JP4042348B2 - インクジェット記録装置および気泡除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置および気泡除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からインクジェット記録装置のキャリッジに搭載されたインクジェット記録ヘッドでは、気泡による画質欠陥(インク滴不吐出)に対する対策が講じられている。
【0003】
気泡による画質欠陥は、共通液室において個別流路の端部が開口している部分に、個別流路の断面サイズよりも大きいサイズの気泡が付着し、開口部分を閉塞することによってインク供給が妨げられることによって発生する。
【0004】
この気泡を除去するには、従来、インク吐出口をキャップして負圧吸引することによって記録ヘッド内のインクと共に外部に排出することが一般的である。
【0005】
また、印字用のインク吐出口以外に、大きなサイズのダミーノズルを数個〜数十個設け、ダミーノズルからインクを吸引ることによって記録ヘッド内部の気泡を吸引除去するという方法も一般的である。
【0006】
上述の従来技術に関連して記録ヘッド内部で発生した気泡による画質欠陥を回復させるために、様々な提案がされている。以下、いくつかの例について説明する。
【0007】
特開昭63−224958号公報(以下、従来例1という)には、インク吐出口に対して弾性キャップを押し付け、内圧を高めた後に大気開放し、その後吸引回復動作を行なうことが開示されている。
【0008】
また、特開平2−78567号公報、特開平3−78567号公報(以下、従来例2という)には、記録ヒータとは別に加圧用ヒータを設け、加圧用ヒータによってダミージェットを打つことによって吐出回復のためのインク消費量を低減でき、回復時間の短縮を図ることが開示されている。
【0009】
さらに、特開平4−219253号公報(以下、従来例3という)には、吐出回復させるインク吐出口に隣接するインク吐出口のヒータを駆動することによって気泡を排出する構成が開示されている。
【0010】
また、特開平4−363253号公報(以下、従来例4という)には、回復モードにおいて、気泡を形成してインク吐出を行なえる最小限エネルギの1.48倍以上のエネルギを供給して1000回以上の予備吐出を行なう構成が開示されている。
【0011】
さらに、特開平5−155035号公報(以下、従来例5という)には、気泡の大きさが小さく、インク内に所定時間以内に拡散する場合には、インク内の拡散時間だけ印字を中止する構成が開示されている。
【0012】
また、特開平7−195711号公報(以下、従来例6という)には、記録用ヒータと別に気泡発生ヒータを設け、発生させた気泡と残留気泡を一体化させることで、確実に気泡を吸引する構成が開示されている。
【0013】
さらに、特開平8−58095号公報(以下、従来例7という)には、記録ヘッドとインク貯留部との間のインク流路断面は、全長の90%以上が直径1mm以下の円を外接円とする形状とすることによって、インク流路の流速が向上させ、インク吸引時に確実に気泡を排除する構成が開示されている。
【0014】
さらにまた、特開平8−169124号公報(以下、従来例8という)には、回復動作時に、記録時の吐出信号よりも高い周波数の吐出信号を加え、その後、吸引することによって回復させる構成が開示されている。
【0015】
また、インクジェット記録装置には、印字停止等によるノズルの目詰まりを防止あるいは目詰まりから回復させるために、従来から以下に示すような対策が提案されている。
【0016】
例えば、特開昭62−211150号公報(以下、従来例9という)には、インク供給路に加圧用インクを供給することで、ノズルよりインクを流出させてインクの目詰まりを解消すると共に、気泡を除去する構成が開示されている
また、特開昭63−53047号公報(以下、従来例10という)には、ノズルと往復動ポンプを連通させ、吸引動作を行うことによってノズルからインクを吸引し、回復動作を行う構成が開示されている。
【0017】
さらに、特開平5−229138号公報(以下、従来例11という)には、導電性インクを用いたインクジェット記録装置において、インク不吐出を検知した場合には、インク吐出電源の電圧を上昇させることによってインク不吐出を回復させる構成が開示されている。
【0018】
さらにまた、特開平7−186402号公報(以下、従来例12という)には、ノズル部をキャップで当接し、閉塞した状態で駆動することで、インクを無駄にせずに、ヘッドの昇温や回復が可能となる構成が開示されている。
【0019】
またさらに、特開2001−38925号公報(以下、従来例13という)には、 キャッピング手段には、少なくとも2つの離間した位置に配設された吸引口と吸引ポンプを有し、記録ヘッドの上流側のバルブを開いた状態で閉弁バルブを開状態とすると同時に、吸引ポンプを択一的、または同時に駆動する構成が開示されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1、6〜8等を含む負圧吸引によって気泡除去する従来技術には、以下のような不都合があった。
【0021】
先ず、吸引手段等が必要となるため、機構が複雑になると共に、廃インク量が増大してしまうという問題があった。
【0022】
また、写真などの高細精な画質を実現するためには、小さなインク量のインク滴を吐出する記録ヘッドが必要となる。したがって、このような記録ヘッドでは、インク吐出口や個別流路の断面が直径が数μm〜数10μm程度の円形あるいは一辺が数μm〜数10μm程度の矩形等になる。
【0023】
このように個別流路などの断面積が小さくなると流路抵抗が増大する。したがって、負圧吸引力をかなり高めないと記録ヘッドから気泡を吸引・除去する十分なインク流速が得られないという問題が生じていた。
【0024】
また、ダミーノズルによって気泡を排除する従来技術についても次のような不都合があった。
【0025】
すなわち、印字に寄与しないインク吐出口を形成するため記録ヘッドが大型化すると共に、記録ヘッド内の負圧が大きい場合には断面積の大きいダミーノズル用のインク吐出口から反対に気泡が共通液室内に引き込んでしまうという問題があった。
【0026】
なお、引例2の構成では、加圧用ヒータが別途必要になり、装置が複雑化してしまうという不都合があった。
【0027】
また、従来例3の構成では、吐出回復するインク吐出口(個別流路)を検出することが困難であると共に、隣接するインク吐出口からのインク吐出によって回復させるインク吐出口からより多くの気泡をヘッド内部に吸引する場合がある。
【0028】
さらに、従来例4の構成では、通常の印字のためのインク吐出と比較して過剰なエネルギでヒータを駆動するため、電気回路の信頼性やヒータの寿命に問題を生じる。
【0029】
また、従来例5の構成では、気泡の発生と共に印字を中止してしまうので、印字処理能力が低下する。
【0030】
一方、目詰まりを防止する従来技術についても、次のような不都合があった。
【0031】
すなわち、従来例9の構成では、加圧手段が必要となるために装置が大型化し、装置コストがかかるという問題や、加圧時の圧力でインク供給路接続部からインクが漏れるという危険があった。
【0032】
また、従来例10の構成では、吸引動作のためにポンプやソレノイドなどが必要となり、装置が大型化すると共に装置コストがかかるという問題があった。
【0033】
さらに、従来例11の構成では、電源電圧を可変させるために電源コストがかかるという問題と、電圧を上昇させても目詰まりを解消できない場合も多く、信頼性に問題があった。
【0034】
