JP4040728B2 - テニスラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテニスラケットに関し、特に、快適な打球感を実現でき、しかも、打球時に肘に生じる衝撃力が減少してテニス肘(テニスエルボー)等のスポーツ障害の発生を軽減できるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ラケットでボールを打った時に起こる振動と手に加わる衝撃はプレーヤーにとって不快であり、また、人体へも少なからず損傷を与え、テニスエルボー等のスポーツ障害の原因の一つとも考えられている。このために、従来よりラケットの振動を抑制するために様々な工夫がなさられている。
【0003】
ラケットの衝撃の強さや減衰性能は、実打時の手の甲に付けた加速度計による加速度の大きさとその減衰時間によって評価される。すなわち、加速度計による加速度が小さく、かつ、加速度の減衰時間が短いものが好ましい。なお、上記加速度はラケットの様々な振動モードにより励起される複合的なものである。
しかるに、これまでのラケットは加速度が小さく、かつ、加速度の減衰時間が短いことの両者を満足するものが得られてないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以下に従来から提案されているラケットの衝撃抑制や振動減衰の対策について説明する。
まず、第1にマトリクス樹脂に振動減衰性の高い熱可塑性樹脂を用いるラケットが提案されている(特公平5−33645号)。この提案では熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂にすると、体積割合が同一である繊維で強化された熱硬化性マトリクス樹脂 (例えばエポキシ樹脂) からなるラケットと比較した場合、振動減衰比が約2倍になることが知られている。
【0005】
さらに、ラケットの重要な性能のひとつとして、反発性能がある。この反発性能を向上する方法として、面外1次の固有振動数とテニスボールの固有振動数を一致させるというインピーダンスマッティング理論が提案されている(特開平2−261479号)。すなわち、ラケットの面外1次の固有振動数を100〜130Hzの範囲に設定するのが好ましいとされている。これは、一般的なラケットの固有振動数は110〜220Hzであるので、その中では固有振動数を小さくするのが好ましことになる。
【0006】
この固有振動数が小さいということは、面外方向の剛性が小さい傾向にある。従って、振動の振幅が大きくなり、上記第1の方法でも振動減衰比が満足なものではないという問題があった。加速度の減衰時間でも、36.7msecと長く、減衰性が充分とはいえない。
【0007】
第2に、ラケットの振動を抑制する手段として、ラケットに弾性体の部品を取り付けることが知られている。これは、特に、グリップエンド部分に一定範囲内のモジュラスと重量を有する弾性体からなる振動抑止材を固定することにより、該振動抑止材がラケットの面外振動と共振してその振動を減衰させることができるとされている(特開平4−263876号) 。
しかしながら、実打時の加速度の減衰時間は短いものの、加速度が36Gと大きい結果になっており、衝撃吸収性が満足なものといえなかった。
なぜならば、この方法では特定のラケットの面外振動に共振するよう抑止材のモジュラスと重量を合わせるため、その振動を抑制することが出来るが、他の振動を抑制する事が出来ないためと考えられる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ラケットの全体の振動を出来るだけ多く抑制し、プレーヤーの手に伝わる衝撃と振動を効果的に抑制することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
ラケットからプレーヤーの手に伝わる衝撃及び振動はフレームの一部の振動のみではなく、さまざまなモードの振動が複合されて励起していると考えられる。
よって、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意努力の結果、面外1振動と面外2次振動を共に抑制することにより、目標である衝撃低下と振動減衰性向上を両立できることを見いだした。
【0010】
具体的には、本発明として、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂中にゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子を分散した変性エポキシ樹脂を用い、該マトリクス樹脂に連続繊維及び/又は長繊維強化材を含浸させた繊維強化樹脂でラケットフレームが成形され、 面外1次固有振動数の減衰比が0.017以上、0.03以下であり、面外2次固有振動数の減衰比が0.008以上、0.014以下であるテニスラケットを提供している。テニスラケットの面外1次固有振動数の減衰比及び面外2次固有振動数の減衰比をかかる特定範囲に設定すると、打球時の衝撃及び振動を緩和でき、しかも、打球感はレスポンスの良いものとなる。よって、プレーヤーは衝撃や振動による不快を伴うことなく、コントロール良く打球することができる。かかる本発明のラケットは実打時の手の甲に付けた加速度計による加速度を小さく、かつ、加速度の減衰時間が短くなるよう、ラケットを材質、振動抑止材等の種々の面から検討し、面外1次固有振動数の減衰比及び面外2次固有振動数の減衰比の調整を図ったものである。
