JP4042271B2 - 自動ワインダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸切断時にパッケージ側の糸端の端面落ちを防止する自動ワインダに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動ワインダは、給糸ボビンから解舒された糸をトラバースしながらボビンに巻き返し、コーン状又はチーズ状のパッケージとする。糸をトラバースする手段としては、パッケージと接触してこれを回転駆動させる綾振りドラムに綾振り溝を形成したもの等が知られている。この自動ワインダにおいては、スラブキャッチャーを糸走行路中に設け、スラブキャッチャーが糸のスラブ等の欠陥を検出すると、糸を切断して巻き返しを停止し、糸の欠陥部を除去する。その後、中継パイプにより給糸ボビン側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置に導入し、サクションマウスによりパッケージ側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置に導入することで、糸継ぎ装置により糸継ぎして、糸の巻き返しを再開するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スラブキャッチャーにより糸を切断した後であっても、パッケージ側の糸端は、綾振りドラムの慣性回転によりトラバースされながらパッケージに巻き返される。又、糸は引っ張られた状態で切断されるため、切断した瞬間に急激な糸張力の減少が生じる。このため、糸のトラバース折り返し直前又は直後に、糸を切断すると、切断されたパッケージ側の糸端がパッケージの端面から落ち、ボビンに巻き付くことがある。このように糸端が端面落ちしてボビンに巻き付くと、その糸端をサクションマウスで吸引・捕捉することができず、自動糸継ぎが行えないことになる。
【0004】
本発明は、糸の切断タイミングをトラバース運動に関連付けて制御することにより、例えば、糸切断時に起こるパッケージ側の糸端の端面落ちを防止することができる自動ワインダを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動ワインダ(請求項1)は、糸をトラバースしながらパッケージに巻き返し、糸の欠陥検出により糸を切断するものにおいて、糸のトラバース運動を検出する検出手段と、検出手段の検出信号に基づいて糸の欠陥検出による糸の切断タイミングを制御する制御手段とを設け、前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて、前記糸がトラバース折り返し位置直前及び/又は直後にある間は糸の切断を一時的に禁止するものである。
制御手段は、検出手段の検出信号に基づいて糸のトラバース状態を常時把握する。そして、トラバース運動に応じて、糸の欠陥検出による糸の切断タイミングを制御することにより、トラバースによる外向きの慣性力や糸切断による急激な張力減少による端面落ちが確実に防止できる。即ち、常に端面落ちが発生しないようなトラバース状態(トラバース位置及び/又はトラバース向き)で糸の切断が行える。
【0006】
また、糸がトラバース折り返し位置直前及び/又は直後にある間は、糸の切断が一時的に禁止される。従って、糸がトラバース折り返し位置直前及び/又は直後にある間に糸欠陥を検出すると、直ぐには糸切断が行われず、遅延されて糸切断が実行される。
【0007】
本発明の自動ワインダ(請求項2)は、糸をトラバースしながらパッケージに巻き返し、糸の欠陥検出により糸を切断するものにおいて、糸のトラバース運動を検出する検出手段と、検出手段の検出信号に基づいて糸の欠陥検出による糸の切断タイミングを制御する制御手段とを設け、前記制御手段は、前記糸が、トラバース全域のうちの、前記パッケージの少なくとも一方の端面側のトラバース折り返し位置直前及び/又は直後を除いた範囲内にある時に、糸の欠陥検出による糸切断を行うようにしたものである。
制御手段は、検出手段の検出信号に基づいて糸のトラバース状態を常時把握する。そして、糸欠陥を検出した際、トラバースされる糸が、トラバース全域のうちの、前記パッケージの少なくとも一方の端面側のトラバース折り返し位置直前及び/又は直後を除いた範囲内にない時には、即ち、前記範囲外にある時には、前記範囲内に入るまで待機した後に、糸の切断を行う。糸欠陥を検出した際、トラバースされる糸が前記範囲内にある時には、直ちに糸切断を行えばよい。
