JP4041988B2 - 運搬用台車 - Google Patents

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Description

本発明は、占有床面積を縮小させるように折り畳むことができる運搬用台車に関するものである。
この種の運搬用台車として、例えば特許文献1や特許文献2に示されるように、荷台が、それぞれ車輪を備えた前後両端台車部と、この前後両端台車部どうしを互いに連結し且つ当該前後両端台車部を互いに接近隣接させるために中央部が立ち上がるように折り畳み可能に構成された荷台本体とから成る運搬用台車が知られている。
実公昭54−11651号公報 実開昭64−28362号公報
特許文献1や2に記載された従来の折り畳み可能な運搬用台車においては、折り畳み状態でロックするための係止手段は設けられているが、荷台本体を水平展開状態でロックする係止手段は併設されていない。従って、重量の十分にある荷を積載しているときは良いが、空の状態や軽量な荷を積載している状態では、移動時に荷台本体が上下に屈曲するように振動して安定的に荷を運搬することができない。この問題点を解消するためには、荷台本体を水平展開状態でロックする係止手段を追加すれば良いが、折り畳み状態係止手段の係止解除のための操作対象と展開状態係止手段の係止解除のための操作対象が異なることになる。即ち、2つの係止解除用操作具(特許文献1や2に記載のような掛け金形式の係止具を使用するときは、その係止具自体が係止解除用操作具を兼用する)を使い分けしなければならない。また、部品点数も多くなり、構造が複雑になってコスト高になるだけでなく、2つの係止解除用操作具を誤操作なく操作し得るように適当に離して設置するためのスペースも確保しなければならない。
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る運搬用台車を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、荷台1が、それぞれ車輪2a〜3bを備えた前後両端台車部6a,6bと、この前後両端台車部6a,6bどうしを互いに連結し且つ当該前後両端台車部6a,6bを互いに接近隣接させるために中央部が立ち上がるように折り畳み可能に構成された荷台本体8とから成り、当該荷台本体8を折り畳み状態で係止する折り畳み状態係止手段100と、当該荷台本体8を水平展開状態で係止する展開状態係止手段114とが設けられた運搬用台車であって、前記折り畳み状態係止手段100の係止解除と展開状態係止手段114の係止解除とを1つの操作具(足踏み板部121)で行えるようにした運搬用台車において、
前記荷台本体8が、前記両端台車部6a,6b間に介装された前後2つの折り畳みフレーム9a,9bと、両折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態にあるときに両折り畳みフレーム9a,9bの上に重なり且つ一方の折り畳みフレーム9bと一体に構成された荷支持台10とから構成され、
前記展開状態係止手段114は、前記荷支持台10の遊端部に設けられた被係止部115と、前記両折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態になったときに前記被係止部115に自動係合するように一方の台車部6aに上下揺動自在に軸支された係止具116とから構成され、
前記折り畳み状態係止手段100の係止具102は、前記展開状態係止手段114の係止具116の下方で且つ前後方向の内側に入った位置に上下揺動自在に軸支され、上下両係止具116,102をリンク108により連動連結すると共に、上側に位置する前記展開状態係止手段114の係止具116に、前記操作具としての足踏み板部121を一体に連設された構成となっている。
上記構成の本発明に係る運搬用台車によれば、荷台本体を折り畳んで前後両端台車部を互いに隣接させた折り畳み状態でのロックは勿論のこと、荷台本体を水平展開状態にした状態でも展開状態係止手段によりロックすることができるので、この展開状態係止手段を備えていない場合に予想される問題点を解消できるのであるが、本発明の構成によれば、折り畳み状態係止手段の係止解除と展開状態係止手段の係止解除とを1つの操作具で行えるのであるから、各係止手段ごとに専用の係止解除用操作具が設けられる場合のように、2つの係止解除用操作具を操作目的に応じて使い分ける必要がなくなり、誤操作もなくなり、操作性が大幅に改善される。また、部品点数も少なくなり、構造が簡単になってコストダウンを図ることができるだけでなく、1つの係止解除用操作具を設置するためのスペースさえ確保できれば良いので、最も操作し易い場所に係止解除用操作具を設置することが容易になる。
