発生した。そしてスプルブッシュ64の冷却温度が90℃の際も6秒以上で不良となった。従ってスプルブッシュ64の注入孔64aの直径は、1.6mmの場合は実用域が極めて狭いものであり、それ以下であると実用的な設定調整ができなくなるという問題が判明した。
図10は、注入孔64aの直径が2.0mm、図8に示されるテーパー角度θが1°、長さ25mmのスプルブッシュ64を用いた際のデータである。この例では各冷却温度の場合も、成形サイクル時間が2秒となるとスプルP1の冷却が追いつかなくなりスプル切れが発生する場合があるが、それ以外では良好な結果を示した。ただし必要以上に成形サイクル時間を延ばすことは経済的とは言えない。そしてまた成形サイクル時間が余りに延長されるとノズルが冷やされ溶融樹脂の流動性が低下する問題や、加熱筒内での溶融樹脂の滞留が長くなりすぎ樹脂が劣化(黄変や黒点)するという問題も発生する。そして冷却水の温度については、40℃の場合は、成形品にコールドスラグが交じり始めるので、50℃以上が望ましい。また120℃の場合は、スプル切れが4秒で発生するので、成形に用いる冷却温度としては110℃以下とすることが望ましい。
図11は、注入孔64aの直径が2.3mm、図8に示されるテーパー角度θが1°、長さ25mmのスプルブッシュ64を用いた際のデータである。この例では冷却温度が70℃の場合に、成形サイクル時間が3秒となるとスプル切れが発生し、冷却温度が80℃、90℃の場合では成形サイクル時間が5秒でもスプル切れが発生した。
図12は、注入孔64aの直径が2.6mm、図8に示されるテーパー角度θが1°、長さ25mmのスプルブッシュ64を用いた際のデータである。この例では、ランナ接続部64cの直径は3.47mmとなりこの部分の冷却固化に時間を要する。そしてこの例では冷却温度が70℃の場合に、成形サイクル時間が5秒となるとスプル切れが発生し、冷却温度が80℃、90℃の場合では成形サイクル時間が6秒でもスプル切れが発生した。従って注入孔64aの直径が2.6mmの場合は、上記のように望ましい成形サイクル時間を6秒以内とした場合、それを達成することができる中で、上限の直径であると言える。
また図13は、注入孔64aの直径がそれぞれ1.6mm、2.0mm、2.3mm、2.6mmであって、テーパー角度θが1.5°、長さ25mmのスプルブッシュ64を用い、冷却温度を70℃としてテストした際のデータである。この例では、ランナ接続部64cの直径は、それぞれ前記に対応して2.9mm、3.3mm、3.6mm、3.9mmとなり、最も肉厚なこの部分の冷却固化が特に遅れるという問題がある。そして注入孔64aの直径が2.6mm、ランナ接続部64cの直径3.9mm、テーパー角度θが1.5°の例では、冷却温度が70℃の場合に、成形サイクル時間が5秒となるとスプル切れが発生し、6秒でもスプルの伸びや曲がりが見られ、実用には不適と判断された。また他の注入孔64aの直径のものもスプルブッシュ64の内孔64bのテーパー角度θが1°の場合と比較して、最短となる成形サイクル時間を延長しないと成形不良が発生した。従って成形サイクル時間を6秒以内とした場合、最も冷却が遅れるランナ接続部64cの直径3.6mmの内孔64bを有するスプルブッシュ64が実用領域で最大直径のものと判断された。
そしてスプルブッシュ64の内孔64bの好ましいテーパー角度θは、注入孔64aからランナ接続部64cに向けて0.5〜2.0°拡径されていることが好ましい。しかしランナ接続部64cの直径が3.6mmを超えると、成形サイクル時間6秒(冷却時間3.9秒)としても、ランナ接続部64c近傍の冷却固化が遅れ、型開時にスプルP1の切れが発生する可能性がある。一度スプルP1がスプルブッシュ64内に残留してしまうと連続成形が中断される上に、熟練した作業者が狭い空間内で作業してスプルP1を取り出す必要があり、金型を痛める可能性もある。またスプルブッシュ64の小径部において冷却媒体流路70が設けられる部分の肉厚64dは、15〜30mm程度が望ましい。
このため本実施形態では、可動金型20のキャビティ形成面55aを冷却するキャビティ用冷却媒体流路59、ランナ形成面57近傍および突き出しピン56を冷却する冷却媒体流路60、固定金型16のキャビティ形成面62aを冷却するキャビティ用冷却媒体流路69、ランナ形成面67およびスプルブッシュ64等を冷却するスプル用冷却媒体流路70へ、温調器により成形される樹脂であるポリカーボネートのガラス転移温度Tgより40〜100℃低い、50〜110℃程度に温度制御された冷却媒体(冷却水)を流している。なおスプル用冷却媒体流路70の冷却媒体の温度を他よりも低くし、最も冷却に時間がかかるスプルP1の冷却を促進させるとともに、糸引きを防止するようにしてもよい。