さらにまた、従来例12の構成では、全てのノズルをキャップで完全に閉塞することは実際的には難しいという問題と、キャップ部材に付着していた異物がノズルに付着してしまうという問題や、キャップが熱によってダメージを受けるという問題があり、信頼性に大きな問題があった。
【0035】
従来例13では、吸引ポンプが複数必要になって装置が大型化し、装置コストがかかるという問題とともに、印字に寄与しない廃インク量が多いという問題があった。
【0036】
そこで、上記不都合を解消するために、本願発明は、簡単な構成で画像欠陥を防止できるインクジェット記録装置および気泡除去方法を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、外部からインクが供給される共通液室と、共通液室に連通し、先端にインク吐出口が形成された個別流路と、個別流路に配設されインクを加熱することによってインク滴を吐出させる印字用発熱素子と、を備えるインクジェット記録ヘッドと、前記共通液室内に存在するインクが沸騰するまで、印字用発熱素子に対して駆動エネルギを印加する駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0038】
請求項1記載の発明の作用について説明する。
【0039】
印字動作等によって共通液室内に発生した気泡は、印字動作等によって成長して共通液室の個別流路側端部を塞ぐことによって個別流路に対するインク供給を阻害し、画質欠陥を発生させるおそれがある。
【0040】
しかしながら、気泡が共通液室からインク供給側に逃げるまで駆動手段によって印字用発熱素子を駆動する。すなわち、共通液室内部のインクが沸騰状態となり、インクの表面張力が低下して気泡の壁面に対する付着力が低下すると共に、気泡が膨張することによって浮力が増大し、共通液室の個別流路側端部から気泡が離間する。このように、印字用発熱素子を用いてインクを沸騰させることで、画質欠陥を回復することができる。
【0041】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記駆動手段がインク吐出用エネルギを印字用発熱素子に対して印加して、非印字用のインク滴吐出を連続的に行なうことによりインクを沸騰させることを特徴とする。
【0042】
請求項2記載の発明の作用についての説明する。
【0043】
駆動手段は印字用発熱素子に駆動エネルギを印加することによって、非印字用のインク吐出を連続的に行なうことによって個別流路内のインクを加熱する。この際、インクの温度上昇によって個別流路のインクリフィルが追いつかなくなり、インクメニスカス位置が個別流路の共通液室側端部まで後退する。
【0044】
この結果、発熱素子をインクの無い状態で駆動し、さらなる温度上昇をさせることで共通液室内のインクが沸騰状態となり、共通液室の個別流路端部においてインクの表面張力が低下すると共に気泡の膨張によって浮力が増大し、共通液室の個別流路側端部から離間する。したがって、画質欠陥の回復を行なうことができる。
【0045】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記駆動手段がインク吐出用エネルギよりも小さく、インクを吐出させないで、前記記録ヘッドを加熱するためのエネルギを前記印字用発熱素子に印加してインクを沸騰させることを特徴とする。
【0046】
請求項3記載の発明の作用についての説明する。
【0047】
駆動手段が印字用発熱素子にインク吐出用エネルギよりも小さく、インクを吐出させないで記録ヘッドを加熱するエネルギを印加するため、インク吐出口からインク滴が吐出されることはない。この状態で共通液室内のインクが沸騰するまで印字用発熱素子が駆動される。したがって、インクの温度上昇によってインクの表面張力が低下して気泡の壁面に対する付着力が低下すると共に、気泡が膨張するため浮力が増加して共通液室の個別流路側端部から離間する。したがって、画質欠陥の回復を行なうことができる。また、インクを沸騰させるためにインク吐出を行なわないため、気泡除去による廃インク量を低減させることができる。
【0048】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の発明において、記録ヘッドの温度を検出する温度検出手段を備え、前記温度検出手段が記録ヘッドの温度が設定沸騰温度に到達したことを検出することにより、前記駆動手段が前記印字用発熱素子に対する駆動エネルギの印加を停止することを特徴とする。
【0049】
請求項4記載の発明の作用についての説明する。
【0050】
温度検出手段が、記録ヘッドの温度が設定沸騰温度に到達したことを検出することにより、発熱素子に対する駆動エネルギの印加を停止する構成としたため、共通液室内のインクを確実に沸騰させることができる。
【0051】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記設定沸騰温度はインクの沸点以上の温度であることを特徴とする。
【0052】
請求項5記載の発明の作用についての説明する。
【0053】
一般的に記録ヘッドの温度が設定沸騰温度以上になった場合には、記録ヘッド内部の共通液室内部でもインク温度が沸点以上となってインクが沸騰する。したがって、記録ヘッドの温度が設定沸騰温度となるまで印字用発熱素子を駆動することによって、共通液室の個別流路側端部を塞ぐ気泡を除去することができる。
【0057】
請求項記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明において、前記温度検出手段が設定沸騰温度に到達した後、記録ヘッドの温度が設定冷却温度まで低下したことを検出したことにより、前記駆動手段が前記発熱素子にインク吐出用エネルギを印加して、非印字用のインク滴吐出を行うことを特徴とする。
【0058】
請求項記載の発明の作用について説明する。
【0059】
インクが沸騰した後、冷却すると増粘してしまう。このように変質(増粘)したインクをそのまま記録ヘッド内部に存在させると、目詰まりの原因や印字性能の劣化につながる。そこで、本発明では、共通液室内のインクを沸騰させたら、設定冷却温度まで冷却後に発熱素子にインク吐出用エネルギを印加することによって、インク吐出をさせることで増粘したインクを外部に吐出するものである。なお、設定冷却温度とは、沸騰によって共通液室側まで移動したインクメニスカス位置が所定位置まで復帰する、すなわちインク吐出可能となる温度である。
【0060】
請求項記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記設定沸騰温度は、インクリフィルが追いつかず個別流路に形成されるインクメニスカス位置が発熱素子よりも共通液室側に形成される温度であることを特徴とする。
【0061】
請求項記載の発明の作用について説明する。
【0062】
印字用発熱素子を連続的に使用するとインクの温度上昇に伴なってインクのリフィルが追いつかず、インクメニスカスが個別流路の共通液室側端部まで移動してしまう。この結果、高温のインクが個別流路の共通液室側端部近傍に到達する。したがって、共通液室の個別流路側端部に付着した気泡を除去することができる。
【0063】
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項記載の発明において、前記個別流路において、共通液室側端部の断面積が発熱素子配設部分の断面積よりも小さいことを特徴とする。
【0064】
請求項記載の発明の作用について説明する。
【0065】
駆動手段によって発熱素子を駆動してインク吐出口からインク滴を吐出する場合、個別流路において共通液室側端部の断面積が発熱素子配設部分の断面積よりも大きいためバブルポイント圧力が十分に大きくなる。したがって、個別流路の共通液室側端部にインクメニスカスが位置していてもインク供給系の負圧によって共通液室内部に空気が吸い込まれることを抑制できる。
