JP4041403B2 - シリアルプリンタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、副走査方向に搬送される用紙に対してヘッドを主走査方向に往復移動させて用紙の表面に画像を形成するインクジェットプリンタ等のシリアルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタを含むシリアルプリンタでは、副走査方向に搬送される用紙に対してヘッドを主走査方向に往復移動させ、用紙の表面に画像を形成する。例えば、インクジェットプリンタでは、ヘッドに配置された複数のノズルから用紙の表面に対してインクを吐出させるようにしており、ノズルから吐出したインクによって用紙の表面に正常に画像を形成するためのノズルの先端と用紙の表面との適正な間隔は予め定められている。
【0003】
即ち、ヘッドと用紙の表面との間隔が狭すぎると用紙の表面がヘッドに当接し、ヘッドの磨耗や破損を生じる。反対に、ヘッドと用紙の表面との間隔が広すぎると所謂サテライト現象を生じて画像形成状態が劣化する。このサテライト現象とは、ヘッドのノズルから吐出インクの本体粒に続いて吐出される微小インク粒が、用紙表面における本体粒の着地点から離れた着地点に付着する現象である。即ち、図13(A)に示すように、ヘッド101と用紙102との間隔が適正である場合には、微小インク粒111〜113は、用紙102の表面においてインク本体粒110の着地点内に付着し、用紙102の表面における画像を汚損することはない。これに対して、同図(B)に示すように、ヘッド101と用紙102との間隔が広い場合には、微小インク粒111〜113は、用紙102の表面においてインク本体粒110の着地点以外の部分に付着し、用紙102の表面における画像を汚損する。
【0004】
そこで、従来のシリアルプリンタでは、用紙表面に直交する方向(高さ方向)についてヘッドの位置を移動できるようにし、画像を形成する用紙の厚みに応じて高さ方向のヘッドの位置を調整することにより、用紙の厚みに拘らず用紙表面とヘッドとの離間距離(高さ)を一定に維持するようにしている。通常、このようなヘッドの高さ調整は、装置の側面等に配置された高さ調整レバー等の操作部材の操作によってユーザが行っている。
【0005】
また、シリアルプリンタでは、画像形成の対象となる用紙サイズに応じて、ヘッドを往復移動させるべき主走査方向の画像形成範囲も変化する。したがって、画像形成に要する時間を短時間化して稼働効率の向上を図るためには、画像形成の対象となる用紙の主走査方向の範囲にのみヘッドを往復移動させ、ヘッドが画像形成範囲外を移動する無駄な時間を省く必要があり、このためにはセットされた用紙の主走査方向の長さを検出する手段を備える必要がある。
【0006】
ところが、主走査方向における用紙の長さを検出するためのみの構成を備えると、装置の大型化やコストの上昇を招く。このため、比較的安価な小型のシリアルプリンタでは、主走査方向における用紙の長さを検出するための構成を備えておらず、セットされた用紙の幅に拘らず、画像形成の対象となる最大サイズの主走査方向の全範囲についてヘッドを往復移動させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のシリアルプリンタでは、高さ方向のヘッドの位置や用紙サイズ等の画像形成条件の設定内容を簡単な構成で検出するようにしたものがなく、画像形成条件が適正に設定されているか否かを判断することができず、画像形成状態の劣化、及び、装置の磨耗や破損を生じる問題があった。
【0008】
例えば、ユーザによって調整されたヘッドの高さが、画像を形成する用紙の厚さに適合していない場合でも画像形成処理が実行され、ヘッドの磨耗や破損、及び、画質の劣化を生じる。また、画像を形成すべき用紙の幅に拘らず画像形成時にヘッドを最大サイズの用紙の主走査方向の全範囲に往復移動させることとすると、対向すべき用紙が存在しない範囲についてもヘッドを走査させることになり、画像形成時間が長時間化して稼働効率が低下する問題があり、画像データサイズに適合しない用紙が給紙されることによる装置の汚損を生じる。
【0009】