また加熱筒12aの前部ゾーン(最もノズルに近いゾーン)は340℃に温度設定され、ポリカーボネートの溶融樹脂が計量されている。なおポリカーボネートを用いた場合の前記加熱筒12aの前部ゾーンの温度設定は、330〜380℃に温度設定されることが望ましい。そして型開閉・型締機構である型締シリンダ22が作動され、固定盤17に取付けられた固定金型16に対して可動盤21に取付けられた可動金型20を当接させることにより型閉が行われる。次に型締力を50〜200kNに上昇させて型締を行う。そのことにより、バネ54aの弾発力に打ち勝って可動金型20の金型本体部52と可動枠部54とが当接され、コア部53に対して可動枠部54が最後退した位置となる。そして固定金型16と可動金型20との間には、厚さ可変のゲートP3を含むランナP2、および該ゲートP3に接続された厚さ可変のキャビティC1,C2が形成される。この際、キャビティC1,C2内のエアを吸引することがキャビティC1,C2内への溶融樹脂流動の点から望ましい。なお本実施形態では図示しない射出装置のノズルは、成形サイクル時間短縮のために常時スプルブッシュ64に当接している。
次に所定の遅延時間が経過すると、図示しない射出装置13のノズル12bからスプルブッシュ64を介して100〜400mm/secの射出速度により溶融樹脂を射出する。可動盤21および可動金型20のコア部53等は、射出時の圧力により、再び後退される。そのことにより可動金型20の可動枠部54は、コア部53よりも相対的に前方位置となり、固定金型16のキャビティ形成面62aと可動金型20のキャビティ形成面55aとの間隔は、図1に示される最初に型締力が及ぼされた位置と比較して最大50〜200μmほど広がる。また可動金型20のコア部53が後退することにより、ゲートP3の断面積が大きくなったキャビティC1,C2に溶融樹脂を射出することができ、溶融樹脂の流動損失を少なくすることができる。その結果、溶融樹脂を比較的低速・低圧で射出することができることから、特に導光板Pのゲート近傍に内部応力が発生することがないという利点がある。
そして射出装置13のスクリュ位置が所定の保圧切換位置に到達すると、射出制御から保圧制御に切換えられる。保圧制御に切替えられた後も型締シリンダ22によって高型締力による型締が行われ、保圧制御に切換してから一定時間後に型締力を減少される。または保圧切換と同時に、型締力を減少させるようにしてもよい。本実施形態では、型締力の低下と略同時に、図示しない駆動装置により、ゲートカッタ58を0.45〜0.8mm前進させ、ゲートP3の切断を行う。この際、可動金型20のゲートカッタ58と固定金型16の固定ゲートカッタ65が交錯されてゲートP3の切断が行われる。なおゲートカットの際、ゲートP3の溶融樹脂は完全に固化した状態でないことは言うまでもない。
そしてゲートカッタ58によりゲートP3の切断が行われた後は、ゲートカッタ58は前進位置に保持される。そのことにより射出装置13側からキャビティC1,C2内の溶融樹脂へは完全に保圧が及ばなくなるが、型締シリンダ22の駆動によって可動金型20が前進されることによりキャビティC1,C2内の溶融樹脂の圧縮を行うことができるので、冷却による収縮があっても、ヒケが発生せず、良好な転写成形ができる。またその間に射出装置13の加熱筒12aでは次の成形に使用する溶融樹脂の計量が行われる。そして冷却時間の終了前から可動金型20の可動枠部54とキャビティ形成ブロック55の間のエア通路、固定金型16のキャビティ形成ブロック62と当接ブロック66との間のエア通路等からキャビティC1,C2へ離型用エアの供給(エアブロー)を開始する。次に型締シリンダ22を作動させ圧抜、型開を順に行う。そして保圧完了から型開開始(圧抜を含む)までの冷却時間は、本実施形態では2.4秒である。
次に型締シリンダ22を作動させ、可動盤21および可動金型20を移動させ型開を行う。型開が開始された際、可動金型20の突き出しピン56先端の食い込み部56aにランナP2を含むスプルP1が食い込んでいるので、スプルP1は、固定金型16のスプルブッシュ64から抜き取られる。また導光板Pについても、凹状となった金型形状から可動金型20のキャビティ形成面55aに保持されたまま、型開がなされる。従ってゲートカットされたランナP2を含むスプルP1と導光板Pは両方とも可動金型20に分離された状態で保持され、型開方向に移動される。そして型開と同時に固定金型16では離型用エアの吹出が停止される。本実施形態では可動金型20の型開開始から型開完了までは0.5秒で行われるが、この型開時間は0.3〜0.6秒の間で変更可能である。なお型開ストローク(型開完了時の固定金型16と可動金型20の間隔に略等しい)は、60〜100mmである。
