JP4039134B2 - 冷凍サイクル装置に用いる弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房時には圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器側をバイパスして蒸発器に直接導入することにより、蒸発器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガスヒータ機能を持った冷凍サイクル装置に用いる弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】
そこで、特開平5−223357号公報においては、ホットガスバイパスにより暖房機能を発揮できる冷凍サイクル装置が提案されている。この従来装置では、図7に示すように圧縮機10の吐出側を凝縮器19等をバイパスして蒸発器28の入口側に直接接続するホットガスバイパス通路18を設けるとともに、このホットガスバイパス通路18に暖房用減圧装置17を設け、さらに、凝縮器19への冷媒通路およびホットガスバイパス通路18を開閉する冷房用電磁弁15と暖房用電磁弁15Aを設けている。
【0004】
車室内25の空調ユニット26内には、蒸発器28の下流側に温水式の暖房用ヒータコア29が配置されており、そして、冬期暖房時において、暖房用ヒータコア29に循環する温水温度が所定温度より低いとき(エンジン12の始動暖機時等)には、冷房用電磁弁15を閉じて暖房用電磁弁15Aを開くことにより、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(ホットガス)をホットガスバイパス通路18に流入させる。
【0005】
そして、このホットガスを暖房用減圧装置17にて減圧した後に蒸発器28に直接導入することにより、蒸発器28でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、暖房機能を発揮できるようにしている。
【0006】
また、凝縮器19下流側にレシーバ(受液器)51を配置している。このレシーバ51は、冷房時に、凝縮器19を通過した冷媒(ガス冷媒を一部含む飽和冷媒)の気液を分離して、余剰の液冷媒を貯留するものである。また、ホットガスによる暖房時に圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(ホットガス)をホットガスバイパス通路18を通して蒸発器28に直接導入するので、蒸発器28の出口と圧縮機10の吸入側との間に冷媒の気液を分離するアキュムレータ(低圧側気液分離器)31を設け、このアキュムレータ31で分離したガス冷媒を圧縮機10に吸入させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によると、冷房モードと暖房モードの冷媒流路を切り替えるために、2つの電磁弁15、15Aを用いており、更に、暖房モード時にホットガスバイパス通路18の冷媒が凝縮器19へ流入することを防止する逆止弁21を電磁弁15、15Aとは別途独立に構成、配置している。
【0008】
従って、冷房モードのみを実施する通常の車両用冷凍サイクル装置に対して、2つの電磁弁15、15Aおよび逆止弁21を追加設置する必要があり、部品点数の増加によるコストアップを招く。
【0009】
そこで、本出願人においては、先に、特願2001−156033号の特許出願において、ホットガスヒータ機能を持った車両用冷凍サイクル装置の弁装置部を簡素化するための構成を提案している。
【0010】
図1は上記先願および本発明の冷凍サイクル装置の全体システム構成図であり、図8は上記先願の弁装置14部分の概略断面図である。
【0011】
上記先願では、弁装置14の1つのハウジング部材140の内部に冷房用電磁弁15、暖房用差圧弁16、暖房用減圧装置17、逆止弁21等の要素を一体に構成して、弁装置部の簡素化を図っている。
【0012】
ところが、本発明者らの実験検討によると、弁装置部の一体化に伴って夏期の冷房モード時に冷房能力の低下を生じることが判明した。これを図8に基づいて具体的に説明すると、図8は冷房モード時の冷媒流れ状態を示しており、冷房用電磁弁15が開弁することにより、圧縮機10の吐出側が凝縮器19の入口側に連通している。この連通により暖房用差圧弁16は閉弁してホットガスバイパス通路18の閉塞状態を維持する。
【0013】
従って、圧縮機10の吐出側→凝縮器19→冷房用減圧装置20→逆止弁21→蒸発器28→圧縮機10の吸入側という閉回路にて冷媒が循環する。なお、逆止弁21は冷房用減圧装置20から蒸発器28入口側への冷媒流れ方向のみで開弁し、ホットガスバイパス通路18から冷房用減圧装置20への冷媒流れ方向では閉弁するようになっている。
【0014】
以上により、冷房モード時には1つのハウジング部材140の内部に、高圧通路45と低圧通路70の両方が形成されることになる。ここで、ハウジング部材140は、切削加工による加工の容易性、あるいは強度確保等の観点から、アルミニウム、真鍮等の金属で形成しているので、熱伝導性が良好である。
【0015】
この結果、高圧通路45の高温の高圧冷媒と低圧通路70の低温の低圧冷媒とがハウジング部材140での熱伝導を介して熱交換し、低圧冷媒が高圧冷媒より吸熱するので、冷房能力が低下するという不具合が生じることが分かった。
【0016】
本発明は上記点に鑑みて案出されたもので、ホットガスヒータ機能を持った車両用冷凍サイクル装置の弁装置であって、一体化されたハウジング部材の内部に高圧通路と低圧通路の両方を形成する弁装置において、高圧冷媒と低圧冷媒との間の熱交換を抑制することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷房用減圧装置(20)にて減圧された低圧冷媒が蒸発器(28)で蒸発して空気を冷却する冷房モードと、圧縮機(10)吐出側のガス冷媒を蒸発器(28)に直接導入して蒸発器(28)で放熱させる暖房モードとを切り替える冷凍サイクル装置に用いる弁装置において、
