JP4039181B2 - 掘削工具 - Google Patents

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JP4039181B2 JP2002249412A JP2002249412A JP4039181B2 JP 4039181 B2 JP4039181 B2 JP 4039181B2 JP 2002249412 A JP2002249412 A JP 2002249412A JP 2002249412 A JP2002249412 A JP 2002249412A JP 4039181 B2 JP4039181 B2 JP 4039181B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、略円筒状のケーシングパイプ内に挿通されたロッドの先端にデバイスを介して掘削ビットが装着可能とされた、いわゆる二重管ビット式の掘削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の掘削工具として、本発明の発明者等は特開2002−13379号公報において、円筒状のケーシングパイプの先端に概略有底円筒状をなす掘削ビットがその底部を先端側に向けて同軸かつ軸線回りに回転可能に取り付けられるとともに、ケーシングパイプ内に挿入されたロッドの先端には掘削ビットの内周部(孔部)に上記軸線方向に挿脱自在とされるとともに挿入状態において該掘削ビットと軸線回りに一体回転可能とされるデバイスが取り付けられた掘削工具を提案している。ここで、この掘削工具においては、上記ケーシングパイプの先端に、該ケーシングパイプよりも小さな内径のやはり略円筒状をなすケーシングトップが溶接等により同軸に取り付けられ、多段円筒状をなすデバイスの外周に画成されるテーパ部がこのケーシングトップに後端側から当接することにより、ロッドを介してデバイスに与えられる軸線方向の打撃力がケーシングトップに伝えられるようにされている。
【0003】
また、上記掘削ビットは、このケーシングトップの先端に、C字型止め輪等を備えたビット係止機構を介して回転可能かつ抜け止めされて取り付けられており、その上記孔部には、上記デバイスの先端部に形成された軸線方向に延びる突条部(または凹溝部)が挿通可能な凹溝部(または突条部)が形成されていて、こうしてこの凹溝部にデバイスの突条部を挿通してデバイス先端部を孔部に挿入した上でロッドを回転させることにより、突条部の側壁が凹溝部の側壁に当接してデバイスと掘削ビットとが軸線回りに一体回転可能とされている。しかして、このような掘削工具では、こうして掘削ビットを回転しつつロッドからデバイスを介して掘削ビットに打撃力を与えて削孔を掘削するとともに、ケーシングパイプにはその後端と上記ケーシングトップとから軸線方向先端側への打撃力を与えて上記削孔にこのケーシングパイプを建て込み、所定の深さまで削孔が形成されてケーシングパイプが建て込まれたなら、ケーシングパイプ、ケーシングトップ、および掘削ビットを削孔に残したまま、デバイスごとロッドを後退させて回収するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような掘削工具による掘削中に例えばジャミング等によって掘削不能状態に陥ったりした場合には、デバイスやロッドは勿論、ケーシングパイプ、ケーシングトップ、および掘削ビットもろとも、当該掘削工具を一旦後退させて掘削不能状態を解消し、しかる後再び掘削を続行しなければならない。ところが、上記構成の掘削工具においては、デバイスと掘削ビットとは上記突条部と凹溝部との係合によって軸線回りの周方向には一体回転可能であるものの、該軸線方向後端側に向けてはデバイスを後退させても掘削ビットはそのままであり、従って掘削ビットを後退させるには、ケーシングパイプを後退させることにより、ケーシングトップと掘削ビットとの間に介装された上記止め輪を介して掘削ビットを引き戻さなければならず、この止め輪に無理な力が作用して破損が生じたりすることにより、掘削の続行が困難となるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、掘削中にジャミング等が発生して掘削不能状態となったりしても、掘削ビットごと確実に当該掘削工具を後退させることができて、その後の掘削を円滑に続行することが可能な掘削工具を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、略円筒状のケーシングパイプ内に挿通された軸線回りの回転力と該軸線方向の推力および打撃力とが伝達されるロッドの先端にデバイスが取り付けられ、このデバイスの先端には、上記ケーシングパイプの先端から突出する掘削ビットが該デバイスに係脱可能に装着されてなる掘削工具において、上記デバイスの先端部外周には、上記軸線方向に延びる突条部と、上記軸線に直交する断面がこの突条部に対して突出または陥没する係合部とを形成するとともに、上記掘削ビットの後端部には上記デバイスの先端部が挿入可能な孔部を形成し、この孔部の内周に、上記突条部と係合部とが挿通可能な凹溝部と、こうして該凹溝部に上記突条部と係合部とを挿通して上記デバイスの先端部を当該孔部に挿入した上で該デバイスを上記軸線回りの周方向の少なくとも一方に回動させることにより上記係合部と上記軸線方向後端側に向けて係合可能な被係合部とを形成したことを特徴とする。
【0007】
従って、このように構成された掘削工具においては、デバイスの先端部外周に、掘削ビットに回転力を伝達する上記突条部の他に、上記係合部が、この突条部の上記断面に対して突出する凸部、または該断面に対して陥没する凹所として形成されることとなり、これに対して上記掘削ビットの孔部には、上記凹溝部の他に、上記係合部が凸部の場合はデバイスを回動させた際にこの凸部を収容する凹所が、また係合部が凹所の場合はデバイスを回動させた際にこの凹所に収容される凸部が形成されることとなって、これら凸部と凹所の軸線方向を向いて互いに対向する側壁同士が当接することにより、係合部と被係合部とが後端側に向けて係合可能とされる。このため、上記掘削工具によれば、掘削中にジャミング等によって掘削不能状態に陥ったりした場合でも、ロッドによってデバイスを回動させてこのように係合部と被係合部とを軸線方向後端側に係合させることにより、このデバイスを介して掘削ビットを後退させることが可能となり、掘削ビットがケーシングパイプに止め輪等を介して係止されていたとしても、この止め輪等に無理な力を作用させることなく掘削工具を確実に後退させることができる。
【0008】
ここで、上記係合部を凸部として形成する場合においては、この凸部を突条部の断面に対して周方向に突出させる場合と径方向外周側に突出させる場合とがあるが、後者のように凸部を外周側に突出させた場合には、この凸部が上記突条部とともに挿通させられる掘削ビットの孔部の凹溝部も該凸部が挿通可能なようにその溝深さを深くしなければならず、こうして溝深さが深くされた部分においては掘削ビット自体の肉厚が削がれてその強度の劣化を招いたりするおそれがある。このため、上記係合部は、上記軸線に直交する断面において上記突条部に対し陥没するか、または突出するにしても上記軸線回りの周方向に突出するように形成されるのが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態を示すものである。図1に示すようにこの第1の実施形態においては、削孔の深さ等に応じてネジまたはテーパソケット等により順次継ぎ足される円管状のケーシングパイプ11の先端に、概略円筒状のケーシングトップ12がケーシングパイプ11の中心軸線Oと同軸にこの軸線O回りに回転自在かつ該軸線O方向に移動可能に取り付けられるとともに、このケーシングパイプ11の内周には厚肉中空の多段六角柱状をなすロッド13が、やはり削孔の深さ等に応じてカップリングまたはネジ等により順次継ぎ足されて上記軸線Oと同軸に挿入され、このロッド13の先端にはデバイス(デバイス)14を介して掘削ビット15が、デバイス14に対して係脱可能に装着されている。
【0010】
ここで、上述のように順次継ぎ足されるロッド13のうち最後端に継ぎ足されたロッド13の後端には、図1に示すように外周部後端側が一段拡径させられて鍔部16aが形成された中空状のロッドアダプタ16の先端部がやはりカップリング17を介して連結され、このロッドアダプタ16の後端には、掘削時に軸線O回りに回転方向Tに向けての回転力と軸線O方向先端側に向けての推力および打撃力とを該ロッドアダプタ16を介してロッド13に与える掘削装置の駆動軸18が連結されている。また、最後端に継ぎ足されたケーシングパイプ11の後端には保護キャップ11Aが取り付けられるとともに、この保護キャップ11Aの後端と上記ロッドアダプタ16の鍔部16aとの間には、筒状のフロントアダプタ19が、上記最後端のロッド13の後端部とロッドアダプタ16の先端部および上記カップリング17の外周を取り囲むように、鍔部16aとの間にリング状の緩衝材20を介して介装されており、保護キャップ11Aが後端に取り付けられた上記ケーシングパイプ11にはこのフロントアダプタ19を介して、上記駆動軸18からロッドアダプタ16に与えられる回転力と推力および打撃力のうち、軸線O方向先端側に向けての推力および打撃力のみが伝達されるようになされている。