そして型開完了により発信された型開完了信号を受けて、第1の取出装置23の回転軸26が図1において反時計方向に回転され、アーム27と吸着保持部33等が待機位置A3から型開された可動金型20近傍の導光板Pと対向する位置に移動され停止される。次に前記回転軸26が型開方向に15〜30mm移動して、アーム27と吸着保持部33等が保持位置A1へ移動される。そのことにより吸着保持部33のカップ部34の吸着面34aが、導光板Pの固定金型16のキャビティ形成面62aによって転写成形された反射面にそれぞれ当接される。なお第1の取出装置23の吸着保持部33へのエア吸引は前記取出装置23の作動開始と同時に作動されているから、前記吸着面34aの当接と同時に吸着が行なわれる。その際の吸引力は、−50〜−120kpa程度であり成形直後の導光板Pに跡が付かないよう比較的弱い吸引力となっている。また吸着保持部33のカップ部34が多孔質の弾性材料(スポンジ)となっているので、吸着面34a全体が導光板Pに吸い付くので、より一層導光板Pに跡が付かない。更には本実施形態では成形サイクル時間が4.4秒と短いので、カップ部34は成形された導光板Pの熱が伝わり一定以上の温度になっている。よってその点も導光板Pに跡が付かない要素となる。
また第1の取出装置23が保持位置A1に移動すると同時に、V溝28内側のチャック30のチャック部材間に、スプルブッシュ64から抜き取られたスプルP1が正常に位置しているかが検出センサ31によって検出される。そして検出センサ31によりスプルP1が検出されると、電磁石式の作動装置によりチャック30が閉鎖され、ランナP2を含むスプルP1がチャック30に保持される。吸着保持部33による導光板Pの吸着と、チャック30によるランナP2を含むスプルP1の把持が行われると、第1の取出装置23の回転軸26およびアーム27は再度型閉方向に僅かに移動し、キャビティ形成面55aから導光板Pを離型するとともに、突き出しピン56先端の食い込み部56aからランナP2を含むスプルP1を外す。可動金型20における離型用エアの供給は、前記第1の取出装置23による導光板PおよびランナP2を含むスプルP1の離型の間も行われ、導光板P等の離型を補助する。なお可動金型の可動枠部の一部を外側に開いたり、キャビティ形成面を前進させたりすることにより更に導光板Pを取出し易くしてもよい。
次に第1の取出装置23の回転軸26が、図1において時計周りに回転され、二点鎖線で示される位置(第1の取出装置23と第2の取出装置24が図1において重なる位置)へアーム27が揺動されると回転軸26は回転が停止される。そして次に第1の取出装置23の回転軸26が再度型開方向に移動され、アーム27と吸着保持部33等が受渡位置(解放位置)A2へ移動される。本実施形態において第1の取出装置23の作動開始から導光板PとスプルP1が分離された状態で取出し、受渡位置(解放位置)A2まで移動するのに要する時間は、0.4秒であり、その間にも導光板Pの冷却が進行する。
第2の取出装置24は、受渡位置(解放位置)A2において第1の取出装置23から導光板Pを受取れるよう、図1における実線の位置にアーム40を停止して待機している。そして第2の取出装置24の吸着保持部41は導光板Pが当接される前からエア吸引がなされている。なお第1の取出装置23の吸着保持部33よりも第2の取出装置24の吸着保持部41の方が低い真空度で強力にエア吸引されている。そして第1の取出装置23が型開方向に移動し、導光板Pにおいて可動金型20のキャビティ形成面55aにより形成された面(本実施形態では出光面)が、第2の取出装置24の吸着保持部41に当接され吸着されると、第1の取出装置23の吸着保持部33はエア吸引が停止され、その後すぐに第1の取出装置23は後退して、導光板Pは第2の取出装置24に受け渡される。
