JP4041630B2 - 回路パターンの検査装置および検査方法 - Google Patents

回路パターンの検査装置および検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置、フォトマスク、液晶等の微細な回路パターンを有する基板の製造方法における回路パターンの検査装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハの検査を一例として説明する。半導体装置は、半導体ウエハ上にホトマスクに形成されたパターンをリソグラフィー処理およびエッチング処理により転写する工程を繰り返すことにより製造される。半導体装置の製造過程において、リソグラフィー処理やエッチング処理その他の良否、異物発生等は、半導体装置の歩留まりに大きく影響を及ぼすため、異常や不良発生を早期にあるいは事前に検知するために製造過程の半導体ウエハ上のパターンを検査する方法は従来から実施されている。
【0003】
半導体ウエハ上のパターンに存在する欠陥を検査する方法としては、半導体ウエハに白色光を照射し、光学画像を用いて複数のLSIの同種の回路パターンを比較する欠陥検査装置が実用化されている。検査方式の概要は、雑誌「月間セミコンダクタワールド」1995年8月号第96頁から第99頁に述べられている。また、光学画像を用いた検査方法では、特開平3−167456号公報に記載されているように、基板上の光学照明された領域を時間遅延積分センサで結像し、その画像と予め入力されている設計特性を比較することにより欠陥を検出する方式や、特公平6−58220号公報に記載されているように、画像取得時の画像劣化をモニタしそれを画像検出時に補正することにより安定した光学画像での比較検査を行う方法が開示されている。このような光学式の検査方式で製造過程における半導体ウエハを検査した場合、光が透過してしまうシリコン酸化膜や感光性フォトレジスト材料を表面に有するパターンの残渣や欠陥は検出できなかった。また、光学系の分解能以下となるエッチング残りや微小導通穴の非開口不良は検出できなかった。さらに、配線パターンの段差底部に発生した欠陥は検出できなかった。
【0004】
上記のように、回路パターンの微細化や回路パターン形状の複雑化、材料の多様化に伴い、光学画像による欠陥検出が困難になってきたため、光学画像よりも分解能の高い電子線画像を用いて回路パターンを比較検査する方法が提案されてきている。電子線画像により回路パターンを比較解査する場合に、実用的な検査時間を得るためには走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEMと略す)による観察と比べて非常に高速に画像を取得する必要がある。そして、高速で取得した画像の分解能と画像のSN比を確保する必要がある。
【0005】
電子線を用いたパターンの比較検査装置として、「ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジ・ビー」第9巻第6号、第3005頁から第3009頁、1991年(J. Vac. Sci. Tech. B, Vol.9, No.6, pp.3005−3009(1991))、「ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジ・ビー」第10巻第6号、第2804頁から第2808頁、1992年(J. Vac. Sci. Tech. B, Vol.10, No.6, pp.2804−2808(1992))、および特開平5−258703号公報、米国特許第5502306号公報に、通常のSEMの100倍以上(10nA以上)の電子線電流をもった電子線を導電性基板(X線マスク等)に照射し、発生する二次電子、反射電子、透過電子のいずれかを検出し、その信号から形成された画像を比較検査することにより欠陥を自動検出する方法が開示されている。
【0006】
また、絶縁物を有する回路基板を電子線で検査あるいは観察する方法としては、特開昭59−155941号公報および「電子、イオンビームハンドブック」(日刊工業新聞社)第622頁から第623頁に、帯電の影響を少なくするために、2keV以下の低加速電子線照射により安定な画像を取得する方法が開示されている。さらに、特開平2−15546号公報には半導体基板の裏からイオンを照射する方法、特開平6−338280号公報には光を半導体基板の表面に照射することにより、絶縁物への帯電を打ち消す方法が開示されている。
【0007】
また、大電流でなおかつ低加速の電子線では、空間電荷効果により高分解能な画像を得ることが困難となるが、これを解決する方法として、特開平5−258703号公報に、試料直前で高加速電子線を減速し、試料上で実質的に低加速電子線として照射する方法が開示されている。
【0008】
高速に電子線画像を取得する方法としては、試料台を連続的に移動しながら試料台上の半導体ウエハに電子線を連続照射し取得する方法が特開昭59−160948号および特開平5−258703号公報に開示されている。また、従来のSEMで用いられてきた二次電子の検出装置として、シンチレータ(アルミニウムが蒸着された蛍光体)とライトガイドと光電子増倍管による構成が用いられているが、このタイプの検出装置は、蛍光体による発光を検出するため、周波数応答性が悪く、高速に電子線画像を形成するには不適切である。この問題を解決するために、高周波の二次電子信号を検出する検出装置として、半導体検出器を用いた検出手段が特開平5−258703号公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置にあっては、従来の回路パターンの検査装置にあっては、回路パターンの検査装置の画面機能が充分に生かされていず、基板の外観検査が必ずしも容易に行われるものとは限らず、使い勝手が悪かった。したがって、検査システムおよび検査方法における早期の欠陥の発見とその原因究明、早期対策による半導体装置の製造歩留り向上の実現が困難であった。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなさたれたもので、ウエハやマスク、レチクルなどの回路パターンの欠陥、すなわち、線状、穴状などの形状の細り、欠け、形成不良、異物等を検査する回路パターンの検査装置の画面機能を改良して、使い勝手をよくし、検査システム全体として早期の欠陥の発見とその原因究明、早期対策による半導体装置の製造歩留り向上を実現できる回路パターンの検査装置、検査システム、および検査方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本実施態様によれば、荷電粒子線の照射によって取得された欠陥の画像から欠陥の特徴を抽出し、この特徴から欠陥を分類し、この分類に基づいて欠陥の画像を荷電粒子線の照射により再取得して表示する構成としたものである。
【0012】
また、回路パターンの検査装置は別の装置から送信された画像信号を表示する構成としたものである。
【0013】
また、回路パターンの検査システムは、マップに欠陥を表示するモニタを備えた電子線外観検査装置とこの欠陥の画像を記憶した外部外観検査装置とを備え、モニタにマップと欠陥の画像とを同時に表示する構成としたものである。
【0014】
また、回路パターンの検査システムは、基板に回路パターンを形成する複数の製造工程のうち予め定められた製造工程の終了時に、基板の欠陥を抽出する検査装置と、該検査装置による検査結果に基づいて、基板またはその一部を観察する観察装置と、前記検査装置に接続され、該検査装置による検査結果を解析する解析装置とを備え、該解析装置は、前記製造工程のうち特定の工程での欠陥、または異物の増加を判定し、製造工程の最終工程で発生する歩留り率と欠陥、または異物の増加率との相関関係を演算し、該演算結果と製造工程の各処理装置の来歴とに基づいて欠陥、または異物を分類する構成としたものである。
【0015】
また、回路パターンの検査システムは、基板に回路パターンを形成する複数の製造工程のうち予め定められた製造工程の終了時に、基板の検査を実行し欠陥を抽出する検査装置と、該検査装置による検査結果に基づいて、基板またはその一部に存在する欠陥を観察する観察装置との間を接続するとともに、検査結果を送付する伝送手段を備え、検査装置で実行される検査の基板の座標と、観察装置で実行される観察の基板またはその一部の座標とは、共通であるか、または互換性を有している構成としたものである。
【0016】
また、回路パターンの検査システムは、基板に回路パターンを形成する複数の製造工程のうち予め定められた製造工程の終了時に、基板の検査を実行し欠陥を抽出する検査装置と、該検査装置による検査結果に基づいて、基板またはその一部に存在する欠陥を観察する観察装置との間を接続するとともに、検査結果を送付する伝送手段を備え、観察装置で実行される観察の際に、検査装置で検出された欠陥の位置を、欠陥の位置がわかる場所に付けられたマーキングに基づいて検知する構成としたものである。
【0017】
また、回路パターンの検査システムは、製造工程の最終工程で発生する歩留り率と欠陥、または異物の増加率との相関関係を演算し、該演算結果と製造工程の各処理装置の来歴とに基づいて欠陥、または異物を分類する工程を備える構成としたものである。