検出手段としては、トラバースされる糸の通過を検出して、トラバース状態を検出するものと、パッケージを回転する綾振りドラムの回転角によりトラバース状態を検出するものとを採用できる。又、綾振りドラムは、ドラムが所定の回転位置となった時、糸をトラバース折り返し点に導く形状となる綾振り溝を備えている。従って、綾振りドラムの回転角を検出することで、綾振り溝が糸をトラバース折り返し点に導く形状となったことを検出できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の自動ワインダについて、図面を参照しつつ説明する。
本発明の自動ワインダは、糸がトラバース折り返し近傍にある間、即ち、糸がトラバース折り返し位置直前及び/又は直後にある間、糸切断を禁止する端面落ち防止装置を備えるもので、トラバースされる糸を直接的に検出する例である図1に示すものと、綾振りドラムの回転角によりトラバース運動を間接的に検出する例である図5に示すものとについて説明する。
【0009】
図1の自動ワインダ1は、1又は多数の給糸ボビンEから解舒される糸YをトラバースしながらボビンBfに巻き返して、定長巻きでコーン状のパッケージPとする。この自動ワインダ1は、ボビンBfを把持するクレードル2と、糸Yをトラバースする綾振りドラム3とを備えている。クレードル2は、綾振りドラム3に向けて又はその逆に旋回し、それによってボビンBfが綾振りドラム3に接触、離反される。綾振りドラム3は、サイドフレーム4上に設けられ、糸Yをトラバースさせる螺旋状の綾振り溝3aが形成されている。この綾振りドラム3は、糸Yの巻取中には摩擦接触によりパッケージPを回転させる。
【0010】
自動ワインダ1には、給糸ボビンEと綾振りドラム3間の糸走行経路中に、給糸ボビンE側から糸検出センサ17、テンサ5、スラブキャッチャー6、糸継ぎ装置7及び端面落ち防止装置8とが配置されている。糸検出センサ17は、給糸ボビンEの糸YからパッケージPへ走行される糸Yの有無を検出するものである。テンサ5は、走行する糸Yを挟んで所定の張力を与えるものである。スラブキャッチャー6は、糸Yの欠陥を検出するもので、糸Yを切断する機能を備えている。このスラブキャッチャー6の上方には、トラバース支点となる糸支点ガイド9が設けられている。糸継ぎ装置7は、糸切断時にパッケージP側の糸端と給糸ボビンE側の糸端とを糸継ぎするものである。10はサイドフレーム4に軸支された中継パイプ、11はサイドフレーム4に軸支されたサクションマウスである。中継パイプ10は、糸切断後に、給糸ボビンE側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入するもので、サクションマウス11は、糸切断後に、パッケージP側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入するものである。
【0011】
又、端面落ち防止装置8は、検出手段となる検出器12、及び制御手段となる制御回路13とを備えている。
検出器12は、糸支点ガイド9と綾振りドラム3間の糸走行経路中(トラバース領域中)に配置され、糸支点ガイド9を支点として、綾振りドラム3によりトラバースされる糸Yの通過を検出する。この検出器12は、図2及び図3の如く、2つの検出センサ14,15、及び支持ブラケット16を備えている。各検出センサ14,15は、投受光素子からなる光センサにより構成される。又、各検出センサ14,15は、糸Yのトラバース幅S内側であって、糸Yの各トラバース折り返し点a,b近傍に夫々配置されている。そして、各検出センサ14,15は、その検出光γを糸Yのトラバース方向と略直交させて支持ブラケット16に設けられている。支持ブラケット16は、トラバースされる糸Yに接触することなく、各検出センサ14,15をトラバース折り返し点a,b近傍に夫々支持している〔図2及び図3参照〕。
【0012】
制御回路13は、自動ワインダ1全体の作動を制御する制御装置内に設けられ、図4に示す如く、検出器12の各検出センサ14,15、及びスラブキャッチャー6とに夫々接続されている。この制御回路13は、スラブキャッチャー6から出力される糸欠陥信号c、及び各検出センサ14,15から出力される糸検出信号d,eにより、スラブキャッチャー6での糸切断のタイミングを制御する〔図4参照〕。即ち、制御回路13では、各検出センサ14,15の糸検出信号d,eに基づいて、トラバースされる糸Yの折り返し直前及び/又は直後を判別して、この判別によってスラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを制御するものである。
【0013】
次に、図1の自動ワインダ1での端面落ち防止動作を説明する。
【0014】
自動ワインダ1での糸巻き返しを開始すると、給糸ボビンEから解舒された糸Yは、糸検出センサ17、テンサ5、スラブキャッチャー6、糸支点ガイド9及び端面落ち防止装置8を構成するブラット16走行し、回転する綾振りドラム3によりトラバースされながらパッケージPに巻き返される〔図1参照〕。