ハウジング部材(140)と、ハウジング部材(140)に設けられ、圧縮機(10)吐出側に連通する第1通路(41)と、ハウジング部材(140)に設けられ、凝縮器(19)の入口側に連通する第2通路(42)と、ハウジング部材(140)に設けられ、第1通路(41)と第2通路(42)との間を連通する高圧通路(45)と、高圧通路(45)を開閉する第1弁手段(15)と、蒸発器(28)の入口側に連通する第3通路(43)と、凝縮器(19)の出口側に冷房用減圧装置(20)を介して連通する第4通路(44)と、ハウジング部材(140)に設けられ、第3通路(43)と第4通路(44)との間を連通する低圧通路(70)と、ハウジング部材(140)に設けられ、第1通路(41)と第3通路(43)との間を暖房用減圧装置(17)を介して連通するホットガスバイパス通路(18)とを備え、
ハウジング部材(140)は、高圧通路(45)を含む高圧通路側部分(140a)と低圧通路(70)を含む低圧通路側部分(140b)とを包含しており、
ホットガスバイパス通路(18)は、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)の両方にわたって形成され、
ホットガスバイパス通路(18)のうち、高圧通路側部分(140a)に位置する部位に第2弁手段(16)が設けられており、
第2弁手段(16)は、冷房モード時にホットガスバイパス通路(18)を閉塞し、暖房モード時にはホットガスバイパス通路(18)を開口するようになっており、
ホットガスバイパス通路(18)のうち第2弁手段(16)の下流側通路部が低圧通路(70)に連通しており、
ホットガスバイパス通路(18)における第2弁手段(16)の下流側通路部のうち低圧通路(70)に隣接する通路部は高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との境界部分を横切るように形成され、
さらに、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との境界部分に、両部分(140a、140b)間の熱伝導を抑制するスリット部(140c)が設けられ、
スリット部(140c)は、第2弁手段(16)の側方に位置して低圧通路(70)に隣接する通路部と交差する方向に形成されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、先願発明と同様に、第1弁手段(15)と第2弁手段(16)の2つの弁手段をハウジング部材(140)内に一体部品として取り扱うことができるので、弁装置全体を大幅に小型軽量、かつ低コストで製造できる。また、ハウジング部材(140)の内部において、凝縮器(19)の出口側に接続される第4通路(44)を低圧通路(70)により蒸発器入口側に連通する第3通路(43)に連通させることができる。このため、ハウジング部材(140)の第3通路(43)と蒸発器(28)の入口側との間を1本の低圧側配管(22)で接続するだけでよい。
【0019】
そして、冷房モード時には、ハウジング部材(140)の内部において、高温高圧の圧縮機吐出ガス冷媒が第1通路(41)から高圧通路(45)を通過して第2通路(42)へと流れると同時に、冷房用減圧装置(20)で減圧された低温の低圧冷媒が第4通路(44)から低圧通路(70)を通過して第3通路(43)へと流れる。従って、高圧通路(45)の高圧冷媒と低圧通路(70)の低圧冷媒とがハウジング部材(140)での熱伝導を介して熱交換するという現象が生じる。
【0020】
そこで、請求項1に記載の発明では、ハウジング部材(140)の高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)の両方にわたって形成されるホットガスバイパス通路(18)のうち、高圧通路側部分(140a)に位置する部位に、ホットガスバイパス通路(18)を開閉する第2弁手段(16)を設け、
ホットガスバイパス通路(18)における第2弁手段(16)の下流側通路部のうち低圧通路(70)に隣接する通路部は高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との境界部分を横切るように形成され、
ハウジング部材(140)の高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との境界部分に、この両部分(140a、140b)間の熱伝導を抑制するスリット部(140c)を設け、
このスリット部(140c)は、第2弁手段(16)の側方に位置して低圧通路(70)に隣接する通路部と交差する方向に形成されている。
これにより、冷房モード時に低圧通路(70)の低圧冷媒が高圧通路(45)の高圧冷媒から吸熱することを効果的に抑制して、冷房能力の低下を抑制できる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)とが金属にて一体に形成されており、
スリット部(140c)は、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との境界部分のうちホットガスバイパス通路(18)の周辺部を除く部分に形成されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、ハウジング部材(140)が熱伝導の良好な金属にて一体に形成されていても、スリット部(140c)を高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との境界部分に設けることにより、金属材料による熱伝導面積を減少して低圧冷媒の吸熱による冷房能力の低下を効果的に抑制できる。
【0023】