【0018】
また、回路パターンの検査方法は、製造工程の最終工程で発生する歩留り率と欠陥、または異物の増加率との相関関係を演算し、該演算結果と製造工程の各処理装置の来歴とに基づいて欠陥、または異物を分類する工程を備える構成としたものである。
【0019】
尚、本実施例において、セル領域とは、検査対象となる領域の一つの単位(ユニット)を意味し、ウエハ上のチップの一つ一つを意味する場合から、チップ内の特定プロセス領域を意味する場合までユーザの検査要求により変化する。本実施例においては、ユーザの検査要求領域の個々を総称してセル領域と呼んで使用する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の検査装置、検査システム、および検査方法の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
実施例の回路パターンの検査装置1の構成を図1に示す。回路パターン検査装置1は、室内が真空排気される検査室2と、検査室2内に被検査基板9を搬送するための予備室(本実施例では図示せず)を備えており、この予備室は検査室2とは独立して真空排気できるように構成されている。また、回路パターン検査装置1は上記検査室2と予備室の他に制御部6、画像処理部5から構成されている。
【0022】
検査室2内は大別して、電子光学系3、二次電子検出部7、試料室8、光学顕微鏡部4から構成されている。電子光学系3は、電子銃10、電子線引き出し電極11、コンデンサレンズ12、ブランキング偏向器13、走査偏向器15、絞り14、対物レンズ16、反射板17、EクロスB偏向器18から構成されている。
【0023】
二次電子検出部7のうち、二次電子検出器20が検査室2内の対物レンズ16の上方に配置されている。二次電子検出器20の出力信号は、検査室2の外に設置されたプリアンプ21で増幅され、AD変換機22によりデジタルデータとなる。
【0024】
試料室8は、試料台30、Xステージ31、Yステージ32、回転ステージ33、位置モニタ測長器34、被検査基板高さ測定器35から構成されている。光学顕微鏡部4は、検査室2の室内における電子光学系3の近傍であって、互いに影響を及ぼさない程度離れた位置に設備されており、電子光学系3と光学顕微鏡部4の間の距離は既知である。そして、Xステージ31またはYステージ32が電子光学系3と光学顕微鏡部4の間の既知の距離を往復移動するようになっている。光学顕微鏡部4は光源40、光学レンズ41、CCDカメラ42により構成されている。画像処理部5は、第一画像記憶部46、第二画像記憶部47、演算部48、欠陥判定部49より構成されている。取り込まれた電子線画像あるいは光学画像はモニタ50に表示される。
【0025】
装置各部の動作命令および動作条件は、制御部6から入力される。制御部6には、あらかじめ電子線発生時の加速電圧、電子線偏向幅、偏向速度、二次電子検出装置の信号取り込みタイミング、試料台移動速度等々の条件が、目的に応じて任意にあるいは選択して設定できるよう入力されている。制御部6は、補正制御回路43を用いて、位置モニタ測長器34、被検査基板高さ測定器35の信号から位置や高さのずれをモニタし、その結果より補正信号を生成し、電子線が常に正しい位置に照射されるよう対物レンズ電源45や走査信号発生器44に補正信号を送る。
【0026】
被検査基板9の画像を取得するためには、細く絞った一次電子線19を該被検査基板9に照射し、二次電子51を発生させ、これらを一次電子線19の走査およびXステージ31、Yステージ32の移動と同期して検出することで該被検査基板9表面の画像を得る。本発明の課題で述べたように、本発明の自動検査では検査速度が速いことが必須となる。従って、通常のSEMのようにpAオーダーの電子線電流の電子線を低速で走査したり、多数回の走査および各々の画像の重ね合せは行わない。また、絶縁材料への帯電を抑制するためにも、電子線走査は高速で一回あるいは数回程度にする必要がある。そこで本実施例では、通常SEMに比べ約100倍以上の、例えば100nAの大電流電子線を一回のみ走査することにより画像を形成する構成とした。走査幅は100μmとし、1画素は0.1μm角とし、1回の走査を1μsで行うようにした。
【0027】
電子銃10には拡散補給型の熱電界放出電子源が使用されている。この電子銃10を用いることにより、従来の例えばタングステン(W)フィラメント電子源や、冷電界放出型電子源に比べて安定した電子線電流を確保することができるため、明るさ変動の少ない電子線画像が得られる。また、この電子銃10により電子線電流を大きく設定することができるため、後述するような高速検査を実現できる。
【0028】
一次電子線19は、電子銃10と引き出し電極11との間に電圧を印加することで電子銃10から引き出される。一次電子線19の加速は、電子銃10に高電圧の負の電位を印加することでなされる。これにより、一次電子線19はその電位に相当するエネルギーで試料台30の方向に進み、コンデンサレンズ12で収束され、さらに対物レンズ16により細く絞られて試料台30上のXステージ31、Yステージ32の上に搭載された被検査基板9(半導体ウエハ、チップあるいは液晶、マスク等微細回路パターンを有する基板)に照射される。なお、ブランキング偏向器13には、走査信号およびブランキング信号を発生する走査信号発生器44が接続され、コンデンサレンズ12および対物レンズ16には、各々レンズ電源45が接続されている。
【0029】
被検査基板9には、リターディング電源36により負の電圧を印加できるようになっている。このリターディング電源36の電圧を調節することにより一次電子線を減速し、電子銃10の電位を変えずに被検査基板9への電子線照射エネルギーを最適な値に調節することができる。
【0030】
被検査基板9上に一次電子線19を照射することによって発生した二次電子51は、被検査基板9に印加された負の電圧により加速される。被検査基板9上方に、EクロスB偏向器18が配置され、これにより加速された二次電子51は所定の方向へ偏向される。EクロスB偏向器18にかける電圧と磁界の強度により、偏向量を調整することができる。また、この電磁界は、試料に印加した負の電圧に連動させて可変させることができる。
【0031】
EクロスB偏向器18により偏向された二次電子51は、所定の条件で反射板17に衝突する。この反射板17は、試料に照射する電子線(以下一次電子線と呼ぶ)の偏向器のシールドパイプと一体で円錐形状をしている。この反射板17に加速された二次電子51が衝突すると、反射板17からは数Vから50eVのエネルギーを持つ第二の二次電子52が発生する。
【0032】
二次電子検出部7は、真空排気された検査室2内には二次電子検出器20が、検査室2の外にはプリアンプ21、AD変換器22、光変換手段23、光伝送手段24、電気変換手段25、高圧電源26、プリアンプ駆動電源27、AD変換器駆動電源28、逆バイアス電源29から構成されている。
【0033】
既に記述したように、二次電子検出部7のうち、二次電子検出器20が検査室2内の対物レンズ16の上方に配置されている。二次電子検出器20、プリアンプ21、AD変換器22、光変換手段23、プリアンプ駆動電源27、AD変換器駆動電源28は、高圧電源26により正の電位にフローティングしている。上記反射板17に衝突して発生した第二の二次電子52は、この吸引電界により二次電子検出器20へ導かれる。二次電子検出器20は、一次電子線19が被検査基板9に照射されている間に発生した二次電子51がその後加速されて反射板17に衝突して発生した第二の二次電子52を、一次電子線19の走査のタイミングと連動して検出するように構成されている。
【0034】
二次電子検出器20の出力信号は、検査室2の外に設置されたプリアンプ21で増幅され、AD変換器22によりデジタルデータとなる。AD変換器22は、二次電子検出器20が検出したアナログ信号をプリアンプ21によって増幅された後に直ちにデジタル信号に変換して、画像処理部5に伝送するように構成されている。検出したアナログ信号を検出直後にデジタル化きる。
【0035】
Xステージ31、Yステージ32上には被検査基板9が搭載されており、検査実行時にはXステージ31、Yステージ32を静止させて一次電子線19を二次元に走査する方法と、検査実行時にXステージ31、Yステージ32をY方向に連続して一定速度で移動されるようにして一次電子線19をX方向に直線に走査する方法のいずれかを選択できる。
【0036】
ある特定の比較的小さい領域を検査する場合には前者のステージを静止させて検査する方法、比較的広い領域を検査するときは、ステージを連続的に一定速度で移動して検査する方法が有効である。なお、一次電子線19をブランキングする必要がある時には、ブランキング偏向器13により一次電子線19が偏向されて、電子線が絞り14を通過しないように制御できる。
【0037】