【0066】
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項記載の発明において、前記共通液室にインクを供給するために当該共通液室に隣接して設けられ、膨張した気泡が前記共通液室から離間可能な容積を有するインク供給室を備えることを特徴とする。
【0067】
請求項記載の発明の作用について説明する。
【0068】
共通液室の個別流路側端部を付着している気泡がインクの温度上昇によって膨張しつつ当該端部から離間する。しかしながら、共通液室にインクを供給するのが狭い流路の場合、膨張した気泡が当該流路を塞いだりしてインク供給に影響を及ぼすおそれがある。しかし、共通液室に隣接して設けられたインク供給室が膨張した気泡を共通液室から離間可能な容積を有するため、気泡が共通液室から確実に離間し、インク供給に影響を及ぼす可能性を抑制することができる。
【0069】
請求項10記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項記載の発明において、印字枚数を検出する印字枚数検出手段を備え、前記印字枚数が画質欠陥を生じる枚数より小さい所定枚数に到達する毎に、駆動手段によって印字用発熱素子を駆動させ、記録ヘッドの温度を前記設定温度以上とすることを特徴とする。
【0070】
請求項10記載の発明の作用について説明する。
【0071】
共通液室では、印字に伴なって気泡が増大していく。したがって、気泡が共通液室の個別流路側端部を塞いで画質欠陥を生じる印字枚数よりも小さい所定枚数毎に、記録ヘッドの温度を設定沸騰温度以上とすることによって、共通液室内から気泡を除去して画質欠陥を抑制する。
【0072】
請求項11記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項記載の発明において、インク滴の累積吐出回数を検出する累積吐出回数検出手段を備え、前記累積吐出回数が画質欠陥を生じる累積吐出回数より小さい所定回数に到達する毎に、駆動手段によって印字用発熱素子を駆動させ、記録ヘッドの温度を前記設定沸騰温度以上とすることを特徴とする。
【0073】
請求項11記載の発明の作用について説明する。
【0074】
共通液室では、印字に伴なって気泡が増大していく。したがって、気泡が共通液室の個別流路側端部を塞いで画質欠陥を生じる累積吐出回数より小さい所定回数毎に、記録ヘッドの温度を設定沸騰温度以上とすることによって、共通液室内から気泡を除去して画質欠陥を抑制する。
【0075】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項記載の発明において、外部から前記駆動手段にヘッドクリーニング命令が入力可能なヘッドクリーニング入力手段を備え、前記ヘッドクリーニング入力手段から入力されたヘッドクリーニング命令に基づいて、駆動手段によって印字用発熱素子を駆動させ、記録ヘッドの温度を前記設定沸騰温度以上とすることを特徴とする。
【0076】
請求項12記載の発明の作用について説明する。
【0077】
ユーザーがヘッドクリーニング手段から駆動手段にヘッドクリーニング信号を入力することによって、記録ヘッドの温度を設定沸騰温度以上として共通液室内のインクを沸騰させることにより気泡を確実に除去することができる。
【0078】
請求項13記載の発明は、外部からインクが供給される共通液室と、共通液室に連通し、先端にインク吐出口が形成された個別流路と、個別流路に配設されインクを加熱することによってインク滴を吐出させる印字用発熱素子と、を備えるインクジェット記録ヘッドと、前記共通液室内に存在するインクが通常沸騰する通常沸騰温度になるまで、印字用発熱素子に対してインク滴を吐出しない駆動エネルギを印加する駆動手段と、前記共通液室内のインクが通常沸騰温度になったことを検出する検出手段と、を備え、前記検出手段が通常沸騰温度になったことを検出した後、駆動手段が印字用発熱素子に対して非印字用のインク滴を吐出する印字用駆動エネルギを印加することを特徴とする。
【0079】
請求項13記載の発明の作用について説明する。
【0080】
長期間印字せずにいた場合等、記録ヘッド内部のインクが蒸発によって増粘し、インク吐出口に目詰まりを生ずる。一方、インク粘度はインク温度に依存しており(図13参照)、インク温度を上昇させることでインク粘度が低下する。そこで、印字用発熱素子にインク滴を吐出しない駆動エネルギを印加することによって通常沸騰温度になるまで印加する。
【0081】
この結果、目詰まりを生じている増粘したインクの粘度が低下する。ここで、印字用エネルギを発熱素子に印加することによって、非印字用のインク吐出(ダミージェット)を行って増粘したインクを記録ヘッドの外部に排出する。これによって、インクの目詰まりを解消する。なお、通常沸騰温度とは、インク蒸発量が0〜20%であるインクの沸騰温度である。したがって、目詰まりを生ずるとき(インク蒸発量が50%以上の場合)には、インクが沸騰しないことになる。したがって、インクの沸騰によってインクメニスカス位置が変動してダミージェットの噴射まで時間を要することもない。
【0082】
請求項14記載の発明は、外部からインクが供給される共通液室と、共通液室に連通し、先端にインク吐出口が形成された個別流路と、個別流路に配設されインク滴を吐出させるインク吐出手段と、を備えるインクジェット記録ヘッドと、前記記録ヘッドの温度が前記共通液室内に存在するインクが沸騰する設定沸騰温度に到達するまで印字用発熱素子に対して駆動エネルギを印加する駆動手段と、を備えたインクジェット記録装置において共通液室の個別流路側端部を閉塞する気泡を除去する気泡除去方法であって、記録ヘッドの温度が前記設定沸騰温度に到達するまで駆動手段を駆動することにより、共通液室の個別流路側端部からインク供給側に気泡を除去することを特徴とする。
【0083】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置について図1〜図10を参照して説明する。
【0084】
インクジェット記録装置10は、図2に示すように、キャリッジ12に保持されたインクジェット記録ヘッドカートリッジ(以下、カートリッジという)14がガイドシャフト16に沿って矢印A方向に走査され、矢印B方向に搬送される用紙18に印字する構成である。
【0085】
カートリッジ14の先端には、インク滴を吐出するヘッドチップ(以下、記録ヘッドという場合がある)20が配設されている。
【0086】
記録ヘッド20は、図3および図4(A)(B)に示すように、発熱素子基板26および流路基板28が保護層29を介して接合されることによって形成されており、一端面(インク吐出面)に形成された複数のインク吐出口30と、インク吐出口30に連通する個別流路32と、全ての個別流路32と連通しノズル配列方向に延在する共通液室34と、個別流路32に面して配設される印字用発熱素子(以下、発熱素子という)36と、から基本的に構成される。
【0087】
ところで、記録ヘッド20の上部には、共通液室34に連通する開口部40が形成されており、記録ヘッド20に接続されるインク供給体42のインク供給室44が接続されている。
【0088】
また、共通液室34の下部に相当する発熱素子基板26の表面(保護層29の下側)には、記録ヘッド20(共通液室内のインク)の温度を検出するための温度センサ46が配設されている。
【0089】