なお、面外2次固有振動数の減衰比が0.012以上、0.014以下であるとより一層好ましい結果が得られる。
【0011】
ラケットの面外1次及び面外2次の固有振動数の減衰比を上記範囲に設定するには、前記のように、連続繊維及び/又は長繊維強化材で強化した樹脂からなる複合材料にてラケットを成形すると共に、グリップエンドに振動抑止材を固定するのが好ましい。
特に、樹脂(マトリクス樹脂)が、エポキシ樹脂中にゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子を分散した変性エポキシ樹脂からなり、連続繊維及び/又は長繊維強化材を樹脂中に体積比で40%以上70%以下含有させた複合材料を用いるのがより好ましい。これは、上記変性エポキシ樹脂は通常のエポキシ樹脂に比較して減衰効果が大きいためである。
【0012】
なお、上記変性エポキシ樹脂中に分散したゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子のゴム状重合体成分とは、常温時にゴム状態にある重合体成分である。上記熱可塑性ポリアミド樹脂はそれ自体が優れた振動減衰性を有するものであるが、上記変性エポキシ樹脂を用いた場合、硬化成形した成形相がゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子が均一に分散した組成となり、エポキシ樹脂相の剛性及び強度が低下することなく適度な弾性が一様に付与され、その結果として、良好な振動減衰性が得られる。また、ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子の吸水性は小さいので、環境(湿度)が変化しても、良好な振動減衰性を維持できる点で好ましい。
【0013】
上記変性エポキシ樹脂中のゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子の配合量は特に限定はされないが、エポキシ樹脂100重量部に対して10〜100重量部とするのが好ましい。このようにすると、ラケットの強度低下をまねくことなく、振動減衰性を十分に改善できる。
【0014】
また、上記変性エポキシ樹脂を用いる場合、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する反応性希釈剤を配合して、これを成形するのが好ましい。このようにすると、強化繊維と変性エポキシ樹脂との複合構造が密になり、強度及び振動減衰性が一層向上する。
【0015】
ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子はエポキシ樹脂に対して10〜100重量部配合するのが好ましい。これは、10重量部未満ではゴム状重合体成分による効果が現れにくく、ラケットフレームの振動減衰性を向上させることが困難になり、100重量部を越えると、ラケットフレームの強度が低下する傾向を示すと共に、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、強化繊維への浸透が悪く、ラケットフレームの振動減衰性を高めることが困難になるためである。
【0016】
上記変性エポキシ樹脂を構成するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシン、水素化ビスフェノールAなどのグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などのグリシジルエステル型、グリシジルアミン型、線状脂肪族エポキシド型、ヒダントイン系、ダイマー酸系、エポキシ変性NBRなどが挙げられる。具体的には、低粘度のものがよく、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、低粘度ビスフェノールF型エポキシ樹脂、低粘度グリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。また、pアミノフェノール樹脂は保存安定性がよい点から好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
【0017】
また、エポキシ樹脂を硬化させるために配合する、所謂、エポキシ樹脂用潜在型硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、4, 4´−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタンデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N, N−ジアルキル尿素誘導体、N, N−ジアルキル尿素誘導体、N, N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノールなどを挙げることができ、これらは1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