位置モニタ測長器34として、本実施例ではレーザ干渉による測長計を用いた。Xステージ31およびYステージ32の位置が実時間でモニタでき、制御部6に転送されるようになっている。また、Xステージ31、Yステージ32、そして、回転ステージ33のモータの回転数等のデータも同様に、各々のドライバから制御部6に転送されるように構成されており、制御部6はこれらのデータに基づいて、一次電子線19が照射されている領域や位置が正確に把握できるようになっている。必要に応じて実時間で一次電子線19の照射位置の位置ずれを補正制御回路43より補正するようになっている。また、被検査基板毎に、電子線を照射した領域を記憶できるようになっている。
【0038】
被検査基板高さ測定器35は、電子ビーム以外の測定方式である光学式測定器、例えばレーザ干渉測定器や反射光の位置で変化を測定する反射光式測定器が使用されており、Xステージ31、Yステージ32に搭載された被検査基板9の高さを、実際の動作とともに測定を実行する、すなわち、実時間で測定するように構成されている。本実施例では、スリットを通過した細長い白色光を透明な窓越しに該被検査基板9に照射し、反射光の位置を位置検出モニタにて検出し、位置の変動から高さの変化量を算出する方式を用いた。この被検査基板高さ測定器35の測定データに基づいて、一次電子線19を細く絞るための対物レンズ16の焦点距離がダイナミックに補正され、常に非検査領域に焦点が合った一次電子線19を照射できるようになっている。また、被検査基板9の反りや高さ歪みを電子線照射前に予め測定しており、そのデータをもとに対物レンズ16の検査領域毎の補正条件を設定するように構成することも可能である。
【0039】
画像処理部5は第一画像記憶部46と第二画像記憶部47、演算部48、欠陥判定部49、モニタ50により構成されている。上記二次電子検出器20で検出された被検査基板9の画像信号は、プリアンプ21で増幅され、AD変換器22でデジタル化された後に光変換手段23で光信号に変換され、光伝送手段24によって伝送され、電気変換手段25にて再び電気信号に変換された後に第一画像記憶部46あるいは第二画像記憶部47に記憶される。演算部48は、この記憶された画像信号をもう一方の記憶部の画像信号との位置合わせ、信号レベルの規格化、ノイズ信号を除去するための各種画像処理を施し、双方の画像信号を比較演算する。欠陥判定部49は、演算部48にて比較演算された差画像信号の絶対値を所定のしきい値と比較し、所定のしきい値よりも差画像信号レベルが大きい場合にその画素を欠陥候補と判定し、モニタ50にその位置や欠陥数等を表示する。
【0040】
これまで回路パターン検査装置1の全体の構成について説明してきたが、このうちの二次電子51の検出手段について、その構成と作用をさらに詳細に説明する。一次電子線19は、固体に入射すると内部に進入しながらそれぞれの深さにおいて殻内電子を励起してエネルギーを失っていく。また、それとともに一次電子線が後方に散乱された反射電子が、やはり固体内で電子を励起させながら表面へ向かって進む現象が生ずる。これら複数の過程を経て、殻内電子は固体表面から表面障壁を超えて二次電子となって数Vから50eVのエネルギーを持って真空中へ出る。一次電子線と固体表面のなす角度が浅いほど、一次電子線の進入距離とその位置から固体表面までの距離との比が小さくなり、二次電子が表面から放出されやすくなる。したがって、二次電子の発生は一次電子線と固体表面の角度に依存しており、二次電子発生量が試料表面の凹凸や材料を示す情報となる。
【0041】
図2は二次電子51を検出するための電子光学系3、二次電子検出部7の主要構成図を示す。一次電子線19は被検査基板9へ照射され、被検査基板9表面にて二次電子51を発生させる。この二次電子51は、被検査基板9に印加された負の高電圧により加速される。二次電子51は、加速されるとともに対物レンズ16、EクロスB偏向器18により収束、偏向され反射板17に衝突する。この反射板17は、検出器への印加電圧等が一次電子線に影響を及ぼずのを防止するためのシールドパイプと一体でテーパーをもった円錐状をしている。平均で照射電子数の約5倍の二次電子を放出させるような構成として二次電子増倍効果を持たせた。上記の加速された二次電子51が衝突することにより、反射板17からは数Vから50eVのエネルギーを持つ第二の二次電子52が発生する。この第二の二次電子52は、二次電子検出器20と二次電子検出器20に取り付けた吸引電極53により生成される吸引電界により二次電子検出器20前面へ吸引される。
【0042】
EクロスB偏向器18の電磁界は、被検査基板9に印加する負の高電圧に連動して可変設定することができる。以上の構成により、被検査基板9表面で発生した二次電子51がEクロスB偏向器18を通過する際に、95%以上が通過できるようにし、反射板17にてこの95%の二次電子51が約5倍の量に増倍されて第二の二次電子52が発生することができる。
【0043】
二次電子検出器20として、本実施例ではPIN型半導体検出器を用いた。PIN型半導体検出器は通常のPN型半導体検出器よりも応答性が速く、逆バイアス電圧電源により逆バイアス電圧を印加することによりサンプリング周波数が100MHz程度の高周波の二次電子信号を検出することができる。この二次電子検出器20および検出回路であるプリアンプ21、AD変換器22、光変換手段23を正の電圧にフローティングしている。上記反射板17で生じた第二の二次電子52は、吸引電界により二次電子検出器20に吸引され、高エネルギー状態で二次電子検出器20に入射して表面層で一定のエネルギーを消失した後に電子正孔対を生成し、電流となって電気信号に変換される。本実施例で用いた二次電子検出器20は、信号検出感度も非常に高く、表面層でのエネルギー損失を考慮すると、吸引電界により加速されて入射した第二の二次電子52は約1000倍に増幅された電気信号になる。この電気信号はプリアンプ21によりさらに増幅され、この増幅された信号(アナログ信号)はAD変換器22によりデジタル信号に変換される。そして、AD変換器22の出力を各ビット毎に光変換手段23、光伝送手段24、電気変換手段25をそれぞれ設け、パラレルで伝送した。この構成によれば、個々の伝送手段はAD変換器22のクロック周波数と同じ伝送速度があれば良い。
【0044】
さて、光変換手段23により光デジタル信号に変換された信号は、光伝送手段24により電気変換手段25へ伝送され、ここで光デジタル信号から再び電気信号に変換され、画像処理部5へ送られる。このように光信号に変換してから伝送するのは、二次電子検出器20から光変換手段23までの構成要素が高電圧電源26により正の高電位にフローティングされているからであり、本実施例の構成により、高電位レベルの信号をアースレベルの信号に変換できる。
【0045】
また、本実施例では、光変換手段23として電気信号を光信号に変換する発光素子を、光伝送手段24として光信号を伝送する光ファイバケーブルを、電気変換手段25として光信号を電気信号に変換する受光素子を用いた。光ファイバケーブルは高絶縁材料で形成されているため、高電位レベルの信号をアース電位レベルの信号に容易に変換できる。さらに、デジタル信号を光伝送しているため、光伝送時における信号の劣化が全くない。その結果、従来の技術であるアナログ信号を光伝送する構成と比べてノイズの影響の少ない画像を得ることができる。
【0046】
なお、上記の実施例では、二次電子検出器20は逆バイアス電源29により逆バイアス電圧を印加されていたが、逆バイアス電圧を印加しない構成にしても良い。また、本実施例では二次電子検出器20にPIN型半導体検出器を用いたが、他のタイプの半導体検出器、例えばショットキー型半導体検出器やアバランシェ型半導体検出器等を用いても良い。また、応答性、感度等の条件を満たせば、MCP(マイクロチャネルプレート)を検出器として用いることも可能である。
【0047】
次に、前記回路パターン検査装置1により、被検査基板9として製造過程のパターン加工が施された半導体ウエハを検査した場合の作用について説明する。まず、図1には記載されていないが、被検査基板9の搬送手段により半導体ウエハは試料交換室へロードされる。そこでこの被検査基板9は試料ホルダに搭載され、保持固定された後に真空排気され、試料交換室がある程度の真空度に達したら検査のための検査室2に移載される。検査室2では、試料台30、Xステージ31、Yステージ32、回転ステージ33の上に試料ホルダごと載せられ、保持固定される。
【0048】
セットされた被検査基板9は、予め登録された所定の検査条件に基づきXステージ31、Yステージ32のXおよびY方向の移動により、光学顕微鏡部4の下の所定の第一の座標に配置され、モニタ50により被検査基板9上に形成された回路パターンの光学顕微鏡画像が観察され、位置回転補正用に予め記憶された同じ位置の対応する比較パターン画像と比較され、第一の座標の位置補正値が算出される。次に第一の座標から一定距離離れ第一の座標と同等の回路パターンが存在する第二の座標に移動し、同様に光学顕微鏡画像が観察され、位置回転補正用に記憶された回路パターン画像と比較され、第二の座標の位置補正値および第一の座標に対する回転ずれ量が算出される。この算出された回転ずれ量分、回転ステージ33は回転し、その回転量を補正する。なお、本実施例では回転ステージ33の回転により回転ずれ量を補正しているが、回転ステージ33無しで、算出された回転ずれの量に基づき電子線の走査偏向量を補正する方法でも補正できる。この光学顕微鏡画像観察においては、光学顕微鏡画像のみならず電子線画像でも観察可能な回路パターンが選定される。また、今後の位置補正のために、第一の座標、光学顕微鏡画像観察による第一の回路パターンの位置ずれ量、第二の座標、光学顕微鏡画像観察による第二の回路パターンの位置ずれ量が記憶され、制御部6に送られる。
