JP4039474B2 - 特殊成形された圧延材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素、けい素、マンガン、場合によってはクロム、特殊炭化物を形成しかつ材料の変化特性に影響を及ぼす元素及び/又はミクロ合金添加物、残り鉄、及び製造条件による通常の不純物を含む鉄ベース合金からなり、この鉄ベース合金が、加速された冷却によって横断面にわたって少なくとも部分的に合金のオーステナイト領域から形成される組織構造を有する、特殊成形された圧延材料、とくに走行レール又は鉄道レールに関する。
【0002】
さらに本発明は、加速された冷却によって横断面にわたって少なくとも部分的に合金のオーステナイト領域から形成される組織構造を有し、その際、圧延材料の表面の少なくとも一部に、冷却媒体が加えられ、又はこの一部が、この中に挿入される、特殊成形された圧延材料、とくに走行レール又は鉄道レールの製造方法を含んでいる。
【0003】
【従来の技術】
圧延材料は、それぞれの利用に相応して構成部分として種々の負荷を負うことができ、その際、一般的な材料特性に基づいて、大体において最高の個別要求は、部分の寸法決定を必要とし、かつ/又はその寿命を決定する。構成部分の特性プロファイルが、これにおける要求に合わされており、又は部分におけるはっきりした個別負荷に相応して、これが、固有にとくに大きな材料特性値を有すると、技術的にかつ経済的にも、これに対して有利であることがある。
【0004】
走行レール又は鉄道レールの例において、多層の材料負荷は、はっきりと認識することができる。レールに結び付いた交通のためにレールは、一方において頭部範囲において又は車輪を支持する表面において大きな磨耗抵抗を有するようにし、かつ他方において線路における曲げ負荷のため、その他の横断面範囲における大きな粘性、剛性及び破壊安全性を有するようにする。
【0005】
増加する交通の成長及びますます大きくなる軸負荷においてレールの利用特性を改善するために、その頭部硬度を増加する多数の提案が行なわれている。
【0006】
オーストリア国特許第399346号明細書によれば、これらの要求を満たすために、合金のオーステナイト領域からなるレール頭部を、450°Cないし550°Cの間の表面温度にまで合成冷却媒体添加物を有する冷却媒体中に浸し、かつ続いて運び出し、それにより頭部範囲に増加された材料硬度を有する微細パーライト組織を形成する方法が公知である。この方法を実施するために、ヨーロッパ特許出願公開第441166号明細書によれば、冷却液を含む浸漬浴内へのレール頭部の浸漬を簡単に可能にする装置が開示されている。
【0007】
レールに安定なパーライト構造を構成する別の方法は、ヨーロッパ特許第186373号明細書により公知になっており、ここでは方法は、大体においてレールの加速した冷却のために冷却媒体のためのノズル装置を利用し、かつノズル装置とレール頭部との間の間隔は、レール頭部に対して達成すべき硬度値及び鋼の炭素当量に依存して調節される。
【0008】
特殊成形された圧延材料、とくにレールの熱処理を行なう方法及び装置は、ヨーロッパ特許出願公開第693562号明細書から明らかであり、その際、とくにレール頭部において、高められた硬度及び耐磨耗性を有する微細パーライト組織が形成される。レールの頭部範囲に微細パーライト組織構成を製造する別の方法は、ヨーロッパ特許第293002号明細書に開示されている。その際、レール頭部は、加熱水噴射によって420°Cにまで冷却され、かつ続いて空気流により処理される。
【0009】
ヨーロッパ特許出願公開第358362号明細書によれば、合金のオーステナイト領域からなるレール頭部が、高い強度で、かつ表面温度をマルテンサイト点より上に維持するという条件で冷却する方法が公知になっている。選ばれた温度の到達した後に、冷却作用の制限が行なわれるので、下部パーライト段、しかもオーステナイト−微細パーライトにおいて完全な等温変化が経過する。鋼の化学的組成に相応してこれら組織変化は、ベイナイトを形成せずに行なわれる。
【0010】
頭部に高度の耐磨耗性を有しかつ脚部に高度な破壊安全性を有するレールは、ヨーロッバ特許出願公開第136613号明細書又はドイツ連邦共和国特許出願公開第3336006号明細書によれば、レールが、圧延及び冷却の後に、空気において810ないし890°Cでオーステナイト化され、かつ続いて加速されて冷却される方法によって達成される。その際、冷却は、頭部の範囲に微細パーライト組織が、かつ脚部の範囲にマルテンサイト組織が生じ、この組織が、続いて焼きもどしされるように行なわれる。