また、ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子は、重合体微粒子のほぼ全体がゴム状弾性を示す重合体により構成されていてもよいが、エポキシ樹脂中での粒子の分散性の点からはゴム状重合体成分とガラス状重合体成分とが混在しているものが好ましく、ゴム状重合体成分とガラス状重合体成分とが重量比で2:8〜8:2の範囲で混在しているのがより好ましい。この範囲を外れてゴム状重合体成分の割合が少なくなると成形して得られるラケットフレームの振動減衰性の改善効果が小さくなる傾向を示し、この範囲を外れてゴム状重合体成分の割合が多くなるとエポキシ樹脂組成物での粒子の分散性が低下し、成形して得られるラケットフレームの強度及び剛性にバラツキを生ずる傾向を示す。
【0019】
ゴム状重合体成分は具体的にはガラス転移温度が−20℃以下、好ましくは−30℃以下のゴム状重合体がよく、また、ガラス状重合体成分はガラス転移温度が50℃以上、好ましくは70℃以上のガラス状重合体がよい。また、ゴム状重合体成分はアルキル基の炭素数が2〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合した重合体、または、アルキル基の炭素数が2〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とジエン系架橋性単量体とを共重合した重合体で構成するのが好ましい。
【0020】
アルキル基の炭素数が2〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等を挙げることができ、これらの単量体はそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
ジエン系架橋性単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールメタクリレート、オリゴエチレンジアクリレート、オリゴエチレンジメタクリレートや、更にはジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体、トリメリット酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができ、これらの単量体はそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
【0021】
また、ゴム状重合体成分はアルキル基の炭素数が2〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び/またはジエン系の架橋性単量体と共重合可能な他の付加重合性単量体を重合させた重合体としてもよい。この付加重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系化合物、更には、シアン化ビニリデン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルフマレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、モノブチルマレエート、グリシジルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。これらの単量体はそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。この付加重合性単量体は単量体全重量に対して通常50重量%以下の範囲で使用される。
【0022】
上記ガラス状重合体成分は、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合した重合体、または、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とジエン系架橋性単量体とを共重合した重合体で構成するのが好ましい。
上記アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等を挙げることができ、これらの単量体はそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
上記ジエン系架橋性単量体としては、上記ガラス転移温度が−30℃以下のゴム状重合体成分の単量体として例示したものを使用でき、1種類または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子は、ゴム状部分とガラス状部分を有する重合体の微粒子であっても、また、ゴム状重合体とガラス状重合体とを混合した混合物の粒子であってもよい。また、ゴム状重合体とガラス状重合体が粒子中でランダムに混在していてもよいが、ゴム状重合体からなるコアをガラス状重合体からなるシェルが被覆している形態の粒子がエポキシ樹脂中での分散性の点で好ましい。