この発明の目的は、ヘッドの走査速度の安定化に用いられるタイミングフェンス(コードストリップとも言う。)及びこれを読み取る読取センサを用いて、ヘッドの高さや用紙サイズ等の画像形成条件の設定内容を検出できるようにし、装置の大型化、コストの上昇及び稼働効率の低下を招来することなく、画像形成条件の設定内容を正確に検出できるシリアルプリンタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、用紙の厚さに応じた操作レバーの操作によってヘッドの高さを変えることのできるシリアルプリンタにおいて、
キャリッジ位置やキャリッジ速度の検出に用いられるタイミングフェンスであって、画像形成時に読取センサが読み取るプリント領域、識別可能な色の領域、及び高さ検出領域を第1の端部側から第2の端部側に向ってこの順に形成したタイミングフェンスを備え、
前記操作レバーの操作による前記ヘッドの高さの変化に応じて第2の端部側におけるキャリッジの移動を規制する位置を変更し、
画像形成開始前にキャリッジを第2の端部側へと移動させるべくモータを駆動し、ヘッドとともにキャリッジに搭載された読取センサによって読み取ったタイミングフェンスの読取データに基づいて現在のヘッドの高さを検出することを特徴とする。
【0011】
この発明においては、シリアルプリンタに既存のタイミングフェンス及び読取センサを用いて、キャリッジをいずれか一方の端部側に移動させた際の読取センサによるタイミングフェンスの読取データに基づいて、ヘッドの高さが検出される。したがって、ヘッドの高さの適否の判断が、装置の大型化やコストの上昇を生じることなく行われる。
【0012】
【実施の形態】
図1はこの発明の実施形態に係るシリアルプリンタの外観図であり、図2は同シリアルプリンタの概略の構成を示す側面図である。シリアルプリンタ本体51の前面側には、給紙トレイ52及び排紙トレイ53が給紙トレイ52を下側にして上下に装着されている。給紙トレイ53の上面には、用紙の給紙方向に直交する方向に所定範囲にわたって移動自在にされたガイド板54が設けられている。このガイド板54は、給紙トレイ52の上面に載置された複数枚の用紙の側端面に当接し、給紙トレイ52の上面における複数枚の用紙の載置状態を整合させる。
【0013】
シリアルプリンタ本体51の内部には、繰出ローラ55、給紙ローラ56、搬送ガイド57、レジストローラ58、排紙ローラ59、プラテン60、インクカートリッジ3及び保持シャフト6a,6bが設けられている。繰出ローラ55は、回転によって給紙トレイ52上に載置された用紙Pを1枚ずつ給紙ローラ56方向に繰り出す。給紙ローラ56は、繰り出された用紙Pを搬送路57内に導く。レジストローラ58は、インクカートリッジ3の主走査方向の動作に同期して用紙Pをプラテン60とインクカートリッジ3との間に導く。排紙ローラ59は、画像形成を終了した用紙Pを排紙トレイ53に排出する。
【0014】
保持シャフト6a,6bは、インクカートリッジ3の主走査方向の移動をガイドする。インクカートリッジ3は、主走査方向に1回往動する間に下端のヘッド部から用紙Pの表面に対して画像データに応じてインクを吐出する。この間においてレジストローラ58による用紙の副走査方向への搬送は一時停止されている。レジストローラ58は、インクカートリッジ3が復動する間にヘッド部における副走査方向のノズルの配置数に応じた距離だけ副走査方向に用紙Pを搬送する。このように、インクカートリッジ3が主走査方向に往復移動する間のレジストローラ58による用紙Pの副走査方向の所定距離の搬送が繰り返されることにより、用紙Pの全面に画像が形成される。
【0015】
図3は、上記シリアルプリンタの要部の構成を示す斜視図である。シリアルプリンタ本体51の内部において、インクカートリッジ3はインクタンク2とともにキャリッジ1に搭載されている。キャリッジ1は、主走査方向に平行に配置された保持シャフト6a,6bにガイドされて主走査方向に往復移動する。キャリッジ1の背面側には、上側にスライドシャフト4が配置されており、このスライドシャフト4の下方にタイミングフェンス5が配置されている。タイミングフェンス5は、キャリッジ1の背面側に設けられている読取センサ8に対向する。
【0016】
図4は、上記シリアルプリンタに設けられるキャリッジの構成を示す外観図である。キャリッジ1は、中空形状を呈し、内部にインクカートリッジ3及びインクタンク2が上面側からこの順に搭載される。キャリッジ1の背面側の下端部には、軸受1aが形成されている。この軸受1aには、背面側の保持シャフト6aが嵌入する。キャリッジ1の底面の前端部には、凹部1bが形成されている。この凹部1bには、前面側の保持シャフト6aが下方から当接する。また、キャリッジ1の一方の側面の前面側の下端部には、突起1cが突出している。