しかも本発明の構成によれば、展開状態係止手段そのものを極めて簡単な構成で安価に実施することができ、しかも展開状態で係止された荷支持台の上下方向の遊び代も少なくして、荷台本体を展開状態で安定させることができる。
更に本発明の構成によれば、折り畳み状態係止手段の係止具と展開状態係止手段の係止具とを同時に係止解除操作するための1つの操作具をこれら両係止具とは別に独立して設ける場合よりも、部品点数が大幅に少なくなり、安価に実施することができるだけでなく、設置スペース的にも無理がなくなり、実施が容易になる。そして、折り畳み状態係止手段の係止具と展開状態係止手段の係止具との連動機構を含めて全体が非常にシンプルな構造となり、しかも足踏み操作し易い構成となる。
先ず、本発明を適用する前の運搬用台車の参考構成を添付図に基づいて説明すると、図1〜図3において、1は平面形状が前後方向に長い長方形の荷台であって、その前後両端下側にそれぞれ左右一対の自在車輪2a,2b及び3a,3bが設けられると共に、前後方向のほぼ中央位置下側には、前後方向に向きが固定された向き固定車輪4a,4bが設けられている。5a,5bは、荷台1の前後両端に立設された側枠である。
荷台1は、前後両端台車部6a,6bと、この前後両端台車部6a,6bどうしを互いに連結し且つ中央部が起立するように折り畳み可能な荷台本体8とから構成されている。荷台本体8は、前後両端台車部6a,6bの内の一方の台車部6bに左右水平向きの支軸7bにより上下揺動自在に軸支され且つ中間に折曲部を持たない荷支持台部8aと、他方の台車部6aに左右水平向きの支軸7aにより上下揺動自在に軸支されて遊端が前記荷支持台部8aの前後長さ方向の中間位置に軸支された上下動フレーム8bとから構成されている。
具体的には、前記荷台本体8は、外端部がそれぞれ前記支軸7a,7bにより前後両端台車部6a,6bに軸支され且つそれぞれの底面側が互いに対面する向きに折り畳み可能な前後2つの折り畳みフレーム9a,9bと、この折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態にあるときに当該両折り畳みフレーム9a,9bの上に重なり且つ後側の折り畳みフレーム9bにのみ固定された荷支持台10とから構成されている。即ち、荷支持台部8aは、一方の折り畳みフレーム9bとこれに固定された荷支持台10から構成され、上下動フレーム8bは、他方の折り畳みフレーム9aによって構成されている。図示省略しているが、荷支持台10は、周辺に折り畳みフレーム9a,9bを隠す立ち下がり周壁を備えたもので、全体をメッシュ構造体とすることができるが、板材から構成したものなど、如何なる構造のものであっても良い。
上記の運搬用台車は、連動開閉手段11、展開状態係止手段12、及び折り畳み状態係止手段13を備えている。連動開閉手段11は、前後2組の平行リンク機構14a,14bと歯車列15とから構成されている。図2及び図4に示すように、前後2組の平行リンク機構14a,14bは互いに前後対称構造のものであって、前後両端台車部6a,6bを外側の垂直向きリンク、折り畳みフレーム9a,9bを上側上下動リンク、両折り畳みフレーム9a,9bの内端を軸支する共通垂直向きリンク16、及び折り畳みフレーム9a,9bの下側で前後両端台車部6a,6bと共通垂直向きリンク16との間に介装された下側上下動リンク17a,17bから構成されている。
前後両端台車部6a,6bは互いに前後対称構造のものであって、左右水平向きフレーム18と、この左右水平向きフレーム18の左右両端に連設されてそれぞれ内側へ水平に突出する前後水平向きフレーム19と、左右水平向きフレーム18の内側ほぼ中央位置に固着された垂直向きフレーム20とから構成された平面形状がコ字形のもので、それぞれの左右両出隅部には、弾性材などから形成されたL形のバンパー部材21が取り付けられている。また、前後両端台車部6a,6b上には、それぞれ左右一対の側枠支持のための角筒状支持部22が突設され、各側枠5a,5bは、その左右一対の脚柱部を各台車部6a,6b上の角筒状支持部22に差し込んで垂直に起立する状態に支持されるが、その詳細構造は後述する。更に、前後両端台車部6a,6b上には、その左右両前後水平向きフレーム19の内側辺に沿う位置で上向きに左右一対の軸受板23が突設されている。