さらに、記録ヘッド20の個別流路32は、図4(B)に示すように、流路の幅が共通液室側とインク吐出口側で狭くなる上流絞り部72と下流絞り部74が形成されている。これは、インク滴吐出時のエネルギ効率向上を図ると共に、流路幅(断面積)を狭くすることによってバブルポイント圧力を高めることを目的としている。すなわち、後述する気泡除去制御においてダミージェット(非印字用インク吐出)を連続的に行なうことによりインクリフィルが追いつかない状態になったとき、インクメニスカス(空気)を共通液室内に進入させないためである。本実施形態のインクジェット記録ヘッド20では、15000Pa程度のバブルポイント圧力となるようにインクの表面張力および上流絞り部72の流路断面積が設定されている。
【0090】
また、インクジェット記録装置10は、図5に示すように、インク吐出や気泡排除などの制御を行なう制御部50を備える。
【0091】
制御部50は、CPU52、ROM54、RAM56を備え、バス60で接続されいる。ROM54には気泡除去制御プログラムが格納されており、このプログラムに基づいて発熱素子36を駆動制御することによって気泡を除去する。また、制御部50は、発熱素子36に対する駆動用のパルス信号を出力するパルス出力器62および温度センサ46、さらにユーザーが後述する気泡除去制御を指示するためのクリーニングボタン64と、バス60を介して接続されている。
【0092】
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について説明する。
【0093】
先ず、印字動作について簡単に説明する。この場合には、画像データが制御部50に入力されることによって、制御部50から画像データに対応する印字駆動信号がパルス発生器62に出力され、発熱素子36にパルス幅2.5μsecの印字用パルス信号が印加される。この結果、発熱素子36上のインクが膜沸騰を起こして気泡が発生し、インク吐出口30からインク滴が吐出され、印字が行なわれる。
【0094】
この際、記録ヘッド20の温度が温度センサ46によって常時モニタリングされ、温度が印字リミッタ温度に到達すると、一旦印字動作を停止して所定温度まで低下させてから印字再開させている。これは、個別流路32内のインクの温度上昇によりインクリフィルが遅れ、発熱素子36上にインクがない状態で発熱素子36が駆動されることによって、インク滴が吐出されない画質欠陥を防止するためである。
【0095】
次に、気泡除去制御について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0096】
先ず、電源が投入されることによって温度センサ46によって記録ヘッド20の温度が検出され、制御部50のRAM56に格納される(ステップ100)。
【0097】
次に、インクジェット記録装置10の図示しない枚数カウンタで累積印字枚数のカウントを開始する(ステップ102)。
【0098】
続いて、制御部50に画像データ信号が入力されているか否かに基づいて印字中か否かを判定する(ステップ104)。
【0099】
印字中の場合には、累積印字枚数がN枚に到達したか否かを判定し(ステップ106)、累積印字枚数がN枚に到達するまで上述のステップ100〜104を繰り返し、累積印字枚数がN枚に到達すると後述する気泡除去制御を行なうことによって、共通液室34の個別流路側端部を閉塞する気泡を除去する(ステップ110)。
【0100】
インクジェット記録装置10では、使用に伴なって共通液室34内の気泡量が増大していくため、画質欠陥が発生するおそれが増加する。そこで、累積印字枚数が所定枚数(N枚)に到達する毎に後述する気泡除去制御を行なうことによって、画質欠陥の回避を図るためである。
【0101】
一方、非印字中の場合には、制御部50に対してクリーニングボタン64からクリーニング命令が入力されたか否かを判定し(ステップ108)、入力されていない場合には、上述のステップ100〜104を繰り返し、クリーニング命令が入力されると後述する気泡除去制御を行なう(ステップ110)。
【0102】
これは、例えば、ユーザーが印刷物をみて画質欠陥を確認してクリーニングボタン64からクリーニング命令を入力した場合等には、累積印字枚数がN枚に達していなくても気泡除去制御を行なって画質欠陥から回復させるためである。
【0103】
気泡除去制御の終了後、枚数カウンタをリセットする(ステップ112)。次の制御時に累積印字枚数を再び0からカウントするためである。
【0104】
続いて、電源OFFか否かを判定し(ステップ114)、電源OFFされるまで上述の制御を繰り返す。
【0105】
次に、気泡除去制御について図7のフローチャートおよび図1、図8を参照して詳細に説明する。
【0106】
先ず、印字中であればCPU52からパルス発生器62に対して駆動停止信号が出力され、パルス発生器62からのパルス信号の出力が停止されることにより発熱素子36の駆動(印字動作)が停止される。
【0107】
続いて、CPU52からの移動信号が図示しないキャリッジドライバに出力され、キャリッジ12がダミージェット位置Pに移動させる(ステップ202)
この時点において、累積印字枚数がN枚(あるいは画質欠陥を生じる程度)に達しており、図1(A)、図8(A)に示すように、共通液室34内に多数の気泡70が発生した状態となっている。したがって、気泡70Aが共通液室34の個別流路側端部に付着して、個別流路32を閉塞するものがでてくる。
【0108】
この状態で印字動作を継続すると共通液室34から個別流路32にインク供給ができず、画質欠陥を生じてしまう。
【0109】
そこで、CPU52において印字用パルス信号(パルス幅2.5μsec)よりもパルス幅の小さい短駆動パルス信号(パルス幅1.0μsec)が設定され、パルス発生器62を介して全発熱素子36に対して短駆動パルス信号が印加され、N3回の発熱素子36の駆動が行なわれる(ステップ204、206)。ここで、発熱素子36の駆動は、印字用パルス信号(パルス幅2.5μsec)よりもパルス幅の小さい短パルス信号(パルス幅1.0μsec)によって行なわれるため、インク吐出口30からインク滴が吐出されず、個別流路32内のインクが加熱されるだけである。
【0110】
この加熱動作により記録ヘッド20の温度(以下、ヘッド温度という)がT3℃以上(インク沸点以上、例えば110℃)に到達したか否かを温度センサ46の出力に基づいて判定し、ヘッド温度(共通液室内のインク温度)がT3℃に到達するまでN3回の加熱動作を繰り返す(ステップ206、208)。例えば、N3回が5回であれば、図11に示すように、ヘッド温度が変化して110℃(T3℃)を超えるものである。
【0111】
このように加熱動作を連続的に行なうことにより、共通液室34内のインクが沸騰して気泡を外部に排除する。この過程について以下、説明する。なお、ここで説明する共通液室34でインクの沸騰現象が生じる条件は、800dpiのノズル配列で、総ノズル数512の記録ヘッドに対して、駆動周波数20kHz、駆動電圧32V、駆動電流100mA、駆動パルス2.5μsecの駆動パルス信号が入力された場合である。
【0112】
先ず、ヘッド温度がある程度上昇し、気泡70が膨張すると共に、インクの表面張力の減少によって気泡70Aの共通液室34の壁面に対する付着力が低減する。この結果、気泡70Aが他の気泡70と合体して一体化し始める(図1(B)、図8(B)参照)。
【0113】
さらに、加熱動作を連続的に行なうことによってヘッド温度がT3℃を越えると、個別流路32に対するインクのリフィルが追いつかなくなり、個別流路32にインクがない状態で発熱素子36が駆動される空吐出状態となる。すなわち、全個別流路32におけるインクメニスカス位置が共通液室側端部となる。
【0114】
この結果、図1(C)、図8(C)に示すように、個別流路32の共通液室側端部に付着していた気泡70Aは、付着部分を急激に加熱されることにより付着力が大幅に低下すると共に膨張して他の気泡70と一体化する。一体化した気泡70Bは共通液室34の上方に移動し、インク供給口40からインク供給室44側に移動しようとする。