【0011】
この時、有利な機械的特性を有する圧延材料を、なるべくとくに頭部の高い耐磨耗性を有しかつその他の範囲の高い粘性を有する走行レール又は鉄道レールを達成するために、従来の技術によれば、材料に微細パーライト組織構造が設定され、かつ場合によってはマルテンサイト成分を有する中間段組織又はベイナイト組織は、避けられる。
【0012】
前記のことは、経済的にも理由付けることができる。なぜなら原子の拡散が行なわれるパーライト変化の際に、温度の低下とともに、積層層のための核形成速度は、炭化物及びフェライトを増加し、それにより組織は、ますます細かくなり、かつそれにより大きな粘性においてさらに硬くかつ耐磨耗性になるからである。したがってパーライト形成は、核形成と成長によって行なわれ、これらは、不足冷却の程度及びとくに炭素及び鉄原子の拡散速度によって決まる。
【0013】
冷却速度をさらに高め、又は変化温度をさらに低下すると、炭素を含んだ低合金化された鉄ベース材料から中間段組織への変化が行なわれる。厳密な学問的な解明にはまだ至らないとはいえ、中間段又はベイナイト変化の際に基本格子原子が凍結されており、かつ格子の反転による組織構造変化が行なわれることが、種々に仮定されるが、その際、炭素原子はなお拡散することができ、かつその結果、炭化物を形成する。細かい積層パーライトに変化する温度領域のすぐ下において、したがって中間段変化の際に形成される組織構造は、著しく大きな形を有する。生じた炭化物も、はっきりと大きく構成されており、フェライト積層体の間に配置されており、材料の粘性を著しく悪化し、かつ材料の疲労を促進し、かつとくに衝撃的な負荷の際の部分の破壊の危険を増大する。この理由により、レールは、組織内にベイナイト成分を持たないようにする。
【0014】
大きな耐磨耗性及び改善された耐接触疲労性を備えた炭化物を含まないベイナイト鋼は、PCT第96/22396号明細書により公知になっている。0.05ないし0.5重量%の炭素及び0.5ないし2.5重量%のマンガン及び0.25ないし2.5重量%のクロムを有する低合金化された鋼における1.0ないし3.0重量%のけい素及び/又はアルミニウム含有量によって、圧延温度の連続的な冷却により圧延材料中に、“上部ベイナイト”のタイプの大体において炭化物を含まないミクロ構造が、すなわちベイナイトフェライト、残留オーステナイト及び高炭素含有量のマルテンサイトからなる混合組織が、設定されるようにする。しかし低い温度の際、かつ/又は機械的な負荷の際、組織内において残留オーステナイトの少なくとも一部は、マルテンサイト及び/又はいわゆる変形マルテンサイトを形成しながら反転することがあり、それにより層境界において裂け目形成開始の危険が高められている。
【0015】
路線区間における交通の成長の増加及び高められた軸負荷及び列車速度は、一般にさらに高度な材料品質を必要とし、かつレールの一層良好な利用特性によっても達成されるようにする。
【0016】
一般に低合金化された鉄ベース材料からなる従来周知の圧延材料、及びこれを改善された利用特性を有するように製造する方法、とくに熱処理方法の基本的な欠点は、従来の技術によれば、材料の耐磨耗性及び粘性のそれ以上の増大が、高価な合金技術的な処置によってしか達成することができないという点にある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ここにおいて本発明は、補助手段を提供し、かつ高められた粘性及び材料硬度及び接触疲労に対する抗性における高い耐磨耗性又は高い消耗抵抗の組合わせを備えた特殊成形された圧延材料、とくにレールを提供するということを目標とする。
【0018】
さらに本発明の課題は、経済的な合金の使用で特殊成形された圧延材料の利用特性を改善する、新しい方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目標は、初めに述べたような初めに述べた対象において次のようにして達成される。すなわち鉄ベース合金が、重量%における元素の次の濃度:
けい素、最大0.93、なるべく0.21ないし0.69、
アルミニウム、最大0.06、なるべく0.03より下、及び
けい素プラスアルミニウム、0.99より下