【0011】
また、上記ケーシングパイプ11のうち最先端のケーシングパイプ11はファーストケーシングパイプ11Bとされ、その先端部外周には図2(イ)に示すように環状溝11aが形成されていて、この環状溝11aには、軸線O方向に移動可能とされた上記ケーシングトップ12のケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)に対する先端側への移動範囲を制限するケーシング係止機構21の弾性部材として、その径方向に拡縮径可能な金属製のC字状の止め輪21Aが弾性的に縮径させられた状態で収容されている。一方、上記ケーシングトップ12は、その外径が上記ファーストケーシングパイプ11Bも含めたケーシングパイプ11の外径よりも大径の一定外径とされるとともに、内径は軸線O方向中央部が最も小径でその前後がこれより大径とされた概略円筒状をなしていて、上記ファーストケーシングパイプ11Bの先端部はこのケーシングトップ12の後端側内周部12aに嵌挿されて取り付けられており、この後端側内周部12aの後端寄りには、該後端側内周部12aに嵌挿された上記ファーストケーシングパイプ11Bの止め輪21Aよりも後端側に位置するように、上記ケーシング係止機構21の収納凹部21Bが環状に形成されている。
【0012】
この収納凹部21Bは、軸線Oに沿った断面において軸線Oに平行とされた該軸線O方向に延びる底面21aと、この底面21aの後端側に位置して軸線Oに略垂直とされた後端側壁面21b、および底面21aの先端側に位置して先端側に向かうに従い内周側に向かうように傾斜させられた先端側壁面21cとから画成されている。しかして、上記ケーシング係止機構21は、上記弾性部材としての止め輪21Aとこの収納凹部21Bとから構成され、ケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに対して先端側に移動すると、この収納凹部21Bが上記環状溝11aの位置に達して弾性的に縮径させられていた上記止め輪21Aが拡径し、その内周側部分が環状溝11a内に残ったまま外周側部分が収納凹部21B内に収容され、さらにケーシングトップ12が前進するとこの収納凹部21B内に収納された止め輪21Aの外周側部分が図2(ロ)に示すように上記後端側壁面21bに当接して、それ以上の先端側への移動が制限されるようになされている。
【0013】
また、ケーシングトップ12の上記後端側内周部12aから小径とされた中央部の内周部に至る後端側を向く段差部は、その外周側が軸線Oに略垂直な平坦面12bとされるとともに、内周側は先端側に向かうに従い内周側に向かうように傾斜させられたテーパ面状とされ、このテーパ面状の段差部22Aが後述する推力打撃伝達手段22を構成している。そして、上記止め輪21Aが収納凹部21B内に収容された状態からケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに対して後端側へ移動(後退)すると、止め輪21Aが収納凹部21Bの傾斜した先端側壁面21cに当たってその傾斜に案内されるように縮径しつつ、収納凹部21Bから外れて上記後端側内周部12aに乗り上げ、さらにケーシングトップ12が後退すると、図2(ハ)に示すようにファーストケーシングパイプ11Bの先端が上記平坦面12bに当接したところで、それ以上の後端側への移動が制限されるようになされている。
【0014】
さらに、ケーシングトップ12内周部の上記中央部よりも先端側は、この中央部から先端側に向けて内径が漸次拡径するようにされた後に略一定の内径とされて軸線Oに平行に延びるようにされ、この内周部の内径が略一定とされたケーシングトップ12の先端側部分は、上記掘削ビット15の外周部まで張り出す張り出し筒部23とされている。なお、この張り出し筒部23の内周部最先端部分は先端側に向かうに従い再び内径が拡径するようにされた拡径部23aとされるとともに、この拡径部23aの後端側には、間に上記内径が一定とされた部分を残して後述するビット係止機構24の収納凹部24Aが形成されており、この収納凹部24Aと上記拡径部23aを除いて張り出し筒部23の内径は一定とされている。なお、このビット係止機構24の収納凹部24Aは、軸線Oに沿った断面において、上記収納凹部21Aと同様に軸線Oに平行とされた該軸線O方向に延びる底面24aと、収納凹部21Aとは逆に底面24aの先端側に位置して軸線Oに略垂直とされた後端側壁面24b、および底面24aの後端側に位置して後端側に向かうに従い内周側に向かうように傾斜させられた後端側壁面24cとから画成されている。
【0015】
一方、上記デバイス14は、図3(イ)〜(ニ)に示すように内外周とも後端側が先端側よりも一段拡径させられた概略多段円筒状をなし、その後端側内周部には、最先端の上記ロッド13の先端部外周に形成される雄ねじ部13aに螺合する雌ねじ部14aが形成されていて、図2に示したようにこの雌ねじ部14aに上記雄ねじ部13aをねじ込んで、ロッド13の先端が、軸線Oに垂直な平坦面とされたデバイス14の後端側内周部の底部14bに当接したところで、デバイス14後端側に軸線Oを中心とする円の接線方向にピン25を打ち込んで、上記雄ねじ部13aの根元に形成された環状溝13bに係合させることにより、この最先端のロッド13の先端に着脱可能に取り付けられる。
【0016】
ここで、このデバイス14の先端側外周部の外径と後端側外周部の外径は、ケーシングトップ12の上記中央部の内径とファーストケーシングパイプ11Bの内径よりもそれぞれ僅かに小さくされるとともに、後端側外周部の外径はケーシングトップ12中央部の内径より大きくされている。また、このデバイス14の外周部が先端側から後端側に向けて一段拡径する段差部22Bは、ケーシングトップ12の上記段差部22Aがなすテーパ面と等しい傾斜角で先端側に向かうに従い内周側に向かうように傾斜させられたテーパ面とされていて、上記段差部22Aとともに推力打撃伝達手段22を構成している。しかして、この推力打撃伝達手段22によれば、上述のようにデバイス14がロッド13の先端に取り付けられた状態で、この段差部22Bが上記ファーストケーシングパイプ11Bの先端から突出して段差部22Aに後端側から当接することにより、継ぎ足されたロッド13を介して伝えられた軸線O方向先端側への推力および打撃力がケーシングトップ12に伝達されようになされている。
【0017】
また、このデバイス14の外周には、その先端から後端に亙って軸線Oに平行に延びるくり粉溝26が、周方向に等間隔に複数(本実施形態では3つ)形成されている。このくり粉溝26は、その底面26aが、デバイス14の先端部では軸線Oを中心とした円筒面状とされる一方、これよりも後端側の中央部では上記円筒面に外接して軸線O方向に延びる平坦面とされ、さらにこれよりも後端側のデバイス14後端部では、デバイス14の後端側内周部が一段拡径するのに合わせて、中央部の上記平坦面から後端側に向かうに従い外周側に向かう傾斜面を介し、上記円筒面よりも径の大きな円筒面に外接して軸線O方向に延びるやはり平坦面とされている。さらに、デバイス14の小径とされた先端側内周部がなす中空部14cは、当該デバイス14が上述のように最先端のロッド13の先端に取り付けられた状態で、継ぎ足されたロッド13の中空部13cを介してロッドアダプタ16の中空部16bに連通させられ、掘削時に上記掘削装置の駆動軸18から削孔水または圧縮空気等の流体が供給可能とされている。そして、デバイス14のこの中空部14cから少なくとも1のくり粉溝26の底面26aに向けては、外周側(底面26a)側に向かうに従い後端側に向かうように傾斜したブロー穴14dが形成されており、このうちさらに少なくとも1のくり粉溝26においては、その底面26aが上記先端部において円筒面状をなす部分と上記中央部の平坦面をなす部分とが連なる部分に、このブロー穴14dが開口させられている。
【0018】
さらに、こうしてデバイス14の外周に複数のくり粉溝26が形成されることにより、周方向に隣接するくり粉溝26,26の間には軸線O方向に延びる複数条(本実施形態では3つ)の突条部が画成されることとなり、上記テーパ面22Bはこの突条部上に形成されることになる。そして、この突条部のうち、上記テーパ面22Bよりも先端側のデバイス14における上記先端部外周に画成された突条部27は、その上記回転方向T後方側を向く部分が当該突条部27の先端部27aを残して軸線O方向に延びる凹部27bによって切り欠かれることにより、外周側からの側面視に図3(ロ)に示すように上記先端部27aが回転方向T後方側に折れ曲がったL字型のフック状を呈するように形成され、従ってこの先端部27aは、図3(イ)に示すように上記凹部27bによって画成された突条部27の回転方向T後方を向く側壁27cからさらに回転方向T後方側に突出することとなり、すなわち軸線Oに直交する断面が突条部27から周方向に突出する凸部を構成することとなって、本実施形態における係合部とされている。