【0015】
糸巻き返しと同時に、制御回路13は、各検出センサ14,15での検出光γの投受光を開始する。これで、トラバースされる糸Yは、トラバース幅Sの中心から1往復するとき、各検出センサ14,15の検出光γを、連続して短い時間で2回ずつ交互に遮光することになる。そして、各検出センサ14,15は、糸Yでの検出光γの遮光により、トラバースされる糸Yの通過を検出し、糸検出信号d,eとして制御回路13に出力する〔図4参照〕。
【0016】
制御回路13は、各糸検出信号d,eに基づいて、糸Yのトラバース位置及び向きを検出し、糸Yのトラバース折り返し直前、又はトラバース折り返し直後を判別する。この制御回路13の判別は、糸Yにより各検出センサ14,15の検出光γを遮光する回数に基づくものである。先ず、一方の検出センサ14の連続する2回の遮光のうち、糸Yによる1回目の遮光により、糸Yは、例えばトラバース折り返し点a近傍に位置し、その後所定時間の間に折り返し点aに向けてトラバースされることから、1回目の遮光から所定時間の間は糸Yのトラバース折り返し直前と判別する。そして、その1回目の遮光から所定時間が経過すると、糸Yは折り返し点aで折り返されるため、その後、糸Yによる2回目の遮光までは、糸Yは折り返し直後にあると判別する。糸Yによる2回目の遮光の後は、他方の折り返し点bに向けてトラバースされることから、他方の検出センサ15の連続する2回の遮光のうち1回目の遮光までは、糸Yはトラバース折り返し近傍以外の範囲にあると判別する。尚、糸Yの折り返し点bでも同様に判別される。
【0017】
このようなトラバース状態に基づいて、制御回路13は、糸Yが折り返し直前及び直後にある期間において、スラブキャッチャー6による糸切断を一時的に禁止させる。又、糸Yが折り返し直後を過ぎた位置となると、一時的に禁止していたスラブキャッチャー6による糸切断を実行させる。即ち、制御回路13では、糸Yが各トラバース折り返し点a,b近傍にある時に、スラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを遅らせるものである〔図4参照〕。
【0018】
そして、糸巻き返し中に、スラブキャッチャー6が糸Yのスラブ等の欠陥を検出すると、糸欠陥信号cを制御回路13に出力する。制御回路13は、糸欠陥信号cとトラバース状態の検出とにより、スラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを制御する。即ち、制御回路13は、糸Yのトラバース折り返し直前に、糸欠陥信号cを入力した場合、スラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを遅らせることで、所定時間、糸切断を強制的に禁止し、糸Yが折り返した直後の位置と過ぎるとスラブキャッチャー6へ糸切断信号fを出力する。これで、スラブキャッチャー6は、必ず各トラバース折り返し点a,b近傍以外の所定範囲で糸Yを切断することになる〔図4参照〕。
【0019】
トラバースされる糸Yを切断すると同時に、綾振りドラム3の回転を停止する。このとき、パッケージP側の糸端は、綾振りドラム3の慣性による回転で、例えばトラバース折り返し点a近傍を越えた折り返し点bに向けてトラバースされながらパッケージPに巻き返される。即ち、糸切断時に、糸Yがトラバース範囲の中央付近に位置するため、フリーとなったパッケージP側の糸端がパッケージPの端面から落ちて、ボビンBfに巻き付くことが防止される。
【0020】
糸Yが切断された後、中継パイプ10にて給糸ボビンE側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入する。又、サクションマウス11にてパッケージP側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入する。そして、糸継ぎ装置7にて各糸端を糸継ぎした後、綾振りドラム6の回転により糸巻き返しが再開される。このとき、サクションマウス11による糸端の吸引・捕捉を確実に行うことができ、自動糸継ぎが実行可能となる。
【0021】
図1の自動ワインダ1では、糸Yがトラバース折り返し点a,b近傍にある時に、スラブキャッチャー6での糸切断のタイミングを遅らせることで、糸切断後の端面落ちを防止できる。尚、トラバース折り返し直後の糸切断では、端面落ちが生じない場合、トラバース折り返し直前のみ糸切断を禁止することもできる。
【0022】