請求項3に記載の発明では、請求項1において、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)をそれぞれ金属製の別体部品にて構成し、ホットガスバイパス通路(18)を別体部品からなる高圧通路側部分(140a)と別体部品からなる低圧通路側部分(140b)の両方にそれぞれ形成するとともに、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)とを、ホットガスバイパス通路(18)の連通部分周辺部で接触させて一体に締結し、
スリット部(140c)は、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との間にて、前記連通部分周辺部を除く部分に形成されていることを特徴とする。
【0024】
このように、ハウジング部材(140)の高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)をそれぞれ金属製の別体部品で構成する場合においても、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)との間にスリット部(140c)を形成して、請求項1、2と同様の作用効果を発揮できる。
【0031】
本発明におけるハウジング部材(140)の一体化は、請求項3の記載から理解されるように、高圧通路側部分(140a)と低圧通路側部分(140b)とを別体で形成し、この2つの別体部品を、配管部品を介在せずに、一体に締結する構成も包含する。
【0032】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両空調用冷凍サイクル装置を示すものであり、圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して車両エンジン12により駆動される。圧縮機10の吐出配管13には弁装置14が設けられている。
【0034】
この弁装置14は、冷房用通路を開閉する電磁弁(第1弁手段)15と、暖房用通路を開閉する差圧弁(第2弁手段)16と、暖房用減圧装置17と、逆止弁21とを共通のハウジング部材140により1つの部品として一体化したもので、その詳細は図2により後述する。弁装置14の内部にホットガスバイパス通路18が形成され、このホットガスバイパス通路18に暖房用差圧弁16と暖房用減圧装置17が設けられる。
【0035】
圧縮機10の吐出配管13は弁装置14の冷房用電磁弁15を介して凝縮器19の冷媒入口側に接続される。そして、凝縮器19の冷媒出口側には冷房用減圧装置20が接続されている。この冷房用減圧装置20は本例では固定絞りにて構成されており、固定絞りとして具体的には細径(例えば、φ1.2〜1.3mm程度)の管を所定長さとすることにより圧損を発生するキャピラリチューブを用いている。凝縮器19は電動冷却ファン19aにより送風される外気冷却風により冷却される。
【0036】
なお、弁装置14は、図示しない適宜の取付ブラケットを介して凝縮器19の適宜の部位(例えば、上部サイドプレート等)に取り付け固定することができ、これにより、凝縮器19と弁装置14を車両搭載前に予め一体化しておくことができる。
【0037】
逆止弁21は上記したホットガスバイパス通路18の暖房用減圧装置17の出口側と冷房用減圧装置20の出口側との間に接続されて、暖房モード時にホットガスバイパス通路18から凝縮器19側へ冷媒が逆流するのを防止する逆流防止手段である。ホットガスバイパス通路18は、弁装置14の内部において、暖房用差圧弁16の入口部から暖房用減圧装置17の出口部に至る極めて短い通路となる。
【0038】
そして、ホットガスバイパス通路18の出口部と逆止弁21の出口部とを合流させて、この合流部を1本の入口側低圧配管22に結合し、この1本の低圧配管22をダッシュボード23の穴を貫通して車室内25へ配管する。ここで、ダッシュボード23は車両のエンジンルーム24と車室内25とを仕切るものである。
【0039】
車室内25の前方部の計器盤(図示せず)下方部には空調ユニット26が配置され、この空調ユニット26内において、空調用電動送風機27の空気下流側に蒸発器28が配置され、この蒸発器28の更に下流側に温水式の暖房用ヒータコア29が配置されている。
【0040】
上記低圧配管22は蒸発器28の冷媒入口部に結合され、この蒸発器28の冷媒出口部には出口側低圧配管30が接続され、この出口側低圧配管30はダッシュボード23を貫通してエンジンルーム24側へ配管され、エンジンルーム24内のアキュームレータ31の入口に接続され、アキュームレータ31の出口は吸入配管32を通して圧縮機10の吸入口に接続される。
【0041】
アキュームレータ31は周知のごとく蒸発器28の出口側低圧配管30から流入する冷媒の気液を分離して液冷媒を貯留するものであって、ガス冷媒を圧縮機10に吸入させるとともに、潤滑オイルを圧縮機10に戻すために、アキュームレータタンク底部付近の液冷媒の一部を圧縮機10に吸入させるものである。
【0042】
なお、前記した空調ユニット26において、蒸発器28は空調用送風機27により送風される空気(車室内空気または外気)を冷房モード時(あるいは除湿必要時)には冷媒蒸発潜熱の吸熱により冷却し、また、冬期暖房モード時には、蒸発器28はホットガスバイパス通路18からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0043】
また、暖房用ヒータコア29には、車両エンジン12の温水(冷却水)がエンジン駆動の温水ポンプ(図示せず)により循環することにより、温水を熱源として蒸発器通過後の空気を加熱する。そして、暖房用ヒータコア29の下流側に設けられた吹出口(図示せず)から車室内25へ空調空気を吹き出すようになっている。
【0044】
また、冷房用電磁弁15は空調用電子制御装置33からの制御信号により通電が断続されて、開閉する。また、冷房用電磁弁15の他に、電磁クラッチ11、凝縮器用電動冷却ファン19a、空調用電動送風機27等の電気機器の作動も空調用電子制御装置33の制御信号により制御される。なお、空調用電子制御装置33には、周知のように車両環境条件を検出するセンサ群33aの検出信号、空調操作パネル33bの操作部材33cの操作信号等が入力される。