【0049】
さらに、光学顕微鏡による画像が用いられて、被検査基板9上に形成された回路パターンが観察され、被検査基板9上の回路パターンのチップの位置やチップ間の距離、あるいはメモリセルのような繰り返しパターンの繰り返しピッチ等が予め測定され、制御部6に測定値が入力される。また、被検査基板9上における被検査チップおよびチップ内の被検査領域が光学顕微鏡の画像から設定され、上記と同様に制御部6に入力される。光学顕微鏡の画像は、比較的低い倍率によって観察が可能であり、また、被検査基板9の表面が例えばシリコン酸化膜等により覆われている場合には、下地まで透過して観察可能であるので、チップの配列やチップ内の回路パターンのレイアイトを簡便に観察することができ、検査領域の設定を容易にできるためである。
【0050】
以上のようにして光学顕微鏡部4による所定の補正作業や検査領域設定等の準備作業が完了すると、Xステージ31およびYステージ32の移動により、被検査基板9が電子光学系3の下に移動される。被検査基板9が電子光学系3の下に配置されると、上記光学顕微鏡部4により実施された補正作業や検査領域の設定と同様の作業を電子線画像により実施する。この際の電子線画像の取得は、次の方法でなされる。
【0051】
上記光学顕微鏡画像による位置合せにおいて記憶され補正された座標値に基づき、光学顕微鏡部4で観察されたものと同じ回路パターンに、一次電子線19が走査信号発生器44によりX方向、Y方向に二次元に走査されて照射される。この電子線の二次元走査により、被観察部位から発生する二次電子51が上記の二次電子検出のための各部の構成および作用によって検出されることにより、電子線画像が取得される。既に光学顕微鏡画像により簡便な検査位置確認や位置合せ、および位置調整が実施され、且つ回転補正も予め実施されているため、光学画像に比べ分解能が高く高倍率で高精度に位置合せや位置補正、回転補正を実施することができる。
【0052】
なお、一次電子線19を被検査試料9に照射すると、その箇所が帯電する。検査の際にその帯電の影響を避けるために、上記位置回転補正あるいは検査領域設定等の検査前準備作業において一次電子線19を照射する回路パターンは、予め被検査領域外に存在する回路パターンを選択するか、あるいは被検査チップ以外のチップにおける同等の回路パターンを制御部6から自動的に選択できるようにしておく。これにより、検査時に上記検査前準備作業により一次電子線19を照射した影響が、検査画像に及ぶことはない。
【0053】
次に、検査が実施される。検査時に被検査基板9に照射する一次電子線19の条件は、以下の方法にて求めた。まず、一般に電子線画像におけるSN比は、試料に照射する電子線の単位画素あたりの照射電子数Sの平方根と相関がある。画像同士を比較検査する場合には、電子線画像のSN比は正常部と欠陥部の信号量を検知できる値である必要があり、最低SN比は10以上が必要であり、好ましくは50以上が必要である。前述のように、電子線画像のSN比は、試料に照射する電子線の単位画素あたりの照射電子数Sの平方根と相関があるため、SN比10を得るためには単一画素あたり少なくとも100個以上の電子が必要となり、SN比50を得るためには少なくとも2500個以上の電子が照射されなくてはならない。
【0054】
また、この回路パターン検査方法を適用するねらいは、前述の通り光学式パターン検査方法では検出が不可能な微小の欠陥を検知することであり、すなわち微小な画素における画像間の差を認識する必要があった。これを達成するために、本実施例では画素サイズを0.1μm角とした。従って、最低限必要とされる単一画素あたりの電子数と上記画素サイズから、必要とされる単位面積あたりの電子線照射量は0.16μC/cm2になり、好ましくは4μC/cm2となる。この電子照射量を通常のSEMの電子線電流(数pAから数百pA程度)により得ようとすると、例えば20pAの電子線電流によって1cm2角の領域に0.16μC/cm2の電子を照射するには8000秒を要し、さらに4μC/cm2の電子を照射するには20万秒を要する。しかしながら、回路パターンの検査、例えば半導体ウエハの検査において要求される検査速度は600s/cm2以下、好ましくは300s/cm2以下であり、これよりも検査時間が長くなると、半導体製造においては検査の実用性がきわめて低くなる。したがって、これらの条件を満たし、実用的な検査時間で必要な電子線を試料に照射するためには、電子線電流を最低でも270pA(1.6μC/cm2、600s/cm2)以上、好ましくは13nA(4μC/cm2、300s/cm2)以上に設定する必要がある。そこで、本実施例の回路パターンの検査方法では、13nA以上の大電流電子線を用いて一回の走査により電子線画像を形成するようにしている。
【0055】
そして、通常のSEMに比べ約100倍以上の大電流(270nA以上、好ましくは13nA以上)の電子線を用いてただ一回の走査によって電子線画像を形成することは、検査速度の点から必要とされるだけでなく、以下に述べる理由により、下地膜あるいは表面パターンが絶縁材料により形成された回路パターンを検査するのに必要である。
【0056】
絶縁材料を有する回路パターンの電子線画像を通常のSEMにより取得すると、帯電の影響により実際の形状とは異なる電子線画像が得られたり、視野倍率によりコントラストがまったく異なることが多い。これは、微弱な電子線電流(数pAから数百pA)を局所的に繰り返し走査することにより、あるいは視野倍率を変える際に焦点や非点補正のために画像形成に必要な電子線量以上に電子線を局所的に走査することにより、電子線照射量がある一ヶ所に集中して照射され、その部分の帯電が不均等になるためである。その結果、絶縁材料で形成されたパターンの電子線画像の品質は、視野により全く異なってしまうので、このような画像は電子線画像を比較する検査には適用できない。従って、絶縁材料を有する回路パターンについても導電性の材料の回路パターンと同様に検査できるようにするために、通常のSEMに比べ約100倍以上の大電流電子線を用いて一回の走査により電子線画像を形成することとした。
【0057】
すなわち、本実施例では、単位面積あたり、および単位時間あたりの試料への電子線照射量が一定であって、比較検査を行うのに足る画質を形成するために必要な電子線量により、しかも、半導体ウエハ等の検査方法の実用性に適した走査速度により、電子線を一回走査することで電子線画像を取得することとした。そして、上記のように通常のSEMに比べ約100倍以上の大電流電子線を用いて一回の走査により絶縁材料を有する回路パターンの電子線画像を取得したところ、一視野内の電子線画像を構成する各種回路パターンの構成材料や構造に依存して帯電量や画像のコントラストがそれぞれ異なること、同種の材料の同等のパターン同士では同様な画像コントラストが得られることを確認した。なお、大電流電子線による走査は本実施例では一回のみとしているが、実質的に前述の作用が実現される範囲で数回走査する場合もあってもよい。
【0058】
次に、電子線画像のコントラストに影響する照射条件について述べる。電子線画像のコントラストは、試料に照射した電子線により発生し検出される二次電子の量により形成され、例えば材料等の相違により二次電子の発生量が異なることにより明るさの差となる。図3は、電子線照射条件のコントラストへの影響を示すグラフであり、図3(a)は照射条件が適切な場合を示し、図3(b)は照射条件が不適切な場合を示している。また、縦軸は画像の明るさと相関が大である帯電の程度、横軸には電子線の照射時間である。実線Aは、試料にホトレジストを用いた場合、点線Bは試料に配線材料を用いた場合である。
【0059】
図3(a)より、照射時間が少ない時間領域Cでは各材料の明るさ変動が少なく、照射時間が比較的多くなってくる時間領域Dだと照射時間による明るさの変化が大きくなり、最終的に照射時間が多い時間領域Eでは再び照射時間による明るさ変動が少なくなる。また、図3(b)より、照射条件が適切でない場合には、照射時間が少ない時間領域Cにおいても、照射時間に対する明るさ変動が大きく、安定した画像を得るのが困難である。従って、高速に且つ安定した電子線画像を取得するためには図3(a)の照射条件にて画像を取得することが重要である。
【0060】
上記電子線の試料への照射条件としては、単位面積あたりの電子線の照射量、電子線電流値、電子線の走査速度、試料に照射する電子線の照射エネルギーが挙げられる。そのため、これらパラメータは回路パターンの形状や材料毎にその最適値を求める必要がある。そのためには、試料に照射する電子線の照射エネルギーを自由に調整制御する必要がある。そのため、前述のように本実施例では試料である被検査基板9にリターディング電源36により一次電子を減速するための負の電圧を印加し、この電圧を調整することにより一次電子線19の照射エネルギーを適宜調整できるように構成している。これにより、電子銃10に印加する加速電圧を変化させる場合には一次電子線19の軸変化が発生し各種調整が必要になるのに対し、本実施例ではそのような調整を行わずに同様の効果を得ることができる。