を有し、かつ少なくとも圧延材料横断面の部分範囲においてその長手方向延びにわたって、下部中間段又は下部ベイナイト段の範囲におけるオーステナイトの実質的に等温の組織変化の際に形成される構造を有する組織構成が存在する。
【0020】
本発明によって得られた利点は、とくに次の点にある。すなわち明らかなように、下部中間段における変化に相応した組織構成を有する圧延材料は、著しく改善された機械的な特性を有する。これに対する前提は、上方に向かって厳密に制限された材料のけい素及び/又はアルミニウム含有量である。それより高いけい素及び/又はアルミニウム濃度は、低合金化された鉄ベース材料において、切離して材料系の状態におけるガンマ領域に作用するので、下部中間段の範囲におけるオーステナイトの組織のかなりの程度まで完全な変化は、重量%において最大0.93のけい素及び最大0.06のアルミニウム及び0.99より下のけい素プラスアルミニウムの含有量の際にしか可能にならない。上部及び下部の中間段組織構造の間の材料特性の驚くほど大きな改善は、現在のところまだ十分には説明することができず、かつ格子原子の自己拡散が凍結されている中間段変化の上部温度範囲内において、炭素はまだ容易に拡散することができるということによって、専門分野の一部によって理由付けられる。このことは、光学顕微鏡によって見ることができる大ざっぱな炭化物の分離を引起こし、これら炭化物の分離は、フェライト針の間にあり、その結果、材料特性の不利な影響を引起こす。それに対して下部中間段変化の温度範囲において、炭素拡散は、かなりの程度まで減少するように、又は同様にかなりの程度まで凍結されるように思われ、それにより中間段フェライトの針の中に炭化物が形成され、かつこれら炭化物が光学顕微鏡ではもはや確認できないが、なお電子顕微鏡により認識することができる程度に細かく分散して存在する。下部中間段の組織内におけるこの有利な炭化物構成及び炭化物分散は、明らかに高度及び剛性、粘性、破壊安全性、耐磨耗性及び消耗抵抗の著しい改善に通じ、かつ圧延材料の高度な接触疲労耐久性に通じる。
【0021】
次のようにすれば、とくに有利な圧延材料特性が得られる。すなわち鉄ベース合金が、実質的に重量%において次の元素:
炭素、0.41ないし1.3、なるべく0.51ないし0.98、
マンガン、0.31ないし2.55、なるべく0.91ないし1.95、
残り鉄を有する。
【0022】
次のようにすれば、圧延材料の機械的特性値は、さらに増加し又は改善することができる。すなわち鉄ベース合金が、さらに重量%において次の元素:
クロム、0.21ないし2.45、なるべく0.38ないし1.95、
場合によっては
モリブデン、0.88まで、なるべく0.49まで、
タングステン、1.69まで、なるべく0.95まで、
バナジウム、0.39まで、なるべく0.19まで、さらに
ニオブ及び/又はタンタル及び/又はジルコニウム及び/又はハフニウム及び/又はチタン、個々に又は合計で0.28まで、なるべく0.19まで、及び
ニッケル、2.4まで、なるべく0.95まで、
ほう素、0.006まで、なるべく0.004まで
を有する。
【0023】
混合組織を避ける際に合金の下部ベイナイト段においてかなりの程度まで完全な変化を達成するために、望ましい様式で次のことを考慮することができる。すなわち鉄ベース合金が、2.75×%Si及び/又はAlマイナス%炭素から形成される値が2.2に等しいか又はそれより小さいような濃度において、元素、けい素、アルミニウム及び炭素を有する。この制限又は関係によって、有利にも強力にフェライトを形成する元素、Si又はAl、及び効果的にオーステナイトを形成する元素、Cは、変化運動学において互いに対応し、又は互いに同調される。
【0024】
特殊成形された圧延材料、とくにレール頭部、レール脚部及びこれら範囲を結合するウエブからなる鉄道レールにおいて、少なくとも横断面の範囲において、とくにレールの頭部において、下部中間段に又は下部ベイナイト段に形成される組織構造が、表面から少なくとも10mm、なるべく少なくとも15mmの深さを有すると、とくに大きな負荷を受ける表面範囲も、驚くほどの安定度を提供することができる。
【0025】
下部中間段又は下部ベイナイトの組織構造を有する横断面範囲が、軸対称に又は中心対称に配置されている、特殊成形された圧延材料、とくに鉄道レールは、追加的に長手方向における高い形状安定性、及びわずかな内部応力の利点を有する。
【0026】
下部中間段又は下部ベイナイト構造を有する1つ又は複数の範囲において、特殊成形された圧延材料が、少なくとも350HB、なるべく少なくとも400HB、とくに420HBないし600HBの硬度を有すると、利用特性に関してとくに有利である。