また第1の取出装置23のチャック30に把持されたランナP2を含むスプルP1は、受渡位置(解放位置)A2においてチャック30が開いて、下方のシュータ44内へ落下される。なおチャック30が開いてスプルP1を落下させるのは、導光板Pの受渡しと同時でもよいが、スプルP1が落下される際に導光板Pに接触する可能性がある場合は、第1の取出装置23から第2の取出装置24へ導光板Pを受渡させ前記取出装置23を型閉方向へ後退させてからでもよい。そして第2の取出装置24への導光板Pの受渡しとスプルP1を落下させた後、第1の取出装置23のアーム27は、図1において一点鎖線で示される待機位置A3へ移動される。待機位置A3は可動金型20の移動領域に干渉しない金型からの熱の影響等も受けない範囲で、可動金型20等に近い位置の方が成形サイクル時間の短縮に寄与できる。
また第1の取出装置23が導光板Pを受渡した後、後退するのと同時に、第2の取出装置24は、第1の回転軸37が図1において反時計周りの方向に回転駆動され、第1の回転軸37に対して直角方向に固定された固定軸38が揺動される。また同時に前記固定軸38に回転可能に取付けられた第2の回転軸39も90°回転駆動され、前記第2の回転軸39の回転とともにアーム40の第1部材40aと傾斜して連設された第2部材40bも90°回転して吸着保持部41と保持された導光板Pが下側を向けられる。そしてアーム40が図1において二点鎖線で記載された解放位置B2まで揺動されると、第1の回転軸37の回転を停止してアーム40の揺動を停止する。次に吸着保持部41に対するエア吸引を中止し、反射面を下方にして導光板Pを解放し、ベルトコンベア42のゴムベルト43上に落下させる。本実施形態では、ゴムベルト43の移動方向に対して直交する方向に2枚の導光板Pが落下されるが、ゴムベルト43上に僅かな距離だけ落下させるので、導光板Pに傷がつくことはない。
そして導光板Pを解放した第2の取出装置24は、前記とは逆に第1の回転軸37および第2の回転軸39を回転駆動させ、再び受渡位置(待機位置)B1へ戻される。またベルトコンベア42は次の導光板Pが載置可能なように、間欠駆動されゴムベルト43が一定寸法だけ前方へ送られる。なお導光板Pはゴムベルト43上で更に冷却が進行し、その後に人手またはロボットにより梱包される。
なおこれらの第1の取出装置23と第2の取出装置24は、射出圧縮成形機11内に配設された図示しない取出装置用のコントローラに接続されており制御される。そして前記取出装置用のコントローラは、図示しない射出圧縮成形機11のコントローラに接続されている。従って射出圧縮成形機11から型開開始信号を受けて第1の取出装置23のエア吸引を作動させ、型開完了信号を受けて第1の取出装置23がアーム27の回転を開始させる。また第1の取出装置23のアーム27の作動に応じて第2の取出装置24のエア吸引の開始やアーム40の作動が行われる。また第1の取出装置23が可動金型20外部の受渡位置(解放位置)A2へ移動したことを受けて型閉開始信号が発信され型閉作動がなされる。本実施形態では可動金型20の型閉開始から型閉完了までの時間は0.5秒で行われるが、この型閉時間は0.3〜0.6秒の間で変更可能である。例えば射出圧縮成形機11や射出圧縮成形金型51の耐久寿命の点や計量の安定の点から型開速度、型閉速度の最高速を追求しない方がよい場合もある。
なお本実施形態において取出装置23,24をスイングアーム式とし、2台の取出装置23,24間で導光板Pを受渡位置で受渡しするようにした理由は、まず第1にサイクル短縮のためである。本実施形態では取出装置が導光板等の取出しに要する時間(型開完了され、第1の取出装置23のアーム27が待機位置A3から作動開始され、保持位置A1においての導光板Pの取出しを経て可動金型20の移動領域から出て受渡位置(解放位置)A2に到達されるまでの時間)は、0.4秒である。ただし前記時間は、0.15〜1.0秒の範囲が想定され、成形サイクル時間の短縮が強く要望される場合は、0.15〜0.4秒で行うことが可能である。また成形後の温度の高い導光板Pに、吸着保持部33の跡がより一層付きにくくするためには、吸着保持部33を当接させる速度を遅くすることや、可動金型20からより一層離型用エア吹出し(エアブロー)が行われるのを待つことが考えられるが、その場合、所要時間は1.0秒程度まで延ばすことが望ましい。
更には可動金型20の型開閉作動と、取出装置23の作動を一部重複させることにより更に0.3〜0.5秒程度の成形サイクル時間の短縮が可能である。例えば型開完了直前位置まで移動された可動金型20を検出し、取出装置23のアーム27を作動させることにより、型開作動とアーム27の侵入作動を重複させ、成形サイクル時間を短縮させることもできる。またアーム27と吸着保持部33が可動金型20の可動領域から外部に移動したことをリミットスイッチ等により検出し、受渡位置A2に到達する前に型閉開始信号を発信させることにより、型閉作動とアーム27の退出作動を重複させ、成形サイクル時間を短縮させることもできる。
