JP4041214B2 - ユニットブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両等に装備されるエアを駆動源とするユニットブレーキ装置に関し、直列に配設した2個の作動室を備え、制輪子の摩耗量を補正して間隙調整を自動的に行なうアジャスタ装置をエアチャンバ内に備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両等に装備されるエア駆動のユニットブレーキ装置は、車両の台車側に取り付けられるブレーキ本体に、エアチャンバを備え、ロッドを介して車輪側へ押し出される制輪子を車輪の外周面に押し付けてブレーキ力を発生する。
制輪子を車輪に押圧するための作動力を発生するために、リンク機構等の増力装置を備えることもある。
また、制輪子は、ブレーキ使用により摩耗するので、車輪との間の間隙が使用に従って増大する。そこで、この間隙を調整する装置が必要となり、特開平5−310127号公報、特開平7−293611号公報にこの種の装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
リンク機構やテコ等を用いた増力装置は、複雑な構成を必要とする。
また、車輪と制輪子の間隙を調整するアジャスタ装置は、制輪子を押し出すロッドのストロークが所定の量を超えたときに作動する手段を備える。このアジャスタ装置を作動させる駆動力は、エアチャンバが発生させる推力や、制輪子を戻すために装備されるスプリング力が利用される。
いずれにせよ、増力装置や間隙調整を自動的に達成するアジャスタ装置は、複雑な機構、構成となる。
本発明は、直列に配設された2個の作動室を有するエアチャンバ内にアジャスタ装置を内蔵する構成の簡素なユニットブレーキ装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のユニットブレーキ装置は、車輪に対向して配設される制輪子を支持するブレーキヘッドと、ブレーキヘッドを車輪に向けて押圧するエアチャンバを備える。そして、エアチャンバは、ハウジングと、ハウジングの両側に取り付けられる圧力容器と、圧力容器の内側に配設される第1のダイアフラムにより形成される第1の作動室と、第1の作動室にエアを供給する第1のエア供給口と、圧力容器の内側に配設される第2のダイアフラムにより形成される第1の作動室に対して直列に配設される第2の作動室と、第1のダイアフラムの圧力を受ける第1の受圧板と、第1の受圧板の推力を第2のダイアフラムの圧力を受ける第2の受圧板に伝達する第1のシャフトと、第2の受圧板に対して支持される第2のシャフトと、第2のシャフトに連結されるロッドと、ロッドの先端に支持される制輪子を取り付けたブレーキヘッドと、第1のダイアフラムを第1のエア供給口側へ押し戻すリターンスプリングを備えるものである。
【0005】
また、ロッドは第2の受圧板に対して回転自在に支持される第2のシャフトに対して螺合されるとともに、ブレーキ作動時の第2のシャフトのストロークが所定の距離以上となったときに、第2のシャフトを回動してロッドを伸長させるアジャスタ装置を備える。さらに、アジャスタ装置は、第2のシャフト円周上に複数形成される軸方向に延びる縦溝、縦溝のエア供給口側の端部に形成される深溝、及び深溝と隣接する縦溝のブレーキヘッド側の端部を連結する斜め溝から成る溝と、圧力容器側に取り付けられて溝内に挿入される爪部材を備えるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態を示すユニットブレーキ装置1の全体構成を示す説明図、図2はエアチャンバ100の断面図である。
全体を符号1で示すユニットブレーキ装置は、鉄道車両の台車側の部材10にボルト22を介して固着されるブラケット20を備える。ブラケット20の上部にはピン24を介して揺動自在に支持されるアーム30が取り付けられる。ブラケット20の下部には、ピン26を介してエアチャンバ100が揺動自在に取り付けられる。
【0007】
エアチャンバ100内にはダイアフラム110,120が装備されており、図示しないエア供給源からホースを介して第1のエア供給口102にエアが供給されると、ダイアフラム110,120を介してロッド40を矢印C方向に押し出す。