【0115】
ヘッド温度がT3℃を越えた時点で、CPU52からの停止信号によってパルス発生器62は短駆動パルス信号の出力を停止する。この結果、発熱素子36の駆動が停止され、ヘッド温度がT4℃(例えば、40℃)に下がるまで自然冷却させる(ステップ208、210)。
【0116】
この自然冷却期間に大型化した気泡70Bは、浮力によってインク供給口40からインク供給室44に移動し、共通液室34から個別流路32の端部を塞いで画質欠陥を生ずる気泡70を除去することができる(図1(D)参照)。また、記録ヘッド20の冷却によってインク温度も低下し、共通液室34内に残存した気泡70Cも十分小さな(個別流路32の共通液室側端部断面よりも小さい)サイズまで縮小する(図8(D)参照)。
【0117】
一方、共通液室34内で沸騰したインクは、その後、自然冷却によって温度低下していく。ヘッド温度がT4℃まで冷却された場合には、全発熱素子36に対して印字用パルス信号(パルス幅2、5μsec)を印加して、ダミージェットをN4(例えば、3000)回行う(ステップ212)。
【0118】
続いて、キャリッジ12をガイドシャフト16に沿って走査させることによって、図示しないワイピング部材と記録ヘッド20のノズル面20Aを摺動させ、ノズル面から固化したインク等を除去する(ステップ214)。
【0119】
このような動作をインク冷却後に行うことによって、沸騰後に冷却されたことによって増粘しているインクが、ノズル先端において固化して、インク吐出方向を変化させたり、インク吐出不能にさせることを確実に回避できる。
【0120】
このように、ダミージェットおよびワイピング処理が終了した時点において、気泡除去制御前に印字中であれば印字を再開し、非印字中であれば印字待機状態に復帰する(ステップ212、214)。
【0121】
この気泡除去制御の作用について説明する。
【0122】
すなわち、ヘッド温度が共通液室34内のインクが沸騰するT3℃以上になるまで発熱素子36に短駆動パルス信号を印加して連続的駆動することによって、共通液室34内の個別流路側端部を塞ぐ気泡70Aを壁面から離間させると共に、他の気泡70と一体化させて共通液室34のインク供給口40からインク供給室44に移動させることができる。
【0123】
特に、共通液室34の個別流路側端部で、通常のダミージェットによってインク吐出口30から排出することのできない、隣接する複数の個別流路32を塞ぐような気泡であっても共通液室34から良好に除去することができる。
【0124】
したがって、共通液室34において個別流路32を塞ぐ気泡を排除するために、 気泡排出用のダミーノズルを設けることや、バキューム装置等の特別な手段を付加することなく、簡単な構成で気泡を良好に除去できる。
【0125】
また、共通液室34内のインクを沸騰させる場合に、印字用パルス信号(パルス幅2.5μsec)と比較してパルス幅の小さい短パルス信号(パルス幅1.0μsec)を発熱素子36に印加してインクを加熱しているため、加熱のためにインク吐出を行うことはなく、インクの浪費を回避すると共に廃インクの増加を防止できる。
【0126】
なお、加熱動作を連続して行ないヘッド温度をT3℃まで上昇させることにより、個別流路32の共通液室側端部に位置するインクメニスカスから気泡を吸入するおそれがあるが、個別流路32に発熱素子36の配設部分よりも幅を減少させた上流絞り部72を設けたことによって空気の吸い込みを防止している。
【0127】
この、空気の吸い込みについて比較例のインクジェット記録ヘッド80を参照して説明する。図9に示すように、インクジェット記録ヘッド80では、個別流路32の幅が一定とされている。したがって、上述の気泡除去制御においてヘッド温度がT3℃以上となるまで加熱動作を連続的に行なうと、流路抵抗が低いため、インク供給系の負圧によってインクメニスカスが共通液室内まで進入し、共通液室34内に空気を引き込んでしまう。この結果、共通液室34およびインク供給室のインクがほとんど空になってしまうため、全インク吐出口30で印字(インク吐出)不能となる。この状態から印字可能状態に回復させるためには、記録ヘッド80を負圧ポンプで吸引して、インク供給室、共通液室および個別流路にインクを再充填しなけばならなくなる。
【0128】
これに対して、本実施形態の記録ヘッド20では、個別流路32に上流絞り部72を形成しているため、気泡除去制御においてインクリフィルが追いつかない状態でダミージェットを行なっても、上流絞り部72のバブルポイント圧力が高いためインクメニスカスが共通液室34内まで入りこんで外部から空気(気泡)を共通液室34内に導入することを確実に防止できる。したがって、上述の気泡除去制御によって共通液室34の気泡を確実に除去することができる。
【0129】
なお、個別流路32の共通液室側端部に気泡が付着してインク供給が阻害されることを防止するためにと記録ヘッド20を次のように構成することも考えられる。
【0130】
すなわち、図10に示すように、共通液室34の個別流路32側に、個別流路32の端部に対して一定の距離をおいて個別流路32の配列方向に一定の間隔(個別流路32の流路幅以下)をあけてピラー82を形成する。したがって、ピラー82と個別流路32の共通液室側端部との間には、個別流路32の配列方向にパス84が形成されている。
【0131】
このように形成することで個別流路32の共通液室側端部を閉塞可能なサイズの気泡70は、ピラー82間を通過できず、ピラー82に付着することになる。したがって、個別流路32の共通液室側端部が気泡70によって閉塞されることはなく、気泡70が付着していないピラー82の間からパス84を介して個別流路32にインクを供給できる(図10、矢印参照)。
【0132】
なお、本実施形態では、インクを吐出させない短パルス信号を発熱素子36に印加させることによって加熱動作を行ったが、印字用パルス信号を発熱素子36に印加して、非印字用インク吐出(ダミージェット)を行う方法によって加熱しても良い。この場合には、印字用パルス信号のみで加熱動作(気泡除去制御)もできるという利点がある。
【0133】
なお、本実施形態では、インクを予熱させるために発熱素子36に印加するパルス幅を変調させたが、発熱素子36に印加するエネルギを小さくできるものであれば、印加電圧レベルを下げる等、他の方法でもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0134】
カートリッジ14は、図12に示すように、第1実施形態と同様の記録ヘッド20と、記録ヘッド20にインクを供給するインク供給体22と、記録ヘッド20の放熱性を確保するヒートシンク24とから基本的に構成される。
【0135】
インク供給体22は、略直方体の箱体の下端部の一方の角部に開口部が形成された形状であり、前記開口部に記録ヘッド20が弾性シール部材90を介して装着されている。記録ヘッド20がインク供給体22に一体化されることによって、インク供給体22に内部には、フィルタ92によって2分割された略直方体のインクタンク室94とインク供給室96が形成されている。
【0136】
インク供給室96は、記録ヘッド20に対して十分大きな容積を確保することによって、また、水平方向断面(図面横方向)を大きく確保することによって、共通液室34からインク供給室96に移動した気泡70が確実に浮上して記録ヘッド20のインク供給口40から離間できるように構成したものである。
【0137】
なお、インクタンク室94は、外部のメインインクタンクやカートリッジ14の上部に着脱自在となれるサブインクタンク等からインク供給可能とされている(図示省略)。