【0061】
次に、検査を行うための電子線画像を形成する一次電子線19の走査方法について述べる。通常のSEMでは、ステージが静止した状態で電子線を二次元に走査し、ある領域の画像を形成する。この方法によると、広領域をくまなく検査する場合には、画像取得領域毎に、静止して電子線を走査する時間の他に、移動時間としてステージの加速、減速、位置整定を加算した時間がかかる。そのため、検査時間全体では長時間を要してしまう。そのため、本発明では、ステージを一方向に連続的に定速で移動しながら、電子線をステージ移動方向と直交または交叉する向きに高速に一方向に走査することにより、被検査領域の画像を取得する検査方法を用いた。これにより、所定距離の一走査幅分の電子線取得時間は、所定距離をステージが移動する時間のみとなる。
【0062】
図4は、被検査基板9上の一次電子線19の走査方向を示す平面図である。図4(a)には、上記方法によりYステージ32がY方向に連続して定速移動している際に、一次電子線19が走査する方向の一例を示している。一次電子線19を走査信号発生器44により走査する際に、実線で示した一方向のみ電子線を試料である被検査基板9に照射し、破線で示した電子線の振り戻しの間は被検査基板9に一次電子線19が照射されないようにブランキングすることにより、被検査基板9上に空間的、時間的に均一に電子線を照射することができる。ブランキングは、ブランキング偏向器13により一次電子線19を偏向して、絞り14を通過しないようにすることにより実施される。
【0063】
図4(b)には、別の走査の方向の一例として、一次電子線19が等速度で往復走査する場合を示している。一次電子線19が一端から他端まで等速度で走査されると、Xステージ31、Yステージ32が一ピッチ送られ、電子線が反対の向きに元の端まで等速度で走査される。この方法の場合には、電子線の振り戻し時間を省略することができる。
【0064】
なお、電子線が照射されている領域または位置は、Xステージ31、Yステージ32に設置された位置モニタ測長器34の測定データが時々刻々と制御部6に転送されることにより、詳細に把握される。本実施例ではレーザ干渉計を採用している。同様に、一次電子線19が照射されている領域あるいは位置の高さの変動は、被検査基板高さ測定器35の測定データが時々刻々と制御部6に転送されることにより詳細に把握される。これらのデータに基づき、電子線の照射位置や焦点位置のずれを演算し、補正制御回路43によりこれらの位置ずれを自動的に補正する。従って、高精度で精密な電子線の操作方法が確保される。
【0065】
以上の一次電子線19の走査方法により、試料である被検査基板9の全面あるいは予め設定した検査領域に電子線が照射され、前述した原理により二次電子51が発生し、前述した方法により二次電子51、52が検出される。前述の各部の構成およびその作用により、良質の画像を得ることができる。例えば、前述の構成および方法で反射板17に照射することにより約20倍の二次電子増倍効果を得ることができるとともに、従来の方法よりも一次電子線への収差の影響を抑制することができる。
【0066】
また、同様の構成でEクロスB偏向器18にかける電磁界を調節することにより、被検査基板9表面から発生した反射電子を二次電子と同様に反射板17に照射して得られた第二の二次電子52を検出することも容易に行える。また、EクロスB偏向器18の電界および磁界を、試料に印加する負の高電圧に連動して調整制御することで、試料毎に異なる照射条件においても二次電子を効率良く検出できる。また、二次電子検出器20を用いて二次電子を検出し、検出された画像信号を検出直後にデジタル化してから光伝送する方法により、各種変換、伝送において発生するノイズの影響を小さくし、SN比の高い画像信号データを得ることができる。
【0067】
検出した信号から電子線画像を形成する過程においては、画像処理部5が制御部6から指定された電子線照射位置の所望の画素に、対応した時間毎の検出信号を、その信号レベルに応じた明るさ階調値として第一画像記憶部46または第二画像記憶部47に逐次記憶させる。電子線照射位置と、検出時間で対応づけられた二次電子量が対応されることにより、試料回路パターンの電子線画像が二次元的に形成される。このようにして、高精度でSN比の高い良質な電子線画像が取得できるようになる。
【0068】
画像処理部5へ画像信号が転送されると、第一の領域の電子線画像が第一画像記憶部46に記憶される。演算部48は、この記憶された画像信号をもう一方の記憶部の画像信号との位置合せ、信号レベルの規格化、ノイズ信号を除去するための各種画像処理を施す。続いて、第二の領域の電子線画像が第二画像記憶部47に記憶され、同様の演算処理を施されながら、第二の領域の電子線画像と第一の電子線画像の同一の回路パターンおよび場所の画像信号を比較演算する。欠陥判定部49は、演算部48にて比較演算された差画像信号の絶対値を所定のしきい値と比較し、所定のしきい値よりも差画像信号レベルが大きい場合にその画素を欠陥候補と判定し、モニタ50にその位置や欠陥数等を表示する。次いで、第三領域の電子線画像が第一画像記憶部46に記憶され、同様の演算を施されながら先に第二画像記憶部47に記憶された第二の領域の電子線画像と比較演算され、欠陥判定される。以降、この動作が繰り返されることにより、すべての検査領域について画像処理が実行されていく。
【0069】
前述の検査方法により、高精度で良質な電子線画像を取得し比較検査することにより、微細な回路パターン上に発生した微小な欠陥を、実用性に則した検査時間で検出することができる。また、電子線を用いて画像を取得することにより、光学式パターン検査方法では光が透過してしまい検査できなかったシリコン酸化膜やレジスト膜で形成されたパターン不良やこれらの材料の異物などの欠陥が検査できるようになる。さらに、回路パターンを形成している材料が絶縁物の場合にも安定して検査を実施することができる。
【0070】
次に、この回路パターン検査装置1および方法を用いて半導体ウエハを検査した適用例について述べる。図5は半導体装置の製造プロセスを示すフローチャートである。図5に示すように、半導体装置は、ウエハ着工・表面酸化61から工程2、工程3、工程n、工程n+162の多数のパターン形成工程を繰り返している。ひとつのパターン形成工程は、大まかに、成膜63、レジスト塗布64、感光65、現像66、エッチング67、レジスト除去68、洗浄69の各ステップにより構成されている。これらの各ステップにおいて、加工のための製造条件が最適化されていないと、基板上に形成する半導体装置の回路パターンが正常に形成されない。そこで、例えば、現像66やレジスト除去68の工程の後で、自動外観検査60a,60bを実施することにより、工程の途中で欠陥を早期に発見して、製造歩留りの低下を防止することができる。
【0071】
図6に、製造プロセスにおける半導体ウエハ上に形成された回路パターンの概略を示す。図6(a)は正常に加工された回路パターン、図6(b)は加工不良が発生したパターンを示す。例えば図5の成膜過程で異常が発生するとパーティクルが発生し、半導体ウエハ表面に付着し、図6(b)中の孤立欠陥等になる。また、感光時に感光のための露光装置の焦点や露光時間等の条件が最適でないと、レジストの照射する光の量や強さが多すぎる箇所や足りない箇所が発生し、図6(b)中のショートや断線、パターン細りとなる。感光時のマスク・レチクルに欠陥があると、感光単位であるショット毎に同一箇所に同様のパターン形状異常が発生する。またエッチング量が最適化されていない場合およびエッチング途中に生成された薄膜やパーティクルにより、ショートや突起、孤立欠陥、開口不良等が発生する。洗浄時には、洗浄層の汚れや剥離した膜や異物の再付着により微小なパーティクルが発生し、乾燥時の水切れ条件により表面に酸化膜の厚さむらを発生し易い。
【0072】
従って、上述した図1に示す回路パターンの検査装置1を半導体装置の製造プロセスに適用することにより、異常の発生を高精度且つ早期に検知することができ、当該工程に異常対策処置を講ずることができ、これらの不良が発生しないよう加工条件を最適化することができるようになる。例えば、現像工程後に回路パターン検査工程が実施されて、ホトレジストパターンの欠陥や断線が検出された場合には、感光工程の露光装置の露光条件や焦点条件が最適でないという事態が推定され、焦点条件あるいは露光量の調整等によってこれらの条件が即座に改善される。また、これらの欠陥が各ショット間で共通して発生しているか否かを欠陥分布から調べることにより、パターン形成に用いられているホトマスク、レチクルの欠陥が推定され、ホトマスク、レチクルの検査や交換がいち早く実施される。その他の工程についても同様であり、本発明の回路パターンの検査方法および装置を適用し、検査工程を実施することにより、各種欠陥が検出され、検出された欠陥の内容によって各製造工程の異常の原因が推定される。
【0073】
このように半導体装置の製造過程において、本発明による回路パターンの検査装置または検査方法を実施することにより、各種製造条件の変動や異常発生を検査実時間内に検知することができるため、多量の不良発生を未然に防ぐことができる。また、回路パターンの検査方法および装置を適用し、検出された欠陥の程度や発生頻度等から当該半導体装置全体の良品取得率を予測することができ、半導体装置の生産性を高めることができるようになる。
