JP4039735B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、廃ゴム製品からリサイクルによって回収される特定の加硫粉末ゴムを配合して耐摩耗性と耐疲労性とがバランスしたタイヤ用ゴム組成物、特にタイヤトレッド用に好適なゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃ゴム製品のリサイクルとして、各種再生ゴムや粉末ゴムが回収されていることは周知の通りであり、粉末ゴムはスポーツ床舗装材、アスファルト舗装材、屋根材、防音材などとして使用されている。このような粉末ゴムをタイヤ材料として用いることも試みられている。ところで、再生ゴムは古くから研究、実用化され、100年以上もの歴史があり、原料は、用済タイヤが主に利用されている。その製造方法は、廃タイヤを破砕(粗破砕→細砕)し、繊維、スチールワイヤなどゴム粉以外のものを除去した後、再生剤(有機ジサルファイド、エステル酸など)とオイル(アロマチック油など)を混合、加熱し、ロールでシート状にして製品としており、近年粉末状のまま使用されることも多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、再生粉末ゴムをタイヤ用ゴム組成物に配合すると、一般にはタイヤの耐摩耗性や耐疲労性が低下するという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、再生粉末ゴムを配合しても、強度、伸び及び耐発熱性を低下させることなく、耐摩耗性及び耐疲労性を向上させたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、天然ゴム60重量部以上と、ブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム、ポリイソプレンゴム及びブチルゴムから選ばれた少なくとも1種のゴムとを含むゴム100重量部、窒素比表面積(N2 SA)が90〜150m 2 /gのカーボンブラック50重量部以上、軟化剤10〜30重量部並びに天然ゴム含量が70重量%以上で、JIS K6201のふるい残分試験法に準拠して測定した粒径500μm以上の粉末含量が10重量%以下の再生粉末ゴムである加硫粉末ゴム3〜30重量部を含んでなるタイヤ用ゴム組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明者は、再生粉末ゴムを配合してもタイヤ用、特にタイヤトレッド用として使用することができるゴム組成物の配合を得るべく検討を進めた結果、特定のポリマー系を選定し、カーボンブラック及びオイルの配合量を比較的多くし、粉末ゴムの組成及び粒度を特定することによって、配合ゴムの強度、伸び及び耐発熱性を低下させることなく、耐摩耗性及び耐疲労性を向上させることに成功し、粉末ゴムのタイヤ用、特にタイヤトレッド用ゴム組成物への使用を可能にした。
【0007】
本発明に従ったゴム組成物に配合されるゴムとしては、ゴム100重量部に対し、天然ゴム60重量部以上で他のゴム成分としては従来よりタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている架橋可能なジエン系ゴムであるブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)を単独又は任意のブレンドとして用いることができる。天然ゴムの配合量が60重量部未満では本発明の加硫粉末ゴムを使用しても、強度、伸び、耐発熱性が低下するので好ましくない。
【0008】
本発明のゴム組成物には、ゴム補強剤として、通常ゴム組成物に配合される任意のカーボンブラックのうち、窒素吸着比表面積(N2 SA)が90〜150m 2 /gのものを配合する。N2 SAの値が90m2 /g未満では十分な強度、耐摩耗性が得られないので好ましくない。カーボンブラックの配合量としては、ゴム100重量部に対し、50〜75重量部、好ましくは52〜75重量部で使用される。この配合量が少な過ぎると十分な強度、耐摩耗性が得られないので好ましくなく、逆に多過ぎると耐疲労性が低下するだけでなく発熱も大きくなり耐久性が低下するので好ましくない。
【0009】
本発明のゴム組成物には、軟化剤をゴム100重量部当り10〜30重量部、好ましくは12〜25重量部配合する。かかる軟化剤としては工業用パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ロジン系プロセスオイルおよび天然植物性プロセスオイルなどをあげることができる。軟化剤の配合量が10重量部未満では十分な伸びが得られない。また、カーボンブラック及び加硫粉末ゴムの分散が低くなりやすく耐摩耗性も低下するので好ましくない。逆に多く配合しすぎると十分な強度、摩耗が得られないので好ましくない。
【0010】
本発明のゴム組成物に配合される加硫粉末ゴム、即ち再生粉末ゴムは、天然ゴム含量が70重量%以上、好ましくは、80重量%以上で粒径が500μm以上、粉末含量が10重量%以下、好ましくは8重量%以下のものを、ゴム100重量部に対し、3〜30重量部、好ましくは5〜27重量部配合する。加硫粉末ゴムの粒径が大き過ぎると強度、伸び、耐摩耗性、耐疲労性が全て低下するので好ましくない。加硫粉末ゴムの配合量が3重量部未満では物性の改良効果が小さいので好ましくなく、逆に30重量部を超えると強度、摩耗等が低下するので好ましくない。