各折り畳みフレーム9a,9bは、本体24,27の長さ方向両端にT字状に左右両側に突出する外側左右水平向き部材25,28と内側左右水平向き部材26,29を連設したもので、前側折り畳みフレーム9aの外側左右水平向き部材25が、前端台車部6aの左右一対の軸受板23とその中間に位置する垂直向きフレーム20とにこれらを左右水平向きに貫通する前記支軸7aで上下揺動自在に軸支され、後側折り畳みフレーム9bの外側左右水平向き部材28が、後端台車部6bの左右一対の軸受板23とその中間に位置する垂直向きフレーム20とにこれらを左右水平向きに貫通する前記支軸7bで上下揺動自在に軸支され、前記支軸7a,7bには、垂直向きフレーム20の左右両側でそれぞれ折り畳みフレーム9a,9bを上向きに付勢する捩じりコイルスプリング30a,30b及び31a,31bが遊嵌されている。
歯車列15は、図4及び図9に示すように、前側折り畳みフレーム9aの内側左右水平向き部材26に同心状に取り付けられた左右一対の平歯車34と、後側折り畳みフレーム9bの内側左右水平向き部材29に同心状に取り付けられた左右一対の平歯車35とから成り、各平歯車34,35は、L形に折曲された一端部で各左右水平向き部材26,29に取り付けられる板材34a,35aの他端側円弧状側辺にのみ歯列を形成したものである。
共通垂直向きリンク16は、上側左右両側板部36と下側左右両側板部37とを有するもので、上側左右両側板部36の内側に隣接するように、各折り畳みフレーム9a,9bの左右一対の平歯車34,35が互いに咬合するように左右水平向きの支軸38a,38bで軸支され、これら各折り畳みフレーム9a,9bが共通垂直向きリンク16に対して支軸38a,38bの周りに上下互いに逆方向に連動揺動するように構成されている。39a,39bは、互いに咬合する左右2組の平歯車34,35の上側を各別に覆うカバー材であって、それぞれ前後2本の前記支軸38a,38bが貫通することによって当該支軸38a,38bに支持されると共に、前後の互いに咬合する平歯車34,35の上側辺を挟むように嵌合することにより、この支軸38a,38bの軸方向に関して位置決めされている。
下側上下動リンク17a,17bは、各折り畳みフレーム9a,9bの本体24、27に対して幅の狭い棒状のもので、各折り畳みフレーム9a,9bの本体24、27の真下に位置した状態で、その内端は、共通垂直向きリンク16の下側左右両側板部37間に左右水平向きの支軸40a,40bにより軸支されると共に、その外端は、前後両端台車部6a,6bの垂直向きフレーム20下端部に左右水平向きの支軸41a,41bにより軸支されている。
展開状態係止手段12は、両折り畳みフレーム9a,9bの長さ方向の中間位置で本体24、27の左右両側に左右水平向き支軸42a,42bで外端が軸支されたそれぞれ左右一対のリンク43a,43bと、これらリンク43a,43bの内端どうしを互いに軸支連結する左右水平向きの共通支軸44と、共通垂直向きリンク16の下側左右両側板部37の下端から上向きに切り欠き形成された垂直な凹溝から成る被係合部45と、下側左右両側板部37間に配置されて当該下側左右両側板部37に左右水平向きの支軸47で軸支された自動係止方式の係止具46と、前記支軸47に遊嵌されて当該係止具46を係止作用方向に付勢する捩じりコイルスプリング48とを備えており、係止具46とその関連部材を除いたリンク43a,43b、共通支軸44、及び被係合部45によって振れ止め手段も構成されている。
折り畳み状態係止手段13は、図4、図7、及び図8に示すように、前端台車部6aの垂直向きフレーム20の下端で下側上下動リンク17aを軸支する支軸41aを左右両側に延出させて構成した左右一対の被係合部49a,49bと、後端台車部6bの垂直向きフレーム20の下端で下側上下動リンク17bを軸支する支軸41bの左右両側延出端で上下揺動自在に軸支され且つ前端台車部6aの方向に延出する先端部下側に係合凹部50を備えた左右一対の自動係止方式の係止具51a,51bと、この左右一対の係止具51a,51bの後端部どうしを互いに連結一体化する左右水平向き部材で構成された足踏み操作具52と、下側上下動リンク17bと各係止具51a,51bとの間で支軸41bに遊嵌されて係止具51a,51bをストッパー53で制止されるほぼ水平の係止作用姿勢に付勢保持する左右一対の捩じりコイルスプリング54a,54bと、係止具51a,51bの上動限位置を規制するストッパー55(一方の係止具51aに対してのみ作用する)とから構成されている。