【0074】
半導体装置の検査は、検査条件の設定、検査の実行、抽出された欠陥の確認と分類に大きく分けられ、本実施例では、これらをレシピ作成モード、検査モード、欠陥確認モードと呼んでいる。また、得られた欠陥のデータファイルを管理するユーティリティモードを有している。
【0075】
検査条件の設定、検査の実行の後、欠陥確認モードで、抽出された欠陥の確認と分類が行なわれる。
【0076】
図7は、欠陥確認モードにおける実行手順を示すフローチャートである。ステップ300によって取得され、表示された1度のみの照射によって形成したSEM画像を、ステップ301の自動分類モードによって自動分類できる画像であるかを判定する。NOの場合には、ステップ302でマニュアルでのSEM画像を再取得、表示を行う。分類モードにある場合(YES)には、ステップ303で欠陥(異常)の分類判定を行い、分類する。この分類は、表示された欠陥について、その位置(y座標、x座標)、サイズ、明るさ、あるいは形状、その他の欠陥特性の値が、予め定めておいた属性の値に比べて大きいか小さいかによって行う。この判定、確認は、自動または手動、すなわちオートまたはマニュアルによって行うことができる。このようにして予め定めた分類に従って分類できる場合(分類にマッチする場合)には、ステップ304で自動的にSEM画像を再取得して表示する。次に、ステップ305で検査結果の出力を行う。分類にアンマッチの場合、あるいはマニュアルでのSEM画像再取得、表示の場合にはこの段階での検査結果の出力を行う。検査結果出力を終了すると次のステップ306のウエハアンロードに移る。
【0077】
以上の手順によって、特定の欠陥を抽出することが可能となる。また、検査時に取得したSEM画像がファイルに保存されており、オペレータの判断により、このファイルされたSEM画像を再び表示させることによって、欠陥の再確認を行うことができる。
【0078】
図8に、検査モードでの自動検査終了時の画面図を示す。画面最上部には、時間、装置ID、検査対象基板名、オペレータ名などを表示する領域201、各種メッセージを表示するメッセージ領域202が配置されている。画面下部には、自動検査の実行を指示する検査モードを指定する「検査」ボタン203、欠陥の確認を指示する欠陥確認モードを指定する「欠陥確認」ボタン204、予め検査条件を設定するレシピの作成を指示するレシピ作成モードを指定する「レシピ作成」ボタン205、補助機能の呼出しを指示するユーティリティモードを指定する「ユーティリティ」ボタン206、システム終了を指示する「システム終了」ボタン207が配置されている。
【0079】
中央左側には、装置に装着されている基板のカセット内の位置を表示するカセット表示領域208が、中央右側には、該当する基板のデータを表示する基板表示領域209が配置されている。オペレータが基板表示領域209内のオプション領域210内の動作条件変更を選択すると、動作条件変更ボックス211が表示され、欠陥確認モードでの、欠陥のSEM画像の再取得を自動にするか、手動にするか、実行しないかを、マウスポインタのクリックで選択することができる。
【0080】
自動の場合は、自動選択された欠陥部の画像が自動取得される。手動の場合は、検査終了後の欠陥確認を、人手で行うので、検査終了で指示待ち状態となる。なしの場合は、検査終了後の欠陥確認を行わず、後で、人手で行う場合等に指定される。
【0081】
図9は、図8と同じく検査モードでの自動検査終了時の画面図である。中央左側にはウエハマップ212が、中央右側には検査結果表示領域213が配置されている。図8で説明したオプションの動作条件で自動を設定してあれば、予め設定されている時間をこの画面で待ち、欠陥確認画面に切替わる。手動の場合は、「欠陥確認」ボタン204をマウスでクリックする。
【0082】
図10は、欠陥確認モードにおける画面図である。この画面では、自動の場合は、欠陥データの中から、最大件数分の欠陥情報を取り出し、該当する欠陥の画像を順次撮りながら欠陥情報を表示していく。取得された画像と情報は、上位システム用データとしてファイルに出力される。
【0083】
図10において、「欠陥確認」ボタン204が他と区別されて色分け表示されている。中央右側には、欠陥の再取得画像が表示される画像表示領域214が配置されている。ウエハマップ212の下方には欠陥情報表示領域215が配置され、欠陥ID、欠陥クラスタID、欠陥の分類コード、座標、サイズなどが表示される。図10において、ウエハマップ212上の色分けされた欠陥のマークをマウスでクリックするか、欠陥IDを入力する事により、該当する部分のSEM高倍画像が右側の画像表示領域214に表示される。
【0084】
欠陥確認画面は、光学顕微鏡での撮影画像か若しくはSEM画像かどちらかを選択して表示させることが可能である。光学顕微鏡の場合は「光顕」ボタン216、SEM画像の低倍率の場合は「SEM低倍」ボタン217、高倍率の場合は「SEM高倍」ボタン218をクリックする。これらにより、検査しているウエハの欠陥領域の情報の隣側に同時に欠陥画像が表示されるので、欠陥が発生した原因の予測が容易になる。
【0085】
ウエハマップ212の表示と欠陥情報表示領域215とは連動しており、ウエハマップ212上で指定された欠陥のIDは、自動的に欠陥情報表示領域215に表示される。逆に、欠陥情報表示領域215で欠陥IDを入力すれば、ウエハマップ212上の該当する位置がマーキング表示される。該当する欠陥の分類コードがわかる場合は、分類コードで入力する。
【0086】
抽出された欠陥をすべて表示するのではなく、任意の条件を満たす欠陥のみ表示させるようにすることもできる。「表示フィルタ設定」ボタン219をクリックすると、欠陥の表示に制限を付けることができる。条件は、例えば、欠陥の面積、投影長、座標、分類コード、チップ内の座標の範囲、分類コードなどである。
【0087】
「ソート」ボタン220をクリックすると、例えば、欠陥を大きさが大きい順や面積が大きい順に並べ替え、その順番でサブIDとして欠陥ソートIDを付与することができる。
【0088】
「クラスタ分類」ボタン221をクリックすると、欠陥をクラスタ分類してその結果を表示し、保存も可能である。また、サブIDとして欠陥クラスタIDを付与することができる。
【0089】
また、オプション領域の各ボタンで、SEM画像の調整、欠陥の観察ができるようになっている。「照射条件」ボタン222をクリックすると、図11に示す画面が、図10に示す画面の上に重なって表示される。図11は、照射条件ボックスの画面図である。電子線照射条件入力領域223は、加速電圧、ビーム電流が指定できる。信号取得入力領域224は、信号加算数、画素寸法が指定できる。ここで、信号加算数とは、ウエハを電子線で走査する回数である。ここで、画素寸法とは、二次電子検出器20で取得する信号からつくられる画像の画素の大きさ、すなわち一辺の長さである。電子線のビーム径より小さい画素も選択できる。したがって、ひとつのチップ上で回路パターンの幅が異なっても、その回路パターンの幅に応じて画素の大きさを指定できるので、検査時間の効率化が可能となる。
【0090】
図12は、ユーティリティモードにおける画面図である。図10の「ユーティリティ」ボタン206をクリックすると、図12に示す画面になる。
【0091】
ファイルメニュー表示領域225には、ユーティリティの機能として、電子光学調整、ロード・アンロード、ファイル管理、画像管理、時刻設定等のファイルメニューが用意されている。例えば、「ファイル管理」ボタン226をクリックすると、ファイル管理表示領域227が表示される。このファイル管理表示領域227には、品種ファイル、工程ファイルの表示の他、保存された検査結果の画像ファイルが名前を付けられて表示されている。この検査結果の画像をクリックして「コピー」ボタン228をクリックすると、コピー表示領域229が表示される。このコピー表示領域229では、指定した画像ファイルの送付先が指定できる。また、「PC入力」マーク230を指定すると、外部のPCからの画像ファイルをダウンロードすることができる。
【0092】
以上の実施例によれば、特定の欠陥を抽出することが可能となり、またオペレータの判断によりファイルされたSEM画像の再取得、表示に基づいて、欠陥の再確認を行うことができる。検査しているウエハの欠陥領域の情報の隣側に同時に欠陥画像が表示されるので、欠陥が発生した原因の予測が容易になる。その結果、ウエハやマスク、レチクルなどの回路パターンの欠陥、すなわち、線状、穴状などの形状の細り、欠け、形成不良、異物等を検査する回路パターンの検査装置の画面機能を改良し、使い勝手のよい回路パターンの検査装置および検査方法を得ることができる。
【0093】
このように、チップ検査、ウエハ抜き取り頻度検査を画面を見ながら迅速に行うことができるので、製品全体に及ぶ欠陥あるいは特定領域における欠陥を迅速に検知することができ、プロセス条件の変動を確実に検知し、プロセスにフィードバックすると同時に差工数や払い出し予算の調整にフィードバックすることができるという効果が得られる。
【0094】
