JP7436983B2 - 削孔ビット - Google Patents
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Description
そのため、アウタービットが先端に設けられたケーシングを利用して削孔し、削孔後にケーシングを残置する方法が採用される場合がある。例えば、特許文献1のノンコア削孔装置は、アウタービットの中空部にインナービットを取り付けたいわゆる二重ビットを利用して全断面掘削を行い、削孔完了後にインナービットを回収するものである。
トンネル工事等において、切羽前方の地質や湧水区間の状況を把握することを目的として水平調査ボーリングを行う場合に、二重ビットを利用して硬岩削孔を行い、湧水区間に到達した段階でインナービットを取り外して湧水区間の地下水状況(水量や水圧等の水理特性)を計測する場合がある。この湧水区間の前方にも他の湧水区間が存在することが予想される場合には、インナービットをアウタービットに再度取り付けて、次の湧水区間に向けて削孔を再開するのが望ましい。一方、二重ビットは、アウタービットの回転トルクをインナービットに伝達させるために、アウタービットとインナービットとを嵌合させる必要があるが、掘削孔の先端部において、アウタービットにインナービットを嵌合させるのは困難であった。
かかる削孔ビットによれば、アウタービットの多角形筒部とインナービットの多角形外周部とが嵌合するので、アウタービットの回転トルクがインナービットに伝達し、その結果、全断面掘削が可能となる。また、アウタービットの内周面は、多角形筒部にすり付くようにテーパー部が形成されているため、アウタービットに後方から挿入されたインナービットの多角形外周部が、アウタービットの多角形筒部に誘導される。そのため、アウタービットへインナービットを装着しやすい。
また、前記テーパー部は、周方向の傾斜面を有しているのが望ましい。すなわち、前記テーパー部が、多角形筒部の内角部に向かってすり付くように軸方向および周方向に傾斜していれば、多角形筒部に誘導されたインナービットの多角形外周部の角が内角部に誘導されやすくなる。
さらに、前記テーパー部の形状は、軸方向の中間における断面が弧状の凹形であり、テーパー始端部が凸形であることが望ましい。すなわち、テーパー部の軸方向中間部の断面形状が、弧状の凹部が連続して設けられていることにより波型を呈しており、テーパー部の軸方向始端部におけるアウタービットの内面形状が、弧状の凸部が連続して設けられていることにより波型を呈していれば、インナービットの多角形部分の角部がアウタービットの内面に引っ掛かり難く、アウタービットにインナービットを装着しやすい。
はじめに、水平調査ボーリングの概要を示す図1を用いて、削孔ビット1の説明をする。地山Gには湧水が想定される湧水帯G0がある。本実施形態における削孔ビット1は、アウタービット3と、アウタービット3の内空部に嵌合したインナービット4で構成され、削孔ロッド2の先端に接続されている。ボーリング孔BHの削孔は、図示していないボーリングマシンからの回転力については、削孔ロッド2を通じてアウタービット3とインナービット4に伝達する。削孔ロッド2を通じて伝達されるボーリングマシンからの打撃力は、アウタービット3に伝達されるとともに、インナービット4の基端に接続したインナーヘッドアッセンブリー7のラッチ71を介してインナービット4へ伝達される。また、インナーヘッドアッセンブリー7の基端には回収用のワンタッチジョイント式の嵌合部材72が設けられている。
ボーリング孔BHの切羽部の坑口は口元保護管5を設置して充填材51で固定されている。削孔ロッド2は、中空の筒状部材からなり、複数のロッド構成材(管材)を軸方向に連結することにより構成されている。
多角形筒部32は、インナービット4の多角形外周部42の角が接する内角部35を有している。すなわち、多角形筒部32は、多角形外周部42と嵌合可能となるように、正八角形断面を呈している。多角形筒部32の形状は、係止部43よりも小さい。そのため、インナービット4をアウタービット3に挿入した際に、多角形筒部32の後端(アウタービット3の内面)に係止部43が係止して、インナービット4がアウタービット3の先端から抜け出すことが防止される。正八角形断面の多角形筒部32の内角部35は、アウタービット3の中心軸と平行であり、多角形筒部32は、一定の内空断面積を有している。多角形筒部32は、インナービット4への回転力の伝達に必要な長さを有している。