【0024】
上記ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子の粒子径は重量平均粒子径が5μm以下、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.1〜3.0μmの範囲にあるのがよい。
【0025】
ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子を得るための方法としては、乳化重合、微細懸濁重合、懸濁重合が好ましい。また、ゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体を適当な溶剤に溶解乃至分散させ、これをスプレー造粒して乾燥させる、所謂、スプレードライ法を用いることもできる。
【0027】
また、変性エポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、以下に記す▲1▼〜▲4▼の方法でラケットを成形する。
▲1▼強化繊維を(メタ)アクリル系重合体微粒子、及び硬化剤等を配合して分散した変性エポキシ樹脂組成物に浸漬しながらドラムに一定の繊維方向となるように一定量巻き付けた後、繊維層をドラムから切り取り、約80〜100℃の熱をかけて疑似硬化状態のプリプレグとし、このプリプレグを適当な繊維角度になるように重ねて切断し、次いで、適当な太さのマンドレルにナイロン製やシリコン製のチューブを通し、このチューブ上に上記プリプレグを適当な角度及び繊維量となるように巻き付けた後、マンドレルからチューブごと抜き取り、プリプレグを巻き付けたチューブをラケットフレームの金型内にセットし、この後、チューブ内に適当な圧力をかけ、チューブと繊維が金型に沿うようにした後、130〜170℃で15〜60分加熱してプリプレグを硬化成形して、ラケットを得る方法。
▲2▼マンドレルに通したチューブ上にフィラメントワインティング法により変性エポキシ樹脂樹脂組成物を適当量付着させた繊維を適当な角度で巻き付けた後、マンドレルからチューブごと抜き取り、繊維を巻き付けたチューブをラケットフレームの金型内にセットし、次いで、上記▲1▼と同様の加熱成形を行う方法。
▲3▼繊維を編んで作ったブレードを変性エポキシ樹脂組成物に浸漬し、これを適当な太さのマンドレルに通したナイロン製やシリコン製のチューブ上に積層して巻き付けて円筒状の繊維成形体(レイアップ)を作成した後、この繊維成形体(レイアップ)をチューブごとマンドレルから抜き取ってラケットフレームの金型内にセットする、または、繊維を編んで作ったブレードをマンドレルに通したナイロン製やシリコン製のチューブ上に積層して巻き付けて円筒状の繊維成形体(レイアップ)を作成した後、この繊維成形体(レイアップ)をチューブごとマンドレルから抜き取ってエポキシ樹脂組成物に浸漬し、ラケットフレームの金型内にセットし、次いで、上記▲1▼と同様の加熱成形を行う方法。
▲4▼上記▲1▼または▲3▼に記載のようにして作成した繊維(層)を巻き付けたチューブを金型内にセットし、チューブ内に適当な圧力をかけながらエポキシ樹脂に(メタ)アクリル系重合体微粒子を分散させたA液と、エポキシ樹脂に硬化剤を分散させたB液とを金型内に射出して、反応射出成形(RIM)を行う方法。
【0028】
強化繊維の材質は特に限定されず、カーボン繊維やガラス繊維が好ましい。
また、グリップエンド部分に固定する振動抑止材は種々の材質及び形状のものを用いることができる。
【0029】
さらに、本発明は、ラケットフレームが連続繊維及び/又は長繊維強化材で強化された樹脂から形成され、面外1次固有振動数の減衰比が0.017以上、0.034以下であり、面外2次固有振動数の減衰比が0.008以上、0.014以下であり、かつ、
グリップエンドに、重量が3g以上10g未満である振動抑止材を固定したことを特徴とするテニスラケットを提供している。
上記振動抑止材の材質は、天然ゴム、または、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、エポキシ系、フェノ一ル系、フッソ系及び尿素系などの各種合成樹脂、または、スチレンブタジエン系、ニトリル系、クロロプレン系、イソプレン系、ヒドリン系、ブタジエン系、ブチル系、エチレン・プロピレン系、アクリル系、シリコーン系、チオコール系及び塩素化系等の各種合成ゴムを使用することが出来る。
【0030】