【0019】
なお、こうして突出した先端部27aの後端側を向く側壁27dは、軸線Oに直交する略平坦面とされている。また、上記凹部27bの底面はデバイス14の先端部においてくり粉溝26の底面26aがなす円筒面と連続する同径の円筒面状とされている。さらに、この突条部27の外周面は前記先端部27aを含む先端側部分が図3(ニ)に示すように僅かに一段低くされているとともに、突条部27の回転方向Tを向く側壁27eはその先端側部分が図3(ロ)に示したように後端側に向かうに従い回転方向T側に向かう凹曲面状に切り欠かれている。なお、この突条部27の回転方向Tを向く側壁27eの先端側部分は後端側に向かうに従い回転方向T側に向かう傾斜面でもよい。さらにまた、デバイス14の先端面14eは、軸線Oに垂直な平坦面とされている。
【0020】
また、上記掘削ビット15は、図4に示すように先端部側の外径が円筒部の外径よりも一段大径とされた概略有底円筒状に形成されており、この先端部はヘッド部15aとされてその上記外径はケーシングトップ12の外径よりも若干大きくされるとともに、円筒部はスカート部15bとされてその外径はケーシングトップ12の上記張り出し筒部23の内周部に嵌挿可能な大きさとされている。従って、上記ケーシングトップ12の最大径部の外径は、この掘削ビット15のヘッド部15aにおける最大外径以下とされる。そして、上記スカート部15bの外周には環状溝15cが形成されていて、この環状溝15cには、上記従来の掘削工具と同じようにビット係止機構24の弾性部材として、その径方向に拡縮径可能な金属製のC字状の止め輪24Bが弾性的に縮径させられた状態で収容されており、こうして止め輪24Bが縮径させられたまま上記スカート部15bが張り出し筒部23内周部に嵌挿されることにより、止め輪24Bがビット係止機構24の上記収納凹部24Aに達したところで、弾性的に縮径させられていたこの止め輪24Bが拡径し、図2に示すようにその内周側部分が環状溝15c内に残ったまま外周側部分が収納凹部24A内に収容される。
【0021】
従って、この状態で掘削ビット15はケーシングトップ12の先端に、上記ヘッド部15aを突出させるとともに上記スカート部15bの外周部にまで上記張り出し筒部23が張り出すようにして上記軸線Oと同軸かつ該軸線O回りに回転自在に取り付けられ、さらに上記ビット係止機構24により、図2に示すように止め輪24Bが収納凹部24A内にある範囲では軸線O方向に移動可能とされ、かつこの図2に示す状態から掘削ビット15がケーシングトップ12に対して先端側に移動しようとすると、この収納凹部24A内に収納された止め輪24Bの外周側部分が該収納凹部24Aの上記先端側壁面24bに当接して、それ以上の先端側への移動が制限されることとなる。なお、この掘削ビット15のケーシングトップ12に対する後端側への移動は、例えば上記張り出し筒部23の先端が上記ヘッド部15aの後端面に当接したところで制限される。
【0022】
また、掘削ビット15後端側の上記スカート部15b内周は、上記デバイス14の先端部が挿入可能な孔部15dとされており、この孔部15dの内周には、デバイス14先端部外周の上記突条部27が回転方向Tに突出した先端部27aも含めて軸線Oに平行に挿通可能な凹溝部28が、突条部27と同数の複数(本実施形態では3つ)、軸線Oに平行に延びるように形成されている。さらに、孔部15dの孔底面15eは軸線Oに垂直な平坦面とされるとともに、この孔底面15e側の孔部15d内周には、上記凹溝部28の孔底側(先端側)部分に連通するように環状の凹所28aが形成されており、この凹所28aは、図2に示すように孔部15dに挿入されたデバイス14の先端面14eを上記孔底面15eに当接させた状態で、上記突条部27の先端部27aを収容可能な内径および軸線O方向の幅を有している。従って、まず上述のように凹溝部28に突条部27を挿通させて孔部15dにデバイス14の先端部を挿入し、このデバイス14の前記先端面14eが孔底面15eに当接したところでデバイス14を回転方向Tに回転させると、この回転方向Tを向く突条部27の前記側壁27eが凹溝部28の回転方向T後方側を向く側壁28bに当接させられるので、前記ロッドアダプタ16からロッド13を介してデバイス14に与えられる掘削時の回転方向Tへの回転力が掘削ビット15に伝達可能となる。
【0023】
一方、これとは逆に、デバイス14の先端面14eが孔底面15eに当接した状態でデバイス14を回転方向Tの後方側に回転させると、この回転方向T後方側に突出した突条部27の前記先端部27aが凹所28a内において周方向に隣接した凹溝部28間に画成される突条29の先端側の空間に入り込むことにより、突条部27の上記側壁27cが凹溝部28の回転方向Tを向く側壁28cに当接させられ、さらにこの状態のままデバイス14をロッド13およびロッドアダプタ16ごと後退させると、先端部27aの後端側を向く側壁27dが突条29の先端側を向く側壁、すなわち凹所28aの先端側を向く側壁28dに当接し、これにより、L字型のフック状に形成された前記先端部27aが突条29の先端に引っ掛けられるようにして軸線O方向後端側に向けて凹所28aと係合可能とされる。すなわち、本実施形態ではこの凹所28aが被係合部とされ、こうして係合部(先端部27a)と被係合部(凹所28a)とを係合させた状態でデバイス14と掘削ビット15とは軸線O方向後端側に一体に後退可能とされる。また、こうして先端部27aと凹所28aとが係合した状態からデバイス14を回転方向Tに回転させると、上記先端部27aが凹所28aの突条29先端側の空間から抜け出るとともに上記突条部27の側壁27cが凹溝部28の側壁28bから離れてデバイス14と掘削ビット15との係合状態が解かれ、デバイス14のみを後退させることが可能となるので、上記掘削ビット15はデバイス14の軸線O回りの回転方向Tへの回転と回転方向T後方側への回転とにより、該デバイス14の先端に係脱可能に装着されることとなる。
【0024】
さらにまた、この掘削ビット15先端の上記ヘッド部15aには、その先端面に、上記軸線Oから僅かに間隔をあけた位置から外周側に放射状に延びるように、デバイス14に形成されたくり粉溝26と同数の複数(本実施形態では3つ)のくり粉溝30が周方向に等間隔に形成されており、これらのくり粉溝30は、ヘッド部15a先端面の外周端から掘削ビット15の外周面を軸線O方向後端側に向けて延びて上記スカート部15bの後端面すなわち当該掘削ビット15の後端面に開口させられている。なお、大径のヘッド部15aから小径のスカート部15bに至る部分では、このくり粉溝30は、図2に示すように軸線Oに沿った断面においてその底面30aが、ヘッド部15a外周では軸線Oに略平行に延びるようにされた後、後端側に向けて内周側に向かうように傾斜させられ、さらに緩やかに凹曲しつつスカート部15bにおいて再び軸線Oに略平行に延びるようにされている。また、上記ヘッド部15aの先端面には、上記くり粉溝30を避けるように超硬合金等の硬質材料からなるチップ31が植設されて複数設けられている。さらに、上記孔部15dの孔底面15eには軸線Oに沿って先端側に凹む止まり孔15fが形成されてデバイス14の上記中空部14cに連通可能とされており、この止まり孔15fからは先端外周側に向けてブロー穴15gが穿設されてヘッド部15a先端面に形成された少なくとも1の上記くり粉溝30の内周端に開口させられている。
【0025】
さらにまた、これらのくり粉溝30は、上述のように掘削ビット15の孔部15dにデバイス14の先端部を挿入した上でデバイス14を回転方向Tに回転させて上記凹溝部28の側壁28bに突条部27の側壁27eを当接させることによりデバイス14から掘削ビット15に回転方向Tへの回転力が伝達可能とした状態で、デバイス14の上記くり粉溝26にそれぞれ連通するように配置されており、これによりこれらのくり粉溝30,26は、掘削ビット15とデバイス14の外周に、上記ケーシングトップ12の張り出し筒部23より先端側の掘削ビット15外周側と、上記ロッド13とケーシングパイプ11の間の空間とを連通させるように、上記掘削ビット15からデバイス14の後端にかけて延設されることとなる。そして、このように連通させられたくり粉溝30,26の底面30a,26aと、該底面30a,26aに対向することとなる上記ケーシングトップ12およびケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)の内周面との間の間隔は、図2に示すようにデバイス14の先端面14eおよび上記段差部22Bを掘削ビット15の上記孔底面15eおよびケーシングトップ12の上記段差部22Aにそれぞれ当接させた状態で、このケーシングトップ12の張り出し筒部23先端すなわち上記拡径部23aの先端内周縁と掘削ビット15外周の上記くり粉溝30の底面30aとの間隔Xが、他の部分における間隔に比べて最も小さくなるようにされている。