【0027】
本発明の別の課題は、前に挙げたような方法において次のようにして解決される。すなわち合金の組成が、狭い限界内において選択され、この合金の変化特性が、冷却の際に、面心立方原子構造の領域から又はオーステナイト領域から見出され、かつ選択された合金から圧延材料が製造され、その後、長手方向に圧延材料の横断面の少なくとも一部が、オーステナイト領域から、合金のマルテンサイト点とこれを高々250°Cだけ、なるべく高々190°Cだけ上回る値との間の温度に、とくにマルテンサイト点の上5゜Cないし110°Cの範囲の温度に冷却され、かつ組織が、実質的に等温で変化させられる。
【0028】
本発明による方法によって達成される利点は、大体において次の点にある。すなわち特殊成形された圧延材料に対して正確な製造及び品質計画を準備することができ、その際、圧延材料の機械的特性は、著しく改善されている。その際、一方においていずれにせよ製品の必要な特性プロファイルを保証するコスト上望ましい化学的合金組成を選択することができ、他方において正確な包括的製造及び熱処理技術を規定し又は適用することが可能である。このことは重要である。なぜなら合金のオーステナイト領域からの冷却の際の変化過程は、その組成だけでなく、最終圧延及び/又はオーステナイト化温度、層に対する核状態及び核形成速度、又は反転機構にも依存するからである。その際、実際の製造において与えられる又は調節可能な状態に対する材料のそれぞれの変化特性又はマルテンサイトスタート温度を基礎として、本発明による変化温度操作を確定することができる。
【0029】
組織の変化が、高々プラスマイナス110°Cの、なるべく高々プラスマイナス60°Cの温度範囲において実質的に等温で行なわれると、とくに有利な材料特性が達成される。それにより高負荷可能な圧延製品のため、とくに鉄道レールのために使用することができるほとんどの鋼に対して、下部中間段の本発明による組織を調節するために、高々450°Cの、なるべく高々400°Cの、とくに300ないし380°Cの変化温度が明らかである。
【0030】
有利に考慮することができるように、高められた質量濃度を有する特殊成形された圧延材料の横断面の少なくとも一部が、加速された冷却を受けると、圧延材料の長手軸線に関して望ましい均一な冷却を達成することができる。
【0031】
第1の段階において、圧延材料が、冷却液に全範囲にわたって浸され、合金のマルテンサイト点の上、少なくとも2゜Cであるが、とくにほぼ160°Cの表面範囲の温度に到達した後に、冷却媒体から少なくとも一部運び出され、かつ第2の段階において、もっぱら高い質量濃度を有する範囲が、場合によっては一時的に浸漬浴内に放置され、又は一時的にこの中に挿入されると、横断面にわたる冷却の均一性は、さらに、とくにレールプロファイルにおいて改善することができる。
【0032】
冷却が、プロファイルの質量濃度に同調された表面の冷却媒体作用によって行なわれると、通常の合金化されたレール鋼に対する熱処理技術は、実質的に全断面にわたる下部中間段の範囲において組織変化が行なわれるように確定することができる。
【0033】
とくに均一な冷却媒体作用及び一層長い時間への合金の変換開始のシフトに関して、圧延材料が、変形の直後に、圧延熱を利用しながら軸を一直線上に向けられ、かつ材料の下部中間段における変換によって横断面にわたる特殊な材料特性を製造する冷却方法に供給されると、有利である。
【0034】
大きな耐磨耗性又は大きな耐消耗性、高い粘性及びわずかな接触疲労を有する、とくに高性能区間のための鉄道レールが、大きな負荷率において製造され、その際、下部中間段の組織の圧延及び少なくとも一部の熱調節の後に、後続の調整方法が、とくに曲げ調整方法が、レールの整列の際の特殊な材料特性を維持するために、室温で又はそれよりわずかに高い温度で行なわれると、本発明による方法は、とくに有利に利用することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
次に本発明を、開発の研究結果及び実施例により詳細に説明する。大体においてH型のプロファイルを有する圧延材料は、550と600HVの間の硬度及びできるだけ大きな粘性を有するように構成するようにする。そのために鉄ベース合金の選択が行なわれ、この鉄ベース合金は、重量%において次の組成を有するように研究されかつ製造された:
C=1.05、Si=0.28、Mn=0.35、Cr=1.55、残り鉄及び不純物。膨張計テストによって、一方において860°C(図1);950゜C;及び1050°C(図2)のオーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図(連続ZTU−線図)の、及び他方において再び合金の860゜C(図3);950°C;及び1050°C(図4)のオーステナイト化の際の等温ZTU−線図の製造が行なわれた。線図は、これら鋼タイプに対して文献により公知のものと一致している。
【0036】
860°C(図1)のオーステナイト化温度から加速されて冷却された試料において、相応した冷却による530−600HVの必要な材料硬度(内輪の数値)の達成は、困難にしか可能でなく、その際、組織は、大体において上部中間段、下部中間段及びマルテンサイトを含む混合組織として存在し、かつ材料は粗悪な粘性値を有する。
【0037】
最終的に1050°C(図2)にオーステナイト化温度を上昇することによって、中間段変化が、かなりの程度まで阻止されたので、所望の硬度範囲において連続的な冷却の際に、組織は、パーライト及びマルテンサイトから形成され、かつ同様に材料の期待された大きな粘性値を提供しなかった。
【0038】
860°C(図3)の温度から加速されて冷却されかつ本発明によれば350゜Cと300°Cとの間(矢印参照)において、したがってマルテンサイト点の上155゜C又は105゜Cにおいて変化させられた前記の合金の試料は、550ないし600HVの材料硬度、下部中間段の均質な組織及び著しく高められた材料粘性値を再現可能に提供した。
【0039】
さらにオーステナイト化温度の上昇とともに、パーライト変化の範囲が、かつとくに中間段変化のもが、さらに長い時間の方へシフトするので、550ないし600HVの材料硬度を提供する下部中間段における本発明による等温変化は、330°Cと280°Cの間(矢印参照)において20ないし340分を必要とし、かつきわめて高い材料粘性値を引起こすことが確認された。
【0040】
前記の研究によれば、合金の下部中間段の範囲における圧延材料の、とくにレールの本発明による等温変化が、一方において大きな粘性における高い材料硬度を提供し、かつ他方において相応する熱操作又は温度選択により、製品の特別な品質値に確実に到達するための材料流における製造条件又は必要な期間が考慮できるということを、はっきりと明らかにすることができる。
【0041】
さらに重量%においてC=0.30,Si=0.30,Mn=1.08、Cr=1.11、Ni=0.04、Mo=0.09、V=0.15、Al=0.016、残り鉄及び付随元素の組成を有する鋼から、鉄道レールが製造され、その際、中央において1045゜Cの表面の圧延最終温度が存在した。圧延の後に、圧延材料の長手軸線を一直線上にした正確な整列、及び冷却装置へのレールの運び出しが行なわれる。この冷却装置において第1の段階において、一部が(これはレール脚部における周辺範囲である)、290°Cの表面温度を有するまで、高い強度でレールの全範囲における冷却が行なわれた。その後、これら範囲において高い冷却強度の中止、又は冷却媒体作用の遮断が行なわれた。それから方法の第2の段階において、高い容積濃度及び比較的高い温度の範囲だけにおいて(これは、とくにレール頭部である)、その表面温度が同様に290°Cを有するまで、強力な冷却又は加速された冷却が引続き行なわれた。この冷却様式は、場合によっては間欠的な冷却又は間隔冷却、又は少なくとも横断表面の範囲に対する冷却媒体作用の強度調整を必要とする。
【0042】
それから第3のステップにおいて、このようにして冷却されたレールは、340°Cの範囲の温度を有する炉又は熱保持空間内に運ばれ、変化させられ、かつ続いて室温に冷却される。
【0043】
ここにおいて、予備研究によって等温ZTU−線図は、それぞれ850°C(図5)及び1050°C(図6)のオーステナイト化温度、及びそれぞれ300°C又は260°Cである前記合金のマルテンサイト点に依存して検出されたことを述べておく。この結果により、冷却技術及び340°Cを有する変化温度が確定されている。
【0044】
その後の材料研究は、次の結果を提供した:
全横断面にわたって、下部中間段又はベイナイト段の構造を有する組織が存在した。
レール頭部の硬度は、475HBであり、かつ全レール横断面にわたってわずかしか異なっていなかった。