【0045】
次に、弁装置14の具体的構成を図2により説明する。弁装置14のハウジング部材140は、アルミニュウム、真鍮等の金属材により直方体状等の形状に形成され、ハウジング部材140の一端側(図2の右側)に第1、第2通路41、42を開口し、他端側(図2の左側)に第3、第4通路43、44を開口している。
【0046】
第1通路41は圧縮機10の吐出側に接続され、第2通路42は凝縮器19の入口側に接続される。また、第3通路43は蒸発器28の入口側に接続され、第4通路44は冷房用減圧装置20を介して凝縮器19の出口側に接続される。なお、これらの第1〜第4通路41〜44は図1の対応部位にも黒丸の点にて図示してある。
【0047】
電磁弁15は、上記第1通路41(圧縮機10吐出側)と上記第2通路42(凝縮器19入口側)との間の高圧通路45を開閉する弁体15a、この弁体15aにばね力を作用させるばね15b、このばね15bのばね力に抗して弁体15aを変位させる電磁力を発生する電磁コイル15c等を備えている。
【0048】
なお、図2では図示の簡略化のため、電磁弁15を直動式として図示しているが、弁体15aは高圧通路45を開閉するために大きな駆動力を必要とするので、実際には、電磁コイル47の電磁力により駆動される副弁体(パイロット弁)と、この副弁体の変位に伴って変位して高圧通路45を開閉する主弁体(弁体15aに対応)とを有するパイロット式電磁弁により電磁弁15を構成している。
【0049】
図2は電磁弁15の開弁時を示しており、開弁時には電磁コイル15cが非通電の状態にあるので、ばね15bのばね力により弁体15aが高圧通路45の弁座部45aから開離して高圧通路45を開口状態とする。これに対して、電磁コイル15cに通電すると、電磁コイル15cの電磁力によって弁体15aが高圧通路45の弁座部45aに圧着して高圧通路45を閉塞する。
【0050】
次に、差圧弁16について説明する。差圧弁16は、電磁弁15の開弁時(図2)に閉弁し、電磁弁15の閉弁時に開弁するようになっており、このため、次のように構成されている。
【0051】
差圧弁16はその上方側及び下方側に位置する第1室60、第2室61を有しており、上方側の第1室60は、連通穴62及び電磁弁15の弁体15a周囲の空間を介して第1通路41に連通し、圧縮機吐出側の冷媒圧力が導入される。また、下方側の第2室61は、連通穴63、高圧通路45を介して第2通路42に連通し、凝縮器19入口側の冷媒圧力が導入される。
【0052】
また、第1室60内には差圧弁16の円柱状の弁体16aが上下方向に摺動可能に配置されている。弁体16aの大径部16bによって第1室60と第2室61との間を気密的に仕切るようになっている。第2室61には、弁体16aを暖房用減圧装置17の弁座部17a側に押圧するためのばね力を発生するばね16cが配置されている。暖房用減圧装置17は、例えば、φ2mm程度の小径の絞り通路からなる固定絞りにより構成されている。
【0053】
ここで、差圧弁16の動作について説明すると、電磁弁15が開弁状態にある時(図2)は、圧縮機10吐出側の冷媒圧力が第1通路41、連通穴62を介して差圧弁16の第1室60に導入される。一方、差圧弁16の第2室61には、電磁弁15下流側の高圧通路45の圧力が連通穴63を介して導入される。
【0054】
このとき、高圧通路45の圧力は弁座部45aでの絞りにより第1通路41の圧力より所定値だけ低くなっているが、この圧力差による弁体16aの開弁方向(下方向)の力よりも、ばね16cのばね力による弁体16aの閉弁方向(上方向)の力が大きくなるように、ばね16cのばね力が設定してある。このため、電磁弁15の開弁時には、ばね16cのばね力により差圧弁16の弁体16aが暖房用減圧装置17の弁座部17aに圧着して閉弁状態(図2)を維持する。
【0055】
これに対し、電磁弁15の電磁コイル15cが通電され、電磁弁15の弁体15aが閉弁状態になると、差圧弁16の第1室60には圧縮機10吐出側の冷媒圧力が第1通路41、連通穴62を介して導入されるが、電磁弁15の閉弁により弁体15a下流側の高圧通路45は冷凍サイクル高圧側から遮断されるので、高圧通路45の圧力、すなわち、第2室61の圧力は圧縮機10吐出側の冷媒圧力より大幅に低い圧力まで低下する。
【0056】
その結果、差圧弁16の第1室60と第2室61との圧力差が圧縮コイルばね16cのばね力により設定される設定圧(例えば、0.49MPa)以上となるので、差圧弁16の弁体16aが上記圧力差により下方へ移動して暖房用減圧装置17の弁座部17aを開口し、差圧弁16が開弁状態となる。
【0057】
次に、ホットガスバイパス通路18において暖房用減圧装置17の出口側は第3通路43に連通している。一方、第4通路44は低圧通路70を介してホットガスバイパス通路18の下流部と合流して第3通路43と連通するようになっている。そして、この低圧通路70に逆止弁21を設けて、ホットガスバイパス通路18の冷媒が第4通路44側へ流れることを防止するようになっている。
【0058】
この逆止弁21は、円板状の弁体21aと、この弁体21aに一端部が結合された軸部21bと、この軸部21bの他端部に結合されたストッパー部21cとを有する構成になっている。軸部21bは低圧通路70の弁座部70aの通路穴に対して摺動自在に嵌合している。
【0059】
図2は逆止弁21の開弁状態を示しており、低圧通路70の入口圧力(第4通路44側圧力)>低圧通路70の出口圧力(第3通路43側圧力)という順方向の圧力状態が生じると、弁体21aが低圧通路70の弁座部70aから開離することにより図2の開弁状態に位置する。そして、ストッパー部21cが弁座部70aの壁部に係止されることにより、逆止弁21の開弁位置が所定位置に規定され、保持される。
【0060】