【0026】
なお、この間隔Xは、上記張り出し筒部23の先端と対向するくり粉溝30の底面30aが上述のように後端側に向かうに従い内周側に向かうように傾斜させられているため、この傾斜した底面30aに垂直な方向の間隔とされている。また、図2に符号Y〜Yで示すのは上記他の部分の間隔であって、間隔Yは掘削ビット15のスカート部15bにおいて軸線Oに略平行に延びるくり粉溝30の底面30aとケーシングトップ12の張り出し筒部23内周との間隔、間隔Yはデバイス14の上記中央部におけるくり粉溝26の底面26aとケーシングトップ12の小径とされた上記中央部の内周との間隔、間隔Yはデバイス14の一段拡径した後端側部分における底面30aとケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)内周との間隔を示している。
【0027】
このように構成された掘削工具は、ロッドアダプタ16に対し駆動軸18の図示しない駆動装置によって回転力が伝えられると共に、先端側に向けて軸線Oに沿う打撃力と推力が伝えられると、その回転力および推力と打撃力がロッドアダプタ16からカップリング17、ロッド13を介しデバイス14に伝わることにより、掘削ビット15が回転しかつ打撃しながら地盤を削孔する。このとき、本実施形態では、掘削ビット15の円筒状のスカート部15b内周が、デバイス14の先端部が挿入される孔部15dとされていて、このデバイス14の先端部外周には軸線O方向に延びる突条部27が形成される一方、孔部15d内周にはこの突条部27が挿通可能な凹溝部28が形成されており、掘削時にはデバイス14が回転方向Tに回転することによって突条部27の側壁27eが凹溝部28の側壁28bに当接させられ、デバイス14からの回転力が掘削ビット15に伝達させられる。すなわち、本実施形態では、このデバイス14と掘削ビット16とがスプライン嵌合させられているので、上記駆動軸18からロッドアダプタ16およびロッド13を介して伝えられる回転力をデバイス14から確実に掘削ビット15に伝達することができ、この掘削ビット15によって効率的な掘削を図ることができる。また、これと同時に、ロッドアダプタ16の鍔部16aからは緩衝材20を介しフロントアダプタ19に軸線Oに沿う打撃力と推力が伝えられ、その打撃力と推力がフロントアダプタ19から保護キャップ11Aを介してケーシングパイプ11およびファーストケーシングパイプ11Bに伝わる。
【0028】
なお、削孔時には、駆動装置からロッドアダプタ16、ロッド13,デバイス14の中空部16b,13c,14cを介して掘削ビット15の止まり孔15fに削孔水または圧縮空気等の流体が供給されることにより、掘削ビット15先端面のブロー穴15gからこの削孔水または圧縮空気等の流体が排出される一方、掘削時に生成されたくり粉はケーシングトップ12と掘削ビット15との間の間隔Xの隙間からくり粉溝30内に導入され、デバイス14のくり粉溝26を通ってデバイス14およびロッド13とファーストケーシングパイプ11Bおよびケーシングパイプ11との間を経ることにより後端側に押し出され、フロントアダプタ19の窓部19aから排出される。また、本実施形態の掘削工具では、掘削終了後は上述のように掘削ビット15とデバイス12との係合を解くことにより、掘削ビット15を始めケーシングトップ12およびファーストケーシングパイプ11Bを含めたケーシングパイプ11を削孔中に残したまま、デバイス14およびロッド13が引き抜かれて回収されるようになされている。
【0029】
そして、本実施形態の掘削工具では、上記突条部27の先端部27aが回転方向Tの後方側に突出するL字型のフック状に形成されて係合部とされているとともに、凹溝部28の先端側にはこの先端部27aを収容可能な凹所28aが形成されて被係合部とされており、デバイス14を回転方向Tの後方側に回転させて先端部27aを凹所28aの上記突条29の先端側の空間に収容し、そのままロッド13を介してデバイス14を後退させると、先端部27aの後端側を向く側壁27dと凹所28aの先端側を向いて上記側壁27dに対向する側壁28dとが軸線O方向後端側に向けて当接して係合部と被係合部とが係合し、これにより掘削ビット15もともに後退させることが可能となる。その一方で、本実施形態では、ケーシングトップ12もケーシング係止機構22によってケーシングパイプ11に係止されているので、デバイス14と掘削ビット15とを後退させるのに合わせてケーシングパイプ11もケーシングトップ12ごと後退させれば、地上からの操作によって当該掘削工具を一体的に削孔から後退させることができる。従って、例えば掘削中にジャミング等によって掘削不能状態に陥ったりした場合でも、掘削ビット15をケーシングトップに係止する上記ビット係止機構24に大きな負荷を作用させることなく、ケーシングパイプ11、ケーシングトップ12、ロッド13、デバイス14、および掘削ビット15を一体に後退させることができて、容易にこの掘削不能状態を回避することができ、その後に円滑に掘削を続行することが可能となる。
【0030】
ここで、本実施形態では係合部とされる上記突条部27の先端部27aが回転方向Tの後方側に突出するようにされているが、これを、回転方向T側に突出するようにして、掘削時にロッド13およびデバイス14を回転させることにより上記被係合部と係合可能とするようにしてもよく、また回転方向Tとその後方側とに突出する側面視にT字型をなすようにしてこれら回転方向Tとその後方の両方向いずれに回転させても係合可能とするようにしてもよい。また、このように係合部を突条部27から周方向に突出させるのに代えて、該係合部を径方向外周側に突出する凸部として形成する一方、凹溝部28には、この係合部も含めて突条部27を挿通可能な溝深さの深い部分と、デバイス14を回転させたときに係合部を除いた突条部27を収容可能な溝深さの浅い部分とを隣接して形成し、さらにこの溝深さの浅い部分に、デバイス14を回転させたときに係合部を収容可能な深い凹所を形成して被係合部とし、この凹所の先端側を向く側壁に上記凸部の後端側を向く側壁を当接させて軸線O方向後端側に上記係合部と被係合部とを係合可能とするようにしてもよい。ただし、このように係合部を径方向外周側に突出する凸部として形成した場合には、上述のように凹溝部28に溝深さの深い部分を形成しなければならず、この部分においてはスカート部15dの肉厚が薄くなってしまうので、係合部を凸部とする場合には本実施形態のように周方向に突出するように形成するのが望ましい。
【0031】
一方、このように係合部をデバイスの突条部27がなす断面から突出する凸部とするとともに被係合部をこの凸部が収容可能な凹所として形成するのとは逆に、突条部27の例えば後端側寄りに該突条部27の断面から周方向に陥没する凹所を形成して係合部とする一方、凹溝部28側には該突条部27を挿通した上でデバイス14を回転させることにより上記凹所に嵌り込んで後端側に係合される突出部を形成して被係合部とするようにしてもよい。因みに、本実施形態においても見方を変えれば、デバイス14先端部外周の上記突条部27に形成された凹部27bが上記係合部とされる凹所とされ、この凹部27bに、掘削ビット15の孔部15dの隣接する凹溝部28間に画成される上記突条29が、上記被係合部としての突出部として嵌り込んで後端側に係合させられていると見ることもできる。
【0032】
また、本実施形態の掘削工具では、上記掘削ビット15による削孔時、デバイス14の外周の途中位置に推力打撃伝達手段22の段差部22Bが形成されていると共に、ケーシングトップ12の後端側内周部12a底の段差部22Aが上記段差部22Bと対応する位置関係にあるので、この段差部22Bがケーシングトップ12の段差部22Aと衝合して当接することにより、デバイス14に推力と打撃力が伝わる度にケーシングトップ12が前方に押し込まれる一方、ケーシングトップ12の先端に掘削ビット15のスカート部15bの外周まで張り出す張り出し筒部23が設けられているので、常に掘削ビット15を包囲した状態でケーシングトップ12を削孔に建て込むことができる。
【0033】
そのため、ケーシングトップ12の張り出し筒部23によって削孔壁の崩壊を防ぐことができるので、従来技術のようにデバイス14側まで影響を受けることがなくなり、掘削作業を良好に行うことができる。しかも、ケーシングトップ12に張り出し筒部23が形成されていると、土砂などに対する充分な耐久性を保つこともできる。なお、上記推力打撃伝達手段22の段差部22A,22Bは本実施形態では先端側に向かうに従い内周側に向かうテーパ面状とされているが、軸線Oに垂直な平坦面状とされていてもよい。