【0017】
キャリッジ1は、シリアルプリンタに対する電源投入時、及び、画像形成作業の開始時において主走査方向における移動範囲の右端側に移動して停止する。画像形成作業の開始が指示されると、キャリッジ1は移動範囲の左端側に移動した後、画像形成すべき用紙幅に応じた主走査方向における画像形成範囲内を往復移動する。
【0018】
図5は、上記シリアルプリンタに設けられるタイミングフェンスを示す正面図である。シリアルプリンタ本体51の内部においてタイミングフェンス5は、キャリッジ1の主走査方向の移動範囲の全域にわたってキャリッジ1の背面に対向する。タイミングフェンス5においてキャリッジ1の読取センサ8に対向する読取面には、中央部にプリント領域5a、右側端部近傍に高さ検出領域5b、左側端部近傍に用紙幅検出領域5cが割り当てられている。プリント領域5a、高さ検出領域5b及び用紙幅検出領域5cのそれぞれには、主走査方向に一定の間隔で白色部と黒色部とが繰り返して形成されている。
【0019】
プリント領域5aは、従来のシリアルプリンタに設けられているタイミングフェンスと同様に、画像形成時におけるキャリッジ1の定速移動制御に用いられる。即ち、プリント領域5aの主走査方向の長さは、画像形成の対象となる最大サイズの用紙幅と同一の長さを有する範囲の両側に停止状態のキャリッジ1が画像形成時の所定速度に達するまでに必要な加速域を設けた長さにされている。キャリッジ1に設けられた読取センサ8は、画像形成時のキャリッジ1の移動中においてタイミングフェンス5におけるプリント領域5aの画像を読み取る。この読取センサ8の読取画像中における白色部の画像と黒色部の画像と変化の周期が所定周期に一致するようにキャリッジ1の移動速度を制御する。
【0020】
高さ検出領域5b及び用紙幅検出領域5cは、後述する構成及び処理により、インクカートリッジ3の高さの検出、及び、用紙の主走査方向の長さの検出に用いられる。
【0021】
図6は、上記シリアルプリンタに設けられる操作レバーの構成を示す側面図である。シリアルプリンタ本体51の一方の側面には、操作レバー7が配置されている。この操作レバー7は、円板状の基体7aの周面の一部から操作部7b、ストッパ7c、係止片7d及びギア部7eを突出して形成されている。操作レバー7は、シリアルプリンタ51の内部において基体7aの中央の孔部7fを中心に図7(A)に示す位置、及び、この位置から矢印A方向に所定角度だけ回転した図7(B)に示す位置との間において回転自在に支持されている。
【0022】
操作部7bは、シリアルプリンタ本体51の上面から外部に露出している。ストッパ7cは、操作レバー7の回転によってキャリッジ1の突起1cに当接する位置に選択的に露出する。係止片7dには、弾性部材9が係止される。この弾性部材9は、操作レバー7を図7(A)に示す位置、又は、図7(B)に示す位置のいずれかに選択的に停止させる。操作レバー7が図7(A)に示す位置に停止している状態ではストッパ7cはキャリッジ1の突起1cとの当接位置に露出せず、操作レバー7が図7(B)に示す位置に停止している状態でストッパ7cはキャリッジ1の突起1cに当接する位置に露出する。ギア部7eは、スライドシャフト4の回転軸の一端に固定されたアジャストギア4aに噛合している。
【0023】
図8は、上記シリアルプリンタに設けられるスライドシャフトの構成を示す正面図である。スライドシャフト4は、円柱形状を呈し、シリアルプリンタ本体51の内部において、キャリッジ1の主走査方向の移動範囲の全域において、キャリッジ1の背面側の上部に当接する。スライドシャフト4は、一端にアジャストギア4aを固定した回転軸4bに対して中心軸を偏心して固定されている。前述のようにアジャストギア4aには、操作レバー7に形成されているギア部7fに噛合する。したがって、操作レバー7の回転によってスライドシャフト4は回転軸4bに対して偏心して回転し、スライドシャフト4の周面の前面側、即ち、キャリッジ1側への突出量が変化する。
【0024】