図2に示すように、後側の折り畳みフレーム9bの内側左右水平向き部材29は、前側の折り畳みフレーム9aの内側左右水平向き部材26よりも左右両側に延出するもので、この内側左右水平向き部材29の左右両端下側に、図9に示すように車輪取付台56a,56bを介して向き固定車輪4a,4bが取り付けられている。また、図5、図6、及び図9に示すように、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bの内端には、当該両折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態になったときに互いに嵌合して、両折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態を越えて運動するのを阻止する嵌合部57,58が設けられている。実施例では、前側の折り畳みフレーム9aの嵌合部57は、内側左右水平向き部材26の左右幅方向の中央位置から後方に突出する突出体から構成された突起状嵌合部であり、後側の折り畳みフレーム9bの嵌合部58は、前記突起状嵌合部57が嵌まり込む凹陥状嵌合部であって、後側の折り畳みフレーム9bの内側左右水平向き部材29の左右幅方向の中央位置下側に取り付けられた溝形材59から構成されている。
而して、突起状嵌合部57は、相手側の後側の折り畳みフレーム9bの内側左右水平向き部材29と干渉することなく入り込むことができるように、側面視において先端上側角部が斜めにカットされた形状に構成されている。また図6に示すように、突起状嵌合部57と凹陥状嵌合部58とが互いに嵌合して前後2つの折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態となったとき、両折り畳みフレーム9a,9bの内側左右水平向き部材26,29の上面が前後に互いに同一レベルで隣接すると共に、後側の折り畳みフレーム9bの内側左右水平向き部材29の上側水平板部が前側の折り畳みフレーム9bの突起状嵌合部57の上に重なる。
図4〜図7に示すように、展開状態係止手段12の係止具46は、折り畳み状態係止手段13の足踏み操作具52とレリーズワイヤー60によって連動連結され、折り畳み状態係止手段13の足踏み操作具52を踏み下げて係止具51a,51bを上方に揺動させ、図7に仮想線で示す係止解除姿勢に切り換えたとき、当該足踏み操作具52の踏み下げ運動がレリーズワイヤー60を介して展開状態係止手段12の係止具46に伝達され、当該係止具46が捩じりコイルスプリング48に抗して回動し、係止解除姿勢に切り換えられるように構成されている。即ち、1つの足踏み操作具52によって展開状態係止手段12の係止解除と折り畳み状態係止手段13の係止解除とを行えるように構成されている。
図1に示すように、前後一対の側枠5a,5bは左右一対の縦柱61間に上下複数段に横桟62を架設して構成されたもので、両縦柱61の下端から所要長さ部分を内側に屈曲させて、前後両端台車部6a,6bの左右一対の角筒状支持部22に差し込むための脚柱部61aが構成されている。
上記各側枠5a,5bの取付構造の一例を、図10に基づいて説明すると、前後両端台車部6a,6bの左右一対の角筒状支持部22には、その左右両側壁の内、外側の側壁の上端から下窄まりの楔形凹入部63が形成され、前端台車部6a上の左右一対の角筒状支持部22の下端開口には、前記楔形凹入部63と同様に側面視で下窄まりとなるV字形板材64が固着されており、後端台車部6b上の左右一対の角筒状支持部22の下端開口には、中央にボルト孔65を備えた板材66が固着されている。
一方、前側の側枠5aの両脚柱部61aには、これを前端台車部6a上の左右一対の角筒状支持部22に差し込んで、当該角筒状支持部22から下方に若干突出する下端の前後両角部61b(図10C参照)がV字形板材64の内側斜面で前後方向に関してセンタリングされて受け止められたとき、当該角筒状支持部22の楔形凹入部63に嵌合してその内側斜面で前後方向に関してセンタリングされて受け止められる下窄まりの楔形板状突起67が付設されている。また、後側の側枠5bの両脚柱部61aには、その下端に上下方向に貫通するねじ孔68を備えた板ナット69が固着されると共に、この両脚柱部61aを後端台車部6b上の左右一対の角筒状支持部22に差し込んで、前記板ナット69が角筒状支持部22の下端の板材66より若干上にある深さに達したとき、当該角筒状支持部22の楔形凹入部63に嵌合してその内側斜面で前後方向に関してセンタリングされて受け止められる下窄まりの楔形板状突起70が付設されている。