また、微細パターン形成工程/レジスト現像後、微細パターン形成工程/エッチング後、穴パターン形成工程、洗浄後の検査欠陥を画面表示によって迅速に検知することも可能である。
【0095】
次に、上記検査装置によって検出したデータを収集解析するシステムの例について、以下説明する。図13から図15に、データを収集し解析する回路パターンの検査システムの例を示す。
【0096】
図13は、半導体回路パターンを形成する場合の工程とそれに伴う検査工程、および検査の目的を示す全体工程図であり、図中、左から右へと工程が流れる。図7に示すように、半導体パターンを形成するには、「インプット」71、「工程1」72、「工程2」、…、「工程n」、および、「完成(電気テスト)」73の工程が想定される。そして、「工程2」あるいは「工程3」にあっては、「装置1」のかわりに、特定の「装置2」または「装置3」が使用される場合も想定される。工程間、または、いくつかの工程毎に、「検査」74が実施される。「検査」74には、各工程に対応して、「検査工程1」、「検査工程2」、…、「検査工程n」が想定される。これらの検査によって、異物やパターン欠陥などの欠陥の数に関して、「特定の工程での異物・欠陥が増加していないか」75、「歩留(電気テスト)と欠陥の相関(管理レベル設定)」76が実行され、「処理装置来歴による検索(特定の装置を通った集団に異常が無いか?)」77が実行される。
【0097】
図14は、各種測定装置、データ収集解析システムおよびデータ伝送・格納装置からなる全体システムを示す構成図である。全体システム80は測定装置群81、データ収集解析システム82、通信線としてのバス83、QCデータ収集システム84、テスタ85、サーバ86および事務所内パソコン87から構成される。
【0098】
測定装置群81は、一例として、レビューSEM91、レビューステーション92、異物検査装置93、光やレーザ光を用いた半導体ウエハの外観検査装置94、測長SEM95、合せ精度測定装置96、膜厚測定装置97他から構成される。
【0099】
レビューSEM91、レビューステーション92、異物検査装置93および外観検査装置94からは異物・外観・分類結果98が出力され、バス83を介してデータ収集解析システム82に入力される。測長SEM95、合せ精度測定装置96、膜厚測定装置97からはその他のQCデータ99が出力され、テスタ85からのテスタ結果と共にバス83を介してQCデータ収集システム84に入力される。
【0100】
データ収集解析システム82は、コンピュータ101、これに付随する異物・外観格納ファイル102および画像ファイル103から構成される。その出力データは、サーバ86に格納される。該サーバは一定期間のデータを格納することになる。QCデータ収集システム84はコンピュータ104およびFBM(フェール・ビット・マップ)解析についてのFBMデータファイル105および電気テストについてのQCデータファイル106から構成される。
【0101】
サーバ86は、「歩留 電気テストカテゴリ 処理装置来歴 寸法 膜厚 異物(鏡面) 合せ精度 耐圧 異物・外観」107をデータとして格納する。事務所内パソコン87は、サーバ86からデータを取り入れ、各種検索、解析、レポート作成処理のために使用される。
【0102】
図15は、図14の一部詳細を示すシステムの構成図である。半導体装置の製造工程に検査装置がない場合は、半導体装置が完成した時点で、テスタ85で電気的特性を検査する。異常があった場合は、「観察部・分析部切出し要」111のシステムの高解像SEM、AES分析、TEM観察の各装置で、異常の原因を調べることになる。この場合、半導体装置が完成した時点ではじめて異常がわかり、それから原因を調べるので、原因の究明と対策着手までに1か月から2か月もの長期間を要してしまう。これに対して、本実施例では、各工程の間に適当な検査を実施して、各工程毎に早期に異常を発見し、対策着手するので、半導体装置の製造歩留まり向上に、大きな効果をもたらす。
【0103】
異物・外観検査結果98aは、測定条件、異物・欠陥数、サイズ、座標等がデータ収集解析システム82に入力される。QCデータ収集システム84からは、歩留り、FBM座標がデータ収集解析システム82に入力される。
【0104】
ここで、例えば、図14に示した外観検査装置94で検出した異物・外観・分類結果98の異物や欠陥の位置、すなわち座標は、図15に示すレビューSEM91でその異物や欠陥を探す場合や、SIM/SEM観察91aの装置での観察のためにFIB断面加工する場合に、非常に有用である。両者の装置間で共通座標、または座標の互換性をもっていると、異物または欠陥の位置を容易に探すことができる。また、外観検査装置94で異物や欠陥の位置を示すマーキングを近傍などの異物や欠陥の位置がわかる場所に付けることも、レビューSEM91やFIB断面加工する場合に、位置を探すのに有用である。
【0105】
レビューSEM91を使用した結果、観察部・分析部切出し要111と判断された場合は、検出された高解像SEM、AES分析、TEM観察結果が異物・欠陥座標と共に、画像・分類結果・分析結果としてデータ収集解析システム82に入力されると共に、収集解析されたデータがフィードバックされ、前述した観察部・分析部切出し要の判断に使用される。
【0106】
図16は、他の例を示す図14と同様のシステムの構成図である。図14に示した外観検査装置94を光学式検査装置等の外部外観検査装置94aと本発明で使用するSEM式の外観検査装置94bとに分けている。このように構成することによって、外部外観検査装置94aからの情報や上位システムからの情報をSEM式の外観検査装置94bに入力させ、取得した外部情報と、SEM式の外観検査装置94bの結果の両方を画面上で比較することができる。これによって、光学式検査装置等の外部外観検査装置94aのみでは判明しなかった欠陥情報あるいはSEM式の外観検査装置94bのみでは判然としなかった欠陥情報を、画面上に表示したり、双方から得られた欠陥情報で画面上で重ねて表示して、より精度の高い回路パターンの検査が期待できる。尚、このような場合、それぞれの情報毎に色分けして、又は形を変えて表示することによって、どの装置によって得られた欠陥情報であるかを容易に視覚認識できるようにすると、さらに識別が容易になる。
【0107】
この例においても、光学式検査装置等の外部外観検査装置94a、または、本発明で使用するSEM式の外観検査装置94bの座標と、レビューSEM91の座標とを共通化、または、座標変換が容易であるようにすると、レビューSEM91での異物またはパターン欠陥等の欠陥の位置を容易に探すことができる。また、光学式検査装置等の外部外観検査装置94a、または、本発明で使用するSEM式の外観検査装置94bで、異物あるいはパターン欠陥等の欠陥の位置がわかるようなマーキングをすることによって、レビューSEM91で異物またはパターン欠陥等の欠陥の位置を容易に探すことができる。
【0108】
図17は、回路パターンの検査装置1のモニタ50に表示される検査結果の画面図である。欠陥108の数、欠陥チップ数が表示されている。外部装置の欠陥情報を取り込むことにより、ウエハマップ109上に、色又は形の変化をつけて、表示することができる。
【0109】
以上に述べた本実施例によれば、本発明による検査装置を半導体装置の製品プロセスへ適用することにより、従来技術では検出し得なかった欠陥、すなわち製品装置や条件等の異常を画面形成表示手段によって形成された画面を参照することによって早期に且つ高精度に発見することができる。そして、上位システムで適切な装置を用いて解析できるので、半導体装置製造プロセスにいち早く異常対策処理を溝ずることができ、その結果、半導体装置の不良率を低減し生産性を高めることができる。また、異常発生をいち早く検知することができるので、多量の不良発生を未然に防止することができる。さらにその結果、不良の発生そのものを低減させることができるので、半導体装置等の信頼性を高めることができる。したがって、新製品等の開発効率が向上し、且つ製造コストが削減できる。また、製造プロセスにおける欠陥原因究明までの製品の待ち時間を大幅に短縮できるとともに、不良発生を検知するための時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0110】
また、本発明による検査装置を、半導体素子等の半導体装置の製造プロセスに適用することにより、高感度に欠陥を検出できるだけでなく、検査適用工程を設定し、該工程のウエハを用いて検査条件を設定する際の設定効率が向上できる。その結果、検査工程における仕掛かりウエハの待ち時間がなくなり、深刻な異常の発生を早期に検知することができるようになる。そして、当該不良発生工程に早期に異常対策処置を講ずることができ、これらの不良が発生しないように加工条件を最適化することができる。
【0111】
例えば、現像工程後の回路パターン検査工程において、ホトレジストパターンの欠陥や断線が検出された場合には、現像工程前の感光工程の露光装置の露光条件や焦点条件が最適でないという事態が推定されるので、焦点条件あるいは露光量の調整等の対策を速やかに講じることができる。
【0112】