これに反し、低圧通路70の入口圧力(第4通路44側圧力)<低圧通路70の出口圧力(第3通路43側圧力)という逆方向の圧力状態が生じると、弁体21aが図2の開弁位置から下方へ移動して低圧通路70の弁座部70aに圧着するので、逆止弁21が閉弁状態となる。
【0061】
そして、ハウジング部材140は、高圧通路45を包含する高圧通路側部分140aと、低圧通路70を包含する低圧通路側部分140bとの間にスリット140cを設けている。このスリット140cは、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の熱伝導を抑制する熱伝導抑制手段を構成するものである。
【0062】
このスリット140cの具体的構造を説明すると、金属製ハウジング部材140内部においてホットガスバイパス通路18は高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bの両方にわたって形成されるので、このホットガスバイパス通路18の周辺部のみを残存するようにして、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの境界部分の大部分にスリット140cを形成している。このスリット140cは本例では切削加工により形成している。
【0063】
スリット140cの幅寸法は、本例では、切削加工の加工作業性、切削工具の寿命確保等の観点から3mm程度に設定しているが、熱伝導抑制の観点からはスリット幅寸法を1mm程度まで縮小してもよい。
【0064】
また、金属製ハウジング部材140において、ホットガスバイパス通路18の周辺部における金属材料連結部140d、すなわち、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとを直結する金属材料連結部140dの断面積は、スリット140c部分の断面積に比して十分小さくなっている。
【0065】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。今、空調操作パネル33bの操作部材33cにより冷房モードが選択されると、電磁クラッチ11に通電されて電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジン12にて駆動される。また、冷房モードが選択されたときは空調用電子制御装置33の制御信号により電磁弁15の電磁コイル15cが非通電の状態となる。
【0066】
これにより、電磁弁15では弁体15aが高圧通路45を図2のように開口し、電磁弁15が開弁状態となる。この結果、差圧弁16においては第1室60と第2室61との圧力差が小となり、圧縮コイルばね16cのばね力により差圧弁16の弁体16aが暖房用減圧装置17の弁座部17aに圧着して、差圧弁16が図2のように閉弁状態を維持する。
【0067】
すると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は、弁装置14の第1通路41から高圧通路45を通過して第2通路42から弁装置14の外部へ流出して凝縮器19に流入する。凝縮器19では、冷却ファン19aにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。
【0068】
そして、凝縮器通過後の凝縮冷媒は固定絞りにて構成された冷房用減圧装置20で減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。次に、この低圧冷媒は、第4通路44から再び弁装置14の内部に流入する。このとき、低圧通路70の逆止弁21に順方向の圧力が作用して逆止弁21が図2のように開弁する。従って、低圧冷媒は低圧通路70を通過して第3通路43から弁装置14の外部へ流出し、更に、低圧配管22を通過して蒸発器28内に流入する。
【0069】
ここで、低圧冷媒は送風機27の送風する空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器28で冷却された空調空気は車室内25へ吹き出して車室内25を冷房する。蒸発器28で蒸発したガス冷媒はアキュームレータ31内にてガス冷媒と液冷媒がその密度差により分離され、ガス冷媒が圧縮機10に吸入される。また、同時に、アキュームレータ31内の下側に溜まった液冷媒(潤滑オイルを含む)が若干量圧縮機10に吸入される。
【0070】
一方、冬期にホットガスヒータの暖房モードが選択されると、空調用電子制御装置33の制御信号により電磁クラッチ11に通電されて圧縮機10が車両エンジン12にて駆動される。また、暖房モードが選択されたときは空調用電子制御装置33の制御信号により電磁弁15の電磁コイル15cに通電される。
【0071】
これにより、電磁弁15の弁体15aが高圧通路45の弁座部45aに圧着して高圧通路45を閉塞し、電磁弁15が閉弁状態となる。この結果、差圧弁16においては第1室60の圧力>第2室61の圧力という圧力差が急激に増大し、この圧力差が設定圧以上になると、差圧弁16の弁体16aがばね16cのばね力に抗して下方へ移動し、暖房用減圧装置17の弁座部17aから開離する。これにより、暖房用減圧装置17を構成する絞り通路が開口し、差圧弁16が開弁状態となるので、ホットガスバイパス通路18が開通する。
【0072】
従って、圧縮機10の高温高圧の吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が弁装置14の第1通路41、連通穴62、及び第1室60を経て暖房用減圧装置17の絞り通路を通過する。これにより、圧縮機10の吐出ガス冷媒が暖房用減圧装置17にて所定の圧力まで減圧される。
【0073】
この後、減圧後のガス冷媒がホットガスバイパス通路18を通過して第3通路43から弁装置14の外部へ流出し、更に、低圧配管22を通過して蒸発器28内に流入する。この蒸発器28で高温ガス冷媒が送風空気に放熱して、送風空気を加熱する。蒸発器28で加熱された空気はヒータコア29で温水熱源により再度加熱された後に車室内へ吹き出す。