而して、前側の側枠5aは、前端台車部6a上の左右一対の角筒状支持部22に対してその脚柱部61aを自由に抜き差しできるものであるが、差し込み状態では、角筒状支持部22の上下両端2箇所で前後方向に関してセンタリングされるので、前後方向に関してガタつきなく支持させることができる。また、後側の側枠5bは、後端台車部6b上の左右一対の角筒状支持部22に対してその脚柱部61aを差し込んだ状態で、ボルト孔65に上向きに挿入したボルト71を脚柱部61a下端のねじ孔68に螺合締結することにより、角筒状支持部22の下端側はボルト止めにより定位置に位置決めされると共に、角筒状支持部22の上端側では楔形凹入部63と楔形板状突起70との嵌合により前後方向に関してセンタリングされるので、下端側1箇所のボルト止めでありながら前後方向に関してガタつきなく強固に支持させることができる。後側の側枠5bは、必要に応じてボルト71の弛緩抜出により抜き取ることができる。
この実施形態では、前側の側枠5aは自由に抜き差しできる構造とし、後側の側枠5b、即ち、展開状態係止手段12と折り畳み状態係止手段13の係止解除用操作具である足踏み操作具52を備える後端台車部6b側の側枠5bは、ボルト止めしている。この構成によれば、足踏み操作具52を操作するときに、ボルト止めにより強固に取り付けられている側枠5bを把持した状態で安定的に係止解除操作することができる。従って、図1及び図2に示すように、向き固定車輪4a,4bの制動装置の操作手段79(詳細の説明は省略するが、向き固定車輪4a,4bを制動状態と制動解除状態とに切り換える足踏み操作具を備える)を併設するときは、ボルト止めにより強固に取り付けられている側枠5b側の台車部6b上に当該操作手段79を配設することが望ましい。
上記の向き固定車輪4a,4bの制動装置の操作手段79を図2に仮想線で示すように、展開状態係止手段12と折り畳み状態係止手段13の係止解除用足踏み操作具52が配設された後端台車部6bではなく、前端台車部6a側に振り分けて配設するときは、前後両側枠5a,5bを何れもボルト止めとすることができる。この場合、展開状態係止手段12と折り畳み状態係止手段13の係止解除用足踏み操作具52の構成によって、当該係止解除用操作具を前端台車部6a側に設けなければならないときは、向き固定車輪4a,4bの制動装置の操作手段79を後端台車部6b側に設ければ良い。
前後両側枠5a,5bは、上記の操作手段79や足踏み操作具52との配置関係に関係なく、何れもボルト止めとすることができるし、特に問題なければ、前後両側枠5a,5bを何れも抜き差し自由な支持構造とすることも可能である。
上記構成の運搬用台車の使用方法を説明すると、図1に示すように荷台本体8を水平展開状態にして、この運搬用台車を荷の運搬に使用する状態では、図6に示すように、展開状態係止手段12の被係合部45内に上向きに入り込んだ両リンク43a,43b間の共通支軸44が係止具46によって当該被係合部45内に係止されており、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bの内端部(共通垂直向きリンク16との間の支軸38a,38b)と前記共通支軸44との間の間隔の広がりを阻止しているので、荷支持台10に上向きの外力が働いても、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bが中央上がりに折曲して荷支持台10が傾動することはない。
而して、上記の運搬用台車は、側枠5a,5bの任意の一方を把手として後押しまたは引っ張り移動させることができるが、このとき、荷台1の前後長さ方向のほぼ中央位置にある左右一対の向き固定車輪4a,4bが接地しているので、前後方向の直進性が高く、左右横方向にふらつかせることなく走行させることができ、しかも左右横方向に転向させるときは、左右一対の向き固定車輪4a,4b間の中央位置を支点にして前後に長い運搬用台車を容易に旋回させることができる。この作用を確実に得るためには、自在車輪2a〜3bの共通接地レベルより向き固定車輪を若干下側に突出するように取り付けておくのが望ましい。向き固定車輪4a,4bが制動手段を備えたものであるときは、その操作手段79で必要なときに向き固定車輪4a,4bに制動をかけておき、安定的に停止させておくことができる。
また、展開状態係止手段12の係止具46とその関連部材を除いたリンク43a,43b、共通支軸44、及び被係合部45によって構成されている振れ止め手段の存在により、係止具46による共通支軸44の係止作用とは関係なく、運搬用台車が前後に揺れ動くのを防止できる。即ち、荷台本体8が水平展開状態にあるときは、両リンク43a,43b間の共通支軸44が被係合部45内に入り込んで、前後2組の平行リンク機構14a,14bの前後方向の座屈変形運動を阻止するラチス構造部が形成された状態になるので、運搬用台車を走行させるために側枠5a,5bの一方を押したり引いたりしたとき、前後2組の平行リンク機構14a,14bの前後方向の座屈変形運動を伴って両側枠5a,5bが操作方向に傾動するような揺れ動きが解消または軽微となる。