また、検出された欠陥が各ショット間で共通して発生しているか否かを欠陥分布から調べることにより、パターン形成に用いられているホトマスク、レチクルの欠陥が推定できるので、ホトマスク、レチクルの検査や交換を速やかに実施することができる。
【0113】
このように、本発明による回路パターンの検査方法および検査装置を半導体装置等の基板の製造プロセスへ適用し、製造プロセスの途中で検査工程を実施することにより、各種欠陥を検出することができ、検出された欠陥の内容によって各製造工程の異常の原因を速やかに推定することができる。
【0114】
上記検査の適用例として、ウエハ製造ラインにおいては以下に述べる方法で検査を適用することができる。
【0115】
検査が必要な複数の製品および工程のウエハをどの程度の頻度で検査するかについては、例えば、半導体製品の開発においては種々のプロセス条件を変えながら最適化すると考えられるので、条件変更の都度検査することが望ましい。
【0116】
一方、プロセス条件がほぼ確定している場合には、検査が必要な製品および工程のウエハを1週間あたり数枚程度検査し、且つプロセス条件変更時に検査することが望ましい。
【0117】
さらにプロセスが安定している製造ラインにおいては、「1枚/週、製品、工程」程度の検査を実施することにより、製造プロセスの変動やレベルを把握することが可能である。しかし、目的に応じてこれ以外のウエハ抜き取り検査を実施してもよい。
【0118】
このように、半導体装置の製造プロセスにおいて、本発明による回路パターンの検査装置をインラインで実施することにより、各種製造条件の変動や異常発生を検査実時間内に検知することができるため、多量の不良発生を未然に防ぐことができる。また、本発明による回路パターンの検査装置を適用することによって、短時間に効率よく正確に被検査ウエハの検査条件を決定することが可能となる。その結果、より高精度な検査を適用できるので不良発生を高感度に検知することができる。また、検査条件を決定するための時間を大幅に短縮できるので、製品の待ち時間やオペレータの占有時間を短縮できる。そして、不良を従来の検査方法、検査装置よりも早期に検知できるので半導体装置の生産性を高めることができるようになる。
【0119】
また、本発明による回路パターン検査装置において、検査結果は、必要に応じて突き合わせたり相関評価を実施することが可能であり、データの検索を個別の端末(パソコン等)から実施することができる。さらに、欠陥を検出した場合には、その発生箇所の情報を検索し、不良解析装置で各種解析を実施し、その解析結果をさらに分析結果として保存することができる。
【0120】
その他、本実施例で掲げた以外の検査装置および解析装置についても、データ収集解析システムへ接続することは可能であり、本実施例で述べた検査装置も接続されることを想定している。
【0121】
以上、本発明の代表的な装置の構成および、回路パターンの検査方法について、電子線を照射して高速に電子線画像を取得し比較検査する方法、具体的な検査のフローおよび各部の作用、検査条件を決定するためのフロー、そして、検査および検査条件設定の操作画面と操作方法、検査条件設定画面の階層、本発明の回路パターン検査を実施することによる半導体装置その他回路パターンを有する基板の製造プロセスの生産性を向上する方法等の一部の実施例について説明してきたが、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、請求項目に掲げた複数の特徴を組み合わせた検査方法および検査装置についても可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ウエハやマスク、レチクルなどの回路パターンの欠陥、すなわち、線状、穴状などの形状の細り、欠け、形成不良、異物等を検査する回路パターンの検査装置の画面機能を改良して、使い勝手をよくし、検査システム全体として早期の欠陥の発見とその原因究明、早期対策による半導体装置の製造歩留り向上を実現できる回路パターンの検査装置、検査システム、および検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回路パターンの検査装置の構成図。
【図2】電子光学系、二次電子検出部の主要構成図。
【図3】電子線照射条件のコントラストへの影響を示すグラフ。
【図4】被検査基板上の一次電子線の走査方向を示す平面図。
【図5】半導体装置の製造プロセスを示すフローチャート。
【図6】製造プロセスにおける半導体ウエハ上に形成された回路パターンの概略図。
【図7】欠陥確認モードにおける実行手順を示すフローチャート。
【図8】検査モードでの自動検査終了時の画面図。
【図9】検査モードでの自動検査終了時の画面図。
【図10】欠陥確認モードにおける画面図。
【図11】照射条件ボックスの画面図。
【図12】ユーティリティモードにおける画面図。
【図13】検査工程、および検査の目的を示す全体工程図。
【図14】各種測定装置、データ収集解析システムおよびデータ伝送・格納装置からなる全体システムを示す構成図。
【図15】図14の一部詳細を示すシステムの構成図。
【図16】他の例を示す図14と同様のシステムの構成図。
【図17】回路パターンの検査装置のモニタに表示される検査結果の画面図。
【符号の説明】
1…回路パターンの検査装置、2…検査室、3…電子光学系、4…光学顕微鏡部、5…画像処理部、6…制御部、7…二次電子検出部、8…試料室、9…被検査基板、10…電子銃、15…走査偏向器、18…EクロスB偏向器、19…一次電子線、20…二次電子検出器、30…試料台、31…Xステージ、32…Yステージ、33…回転ステージ、36…リターディング電源、46…第一画像記憶部、47…第二画像記憶部、48…演算部、49…欠陥判定部、50…モニタ、74…検査、80…全体システム、81…測定装置群、82…データ収集解析システム、83…バス、84…QCデータ収集システム、85…テスタ、86…サーバ、87…事務所内パソコン、91…レビューSEM、92…レビューステーション、93…異物検査装置、94…外観検査装置、95…側長SEM、96…合せ精度測定装置、97…膜厚測定装置、101…コンピュータ、104…コンピュータ、108…欠陥、109…ウエハマップ、204…「欠陥確認」ボタン、211…動作条件変更ボックス、212…ウエハマップ、214…画像表示領域、215…欠陥情報表示領域。

Claims (3)

  1. 複数のレンズから構成され、回路パターンが形成された基板の表面に荷電粒子線を照射する照射装置と、該照射によって前記基板から発生する信号を検出する検出器と、該検出器で検出した検出信号を、その信号レベルに応じた明るさ階調値として記憶する第一画像記憶部および第二画像記憶部と、第二の領域の電子線画像と第一の領域の第一の電子線画像の同一の回路パターンおよび場所の画像信号を比較演算する演算部と、該演算部にて比較演算された差画像信号の絶対値を所定のしきい値と比較し、所定のしきい値よりも差画像信号レベルが大きい場合にその画素を欠陥候補と判定し、モニタにその位置や欠陥数を表示する欠陥判定部とを備えた回路パターンの検査装置において、前記第一画像記憶部に記憶された第三の領域の電子線画像と、前記第二画像記憶部に記憶された第二の領域の電子線画像と比較演算し、欠陥判定し、以降この動作を繰り返す手段と、1回の走査により形成され、前記表示された前記電子線画像が自動分類モードによって自動分類できる画像であるかを判定する手段と、自動分類できる画像である場合には、表示された欠陥について、欠陥特性の値が、予め定めておいた属性の値に比べて大きいか小さいかによって、分類判定を行い、分類し、自動的に電子線画像を再取得して表示する手段を有すること
    を特徴とする回路パターンの検査装置。
  2. 回路パターンが形成された基板の表面に荷電粒子線を照射し、該照射によって前記基板から発生する信号を検出し、該検出によって得られた検出信号を、その信号レベルに応じた明るさ階調値として第一画像記憶部および第二画像記憶部に記憶し、第二の領域の電子線画像と第一の領域の第一の電子線画像の同一の回路パターンおよび場所の画像信号を比較演算し、該演算部にて比較演算された差画像信号の絶対値を所定のしきい値と比較し、所定のしきい値よりも差画像信号レベルが大きい場合にその画素を欠陥候補と判定し、モニタにその位置や欠陥数を表示する回路パターンの検査方法において、
    第三の領域の電子線画像が前記第一画像記憶部に記憶され、先に前記第二画像記憶部に記憶された第二の領域の電子線画像と比較演算され、欠陥判定され、以降この動作が繰り返されるとともに、前記電子線画像は1回の走査により形成され、前記表示された電子線画像が自動分類モードによって自動分類できる画像であるかを判定し、自動分類できる画像である場合には、表示された欠陥について、欠陥特性の値が、予め定めておいた属性の値に比べて大きいか小さいかによって、分類判定を行い、分類し、自動的に電子線画像を再取得して表示すること
    を特徴とする回路パターンの検査方法。
  3. 請求項2において、前記欠陥の分類は、位置、サイズ、明るさ、および形状を含む欠陥特性について予め定められた属性との比較によって実行されることを特徴とする回路パターンの検査方法。
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