材料粘性は、ノッチ衝撃テストで測定して、同様に著しく改善されている。
裂け目破損粘性テストは、2300N/mm*3/2より上の値Kicを提供した。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図である。
【図2】オーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図である。
【図3】オーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図である。
【図4】オーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図である。
【図5】オーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図である。
【図6】オーステナイト化温度における連続的な時間−温度−変化−線図である。
Claims (24)
- 炭素、けい素、マンガン、特殊炭化物を形成しかつ材料の変態特性に影響を及ぼす元素及び/又はミクロ合金添加物、残り鉄、及び製造条件による通常の不純物を含む鉄ベース合金からなり、この鉄ベース合金が、加速された冷却によって横断面にわたって少なくとも部分的に合金のオーステナイト領域から形成される組織構造を有する、特殊成形された圧延材料において、鉄ベース合金が、重量%において元素の次の濃度:
けい素、最大0.93、
アルミニウム、最大0.06及び
けい素プラスアルミニウム、0.99より下
を有し、少なくとも圧延材料横断面の部分範囲においてその長手方向範囲にわたって、下部中間段即ち下部ベイナイト段の範囲におけるオーステナイトの実質的に等温の組織変態の際に形成される構造を有する組織構成が存在することを特徴とする、特殊成形された圧延材料。 - 鉄ベース合金が、重量%における元素の次の濃度:
けい素、0.21ないし0.69、
アルミニウム、0.03より下、及び
けい素プラスアルミニウム、0.99より下
を有することを特徴とする、請求項1に記載の特殊成形された圧延材料。 - 鉄ベース合金が、重量%において次の元素:
炭素、0.41ないし1.3、
マンガン、0.31ないし2.55、
残り鉄
を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の特殊成形された圧延材料。 - 鉄ベース合金が、重量%において次の元素:
炭素、0.51ないし0.98、
マンガン、0.91ないし1.95、
残り鉄
を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の特殊成形された圧延材料。 - 鉄ベース合金が、さらに重量%において次の元素:
クロム、0.21ないし2.45、
モリブデン、0.88まで、
タングステン、1.69まで、
バナジウム、0.39まで、さらに
ニオブ及び/又はタンタル及び/又はジルコニウム及び/又はハフニウム及び/又はチタン、個々に又は合計で0.28まで、及び
ニッケル、2.4まで、
ほう素、0.006まで、
を有することを特徴とする、請求項1ないし4の1つに記載の特殊成形された圧延材料。 - 鉄ベース合金が、さらに重量%において次の元素:
クロム、0.38ないし1.95、
モリブデン、0.49まで、
タングステン、0.95まで、
バナジウム、0.19まで、さらに
ニオブ及び/又はタンタル及び/又はジルコニウム及び/又はハフニウム及び/又はチタン、個々に又は合計で0.19まで、及び
ニッケル、0.95まで、
ほう素、0.004まで
を有することを特徴とする、請求項5に記載の特殊成形された圧延材料。 - 鉄ベース合金が、2.75×%Si及び/又はAlマイナス%炭素から形成される値が2.2に等しいか又はそれより小さいような濃度において、元素として、けい素、アルミニウム及び炭素を有することを特徴とする、請求項1ないし6の1つに記載の特殊成形された圧延材料。
- 少なくとも横断面の範囲において、下部中間段即ち下部ベイナイト段に形成される組織構造が、表面から少なくとも10mm、の深さを有することを特徴とする、請求項1ないし7の1つに記載の特殊成形された圧延材料。
- 少なくとも横断面の範囲において、下部中間段即ち下部ベイナイト段に形成される組織構造が、表面から少なくとも15mmの深さを有することを特徴とする、請求項8に記載の特殊成形された圧延材料。