【0011】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、上記必須成分に加えて、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、老化防止剤、カーボンブラック以外の充填剤、可塑化剤、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は、一般的な方法で混練、加硫して生成物とし、加硫または架橋することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0012】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0013】
標準例1〜3、実施例1〜4及び比較例1〜8
【0014】
サンプルの調製
表I(NR/BR=70/30のゴム配合)、表II(NR100%のゴム配合)及び表III (NR/SBR=20/80のゴム配合)に示す配合(重量部)のうち、加硫促進剤と硫黄を除くゴム及び配合剤を1.7リットルのバンバリーミキサーで5分間混練し、次に得られた混合物に加硫促進剤と硫黄を8インチの試験用練りロール機で4分間混練し、ゴム組成物を得た。次に、この組成物を150℃で30分間プレス加硫して目的とする試験片を調製し、物性を評価した。結果は表I、表II及び表III に示す。
【0015】
【表1】
Figure 0004039735
【0016】
【表2】
Figure 0004039735
【0017】
【表3】
Figure 0004039735
【0018】
【表4】
Figure 0004039735
【0019】
表I, II 及び表 III の脚注(配合成分)
*1 STR20
*2 Nipol BR1220(日本ゼオン株式会社製 ポリブタジエンゴム)
*3 Nipol 1502(日本ゼオン株式会社製 スチレンポリブタジエン共重合体ゴム)
*4 粉末ゴム1:NR;93%(GC法)、500μm以上の割合;23.5%(*15
*5 粉末ゴム2:NR;95%(GC法)、500μm以上の割合;2.5%(*15
*6 粉末ゴム3:NR;92%(GC法)、500μm以上の割合;6.8%(*15
*7 ショウブラックN220(昭和キャボット株式会社製);N2 SA=111m2 /g(*16
*8 N−1,3−ジメチルブチル−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン *9 ジベンゾチアジル−ジスルフィド
*10 N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル−スルフェンアミド
【0020】
表I, II 及び表 III の脚注(評価試験方法)
*11 引張り強さ(強度):JIS K6301に準拠して測定した。
*12 伸び:JIS K6301に準拠して測定した。
*13 耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機(岩本製作所(株)製)を使用して荷重5kg、スリップ率25%、時間4分、室温の条件で測定し摩耗減量を指数として示した。(基準の摩耗量)×100/(試料の摩耗量)で指数表示したので、数字が大きい程耐摩耗性が良好であることを示す。
*14 耐疲労性:JIS K6301に準じて準備した3号ダンベルを用い、100%の一定歪みを繰り返し与え、破断回数を測定することによった。破断回数の測定は、n=6で行い、それぞれの破断回数より正規確率分布による50%残存確率を求め、基準例を100とする指数で示す。数値が大きい方が疲労寿命が長い。
*15 粒度(500μm以上の割合)の求め方:JIS K6201のふるい残分試験法に準拠して測定。
*16 窒素比表面積(N2 SA):ASTM D3037の方法に従って測定した。
【0021】
【発明の効果】
表I,II及び表III に、それぞれ、ゴム組成物中にゴム分としてNR/BR=70/30のゴム配合系(表I)、NR=100%のゴム配合系(表II)及びNR/SBR=20/80の本発明外のゴム配合系(表III )についての評価結果を示した。
【0022】
表Iに示したように比較例1及び2は粉末ゴムが500μm以上の粉末を23.5%含むために、引張り強さ、伸び、耐摩耗性及び耐疲労性のいずれも良好でない結果が得られている。表Iの比較例3及び4は粉末ゴムの配合量が本発明の範囲外となっているためバランスのとれた性質が得られていない。
【0023】
表IIに示すように、比較例5は粉末ゴムが500μm以上の粉末を23.5%も含むため、これも引張り強さ、伸び、耐摩耗性及び耐疲労性のいずれも良好でない結果となっている。また比較例6は軟化剤(アロマティックオイル)の配合量が少な過ぎるため、伸び及び耐摩耗性が良好でない。
【0024】
表III に示すように、ゴム成分中の天然ゴムの割合が小さい場合には、本発明の要件を満足する粉末ゴムを配合しても良好な結果は得られていない。
【0025】
以上の通り、本発明に従って、天然ゴムを50重量%以上含むゴム100重量部に対し、天然ゴム分が70重量%以上で、特定の粒度を有する粉末ゴム3〜30重量部を配合することにより、加硫ゴムの耐摩耗性と耐疲労性をバランスよく改良することができる。

Claims (1)

  1. 天然ゴム60重量部以上と、ブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム、ポリイソプレンゴム及びブチルゴムから選ばれた少なくとも1種のゴムとを含むゴム100重量部、窒素比表面積(N2 SA)が90〜150m 2 /gのカーボンブラック50〜75重量部、軟化剤10〜30重量部並びに天然ゴム含量が70重量%以上で、JIS K6201のふるい残分試験法に準拠して測定した粒径500μm以上の粉末含量が10重量%以下の再生粉末ゴムである加硫粉末ゴム3〜30重量部を含んでなるタイヤ用ゴム組成物。
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