形状は、図1に示す、薄厚の円板体からなるフレームとの接着部Aと、該接着部Aより大きな外径の円板体からなる振動部B、鼓状の円筒体からなり、接着部Aと振動部Bを連結する連結部Cとで構成したものが好ましい。ここで、連結部Cを鼓状の円筒体とするのは振動の方向が偏る事がないようにするためである。また、連結部Cの上端面及び下端面は直径12mm以下とし、接着部Aは連結部Cの上端面と略同一径にし、振動部Bの径は連結部Cの下端面よりできるだけ大きくする。しかし、振動部Bの径があまり大きくなりすぎると、プレーヤーの手に当たることが心配されるため、グリップ端周囲より突出するの部分が30mm以下となるようにするのが好ましい。また、振動部Bは振動が励起するように、プレーヤーのラケット操作に支障をきたさない範囲でできるだけ重くするのが好ましい。また、グリップ部との接着を確実にし、フレームの振動をよく伝達するには、Aの部分の厚みが10mm以上であるのが好ましい。
【0031】
振動抑止効果を得るためには、上記のように、振動抑止材は少なくとも振動部Bが適度に振動しなければならず、振動抑止材は材質及び形状を調整して、50%モジュラスが0.5kg/cm2 以上、200kg/cm2 以下、好ましくはlkg/cm2 以上、50kg/cm2 以下の範囲に設定する。
【0032】
上記モジュラス値はJIS Kー 6301に規定される加硫ゴム物理試験方法に準じて測定した値でる。すなわち、試験片を3号型ダンベル形状にし、該試験片に50%の伸びを与えたときの荷重を読みとり、次式(1)によって50%モジュラス(応力)M50を求める。
【0033】
M50=Fn/A……(1)
M50:50%伸長時応力(kgf/cm2
Fn:50%伸長時荷重(kgf)
A:試験片の断面積(cm2
また、振動抑止材の重量は3g以上、10g未満とするのが好ましく、4g以上、9g以下とするのがより好ましい。これは、一般のFRP(繊維強化プラスチック)ラケットの面外1次固有振動数は110Hz〜230Hzであり、3g未満あるいは10g以上ではこの振動数を外れていまい、共振することが出来ないためである。
【0034】
振動抑止材の固定方法は特に限定しないが、例えば、接着剤を用いた接着方式や、ねじ込み方式が用いられる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
参考実施例1)
熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて反応射出成形によりラケットフレームを成形し、グリップエンドに振動抑止材を接着固定した。ラケットフレームの強化繊維はカーボン繊維を用い、マトリクス樹脂(熱可塑性ポリアミド樹脂)との重量比は約50%にした。
具体的には、66ナイロンチューブにカーボンブレイドを被せたものを金型のにセットし、66ナイロンチューブ内に6kgf/cm の圧力空気を供給して、加圧保持し、金型を150℃に昇温させ、宇部興産(株)製のナイロンRIM原料UX−75を使用し、触媒を含むa液と、開始剤を含むb液を1:1で混合して金型に注入し、重合させ、冷却後に離型した。
また、振動抑止材はポリウレタン製で、重量4g、全長40mm、接着部Aの直径を12mm、高さを10mm、振動部Bの直径を20mm、高さを10mmにした前記図1の形状のもので、これを接着剤でグリップエンドに固定した。
図2は本参考実施例のラケットの外観を示している。
【0036】
参考実施例2)
フレ−ムは上記参考実施例1と同様のものを用い、振動抑止材は材質は上記参考実施例1と同じであるが、重量を9gにし、振動部Bの高さを22mmにしたものを用いた。
【0037】
参考実施例3)
フレ−ムは上記参考実施例1と同様のものを用い、振動抑止材は材質は上記参考実施例1と同じであるが、重量を10gにしたものを用いた。
【0038】
(実施例
エポキシ樹脂としてエピコート806(油化シェルエポキシ製)を300重量部、ゴム状重合体成分からなるコアをガラス状重合体成分からなるシェルが被覆した粒子形態の(メタ)アクリル系重合体微粒子であるF351[重量平均粒子径:約0.3μm](日本ゼオン株式会社製)を300重量部、ジシアンジアミド(DICY)硬化剤であるAMICURE CG−325(ACI ジャパン リミテッド製)を36重量部、アルキル尿素タイプの硬化促進剤であるAMICURE94(ACI ジャパン リミテッド製)を15重量部、脂肪族モノグリシジルエーテル希釈剤であるヘロキシ8(Shell Chemical Campany製)を90重量部用い、これらを撹拌機により混合して変性エポキシ樹脂組成物を調整した。
次に66ナイロンチューブにカーボンブレイドを被覆し、該カーボンブレイドに上記変性エポキシ樹脂組成物を含浸させた後、これらを金型にセットし、66ナイロンチューブ内に6kgf/cm の圧力空気を供給して、加圧保持し、金型を150℃に昇温させ、1時間保持した後、冷却して離型して、ラケットフレームを成形した。
そして、このラケットフレームのグリップエンドにポリウレタン製で、重量が4g、全長が40mm、接着部Aの直径を12mm、高さを10mm、振動部Bの直径を20mm、高さを10mmにした、前記図1の形状の振動抑止材を接着剤で固定した。
【0039】
(比較例1)
熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて成形したラケットフレームであり、そのグリップ・エンドには振動抑止材を接着しなかった。フレームのカーボン補強繊維の重量比は約50%にした。