更に、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態となっているときは、図6に示すように、前側の折り畳みフレーム9aの内端の突起状嵌合部57と後側の折り畳みフレーム9bの内端の凹陥状嵌合部58とが互いに嵌合しており、後側の折り畳みフレーム9bの内側左右水平向き部材29の上側水平板部(凹陥状嵌合部58の上側構成板)が前側の折り畳みフレーム9bの突起状嵌合部57の上に重なっており、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bが水平展開状態を越えて下側へ折曲することが阻止されているので、例えば重量物を水平展開状態の荷台本体8(荷支持台10)の中央部に落とすように積み込んだときのような過大な荷重が荷台本体8(荷支持台10)の中央部に作用したときでも、展開状態係止手段12の被係合部である共通支軸44やこれが嵌入する被係合部45を形成する共通垂直向きリンク16に不当な負荷が作用するのを防止できる。
使用しない運搬用台車の車両の荷台に積載したり、限られたスペースに格納する場合には、図3に示すように、荷台本体8を逆V字形に折り畳んで前後両端台車部6a,6bを互いに隣接させた折り畳み状態とすることができる。即ち、図7に示す折り畳み状態係止手段13(荷台本体8の水平展開状態では遊んでいる状態)の足踏み操作具52を踏み下げ、そのときの操作力をレリーズワイヤー60を介して図6に示す展開状態係止手段12の係止具46に伝達し、当該係止具46を捩じりコイルスプリング48に抗して係止解除方向に回動させることにより、被係合部45に対する共通支軸44の下方への移動脱出が自由になるので、図4に示すように、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bが前後両端台車部6a,6bとの間の捩じりコイルスプリング30a〜31bの付勢力でそれぞれ上方に回動することになる。
前後2つの折り畳みフレーム9a,9bの上方への回動は、捩じりコイルスプリング30a〜31bの付勢力と荷台本体8に作用する重力とが平衡する状態で停止するので、その後は、後側の折り畳みフレーム9bと一体に傾動して前側の折り畳みフレーム9aから浮き上がった状態になる荷支持台10の遊端部側を持って引き上げるかまたは、前後両端台車部6a,6bを互いに接近させるように操作するなどして、図3に示すように、前後2つの折り畳みフレーム9a,9b)を折り畳んで起立させると共に前後両端台車部6a,6bを互いに隣接させる。
上記の荷台本体8の折り畳み操作時において、連動開閉手段11の前後2組の平行リンク機構14a,14b及び歯車列15が、前後両端台車部6a,6bを、側枠5a,5bが床面に対し垂直に起立する一定姿勢に保持した状態で前後2つの折り畳みフレーム9a,9bを互いに左右対称形に連動開閉させることになる。即ち、それぞれ折り畳みフレーム9a,9bに固着されて互いに咬合する歯車列15の左右一対前後2組の平歯車34,35の存在により、両折り畳みフレーム9a,9bは、共通垂直リンク16に対して互いに逆方向に等角度だけ連動回動し得る状態であり且つ、その共通垂直リンク16は、前後2組の平行リンク機構14a,14bの間に位置する共通垂直リンク部材であって、両平行リンク機構14a,14bの外側の垂直向きリンク部材である前後両端台車部6a,6bと前記共通垂直リンク16の三者は、互いに平行運動のみが可能であるから、それぞれ自在車輪2a〜3bで床面上に支持された前後両端台車部6a,6bは、側枠5a,5bが床面に対し垂直になる一定姿勢を保ったままで、前後方向に接近離間移動することができるのである。
図3に示すように、荷台本体8(前後2つの折り畳みフレーム9a,9b)を折り畳んで起立させると共に前後両端台車部6a,6bを互いに隣接させたとき、図7に示すように、折り畳み状態係止手段13における後端台車部6b側の係止具51a,51bの係合凹部50が前端台車部6a側の被係合部49a,49b(支軸41aの両端部)に捩じりコイルスプリング54a,54b(図8参照)により自動係合し、図3に示す折り畳み状態で運搬用台車がロックされることになる。尚このとき、足踏み操作具52を踏み下げたときと同様にレリーズワイヤー60に引っ張り力が作用するが、当該レリーズワイヤー60で連動する展開状態係止手段12は遊んでいる状態であるから影響はない。