操作レバー7が図7(A)に示す位置に停止している状態では、スライドシャフト4の前面側への突出量は小さく、キャリッジ1の背面はスライドシャフト4の周面によって押圧されず、キャリッジ1の前面側は下側の位置に停止している。これに対して、操作レバー7が図7(B)に示す位置に停止している状態では、スライドシャフト4の前面側への突出量が大きくなり、キャリッジ1の背面はスライドシャフト5の周面によって押圧され、キャリッジ1は保持シャフト6aを中心として回転し、キャリッジ1の前面側は上側の位置に停止する。このとき、キャリッジ1に搭載されたインクカートリッジ3の下端のヘッド部は図7(A)に示す状態に比較して0.2〜0.7mm程度上方に位置する。
【0025】
したがって、操作レバー7を図7(A)に示す位置、又は、図7(B)に示す位置に選択的に回転させることにより、キャリッジ1に搭載したインクカートリッジ3のヘッド部を普通紙に対応した下側位置、又は、厚紙に対応した上側位置のいずれかに位置する状態で、主走査方向に往復移動させることができる。また、キャリッジ1に搭載したインクカートリッジ3のヘッド部が普通紙に対応した下側位置に位置している状態では操作レバー7のストッパ7cはキャリッジ1の突起1cに当接する位置に露出せず、キャリッジ1に搭載したインクカートリッジ3のヘッド部が厚紙に対応した上側位置に位置している状態で操作レバー7のストッパ7cがキャリッジ1の突起1cに当接する位置に露出する。
【0026】
図9は、上記シリアルプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。シリアルプリンタの制御部は、ROM22及びRAM23を備えたCPU21に、読取センサ8、インタフェース24、画像メモリ25、モータドライバ26、ヘッドドライバ27及び操作パネルコントローラ28等の入出力機器を接続して構成されている。CPU21は、ROM22に予め書き込まれたプログラムにしたがって入出力機器を統括して制御する。この時、CPU21に入出力されるデータがRAM23の所定のメモリエリアに格納される。
【0027】
読取センサ8は、タイミングフェンス5の読取データをCPU21に入力する。インタフェース24は、パーソナルコンピュータ等のホスト装置29からのデータの入力を受け付ける。画像メモリ25は、インタフェース24を介して入力された画像データを記憶する。モータドライバ26はCPU21から出力される駆動データに基づいてモータ30を駆動する。このモータ30の回転が、図外の伝達機構を介してキャリッジ1に主走査方向の移動力として伝達される。ヘッドドライバ27は、CPU21から出力される駆動データに基づいてインクカートリッジ3のヘッド部を駆動する。操作パネルコントローラ28は、操作パネル31に設けられたキースイッチ31aの操作データをCPU21に入力するとともに、CPU21から出力される表示データをディスプレイ31bに表示する。
【0028】
図10は、上記シリアルプリンタの制御部におけるインクカートリッジの高さ検出処理時の処理手順を示すフローチャートである。この発明に係るシリアルプリンタの制御部を構成するCPU21は、読取センサ8が読み取ったタイミングフェンス5の高さ検出領域5bの読取データに基づいてキャリッジ1の右端方向の移動量を検出し、この検出結果に基づいてキャリッジ1の突起1cが操作レバー7に形成されたストッパ7cに当接しているか否かを判別し、さらに、この判別結果に基づいて操作レバー7の操作によってキャリッジ1に搭載したインクカートリッジ3のヘッド部が普通紙に対応した下側位置、又は、厚紙に対応した上側位置のいずれに設定されているかを検出する。CPU21は、この検出結果をホスト装置29から入力された紙厚データと比較し、操作レバー7の操作によるインクカートリッジ3のヘッド部の高さ設定が正しいか否かを判断する。
【0029】
即ち、CPU21は、ホスト装置29から紙厚データを含む画像データが入力されると(s1)、キャリッジ1を右端方向に所定位置まで移動させるべくモータ30を駆動する(s2)。このとき、CPU21は、モータ30の駆動中に読取センサ8の読取データが変化するか否かに応じて、キャリッジ1の突起1cが操作レバー7のストッパ7cに当接していないか当接しているか、即ち、インクカートリッジ3のヘッド部の位置として普通紙に対応した下側位置が設定されているか厚紙に対応した上側位置が設定されているかを検出する(s3〜s5)。CPU21は、この検出結果をホスト装置29から入力された紙厚データと比較し(s6)、両者が一致しない場合には、操作パネル31のディスプレイ31bに操作レバーの切換を指示するメッセージを表示し(s6→s7)、モータ30を所定量だけ逆転してs2に戻る(s8→s2)。s6において検出結果が紙厚データに一致する場合には、CPU21はヘッドドライバ27に対してホスト装置29から入力された画像データに応じたヘッドの駆動データを出力して画像形成処理を実行する(s9)。