【0138】
また,カートリッジ14の配置方向は、少なくともインクタンク室94、インク供給室96、インク吐出口30(個別流路32)は、この順で重力方向下方に配置することが気泡除去制御のために必要である。
【0139】
このように構成されるインクジェット記録装置の作用について説明する。
【0140】
上述の気泡除去制御によって共通液室34のインク供給口40からインク供給室96に移動した気泡は、気泡自身の浮力によってインク供給室96内部を重力方向上方、すなわちインクタンク室94に移動する。このように、インク供給室96の容積を十分大きく確保することによってインク供給口40からインク供給室96に排出された気泡70Bがインク供給口40の近傍で壁面に付着して共通液室34に対するインク供給を阻害するということを防止できる。
【0141】
なお、インク供給室96において、インク流れ方向に直交する断面(水平方向断面)を大きくすることによって、インク流れに抗して気泡70Bが確実に浮上するように次のように設計することができる。
【0142】
すなわち、インク供給室96で気泡に作用する浮力と抗力を考えると以下のようになる。
【0143】
インク供給室内のインク流れ方向の最小断面積をS、印字中の平均インク流量をQ、インク密度をρ、重力定数をg、抵抗係数をCd、気泡直径をdとした場合に、気泡に作用する抗力をF1とすると、
F1=[(Q/S)2×Cd×ρ×π×d2]/8 …(1)
となる。
【0144】
また、気泡に作用する浮力をF2とすると、
F2=(ρ×g×π×d3)/6 …(2)
となる。
【0145】
したがって、気泡に作用する浮力F2の方が、インク流れによる抗力F1よりも大きくなる(F2>F1)と、すなわち、
(ρ×g×π×d3)/6>[(Q/S)2×Cd×ρ×π×d2]/8 …(3)
の式が満たされると、気泡は鉛直上方向(本実施形態ではヘッドの個別流路32側からフィルタ92側)に浮力によって上昇することになる。
【0146】
また、抵抗係数Cdは、レイノルズ数Re<1のときにはCd=24/Reが成立しており、インク粘度をμ、インク流速をvとしたときに、レイノルズ数ReはRe=ρ×v×d/μとかけるから(1)式を整理すると、
F1=3×π×μ×v×d …(4)
となる。
【0147】
(3)式に(4)式を代入して気泡直径dについて整理すると、
d>[(18×μ×v)/(ρ×g)]1/2 …(5)
が求まる。この気泡直径dは、浮力F2がインク流れの抗力F1よりも大きくなる気泡直径を示す。したがって、この気泡直径dが気泡70Bの直径よりも小さくなるように最小断面積Sを設計すれば、確実に気泡70Bが浮上することになる。
(試験)
以上の作用を確認するために、実施例(第3実施形態のインクジェット記録装置)について実際に所定枚数の連続印字動作を行ない、その後、第1実施形態に示す気泡除去制御を行なうことによる気泡量の変化を調べた。
【0148】
試験例のヘッドの印字仕様は、800dpiの解像度で512個のインク吐出口(個別流路)を有し、印字周波数が20kHz、ドロップ量が5pl、印字速度はA4サイズで5ppm(枚/分)と設定されている。また、実施例におけるインク供給室96の流れ方向の断面積Sは300mm2となっている。
【0149】
なお、試験例に用いたインクは、インク粘度μ=2.01Pa・sec、インク密度ρ=1050kg/mm3であった。また、印字評価に用いた画像は、印字率15%のものである。
【0150】
試験結果を表1に示す。
【0151】
【表1】
Figure 0004042348
【0152】
このように、実施例では、200枚、400枚、1000枚連続印字後、それぞれ気泡除去制御を行なうことによって、共通液室内の気泡をほとんど(98%〜99%)除去することができることが確認された。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0153】
本実施形態では、インクジェット記録装置における目詰まりの解除方法について説明する。すなわち、インクジェット記録装置を長期間使用せずにいると、記録ヘッドに供給されているインクから水分が蒸発していき、インクの粘度が増加してしまう。この結果、個別流路32においてインクの目詰まりを生じたり、ノズル面にインクが固着してインク滴の吐出方向に影響を与えることによって、印字性能が低下することが生じてしまう。
【0154】
この現象(以下、目詰まりという)を解消するために、インクの粘度とインク温度の関係を用いて対処する方法である。
【0155】
先ず、インクの粘度が蒸発(水分の減少)や温度によってどのように変化するかについて説明する。
【0156】
図13は、本発明のインクジェット記録装置で使用される3種のインクにおける、粘度と温度の関係を示したグラフである。
【0157】
ここに示すインク1〜3は、例えば、以下のような構成である。なお、このインク組成は、あくまで一例であり、異なる組成のインクに対しても本発明が適用可能である。
(インク1)
・色材A 28.6 重量部
・ジエチレングリコール 15 重量部
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル
(オキシエチレン=30モル) 0.03重量部
・NaOH 0.07重量部
・純水 56.3 重量部
上記組成成分を混合後、1μmのメンブランフィルターでろ過して得たものである。
(インク2)
・色材A 28.6 重量部
・ジエチレングリコール 15 重量部
・2−プロパノール 3 重量部
・尿素 6 重量部
・NaOH 0.07重量部
・純水 47.33重量部
上記組成成分を混合後、1μmのメンブランフィルターでろ過して得たものである。
(インク3)
・色材B 29.6 重量部
・ジエチレングリコール 15 重量部
・2−プロパノール 3 重量部
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル
(オキシエチレン=30モル) 0.1 重量部
・尿素 6 重量部
・N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノ
エタンスルホン酸 1.2 重量部
・NaOH 0.24重量部
・純水 44.86重量部
上記組成成分を混合後、1μmのメンブランフィルターでろ過して得たものである。
【0158】
上記インク1〜3のいずれでも、図13に示すように、インク温度が上昇するほど、インク粘度は低下することがわかる。通常の印字条件では、インク温度は35℃から50℃程度になっているので、インク粘度としては、1.25〜2.0mPa・sec.程度の値となっている。
【0159】
しかし、長期間、印字が行われない状態で放置されたインクジェット記録装置(記録ヘッド)では、インク吐出口30からインクが蒸発していくことで、徐々に記録ヘッドの共通液室内のインク粘度が増大していく。
【0160】
水ベースのインクの場合には、インク組成としては、水、保湿剤、色材(染料または顔料)、その他添加剤といった構成になっている。このうち大部分は水(60〜80%程度)と、保湿剤(10〜20%程度)である。
【0161】
図14は、インク2の蒸発量と粘度の関係を示したグラフである。インクの蒸発が進んで、80%程度が蒸発した場合には、23℃でのインク粘度は、2.3mPa・secから7.6mPa・secへと、3倍以上に増粘している。インク蒸発の大部分は、水の蒸発である。その意味では、インク中の水分がある程度蒸発した段階で、それ以上の蒸発は抑制されることになる。インク2の場合には、蒸発量が80%程度で飽和状態になり、これ以上の蒸発が起こらないことがわかる。
【0162】