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。スイングアーム式の第1の取出装置については、少なくともアームが揺動されるものであればよく、アーム全体が型開閉方向に移動せずに、アーム先端の吸着保持部のみが型開閉方向に移動されるようにしてもよい。また第1の取出装置を型開閉方向に移動可能とはせずに、第2の取出装置を型開閉方向に移動可能として受渡しをしてもよく、その場合は第1の取出装置へ金型から導光板を吸着させるために、別途金型に機構を設けるか可動盤を僅かに前進させるようにしてもよい。また第1の取出装置や第2の取出装置の載置位置も、ベッド、固定盤上、床上の載置台上など、それぞれ変更可能である。更にまた本発明は第1の取出装置により金型外部の解放位置へ導光板とスプルとが分離された状態で取出されるものであり、第2の取出装置は必須のものではない。例えばスイングアーム式の第1の取出装置のアームに更に回転駆動軸を増加させ、解放位置で導光板を水平状態として、直接コンベア上に解放・載置されるようにしてもよい。また第1の取出装置の吸着保持部については通常のゴム製パッドや複数段のベローズタイプでもよく材質もウレタンゴムやニトリルゴムなどでもよく限定されない。また取出装置としては、可動金型近傍の保持位置と金型外部の解放位置の間を水平方向に移動する水平移動式の取出装置を用いてもよい。その場合は、取出しに要する時間は、0.8〜2.2秒必要である。水平移動式の取出装置についても、導光板を吸着する吸着保持部と、スプルを把持するチャックが設けられ、導光板とスプルとが分離された状態で保持される。そして吸着保持部は、シリコンゴム等の多孔質の弾性材料が望ましい。
また本実施形態では対角寸法3インチの携帯電話用の導光板の射出圧縮成形金型について説明したが、導光板のサイズは対角寸法1.5インチ以上7インチ以下(面積換算で7.5cm2以上150cm2以下のものを含む、または四隅に角部を有さず前記面積のものを含む)のものが望ましい。そして対角寸法5インチ以下では複数個取り、6〜7インチでは1個取り金型が使用されることが多い。また導光板の形状は、板厚が均厚な導光板でも、板厚が入光面側から他側に向けて薄くなる楔型導光板であってもよく、バックライト等の光線を透過させるものであれば光拡散板、レンズ等も導光板の範疇に入るものとする。また導光板の成形に使用される樹脂については、ポリカーボネート(一例として出光興産のタフロンLC1500)について記載したが、光学性能に優れる樹脂なら他の樹脂でもよく、例としては、メタクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂などが挙げられる。そして樹脂により溶融樹脂の温度およびガラス転移温度が相違するから、ゲートカットのタイミング、冷却媒体の温度、および成形サイクル時間等も相違することは言うまでもない。
また本実施形態は、本実施形態の導光板Pは、板厚が0.4mmであるので射出圧縮成形方法が用いられるが、板厚が0.2〜0.4mm程度の場合は射出プレス方法を行うことも考えられる。射出プレスは、型閉位置において既にキャビティの間隔が広い状態で型締力が低い状態または0に近い状態から増圧を行うものであり、板厚が極めて薄いものでも比較的低速・低圧で射出することができる。図14の導光板の射出プレス方法を示すチャート図は、対角寸法3インチ、板厚0.3mm(均等板厚)の転写パターンを有する導光板を4.2秒の成形サイクル時間で成形する例を示している。この場合の冷却時間は2.2秒である。また本実施形態では水平方向に型開閉が行われる射出圧縮成形機に取付けられる射出圧縮成形金型について説明したが、垂直方向に型開閉が行われるものでもよい。
上記実施形態ではコア部53に対して可動枠部54が相対的に位置変更可能な平当金型と呼ばれるタイプについて説明したが、一方の金型の凸部が他方の金型の凹部内に嵌合され、その間に容積可変のキャビティが形成されるインロー金型と呼ばれるタイプについても本発明を適用することができる。また本実施形態では金型内においてゲートカッタにより完全にゲートが切断されるものについて記載したが、取出装置のチャックにスプルを導光板に対して移動させる作用や切断する作用等を持たせることにより、取出装置により導光板とスプルが分離されて取出されるものでもよい。