【0030】
以上の処理により、キャリッジ1の移動状態を検出するためにシリアルプリンタに既存のタイミングフェンス5及び読取センサ8を用いて、キャリッジ1に搭載されたインクカートリッジ3のヘッド部の位置の設定状態を検出し、この検出結果がホスト装置29から指定された紙厚データと一致する場合にのみ画像形成処理を実行する。シリアルプリンタのCPU21に対してホスト装置29から入力される紙厚データは、シリアルプリンタに用紙をセットする操作者がホスト装置29に入力したものであり、ホスト装置29から入力された紙厚データはシリアルプリンタの給紙トレイにセットされた用紙の厚さに通常は一致している。したがって、上記の処理により、画像形成処理の対象として給紙トレイから給紙する用紙の厚さに応じた位置にインクカートリッジ3のヘッド部を確実に位置させることができる。
【0031】
また、通常、シリアルプリンタでは、電源オン時や画像形成処理の開始前において、キャリッジ1を右端側に移動させる。これとともに、操作性を考慮して操作レバー7はシリアルプリンタ本体の右側に設けられている。このため、上記の実施形態では高さ検出領域5bをタイミングフェンス5の右端側に配置し、電源オン時や画像形成処理の開始前にキャリッジ1が位置している装置の右端側でインクカートリッジ3のヘッド部の高さを検出するようにし、検出部材の大型化やキャリッジ1の無駄な移動を省くようにしている。即ち、電源オン時や画像形成処理の開始前において、キャリッジ1を右端側に移動させる動作によって、同時にインクカートリッジ3のヘッド部の高さを検出することができる。
【0032】
さらに、キャリッジ1が右端側に移動した後に厚紙がセットされた際に、インクカートリッジ3のヘッド部が普通紙に対応した下側位置に設定されている場合にも、キャリッジ1を左端側に移動する前にヘッド位置の設定が不適当であることが検出でき、厚紙がセットされた後にキャリッジ1を左端側に移動してヘッド位置を検出する場合のようにセットされた厚紙にヘッド部が接触することがなく、ヘッド部の磨耗や破損を未然に防止することができる。
【0033】
加えて、操作レバー7の回転量に応じて主走査方向の複数の位置のそれぞれに露出する複数のストッパを形成することにより、インクカートリッジ3のヘッド部の高さが3段階以上にわたって変化する場合にも、インクカートリッジ3のヘッド部の位置を正確に検出することができる。
【0034】
図11は、この発明の実施形態に係るシリアルプリンタにおける用紙の主走査方向の長さの検出に係る構成を示す図である。キャリッジ1の主走査方向における左端側には、切換レバー10が回転自在に配置されている。切換レバー10は、円柱を軸方向に対して所定の角度で傾斜した面で切断した形状を呈し、傾斜面10aにはキャリッジ1の左側面から突出した当接片1dが当接する。この切換レバー10の回転軸はキャリッジ1の移動方向である主走査方向に平行に配置されており、キャリッジ1の当接片1dは傾斜面10aにおいて切換レバー10の回転軸に一致しない位置に当接する。
【0035】
また、切換レバー10の左端部にはギア部10bが形成されている。このギア部10bには、図外の伝達機構を介して、給紙トレイ52上に移動自在に配置されたガイド板54の動作が伝達される。即ち、図1に示したように、ガイド板54は、給紙トレイ52の上面において、主走査方向に所定の範囲にわたって移動自在にされており、給紙トレイ52の上面に載置された用紙の給紙方向(主走査方向に直交する方向)に平行な側面に当接する。したがって、ガイド板54は、給紙すべき用紙の主走査方向の長さに応じて給紙トレイ52の上面を主走査方向に移動する。
【0036】
このガイド板54の移動を、例えば、ガイド板54に固定されたラックギアとこれに噛合する中間ギアとによって回転動作に変換し、この中間ギアを直接又は他のギアを介して切換レバー10のギア部10bに噛合させることにより、ガイド板54の移動にともなって切換レバー10が回転する。切換レバー10が回転すると、切換レバー10の回転軸方向(主走査方向)における切換レバー10の傾斜面10aとキャリッジ1の当接片1dとの当接位置が変位し、キャリッジ1の左端方向への移動範囲が変化する。