尚、自動ワインダ1にて巻き返すコーン状のパッケージPにおいて、パッケージPの糸端は小径側の端面から糸落ちしやすい。従って、糸Yのトラバース折り返しは、パッケージPの小径側にある検出センサ14、又は15のみにて検出して、小径側のみで糸切断を一時的に禁止(遅延)するようにしてもよい。もちろん、糸Yのトラバース折り返し点a,bであって、パッケージPの小径側のみに検出センサを設けて、小径側のみで糸切断を一時的に禁止(遅延)するようにしてもよい。
【0023】
又、両端部の直径が等しいチーズ状のパッケージでは、パッケージPの糸端のS撚り又はZ撚りの状態により、パッケージPのいずれかの端面から落ちやすい。従って、糸Yの折り返しは、糸の落ちやすい端面側にある検出センサ14、又は15のみにて検出して、糸の落ちやすい端面側のみで糸切断を一時的に禁止(遅延)するようにしてもよい。もちろん、糸Yのトラバース折り返し点a,bであって、糸の落ちやすい端面側のみに検出センサを設けて、糸の落ちやすい端面側のみで糸切断を一時的に禁止(遅延)するようにしてもよい。
【0024】
又、自動ワインダ1では、綾振りドラム3によって糸Yをトラバースさせるものであるが、これに限定されるものでない。例えば、カムドラムの回転によりトラバースガイドを往復動させ、該トラバースガイドにて糸Yをガイドすることでトラバースさせる構成も採用できる。このとき、パッケージPは摩擦接触する駆動ドラムによって回転させる。
【0025】
次に、図5に示す自動ワインダについて説明する。
【0026】
図5の自動ワインダ21は、従来から備える綾振りドラム3の回転角等を検出する手段を端面落ち防止装置38に兼用したもので、図1と同一符号は同一部材を示すものとする。
【0027】
図5において、綾振りドラム3は、糸Yをトラバースする綾振り溝3aを備え、例えば4回転毎に糸Yを1往復だけトラバースする2ワインドのドラムである。綾振り溝3aは、綾振ドラム3外周に対して螺旋状に形成されている。又、綾振り溝3aは、綾振りドラム3の1回転毎に、トラバースする糸Yを各トラバース折り返し点a,bに導く形状の回転位置Aとなるように形成されている〔図9参照〕。
【0028】
又、綾振りドラム3は、サーボモータ等の駆動モータ22により回転駆動される。駆動モータ22は、サイドフレーム4に設けられ、綾振りドラム3を支持している。この駆動モータ22は、図6及び図7に示す如く、綾振りドラム3に直結された駆動ロッド23、駆動ロッド23に取り付けられたロータ24及びコイルの巻回されたステータコア25とを備えている。ロータ24は、その周方向に各磁極が着磁〔図7では4極〕され、ステータコア25に隙間をもって対峙している。又、駆動ロッド23には、検出用マグネット26,27とが設けられ、各マグネット26,27は駆動ロッド23と共に回転される。検出用マグネット26は、その周方向に各磁極が着磁され、ロータ用センサ28に対峙している。又、検出用マグネット27は、その周方向に例えば120極の各磁極が着磁され、ドラム用センサ29に対峙している。各センサ28,29は磁気センサにより構成され、駆動ロッド23と共に回転する各検出用マグネット26,27により、ロータ24の位置及び綾振りドラム3の回転角θを検出する。尚、トラム用センサ29の検出信号は、パッケージPが満管になったことを検出する定長測定に使用される。
【0029】
自動ワインダ21の端面落ち防止装置38は、検出手段となる検出器32、及び制御手段となる制御回路33とを備えている。
検出器32は、図6に示す如く、ロータ用センサ28及びドラム用センサ29とを兼用して構成されている。制御回路33は、自動ワインダ21全体の作動を制御する制御装置内に設けられ、図8示す如く、各センサ28,29、及びスラブキャッチャー6とに夫々接続されている。この制御回路33は、スラブキャッチャー6から出力される糸欠陥信号c、及び各センサ28,29から出力される検出信号g,hにより、スラブキャッチャー6での糸切断のタイミングを制御する〔図8参照〕。即ち、制御回路33では、各センサ28,29の検出信号g,hに基づいて、綾振りドラム3の綾振り溝3aの回転位置Aを判別して、この判別によってスラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを制御するものである。
【0030】
次に、図5の自動ワインダ21での端面落ち防止動作を説明する。
【0031】
自動ワインダ21での糸巻き返しを開始すると、給糸ボビンEから解舒された糸は、糸検出センサ17、テンサ5、スラブキャッチャー6及び糸支点ガイド9を走行し、回転する綾振りドラム3によりトラバースされながらパッケージPに巻き返される〔図5参照〕。
【0032】
糸巻き返しと同時に、綾振りドラム3の回転により、各センサ28,29がロータ24の位置及びドラム3の回転角θを検出して、検出信号g,hとして制御回路33に出力する〔図8参照〕。
【0033】