ロッド40の先端部は、アーム30の下端部とともに、ピン50を介してブレーキヘッド60に連結される。
ブレーキヘッド60は、ピン50により揺動自在に支持されるが、リーフスプリング62を介在させて、遊動を防止している。
【0008】
摩擦材料を成形してつくられる制輪子70は、台金64により裏面を支持され、台金64は、結合手段66を介してブレーキヘッド60に取り付けられる。結合手段66を解放することによって、使用済みの制輪子70を新品の制輪子70に交換できる。
制輪子70と車輪5の外周面5aの間には、クリアランスG1が形成され、ブレーキの非作動時には制輪子70が車輪5により引き摺られるのを防止している。制輪子70はブレーキの使用により摩耗し、クリアランスG1は増大する。クリアランスG1が過大となると、ブレーキの応答性が劣化するので、クリアランスG1を短縮する操作を必要とする。クリアランスG1の自動調整装置は、このクリアランスG1の調整を自動的に達成する機能を備える。
【0009】
図2は、本発明のユニットブレーキ装置1に装備されるエアチャンバ100を一部断面にして示す説明図である。
エアチャンバ100は、ハウジング101を有し、ハウジング101の両側部に2個の圧力容器103,106が取り付けられる。ハウジング101と圧力容器103,106により形成される室内には2つのダイアフラム110,120が取り付けられ、第1の作動室104と第2の作動室108が形成される。
【0010】
第1の作動室104には、第1のエア供給口102が連結され、エア供給源からのエアが導入される。第1のダイアフラム110の反対側にはブリーザ117が設けられる。
第1のダイアフラム110には、第1の受圧板112が設けてあり、ダイアフラム110の作動を第1のシャフト114を介して第2のダイアフラム120に配設される第2の受圧板122に伝達する。
ハウジング101には、第2のエア供給口105が設けてあり、第2のダイアフラム120が形成する第2の作動室108にエアを供給する。
【0011】
第2のダイアフラム120には、受圧板122が配設してあり、ベアリング132を介して第2のシャフト130の一端部を回転自在に支持する。第2のシャフト130は雌ねじ部134を有しロッド40の雄ねじ部42がこの第2のシャフト130の雌ねじ部134に螺合する。
ロッド40の先端部には貫通穴44が設けてあり、この貫通穴44にピン50が挿入されて、ロッド40はブレーキヘッド60に連結される。
【0012】
第1の受圧板112とハウジング101の間には、リターンスプリング116が配設してあり、第1のダイアフラム110を常時第1のエア供給口102側へ押し戻す力を付与する。
【0013】
第2のシャフト130の外周部には、軸方向に平行する縦溝152がシャフト130の円周上に複数本形成してある。図示の実施形態にあっては、シャフト130の円周上に4本の縦溝152が形成してある。縦溝152の第2の作動室108側の端部と隣接する縦溝152のブレーキヘッド60側の端部との間は斜め溝154で連結されている。
【0014】
縦溝152の作動室108側の端部は一段深い深溝153に形成されており、この深溝153は、斜め溝154に連結される。
エアチャンバ100のブレーキヘッド60側の圧力容器106の外側には、ブラケット20が配設され、爪部材170がピン172を介して揺動自在に取り付けられる。この爪部材170は、スプリング176により、その先端部174が常時縦溝152に対して押圧されるように付勢される。
【0015】
ブレーキ作動時には、エアチャンバ100の2ヶ所のエア供給口102,105にエアが供給され、2個のダイアフラム110,120は協働して第2のシャフト130と一体のロッド40を矢印C方向に押し出す。ロッド40の先端に取り付けられたブレーキヘッド60は、制輪子70を車輪5に押し付けてブレーキ力を発生させる。エアの供給を断つと、リターンスプリング116のスプリング力によって第2のシャフト130は矢印Cの反対側方向へ戻る。
シャフト130の矢印C方向へのストロークが縦溝152の軸方向の所定の長さ寸法A以内であれば、爪部材170の先端部174は、この縦溝152内を摺動する。
【0016】