【0037】
図12は、上記インクジェットプリンタの制御部における用紙の主走査方向の長さの検出処理時の処理手順を示すフローチャートである。この発明に係るシリアルプリンタの制御部を構成するCPU21は、読取センサ8が読み取ったタイミングフェンス5の用紙幅検出領域5cの読取データに基づいてキャリッジ1の左端方向の移動量を検出し、この検出結果に基づいて給紙トレイ52にセットされた用紙の主走査方向長さを判別する。CPU21は、この判別結果をホスト装置29から入力された画像データのサイズと比較し、画像データのサイズに適した用紙が給紙トレイ52にセットされているか否かを判断する。また、CPU21は、給紙トレイ52にセットされた用紙の主走査方向長さの判別結果に基づいて画像形成時におけるキャリッジ1の主走査方向における往復移動範囲を決定する。
【0038】
即ち、CPU21は、ホスト装置29から画像データが入力されると(s11)、キャリッジ1を左端方向に移動させるべくモータ30を駆動する(s12)。このとき、CPU21は、モータ30の駆動中に読取センサ8の読取データにおける白色画像の出現数を計数し(s13)、この計数値に基づいてキャリッジ1の当接片1dと切換レバー10の傾斜面10aとの当接位置を判別し(s14)、この判別結果に基づいて給紙トレイ52にセットされた用紙のサイズを検出する(s15)。
【0039】
CPU21は、この検出結果をホスト装置29から入力された画像データの主走査方向のサイズと比較し(s16)、両者が一致しない場合には、操作パネル31のディスプレイ31bに画像データサイズに適した用紙を給紙トレイ52にセットすべき旨のメッセージを表示し(s16→s17)、モータ30を所定量だけ逆転してs12に戻る(s18→s12)。s16において検出結果が画像データサイズに一致する場合には、CPU21はヘッドドライバ27に対してホスト装置29から入力された画像データに応じたヘッドの駆動データを出力して画像形成処理を実行する(s19)。
【0040】
以上の処理により、キャリッジ1の移動状態を検出するためにシリアルプリンタに既存のタイミングフェンス5及び読取センサ8を用いて、給紙トレイ52にセットされた用紙のサイズを検出し、この検出結果がホスト装置29から入力された画像データと一致する場合にのみ画像形成処理を実行する。これによって、画像データサイズよりも小さいサイズの用紙が給紙トレイ52にセットされ、用紙の存在しない部分にキャリッジ1に搭載されたインクカートリッジから画像データに基づくインクが吐出されることによる装置及び用紙の汚損を未然に防止することができる。
【0041】
また、シリアルプリンタのCPU21に対してホスト装置29から入力される画像データは、シリアルプリンタに用紙をセットする操作者がホスト装置29において作成したものであり、通常は、ホスト装置29から入力された画像データサイズは給紙トレイ52にセットされた用紙サイズに一致している。そこで、s15において検出した用紙サイズに応じて、画像形成処理時におけるキャリッジ1の主走査方向の往復移動範囲を設定するようにしてもよい(s16→s21,s22)。
【0042】
さらに、切換レバー10の傾斜面10aとキャリッジ1の当接片1dとの当接位置は、切換レバー10の回転量に応じて連続的に変化するため、シリアルプリンタにおいて画像形成の対象となる用紙サイズが多数ある場合にも、各用紙サイズを正確に検出することができる。
【0043】
なお、画像形成処理の開始前にキャリッジ1を右側端部に移動させた後、さらに、左側端部に移動させて画像形成処理が開始されることを考慮すれば、キャリッジ1を右側端部に移動させた際に図10に示したインクカートリッジの高さ検出処理を実行し、この後にキャリッジ1を左側端部に移動させた際に図12に示した用紙の主走査方向の長さの検出処理を実行することが効率的である。
【0044】
また、図10に示したインクカートリッジの高さ検出処理、及び、図12に示した用紙の主走査方向の長さの検出処理に係るキャリッジ1の移動時には、画像形成処理時の駆動電力よりも低い駆動電力をモータ30に供給することにより、キャリッジ1の突起1c及び当接片1dがストッパ7c及び切換レバー10の傾斜面10aに当接する際の衝撃を弱くして装置の故障や破損を防止するようにしてもよい。