【0040】
(比較例2)
(メタ)アクリル系重合体微粒子であるF351[重量平均粒子径:約0.3μm](日本ゼオン株式会社製)を用いない以外は、上記実施例と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調整した後、該エポキシ樹脂組成物を用いて上記実施例4と同様の成形方法によりラケットフレームを作製した。
このラケットフレームのグリップエンドに、ポリウレタン製で、重量が4g、全長が40mm、接着部Aの直径を12mm、高さを10mm、振動部Bの直径を20mm、高さを10mmにした、前記図1の形状の振動抑止材を接着剤で固定した。
【0041】
(比較例3)
比較例1のラケットフレームを用い、これのグリップエンドに、材質は上記比較例2と同じであるが、重量を2g、振動部Bの高さを7mmにした振動抑止材を接着剤で固定した。
【0042】
(比較例4)
比較例1のラケットフレームを用い、これのグリップエンドに、材質は上記比較例2と同じであるが、重量を11g、振動部Bの高さを25mmにした振動抑止材を接着剤で固定した。
【0043】
(比較例5)
比較例2のラケットフレームを用い、これのグリップエンドには振動抑止材を接着しなかった。
【0044】
(比較例6)
比較例2のラケットフレームを用い、これのグリップエンドに、材質は上記比較例2と同じであるが、重量を9gにした振動抑止材を接着剤で固定した。
【0045】
(評価方法)
評価は23℃、55%RHの条件で48時間以上調節したラケットについて行った。
ラケットの振動数とその減衰比の測定方法を図3に示す。
ガットを張ったラケットを紐でつるし、インパクトハンマーでフレーム打撃し、該インパクトハンマーに取り付けたフォースピックアップで振動入力(F)を計測すると共に、グリップエンドより4cmの部分にフレーム面に垂直方向に固定した加速度ピックアップで振動応答(加速度α)を計測し、計測値(α/F)をアンプを介して周波数解析装置(ヒューレット・パッカード製 ダイナミックシグナルアナライザ− HP3562A)で解析した。該解析で周波数領域での伝達関数をもとめてラケットフレーム面外1次固有振動数、及び面外2次固有振動数を得た。
減衰比(ζ)は図4から次式(2)(3)より求めた。
【0046】
ζ=(1/2)×(△ω/ωn)……(2)
0 =Tn /√2……(3)
【0047】
下記表1に上記参考実施例、実施例及び比較例の測定結果を示す。
【表1】
Figure 0004040728
表1から、面外1次固有振動数の減衰比が0.016以上で、かつ、面外2次固有振動数の減衰比が0.008以上である参考実施例1〜3と実施例1のラケットは、ボール実打時の手に加わる加速度が25G未満と小さく、かつ、加速度の減衰時間も30msec以下と小さくなり、ラケットに加わる衝撃が小さく、しかも、振動が効果的に減衰していることがわかる。
これに対し、面外1次固有振動数の減衰比が0.016未満であったり、面外2次固有振動数の減衰比が0.008未満であったりする比較例1〜6のラケットは、ボール実打時の手に加わる加速度がいずれも26G以上で大きく、加速度の減衰時間も34msecを越えており、ラケットに加わる衝撃が大きく、しかも、振動が減衰するのに長時間を要している。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明のテニスラケットによれば、プレーヤーの手に伝わる衝撃と振動を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いる振動抑止材の具体例の斜視図である。
【図2】 本発明の参考実施例1の全体の外観を示す図である。
【図3】 ラケットの振動数とその減衰比の測定方法を示す概略図である。
【図4】 ラケットのフレームを打撃して計測した振動入力と振動応力を周波数解析して得られた周波数と伝達関数との関係を示す図である。
【図5】 ラケットで打球したときに手に加わる加速度とその減衰時間の測定方法を示す概略図である。
【図6】 図5の測定方法により得られた加速度と減衰時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
A 接着部
B 振動部
C 連結部

Claims (2)

  1. マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂中にゴム状重合体成分を含む(メタ)アクリル系重合体微粒子を分散した変性エポキシ樹脂を用い、該マトリクス樹脂に連続繊維及び/又は長繊維強化材を含浸させた繊維強化樹脂でラケットフレームが成形され、
    面外1次固有振動数の減衰比が0.017以上、0.03以下であり、面外2次固有振動数の減衰比が0.008以上、0.014以下であるテニスラケット。
  2. 上記ラケットフレームのグリップエンドに重量が3g以上10g未満である振動抑止材が固定されている請求項1に記載のテニスラケット。
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