制輪子70と車輪5の間のクリアランスG1が過大となると、第2のシャフト130のストロークも大きくなり、ストロークがA寸法を越えた時、爪部材170の先端部174が深溝部153に押し込まれる。この状態からリターンスプリング116の作用によって、シャフト130が第1のダイアフラム110とともに第1のエア供給口102側へ戻る際に、爪部材170の先端部174は斜め溝154内を摺動し、シャフト130を矢印D方向に回動させる。
【0017】
斜め溝154のリードを雌ねじ部134のリードとは逆向きに形成しておくことによって第2のシャフト130はロッド40を雄ねじ部42のリードの回転量に応じた長さだけ押し出す。この作用によって、ブレーキヘッド60は車輪5に向けて移動し、制輪子70と車輪5のクリアランスG1は初期状態に復帰する。この作用によって、クリアランスG1は自動的に所定の範囲となるように調整される。
【0018】
制輪子70を新品に交換する際には、圧力容器に対して揺動自在に取り付けられている爪部材170の後端部を、圧力容器の外側からの操作で矢印B方向に押して爪部材170の先端部174を第2のシャフト130の溝から脱出させ、シャフト130を矢印Dの反対方向に回動させてロッド40を引き込み、ブレーキヘッド60と車輪5との間を拡張する。
【0019】
【発明の効果】
本発明のユニットブレーキ装置は以上の構成を備えるので、増力機構なしでブレーキ力を増大することができる。また、制輪子と車輪との間のクリアランスの調整を行うアジャスタ装置はエアチャンバ内に装備され、構成は簡素化される。
またアジャスタ装置は、ロッドに螺合される第2のシャフトをエアチャンバのダイアフラムのストロークと、リターンスプリングによる戻りストロークを利用して回動することによって、クリアランスが自動的に調整されるので、作動も確実である。
さらに、制輪子の交換時等において、アジャスタ装置を初期状態に復帰させる作業は、爪部材をシャフトの溝から外すことにより簡単に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のユニットブレーキ装置の側面図。
【図2】エアチャンバの断面図。
【符号の説明】
1 ユニットブレーキ装置
5 車輪
10 台車側の部材
20 ブラケット
30 アーム
40 ロッド
60 ブレーキヘッド
70 制輪子
100 エアチャンバ
102,105 エア供給口
110,120 ダイアフラム
130 シャフト
134 雌ねじ部
140 リターンスプリング
152 縦溝
153 深溝
154 斜め溝
170 爪部材

Claims (2)

  1. 車輪に対向して配設される制輪子を支持するブレーキヘッドと、ブレーキヘッドを車輪に向けて押圧するエアチャンバを備えたユニットブレーキ装置であって、
    前記エアチャンバは、ハウジングと、ハウジングの両側に取り付けられる圧力容器と、圧力容器の内側に配設される第1のダイアフラムにより形成される第1の作動室と、第1の作動室にエアを供給する第1のエア供給口と、圧力容器の内側に配設される第2のダイアフラムにより形成される第1の作動室に対して直列に配設される第2の作動室と、第1のダイアフラムの圧力を受ける第1の受圧板と、第1の受圧板の推力を第2のダイアフラムの圧力を受ける第2の受圧板に伝達する第1のシャフトと、第2の受圧板に対して回転自在に支持される第2のシャフトと、第2のシャフトに対して螺合されて連結されるロッドと、ロッドの先端に支持される制輪子を取り付けたブレーキヘッドと、第1のダイアフラムを第1のエア供給口側へ押し戻すリターンスプリングと、ブレーキ作動時の第2のシャフトのストロークが所定の距離以上となったときに第2のシャフトを回動してロッドを伸長させるアジャスタ装置とを備え、
    アジャスタ装置は、第2のシャフトの円周上に複数形成される軸方向に延びる縦溝、縦溝のエア供給口側の端部に形成される深溝、及び深溝と隣接する縦溝のブレーキヘッド側の端部を連結する斜め溝から成る溝と、圧力容器側に取り付けられて溝内に挿入される爪部材とを備えるユニットブレーキ装置。
  2. 爪部材は圧力容器に対してその外側において揺動自在に取り付けられており、圧力容器内に延びる爪部材の先端部がスプリングによって溝内に付勢されて挿入されている請求項1に記載のユニットブレーキ装置。
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