【0045】
さらに、タイミングフェンス5において、プリント領域5aと高さ検出領域5b及び用紙幅検出領域5cのそれぞれとの間に、読取センサ8によって識別可能な色の領域を形成することにより、インクカートリッジの高さ検出処理時、及び、用紙の主走査方向の長さの検出処理時に読取センサ8が高さ検出領域5b及び用紙幅検出領域5cのそれぞれに対向したことを正確に認識することができ、操作レバー7やガイド板54の操作状態を誤検出することがない。
【0046】
加えて、図10におけるs8の処理、及び、図12におけるs17の処理において、画像データを出力したホスト装置に警告データを出力するようにしてもよい。
【0047】
また、インクカートリッジの高さ、及び、用紙の主走査方向の長さ以外の画像形成条件の設定内容を検出する場合にも、この発明を同様に実施することができる。
【0048】
【発明の効果】
この発明によれば、シリアルプリンタに既存のタイミングフェンス及び読取センサを用いて、キャリッジをいずれか一方の端部側に移動させた際の読取センサによるタイミングフェンスの読取データに基づいて、ヘッドの高さを検出することにより、ヘッドの高さの適否の判断を装置の大型化やコストの上昇を生じることなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係るシリアルプリンタの外観図である。
【図2】同シリアルプリンタの概略の構成を示す側面図である。
【図3】上記シリアルプリンタの要部の構成を示す斜視図である。
【図4】上記シリアルプリンタに設けられるキャリッジの構成を示す外観図である。
【図5】上記シリアルプリンタに設けられるタイミングフェンスを示す正面図である。
【図6】上記シリアルプリンタに設けられる操作レバーの構成を示す側面図である。
【図7】上記操作レバーの操作によるキャリッジに搭載されたインクカートリッジの移動状態を説明する図である。
【図8】上記シリアルプリンタに設けられるスライドシャフトの構成を示す正面図である。
【図9】上記シリアルプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】上記シリアルプリンタの制御部におけるインクカートリッジの高さ検出処理時の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態に係るシリアルプリンタにおける用紙の主走査方向の長さの検出に係る構成を示す図である。
【図12】上記インクジェットプリンタの制御部における用紙の主走査方向の長さの検出処理時の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】一般的なインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジのヘッド部と用紙表面との間隔の不適正によるサテライト現象の発生状態を説明する図である。
【符号の説明】
1−キャリッジ
1c−突起
1d−当接片
3−インクカートリッジ
4−スライドシャフト
5−タイミングフェンス
7−操作レバー
7c−ストッパ(停止位置変更部材)
8−読取センサ
10−切換レバー(停止位置変更部材)
Claims (2)
- 用紙の厚さに応じた操作レバーの操作によってヘッドの高さを変えることのできるシリアルプリンタにおいて、
キャリッジ位置やキャリッジ速度の検出に用いられるタイミングフェンスであって、画像形成時に読取センサが読み取るプリント領域、識別可能な色の領域、及び高さ検出領域を第1の端部側から第2の端部側に向ってこの順に形成したタイミングフェンスを備え、
前記操作レバーの操作による前記ヘッドの高さの変化に応じて第2の端部側におけるキャリッジの移動を規制する位置を変更し、
画像形成開始前にキャリッジを第2の端部側へと移動させるべくモータを駆動し、ヘッドとともにキャリッジに搭載された読取センサによって読み取ったタイミングフェンスの読取データに基づいて現在のヘッドの高さを検出することを特徴とするシリアルプリンタ。 - 前記ヘッドの高さを検出するために前記キャリッジを移動させる駆動力を、画像形成時における前記キャリッジの駆動力よりも弱くする手段を設けた請求項1に記載のシリアルプリンタ。
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