【0034】
また、上述したように推力打撃伝達手段22におけるデバイス14の段差部22Bによってケーシングトップ12の段差部22Aを打撃すると、ケーシングトップ12に対し適正な打撃力と推力を伝達することができる。そのため、例えばケーシングパイプ11を介してファーストケーシングパイプ11Bからケーシングトップ12に打撃力や推力を伝達するような場合、ケーシングトップに与えられる打撃力や推力が減衰され、ケーシングトップの削孔に対しての建て込み力が弱まるおそれがあるが、ケーシングパイプ11の先端側にケーシングトップ12が取り付けられていても、ケーシングトップ12に打撃力や推力を減衰させることなく確実に伝達することができ、ケーシングトップ12を的確に建て込みさせることができる。
【0035】
その一方で、上記構成の掘削工具では、ケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに対して軸線O方向に移動可能とされており、従ってこのケーシングトップ12の建て込みにかかる抵抗は、専ら当該ケーシングトップ12のみに作用することとなり、ファーストケーシングパイプ11Bを初めとするケーシングパイプ11への抵抗は軽減することが可能となる。このため、このケーシングパイプ11に与えられる打撃力や推力は少なくて済み、例えば上述のように駆動軸18からロッドアダプタ16に伝えられた打撃力や推力を、鍔部16aとフロントアダプタ10との間に介装された緩衝材20によって弱めてケーシングパイプ11に伝達しても、確実にケーシングパイプ11を建て込むことが可能となるので、このケーシングパイプ11に過大な打撃力や推力が与えられて破損が生じたりするのを防止することもできる。
【0036】
さらに、こうしてケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに対して軸線O方向に移動可能とされることにより、上記掘削工具によれば、上述のように複数のケーシングパイプ11やロッド13を継ぎ足して削孔を行う場合に、例えばこれらケーシングパイプ11とロッド13の長さが異なっていたり、あるいは製造仕上がり寸法に誤差が生じたりしていても、この長さの差や寸法誤差が所定の範囲内であれば、上記推力打撃伝達手段22において段差部22Aに段差部22Bを確実に当接させて、デバイス14からケーシングトップ12に推力や打撃力を確実に伝達することが可能となる。すなわち、例えば図2に示すように継ぎ足されたケーシングパイプ11とロッド13の長さが等しい場合の最先端のロッド13とファーストケーシングパイプ11Bとの間隔Zに対し、誤差等によってファーストケーシングパイプ11Bが先端側に突出していたとしても、この突出量が図中に符号Wで示すファーストケーシングパイプ11Bが上記平坦面12bに当接するまでの範囲であれば、かかる寸法誤差等に拘わらず段差部22A,22Bを確実に当接させることができ、逆にファーストケーシングパイプ11Bが後端側に後退していても、その後退量が図中に符号Vで示す上記ケーシング係止手段21の止め輪21Aが収納凹部21Bの後端側壁面21bに当接するまでの範囲であれば、やはりロッド13とファーストケーシングパイプ11Bの先端の軸線O方向の相対位置に拘わらずに段差部22A,22Bを確実に当接させることが可能となるのである。
【0037】
ただし、本実施形態ではこのようにケーシングトップ12がケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)に対して軸線方向に移動可能、かつ軸線回りに回転可能に取り付けられているが、本発明によるデバイス14の上記係合部と掘削ビット15の上記被係合部とを軸線O方向後端側に係合可能とするという構成は、上述した従来の掘削工具のようにケーシングパイプの先端にケーシングトップが溶接等によって固定的に取り付けられた掘削工具にも適用可能である。
【0038】
また、本実施形態では、このようにケーシングトップ12をケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)に対して軸線O方向に移動可能に取り付けるに際し、このケーシングトップ12がケーシングパイプ11に対する軸線O方向先端側への移動範囲を制限する上記ケーシング係止機構21を介して取り付けられており、従ってケーシングトップ12がケーシングパイプ11に対して先端側に移動しすぎてファーストケーシングパイプ11Bの先端から抜け外れてしまったりするような事態を未然に防ぐことができる。さらに、本実施形態では、このケーシング係止機構21が、ケーシングトップ12の後端側内周部12aに嵌挿されるファーストケーシングパイプ11Bの外周に環状溝11aが形成されて、軸線Oに対する径方向に拡縮径可能な弾性部材としてC字状の止め輪21Aが取り付けられるとともに、上記後端側内周部12aにはこの止め輪21Aを収容可能な収納凹部21Bが形成された構成とされており、環状溝11aに取り付けられた止め輪21Aを縮径させた状態でファーストケーシングパイプ11Bの先端をケーシングトップ12の上記後端側内周部12aに嵌挿するだけでこのケーシングトップ12を係止して取り付けることができ、操作が容易であるという利点も得ることができる。また、例えばケーシングトップ12の前記後端側内周部12aの後端縁を後端側に向かうに従い漸次拡径するテーパ面状とすれば、ファーストケーシングパイプ11Bの先端を前記後端側内周部12aに挿入するだけで、このテーパ面に案内されて止め輪21Aが縮径させられるので、一層容易な操作でケーシングトップ12を係止して取り付けることができる。
【0039】
なお、本実施形態ではこのように、ファーストケーシングパイプ11Bの先端部外周に環状溝11aが形成されて止め輪21Aが取り付けられるとともに、ケーシングトップ12の後端側内周部12aに収納凹部21Bが形成されているが、これとは逆にケーシングトップ12の後端側内周部12aに環状溝を形成するなどしてC字状止め輪のような弾性部材を取り付けるとともに、ファーストケーシングパイプ11Bの先端部外周には収納凹部を形成してもよい。この場合に、ファーストケーシングパイプ11Bの先端部を前記後端側内周部12aに嵌挿する際には、はじめに弾性部材の内径がファーストケーシングパイプ11Bが挿入可能な外径にまで拡径され、この状態でファーストケーシングパイプ11Bを後端側内周部12aに嵌挿することにより、弾性部材が収納凹部の位置で縮径してその内周側が収納凹部に収納され、ケーシングトップ12が先端側に係止される。また、本実施形態では、ケーシングトップ12の後端側内周部12aにファーストケーシングパイプ11Bの先端部が嵌挿されるようにしているが、これとは逆にファーストケーシングパイプ11Bの先端側内周部にケーシングトップ12の後端部が嵌挿されるようにして、互いに対向するこれらファーストケーシングパイプ11Bとケーシングトップ12の内外周面の一方に弾性部材を、他方に収納凹部を形成するようにしてもよい。
【0040】
ただし、このようにケーシングトップの後端部をファーストケーシングパイプの先端側内周部に嵌挿してケーシングトップをケーシングパイプに対して移動可能に設けると、このケーシングトップ後端部を覆うケーシングパイプ先端の外周側に張り出す段差部に掘削ずり等が入り込んでケーシングトップの後端側への移動が上記所定の範囲よりも小さく拘束されたり、場合によってはこのケーシングトップの後端側への移動が不可能となったりするおそれが生じる。このため、このようにケーシングトップとケーシングパイプ(ファーストケーシングパイプ)との一方に他方を嵌挿してケーシングトップを移動可能に取り付けるには、本実施形態のようにケーシングトップ12の上記後端側内周部12aがファーストケーシングパイプ11Bの先端部を外嵌するように取り付けるのが望ましい。
【0041】
また、本実施形態では、こうしてファーストケーシングパイプ11Bの先端部を外嵌するケーシングトップ12の外径が一定とされるとともに、その先端の掘削ビット15のヘッド部15aにおける最大外径よりも小さくされており、従ってこの掘削ビット15により掘削される削孔の内周と当該掘削工具外周との間の間隔は後端側ほど大きくなって、ケーシングパイプ11の外周にはより大きな間隔を確保することが可能となるので、掘削ずりが後端側のケーシングパイプ11外周にまで流れ込んでこのケーシングパイプ11に大きな外圧抵抗が作用するのを防止することができ、かかる外圧抵抗によってケーシングパイプ11の建て込みに支障を来したりケーシングパイプ11に破損が生じたりするのを防ぐことができる。しかも、その一方で、このケーシングパイプ11先端のケーシングトップ12と削孔との間隔は、ケーシングパイプ11よりは小さく、このケーシングトップ12をガイドとして掘削を行うことができるため、削孔の直進性を確保して孔曲がりが生じるのを防ぐことができ、このような孔曲がりによってケーシングパイプ11に抵抗が作用して破損等が生じるような事態も未然に防止することが可能となる。この点、例えばケーシングパイプの外径がケーシングトップの外径よりも大きく、逆に掘削された削孔の内周との間隔はケーシングトップ部分の方がケーシングパイプ部分よりも大きいとすると、仮にこれらケーシングトップ、ケーシングパイプの外周に削孔ずり流れ込んだ場合、間隔が大きくされたケーシングトップの外周に削孔ずりが滞留することによりやがては外圧抵抗となって削孔の障害となってしまうが、上述のようにケーシングトップ12の最大径部の外径をケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)の外径以上とすれば、削孔ずりをケーシングトップ12の外周から後端側にスムーズに排出させることもできる。