しかし、記録ヘッドの共通液室34内のインクが7.6mPa・sec.まで増粘すると、発熱素子36に対する印字パルス信号の印加では、インク吐出口30からインクを吐出することができず、吸引メンテナンスなどで強制的にインク吐出口30から、増粘インクを排出することで、従来回復させていた。
【0163】
図15は、80%蒸発後の増粘したインク2のインク温度と粘度の関係を示したものである。この結果から、蒸発によって増粘したインクであっても、温度をインクの通常沸点(100℃)程度まで上昇させれば、2.1mPa・sec.という非常に低い値まで、粘度を低下可能なことが分かる。
【0164】
図16は、蒸発量とインク沸点(沸騰温度)との関係を示したものである。ここに示すように、インク沸点は蒸発量に応じて増加することがわかる。したがって、蒸発量が80%の増粘したインク2を通常(蒸発量0〜20%)時の沸点程度まで温度上昇させても沸騰しないことがわかる。
【0165】
本実施形態は、上記知見に基づいて、インクの目詰まりを解消するものである。
【0166】
具体的な目詰まり解消制御を図17、図18のフローチャートを参照して説明する。
【0167】
先ず、インクジェット記録装置10の電源がONされることによって、制御部50では、図示しないタイマによって前回の印字時からの印字停止期間を検出する(ステップ300)。
【0168】
続いて、制御部50では、検出された印字停止期間が設定された設定期間よりも長いか否かを判定する(ステップ302)。これは、上述のように、印字停止期間が長期間にわたると、インク吐出口30からのインクの蒸発が進行して、記録ヘッド20(共通液室34)内部のインクが増粘して目詰まりを生ずると考えられるから、設定停止期間と比較することによって目詰まり状態(インク粘度)を判定するものである。
【0169】
ここで、印字停止期間が設定期間よりも小さい場合には、さらにクリーニング命令がユーザーから制御部50に入力されているか否かを検出する(ステップ304)。
【0170】
ユーザーの指示があれば、上記判定とは別に後述する目詰まり解消制御を行うものである。
【0171】
したがって、印字停止期間が設定期間以上である場合(ステップ302でYES)、あるいはクリーニング命令が入力された場合(ステップ304でYES)には、後述する目詰まり解消制御を行う(ステップ306)。
【0172】
目詰まり解消制御終了後には、タイマの印字停止期間をリセットし、電源がOFFされるまで、上記制御を繰り返す(ステップ308、310)。
【0173】
続いて、目詰まり解消制御について図18を参照して説明する。ここでは、第1実施形態の気泡除去制御と同一のステップには、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略すると共に、異なる点のみ説明する。
【0174】
短パルス信号を発熱素子36に印加することによって、記録ヘッド20(共通液室34、個別流路32)内のインクを加熱する点までは、気泡除去制御と同様であるが、ヘッド温度が通常沸騰温度T5になるまで加熱する点が異なる。これは、図13に示したように、インク温度を100℃程度まで加熱すれば、インク粘度が1/3程度まで減少して外部に排出可能となる。一方、インクを沸騰させてしまうと、インクメニスカス位置が個別流路32の共通液室側まで移動してしまい、インク排出がすぐにできなくなってしまう不都合がある。
【0175】
ところで、図16に示すように、インク沸点(沸騰温度)はインク蒸発量に依存し、インク蒸発量が増加するとインクの沸点も増加する。したがって、インク温度を100℃程度まで加熱しても、目詰まりを生ずるようなインク蒸発量が50%以上のインクであれば、沸騰することがないからである。
【0176】
したがって、制御部50では、温度センサ46からの検出信号に基づいてヘッド温度がT5℃を超えたことを検出すると、印字用パルス信号を発熱素子36に出力してダミージェットをN6回(例えば、3000回)行う(ステップ212)。これは、加熱動作が停止した直後の方がインク温度が高く、インク粘度が低いため、インク吐出がスムーズにできるためである。また、気泡除去制御と異なり、インクを沸騰させていないため、インクメニスカス位置が個別流路32のインク吐出口30側にあり、すぐにインク滴の吐出可能なためである。
【0177】
以下、気泡除去制御と同様に、ワイピング等を行って制御を終了する。
【0178】
このような目詰まり除去制御の作用について説明する。
【0179】
本実施形態では、目詰まりを生ずる増粘したインクに対して、インク吐出用の発熱素子36に対して短駆動パルス信号を入力することによって、廃インクを増加させることなく、個別流路32、共通液室34内のインクを加熱することができる。しかも、インク加熱するためにインク滴を吐出しないため、ダミージェットによって記録ヘッド20のノズル面20Aが汚れることも防止できる。
【0180】
一方、上記加熱によって記録ヘッド20のヘッド温度が通常沸騰温度T5℃まで印加した後、ダミージェットを行うことで、粘度が低下したインクをインク吐出口30から良好に排出できる。
【0181】
また、増粘したインクを通常沸騰温度T5℃までしか加熱しないため、増粘したインクが沸騰することなく、通常沸騰温度に到達直後にダミージェットを行うことができる。
【0182】
このように、この目詰まり解消制御では、従来から記録ヘッド20内部にある機構を用いて目詰まりを解消させているため、ヘッド目詰まり解消のためのヘッド吸引メンテナンス等が必要ない。
【0183】
このような作用について試験によって確認した。表2に記録ヘッドの温度と、回復性の関係を示す。評価した記録ヘッドは、24℃、湿度50%の恒温・恒湿環境下で、6ヶ月放置されていたものである。ノズル面の観察から、インク吐出口のメニスカスは、完全に固化してしまっているような状態であり、粘度的にはかなり増粘している状態である。
【0184】
記録ヘッドは、800dpiノズル配列で、総ノズル数512であり、インク吐出駆動条件は、駆動周波数20kHz、駆動電圧32V、駆動電流100mA、駆動パルスのパルス幅は2.5usecであった。
【0185】
また評価条件は、まずインク吐出しない程度の短パルス信号(1.0usec)の駆動エネルギーを印加させ、所望のヘッド温度となってから、通常の印字用駆動パルス信号を印加し、3000回のインク吐出を行って、全ノズルが回復するか否かで回復性を判定した。また評価したインクはインク2の組成のものである。
【0186】
【表2】
Figure 0004042348
【0187】
この結果から、インク沸点である100℃程度まで、ヘッド温度を上昇させれば、増粘インクが、低粘度化することで、吐出可能になることがわかる。
【0188】
なお、本実施形態では、短パルス信号で記録ヘッドを加熱したが、ダミージェットによって記録ヘッドを加熱することも可能である。ただし、ダミージェットのみでヘッド温度を増加させる場合には、数万発程度の吐出が必要となり、廃インクが増加するとともに、ダミージェット受け周辺が、広範囲にわたって、汚れてしまうという問題があった。そこで、インク吐出しない短パルス信号で、記録ヘッドの温度を上昇させておいてから、少数のダミージェットで増粘度インクを外部に排出させる方が好適と考えられる。
【0189】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録装置および気泡除去方法では、簡単な構成で確実に気泡あるいは目詰まりを除去して画質欠陥を抑制することができる。また、インク吐出のみで気泡除去や目詰まり解消できるため、負圧吸引装置などが不要となり、廃インク量も大幅に低減することができる。したがって、低コストで信頼性の高いインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの気泡除去状態説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの斜視図である。