- 下部中間段即ち下部ベイナイトの組織構造を有する横断面範囲が、軸対称に又は中心対称に配置されていることを特徴とする、請求項1ないし9の1つに記載の特殊成形された圧延材料。
- 下部中間段即ち下部ベイナイト構造を有する1つ又は複数の範囲において、少なくとも350HBの硬度を有することを特徴とする、請求項1ないし10の1つに記載の特殊成形された圧延材料。
- 下部中間段又は下部ベイナイト構造を有する1つ又は複数の範囲において、420HBないし600HBの硬度を有することを特徴とする、請求項11に記載の特殊成形された圧延材料。
- 炭素、けい素、マンガン、特殊炭化物を形成しかつ材料の変態特性に影響を及ぼす元素及び/又はミクロ合金添加物、残り鉄、及び製造条件による通常の不純物を含む鉄ベース合金からなり、この鉄ベース合金が、加速された冷却によって横断面にわたって少なくとも部分的に合金のオーステナイト領域から形成される組織構造を有し、オーステナイト領域内において準備される特殊成形された圧延材料の表面の少なくとも一部が、冷却媒体を当てられるか又は冷却媒体の中へ入れられる、特殊成形された圧延材料の製造方法において、合金の組成が、狭い限界内において選択され、この合金の変態特性が、冷却の際に、面心立方原子構造の領域又はオーステナイト領域から検出され、選択された合金から圧延材料が製造され、その後長手方向に、圧延材料の横断面の少なくとも一部が、オーステナイト領域から、合金のマルテンサイト点とこれを高々250℃だけ上回る値との間の温度に、冷却され、組織が、実質的に等温で変態させられることを特徴とする、特殊成形された圧延材料の製造方法。
- 長手方向に圧延材料の横断面の少なくとも一部が、オーステナイト領域から、合金のマルテンサイト点とこれを高々190℃だけ上回る値との間の温度に冷却されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- 組織の変態が、高々プラスマイナス110℃の温度範囲において実質的に等温で行なわれることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
- 組織の変態が、高々プラスマイナス60℃の温度範囲において実質的に等温で行なわれることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
- 高々450℃の変態温度が利用されることを特徴とする、請求項13ないし16の1つに記載の方法。
- 高々400℃の変態温度が利用されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
- 高められた質量濃度を有する特殊成形された圧延材料の横断面の少なくとも一部が、加速された冷却を受けることを特徴とする、請求項13ないし18の1つに記載の方法。
- 冷却が、プロファイルの質量濃度に合わされた表面の冷却媒体作用によって行なわれることを特徴とする、請求項13ないし19の1つに記載の方法。
- 第1の段階において、圧延材料が、冷却媒体に全範囲にわたって浸され、合金のマルテンサイト点の上、少なくとも2°Cの表面範囲の温度に到達した後に、冷却媒体から少なくとも一部運び出され、第2の段階において、高い質量濃度を有する範囲だけが、一時的に浸漬浴内に放置され、又はこの中に一時的に入れられることを特徴とする、請求項13ないし20の1つに記載の方法。
- 第1の段階において、圧延材料が、合金のマルテンサイト点の上、ほぼ160℃の表面範囲の温度に到達した後に、冷却媒体から少なくとも一部運び出されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
- 圧延材料が、変形の直後に、圧延熱を利用しながら軸を一直線上に向けられ、かつ材料の下部中間段即ち下部ベイナイト段における変態によって横断面にわたる特殊な材料特性を生じる冷却方法に供給されることを特徴とする、請求項13ないし22の1つに記載の方法。
- 大きな耐磨耗性又は大きな耐消耗性、高い粘性及びわずかな接触疲労を有する圧延材料が、大きな負荷率において製造され、下部中間段即ち下部ベイナイト段の組織の圧延及び少なくとも一部の熱調節の後に、後続の調整方法が、圧延材料の整列の際の特殊な材料特性を維持するために、室温又はそれよりわずかに高い温度で行なわれることを特徴とする、請求項13ないし23の1つに記載の方法。
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