湧水状況の測定後、削孔ロッド2にインナービット4を挿入し、アウタービット3にインナービット4を再度取り付ける。このとき、インナービット4は、ウォータースイベル63を介して圧入された水W2の圧力により、削孔ロッド2の先端側に送り込み、アウタービット3に嵌合させる。アウタービット3の内部に送り込まれたインナービット4は、アウタービット3の内周面31に沿って回転することで、中心軸がアウタービット3の中心軸と一致するように移動しつつ多角形筒部32の内角部35と多角形外周部42の角とが嵌め合わされた状態で、アウタービット3に取り付けられる(図1参照)。アウタービット3にインナービット4を取り付けたら、ボーリング孔BHの削孔を再開する。
また、インナービット4の取り外しが容易で、かつ、ボーリング掘削を再開する際にはアウタービット3にインナービット4を容易に取り付けることができる。
アウタービット3の内周面31には、多角形筒部32の内角部35にすり付く傾斜面(テーパー部33)が形成されているため(図4,図5参照)、アウタービット3に挿入されたインナービット4は、多角形外周部42のりょう線(角)が多角形筒部32の内角部35に一致するように誘導される。そのため、インナービット4の取り付け作業が容易となり、早期施工を図ることが可能となる。
アウタービット3の円筒部34の内面形状は、インナービット4の外周形状よりも大きいため、インナービット4をアウタービット3に挿入しやすい。
前記実施形態では、アウタービット3の内空部の断面形状およびインナービット4の断面形状が八角形状である場合について説明したが、アウタービット3の内空部およびインナービット4の外形は、互いに嵌合可能な多角形であれば、八角形状に限定されるものではない。アウタービット3の内空部およびインナービット4の外形は、例えば、八角形以外の多角形状(三角形、四角形、…等)であってもよい。また、アウタービット3の内空部とインナービット4の外形は、嵌合可能であれば必ずしも同形状である必要はない。なお、アウタービット3の内空部の断面形状は、他の部材(例えば、取水時に使用するパッカー装置等)を挿通する断面形状をなるべく大きく確保できるとともに、アウタービット3とインナービット4との連結部の凹凸をなるべく多く確保できる形状として、円形に近い多角形状であるのが望ましい。
インナービット4をアウタービット3に取り付ける際は、水圧で押し込む場合に限定されるものではなく、例えば、ロッド等により押し込んでもよい。
また、削孔ビット1の用途は、水平調査ボーリングに限定されるものではなく、例えば、鉛直方向や斜め方向に削孔するボーリングや、杭等の地下構造物の施工のための掘削孔の削孔等に使用してもよい。
2 削孔ロッド
3 アウタービット
32 多角形筒部
33 テーパー部
34 円筒部
35 内角部
4 インナービット
41 先端部
42 多角形外周部
43 係止部
44 ジョイント部
BH ボーリング孔
G 地山
G0 湧水帯
Claims (4)
- 筒状のアウタービットと、前記アウタービットの中空部に設けられたインナービットとを備える削孔ビットであって、
前記インナービットは、少なくとも先端部に多角形外周部を有し、
前記アウタービットは、前記インナービットの前記多角形外周部の角部が接する内角部を有する多角形筒部と、当該多角形筒部の前記内角部に連続するガイド面が形成されたテーパー部と、前記インナービットの外周形状よりも大きな内面形状を有した円筒部と、を備えていて、
前記テーパー部は、前記円筒部から前記多角形筒部にすり付くように、前記多角形筒部に近づくにつれて内面形状が縮小していることを特徴とする、削孔ビット。 - 筒状のアウタービットと、前記アウタービットの中空部に設けられたインナービットとを備える削孔ビットであって、
前記インナービットは、少なくとも先端部に多角形外周部を有し、
前記アウタービットは、前記インナービットの前記多角形外周部の角部が接する内角部を有する多角形筒部と、当該多角形筒部の前記内角部に連続するガイド面が形成されたテーパー部と、を備えていて、
前記テーパー部の内角部の位置における軸方向の長さは、内角部同士の中間におけるテーパー長さよりも大きいことを特徴とする、削孔ビット。 - 前記テーパー部は、周方向の傾斜面を有していることを特徴とする、請求項2に記載の削孔ビット。
- 筒状のアウタービットと、前記アウタービットの中空部に設けられたインナービットとを備える削孔ビットであって、
前記インナービットは、少なくとも先端部に多角形外周部を有し、
前記アウタービットは、前記インナービットの前記多角形外周部の角部が接する内角部を有する多角形筒部と、当該多角形筒部の前記内角部に連続するガイド面が形成されたテーパー部と、を備えていて、
前記テーパー部の形状は、軸方向の中間における断面が弧状の凹形であり、テーパー始端部が凸形であることを特徴とする、削孔ビット。
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