【図4】(A)は図3の4−4線断面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る制御部のブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る気泡除去制御のメインフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る気泡除去制御のフローチャートである。
【図8】(A)〜(D)はインクジェット記録ヘッドの気泡除去状態説明図である。
【図9】比較例に係るインクジェット記録ヘッドの個別流路近傍の平面図である。
【図10】本発明に係るインクジェット記録ヘッドの他の例を示す部分説明図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドの加熱状態を示す図である
【図12】本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録カートリッジを示す縦断面図である。
【図13】インク温度と粘度の関係を示す図である。
【図14】インク蒸発量と粘度の関係を示す図である。
【図15】80%蒸発後のインク温度と粘度の関係を示す図である。
【図16】インク蒸発量とインク沸点の関係を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る気泡除去制御のメインフローチャートである。
【図18】本発明の第2実施形態に係る気泡除去制御のフローチャートである。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置
14 インクジェット記録ヘッドカートリッジ
20 ヘッドチップ(記録ヘッド)
30 インク吐出口
32 個別流路
34 共通液室
36 発熱素子
46 温度センサ(温度検出手段)

Claims (14)

  1. 外部からインクが供給される共通液室と、共通液室に連通し、先端にインク吐出口が形成された個別流路と、個別流路に配設されインクを加熱することによってインク滴を吐出させる印字用発熱素子と、を備えるインクジェット記録ヘッドと、
    前記共通液室内に存在するインクが沸騰するまで、印字用発熱素子に対して駆動エネルギを印加する駆動手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記駆動手段がインク吐出用エネルギを印字用発熱素子に対して印加して、非印字用のインク滴吐出を連続的に行なうことによりインクを沸騰させることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記駆動手段がインク吐出用エネルギよりも小さく、インクを吐出させないで、前記記録ヘッドを加熱するためのエネルギを前記印字用発熱素子に印加してインクを沸騰させることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  4. 記録ヘッドの温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記温度検出手段が記録ヘッドの温度が設定沸騰温度に到達したことを検出することにより、前記駆動手段が前記印字用発熱素子に対する駆動エネルギの印加を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記設定沸騰温度はインクの沸点以上の温度であることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記温度検出手段が設定沸騰温度に到達した後、記録ヘッドの温度が設定冷却温度まで低下したことを検出したことにより、前記駆動手段が前記発熱素子にインク吐出用エネルギを印加して、非印字用のインク滴吐出を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記設定沸騰温度は、インクリフィルが追いつかず個別流路に形成されるインクメニスカス位置が発熱素子よりも共通液室側に形成される温度であることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記個別流路において、共通液室側端部の断面積が発熱素子配設部分の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記共通液室にインクを供給するために当該共通液室に隣接して設けられ、膨張した気泡が前記共通液室から離間可能な容積を有するインク供給室を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  10. 印字枚数を検出する印字枚数検出手段を備え、
    前記印字枚数が画質欠陥を生じる枚数より小さい所定枚数に到達する毎に、駆動手段によって印字用発熱素子を駆動させ、記録ヘッドの温度を前記設定沸騰温度以上とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  11. インク滴の累積吐出回数を検出する累積吐出回数検出手段を備え、
    前記累積吐出回数が画質欠陥を生じる累積吐出回数より小さい所定回数に到達する毎に、駆動手段によって印字用発熱素子を駆動させ、記録ヘッドの温度を前記設定沸騰温度以上とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  12. 外部から前記駆動手段にヘッドクリーニング命令が入力可能なヘッドクリーニング入力手段を備え、
    前記ヘッドクリーニング入力手段から入力されたヘッドクリーニング命令に基づいて、駆動手段によって印字用発熱素子を駆動させ、記録ヘッドの温度を前記設定沸騰温度以上とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のインクジェット記録装置。
  13. 外部からインクが供給される共通液室と、共通液室に連通し、先端にインク吐出口が形成された個別流路と、個別流路に配設されインクを加熱することによってインク滴を吐出させる印字用発熱素子と、を備えるインクジェット記録ヘッドと、
    前記共通液室内に存在するインクが通常沸騰する通常沸騰温度になるまで、印字用発熱素子に対してインク滴を吐出しない駆動エネルギを印加する駆動手段と、
    前記共通液室内のインクが通常沸騰温度になったことを検出する検出手段と、
    を備え、前記検出手段が通常沸騰温度になったことを検出した後、駆動手段が印字用発熱素子に対して非印字用のインク滴を吐出する印字用駆動エネルギを印加することを特徴とするインクジェット記録装置。
  14. 外部からインクが供給される共通液室と、共通液室に連通し、先端にインク吐出口が形成された個別流路と、個別流路に配設されインク滴を吐出させるインク吐出手段と、を備えるインクジェット記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの温度が前記共通液室内に存在するインクが沸騰する設定沸騰温度に到達するまで印字用発熱素子に対して駆動エネルギを印加する駆動手段と、
    を備えたインクジェット記録装置において共通液室の個別流路側端部を閉塞する気泡を除去する気泡除去方法であって、
    記録ヘッドの温度が前記設定沸騰温度に到達するまで駆動手段を駆動することにより、共通液室の個別流路側端部からインク供給側に気泡を除去することを特徴とする気泡除去方法。
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