【0074】
一方、蒸発器28で放熱したガス冷媒はアキュームレータ31を通過した後に圧縮機10に吸入され、再度圧縮される。そして、暖房モード時にはホットガスバイパス通路18の圧力>第4通路44の圧力という関係にあるため、逆止弁21の弁体21aが図2の開弁位置から下方へ移動して低圧通路70の弁座部70aに圧着するので、逆止弁21が閉弁状態となる。従って、ホットガスバイパス通路18の高温ガス冷媒が冷房用減圧装置20を経て凝縮器19側へ逆流して、凝縮器19内に冷媒が滞留すること(寝込み現象)を抑制できる。
【0075】
ところで、冷房モード時には、前述のように、ハウジング部材140の内部において、高温高圧の圧縮機吐出ガス冷媒が第1通路41から高圧通路45を通過して第2通路42へと流れると同時に、冷房用減圧装置20で減圧された低温の低圧冷媒が第4通路44から低圧通路70を通過して第3通路43へと流れる。そして、ハウジング部材140が熱伝導の良好な金属製であるので、高圧通路45の高圧冷媒と低圧通路70の低圧冷媒とがハウジング部材140での熱伝導を介して熱交換するという現象が生じる。
【0076】
そこで、本第1実施形態においては、ハウジング部材140の高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの境界部分にスリット140cを設けて、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の熱伝導を抑制するようにしている。
【0077】
特に、上記境界部分においてホットガスバイパス通路18の周辺部のみに金属材料連結部140dを残存して、金属製ハウジング部材140の断面積の大部分にスリット140cを形成しているから、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の熱伝導を効果的に抑制できる。
【0078】
図3は上記の熱伝導抑制効果を示す実験データであり、横軸は圧縮機10の回転数で、縦軸は弁装置14の第1通路41部の冷媒温度と第2通路42部との冷媒温度差ΔTdを示す。図中、実線Aは上記スリット140cを設けた第1実施形態の弁装置(図2)のデータを示し、破線Bは、上記スリット140cを設けていない先願の弁装置(図8)のデータを示す。更に、1点鎖線Cは弁装置を設けない一般の冷凍サイクル装置のデータを示す。なお、一般の冷凍サイクル装置Cの場合は、弁装置がないので、冷媒温度差ΔTdは圧縮機10の吐出直後の冷媒温度と凝縮器19への流入直前の冷媒温度との温度差である。
【0079】
一般の冷凍サイクル装置Cでは、圧縮機吐出配管13における空気側への放熱によりΔTd=5℃〜6℃程度の値となる。これに対して、先願の弁装置Bでは、空気側への放熱分に加えて、金属製ハウジング部材140を介在した高圧冷媒と低圧冷媒との熱交換分が発生するので、ΔTdが12℃〜13℃程度の値まで増大する。このΔTdのうち、高低圧冷媒間の熱交換分は低圧冷媒のエンタルピを増大し、冷房能力を低下させる原因となる。
【0080】
これに反し、第1実施形態の弁装置Aでは、スリット140cによる熱伝導抑制効果によって、ΔTdを6℃〜8℃程度の値まで縮小できる。すなわち、高低圧冷媒間の熱交換分を僅少量に抑制できるので、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとを1つの金属製ハウジング部材140に一体成形しても、冷房能力の低下を僅少量に抑制できる。
【0081】
なお、図3の実験に供した第1実施形態の弁装置Aの仕様は、スリット140cの幅寸法=3mm、金属材料連結部140dの断面積=280mm2であり、ホットガスバイパス通路18の穴径=3.5mm、スリット140cの上端部とホットガスバイパス通路18の穴壁面との距離(下側金属材料連結部140dの厚さ)=3.5mmである。先願の弁装置Bは、この第1実施形態の弁装置Aにおいてスリット140cを形成していないものである。そのため、先願の弁装置Bにおける高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の金属材料連結部の総断面積は930mm2である。
【0082】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、1つの金属製ハウジング部材140における高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの境界部分にスリット140cを設けて、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の熱伝導を抑制するようにしているが、第2実施形態では図4に示すように、金属製ハウジング部材140における高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bをそれぞれ別体の部品とし、この別体の高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間にスリット140cを設けている。
【0083】
図4により第2実施形態を具体的に説明すると、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bをそれぞれアルミニウム、真鍮等の金属にて別体部品として形成する。高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bのうち、いずれか一方、図4の例では、低圧通路側部分140b側に、高圧通路側部分140a側への段付き突出部140eおよび円筒状のシール嵌合部140fを形成している。
【0084】
この段付き突出部140eおよびシール嵌合部140fはともにホットガスバイパス通路18の周辺部のみに形成されるものであって、段付き突出部140eは、高圧通路側部分140aの端面に当接することにより、低圧通路側部分140bの端面と高圧通路側部分140aの端面との間にスリット140cを形成する。このスリット140cの幅寸法は段付き突出部140eの突出寸法により規定できる。このスリット幅寸法は第1実施形態と同様の大きさでよい。