図11は、折り畳み状態係止手段の別の参考例を示している。この折り畳み状態係止手段100は、前端台車部6aに下側上下動リンク17aを軸支する支軸41aを利用して上下揺動自在に軸支され且つ先端部上側に係合凹部101を備えた係止具102と、この係止具102を上向きに付勢する捩じりコイルスプリング103と、この係止具102に対して斜め前方上方の位置で前端台車部6aに左右水平向きの支軸104により踏み下げ可能に軸支されると共にストッパー105で制止される位置に捩じりコイルスプリング106で付勢保持された係止解除用操作具107と、当該操作具107と前記係止具102とを連動連結する上下方向向きのリンク108とから構成されている。このリンク108は、上端が操作具107の支軸104から後方に延出するレバー部107bに左右水平向きの支軸109で軸支されると共に、下端側にリンク長さ方向の長孔110を備え、前記係止具102の支軸41aから前方に延出するレバー部102aに設けられた左右水平向きの支軸111が前記長孔110に貫通係合している。係止解除用操作具107には、その上端に足踏み板部107aが設けられ、足踏み操作できるようになっている。
而して、前記係止具102は、前後2つの折り畳みフレーム9a,9bを折り畳んで前後両端台車部6a,6bを互いに接近隣接させたとき、後端台車部6bに下側上下動リンク17bを軸支する支軸41bを利用して構成された被係合部112に係合凹部101が自動係合し、前後両端台車部6a,6bが互いに離間移動するのを阻止する。即ち、荷台本体8を折り畳み状態で係止することができる。この自動係止動作時の係止具102の運動は、前記長孔110内の支軸111の遊動によって足踏み操作具107には伝達されない。荷台本体8の折り畳み状態を解除するときは、操作具107を捩じりコイルスプリング106に抗して踏み下げ、リンク108を介して係止具102を捩じりコイルスプリング103に抗して係合凹部101が被係合部112から下方に離脱する方向に回動させれば良い。
上記の係止解除用操作具107は、その踏み下げ操作で上記実施形態における展開状態係止手段12を係止解除させるために、展開状態係止手段12の係止具46(図4参照)に連結されている前記レリーズワイヤー60が当該操作具107に連結され、両者が互いに連動連結されている。この場合、レリーズワイヤー60の全長を短くするために、展開状態係止手段12の係止具46(図4参照)の向きを前後逆にしても良いし、係止解除用操作具107を含めて折り畳み状態係止手段100を先の実施形態の折り畳み状態係止手段13のように後端台車部6b側に設けても良い。
図12は、本発明の具体的実施形態を示している。この図12に示す実施形態は、図11に参考例として示した具体構成における折り畳み状態係止手段100と組み合わされた展開状態係止手段が本発明に従って改変されたものである。即ち、本発明の具体的実施形態における展開状態係止手段114は、荷支持台10の両端の内、折り畳みフレーム9bに固定されていない側の遊端部に突設された被係合部115(例えば、線材を平面コ字形に曲げたものを荷支持台10の遊端に突設させたもの)と、図11に示す折り畳み状態係止手段100の係止解除用操作具107に代えて、当該操作具107と同一位置に設けられた係止具116とから構成されている。係止具116は、この係止具116の下方で前後方向の内側(後方)に折り畳み状態係止手段100の係止具102が位置するように、前端台車部6aに左右水平向きの支軸117により揺動可能に軸支されると共にストッパー118で制止される位置に捩じりコイルスプリング119で付勢保持されており、その一側辺には前記被係合部115に対して自動係合する係合凹部120が形成されている。
また、係止具116の上端には、被係合部115から係合凹部120が離脱する方向に捩じりコイルスプリング119に抗して踏み下げ回動させるための足踏み板部121が一体に連設され、この足踏み板部121によって、この展開状態係止手段114の係止解除用操作具が構成されている。更に、係止具116と折り畳み状態係止手段100の係止具102とを、両者が同時に係止解除運動するように連動連結させるために、図11に示した折り畳み状態係止手段100の係止具102と係止解除用操作具107との間の連動機構と同一の連動機構が図示のように組み込まれている。尚、116aは、前記リンク108を支軸122で軸支するために支軸117から後方に延出させたレバー部である。