【0042】
一方、本実施形態では上述のようにケーシング係止機構21を弾性部材としての止め輪21Aと収納凹部21Bとから構成しているが、例えばこれを図5に示す変形例のケーシング係止機構41のように、上記ファーストケーシングパイプ11Bとケーシングトップ12との一方の内周に他方を嵌挿してファーストケーシングパイプ11B先端にケーシングトップ12を取り付けた場合において、これらケーシングトップ12とファーストケーシングパイプ11Bとの互いに嵌挿される内外周にそれぞれ形成された互いに螺合可能な雌雄ネジ山部41A,41Bと、各雌雄ネジ山部41A,41Bに連続して反対側のネジ山部41B,41Aを収容可能に形成された上記軸線O方向に延びる収納凹部41C,41Dとから構成するようにしてもよい。なお、この図5に示す変形例や図6に示すビット係止機構の変形例において、上記実施形態と共通する部分にはこれと同一の符号を配して説明を省略する。
【0043】
すなわち、この変形例のケーシング係止機構41においては、ファーストケーシングパイプ11Bの先端側内周部の先端縁に上記雌ネジ山部41Aが環状に形成されるとともに、これよりも後端側には、この雌ネジ山部41Aの雌ネジの谷の径と略同等あるいは僅かに大きな一定内径とされて該雌ネジ山部41Aに対して外周側に凹む上記収納凹部41Cが雌ネジ山部41Aに連続して上記軸線O方向に所定の幅で延びるように形成されており、この収納凹部41Cの後端側は内周側に向かう段差部41aを介して、ケーシングパイプ11の内径と等しくされたファーストケーシングパイプ11Bの後端側内周部に連ねられている。なお、上記雌ネジ山部41Aの山の内径はこのファーストケーシングパイプ11Bの後端側内周部の内径よりも僅かに大きくされている。
【0044】
一方、ケーシングトップ12の後端側外周部の後端縁には、上記雌ネジ山部41Aに螺合可能な雄ネジ山部41Bが環状に形成されるとともに、これよりも先端側には、この雄ネジ山部41Bの雄ネジの谷の径と略同等あるいは僅かに小さな一定外径とされて該雄ネジ山部41Bに対して内周側に凹む上記収納凹部41Dが雄ネジ山部41Bに連続して軸線O方向に所定の幅で延びるように形成されており、この収納凹部41Dの先端側は外周側に向かう段差部41bを介してケーシングトップ12の軸線O方向中央部の外周に連ねられている。なお、このケーシングトップ12の中央部の外径は、本実施形態では張り出し筒部23とされる先端部の外径よりも僅かに小径とされている。また、このケーシングトップ12の後端側内周部12aは、その内径がデバイス14の大径とされた後端部の外径よりも僅かに大きな程度とされるとともに、この後端側内周部12aからケーシングトップ12の小径となる中央部内周に至る段差部も、外周側の平坦面12bは第1の実施形態よりも小さくされており、場合によってはこの段差部が推力打撃伝達手段22のテーパ面状の段差部22Aのみとされていてもよい。
【0045】
従って、このように構成されたケーシング係止機構41においては、上記雌ネジ山部41Aに雄ネジ山部41Bをねじ込んで螺合させ、さらにこの雄ネジ山部41Bをねじ込んでゆくことにより、雄ネジ山部41Bが雌ネジ山部41Aを通り越して収納凹部41Cに達するとともに雌ネジ山部41Aは収納凹部41Dに達し、ケーシングトップ12はその後端部がファーストケーシングパイプ11Bの先端側内周部に嵌挿された状態で軸線O方向に移動可能かつ軸線O回りに回転自在にファーストケーシングパイプ11B先端に取り付けられる。しかして、この状態からケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに対して先端側に移動しようとすると、雌ネジ山部41Aの後端縁に雄ネジ山部41Bの先端縁が当接したところでケーシングトップ12の移動が拘束されて先端側に係止され、それ以上は再び雌雄ネジ山部41A,41Bを螺合させて雄ネジ山部41Bを雌ネジ山部41Aから抜き外すように回転させなければケーシングトップ12を移動させることができないので、上記ケーシング係止機構21と同様に掘削中のケーシングトップ12の脱落等を防止することができる。
【0046】
また、このケーシング係止機構41においては、このようにケーシングトップ12を先端側に係止して移動可能に取り付けた後でも雌雄ネジ山部41A,41Bを再び螺合させて回転させればケーシングトップ12を容易に取り外すことができるので、一旦取り付けたケーシングトップ12を取り外さなければならない事態が起きても操作が容易であるという利点を得られる。なお、ケーシングトップ12の軸線O方向後端側への移動は、このケーシングトップ12の後端が上記段差部41aに当接し、またはファーストケーシングパイプ11Bの先端が上記段差部41bに当接し、あるいはこれら双方が同時に当接することにより拘束される。また、図5に示した変形例では上述のようにファーストケーシングパイプ11Bの先端側内周部にケーシングトップ12の後端側外周部が内嵌されることとなるが、ケーシングトップ12の後端側内周部12aに雌ネジ山部41Aを形成するとともにファーストケーシングパイプ11Bの先端側外周部にはこれに螺合可能な雄ネジ山部41Bを形成して、上記実施形態と同様にファーストケーシングパイプ11B先端にケーシングトップ12が外嵌されるように取り付けてもよく、これにより、図5に符号Uで示すように当該掘削工具の外周においてファーストケーシングパイプ11B先端と上記段差部41bとの間に露出する収納凹部41D内に掘削ずりが入り込んだりするのを防ぐことができ、より円滑かつ確実なケーシングトップ12の移動を図ることができる。
【0047】
さらに、上記実施形態やこの変形例では、上記デバイス14の先端に係脱可能に取り付けられる掘削ビット15も、そのスカート部15b外周を囲む張り出し筒部23を備えたケーシングトップ12に対して軸線O方向に移動可能とされており、しかもこの掘削ビット15もその先端側への移動範囲を拘束するビット係止機構24を介してケーシングトップ12の先端に取り付けられているので、ケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに係止されるのに合わせて、その先端側への不用意な脱落等を防ぐことができ、掘削時の信頼性を高めることができる。しかも、このようなビット係止機構24によって掘削ビット15の先端側への移動を制限しておけば、掘削途中でデバイス14を掘削ビット15から分離しても、掘削ビット15は軸線Oと同芯上に保持されるため、再度デバイス14の先端に掘削ビット15を容易に装着することが可能となる。さらに、本実施形態では、前記突条部27の外周面が先端側で一段低くされているとともに、回転方向Tを向く側壁27eの先端側部分は後端側に向かうに従い回転方向T側に向かう凹曲面状あるいは傾斜面状に切り欠かれており、このように掘削途中でデバイス14を掘削ビット15から分離させた後に再度デバイス14を装着する際でも、デバイス14先端部を孔部15dに挿入しやすく、また突条部27と凹溝部28との位相が多少ずれていても、掘削ビットの前記突条29が側壁27e先端の前記凹曲面あるいは傾斜面当たれば、この凹曲面または傾斜面に案内されるようにして掘削ビット15が回転して突条部27と凹溝部28の位相が合わせられるので、掘削ビット15の再装着が一層容易である。
【0048】
また、これら第1の実施形態や変形例のビット係止機構24は、上記ケーシング係止機構21と同じく弾性的に拡縮径可能な弾性部材としてのC字状の止め輪24Bと該止め輪24Bの外周側部分を収容可能な収納凹部24Aとから構成されており、このケーシング係止機構21と同様に止め輪24Bを縮径させた状態で掘削ビット15のスカート部15bをケーシングトップ12の張り出し筒部23内に嵌挿するだけで、この掘削ビット15を容易に係止して取り付けることができるという利点も得られる。なお、これらケーシング係止機構21やビット係止機構24における拡縮径可能な弾性部材としては、上記C字状の金属製止め輪21A,24Bの他にも、収納凹部21B,24Aに収容されてケーシング12や掘削ビット15を係止可能なものなら、例えばゴムリングなどでも適用可能である。