【0085】
円筒状のシール嵌合部140fの外周面には弾性シール材としてのOリング140gを装着している。高圧通路側部分140aのホットガスバイパス通路18は円筒状のシール嵌合部140fを挿入し得る円形断面の通路穴により形成してある。そのため、円筒状のシール嵌合部140fを、このOリング140gを介在して高圧通路側部分140aのホットガスバイパス通路18内に気密に嵌合できる。
【0086】
図4はこの円筒状のシール嵌合部140fと高圧通路側部分140aのホットガスバイパス通路18との嵌合組み付けが完了した状態を示す。この嵌合組み付けの完了後に、別体部品である高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間をねじ止め手段により一体に締結して、ハウジング部材140を一体構造にしている。
【0087】
具体的には、低圧通路側部分140bに、その肉厚方向(図4の左右方向)に貫通する複数のボルト通し穴(図示せず)を設け、高圧通路側部分140aにはこのボルト通し穴に対応する位置に複数の雌ねじ(図示せず)を設け、低圧通路側部分140bのボルト通し穴を通してボルトを高圧通路側部分140aの雌ねじにねじ込むことにより、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとを一体に締結できる。
【0088】
第2実施形態においても、スリット140cにより熱伝導抑制効果を発揮して、第1実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0089】
なお、第2実施形態では、低圧通路側部分140b側に段付き突出部140eおよび円筒状のシール嵌合部140fを形成しているが、この段付き突出部140eおよび円筒状のシール嵌合部140fを高圧通路側部分140a側に形成してもよい。
【0090】
(第3実施形態)
上記第1、2実施形態では、ハウジング部材140を金属製としているが、第3実施形態では図5に示すように金属に比較して熱伝導率が大幅に低い樹脂材料を用いて、ハウジング部材140における高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bを含む全体を一体成形している。
【0091】
これにより、樹脂材料自身の低熱伝導性によって、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の熱伝導を効果的に抑制できる。従って、第1、第2実施形態によるスリット140cを形成することなく、第1、第2実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0092】
なお、ハウジング部材140は車両エンジンルーム内に搭載され被水を受ける環境下で使用されるので、ハウジング部材140を構成する樹脂材料としては、被水を受けても長期にわたって強度を維持できる吸水率の低い樹脂、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂が好適である。
【0093】
(第4実施形態)
図6は第4実施形態であり、図4の第2実施形態の変形である。すなわち、第4実施形態では、ハウジング部材140における高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bをそれぞれ別体の部品とし、この別体の高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bのうち、高圧通路側部分140aを金属製とし、これに反し、低圧通路側部分140bを樹脂製としている。
【0094】
これにより、低圧通路側部分140bを構成する樹脂材料自身の低熱伝導性によって、高圧通路側部分140aと低圧通路側部分140bとの間の熱伝導を効果的に抑制できる。従って、第4実施形態によると、第2実施形態のスリット140cを廃止できるので、第2実施形態の段付き突出部140eが不要となる。
【0095】
また、高圧通路側部分140aは冷媒高圧圧力の印加により必要強度が大きいが、第4実施形態によると、高圧通路側部分140aを金属製としているので、必要強度を容易に確保できる。一方、低圧通路側部分140bは高圧通路側部分140aに比較して必要強度が大幅に小さいので、樹脂製としても必要強度を容易に確保できる。
【0096】
なお、第4実施形態では、低圧通路側部分140b側に円筒状のシール嵌合部140fを形成しているが、この円筒状のシール嵌合部140fを高圧通路側部分140a側に形成してもよい。
【0097】
また、第4実施形態では、高圧通路側部分140aを金属製とし、低圧通路側部分140bを樹脂製としているが、樹脂材料として機械的強度特性に優れた前述のPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等を選択することにより、高圧通路側部分140aを樹脂製とし、低圧通路側部分140bを金属製としてもよい。
【0098】
(他の実施形態)
なお、上記の第1〜第4実施形態では、冷房用減圧装置20を弁装置14と別体で構成しているが、冷房用減圧装置20をオリフィス、ノズルのような通路長さの短い固定絞りで構成して、弁装置14のハウジング部材140の内部に一体的に冷房用減圧装置20を構成することもできる。すなわち、ハウジング部材140の第4通路44部分に冷房用減圧装置20を構成する固定絞りを配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】先願発明および本発明の第1実施形態による車両空調用冷凍サイクル装置の全体システム図である。