上記の構成によれば、展開状態係止手段114の係止具116が、当該展開状態係止手段114の係止解除用操作具と折り畳み状態係止手段100の係止解除用操作具とを兼用していることになる。従って、荷台本体8が折り畳まれている状態では、係止具116の足踏み板部121を踏み下げることにより、リンク108を介して折り畳み状態係止手段100の係止具102を係止解除動作させて折り畳み状態での係止を解除することができる。そして、折り畳まれている前後2つの折り畳みフレーム9a,9bを水平展開状態に展開し、一方の折り畳みフレーム9b上に固定されている荷支持台10の遊端部を前端台車部6a上に載置させるように捩じりコイルスプリング30a〜31b(図2及び図4参照)に抗して荷支持台10を押し下げたとき、当該荷支持台10の遊端部の被係合部115が展開状態係止手段114の係止具116の係合凹部120に自動的に係合し、荷支持台10(前後2つの折り畳みフレーム9a,9b)が水平展開状態に係止されることになる。このときの係止具116の自動係止動作時には、遊び状態にある折り畳み状態係止手段100の係止具102もリンク108を介して一時的に係止解除方向(下向き)に回動せしめられる。
尚、連動開閉手段11や荷台本体8を折り畳む方向に付勢するスプリング(捩じりコイルスプリング30a〜31b)、向き固定車輪4a,4bなどは、本発明に必須のものではなく、場合によっては省くこともできる。
A図は荷台本体を水平展開状態とした運搬用台車の側面図、B図は同正面図、C図は同背面図である。 荷支持台を省いた状態での荷台を示す平面図である。 荷台本体を折り畳んだ状態での運搬用台車の側面図である。 連動開閉手段を説明する一部縦断側面図である。 図4の要部を示す縦断側面図である。 荷台本体が水平展開状態にあるときの図4の要部を示す縦断側面図である。 図3の要部の一部縦断側面図である。 折り畳み状態係止手段を説明する平面図である。 図1Aの荷支持台を省いた状態での中央部縦断正面図である。 前後両側枠の支持構造を示す要部図面であって、A図は前側の側枠の取り付け前の状態を示す一部縦断正面図、B図は前側の側枠の取り付け後の状態を示す一部縦断側面図、C図はB図の要部拡大図、D図は後側の側枠の取り付け前の状態を示す一部縦断背面図、E図は後側の側枠の取り付け後の状態を示す一部縦断側面図である。 折り畳み状態係止手段の別実施形態を示す一部縦断側面図である。 折り畳み状態係止手段と展開状態係止手段の別実施形態を示す一部縦断側面図である。
符号の説明
1 荷台
2a〜3b 自在車輪
4a,4b 向き固定車輪
5a,5b 側枠
6a,6b 前後両端台車部
8 荷台本体
8a 荷支持台部
8b 上下動フレーム
9a,9b 折り畳みフレーム
10 荷支持台
11 連動開閉手段
12,114 展開状態係止手段
13,100 折り畳み状態係止手段
14a,14b 平行リンク機構
15 歯車列
16 共通垂直向きリンク
17a,17b 下側上下動リンク
30a〜31b,48,54a,54b,103,106,119 捩じりコイルスプリング
34,35 平歯車
43a,43b 展開状態係止手段のリンク
44 共通支軸
45 被係合部(垂直な凹溝)
46,51a,51,102,116 自動係止方式の係止具
49a,49b,112,115 被係合部
50,101,120 係合凹部
52,107 係止解除用操作具(足踏み操作具)
57 突起状嵌合部
58 凹陥状嵌合部
60 レリーズワイヤー
79 向き固定車輪の制動装置の操作手段
107a,121 足踏み板部

Claims (1)

  1. 荷台が、それぞれ車輪を備えた前後両端台車部と、この前後両端台車部どうしを互いに連結し且つ当該前後両端台車部を互いに接近隣接させるために中央部が立ち上がるように折り畳み可能に構成された荷台本体とから成り、当該荷台本体を折り畳み状態で係止する折り畳み状態係止手段と、当該荷台本体を水平展開状態で係止する展開状態係止手段とが設けられた運搬用台車であって、前記折り畳み状態係止手段の係止解除と展開状態係止手段の係止解除とを1つの操作具で行えるようにした運搬用台車において、
    前記荷台本体が、前記両端台車部間に介装された前後2つの折り畳みフレームと、両折り畳みフレームが水平展開状態にあるときに両折り畳みフレームの上に重なり且つ一方の折り畳みフレームと一体に構成された荷支持台とから成り、
    前記展開状態係止手段が、前記荷支持台の遊端部に設けられた被係止部と、前記両折り畳みフレームが水平展開状態になったときに前記被係止部に自動係合するように一方の台車部に上下揺動自在に軸支された係止具とから構成され、
    前記折り畳み状態係止手段の係止具は、前記展開状態係止手段の係止具の下方で且つ前後方向の内側に入った位置に上下揺動自在に軸支され、上下両係止具がリンクにより連動連結されると共に、上側に位置する前記展開状態係止手段の係止具に、前記操作具としての足踏み板部が一体に連設されている、運搬用台車。
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