【0049】
ただし、このビット係止機構についても、上記変形例のケーシング係止機構41と同じようにして、例えば図6に示す変形例のビット係止機構42のように、掘削ビット15のスカート部15b外周部と上記張り出し筒部23の内周部とにそれぞれ形成された互いに螺合可能な雌雄ネジ山部42A,42Bと、各雌雄ネジ山部42A,42Bに連続して反対側のネジ山部42B,42Aを収容可能に形成された軸線O方向に延びる収納凹部42C,42Dとから構成するようにしてもよい。すなわち、この変形例のビット係止機構42においては、ケーシングトップ12の張り出し筒部23の内周先端縁に雌ネジ山部42Aが環状に形成されるとともに、掘削ビット15のスカート部15b外周後端縁にはこの雌ネジ山部42Aと螺合可能な雄ネジ山部42Bが環状に形成され、また雌ネジ山部42Aよりも後端側の張り出し筒部23内周部は雄ネジ山部42Bを収容可能な内径の収納凹部42Cとされるとともに、雄ネジ山部42Bよりも先端側のスカート部15b外周部は雌ネジ山部42Aを収容可能な外径の収納凹部42Dとされている。従って、このようなビット係止機構42においても、掘削ビット15の先端側への移動範囲を収納凹部42D,42Cに収容された雌雄ネジ山部42A,42Bが互いに当接するまでに制限しつつ、該掘削ビット15を移動可能に取り付けることができ、また上記ケーシング係止機構41と同じように一旦取り付けた掘削ビット15を取り外すのも比較的容易であるという利点が得られる。
【0050】
さらにまた、上記実施形態では、掘削ビット15とデバイス14の外周に、ケーシングトップ12の張り出し筒部23より先端側の掘削ビット15外周側と、上記ロッド13とファーストケーシングパイプ11Bも含めたケーシングパイプ11の間の空間とを連通させるように、掘削ビット15からデバイス14の後端にかけて、図2に符号Fで示すようなくり粉や掘削ずりの流れを形成するくり粉溝30,26が形成されており、このくり粉溝30,26の底面30a,26aと該底面30a,26aに対向するケーシングトップ12およびケーシングパイプ11(11B)の内周面との間の間隔が、ケーシングトップ12の張り出し筒部23の先端において、他の部分の間隔Y(Y〜Y)よりも小さな間隔Xとなるようにされている。従って、このくり粉溝30,26とケーシングトップ12およびケーシングパイプ11(11B)の内周面との間の空間には、くり粉や掘削ずりの入口となるこの張り出し筒部23先端の間隔Xよりも大きな粒のくり粉や掘削ずり、土砂等が入り込むことがないので、かかる大粒の土砂等によってくり粉溝30,26内に詰まりが生じるような事態を防止することができ、くり粉や掘削ずりをより確実にロッド13とケーシングパイプ11との間の空間に案内して後端側に送り出し、フロントアダプタ19の上記窓部19aから排出することが可能となる。
【0051】
ところで、このような掘削工具の上記ケーシングパイプ11は、最先端のファーストケーシングパイプ11Bも含めてケーシングトップ12と同じ鋼材等により形成されるのが一般的である。ところが、例えばトンネルの掘削工事などにおいては、トンネルの本孔を掘削する地盤の周囲に上述のような掘削工具によって削孔を形成してケーシングパイプ11を建て込み、このケーシングパイプ11から薬液を注入して地盤を安定させておいてから、建て込まれたケーシングパイプ11ごと地盤を掘削してトンネル本孔を削孔するような場合があり、そのような場合にはケーシングパイプ11はトンネル本孔掘削の際に破壊されやすいように、樹脂製や場合によっては紙製など、ケーシングトップ12よりも低強度の材質が用いられることが望ましい。
【0052】
しかしながら、従来は、このような低強度のケーシングパイプを用いると、万一ジャミング等が発生してケーシングパイプおよびケーシングトップを後退させる際に掘削ビットも伴って後退させられることとなり、特に掘削ビットの外径がケーシングトップやケーシングパイプよりも大径とされている場合には、後退時に掘削ビットに作用する抵抗によって低強度のケーシングパイプが破損したりするおそれがあった。また、このような低強度のケーシングパイプでは、建て込みの際の抵抗によっても破損が生じてしまうおそれが高く、掘削条件等が制限されざるを得なかった。しかして、これに対して上記構成の掘削工具によれば、上述のようにジャミング等により掘削工具を後退させる際には、掘削ビット15は係合部と被係合部との係合によりデバイス14によって後退させられるため、ケーシングパイプ11にはせいぜいケーシングトップ12までを後退させる引っ張り力を与えればよく、また上記実施形態ではケーシングトップ12がファーストケーシングパイプ11Bに対して軸線O方向に移動可能とされていて、ロッド13からデバイス14を介して伝達される打撃力および推力に抗して作用するケーシング建て込み時の抵抗は専らケーシングトップ12のみに作用することとなるので、ファーストケーシングパイプ11Bを初めとするケーシングパイプ11への抵抗は軽減することが可能となる。このため、上記構成の掘削工具によれば、ケーシングパイプ11が低強度の材質によって形成されていても、その破損を防止することができ、上述のようにケーシングパイプの建て込み後にこれを破壊して本孔を削孔するような掘削に用いて特に効果的である。
【0053】
次に、図7ないし図10は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、図1ないし図4に示した第1の実施形態と共通する要素には、やはり同一の符号を配して説明を簡略化する。すなわち、この第2の実施形態においては、まず第1にケーシングトップ12がケーシングパイプ11(ファーストケーシングパイプ11B)に対して移動可能とされてはおらず、このファーストケーシングパイプ11Bの先端側内周部に形成された雌ねじ部11bに、ケーシングトップ12の後端側外周部に形成された雄ねじ部12cがねじ込まれることにより、ケーシングトップ12はファーストケーシングパイプ11Bの先端に一体的に取り付けられている。なお、このケーシングトップ12の外径はファーストケーシングパイプ11Bを含めたケーシングパイプ11の外径と略等しくされるとともに、ケーシングトップ12の後端側内周部12aの内径はケーシングパイプ11の内径よりも小さくされており、その後端面が上記推力打撃伝達手段22の段差部22Aとされている。
【0054】
また、第2に、この第2の実施形態では、掘削ビット15が有底円筒状ではなく、上記孔部15dがそのままヘッド部15aの先端まで貫通させられた概略円筒状とされているとともに、スカート部15bの後端面内周には上記段差部22Aと同じようなテーパ面状の段差部15hが形成されている。一方、デバイス14には、上記段差部22Aと当接させられる推力打撃伝達機構22の段差部22Bよりも先端側の外周部に、これら段差部22A,22Bを当接させた状態で、上記ビット係止機構24による掘削ビット15のケーシングトップ12に対する移動範囲内においてこの掘削ビット15の上記段差部15hに当接可能なやはりテーパ面状の段差部14fが形成されており、ロッド13からデバイス14に与えられた推力および打撃力はこれらの段差部14f,15hを介して掘削ビット15に伝達させられる。
【0055】
さらに、デバイス14の先端面14eは掘削ビット15を貫通する上記孔部15dからヘッド部15aの先端側に突出するようにされており、この先端面14eには、デバイス14外周のくり粉溝26に連通するくり粉溝14gが形成されているとともに、このくり粉溝14gを避けるようにチップ31が植設されている。さらにまた、このデバイス14の中空部14cはその先端側が止まり穴状とされているとともに、ブロー穴14dは、上記くり粉溝14gの内周端と、上記段差部14fよりも先端側のくり粉溝26の底面26a、および段差部14f,15hを当接させた状態で掘削ビット15の先端内周部に臨む位置とに開口するように形成されている。なお、デバイス14外周に形成されるくり粉溝26は、本実施形態ではデバイス14の全長に亙ってその底面26aが軸線Oからの距離の一定な平坦面状とされていて、先端面14eの上記くり粉溝14gは、先端視においてこの底面26aの中央部に直交するように連通させられている。
【0056】
そして、第3に、この第2の実施形態においては、デバイス14側の係合部が、このデバイス14の先端部外周の突条部27後端側の上記段差部14fとの間に形成された凹所27fとされる一方、掘削ビット15側の被係合部は、上記孔部15dの内周に形成された凹溝部28の後端側において該凹溝部28内に突出する凸部28eとされている。すなわち、本実施形態では、突条部27は、デバイス14先端部の外周において上記くり粉溝26の回転方向T側に隣接するようにして、上記段差部14fの先端側に若干間隔をあけた位置から略長方形状の一定断面をなして軸線Oに平行に先端側に延びるように形成され、この突条部27の後端と段差部14fとの間に画成される空間が上記凹所27fとされて係合部を構成しており、従ってこの係合部としての凹所27fは、軸線Oに直交する断面が突条部27に対して陥没するように形成されることとなる。なお、この凹所27fの後端側を向く側壁(突条部27の後端側を向く側壁)27gは、軸線Oに略垂直とされている。