【図2】本発明の第1実施形態による弁装置の縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による弁装置の熱伝導抑制効果を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態による弁装置の縦断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による弁装置の縦断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による弁装置の縦断面図である。
【図7】従来の車両空調用冷凍サイクル装置の全体システム図である。
【図8】先願発明による弁装置の縦断面図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、15…電磁弁(第1弁手段)、16…差圧弁(第2弁手段)、
17…暖房用減圧装置、18…ホットガスバイパス通路、19…凝縮器、
20…冷房用減圧装置、21…逆止弁、28…蒸発器、45…高圧通路、
70…低圧通路、140…ハウジング部材、140a…高圧通路側部分、
140b…低圧通路側部分、140c…スリット(熱伝導抑制手段)。
Claims (3)
- 冷房用減圧装置(20)にて減圧された低圧冷媒が蒸発器(28)で蒸発して空気を冷却する冷房モードと、圧縮機(10)吐出側のガス冷媒を前記蒸発器(28)に直接導入して前記蒸発器(28)で放熱させる暖房モードとを切り替える冷凍サイクル装置に用いる弁装置において、
ハウジング部材(140)と、
前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記圧縮機(10)吐出側に連通する第1通路(41)と、
前記ハウジング部材(140)に設けられ、凝縮器(19)の入口側に連通する第2通路(42)と、
前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記第1通路(41)と前記第2通路(42)との間を連通する高圧通路(45)と、
前記高圧通路(45)を開閉する第1弁手段(15)と、
前記蒸発器(28)の入口側に連通する第3通路(43)と、
前記凝縮器(19)の出口側に前記冷房用減圧装置(20)を介して連通する第4通路(44)と、
前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記第3通路(43)と前記第4通路(44)との間を連通する低圧通路(70)と、
前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記第1通路(41)と前記第3通路(43)との間を暖房用減圧装置(17)を介して連通するホットガスバイパス通路(18)とを備え、
前記ハウジング部材(140)は、前記高圧通路(45)を含む高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路(70)を含む低圧通路側部分(140b)とを包含しており、
前記ホットガスバイパス通路(18)は、前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)の両方にわたって形成され、
前記ホットガスバイパス通路(18)のうち、前記高圧通路側部分(140a)に位置する部位に第2弁手段(16)が設けられており、
前記第2弁手段(16)は、前記冷房モード時に前記ホットガスバイパス通路(18)を閉塞し、前記暖房モード時には前記ホットガスバイパス通路(18)を開口するようになっており、
前記ホットガスバイパス通路(18)のうち前記第2弁手段(16)の下流側通路部が前記低圧通路(70)に連通しており、
前記ホットガスバイパス通路(18)における前記第2弁手段(16)の下流側通路部のうち前記低圧通路(70)に隣接する通路部は前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)との境界部分を横切るように形成され、
さらに、前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)との境界部分に、前記両部分(140a、140b)間の熱伝導を抑制するスリット部(140c)が設けられ、
前記スリット部(140c)は、前記第2弁手段(16)の側方に位置して前記低圧通路(70)に隣接する通路部と交差する方向に形成されていることを特徴とする冷凍サイクル装置に用いる弁装置。 - 前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)とが金属にて一体に形成されており、
前記スリット部(140c)は、前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)との境界部分のうち前記ホットガスバイパス通路(18)の周辺部を除く部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置に用いる弁装置。 - 前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)をそれぞれ金属製の別体部品にて構成し、
前記ホットガスバイパス通路(18)を前記別体部品からなる前記高圧通路側部分(140a)と前記別体部品からなる前記低圧通路側部分(140b)の両方にそれぞれ形成するとともに、
前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)とを、前記ホットガスバイパス通路(18)の連通部分周辺部で接触させて一体に締結し、
前記スリット部(140c)は、前記高圧通路側部分(140a)と前記低圧通路側部分(140b)との間にて前記連通部分周辺部を除く部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置に用いる弁装置。
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