制御回路33は、各検出信号g,hに基づいて、綾振りドラム3の綾振り溝3aの回転位置を判別する。ここで、2ワインドの綾振りドラム3において、綾振り溝3aは、図9に示す如く、ドラム3の1回転毎に糸Yを各折り返し点a,bに導く回転位置Aにされる。又、綾振り溝3aは、回転位置Aからドラム3の1/2回転毎に、糸Yを各折り返し点a,bに導かない回転位置Bにされる。
【0034】
このことから、制御回路33は、検出信号gであるロータ24の位置に基づいて、駆動モータ22と制御し、検出信号bである回転角θに基づいて、綾振りドラム3にける綾振り溝3aの回転位置Aを判別し、ドラム3の1回転毎に所定時間だけスラブキャッチャー6による糸切断を一時的に禁止させる。又、綾振り溝3aが位置A以外になると、スラブキャッチャー6による糸切断の一時的禁止を解除する。即ち、制御回路33においては、綾振りドラム3の綾振り溝3aの回転位置Aを判別することで、糸Yのトラバース折り返し時に、スラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを遅らせるものである。又、綾振りドラム3の1回転毎に、糸切断を一時的に禁止するのは、各センサ28,29で検出されるロータ24の位置、綾振りドラム3の回転角θのみでは、トラバースされる糸Yの位置、向きを判断できないからである。従って、ロータ24の位置、綾振りドラム3の回転角θにより、綾振りドラム3の回転位置Aを判別することで、糸Yのトラバース折り返しを間接的に検出し、綾振りドラム3の1回転毎に糸切断を一時的に禁止するようにしたものである。
【0035】
そして、糸巻き返し中に、スラブキャッチャー6が糸Yの欠陥を検出すると、糸欠陥信号cを制御回路33に出力する。制御回路33は、糸欠陥信号cと綾振り溝3aの回転位置Aの判別とにより、スラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを制御する。即ち、制御回路33は、ドラム3の1回転毎にパッケージPと接触位置における綾振りドラム3の綾振り溝3が回転位置Aの直前又は直後となると〔図9参照〕、糸Yがトラバース折り返し点a,b近傍にあるとして、糸切断を一時的に禁止する。この期間内に糸Yの欠陥が検出されると、スラブキャッチャー6へ出力する糸切断信号fのタイミングを遅らせることになり、綾振り溝3aが回転位置Aの直前又は直後以外の状態になると、スラブキャッチャー6に糸切断信号fを出力する。これで、スラブキャッチャー6は、各ドラバース折り返し点a,bで近傍以外の範囲にある糸Yを切断することになる〔図8参照〕。尚、糸Yがトラバース折り返し点a,b近傍以外にあるときに、スラブキャッチャー6で糸欠陥が検出されると、糸Yは直ちに切断される。
【0036】
トラバースされる糸Yを切断すると同時に、綾振りドラム3の回転を停止する。このとき、パッケージP側の糸端は、綾振りドラム3の慣性による回転で、例えば折り返し点a近傍と越えた位置から折り返し点bに向けてトラバースされながら、パッケージPに巻き返えされる。即ち、スラブキャッチャー6による糸切断時に、糸Yがトラバース範囲の中央付近に位置するため、フリーとなったパッケージP側の糸端が、パッケージPの端面から落ちてボビンBfに巻き付くことが防止される。
【0037】
糸Yを切断した後、中継パイプ10にて給糸ボビンE側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入する。又、サクションマウス11にてパッケージP側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入する。そして、糸継ぎ装置7にて各糸端を糸継ぎした後、綾振りドラム6の回転により糸巻き返しが再開される。このとき、サクションマウス11による糸端の吸引・捕捉を確実に行うことができ、自動糸継ぎが実行可能となる。
【0038】
図5の自動ワインダ21では、糸Yのトラバース折り返し時に、スラブキャッチャー6での糸切断のタイミングを遅らせることで、端面落ちを防止できる。
【0039】
尚、綾振りドラム3は、2ワインドのものに限定されるものでない。例えば、2.5ワインドの綾振りドラム3を採用できる〔図10参照〕。図10に示す2.5ワインドの綾振りドラム3は、5回転毎に糸を1往復だけトラバースさせるものである。又、綾振りドラム3の綾振り溝3aは、綾振りドラム3の1/2回転毎に、トラバースする糸を各トラバース折り返し点a、又はbに導く形状の回転位置A、又はA’となるように形成されている。従って、綾振りドラム3の1/2回転毎に、所定時間だけスラブキャッチャーによる糸切断を一時的に禁止させる。又、綾振り溝3aが回転位置A,A’以外になると、スラブキャッチャーによる糸切断を実行させる。これで、糸のトラバース折り返し時に、スラブキャッチャーでの糸切断のタイミングを遅らせることで、端面落ちを防止できる。