【0057】
一方、掘削ビット15の凹溝部28は、上記凸部28eを除いたその周方向の幅が上記突条部28よりも大きくされていて、該凸部28eは、この凹溝部28の後端部においてその回転方向T後方側を向く側壁28bからこの回転方向T後方側に突出するように形成されており、こうして突出した凸部28eによって周方向の幅が狭められた凹溝部28にデバイス14の上記突条部27が軸線O方向に挿通可能とされている。また、この凸部28eの内周側を向く面は孔部15dの内周面すなわち隣接する周方向に凹溝部28間に画成される突条29の内周面と面一とされるとともに、凸部28eの後端面は突条29の後端面ともなる上記段差部15hと面一とされ、この後端面から凸部28eの先端側を向く側壁28fまでの軸線O方向の長さは、デバイス14の上記段差部14fから上記凹所27fの上記側壁27gまでの軸線O方向の長さよりも短くされている。なお、この凸部28eにおいても先端側を向く上記側壁28fは軸線Oに略垂直とされている。また、本実施形態では掘削ビット15の外周にくり粉溝30は形成されていない。
【0058】
従って、このように構成された第2の実施形態の掘削工具においては、上記凹溝部28の回転方向Tを向く側壁28cと凸部28eとの間を通すように突条部27を挿通してデバイス14の先端部を掘削ビット15の孔部15dに挿入し、上記段差部14f,15hが当接したところでデバイス14を回転方向Tに回転させることにより、上記凸部28eが凹所27fに収容されて突条部27の回転方向Tを向く側壁27eが凹溝部28の回転方向T後方側を向く側壁28bに当接させられるので、デバイス14と掘削ビット15はこの回転方向Tに一体に回転可能とされ、ロッド13を介してデバイス14に与えられる回転力と推力および打撃力とが掘削ビット15に伝達されて、これら掘削ビット15とデバイス14の先端に植設されたチップ31によって掘削が行われる。なお、こうして突条部27の上記側壁27eと凹溝部28の上記側壁28bとを当接させた状態では、この突条部27の回転方向T後方側に隣接することとなる上記くり粉溝26が、周方向において凹溝部28の回転方向T後方側の部分と一致させられて、掘削ビット15とデバイス14との間の先端に開口するようになされており、掘削時に生じたくり粉や削孔ずりはこれらくり粉溝26および凹溝部28内を通って後端側へ送り出される。また、掘削終了後は、ロッド13をデバイス14ごと回転方向Tの後方側に回転させることにより、突条部28が凹溝部28の回転方向Tを向く側壁28c側に移動させられるので、そのまま後退させれば突条部27が凹溝部28のこの側壁28cと凸部28eとの間を通ってデバイス14先端部が孔部15dから抜き出され、この孔部15dが削孔の底面に向けて開口された状態の掘削ビット15とケーシングトップ12およびケーシングパイプ11とが削孔内に残されて、ロッド13およびデバイス14が回収される。
【0059】
そして、このように凸部28eを凹所27fに収容して突条部27の側壁27eを凹溝部28の側壁28bに当接させた状態で、上記凹所27fの後端側を向く側壁27gと凸部28eの先端側を向く側壁28fとは軸線O方向に互いに対向させられているので、本実施形態では上記第1の実施形態のようにデバイス14を一旦回転方向T後方側に回転させることなく、そのままデバイス14を軸線O方向後端側に後退させることにより、これらの側壁27g,28fが当接させられて掘削ビット15がデバイス14に軸線O方向後端側に向けて係合可能とされる。従って、ジャミング等によって掘削不能状態に陥ったりしても、ケーシングトップ12ごとケーシングパイプ11後退させるとともにロッド13を介してデバイス14を後退させることにより、こうして軸線O方向後端側に係合させられた掘削ビット15も後退させることができ、すなわち掘削工具一式を後退させることができて、掘削不能状態を容易に回避して掘削を再開することが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、掘削ビット15の被係合部とされる凸部28eが凹溝部28の回転方向T後方側を向く側壁28bからこの回転方向T後方側に突出するように形成されていて、デバイス14を回転方向Tに回転させたときに係合部としての凹所27fに収容されて軸線O方向後端側に係合可能とされているが、この凸部を逆に凹溝部28の回転方向T側を向く側壁28cからこの回転方向Tに突出するように形成して、デバイス14を回転方向T後方側に回転させたときに凹所27fに収容されて係合可能となるようにしてもよく、またこれらの側壁28b,28cの双方から突出するようにしておいて、回転方向T側およびその後方側のいずれにデバイス14を回転させても係合可能とされるようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、デバイスの先端部を掘削ビットの孔部に挿入して回転させて、デバイス先端部外周に形成された係合部を掘削ビット孔部に形成された被係合部に軸線方向後端側に係合させることにより、ロッドを介してデバイスを後退させるのに伴って掘削ビットも後退させることができ、万一ジャミング等によって掘削工具全体を後退させなければならない事態が生じても、ケーシングパイプと掘削ビットとの係止機構などに障害が生じてその後の掘削に支障を来したりするのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す側断面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の先端側部分の側断面図である。
【図3】 図1に示す実施形態のデバイス(デバイス)14を示す(イ)先端側から見た正面図、(ロ)側面図、(ハ)後端側から見た背面図、(ニ)(イ)におけるAA側断面図(ただし、鎖線部分はBB断面図)である。
【図4】 図1に示す実施形態の掘削ビット15を示す(イ)先端側から見た正面図、(ロ)側面図、(ハ)後端側から見た背面図(ただし止め輪24は図示略)である。
【図5】 変形例のケーシング係止機構41を示す掘削工具先端側部分の側断面図である。
【図6】 変形例のビット係止機構42を示す掘削ビット15周辺の側断面図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態を示す側断面図である。
【図8】 図7に示す実施形態を先端側から見た正面図である。
【図9】 図7におけるデバイス14のCC断面図である。
【図10】 図1に示す実施形態の掘削ビット15を示す(イ)先端側から見た正面図、(ロ)側面図である。
【符号の説明】
11 ケーシングパイプ
11B ファーストケーシングパイプ
12 ケーシングトップ
13 ロッド
14 デバイス
15 掘削ビット
15d 孔部
21,41 ケーシング係止機構
22 推力打撃伝達手段
23 張り出し筒部
24,42 ビット係止機構
26,30 くり粉溝
27 突条部
27a 突条部27の先端部(係合部)
27f 突条部27後端側の凹所(係合部)
28 凹溝部
28a 凹溝部28先端側の凹所(被係合部)
28e 凹溝部28後端側の凸部(被係合部)
31 チップ
O ケーシングパイプの軸線
T 掘削時のロッド13の回転方向

Claims (2)

  1. 略円筒状のケーシングパイプ内に挿通された軸線回りの回転力と該軸線方向の推力および打撃力とが伝達されるロッドの先端にデバイスが取り付けられ、このデバイスの先端には、上記ケーシングパイプの先端から突出する掘削ビットが該デバイスに係脱可能に装着されてなる掘削工具において、上記デバイスの先端部外周には、上記軸線方向に延びる突条部と、上記軸線に直交する断面がこの突条部に対して突出または陥没する係合部とが形成されるとともに、上記掘削ビットの後端部には上記デバイスの先端部が挿入可能な孔部が形成され、この孔部の内周には、上記突条部と係合部とが挿通可能な凹溝部と、こうして該凹溝部に上記突条部と係合部とを挿通して上記デバイスの先端部を当該孔部に挿入した上で該デバイスを上記軸線回りの周方向の少なくとも一方に回動させることにより上記係合部と上記軸線方向後端側に向けて係合可能な被係合部とが形成されていることを特徴とする掘削工具。
  2. 上記係合部は、上記軸線に直交する断面において上記突条部に対し陥没または上記軸線回りの周方向に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の掘削工具。
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