【0040】
又、図1及び図5の自動ワインダ1,21において、綾振りドラム3はリボン巻きを防止するために周期的に加減速制御されるものである。従って、制御回路3,33において、綾振りドラム3の回転数を常時検出し、その検出速度も考慮して糸Yの切断タイミングを制御することにより、確実に端面落ちを防止できる。
【0041】
更に、図1及び図5の自動ワインダ1,21では、糸検出センサ17により給糸ボビンEから解舒される糸Yの有無を検出している。従って、制御回路3,33において、糸検出センサ17が糸無しを検出したとき、綾振りドラム3を停止させると共に、トラバースが所定範囲内にある状態で糸Yを切断させることで、給糸ボビンEの巻き終わり時の端面落ちを防止できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の自動ワインダ(請求項1)では、トラバース運動に応じて、糸の欠陥検出による糸の切断タイミングを制御することにより、トラバースによる外向きの慣性力や糸切断による急激な張力減少による端面落ちを確実に防止できる。
【0043】
また、糸がトラバース折り返し位置直前及び/又は直後にある間で、糸欠陥を検出すると、直ぐに糸切断を行うことなく、遅延して糸切断を実行することにより、端面落ちを確実に防止できる。
【0044】
本発明の自動ワインダ(請求項2)では、糸が、トラバース全域のうちの、前記パッケージの少なくとも一方の端面側の折り返し位置直前及び/又は直後を除いた範囲内にある時に、糸切断を実行することにより、端面落ちを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における自動ワインダを示す正面図である。
【図2】図1の自動ワインダに設けられた端面落ち防止装置の検出器を示す斜視図である。
【図3】図2のK−K矢視図である。
【図4】図1の自動ワインダに設けられた端面落ち防止装置の制御器を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態における自動ワインダを示す正面図である。
【図6】図5の自動ワインダに設けられた端面落ち防止装置の検出器を示す斜視図である。
【図7】図6のL−L断面矢視図である。
【図8】図5の自動ワインダに設けられた端面落ち防止装置の制御器を示すブロック図である。
【図9】図5の自動ワインダにおける2ワインドの綾振りドラムの回転位置を示す平面図である。
【図10】図5の自動ワインダにおける2.5ワインドの綾振りドラムの回転位置を示す平面図である。
【符号の説明】
1,51 自動ワインダ
8,38 端面落ち防止装置
12,32 検出器(検出手段)
13,33 制御回路(制御手段)
Claims (2)
- 糸をトラバースしながらパッケージに巻き返し、前記糸の欠陥検出により糸を切断する自動ワインダにおいて、前記糸のトラバース運動を検出する検出手段と、該検出手段の検出信号に基づいて、前記糸の欠陥検出による糸の切断タイミングを制御する制御手段とを設け、
前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて、前記糸がトラバース折り返し位置直前及び/又は直後にある間は糸の切断を一時的に禁止することを特徴とする自動ワインダ。 - 糸をトラバースしながらパッケージに巻き返し、前記糸の欠陥検出により糸を切断する自動ワインダにおいて、前記糸のトラバース運動を検出する検出手段と、該検出手段の検出信号に基づいて、前記糸の欠陥検出による糸の切断タイミングを制御する制御手段とを設け、
前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて、前記糸が、トラバース全域のうちの、前記パッケージの少なくとも一方の端面側のトラバース折り返し位置直前及び/又は直後を除いた範囲内にある時に、前記糸の欠陥検出による糸切断を行うようにしたことを特徴とする自動ワインダ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26476499A JP4042271B2 (ja) | 1999-09-20 | 1999-09-20 | 自動ワインダ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26476499A JP4042271B2 (ja) | 1999-09-20 | 1999-09-20 | 自動ワインダ |
Publications (2)
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